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卑弥呼の葬祭 天照暗殺(新潮文庫) 高田崇史

卑弥呼の葬祭
「QEDシリーズ」や「古事記異聞シリーズ」などシリーズものが多い著者さんですが、これは2018年に単行本、2019年に文庫化された単独の歴史ミステリー小説です。

単独と書きましたが、作中には以前事件を解決してくれたという「毒草師シリーズ」の主人公の名前が出てきたり、他の作品を全部読んだわけではないので不明ですが、完全に独立した作品かどうかは定かではありません。

テーマは、卑弥呼は誰か?ということですが、魏志倭人伝や記紀などから、国造りの神話、古代天皇など、様々に展開していき、多少はその辺りの知識がないと理解するのは結構大変です。

私は幸い、以前著者の「古事記異聞シリーズ」を読んでいて、国造り神話の解釈や登場人物について、ある程度の免疫ができていたので、さほど苦しむことなく面白く読めました。

舞台は、大分県の宇佐神社、宮崎県の高千穂周辺で、実際に存在する凶首塚古墳や百体神社、天岩戸神社など、いわくありげな地名や名称がいろいろと登場して読み応え十分です。

決して旅行ガイドブックではないですが、私は出雲地方へ旅行する前に「古事記異聞 鬼棲む国、出雲」を読んでおいてたいへん役立ちました。もし九州方面へ旅行する時には、一度読むことをお勧めしたい小説です。

★★☆

著者別読書感想(高田崇史)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

オーパーツ死を招く至宝(宝島文庫) 蒼井碧

オーパーツ死を招く至宝
著者はこの作品で2017年の「このミステリーがすごい!」の大賞を受賞した1992年生まれの若い作家さんです。この作品がメジャーデビュー作となり、2018年に単行本、2019年に文庫化されています。

タイトルの「オーパーツ」とは、「out of place artifacts」 の略で、発見された場所や時代とそぐわない遺物や加工品のことで、ひとことで言えば「場違いな工芸品」です。

例えば古代マヤ文明の遺跡から見つかったクリスタルスカルや、コロンビアの古代文明の遺跡から見つかった黄金のシャトル(飛行機)などが有名です。

この作品では、連作で4つの物語が収録されており、第1章「十三髑髏の謎」、第2章「浮遊」、第3章「恐竜に狙われた男」、第4章「ストーンヘンジの双子」とエピローグで構成されています。

第1章では、映画インディ・ジョーンズの「クリスタル・スカルの王国」で有名になったクリスタルスカル(水晶髑髏)、第2章では黄金シャトル、第3章では恐竜土偶、第4章ではストーンヘンジなどの石柱と、それぞれオーパーツがテーマとなっていて、そこに殺人事件が絡んできます。

主人公は、自称オーパーツ鑑定人の男子学生がホームズ役、顔がうり二つの同じ大学生がワトソン役として事件を解決していくというものです。

ミステリー小説としては、まだ荒削りというか、かなり設定に無理がありますが、日本人にはあまり馴染みがないオーパーツをテーマにした小説という珍しさがあり興味を惹かれます。

エピローグでは第4章に登場した謎の兄妹の双子について、続編を想像させる内容でしたが、今のところまだその続編は出ていないようです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

大名倒産(上)(下)(文春文庫) 浅田次郎

大名倒産
2026年から文藝春秋に連載され、2019年に単行本、2022年に文庫化された長編時代小説で、2023年には、まだ見ていませんが、前田哲監督、神木隆之介、杉咲花、松山ケンイチらの出演で映画が製作されています。

3万石の越後の小藩では巨額の借金が積み重なり財政破綻が間近に迫っていたことから、藩主である先代が、町人の娘に手を出して産ませた人の良さそうな四男に家督を譲り、財政破綻の責任をすべて負わせ廃藩に追い込もうと画策します。

主人公はその悪だくみにはめられた長屋育ちの四男で、なにも知らされずに名門家の跡継ぎとなり、やがて自分が窮地に立っていることを知ることになります。

本作の舞台、丹生山(にぶやま)藩は越後の3万石を治める架空の藩ですが、立地的なモデルは江戸時代の村上藩(新潟県村上市)だそうです。

最初のうちは、真面目でシリアスな歴史小説と思いきや、途中から貧乏神やら七福神、疫病神、死神、薬師如来まで出てきて、てんやわんやの騒ぎです。

そう言えば著者の同じ江戸時代末期の時代小説に「憑神」という貧乏神が出てくる似たようなものが過去にありました。

そして文庫の解説の代わりに「浅田次郎×磯田道史」という対談が巻末に載っています。事実を追い求める歴史学者と、ほどほどに史実を散りばめて創造力を駆使しエンタメに仕上げる小説家が、それぞれの視点で歴史小説について対談をすることがとてもユニークで面白いです。

その対談は、文藝春秋のサイトでも読めます。
対談 浅田次郎×磯田道史 改革をなし得る人とは

小説と映画では登場人物に違いがあり、内容も少し変わっていそうですが、映画も見たくなりました。

★★★

著者別読書感想(浅田次郎)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

給食のおにいさん(幻冬舎文庫) 遠藤彩見

給食のおにいさん
テレビドラマや映画の脚本家として1996年頃から活躍し、2013年に初めて本作品を発表し、小説家デビューした作家さんです。

また本作品は単行本→文庫という通常の流れではなく、文庫書き下ろしです。

タイトルから想像していたとおりの展開で、仕方なく給食の調理員となった若い男性主人公が、その仕事や子供達との交流を通じて、今までの考え方をあらため、成長していくというストーリーです。

続編がすでに「給食のおにいさん 進級」(2014年)、「給食のおにいさん 卒業」(2014年)、「給食のおにいさん 受験」(2015年)、「給食のおにいさん 浪人」(2016年)と4作品が出版され、シリーズ化しています。

主人公はフレンチの名店で修行した経験があり、各種の料理コンテストで優勝した経験もある料理人で、独立して自分の店をオープンした直後に火事に見舞われ、しばらくどこかに勤めて貯金をしようと募集していた小学校の給食調理員になります。

様々な家庭環境の子供達や、給食という予算や栄養、子供達の好み、300人を超える大量の食事を短い時間で作るなど多くの制約がある中で、奮闘していきます。

私が小学生の頃(60年前)の給食と言えば、美味しいと思ったことは一度もなく、単にお腹を膨らませるためのもので、給食の時間が楽しみとか楽しいという感じはありませんでしたが、様々な報道などで知ってはいましたが今の給食は様変わりしています。

私の小学生の頃には主食は必ず食パンで、ご飯だったことは一度もなく、副菜もたいていは1品だけでした。

そして低学年の頃はまだ脱脂粉乳という飲むのさえ苦痛が伴うものが毎日出て、高学年の途中から牛乳に変わって救われた思いがありました。そして給食を全部食べるまで遊びには行けず、残すことは許されませんでした。

その様変わりした給食の内容を本著で詳しく知り驚きと共に、残しても良くなっているのは子供達の人権や、やかましい親に配慮した結果なのでしょう。

当初はよくあるお仕事小説かな?と思っていましたが、現代の給食事情や、モンスターペアレント、ネグレクトなど様々な社会問題をはらんだ社会派小説とも言えます。

★★☆

【関連リンク】
 7月後半の読書 ドリアン・グレイの肖像、悪い夏、東京自叙伝、ジヴェルニーの食卓
 7月前半の読書 犬はどこだ、巡査長 真行寺弘道、罪責の神々 リンカーン弁護士、日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで
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1850
築33年目を迎える自宅には購入時にはリビングダイニングを含め全5部屋にそれぞれエアコン(室内機)が設置されていて、そのうち1台の室外機から2台の室内機へ冷気を供給するマルチ型エアコンが2セット(室内機4台分)、単独のエアコンが1台という構成でした。

築20年頃(現在から13年ほど前)に、エアコンが不調になったり、以前のモデルのため省エネタイプでなく電気代がやたらと高く付いてきたので、順次5台とも新しいエアコンに交換してきました。

マルチ型エアコンを買い換えるのは高額になるため、すべて1部屋1台タイプのエアコンです。

エアコン

と、そこである問題に気がつきました。

それは「エアコン設置にはブレーカーにつながっている専用電源が必要」ということです。

すでに5部屋にエアコンがあるなら専用電源があるでしょ?ということなんですが、上記に書いたように4部屋分は室外機がマルチ型の200V仕様で、しかも外の室外機に電気を供給するタイプだったのです。

つまりマルチ室外機とつながっている4部屋にはエアコン専用電源がなく、それが設置されていないと通常のエアコン交換工事ができない(やってくれない)ということです。

前回の2005年当時はそれを知らず、近くの家電量販店で一番安い安いエアコンを購入し、標準工事費を加えて設置工事を依頼しましたが、専用電源はなく、本当はダメなんですが、とりあえず壁のコンセントから延長コードで電源を引っ張ってきて使うことになりました。

工事に来た下請けの業者さんは当然ダメなのは知っていたはずですが、量販店からの指示で全部準備をして工事に来ているので、「電源の工事をしないと付けられない」とは言えず、なにも言わず契約通りのエアコンの設置だけをして帰って行きました。2005年当時はまだ緩かったとも言えます。

実はエアコンの専用電源の設置は、法律で決まっているのかと思ったらそうではなく、電気業界の自主規制だそうです。

経済産業省のQ&Aには、
エアコンの専用回路の設置は、法令上の義務はなく、国の規制ではありません。
一般的に、エアコン等は始動電流が大きいため、一般回路を使用し他の電気機械器具と併用した場合には、過電流の発生によりブレーカーが落ちやすくなったり、出火につながるおそれがあります。そのため、民間規格である「内線規程」(一般社団法人日本電気協会発行)3605-3 2.及び資料3-6-5 3.において、定格電流が10Aを超える据置形の大型電気機械器具については、別に専用の分岐回路を設けることとされています。

業界規定なので、法的な拘束力や罰則はありませんが、現在では専用電源なしでのエアコン設置工事はできない(断られる)というのが常識となっています。

なおエアコンでも定格電流が少ない窓枠に取り付けるウインドー型エアコンならば専用電源が必要としない製品があります。

2回目の交換になる今回はさすがに2005年当時のようにコソッと専用電源なしでエアコン設置だけをしてもらうわけにはいかず(たぶん断られる)、まずはエアコン電源の設置工事をどこかに依頼することを考えました。

そのためには事前に現場でブレーカーの位置、配線方法、専用コンセントの設置場所などの調査をおこなわないと費用の見積もりができません。そういう手間のかかる面倒なことは、家電量販店やその下請け業者さんにはなかなか受け入れてくれそうもありません。

特にブレーカーから各部屋までの配線は、いまさら壁の中を通すわけにはいかず、部屋の中を這わすか、屋外へ出してまた屋内へ引き込むという面倒な作業になります。

今回は2階の部屋の2部屋だけエアコン交換(設置)をしてもらうことを考えています。

そこで近所の電気工事業者さんを探し、まずは2部屋のエアコン専用電源工事だけをおこなってもらい、その後別途安いエアコンを調達しようと思いネットで電気工事業者を調べました。

すると近所に古くから地場でやっている電気工事会社があり、エアコン専用電源工事の見積もりをお願いしてみたところ、一度見に来るということになりました。

エアコン専用電源を各部屋に引くには、

(1)元々マルチ型エアコンに使っていた屋外にある200Vの電源を100Vに変換し部屋に引き込んで使う
(2)新たにブレーカーから100Vの専用電源を部屋まで引く

という2通りの方法があります。

(1)のマルチエアコン用電源はすでにブレーカーで専用電源となっているので、そのまま使えますが、1階の屋外にあるため、電線を延長し2階の部屋の中まで引き込む必要があります。

(2)はシンプルですが、1階にあるブレーカーから離れた2階の部屋まで一度屋外に出して再び屋内に引き込むことになります。

実はもうひとつ第3の方法があり、(3)新たな200Vマルチエアコン室外機(電源は元の200Vを使用する)を設置し、2部屋に電源が不要の室内機を設置する方法。

しかしこの(3)はマルチ型エアコンが汎用品ではなく、めちゃ高額(室外機と室内機セットで工事代別で20万円ほど)なことや、高負荷で電気代が高く付くことを知っていたので最初から除外しました(一応業者さんにも確認したけどその通りでした)。

今回は調子の悪い2部屋のエアコンを交換する予定にしていたので、専用電源の確保について1部屋は(1)、もう1部屋は(2)でお願いすることにしました。

(1)の電源を2部屋に分岐することはできないか?を聞いたところ、1台ずつ単独でブレーカーにつながないとダメということでした。

電源ブレーカー

さらにその電気工事の業者さんから、4年落ちの新品国産エアコン(三菱電機・霧ヶ峰スタンダードモデル6畳用)で良ければ在庫があるので、それを格安で提供してもよいという話しがあり、2部屋分の電源工事とエアコン設置を一気にやってもらうことで見積もりをしてもらい、それで依頼をしました。

見積書(2階の2部屋にエアコン電源設置工事と、新エアコン設置、旧エアコン廃棄処分)
見積書

合計税込み215,600円です。

エアコン設置

十数年使った古いエアコンは、まだ動いてはいましたが、取り外して回収してもらいます。裏や内側にはほこりやカビがいっぱいです。

エアコン廃棄

量販店などで新型の格安モデルが1台標準工事込み7~8万円で売られていますが、専用電源工事や2階までの配管延長など追加工事費用のことを考えると、4年前のスタンダードモデル(未使用)ですがまぁトータルではお得だったかなと思います。

工事の日には、二人のベテランの職人さんが、朝9時から夕方4時半まで(昼に1.5時間休憩挟む)工事をおこない、無事にすべての工事が完了し、ガタガタと音がしていた古いエアコンを交換してもらいスッキリしました。

屋外に出る配線は、両方とも室外機から室内機へつながる配管の中にうまく入れてもらいむき出しではないようにしてくれました。

【関連リンク】
1658 家電製品の耐用年数は?
803 リサイクル料金は時代の徒花か
504 エアコンの購入

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1849
ドリアン・グレイの肖像(新潮文庫) オスカー・ワイルド

ドリアン・グレイの肖像
19世紀後半に英国やフランスで活躍した作家で、「サロメ」(1893年)や「幸福な王子」(1888年)などの代表作があり、3年前に「幸福な王子」を含む短編小説集を読んでいます。この小説も代表作のひとつです。

「ドリアン・グレイの肖像」(原題:The Picture of Dorian Gray)は、1990年に出版された長編小説で、友人から「日本の寺にある馬の絵から夜な夜な馬が飛び出し駆け回り、朝にはまた絵の中に戻ってくる」という話しを聞いたことがモチーフとなった(諸説あり)、肖像画にまつわる内容です。

主人公のドリアン・グレイは容姿端麗で美しい顔をした貴族の青年で、まだ少年だった頃に有名な画家のモデルをして、生き写しの肖像画ができあがります。

その肖像画を画家から贈られたドリアン・グレイは、やがて汚れた世間にまみれ老いて醜悪になっていく自分の姿とこの若さを失わない肖像画を比べ、思わず「自分がこの絵のように若さを失わず、老いていくのがこの絵だったら、どんな代償も惜しまない、魂だってくれてやる」と願掛けをします。

そうなるとおおよその展開がわかってきそうですが、主人公の青年が一目惚れで恋をし、つまらぬことで破綻し、また友人達が次々と悪の道へ落ちていき、最後は肖像画を描いてくれた友人の画家にまで手をかけることになっていきます。

著者はゲイ(当時は同性愛は犯罪)で逮捕されたことがあるそうですが、この小説にも同性愛を彷彿させるようなオブラートに包んだような表現がいくつもあります。当時はそれを具体的に書くだけで逮捕されるような時代だけに、歯がゆさが感じられます。

そういうストーリーながら、19世紀末頃の英国貴族社会の風潮はなにかと哲学的で難しく例えば、主人公と、その友人貴族の話しで、

ドリアン、自己欺瞞はやめるのだ。人生は意志や意図で支配されているのではない。人生とは神経と繊維組織、そして徐々に形成される細胞の問題であり、これら神経や細胞の中に、想念が身を潜ませ、情熱が夢見るのだ。きみは自分を安全と信じ込み、強き人間と考えているのかもしれないが、しかし、部屋の中、あるいは朝空の中にふと認められた色あい、昔好きだったために、いまでも嗅ぐたびに妙なる思い出を匂わせる香水、かつて眼にふれたことのある忘れられた詩の一行、弾くことをやめてしまった曲の一節…いいかい、ドリアン、こういったものにこそ、人間の生活は左右されているのだ。

のようなよくわからないまどろっこしい言葉が多く紡がれていて、ライトノベルや大衆小説ばかりが馴染んでしまっている我が身には、こうした文学を読みこなすには結構な忍耐と想像が必要です。

そう考えれば、日本の文豪と呼ばれる人達、森鴎外や夏目漱石、谷崎潤一郎などが著者と著者の作品に大きな影響を受けたというのもわかります。

★★☆

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悪い夏(角川文庫) 染井為人

悪い夏
2017年にこの作品で横溝正史ミステリ大賞優秀賞を受賞し小説家デビューした1983年生まれの作家さんです。2020年にこの作品は文庫化されています。

さらに今年2025年3月には城定秀夫監督、北村匠海、伊藤万理華、河合優実などの出演で、この小説を原作とした映画も公開されています。

生活保護制度やそれに関連した貧困ビジネスなどの社会問題については小説に取り上げられることも多く、私は柚月裕子著「パレートの誤算」や中山七里著「護られなかった者たちへ」を過去に読みました。

2023年4月後半の読書と感想、書評(パレートの誤算)
2024年5月前半の読書と感想、書評(護られなかった者たちへ)

生活保護を小説のテーマにすると、その内容は決して明るいものではなくなり、暗く重苦しいものとなってしまいます。

本著も貧困ビジネスや風俗、万引きなど犯罪のオンパレードで、「生活保護=闇と罪」というよくあるパターンで、読み進むにつれてページを繰るのがツラくなってきます。

しかし200万人と言われる生活保護受給者のうち、不正受給と思えるのは極めて特異な場合だと思います(そう信じたい)。

それだけにこうした特殊なケースの生活保護をテーマにした小説やそれを原作とした映画やドラマが制作されると、「生活保護=悪」という構図ができあがってしまい、それが本当に必要な人に抵抗感を与えてしまうことになりはしまいかと心配します。

役所側にとっては、少しでも申請を減らせる効果があり、加えて不正受給を思いとどまらせる効果があるのかも知れませんが。

小説はもちろんフィクションなので、なにをどう描こうとまったく自由です。そうしたことを考えれば、特殊なケースとは言え、エンタメとして読むべき事なんだろうなぁと思います。

あらすじは、地方都市の市役所勤務で福祉担当の独身男性、不正受給をしている中年男性、不正受給と受給額を増やしてもらう代わりに役所の担当者に身を提供しているシングルマザー、貧困ビジネスで安定したしのぎを画策しているヤクザなど、それぞれの視点で語られ、最後には一箇所にそれらの人達が一堂に会し大きな事件へと発展していきます。

★★☆

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東京自叙伝(集英社文庫) 奥泉光

東京自叙伝
2014年に単行本、2017年に文庫化された長編小説で、主に江戸時代から現在までの東京を中心とした様々な現象や事件などが、地霊の私が生き物や人物にとりつきその内幕を語っていくという変わった展開の物語です。

主人公である「東京の地霊の私」は次々と転移していきますが、記憶は縄文時代の頃からうっすらと残っていて、江戸時代には幕府の武士、昭和に入ってからは大本営の参謀、戦後には闇市にうごめくヤクザなど、次々と変わっていきます。

中盤辺りからは複数にまたがった「転移した私」の語りとなっていくことで、少々ややこしくなっていきます。

江戸や東京で起きた様々な出来事が出てきますが、それらは実際に起きた歴史をうまく利用しながら展開されます。

過去の別人の記憶が浮かび上がってきたり、ネズミが見たシーンかどうか不明だったりと、ややとっちらかった内容で、もう少しなにかに集中してまとめていった方が読みやすいだろうなと感じました。

首都東京をテーマにした小説は数々ありますが、その中でも個人的には1985年に出版された荒俣宏のSF小説「帝都物語」が一番深く刺さりました。

ただあれは映像化もされましたが、その時の映像はまだSFXが未熟な頃の作品で、イマイチ出来は良くなく、今の技術でリメイクされると良いのになぁと思ってしまいます。

★★☆

著者別読書感想(奥泉光)

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ジヴェルニーの食卓(集英社文庫) 原田ハマ

ジヴェルニーの食卓
2013年単行本、2015年に文庫化された短篇4篇が収録された小説です。

収録作品はそれぞれに印象派の巨匠と言われた著名な画家をテーマにした「うつくしい墓」、「エトワール」、「タンギー爺さん」、「ジヴェルニーの食卓」です。

「うつくしい墓」は、老女が若い時にアンリ・マティスの元で家政婦をしながら、パブロ・ピカソとの交流や、晩年の姿をル・フィガロの記者に語るという内容。

「エトワール」は、アメリカ人女流画家のメアリー・カサットが、友人だったエドガー・ドガの彫刻作品「14歳の小さな踊り子」のモデルについて、古い画商の仲間から問われるという話し。

「タンギー爺さん」は、パリで画材店兼画商をしていたタンギー爺さんと画家たちから呼ばれていた店主の娘が語り手で、セザンヌから出世払いにしていた借金を支払ってもらえるように督促する手紙や、他の貧乏な若い画家たちが、作品と交換に画材を買っていく話し、その中の若きフィンセント・ファン・ゴッホが店主をモデルにした肖像画を描いてプレゼントした話しなど。個人的にはこれが一番好きです。

最後の「ジヴェルニーの食卓」は、クロード・モネの義理の娘が語り手で、モネの苦悩と晩年の様子が描かれています。

しかし画家という職業、しかも突出した新しいスタイルを求める若い現役時代には批評家の意見は厳しく、評価も決まらず、貧困の中で苦しんでいるものだということがよくわかります。

個人的にはそうした西洋絵画や印象派の巨匠たちについて、名前と代表作以外はほとんど知らないので、こうした実在した画家たちの生々しい姿が身近に感じられる物語は読んでいて楽しいです。

著者の小説には、本著のように西洋美術の巨匠をテーマにした作品もあれば、まったく関係のない作品の両方がありますが、やはり圧倒的に前者の美術や画家をテーマにした小説の方が私にとっては興味を引かれて面白いです。

2年前に読んだ著者の作品「暗幕のゲルニカ」(2016年)はパブロ・ピカソとその愛人ドラ・マールがテーマでしたが、絵画のキュレーターとしても活躍する作家さんだけに、テーマの選び方や実際に起きた歴史を下敷きにした創作は素晴らしいのひと言です。

ちなみに、「暗幕のゲルニカ」は、「リス天管理人が2023年に読んだベスト書籍」の大賞を受賞しています。

★★★

著者別読書感想(原田マハ)

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1848
テレビ情報番組
写真はイメージ
リタイアしてから午前中からテレビをなんとなく見ていることが多くなりました。今回はそんな高齢オヤジの単なる愚痴ばかりになります。

まず、テレビを見ていて民放のCMの多さに辟易します。

CMは最初と最後のほうに集中して入れる場合もありますが、景気が悪くなってからは質の高いCMを作れる大手企業スポンサーが減り、安いスポット広告、連呼型の下品なやっつけで作ったようなCMを数を稼ぐためにやたらと番組中に入れ込みます。

NHKなら広告はないでしょ?と言われそうですが、NHKも立派な自社広告、いわゆる番組宣伝や、聴取料支払い、転居した際の手続きなど、民放並みにCMをダラダラと流しています。

民放ではそれに輪をかけて、ゲスト出演!と銘打って、堂々と番宣に多くの時間を費やしますが、これは業界自主規制の広告枠には含まないのでしょう。

また民放では、番組の中でスポンサーとの通販などのタイアップコーナーを設けていて、これもCMとしてカウントしていなさそうです。純粋な番組とその中にうまくまぎれこませるタイアップ企画とは線引きが難しいと言われますが、見てる方からは「番組全体の半分は広告」と思えてしまいます。

あと、つまらない番組ほどCMに入るとチャンネルを替えられたり消されるのを知っているのでしょう、CM前に刺激的な映像をチラ見せしたり、ナレーションで盛り上げ、時にはわざわざモザイクをかけて興味をそそりチャンネルを替えさせないようする姑息な手法がとられます。

そうしたCM前のあおりは視聴者をバカにしているとしか思えないので、私はそういうアホな番組はすぐに替えるか切ることにしています。真っ当な番組ならば、CMが入ってもチャンネルを替えたりしませんから、内容に自信がないからそういうセコいことをおこないます。

もっとも最近は民放放送は原則録画するようになり、CMや不必要なシーンは飛ばして見るようにしています。そうすると視聴にかかる時間は放送時間の半分に抑えられタイパもそう悪くありません。

以前はCMだけを飛ばして録画ができるレコーダーがありましたが、現在は自主規制?でそういう装置はめったにありません。

次に気になっているのが、高齢になってくると聴力が弱くなってきます。単に聞こえにくいというだけでなく、ある音域の音だけが聞こえなくなってくるのは加齢と共によくある症状です。

つまりなにが言いたいかというと、テレビ放送の視聴者は今は高齢者ばかりというのに、そうした配慮はなされていないようで、時々アナウンサーやナレーターの言葉が聞き取れないことがあります。

一般的には40代以上から400Hz以上の高音域、特に60代以降は500Hz以上の高音域が聞こえにくくなるというのは常識です。

それでも声が高い高音域の女性アナウンサーに重要なニュースを読ませたり、余計な子供の甲高い声をガンガンつかったりするインタビューやCMなど、アホとしか思えません。

さすがにNHKでは重要なニュースやナレーションでは、男女とも比較的低音域の声でゆっくり話す訓練が行き届いているようです。

それに一番困るのが、ニュースなどの映像を流しながら、それにナレーションと同時にバックグランドで余計な音(音楽の時もあれば単に雑音のようなあおり音の時もある)が必ず入れてきます。

これがめちゃウザくて、肝心のナレーションが聞き取りにくくなるのと同時に、緊張感もなくなります。単にあおっているだけの雑音としか思えません。

テレビ局の編集者は前からやっていることなので、なにも考えることなく当たり前と思って全部にBGMや効果音を入れているのでしょうけど、邪魔以外の何物でもないということをテレビ局の人は知るべきでしょう。聞きたいナレーションや説明を聞くのに邪魔!というのが一番です。

また同様に映像に合わせたとってつけたような効果音(足音や衝撃音、笑い声など)も、子供ならともかく大人が見ていて面白いとは思えず、わざとらしく、それが映像含めて偽物やフェイクにしか見えず逆効果だということを知ってもらいたいものです。

最近は経費節減の影響もあるのか、自社制作の映像よりも、動画サイトからパクってきた(権利者には使用の了解とっているでしょうけど)素人の動画ばかりを各社とも流します。

様々な要因がありそれは仕方がないと思いますが、衝撃的なシーンがあれば一度に十数回も繰り返し繰り返し流すのはふざけています。2回か3回も流せばもう十分ですから。テレビマンには必要不可欠な映像や編集のプロとしての矜持がもはや失われているのでしょう。

MLBや大相撲のようなちゃんとした管理団体が映像権を持っているところは、その映像が使える回数や頻度に制限がかけられています。個人所有の動画だから自由に何回でも使ってOKと考えているのが今のテレビマンの愚かなレベルです。

動画では無加工で公開し垂れ流されているのに、テレビでそれが放送されるときには、あきらかな違法な行為をしている相手や暴走する車両でも、わざわざモザイクをかけて放送します。

そうした明らかな違法行為については起訴されるかどうかを待つまでもなく、公共の利益のため率先して告発すべき使命がマスメディアにはあり、車両のナンバーや顔をモザイクで隠す必要はありません。そうした忖度や保身に走る自主規制などくそ食らえです。

最後の愚痴になりますが、テレビ放送という老若男女、知的レベルも様々な人向けに放送しているという予防線的な言い訳はともかく、テレビで流される映像はステレオタイプのものが多すぎます。

例えば北朝鮮の話題になると醜く太った指導者のシーンや、ヒステリー的に甲高い声でニュースを放送しているアナウンサー、軍事パレード、ミサイル発射シーンばかりが映像として流されます。

国交がない北朝鮮に関しては自局で撮影したタイムリーな映像がないので、過去に使った同じシーンばかり繰り返されていてうんざりします。

同様にアメリカの話の時にはトランプ大統領が支援者の前で機嫌良く踊っているシーンや強面の表情で指さしている傲慢な姿ばかりで、上の北朝鮮の映像と同様、テレビ局が選んだ決めつけのイメージばかりを国民に押しつけてていいの?と思ってしまいます。

もうちょっと、映像やジャーナリズムの真のプロが作る骨のある情報番組やニュース映像、ドキュメンタリーが見たいと思う日々です。

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犬はどこだ(創元推理文庫) 米澤穂信

犬はどこだ
2001年にデビューした著者の比較的初期の作品で2005年に単行本、2008年に文庫化された長編探偵小説です。

個人的には探偵小説が好きで、タイトルからそれとわかる作品は好んで買いますが、さすがにこのタイトルで探偵小説という理解は及びませんでした。

主人公は有名な大学を出た後、都市銀行に入行しますが、肌が合わず病気になってしまい、都落ちで地元に帰ってきます。

病気療養という名の引きこもり生活をしていましたが、地元に戻ると病気はすっかり回復し、なにか自営業でもと思って「行方不明になった犬などペット探し」の調査会社、紺屋S&R(サーチ&レスキュー)を開設します。

しかし友人の紹介で訪ねてきた客はペットではなく人捜しや町の神社で見つかった古文書解読の仕事で、イヤイヤながらもそれに取り組むことになります。

都合良く、大学時代の後輩が出来高制で働いてくれたり、事務所開設直後に2件の依頼が入ったりと、まったく現実の厳しさは無視されていますが、軽薄で頼りなさそうな後輩が意外な活躍ぶりを見せたり、地元の喫茶店店主と結婚していた妹が意外な活躍をしたりと、ストーリー展開には激しい動きがあって面白く読めました。

そしてクライマックスでは、読者の多くが「あっ!」と驚く仕掛けが仕込まれています。さすがに一筋縄にはいかない作家さんです。

★★☆

著者別読書感想(米澤穂信)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

巡査長 真行寺弘道(中公文庫) 榎本憲男

巡査長 真行寺弘道
著者の本は今回初めて読みました。私とも年齢が近い映画監督や脚本なども手がけている多才な方で、2011年に監督や脚本を手がけた映画「見えないほどの遠くの空を」を小説として出版したのが実質的な作家デビュー作品です。

本著は後に「巡査長 真行寺弘道シリーズ」となるシリーズ第1作目で、2018年に文庫として出版されました。

そういう意味ではまだ作家としては駆け出しの頃の作品と言うことになりますが、それを知らずに読んでいるとかなりベテランの作家さん?と思って読んでいました。

それほどストーリー展開や人物描写がうまく、460ページを超える長編ですが引き込まれてサクッと読めました。視点が主人公の一人称だけというハードボイルドのスタイルで、他の登場人物が限られ読みやすいということもあります。

ただ個人的には、小説や映画でよく使われるリアリティに欠ける安易な手法、つまり天才ハッカーが主人公に協力して様々な入手不可能なデータを不正入手したり、システムを書き換えたりするということが物語の重要ポイントになっていることが、どうにも安易で小説の質を下げてしまうことになり面白くありません。

巡査長とは警察の中でも最初に就く巡査の上の階級的職位で、実質はヒラの巡査と同じ階級にあたります。

主人公は50代で、刑事部長賞も得るなど事件解決では優秀な警視庁の刑事で、本来なら課長級の地位にいるのが普通ですが、自ら現場で好きなように捜査をしたいため昇級試験は受けずヒラに留まったままの変わり者の刑事です。

シリーズ作品としては、「ブルーロータス 巡査長 真行寺弘道」(2018年)など4作品がすでに既刊ですので、読んでみたいと思います。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

罪責の神々 リンカーン弁護士(上)(下)(講談社文庫) マイクル・コナリー

罪責の神々
弁護士のミッキー・ハラー・シリーズの第5作目で、原題は「The Gods of Guilt」、米国で2013年、日本語翻訳版は2017年に出版されています。

順序としてはこの後の作品の「潔白の法則 リンカーン弁護士」(米国2020年、日本語2022年)を先に読んでいます。

家族の問題や、過去に関連した人物がこの小説で再登場をしますが、ストーリーは続編的な展開ではないので、読む順番はあまり関係がありません。

もう一つの著者の代表作「ハリー・ボッシュシリーズ」は三人称で書かれますが、このシリーズは一人称です。それ故に登場人物が多くても視点がひとつなので読みやすいです。

今回の法廷劇は、娼婦が絞殺され、その娼婦のポン引き役の男が分け前のトラブルがあり逮捕されますが、その男が殺された娼婦からハラーのことを聞いていたことからハラーに弁護を依頼してきます。

娼婦のことを調べると過去に弁護をしたことがある女性で、娼婦の世界から足を洗わせたという自負があったものの、再び名前を変えて夜の世界に戻り殺されたことがわかります。

そこから話しがややこしくなりますが、娼婦がなぜ殺されたのか?という事情を調べていくうちに、様々な行動監視や妨害、意図的な事故が身に起き始めます。

また過去に殺された娼婦の弁護をしている時に、司法取引で麻薬を扱うメキシカンマフィアの大物を売ったことにも関係し、本来なら狙われるべき相手と手を組み、より大きな敵と対峙していくことになります。

ま、いつもと同じパターンで、終盤は痛快でテンポの良いリーガルサスペンスで、検事や相手側の証人をバッタバッタと斬っていくという次第です。

しかし、特に弁護士や検事などの経験はない作家(作家になる前は新聞記者)で、これだけの司法手続きや法律などに詳しいというのは驚くばかりです。

★★☆

著者別読書感想(マイクル・コナリー)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

日本史を暴く 戦国の怪物から幕末の闇まで(中公新書) 磯田道史

日本史を暴く
元は読売新聞の「古今をちこち」で連載されたエッセイをまとめ、2022年に発刊された新書です。執筆当時が新型コロナ禍が流行していた頃で、その関係から疫病の歴史について詳しいです。

のたりくねった筆跡で書かれた戦国時代や江戸時代の古文書をスラスラと読んで、知識のない人にもわかりやすく解説してくれる能力と爽やかな弁説はテレビ向けでもあり各メディアはたいそう重宝しています。

私もNHK BSで放送されている「英雄たちの選択」は、毎週欠かさず録画して見ています。

第1章は「戦国の怪物たち」で織田信長や松永久秀、明智光秀、徳川家康などの裏話など、第2章は「江戸の殿様・庶民・猫」で、江戸時代の猫について書かれている古文書を探し出して紹介しています。

第3章は「幕末維新の光と闇」で、西郷隆盛、坂本龍馬、松平容保、伊藤博文などが登場し、チョンマゲのやめ方などもあります。

最後の第4章は、著者がもっとも力を入れている歴史から学び、災害を予見し、備える活動に準じた「疫病と災害の歴史に学ぶ」です。

「徳川家康が目指した社会」とか「本能寺の変が起きた理由は?」など、一般的な歴史の話しは、教養というのではなく雑学としての知識しか役に立ちそうもありませんが、疫病や災害について書かれた古文書や伝聞は現代でも大いに役立ちそうです。

★★☆

著者別読書感想(磯田道史)

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