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今から4年前に書いた「後継者不足で廃業、倒産する企業 2014/6/21(土)」という記事に関して、その後の状況というか補足を書いておきます。

いや、上記は4年前に書いた記事ですけど、我ながらよく書けていて、いまさらなにか新しいことを追加で書けるのか?という疑問もありますが、事業継続問題について興味がある分野だけにその動きに関心があります。

と、いうのも先日みたNHKのバラエティ的番組で「あなたも社長になれる!」的な話しがあり、これは会社というか事業譲渡がネットで気軽におこなわれていて、その中には、前の記事にも書いたとおり、後継者不足のため、事業が続けられなくなり、それを他人に事業譲渡するというパターンが増えているというもの。

少し前の朝日新聞にも、
廃業予備軍「127万社」の衝撃 後継ぎ不足、企業3割(朝日新聞2018年4月1日)
経済産業省によると、この20年で中小企業の経営者の年齢分布は47歳から66歳へ高齢化。2020年ごろには数十万人の「団塊の世代」の経営者が引退時期 (中略) 経営者が60歳以上で後継者が決まっていない中小企業は、日本企業の3分の1にあたる127万社に達する。事業が続けられず廃業する企業の半分は黒字とされ、25年ごろまでに650万人分の雇用と22兆円分の国内総生産(GDP)が失われる可能性がある。

いよいよ日本経済を裏側で支えてきた中小零細企業が後継者不在でバタバタとつぶれたり廃業したりする時代に突入しています。

帝国データバンクの調査では高齢化が急速に進む四国4県で、「2013年に休業、廃業、解散した事業が1000件を超え、倒産件数の6.4倍になっている」ということです。

そうした後継者がいない中小零細企業に「会社を売りませんか?」と片っ端に声をかけて「For Sale」の看板を貼っていくのが事業譲渡仲介会社(以下仲介会社)の役割です。

仲介会社は、仲介料(成功報酬)と、その事業が新しい経営者の元で軌道に乗るまでのコンサルや支援(有料)などが主な収入源と思われます。

ひと昔だと事業の売買は「M&Aビジネス」として、銀行や証券会社、大手経営コンサルタント会社と言った、信用のあるファイナンス系、コンサル系企業が担っていましたが、現在では新興のネットビジネスとして様変わりしているようです。

ネットを使って、中古品のオークションか、転職マッチングサイトのように、企業や事業を簡単にしかもお手頃な値段で売買する仕組みができていて、これに「鶏口牛後」とばかりに若者や脱サラしたいサラリーマン、定年前後の中高年、まだまだ元気で意気盛んな高齢者にウケているそうです。

一例ですけど、こんな会社が載っています。
アンドビズ株式会社
埼玉県 イタリアンレストラン 譲渡希望価格: 2,500 千円
東京都 (休眠中)農産物の生産・販売 譲渡希望価格: 応相談
愛知県 名古屋 栄・錦のスタイリッシュダイニングバー 譲渡希望価格: 3,000 千円
大阪府 訪問介護事業 譲渡希望価格: 3,000 千円
大阪府 らーめん 先代が屋台から始めた60年以上続くラーメンのレシピ 譲渡希望価格: 3,000 千円
全地域 マグネットシートの販売 譲渡希望価格: 2,500 千円

先日のNHKの取材では、沖縄にあるサーフショップが売りに出されているのをみて、サーフィンが趣味の番組スタッフが「俺、買おうかな、、、」って、収録中に思わずつぶやいていました。

社会全体に閉塞感がある中で、なにかきっかけがあればキャリアチェンジしたい人も多そうです。

黒字ですでに実績がある会社(事業)を譲り受けるのに、安いものなら100万円とか200万円とかその程度ですから、つい「自分でもできそう」って思ってしまいますね。決してそう甘いものでもないと思いますけど。

新たな借金さえしてなければ、万一潰しても被害はその先の投資分だけです。事業を興すときに借金をして大いにつぎ込み、結果うまくいかずに倒産して自己破産に追い込まれるようなこともありません。

通常、起業するなら自分でイチから事業計画書を書いて、資金を集めたり銀行から借りてきて、会社を登記して、サイト立ち上げて、パンフレット作って、営業して回ってと、手間も時間もかかりますが、すでに売上の実績がある事業の経営を引き継ぐわけですから、継続していく難しさはあるものの、失敗するリスクはかなり減らせるでしょう。

そんな美味しい話しが?って思いますが、欲の突っ張った高齢者がよく引っかかる「黙って投資するだけで、寝てても何倍にもなる」という投資詐欺と違って、今の日本には、優れたビジネスモデルやアイデアがあっても、わずかな収益のために手間をかけて淡々と実行してくれる人がいないという状態なので、一概に疑う話しばかりではないでしょう。

頭のよい人はもっと大きく儲かる効率のよいビジネスへ移っていきますから、そうした人が見切りをつけた仕事ってことにもなりますが、それが儲からない仕事というわけでもなさそうです。。

もちろん、中には将来性がない仕事もあるでしょうし、経営者が代わることでそれまでの人脈がリセットされてしまい、取引が続かなくなり、業績が急速に悪化してしまうことも考えられます。それは買う事業の将来性や、経営環境を見誤った人の自己責任です。

そして従業員がいるような事業はそれなりに責任が重くなりますので、こうしてネットで売買される会社の多くは経営者ひとりか、せいぜいアルバイトが数名程度で行える事業が多いのも特徴です。

仲介会社としても、購入者のリスクを減らすために、例えば旧経営者にも引き続き支援をしてもらうため、株を少し持ってもらったり、非常勤役員になってもらったりと、双方にメリットが出るような売買契約の仕組みなど工夫が必要でしょうね。

いずれにしても、私の感覚では、事業に真剣に取り組めば、数年間、自分のお小遣い程度の収入を得るならばそう難しいことではなく、そのきっかけとして、自分が得意な分野で個人事業を始めるも良し、得意ではないけれど、すでに会社組織になっている事業を買うも良しです。

小遣い程度じゃ嫌だ、金持ちになりたい、上場企業を目指す!というのなら、これは何年も苦労に苦労を重ねた後、運と才能に恵まれ、何千人、何万人にひとりがやっと成功するというぐらいにたいへんなことでしょう。


【関連リンク】
1169 定年起業
1068 個人事業主の中でもフリーランスとしての働き方
828 後継者不足で廃業、倒産する企業
826 脱サラ起業ができる人、できない人
743 出版社不況の現状
627 起業するのは難しくないが、引き際が難しい


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1169
60歳定年、または雇用延長で65歳再定年を迎えてから、まだ老後のお金も欲しいし、家でブラブラしているのも退屈だしということで、定年後に起業する人が増えているという話しです。

こ20年間の推移を見ても50代以上の起業が増加傾向にあり、起業時の平均年齢も国民全体の平均年齢の上昇とほぼ同水準で上がってきています。

50代の起業は、いわゆる肩たたきの早期退職制度で早々に会社を辞めて、その時もらったお金で事業を興したりする人が増えているのだろうと思います。

もちろんそういった制度などなく、勤務先の業績悪化でリストラの憂き目に遭い、仕方なく個人でできる仕事を選択したという場合もあるでしょう。



データ出典:日本政策金融公庫総合研究所『2016年度新規開業実態調査』

ただ急に思い立ってすぐに起業できるほどは甘くないので、少なくとも数年前から資金やビジネスモデル、営業方法、人的なコネ(人脈)など考えておく必要はありそうです。

一般的に中高年以上での起業の場合、準備と言ってもなにも従業員をいっぱい雇ったり、IPOまで持って行くぞ!とかでないのですから(たぶん)、また、失敗したら何億の借金を抱えてしまうという大きなリスクをとってするものでもないので、そう難しいものではないでしょう。

一番良いのは、定年まで働いてきた仕事やその周囲で、そのままフリーとしてやっていけるのなら、それにこしたことはありません。

エンジニアやプログラマーなど職人と言われるような仕事をしてきた人なら、あとは営業センスや経理知識を身につければうまくいきそうです。それが難しいとも言えますが。

そうでない人は、今まで築いてきた人脈で仕事がとれるとか、機能する仕事を探して新しく始めるのが割と楽ですが、案外今までの人脈は会社に所属していたからこそ維持できていただけで、退職するとそれらの人脈はバッサリ切れたり、かなり薄くなってしまう人が多いのではないでしょうか。

本人はそれに気がつかず、今までと同じように「彼ならきっと力になってくれる」と思っていたら、ことごとく相手にされないということもよくあることです。

結局ビジネス上の付き合いや人脈は、ギブ&テイクがないと機能せず、退職したこちらが一方的に以前付き合いがあった人になにかお願い(テイク)しても、相手側にギブがなければ相手にされないというのが一般的です。

じゃ、過去の経験や人脈にこだわらず、まったくゼロからのスタートをするか?

それが一番気楽で、失敗しても自己責任で後悔せずに済みそうです。

ただ、優れたアイデアと行動力、そして継続していく力と相当な幸運に恵まれないと成功するのはなかなかたいへんでしょう。体力も資金も潤沢ではありませんから。

お金儲けのアイデアは誰だって考えているわけで、自分で思いつくアイデアなんて、他にも1000人以上がすでに考えていると思って間違いありません。

その中で勝ち抜いていくには、いくつかの成功例を参考にしていく必要があります。

まずは一人が小遣い程度稼げれば良いのなら、他の多くのビジネスとして大きく稼ぎたいと思っている人と比べて大きな優位性があります。例えば通販やオークションなどでセドリと呼ばれているビジネスなんかはまさにそうですね。

セドリは安い仕入れ先を探して、それに少々の手数料を乗っけて通販やオークションで販売(転売)すれば、1件で100円の利益しかなくても月間1000件扱えば10万円になります(税別)。月10万円の利益だと、それだけでは本業にはなりませんが、副業や定年後の小遣い稼ぎにはなります。

最近は副業で検索するとそうした副業を斡旋してくれたり、仲介してくれるところがいくらでもあります。怪しげな副業はどうかと思いますが、文章を書くのが好きな人なら、極めて低賃金(通常1記事の執筆で500円~)ながらライター系の副業も多くあります。

昔、内職募集で、登録するとまずは登録料が取られたり、機材を高額で購入しなければならなかったりする悪徳な内職詐欺がはびこりました。

そういうビジネスは今でも健在みたいで、昔のようにすぐに詐欺だとはわからないよう、最初の数回だけは案内通りに稼がせてくれて「これは本物だ」と思わせて、本格的にそれに入り込もうとすると、その後にいくつもの罠が仕掛けてあるような話しも聞きますので注意が必要です。

まず、自宅でできて、そこそこの収入になるなんてうまい話はないということから始め、自分で行動を起こし、どこにでも出掛けていって、自分の目で見て、経験を積み、第三者の信頼できる人に相談してみるとかも必要でしょう。

つまり面倒臭がりは副業にも定年起業にも向きません。マメで、人が嫌がることでも平気でできる人ほど成功しそうです。

ってことで、私自身もそろそろなにかをやらなければ老後が心配って思うようになりました。

なにをするかって?
それは、ヒ・ミ・ツ ※実はまだ考えてない


【関連リンク】
1141 リタイアメント
1136 定年延長の功罪と年代格差
1011 定年後の生活資金設計
795 定年リタイア時の必要貯蓄額と生涯住宅費用
499 定年後にどう生活していくか




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1068
昔と言うか15年ほど前、勤務していた会社から追い出されたとき、再就職をするまでのあいだ、起業する道を模索をしていたことがあります。いくつかの起業フォーラムのようなイベントへの参加や、フランチャイズ募集の説明会に出掛けたりしました。

でも、それらは、私にはまったく役立ちませんでした。

というのも、自分でやりたかったことは、既存のビジネスの延長線というか末端ではなく、まだ誰もやっていないことで起業したかったからです。

しかし前例がないというのは当然ながら難しいものです。

誰もやっていないってことは、今すぐにはそこに需要はないってことですし、これから需要を作っていかなければならず、事業計画書を書くにしてもビジネスのイメージはあるものの、具体性に乏しく、したがってわかりやすい事業計画や、収支計画なんて書けるわけもありません。つまり真剣味、本気度が不足していたということなのでしょう。

その頃は個人事業と言えば、やはり起業して会社を興すというもので、今流行のかっこいい響きのあるフリーランス的な働き方とはまたちょと違っていました。

当時はフリーランスという働き方はまだ一般的でなく、何をするにも法人を設立し、いわゆる会社としてでないと、取引先にまったく相手にされませんでしたが、この10年ぐらいの間にすっかりとその社会構造が変わり、企業がフリーランス個人と仕事の契約をすることはもう珍しくなくなってきました。

その理由のひとつにはネットを利用した簡便な仕事のやりとりが普通となり、取引先の信用とか与信というものをあまり考えなくなってきたこと(需要の拡大)と、会社員の給料が伸びないこともあって、その会社員が積極的に副業をするようになってきた(供給の拡大)と言えるのでしょう。

個人事業者とフリーランスの関係ですが、「個人事業者≧フリーランス」で、フリーランスというのは働き方の形を意味し、一般的には個人事業主だったり、単なる個人だったりします。個人事業者は税務上の形態のひとつで、多くは会社法人組織かどうかは別として、家族や少人数で経営する商店や工場などを指すことが一般的です。

実は個人事業者と言われる個人で事業をおこなっている人の数は年々減少傾向にありました。平成16年(2004年)は所得税の申告者のうち事業所得者は195万人でしたが、平成21年(2009年)は147万人と25%も減少しています。

その理由としては、経営者が高齢化し、さらに少子化で後継者がなく廃業したり、大手企業や全国FCチェーン店と競合して経営が行き詰まったりすることもあったでしょう。地方では駅前の古い商店街が寂れ、新しくできたコンビニやチェーン店居酒屋、郊外のロード店、大規模ショッピングセンターだけが残っているというパターンが多く見られます。

ところが平成23年(2011年)に増加に転じ、平成26年(2014年)は163万人と急増してきています。この間、労働者数自体は減少していますので、全労働者数に占める個人事業者数の割合は大きく増加していることになります。

この増加の最大要因が、最近急成長してきているフリーランスの人達ではないかと推測しています。

フリーランスの場合、個人事業主よりももっと軽い働き方をしているのが特徴で、法人は作らず、人も雇わず、その時々の収入に応じて割りと質素な生活をしているというのが多いパターンでしょう。もちろんフリーランスだから法人化はしない、人を雇わないというわけではありません。

またフリーランスの中には本業は別にあり、週末や夜間だけネットを利用してビジネスをしているという人もいるでしょう。

フリーランスの仕事を継続して獲得するのは容易ではなく、安ければいいというものではなく、品質が高くなければ二度とオーダーは来なくなりますし、顧客が要求する以上の成果を出してやっと認めてもらえるという厳しいものだと思います。

そしてやっと仕事ぶりが認められたからと言ってすぐに次の仕事が継続してもらえるわけではなく、その発注頻度には季節性や景気の善し悪しなどがあるのが普通です。

そうしたフリーランスをサポートする様々なビジネスがたいへん人気です。

・フリーランスの仕事を取ってきて、中間マージンや手数料をとるネットサービス
・従来の転職サービスのように、仕事の案件掲載をしてフリーランスとマッチングをするサービス
・フリーランスの経理や税務をクラウド上で簡単に行えるサービス
・フリーランス同士がつながれる会員サービス
・オンラインストレージなどWebサービス
・フリーランス向けの所得保険や福利厚生サービス
・オンラインで完結する法務、弁護士サービス

などなど。

しかし実際に、このフリーランスの仕事って長く続けられるものかって思ってしまいます。

若くて、家族もいないか、実家で親の世話になっている身分なら収入が不安定でも住む場所や日々の食費で困るってこともないのでしょうけど、毎月家賃や光熱費を自分で支払い、さらに家族や子供ができたりすると、来月は仕事にありつけるか?という不安定な仕事をやっているわけにもいかず、、、

そういう時のための、保険や案件紹介サービスなのでしょうけど、それにしても景気が上向いているときは仕事が選べるほどあっても、いざリーマンショックのような不況になると、いきなりそれまで順調に付き合ってきた企業からバッサリと斬り捨てられて、ほとんど利益のでないブラックな仕事しかありつけないという事態が予想されます。

ま、それでも、嫌な上司にサービス残業を押しつけられたり、非常識なノルマを背負わされて、身も心もズタズタになりながら、人のために働くよりはずっといいとも言えますし、人の価値観ですからなんとも言えません。

せっかく一流企業電通に入社しながら、責任感があるために多くの残業をこなし、そして疲れて自殺してしまうほど真面目な人は、同じ働くにしてもその残業時間で好きなことをフリーランスとして働いていれば、決して自死を選ぶなんてコトにはならなかったでしょうし、自分のキャリア向上にもつながったでしょう。

そう考えれば、まだ結婚していない若いうちに数年間は海外留学にでも行ったつもりになって、フリーランスとして働き、また就職するという働き方もいいのではと思ったりします。

新卒が基本の大手企業以外ということになりますが、再就職活動も時代が変わって、過去にフリーランスをやっていたからといって、それが不利になるようなこともないと思います。

あとは定年で退職した高年者が、その後の生き甲斐のために、簡易なビジネスをおこなうというケースも多く見られるようになりました。なんしろ暇と退職金をもらって小金はありますから、企業が相手にしないような細かで面倒な仕事は狙い目です。

私もあと1年と少しで定年です。そのあとどうしようかなぁと遅ればせながら考える日々です。

【関連リンク】
826 脱サラ起業ができる人、できない人
821 会社を辞めてから気がつくこと
762 客員教授と非常勤講師ってなんだ?
725 農業の大規模化と零細な起業
627 起業するのは難しくないが、引き際が難しい



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1009
少子化&高齢化のよる生産人口の減少が叫ばれつつもう20年近くが経とうとしていますが、その解決策としては「劣悪環境でもいいので育児施設を増やす(専業主婦を減らす)」「高齢者にむち打って働かせる」「安い外国人労働者を限定的に入れる」というぐらいにしか国は考えていません。

私も裕福で暇を持て余す高齢者にボランティアで働いてもらうことぐらいしか妙案は持っていないので、偉そうなことは言えませんが、1月に産経新聞に「なかなかユニークかつ面白い発想!」と感心して読んだ記事がありました。

サラリーマンの副業・兼業を認めよ 人手不足解消の秘策 女性、高齢者、外国人に次ぐ第4の働き手に(産経新聞)

もっとも最近になって一部の企業では「副業を認める」あるいは「副業を奨励する」企業もポチポチと出てきましたが、その多くは単なる話題作りといったところでしょうか、大手企業で堂々と認めているところは聞いたことがありません。

最近、少しずつ大手企業も変化してきていますが、それがニュースになるぐらいまだたいへん珍しいことなのです。

国内正社員1500人、副職OKに ロート製薬

ロート製薬正社員1500人「兼業OK」に―他の企業が導入するときのポイントは?(弁護士ドットコム)


もしそうした副業を認める企業があったとしても、一般的にそれを深読みすれば「他に収入があるのなら、いつでもクビが切れる」「年齢が高い人は副業を本業にして早く辞めてほしい」という思惑があると思って間違いありません。営利を追求する企業なんてその程度です。

公務員の場合は法律で兼業禁止にしていますが、これだって贈賄収賄の可能性を排除するため、本務とは関係のない兼業は「一定の条件」の下で認めるぐらいの大らかさがあってもいいのではないかと思っています。

「一定の条件」とは、企業の従業員でも公務員でも事前に会社または役所に申請を出して、その兼業が本来職務に影響しない、あるいは競合相手に利する行為や贈収賄につながる可能性を完全に排除できる場合に限るとすればいいわけです。

そうすれば届け出のない副業は一切禁止(=犯罪行為)しても構いません。

マイナンバーの導入により、一定利益以上の副業が会社にばれてしまうことで、いま雇い先に黙って副業をしている人は困惑していると思いますが、ちゃんとした届け出制、許可制にすればオープンに副業をすることができます。

だってずるいと思いませんか?

従業員は就業規則に縛られてすべての副業が禁止ですけど、経営者(役員)は競業禁止義務は当然あるとして、それ以外の副業は原則自由にできます。

副業は禁止だぞ!って言っている会社上層部の役員達が自由に副業をやっているわけです。そりゃ収入格差はどんどん広がって当たり前です。

この副業禁止規定を法律上も原則禁止とすれば、不足する労働力の補完につながるというのは確かなことで、無理のない範囲で得意なことをパートや自宅勤務で働くという流れが作られれば、働く人、雇う会社それぞれにとってメリットがあります。

慢性的に人材が不足している介護や保育の現場や、土日曜日や夜間に集中する旅行・観光業、宅配サービス業、販売業などそうしたところに、土曜日だけ働きたいと言う人や、趣味を兼ねて夜間や休日に仕事をしたいという人が雇えます。

そして残業や休日出勤を減らしたいそうした業種の社員の穴を埋めることができるのです。

反対するのは従業員が副業にかまけて休んだり、疲労で労働効率が落ちたりするかも知れないと疑い深い企業経営者たちということになります。経団連や商工会に属する古い頭の企業経営者たちですね。

自分たちは企業経営者でありながら、その多くは投資活動や不動産、他社の役員、講演会、本の出版など、いくつもの副業をして、もっと言えば経営者には就業時間ルールなどないので、平日の昼間っからでも副業にいそしんで本業以外に収入を得ていたりしながら、従業員にはそれを許さないなんて、「ルールは常に勝者に有利になるように決まっている」の見本のような悪習です。

以前からこの問題は法律論を含め多くの議論がなされていますが、いまだ決着はついていません。

会社は禁止でも実は合法! リストラの口実にされる?(PRESIDENT Online)

特に最近はネットを活用した副業が盛んに行われていて、気軽に収入を得ることができる時代です。

それでもまるで女工哀史盛んな大正時代に作られたようなこの「兼業禁止規程」が現代社会にも堂々と生きているのはおかしなものです。

利益を最大限得ようとする企業に自主的に「副業禁止」を任意で求めてもそれは無理なことなので、ここは法制化して「副業禁止規程の禁止」「副業している人への差別禁止」を国が保証するべきでしょう。


【関連リンク】
869 働かないおじさんと年功序列
865 仕事と介護の両立という難題
844 内職・副業詐欺など
834 高齢者向けビジネス(第4部 ボランティア編)
824 高齢者向けビジネス(第3部 仕事編)


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景気回復感による人手不足、求人しても集まらないというニュースが目立ちますが、その本質はといえば、新しく労働力に加わってくる若い人のおよそ倍近い数の団塊世代が65才を迎え、次々と仕事からリタイアしていっている状況ですので、国内の総労働者人口が大きく減っていることに他なりません。

それを証拠に、ひどい求人難に陥っているのは、建設労働者や飲食サービス業、介護の現場などで、給料が低い上に仕事は厳しく、若者に人気がない職業であると同時に、引退した高齢者や家庭にいる女性が代われる(やりたいと思う)仕事ではないので、特に重点的に人手不足が起きているわけです。

同様に給料が安いと言われていてもタクシードライバーや、トラック運転手、ビルメンテナンス、警備員、マンションや駐車場の管理人、水道や電気、ガスメーターの検針員、簡易な宅配便の配達員と言った仕事は、比較的高齢者でも就きやすい仕事なので、さほど人員不足という話しは聞こえてきません。

一部の飲食店やコンビニなどでは、やむにやまれず年配女性のパートや中高年者のアルバイトを積極的に雇うようになってきていますが、基本はまだ若くて元気で、重い荷物も手際よく運べてハキハキと接客し、テキパキ機敏に動ける若い人を望んでいるのは間違いありません。

東京商工リサーチによると、今年の1~4月で、後継者難や人手不足を理由とした倒産が全国で85件あったそうです。特にその中の実に94%、80件を占めるのが、後継者が見つからず、事業を辞めてしまうケースで、最近目立って多くなっているようです。

帝国データバンクの調査では高齢化が顕著に進む四国4県の中で、「2013年に休業、廃業、解散した事業が1000件を超え、倒産件数の6.4倍になっている」というデータもありました。そうした休廃業した業種は、建設業、サービス業、小売業の3つで約70%を占めています。

後継者がいなくて倒産したり、廃業に追い込まれるそれらの多くは、個人事業的な零細ビジネスと思われますが、昔ながらの商売や工場を、事業主の子供達が後を継ぐのを嫌がったり、あるいは跡継ぎの子供がいなくてというケースが多いように思われます。

昔のように子供が4人も5人もいれば、長男が継がなくとも次男や三男が跡を継いだでしょうが、現在のように子供はひとりかふたりという状況ではそれも難しそうです。

国や自治体は起業や創職を支援し、起業家を育成するのが社会の活性化と発展につながるとして、積極的に展開をしています。その一方では次々と後継者不足という理由で廃業や倒産があるというのは、マッチポンプでなんとももったいない限りです。

倒産や廃業に追い込まれるビジネスの多くは、すでに需要がなくなったビジネスが多そうですが、そこを基にして新しいビジネスや商品開発、販売手法など建て直せるという事業も少なくないでしょう。

若い現役世代の中には、事業プランも意欲もありながら、それをおこなう資金も体制もなく、断念せざるを得ない人が数多くいると思います。

親の商売は長男が継いでいるので、次男や三男は同様の商売を始めたくても、親からは支援を受けられず、仕方なく勤め人をしているという人や、アイデアを実現するために会社を辞めて独立したいけど、家族もいるのでいきなり無収入になるリスクは負えないという人もいるでしょう。

また一方では、事業を引き継いでくれるのなら、その会社の資産はほとんど無償で提供してもいいと思っている人もいるでしょう。取引先や常連客、出資者などに迷惑をかけないよう、廃業、解散または倒産させるのは意外と時間とお金がかかるものです。

そうした新たに事業を始めたいと思っている人と、事業を引き継いで欲しいと言う人を結びつけることをもっと積極的に国や自治体がおこなってもいいのではないでしょうか。

とか、書いていたら、次のようなニュースが飛び込んできました。

ベンチャー支援:政府 大企業と連携促進(毎日新聞)
ベンチャー企業と大企業が連携して新規事業を創造する「ベンチャー創造協議会」(仮称)や、後継者不足の企業と創業希望者を橋渡しする「後継者人材バンク」(仮称)の設置が柱。
(中略)
後継者人材バンクは後継者不足に悩む企業と、起業家をマッチングすることを想定。「団塊世代」の経営者の引退が加速する中、中小・中堅企業の後継者不足が従来以上に深刻化しており、人材バンクに登録した起業家に事業継承や、新事業への転換を進めてもらうのが狙いだ。

ちゃんと一応は考えていたんですね。うまく機能するのかどうかはこれからの進め方次第って感じです。

ビジネス経験もない学者先生や親方日の丸の役人、天下り官僚、融通も利かずベンチャー精神の欠片もない大企業のサラリーマンの送り込み先とならないことを祈るばかりです。各地にあるいくつかのNPO法人などからアイデアを募集し、委託して競わせるような形がいいかもしれません。

すでにある事業を引き継ぐ人は、最初は自分が望む通りのものではないかも知れませんが、従来からある設備と販売ルートなどがある程度は確保された中での出発となり、起業リスクが多少なり抑えられます。

もちろん事業を伸ばすには、旧来のやり方だけに頼っていてはダメで、大胆に常に新しい顧客開拓、新製品の開発、柔軟な発想など起業家としての質が問われることになります。そしてそれらが軌道に乗ったところで、自分が本当にやりたかったことに手を出せばいいのです。

後継者がなく事業を譲りたい人は、アカの他人に売るなら少しでも高く売りつけたいと思うのは心情的に理解できますが、それではまずうまくいかないことを理解してもらい、例えばその事業で今後利益が出たときに何パーセントかをロイヤリティとして支払ってもらうとか、無償で譲る資産と引き替えに新しい会社の株式の何割かを無償で発行してもらい、成功すればいずれ買い取ってもらうとか、事業が成功したときに恩恵が得られるような形まで譲歩してもらう必要があります。

そうすることで、売った側も、売りっぱなしではなく、その後も事業を継続して成功をしてもらいたいので、できる限りの協力を惜しまず、事業がうまく継続して軌道に乗れば双方ともに恩恵があるという仕組みが作れます。

人間の欲は果てしないので、なかなかそのように考えてくれる欲の突っ張った事業家は少なそうですが。

昔からある個人タクシー免許の譲渡や、酒類販売業免許の譲渡、その他にも権利譲渡いう形で他人へ売って引退するという一種の既得権制度や慣例、風習がありますが、一部の人口が集中している地域を除き、果たして今後もその意味があるのかどうかは疑問です。

まとまったお金のない若い人には、そうした免許は親から譲られない限り、権利を得るのは敷居が高く、もっと若い人が参入して産業を活性化させるためには、そういった古い既得権をなくすか、あるいは別の形に変えていくことも必要ではないでしょうか。

調べると個人タクシーにしても、酒類販売にしても、貨物運送業にしても、たばこ販売業の許可にしても、最近は不況の影響と規制緩和などもあり、昔のように高額な既得権益で売買されるということは、少なくなってきているようですね。地域にもよるのでしょうけど。

いずれにしても、すでに十分な資産や投資が得られる恵まれた人以外は、まったく無から事業を立ち上げるより、そのベースとなる事業なり設備、販売ルート、顧客があるほうがリスクは低くなります。

そうした仕組みをもっと有効に利用するため、引退する人と若い人の仲介をするというのはビジネスとしてできるかどうかはわかりませんが、自治体や公的機関がもっと積極的に取り組んでもよさそうに思います。


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