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大人の流儀 伊集院 静

2009~2011年に週刊現代に連載されたエッセイ集で、それらから抜粋して2011年に発刊されました。そのせいか、その時代時代のニュースを元にしたネタも多く、残念ながら今読むと「そんな古い話題を取り上げても・・・」って感じを受けます。

小説だと10年前でも30年前でも100年前のものでも楽しく読めますが、時事ニュースの多いエッセーにはどうも向きません。

例えば自民党で参議院のドンとまで言われていた青木幹雄氏が2010年に政界をスパッと引退したと思うと、その後任に自分の息子をしっかりと据えていたことに対し「そんな世襲政治をやっていたのでは自民党の復活は遠い」なんてことが書かれていますが、その後民主党の失敗などもあり、すぐに自民党は復権したことはご存じの通り。

著者は団塊世代の1950年生まれですので、2009年当時ほぼ60歳という年齢からして、大人が若い人に対して「大人の考え方」のアドバイスを送るというような内容・文章となっていますが、今の若い人にとってはやはり「そんな古臭い考え方を持ち込まれても・・・」となってしまいそうな気がします。

結局は同じ団塊世代や、私のように団塊世代と一緒に苦楽を共にしてきた(彼らの使いっ走りとも言う)人間が読むと、妙に納得できたり、そうだそうだと、若い人にはなかなか理解されない苦労を大人の言い分として自己弁護に役立てるものかもしれません。

もっともそうした週刊誌を読むのは若い人ではなく、団塊世代を中心とするオッサンばかりという現実もあり、それが正しい書き方でもあり、読み方だと思います。

厳しい感想を書きましたが、著者の書く小説は概ね好きで、すでに15冊を読んでいます。このエッセイが「大人の流儀」ではなく、天下の大女優で美女達夏目雅子や篠ひろ子をメロメロにして妻にまでした「男の器量」を自己分析した「自分の流儀」的なものであればもっと腑に落ちたのではないのかなとちょっと残念です。

最後の章で、夏目雅子との出会いと別れや現在の妻の篠ひろ子との関係について少し書かれていますが、ギャンブル好きで借金まみれの不良中年がどうしてこうもてるのかは謎のままです。

あとこの本の最初に書かれていた言葉は覚えておきたいと思いました。ネットの世界だけにこもっていたり、あまり積極的に外へ出たがらない若者に対してのメッセージと思えますが、逆に年老いてなにもする気が起きない人に対しても激励するいい言葉です。

"旅をしなさい。どこへむかってもいいから旅に出なさい。
世界は君や、あなたが思っているほど退屈な所ではない。

著者別読書感想(伊集院静)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

そのときは彼によろしく (小学館文庫) 市川拓司

2003年に発刊されその後映画化もされた「いま、会いにゆきます」で大ブレークした作家さんです。この本は2004年に発刊、2007年に文庫化され、同年に平川雄一朗監督、長澤まさみ、山田孝之主演で映画化もされています。いわゆる甘く切ない恋愛映画になっているのでしょうね、見てないけど。

内容はアクアプラント(水草など)ショップを細々と販売するショップのオーナーのところへ、女性がアルバイト募集のチラシをもって雇ってくれとやってきます。

しかも住むところがないのでこの店に住まわせてくれと。

その女性がオーナーは知らなかったものの、有名なモデルであり女優で、周囲は驚きます。いかにもできすぎたストーリーですね。

一方で、オーナーが少年時代の短い一時期をともに過ごした仲のよかった同級生の話しを、結婚相談所で知り合った女友達にしています。やがてその子供の時に仲良くしていた同級生が、そのアルバイトに応募してきた女性だということに気がつきます。

しかしどうもその女性はなにか問題を抱えているようで、、、って、いかにも若い女性にはウケそうなストーリーで、きっと映画も涙を誘ったことでしょう。

なにか映像化を前提としたような物語で、その点がちょっとやらしい気もしないではないですが、ハーレクイーンシリーズが何十年も繰り返し生み出されているように、こうした事情を抱えつつもイケてる男と女が長きにわたって想い続けてようやく出会うっていうのは、ま、鉄板なストーリーなのでしょう。

日々の生活に疲れた人が、頭を空っぽにして甘い空想に浸れるという意味では害のない、いい小説ではないでしょうか。意外と言っちゃ失礼ですが、平凡な主人公に味がありなかなかおもしろかったですよ。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

長生きすりゃいいってもんじゃない 日野原 重明、 多湖 輝

2010年に発刊された本で、ご高齢ながら現役医者の日野原重明氏と「頭の体操」シリーズのベストセラーで超有名人となった元大学教授の多湖輝氏、二人合わせて192歳(2015年5月現在)の長生き賢人コンビのコラム集です。

日野原氏は若い頃は病弱で、兵隊に志願しても丙で不合格となってしまうなど、そういう人が100歳を超えてなお元気にエスカレーターを使わずに階段を駆け上がるほど元気っていうのはまったくもって人間の体の不思議です。

もっとも太平洋戦争では若く血気盛んの健康体であればあるほど、人の寿命は短くなったのでしょうね。

今後は若者が口の上手い老獪なる政治家や、権力になびきやすいマスメディアの巧みな誘導に騙されてそういう目に遭わないように願いたいものです。

さて多湖輝氏は押しも押されぬご高齢の重鎮でありながらも、この日野原氏にかかると子供扱いって感じがして(別にそのような扱いをしている訳ではなく)、いかに日野原氏の生き様というか、100年を超える人生が大きすぎて、共著でありながら敬意を払っても払いきれないって感じです。

多湖輝氏の「頭の体操」第1巻が出たのが1966年、私は9歳の頃ですが、家族が買ってきたこの本をその後何度も何度も繰り返して読み、続編も数冊買ってもらいました。

今でもクイズ形式の質問と挿絵、ページをめくって回答と挿絵というパターンをよく覚えています。もしかすると私が本を好きになったきっかけの本かも知れません。

本書は二人のインテリ高齢者から、これから老人になる人に向けての人生の考え方を、自分達の経験を通して短いコラムでそれぞれに語っていくというパターンです。

なにか参考になることあったか?って聞かれると、「スーパーな爺さん、二人ともいつまでもお元気で!」って言うしかありません。お二人から見習いたいことは山ほどありますが、人間の出来が全然違うっぽいので、そりゃー参考にはならないよーと、タメ息一つです。

日野原氏が書いていたことでひとつだけ備忘録のため。
幸せとはなにか?身のほどを知ることが『希望』を手にし、幸せになる第一歩と言える。『願望』の中に生きるのではなく、『希望』の中に生きる。幸せはそこにある

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

カラフル (文春文庫) 森絵都

1998年に発刊された小説で、2000年には映画も制作されています。著者の本は今回初めて読みますが、デビューは1990年、当初は児童文学が多く、その後活躍の場を拡げ「風に舞いあがるビニールシート」で2006年上半期の直木賞を受賞されています。

ストーリーはファンタジー的な内容で私があまり好きではない(好んでは読まない)パターンです。

主人公が死後に変な天使に出会って、くじ引きにあったからもう一度あんたの魂を地上に返してあげるっていうような奇想天外荒唐無稽波瀾万丈神出鬼没有名無実な物語です。

ま、それでも人気の作品と言うことで読み進めると、意外にこの主人公(死後他人の身体を借りて復活する中3の少年)の考え方が、ふざけた漫画のような小説にかかわらず、奇をてらわず、すごくまともな感覚の持ち主で、そんな物わかりのいい中学生なんかいるのか!ってひとりつっ込みながらも、それはそれなりに共感を覚えたり。

読み進めるうちに「最後はたぶんこうなるんだろうなぁ」「いやいやそれじゃあまりにも小説として芸がなさすぎ~」って思っていたら、当初の想像通り普通に終わってしまい、ちょっと複雑な思いです。

文庫で250ページ程度の軽い中編小説なので、あまり複雑な内容にできなかったということで仕方がないかな。

著者別読書感想(森絵都)

【関連リンク】
 4月後半の読書 介護入門、ナイン・ドラゴンズ(上)(下)、エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う、横道世之介
 4月前半の読書 運命の人(1)(2)(3)(4) 山崎豊子、ゲーテ格言集 ゲーテ
 3月後半の読書 彼女がその名を知らない鳥たち、「人間嫌い」のルール、インターセックス、民宿雪国


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現在自宅には私が大学時代の頃から買ってきて読んだ約3000冊の蔵書がありますが、そのうちの7~8割は小説です。

高校生までに読んだ本のほとんどは実家にあり、その後家を建て直すときに処分されているので残っていません。

また読んだ本の中には図書館や知人に借りたものもありますが、それらはもちろん蔵書に含まれません。

文庫や新書、単行本など大きさは様々ですが、平均して1冊が400グラムとすれば、3000冊で小型車1台分に近い約1.2トンになります。

現在は自宅の2階の1部屋にその8割方を置いていますので、書棚やその他家具等の重量と合わせ、大きな地震が来れば床が抜けないかちょっと心配です。

3000冊を18歳から今の58歳の40年で割ると、1ヶ月平均して6.25冊読んできた勘定となります。最近でこそ(割と暇があるので)月9冊ぐらい読んでいますが、20代30代の頃は仕事中心の生活であまり数は読めなかったことが影響しています。

多い少ないというのではなく、その3000冊(小説以外の書籍も多く含まれていますが)の中から自分で感じたお薦め小説を選ぶと言うことに意義を感じた次第です。

小説なんかを読むメリットがわからないという、ビジネス書や専門書ばかりを読む人が、特に若い人の中では増えているようですが、確かに小説は優れたビジネス書や専門書のように「今日からすぐに役立つもの」ではありません。

しかし長い人生の中において、様々な文化的な知識や背景、他人の考え方、行動、価値観を知り、人としての器を拡げたりと、ビジネス書にはない豊かな感性を磨き、人の感情の機微を知り、生きる上での知性をもたらしてくれるのではないかと思っています。

当たり外れがあるのは小説でもビジネス書でも同様で、Amazonの書評を見てもわかる通り、他人の評判などまったくあてにならないものですが、背中を押されでもしないと読まないって人もいるでしょうから、あえて私の個人的なお薦め小説を書いておきます。

まずは和書で著者名50音順です。最初、20冊ぐらいに絞ろうと思っていましたが、「これを入れてこれを入れないわけには・・・」とはじめると、結局86冊(作品)になりました。

予防線を張るわけではないのですが、消して文学的な評価が高いとか、有名であるからというのが選択基準ではなく、単に私が読んで面白かった、感動した、役に立った、後々記憶に残っているといった個人的なものなのであしからず。

・蒼穹の昴 浅田次郎
・壬生義士伝 浅田次郎
・心の旅路 阿刀田高
・追いつめる 生島治郎
・陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎
・海峡 伊集院静
・燃える秋 五木寛之
・メルセデスの伝説 五木寛之
・屍者の帝国 伊藤計劃・円城塔
・東京セブンローズ 井上ひさし
・靖国への帰還 内田康夫
・深い河 遠藤周作
・侍 遠藤周作
・沈黙 遠藤周作
・野火 大岡昇平
・感傷の街角 大沢在昌
・明日の記憶 荻原浩
・イン・ザ・プール 奥田英朗
・オリンピックの身代金 奥田英朗
・夜のピクニック 恩田陸
・まひるの月を追いかけて 恩田陸
・ワイルド・ソウル 垣根涼介
・トラブル・バスター 景山民夫
・山の音 川端康成
・みずうみ 川端康成
・それからの武蔵 小山勝清
・ベルリン飛行指令 佐々木譲
・昭南島に蘭ありや 佐々木譲
・警官の血 佐々木譲
・太平洋の薔薇 笹本稜平
・その日のまえに 重松清
・虚貌 雫井脩介
・項羽と劉邦 司馬遼太郎
・破戒 島崎藤村
・写楽 閉じた国の幻 島田荘司
・器に非ず 清水一行
・外食王の飢え 城山三郎
・黄金の島 真保裕一
・天上の青 曾野綾子
・成吉思汗の秘密 高木彬光
・懲戒解雇 高杉良
・燃える氷 高任和夫
・13階段 高野和明
・レディ・ジョーカー 高村薫
・永遠の仔 天童荒太
・長良川 豊田穣
・墨東綺譚 永井荷風
・神様のカルテ 夏川草介
・天の夕顔 中河与一
・こころ 夏目漱石
・三四郎 夏目漱石
・慟哭 貫井徳郎
・破線のマリス 野沢尚
・聖灰の暗号 帚木蓬生
・千日紅の恋人 帚木蓬生
・私が殺した少女 原りょう
・雨やどり 半村良
・晴れた空 半村良
・手紙 東野圭吾
・ガルーダ(神鷲)商人 深田祐介
・川の深さは 福井晴敏
・蝉しぐれ 藤沢周平
・テロリストのパラソル 藤原伊織
・空の城 松本清張
・氷点 三浦綾子
・午後の曳航 三島由紀夫
・豊饒の海(一)春の雪 三島由紀夫
・金閣炎上 水上勉
・にぎやかな天地 宮本輝
・ノルウェイの森 村上春樹
・二人静 盛田隆二
・トーキョー・プリズン 柳広司
・血族 山口瞳
・大地の子 山崎豊子
・丘の上の向日葵 山田太一
・あかね空 山本一力
・利休にたずねよ 山本兼一
・アイの物語 山本弘
・海に沈む太陽 梁石日
・軍旗はためく下に 結城昌治
・上弦の月を喰べる獅子 夢枕獏
・夏の庭 湯本香樹実
・出口のない海 横山秀夫
・三国志 吉川英治
・遠い日の戦争 吉村昭
・夜に忍びこむもの 渡辺淳一

一般書店には置いてない古い本や、絶版本も多く含まれています。中には著作権が切れて青空文庫で無料で(電子書籍として)読めるものもあります。

できるだけ現在の流行作家ではなく、長く読み継がれてきた、あるいは今後も読まれるであろう小説を選んでいます。もちろん個人的好みは色濃く反映しています。

こうして一覧にしてみると、記憶がだいぶんと怪しくなっているものもあり、また読んでみようかなと思ったり。いやいや、それはリタイアして毎日が日曜日になったときのために取っておこうかと思案しています。


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介護入門 (文春文庫) モブ・ノリオ

1970年生まれの著者のメジャーデビュー小説で、2004年に単行本、2007年に文庫化された短編作品です。そしてこの作品は2004年上半期の芥川賞を受賞しています。なお文庫版には「市町村合併協議会」「既知との遭遇」の短編が併録されています。

内容は、タイトルだけみると実用書?って思いがちですが、そうではなく、祖母の介護をしてきた自らの経験をベースとしたもので、文体がヒップホップ調というか、文学をラップで表現したというか読みにくいと言えば読みにくいけど、なんだか新鮮でこれもまたいいと言えばいい、よくわからないけど、こういうのもアリでしょ?っていう感じの軽い調子だYO、朋輩(ニガー)!

祖母が転んで怪我をしたことがきっかけになり寝たきりになってしまい、本当なら介護すべき母親が社長としての仕事を持っていることから、仕事を辞めて働かずに放浪していた主人公が祖母の介護をすることになります、YO,FUCKIN!

この主人公、やはり祖母の介護をしてきた著者を投影していると思われますが、小説では時に大麻を吸ったりしつつも、一応ちゃんと介護の研修を受けてそれなりに割り切った世話をしています。

介護でなにがたいへんかと言うと、おむつ交換や局部の清拭などもありますが、やはり時間が不規則で、夜中にでもおむつ交換をしたり水を飲ませたりというお世話が待っています。そして仕事でやっているのならばその仕事辞めれば即座に終わるわけですが、自宅介護というのは終わりが見えない精神的にも相当つらいものです。

そうしたつらい介護を自分なりに受け入れ、自分のリズムで精一杯やるっていう著者の優しさというか、人間の温かみが伝わってきました。それにしても、この小説はいろいろと評判が悪いですね、慎太郎じゃないけれど。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ナイン・ドラゴンズ(講談社文庫)(上)(下) マイクル・コナリー

ハリーボッシュシリーズの14作目(ちょい役登場含めると18作目)で米国では2009年、国内(文庫)は昨年2014年に発刊されています。

ロス市警本部殺人事件特捜班に勤務している主人公ボッシュが今回はLAで起きた中国人店主殺害事件に絡み、チャイナマフィアと対決することとなり、LAから香港へと珍しく海外へ飛び立ちます。タイトルを見れば中国(あるいは香港)ってすぐに気がつきますね。

それもそのはずで、元FBIで別れた前の奥さんエレイナが娘と一緒に、プロのギャンブラーとしてマカオへ出稼ぎに行っていて、そのマカオからすぐ近くの香港に住んでいます。

LAでチャイナマフィアと関わり始めたとたん、香港で暮らす娘が何者かに誘拐され、「捜査から手を引け」と圧力を受けます。

香港の描写はアメリカ人向けの観光ガイドっぽくはありますが、それはおそらく事前に取材旅行を楽しんだであろう著者の、限られた香港観光情報を散りばめたからでしょう。

もっとも香港の裏社会はそんなミーハーな観光客がいっぱい出入りするような場所で大切な人質を監禁したり、連れ回ったりはしないでしょうし、80年前ならいざ知らず、もはや開発しつくされてすっかり近代化されたワンチャイが銃器を手に入れる犯罪者の巣窟みたいに書かれてもって思わなくもないです。

ま、しかし臓器移植や性奴隷のための人身売買が、アジアでは日常的におこなわれているかのような描き方には、同じアジア人としてはちょっと引いてしまいそうですが、現実的にはそれが欧米人の標準的な理解なのでしょう。

著者別読書感想(マイクル・コナリー)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書)  石井彰

3.11以降にあまた出てきた原子力発電に代わるエネルギー論の中の1冊で、その中でも割とまともという評判で買ってきました。

しかし著者のプロフィールを見ると独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)に所属されていて、あーこれは石油や天然ガスの利益代表者としての意見だなぁってことを割り引いて読まねばなりません。

結局は筆者が仕事で関わっている天然ガスを利用したハイブリッド型発電(コジェネレーション発電)がもっとも効率がよく、日本においてはこれを推進していくべきと言う結論となっています。

ただそれを言うならば、やっぱりその肩書きが邪魔していますね。そういう組織に所属していると天然ガスに都合が悪い話しは書けませんもの。

人類にとってエネルギーとはなにか、どうやってそれを活用してきたのか、これからはどうしていけばいいのかを、一応専門的立場から、ややわかりにくい言葉を使って上から目線で教えてやろうという内容は、いいことが書いてあったとしても、読む人にとっては意見が分かれそうなところです。

電力会社が原発を推進したいがために、ロシアからの安価な天然ガスパイプラインを渋っているとか、国際標準よりずっと高い天然ガスを輸入しているとか、現在の政治と電力会社への批判は評価していいかも知れません。

あと再生可能エネルギーに関しては、発電効率と安定性に難がある風力や太陽発電ばかりを取り上げていますが、そうしたもの以外に本書ではまったく書かれていませんが日本に優位性がある地熱発電、そして廃材や廃棄する食料などを利用するバイオ発電など様々なものを組み合わせて可能性を高めていくのがいいのでは?と思いました。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

横道世之介 (文春文庫) 吉田修一

2008年~2009年に毎日新聞に連載されていた小説で、2009年に単行本、2012年に文庫化されています。

また2013年にはこれを原作にした映画「横道世之介 」が沖田修一監督、高良健吾、吉高由里子などの出演で公開されました(見てないけど)。

小説の内容ですが、著者自身が生まれ育った長崎から法政大学に入学して東京で生活を始めたことをダブらせ、出会いと別れ、友情などの青春群像ってところです。

著者は1968年生まれですから、市ヶ谷にある法政大学に入学したのが1986年頃で、ちょうど狂乱のバブルが始まってきたところです。そりゃーその頃の4年間の大学生活はむちゃくちゃ楽しかったでしょうね。

そのバブルの頃の様子を知りたければ、馬場康夫監督の映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 」を見るに限りますが、とにかく老いも若きも日本中が悪魔に魅せられ高熱にうなされ、毎日がお祭り騒ぎの日々でした。

さてこの小説、ところどころに突然に現在というか、およそ20年後の登場人物の話しが出てきます。

つまりストーリーとして展開しているのは80年代後半のバブル時代なのですが、主人公以外の登場人物の20年後が描かれ、「そう言えば横道世之介ってヤツがいたな」とふと思い出したりするわけです。

その主人公横道世之介の20年後はといえば、、、それは小説をお読みになってください。ハッピーエンドではないものの心温まる物語です。

著者別読書感想(吉田修一)


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 4月前半の読書 運命の人(1)(2)(3)(4) 山崎豊子、ゲーテ格言集 ゲーテ
 3月後半の読書 彼女がその名を知らない鳥たち、「人間嫌い」のルール、インターセックス、民宿雪国
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運命の人 (文春文庫)(1)(2)(3)(4) 山崎豊子

2005年から2009年にかけて文藝春秋に連載され、2009年に単行本、2010年から2011年にかけて文庫版が発刊されました。著者がこの作品の後に執筆していた「約束の海 」が途中で絶筆となりましたので、この作品が長編小説の完成品としては最後の作品となります。

著者は過去には「華麗なる一族」で神戸銀行(現:三井住友銀行)など銀行合併、「不毛地帯」では総合商社と政治家の癒着構造、「沈まぬ太陽」では日本航空の旧体質や航空機事故など、現実に起きたことを小説として書くスタイルが得意とされていましたが、この「運命の人」も一般的には「西山事件」と呼ばれる沖縄返還交渉密約や外務省機密漏洩で騒がれた実在する毎日新聞社記者を主人公としたものです。

この主人公になった西山太吉氏は現在84歳でご存命です。こうした小説の場合、メインの登場人物が亡くなってから出版されることが多いのですが、西山氏やその周辺の方々にキッチリと取材をした上で書かれているようで、特に問題とはなっていないようです。

1971年の沖縄返還にあたって、元の地主に支払われる現状復帰の補償費について、日本とアメリカ政府間が取り交わしたとされる密約を不正な手で入手し、スクープ記事を書いたり、証拠の電文を野党議員に渡し、国会で佐藤栄作首相や与党が追求されることになります。

その外務省から漏えいした秘密文書を漏えいした外務省職員の女性と、そそのかした罪で毎日新聞社記者が「国家公務員法違反」で起訴され、その後長く裁判がおこなわれました。

そうした事件が明るみに出た1971年から1978年に最高裁判決がでるまでの一連の事件については、当時私は中学生~高校生の時代で興味も関心もなく、まったくなにも知りませんでした。

しかし2010年に起きた尖閣諸島付近での中国漁船と海上保安庁巡視船との衝突事件で、海上保安庁職員が無断で動画を公開したことなど、公務員の守秘義務に関してもっと厳しくするべしとの意見が高まり、第二次安倍内閣において2013年に特定秘密保護法が制定されることになり、その法律に反対する側から、こうした権力側が国民の知る権利をつぶした悪しき前例として、あらためて知る機会が出てきました。

おそらく現在65歳以上になった団塊世代なら、事件が起きたのが20代半ば頃以上ということで、その年代より上なら、この事件は当時の大きな記憶として残っているでしょう。

事件の内容は小説を読めばよくわかるので省略しますが、政府や国が必死に隠そうとした密約を、手段を選ばずに新聞記者の意地とプライドをかけてすっぱ抜こうとする双方の戦いのはずが、いつの間にか記者が外務省の女性職員をたぶらかして国家機密を手に入れたと三流の下ネタ情実事件にすり替えてしまい、その後は国家権力の強大さに押しつぶされていくという姿が描かれていきます。

また後半以降は事件そのものよりも、返還されたというものの、実態はアメリカ軍に蹂躙され続ける沖縄の現状が書かれています。いかに遠く本土に住む日本人が、沖縄を犠牲にしてきたかということがよくわかる内容です。

最近の新聞記者は手段を選ばずにスクープを追いかけるよりも、政府や国が発表することをそのまま書くいわゆる御用メディアに近いとも言われていますが、確かに政治家や高官と対等に話しができて、オフレコで得た小ネタから大スクープに結びつけていくような気概のある記者はもう現れないのかも知れません。

当然新聞社にも法令を遵守すべきコンプライアンス遵守事項があり、また有力政治家や官僚を敵に回したので、黙っていても入ってくるネタももらえず、それなら無理をしてネタをかき集めるよりも、政治家や官僚のご機嫌を取るために言われたままの大本営発表を書く方が楽だし、それなら無用なトラブルも起きないっていう方向でしょう。

ただしそれが、どの新聞も見ても同じ内容で、まるで政府広報誌みたいになり、やがては衰退していく理由のひとつでしょう。

直接この小説や事件とは関係はありませんが、官僚とマスメディアとの関係を例えた話しが「なぜ元経産官僚の古賀さんは「報ステ」降板に腹をたてたのか」に書かれています。

官僚にとっては新聞記者などマスコミは飼育している家畜なんだと。また思い上がったというか、ゆがんだ権力ですね。

すでに新聞社は新聞の質で売る時代ではなく、不動産事業で稼ぐビジネスモデルとなっていますので、この小説は過去の新聞社が無頼ながらも活気があり輝いていた時代の話しを関係者が懐かしく思い出すものとしての役目しかありません。

著者からすると、この小説は現在の活気がなくその使命を果たしてはいない新聞社などマスメディアに対してのレクイエムだったのか知れません。

あとこれは著者の責任ではありませんが、この分量(1~4巻合計約1100ページ)で4巻に分けるのはどうなのよ~って思います。商売上の理由としか考えられません。

参考までに京極夏彦著「魍魎の匣」は1冊で1060ページ、半村良著「完本妖星伝〈3〉終巻」は1044ページあります。ま、そこまでは無理にしなくてもいいけれど、せめてこの分量なら2冊ぐらいに収めてもらいたいものです。

著者別読書感想(山崎豊子)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ゲーテ格言集 (新潮文庫) ゲーテ

元はドイツの弁護士でありながら、詩人であり、戯曲作家、そして「若きウェルテルの悩み」や「ファウスト」など小説家としても名高いヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)が18世紀後半から19世紀にかけて書き記してきた名言を集めたものです。

名言が各ジャンルごとに整理され、それが出典先とともに書かれているだけで、特にいちいち解説など野暮なことは書かれていません。

それを読む人がどう感じ、読み取るかに任せたもので、押しつけがましいところがなく好意が持てます。

感想を書くというべきものではないので、自分が気になった言葉を備忘録を兼ねていくつかピックアップしておきます。

◆人間の過ちこそ人間を本当に愛すべきものにする。
◆才能は静けさの中で作られ、性格は世の激流の中で作られる。
◆よく見ると、およそ哲学というものは、常識をわかりにくい言葉で表したものに過ぎない
◆感覚は欺かない。判断が欺くのだ。
◆小説は一つの主観的な叙事詩である。その中で著者は世界を自分の流儀で取り扱う許可を求める。
◆卑怯者は安全な時だけ居丈高になる。
◆支配したり服従したりしないで、それでいて何物かであり得る人だけが、本当に幸福であり偉大なのだ。
◆自分自身の内心を支配することのできぬものに限って、とかく隣人の意志を支配したがるものだ。
◆実際の道徳の世界は大部分悪意と嫉妬から成り立っている。
◆不正なことが不正な方法で除かれるより、不正がおこなわれている方がまだいい。
◆人はみな、わかることだけ聞いている。
◆すぐれたものを認めないことこそ、すなわち野蛮だ。
◆どんな場合にも口論なんぞする気になるな。賢い人でも無知な者と争うと無知に陥ってしまう。
◆それによってすべてを知るが、結局肝心なことは何もわからないような本がある。
◆大きな必然は人間を高め、小さな必然は人間を低くする。
◆若い時は興味が散漫なため忘れっぽく、年を取ると興味の欠乏のため忘れっぽい。
◆学術においても実際は人は何も知ることができない。常に実践が必要である。

【関連リンク】
 3月後半の読書 彼女がその名を知らない鳥たち、「人間嫌い」のルール、インターセックス、民宿雪国
 3月前半の読書 夏の庭、マリアビートル、さらば雑司ヶ谷、ドミノ
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彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫) 沼田まほかる

2006年単行本、2009年に文庫化された小説で、2年ほど前に読んだデビュー作でホラーサスペンスの「九月が永遠に続けば」に続くメジャー2作目の作品です。

前作は自意識過剰気味な女性が主人公で、なんだかおど恐ろしい雰囲気がありましたが、今作も精神的にちょっとアレかなって思わせられるよくわからない女性が主人公。つらいんですよね、こういうの読むの。って読まなければいいのだけどつい手に取ってしまったので。

で、主人公は若い独身女性で、付き合っていた青年実業家にボロボロにされ捨てられ、その後自分をすごく気に入ってくれる前彼とは似ても似つかぬいやらしい中年オヤジと一緒に暮らすようになっています。

そのあたりの様子がとても暗くて精神的にどうなのよ~って思うような展開が続き、読んでいて暗澹たる気分になってきます。

そして、彼女に新しい恋人ができますが、これがまた妻も子もある不倫状態で、もう身勝手でどうしようもないところへ自分を追いやっていくのは、性なのかそういうスパイラルにはまってしまう本能的なものなのかよくわかりませんが、とにかく複雑な展開へと進んでいきます。

で、ホラー作家の面目躍如が全開になるのは終盤で。しかし意外にミステリー作品としては普通だったりします。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

「人間嫌い」のルール (PHP新書) 中島義道

この哲学者で今年70才になる元大学教授の言いたい放題は結構好きで、何冊か読んでいます。

この新書は2007年刊ですから東京電気通信大学で教鞭を執っている時期で、ちょうど60才になった頃に書かれたのではないかと推察します。

著者の作品をいくつか読んできて思ったのは、著者はある意味純粋の人で、「嫌のことは嫌」「やりたくないことはやらない」「家族であっても距離を置きたい」となんでもハッキリと口に出せる人で、昔の芸術家などにはよくみられたタイプです。

ただそれって現代では「わがまま」「自己中」「気遣いできない人」「愛のない可哀想な人」などと軽蔑、あるいは同情されそうな感じですが、それを承知した上でできるってことはそれはまた凄いなって思うわけです。自分に自信がなければとてもできることじゃありません。

この本では「人間嫌い」になるにしてもいくつかのルールがあることを示し、それらのルールも守れず中途半端で怠惰なだけの「人間嫌い」になるぐらいなら、世間の迷惑だからやめておけ!って言っているような内容です。

著者別読書感想(中島義道)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

インターセックス (集英社文庫) 帚木蓬生

1947年生まれの現役の精神科医でもある著者の作品は数多くありますが、久しぶりに読みます。最近では「神様のカルテ」が大ヒットの夏川草介氏や「チーム・バチスタの栄光 」から連なるシリーズの海堂尊氏、業界重鎮渡辺淳一氏など多くの医師との二足のわらじ作家さんも多いのですが、どれも私にとっては知らない世界の話しで面白く読めます。

著者名(ペンネーム)はちょっと読みにくいですが「ははきぎ ほうせい」と読み、これは源氏物語の巻名からそれぞれ取っているとこのことです。

この作品は2008年単行本、2011年に文庫化された作品で、タイトルの「インターセックス」とは「中間的な性」の意味で、「半陰陽」とか言われたりして「先天的な生殖系・性器の異常」を指す言葉です。

この作品の前、2002年に発刊された人工子宮や男性の妊娠などをテーマとした「エンブリオ」の続編というか、舞台や登場人物はかなりダブっています。

そうしたインターセックスとみられる人はその定義によって左右されますが、一見してそれとわかる赤ちゃんは10万人に一人の割合で産まれるという報告もあります。

日本ではおおよそ毎年100万人の新生児が生まれますので、毎年10人程度で生まれる勘定になります。

公にする(してもいい)人はまずいないので、正確な統計データはなく、また原因なども特定されてはいません。

最近よく耳にする性同一性障害の人や同性愛者が性転換をしたとしても「先天的な生殖系・性器の異常」ではないので上記に含まれません。

またインターセックスとされる人でも、染色体、性器形状、生殖器官の有無、性徴、心理などがそれぞれで、一括りにできるものではないそうです。そりゃそうでしょうね。

医療の進歩によって、物心が付く前に親と医者で男女どちらかに決め、手術などで性器などを作っていくということがありましたが、近年では、それを選択するのは医者でも親でもなく、本人の意志にゆだねる、ということは成長後に決める(あるいは決めない)という意見が強くなってきているようです。

主人公はそうしたインターセックス患者を多くかかる性差医療が専門の女医で、勤務していた市民病院からリゾート地に新しくでき、最先端医療をおこなっている総合病院の院長にスカウトされ移ります。

そこで主人公は親友がこの病院と関係の深いホテルの部屋で突然死していたり、その他にも同時期に病院の関係者が不自然な死に方をしていることに気がつき、先端医療と病院経営の暗闇にメスを入れていきます。

解説にも書いてありましたが、この小説では、大きく2つの謎と知識が得られます。ひとつは犯罪ミステリーとしてのもの、もうひとつが、タイトルにもなっている男でもなく女でもないその中間の性の現実と未来について。

単なる解説や興味本位のものではなく、いろいろと重たい問題を詰め込みすぎて、ちょっと焦点がぼやけてしまった感があるものの、なかなか読み応えのあるいい小説でした。

著者別読書感想(帚木蓬生)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

民宿雪国 (祥伝社文庫) 樋口毅宏

著者のデビュー作「さらば雑司ヶ谷」と一緒に買ってきた、2010年に単行本(文庫は2013年刊)で発刊された著者の3作目の作品です。

初めての作家さんの小説を読むときは、ほとんどなにも知らずに読むことが多く、その内容や展開によっては結構戸惑ったりすることがありますが、この著者の最初の本に出会った時もぶっ飛びました。

そのおかげで、この2作目は心の準備というか耐性が十分にできあがっていますので、すんなりと入っていけます。

戦後建てられた3階建ての雪国という名の民宿を経営し、洋画家としても名声を究めた男が亡くなり、その男(=小説の主人公)の謎多き過去を調べていくという連作短編を寄せ集めたような形式です。

いきなり登場してこれが主人公?って思っていた民宿経営者の亡くなった息子の友人と名乗る青年が、いとも簡単に殺されてしまい、ちょっと混乱しましたが、その後はいたって樋口節炸裂というか、面白く読ませてくれます。

主人公をよく知る証言者として、ホテルニュージャパン火災事故で有罪となった横井英樹氏やオーム真理教の松本智津夫死刑囚を思わせる人物や、作家の安倍公房氏と思われる人物、放浪して世話になった画家の山下清氏などまで登場し、うまく時代と有名人を結びつけたりしています。

とにかく前作同様、次々と人が死ぬ(殺される)ような話しで、あまり後味はよくないですねぇ。鬱傾向のある人にはお薦めしません。

著者別読書感想(樋口毅宏)


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