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886
今年もやります、管理人が独断と偏見で選ぶ、昨年読んだ中から超お勧めベスト本です。

昨年2014年に読んだ本は113冊(月平均9.4冊)で、上・下巻など複数巻ある本を1話と勘定すると101話となります。

一昨年2013年は98冊86話でしたから、15冊15話増えましたが、2012年は130冊読みましたので、それと比べると減少しています。

今年増えた理由はよくわかりませんが、たぶん一昨年より昨年のほうが仕事が暇だったのでしょう(笑)。

読む本のジャンルはできるだけ偏らないように意識して気をつけてますが、やはり気楽に読めて好きなミステリー小説が多くなるのは仕方がありません。

それと昨年は「Amazonオールタイムベストブック」からピックアップしてきた本が結構入っています。

昨年読んだ113冊の本の内訳は、「ビジネス書やエッセイ、ノンフィクション」が26冊26話、「外国の小説」が17冊13話、「日本の小説」が70冊62話となっています。

まずはビジネス書やエッセイ、ノンフィクション部門です。

いくつか強烈に印象に残っているものもあれば、すっかり忘却の彼方というのもあります。小説よりもその落差が大きいです。

26冊の中で、強く印象に残っているのは、

 田舎暮らしに殺されない法 丸山健二
 田舎暮らしができる人 できない人 玉村豊男
 人間の土地 サン=テグジュペリ
 冷血 カーポティ
 宿命―「よど号」亡命者たちの秘密工作 (新潮文庫) 高沢 皓司
 嘘つきアーニャの真っ赤な真実 米原万里
 旅をする木 星野道夫
 医療にたかるな 村上智彦
 政治家の殺し方 中田宏

で、その中から、ベストを選ぶと「冷血」、次点に「人間の土地」となります。
この二つはいずれも世界の中でもベスト書籍にも選ばれるだけあって、それらと比べられるのも気の毒な話しです。でもここは独断で。

「冷血」の感想は「783 1月前半の読書と感想、書評」
「人間の土地」は「849 8月後半の読書と感想、書評」
にあります。

トルーマン・カーポティは、「ティファニーで朝食を」を書いて一躍有名になった作家で、この「冷血」は小説ではなく1959年にアメリカで起きた一家殺人事件の関係者を徹底取材し、事件の背景から逮捕に至るまでの経過、そして裁判で死刑が確定、執行されるまでをノンフィクションとして書き上げ1965年に発刊されたものです。

読んでいると、なんの恨みも罪もない一家全員をわずかばかりの金欲しさに殺害するという、身の毛もよだつという事件を起こした二人の犯罪者にことが周囲の多くの人から語られ、またその事件の前後の行動は決して重犯罪を起こす(した)ようには見えず、普通の人があまり深く考えずに殺人やその他にもモロモロの犯罪を平気で犯していく様子が平板に描かれています。

この作品以降、同様の手法で、実際に起きた事件を元にノンフィクションとして、または実際の事件を下敷きにしたフィクション小説が多く作られるようになりました。

ただ昔と違って現在では実名はもちろん、仮名で書いたとしても、それとわかるものなら名誉毀損で訴えられる可能性があり、例え事実だけを書いたとしても巨額の賠償金を科せられるおそれがあるだけに、作家としてはリスクを背負う難しいジャンルでしょう。


  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

次に17冊(13話)の海外小説部門ですが、特に面白かったのは、

 動物農場 ジョージ・オーウェル
 ある微笑 フランソワーズ・サガン
 殺し屋 最後の仕事 ローレンス・ブロック
 卵をめぐる祖父の戦争 デイヴィッド ベニオフ
 シッダールタ ヘルマン・ヘッセ
 春嵐 ロバート・B・パーカー

その中から私が選んだのは「卵をめぐる祖父の戦争」に決定!です。次点は「殺し屋 最後の仕事」と、パーカーの遺作ということもありオマケして「春嵐」の2作ということで。

「卵をめぐる祖父の戦争」の感想は、「797 2月後半の読書と感想、書評」
「殺し屋 最後の仕事」は、「789 1月前半の読書と感想、書評」
「春嵐」は「805 3月後半の読書と感想、書評 」
にあります。

「卵をめぐる祖父の戦争」(2010年)は、ユダヤ人の自分の祖父が経験した壮絶なる戦争体験を聞かされるという日本でもよくありがちな設定ですが、リアリティがあり、また歴史上の必然性があり、そしてウイットにも富んだ素晴らしい作品です。

460ページ超えとちょっと長めの作品ですが、一気に読み終えることでしょう。タイトルがちょっと変わっていますが、読めば真意がわかります。

「殺し屋 最後の仕事」は、これ単独ではベストとは言えず、今回は次点に入れましたが、過去から続いてきた「殺し屋ケリー」はたいへんよくできた傑作なシリーズ(前作までは連作短編)で、その総集編的な意味合いがありました。

結局今年にこの続編が出ていますので、これで最後ってわけではなかったのですが。もし読む場合は、シリーズの初め(「殺し屋」)から読むことをお勧めします。さすがにもう一般の書店には置いてないでしょうけど。


  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

さて70冊62話ともっとも数の多い日本の小説部門です。ミステリー系、純文学系、SF・ホラー系などジャンルに分けるべきかなと一瞬考えましたが、分別が面倒なので全部一緒くたで。

また諸般の事情により、昨年発刊された新作本よりも、古典作品を含め、数年前の小説がメインです。

印象に残り、さらに読後に面白かったなぁって思ったのは、

 親鸞(上)(下) 五木寛之
 博士の愛した数式 小川洋子
 二人静 盛田隆二
 東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン リリー・フランキー
 ダイスをころがせ! 真保裕一
 砂の女 安部公房
 塩狩峠 三浦綾子
 天地明察 冲方丁
 木暮荘物語 三浦しをん
 蝉しぐれ 藤沢周平
 それでも、警官は微笑う 日明恩
 西の魔女が死んだ 梨木香歩
 去年はいい年になるだろう 山本弘
 戦闘妖精・雪風(改) 神林長平

さて、その中で大賞は、、、ダ、ダ、ダ、ダ、ダ、ダン、ダン・・・ジャーーン

東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン」(2005年) リリー・フランキー著です!

えっ?とってもありきたり?

う~ん、、、でも「事実は小説よりも奇なり」って言葉があるように、実体験を多少脚色はするだろうけど書いた小説って、やっぱり真に迫っていて面白い。どこにも創作の無理や矛盾がない。私は涙は流さなかったけど、最後の亡くなった母親をみんなが見送るシーンは多くの人がきっと涙したでしょう。

健さんの映画「南極物語」も、裕ちゃんの映画「黒部の太陽」も、もし完全創作だったらあれほどメジャーな話しにはならなかったでしょうし、事実を元にした作品はやっぱり強い。本来プロの作家はそうしたものに打ち勝たなければならないので大変でしょう。

「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を読んだ感想は、「879 11月後半の読書と感想、書評」

最後まで悩んだ次点には「親鸞」(2010年)と「二人静」(2010年)。

「親鸞」は仏教になにも興味がなくても軽いエンタテーメントとして読める歴史小説で、タイトルをもう少しライトに違ったものにすれば若い人にも取っつきやすくていいのになと思います。

逆に団塊世代を含む高齢者向けだとしたら内容がちょっと奇抜すぎて子供向けっぽい感じです。

続編の「親鸞 激動編」(2012年)も昨年中に読みましたが、激動というには「親鸞」と比べるとインパクトは薄れていて、なんとなく歴史に沿って淡々と書かれたって感じです。もちろん事実とは違って創造の産物がメインです。

「親鸞(上・下)」の感想は「818 5月前半の読書と感想、書評」
「親鸞 激動編(上・下」は「879 12月前半の読書と感想、書評」

「二人静」は近年大きな社会問題となっている高齢の親の介護をしながら働くという難しさや、情緒不安定な子供を持つシングルマザー、そして大人の淡い恋愛をうまくマッチさせたとてもいいストーリーの小説です。

普通であれば重く暗澹となりそうなテーマでありながら、終盤では暖かみさえ感じることができます。

「二人静」の感想は「789 1月前半の読書と感想、書評」


その他「塩狩峠」や「砂の女」は古い小説ですが、多くの人にこれからもずっと読み継がれていくと思ういい小説です。

映画にもなった「博士の愛した数式」は80分間しか記憶が持たない前行性健忘という奇病を扱いながらも娯楽性も豊かで読んで気持ちがホカホカする小説でした。

あまり日本のSF小説は読まないのですが、1980年代に発刊され、当時は本屋に平積みされていてずっと気になっていた「戦闘妖精・雪風(改)」を今回ようやく読むことが出来ました。

30年以上も前に書かれたSF小説なのですが、たいへんよくできていて、今でも古臭さはまったく感じさせません。今後も国産のSF小説の代表作として長く読み継がれることでしょう。

「戦闘妖精・雪風(改)」の感想は、「805 3月後半の読書と感想、書評」


【過去のリス天年間優秀賞】
2013年の結果は「リス天管理人が選ぶ2013年に読んだベスト書籍」
2012年の結果は「2012年に読んだ本のベストを発表」

今年もいっぱいいい本に出会えますように!


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883
ファイアボール・ブルース〈2〉 (文春文庫) 桐野 夏生

11月に読んだ「ファイアボール・ブルース」(1995年)の続編にあたりますが、この作品は長編だった前作とは違い、「入門志願」「脅迫」「リングネーム」「判定」「嫉妬」「グッドバイ」「近田によるあとがき」の7つの連作短編からなり、それぞれが独立したストーリーとなっている2001年の作品です。

最近このような連作短編作品が多くなっているような気がします。これは雑誌や週刊誌などに連載をする都合上、一応1話完結の形式を取り、大きな流れはそのまま継続していくという、商業主義、ご都合主義的な臭いがプンプンしてあまり好きではありません。でもそれを出版社から求められて、断ることが出来る作家さんは日本には10名といないでしょうから仕方ありませんね。

主人公は前作と同様人気実力ともあるあこがれの女子プロレスラーの付き人をしながら、自らもなんとか勝ちたいと練習に励む女子レスラー近田です。

もっとも前作ではエース格のファイヤーボール火渡渉子を最大限に持ち上げ、近田はその陰に隠れてしまった存在でしたが、この作品ではちゃんと主人公となっています。

前作では殺人事件が起きるという派手な展開でしたが、今回はファンからの脅迫状はありますが、概ね女子レスリング団体の中のささやかなコップの中の嵐ってところで、地味ですがより現実的なストーリーです。

ただいかんせん、限られた見識の中での限られた人間関係を展開するので、読む側にそれほどの思い入れがなければ、アッサリし過ぎって言うか、淡々となんの印象も残らず、知らない間に終わっているとなりかねません。私がそうでした。

残念ながら前作での派手な女子プロデビューを超えられなかった2作目ということで、ちょっともったいなかったかな。

著者別読書感想(桐野夏生)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

夜中にラーメンを食べても太らない技術 (扶桑社新書) 伊達友美

2008年発刊と6年前の少々古い新書(古くても新書とはこれいかに)ですが、タイトルに釣られて買ってしまいました。新書は自らを売り込む絶好の機会ととらえ、そこからブレークしていく人も多いのですが、この著者もこの作品の後、自称「ダイエットの女王」様として大活躍されているようでなによりです。

私自身も一時期は腹囲がメタボ診断と下されるほどで、このままではいけないと思い、主として夕食に米を食べない糖質制限ダイエットをおこない、最近はクリアできていますが、それでも夜中にふと小腹が空いて深夜遅くまでやっているラーメン屋へ行きたくなることがよくあります。

我慢できれば一番いいのですが、つい家族や友人を誘ってみて、相手が行くと言えば「ま、仕方ないな」と勝手な言い訳をほざきつつ喜んで食べに行くこともあり、もし本当に夜中にラーメンを食べても太らないというのなら、その秘密をぜひ知りたいものです。

こうしたダイエットに限らず、なんかを指南しようとする人は、「今までのやり方はダメダメ、それはこういう理由、私のやり方はそれとは全然違ってこうこう」って流れが多く、押しつけがましいところが目立ちます。この本の内容もまさにその通りです。

例えば糖質ダイエットの問題として、「糖質を食べないと頭が働かない」など指摘しています。でも毎日朝から晩まで一切の糖分や糖質を断っている極端な人などいるわけもなく(いたらその人は精神的におかしくなっている人でしょう)、せいぜい夕食の1食から米飯を抜いているとか、昼はうどんやそばをやめてサラダだけ食べるとかが普通なのに、「様々な糖質は身体に絶対必要で糖質ダイエットはダメダメ」って否定されてもなぁと反感を覚えたりします。

また電子レンジで暖めると「容器のプラスチックが溶け出して身体に悪い」とか「中の栄養素が破壊される」とか、科学的に証明された根拠ではなく、「・・・と言われている」とか都市伝説じゃあるまいし「そんな話しを聞いた」レベルのことも書かれていたりして、ちょっとどうよ?って思う部分も。

ただ世間一般ですでによく言われているように、ラーメンやカレーライスや肉を食べる前に、先に野菜を食べておこう、身体に悪い食べ物を食べたときはいいものも食べて中和しておこうというのは、この本でもその理由を含めて書かれていますのであらためて参考になります。

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

Another (角川文庫)(上)(下) 綾辻行人

この作品は2009年に単行本、2011年に文庫版が発刊されているホラー・ミステリー長編小説で、その後2011年にシリーズ第2作目の「Another エピソード S」が、2014年からは3作目が野生時代での連載が始まっています。

またアニメや映画も作られていて、映画は山﨑賢人と橋本愛の主演で、2012年に公開されています。

主人公は東京から地方の公立中学校へ転校してきた中学三年生男子。母親は主人公を出産後に間もなく死亡し、研究者の父親と長く二人暮らしをしていましたが、父親の長期海外出張のため、母親の実家で祖父母と一緒に暮らしています。

しかしこの三年三組に転校してきてから、多くの謎に包まれます。というのも、25年前にクラスの人気者だった3年3組の生徒が事故で死亡しますが、クラスメイトや担任がその後もその亡くなった生徒がそのままいるかのように振る舞ったことで、翌年からそのクラスにだけおかしな怪事件が頻発するようになります。

主人公の生徒は事の真相について知らされず、その結果、クラスの中での決まり事を破ってしまいます。そのあたり、小説の中では「今はまだ教えられない」とか「今度話しをする」とか「今日のところはここまでね」とか、思い切り話しを引っ張って引っ張ってなかなか真相やヒントを明らかにせず主人公以上にイライラし、ただ紙の無駄遣いのような気もします。

民放テレビで盛り上げておくだけ盛り上げて、パッとCMに入る山場CMや、スポーツ中継を「このあとすぐ!」とか言っておきながら、30分後にようやく始まったりする騙しのテクを応用しているのか?と疑ってしまい、いらちな自分には不向きとも言える展開です。

内容的には創造性豊かで面白いストーリーだったのに、もう少しスピード感を持って(短気な)読者に配慮して書けば、詰まるところ上下巻に分けなくとも十分1冊に収まりそうな内容だったのがちょっと残念でした。

逆に鯨統一郎氏のように重い深いテーマでも、サラッと軽く短編にして書いてしまう作家さんもいたりして、それぞれが個性なのでしょうけど、作家さんの個性を見分けて選んで読む時代になってきたのかも知れません。

著者別読書感想(綾辻行人)


【今年1年間の読書】
 12月前半の読書 1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方 岩田健太郎、骸の爪 道尾秀介、親鸞 激動編 五木寛之、旅をする木 星野道夫
 11月後半の読書 介護退職、沈黙の画布、東京タワー オカンとボクと、時々、オトン、わたしを離さないで
 11月前半の読書 何ものも恐れるな〈上〉(中)(下)、木暮荘物語、ファイアボール・ブルース、梅干しはデパ地下よりBARで売れ!?
 10月後半の読書 シッダールタ、おひとりさまの老後、正義を振りかざす君へ、宿命―「よど号」亡命者たちの秘密工作、肩ごしの恋人
 10月前半の読書 プラナリア、暗闇にひと突き、「反原発」の不都合な真実、クリムゾンの迷宮、監査難民
 9月後半の読書 マスカレード・ホテル、西の魔女が死んだ、オレ様化する子どもたち、ペンギン・ハイウェイ、動物農場
 9月前半の読書 暗く聖なる夜(上)(下)、ロード&ゴー、寝ても覚めても、やさしい人
 8月後半の読書 私の嫌いな10の人びと、人間の土地、きよしこ、奇面館の殺人、俺俺
 8月前半の読書 身を捨ててこそ・浮かぶ瀬もあれ 新・病葉流れて、田舎暮らしに殺されない法、秋田殺人事件・遠野殺人事件
 7月後半の読書 蝉しぐれ、博士の愛した数式、砂の女、嘘つきアーニャの真っ赤な真実、田舎暮らしができる人 できない人
 7月前半の読書 陽だまりの偽り、日曜日たち、人生を無駄にしない会社の選び方、佐賀のがばいばあちゃん、真夜中の神話
 6月後半の読書 月に繭 地には果実(上)(中)(下)、人間失格、去年はいい年になるだろう
 6月前半の読書 絆、クリフトン年代記第3部 裁きの鐘は、男の作法、きみの友だち
 5月後半の読書 塩狩峠、医療にたかるな、オレたちバブル入行組、それでも、警官は微笑う
 5月前半の読書 チルドレン、親鸞、政治家の殺し方、平成関東大震災
 4月後半の読書 下流志向-学ばない子どもたち、働かない若者たち、ダブルジョーカー、真珠湾 十二月八日の終戦、星の王子様
 4月前半の読書 慈雨の音(流転の海 第6部)、天使のナイフ、ある微笑み、ダイスをころがせ
 3月後半の読書 戦闘妖精・雪風<改>、グッドラック―戦闘妖精・雪風、春嵐、Facebookというビジネス
 3月前半の読書 三千枚の金貨、「日本で最も人材を育成する会社」のテキスト、下町ロケット、ふたたびの恋
 2月後半の読書 神様のカルテ3、卵をめぐる祖父の戦争、シューカツ、迷惑メールやって良いこと悪いこと
 2月前半の読書 北帰行、天地明察(上)(下)、微笑む人、ジェノサイド(上)(下)
 1月後半の読書 二人静、ザビエルの首、真夜中の男、殺し屋 最後の仕事
 1月前半の読書 冷血、クリフトン年代記 第2部(上)(下)、八つ花ごよみ

◆◆◆◆◆◇◆◆◆◆◆◇◆◆◆◆◆

今年2014年も今日で終わりです。お世話になりました。
皆様におかれましても、よいお年を迎えられることを心より願っております。
また来年もよろしくお願いいたします。


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881
ロバート・B・パーカーの「スペンサーシリーズ」と同様に、探偵小説のシリーズものとして長らく読んできたのが、ローレンス・ブロックの「マット・スカダー・シリーズ」とマイクル・コナリーの「ハリー・ボッシュシリーズ」です。

スペンサーはボストン、マットはニューヨーク、そしてハリーはロサンジェルスを本拠地にしたクールな探偵です。

その中の「スペンサーシリーズ」は著者のパーカーが2010年に死去したことで、一応区切りが付き、その作品はすべて読み終わっています。その後別の作家が引き続き「スペンサーシリーズ」を引き継いで書くということですが、また別のものと考えていいでしょう。

「スペンサーシリーズ」については、最後の作品を読み終えた後に、「ロバート・B・パーカー スペンサーシリーズ全巻まとめ」を書いていますので、そちらを見ていただくとして、あとの2つについて少しまとめておきたいと思います。

---◇◇◇---◇◇◇---◇◇◇---

酔いどれ探偵の「マット・スカダー・シリーズ」は、著者ローレンス・ブロックと小説の主人公の年齢がほぼイコールで書かれています。

第1作目が書かれた1976年「過去からの弔鐘」の時は著者(=主人公)は38歳で、2011年に発刊された17作目の「償いの報酬」の時は互いに70歳を超えていました。

もちろんその時の主人公は現役探偵から引退をしていて、酒場で友人に昔の話しを語るという展開です。したがってそろそろこれで打ち止めっぽい感じです。しかしラッキー?なことに、まだ読んでいない旧作が数冊残っていて、もう少しは楽しめそうです。

作品リストは下記の通り、邦題、原題、発刊年
01 過去からの弔鐘 Sins of the Fathers(1976)
02 冬を怖れた女 In the Midst of Death(1976)
03 1ドル銀貨の遺言 Time to Murder and Create(1977)
04 暗闇にひと突き A Stab in the Dark(1981)
05 八百万の死にざま Eight Million Ways to Die(1982) PWA賞最優秀長篇賞
06 聖なる酒場の挽歌 When the Sacred Ginmill Closes(1986)
07 慈悲深い死 Out on the Cutting Edge(1989)
08 墓場への切符 A Ticket to the Boneyard(1990)
09 墓場への切符 A Dance at the Slaughterhouse(1991) エドガー賞長編賞
10 獣たちの墓 A Walk Among the Tombstones(1992)
11 死者との誓い The Devil Knows You're Dead(1993) PWA賞最優秀長篇賞
12 死者の長い列 A Long Line of Dead Men(1994)
13 処刑宣告 Even the Wicked(1996)
14 皆殺し Everybody Dies(1998)
15 死への祈り Hope to Die(2001)
16 すべては死にゆく All the Flowers Are Dying(2005)
17 償いの報酬 A Drop of the Hard Stuff(2011)

お勧めはと聞かれると、「最初から順に読むのがいい」と答えますが、ベストの1冊は?と言われると少し迷ってしまいます。

例えばアル中でどうしようもなく酷い状態の時もあれば、すっかりアルコールから脱して深夜のパブでコーヒーを飲んでいる主人公や、引退して過去の話しを語り部のように喋る主人公まで、それぞれに雰囲気があり、また気の利いた仲間がいたりいなかったり、なかなか難しいところ。

強いて言うならスペンサーに対する相棒ホークのようで、良き味方で信頼できる相談役のようでもあるミック・バルーが好きなので、彼が準主役的に登場する11作目の「死者の長い列」や、14作目の「皆殺し」、最後の17作目「償いの報酬」などをお勧めするでしょう。

ローレンス・ブロックはこのシリーズの他、「殺し屋ケラー・シリーズ」や「泥棒バーニイ・シリーズ」などがあり、それぞれに面白いのですが、やはり代表作はこの「マット・スカダー・シリーズ」でしょう。

余談ですが、「殺し屋 ケラーシリーズ」は2011年の4作目「殺し屋 最後の仕事」で、過去最大のピンチを乗り越え、ハッピーエンドで無事終わったと思っていたのですが、今年10月に5作目の「殺し屋ケラーの帰郷」が出ていたのですね。知りませんでした。さっそく買いに行かなくっちゃ。

---◇◇◇---◇◇◇---◇◇◇---

そしてもうひとつのマイクル・コナリーの「ハリーボッシュシリーズ」は、ようやく過去に出版された分をすべて読み終えて、今年文庫が発刊された「ナイン・ドラゴンズ」と、まだ翻訳版が出ていない「The Drop」「The Black Box」についてはまだ未読という状態です。

こちらの作品リスト(邦題、原題、発刊年、邦訳版発刊)
1 ナイトホークス The Black Echo 1992年 1992年10月 エドガー賞処女長編賞
2 ブラック・アイス The Black Ice 1993年 1994年5月
3 ブラック・ハート The Concrete Blonde 1994年 1995年5月
4 ラスト・コヨーテ The Last Coyote 1995年 1996年6月
5 トランク・ミュージック Trunk Music 1997年 1998年6月
6 エンジェルズ・フライト Angels Flight 1999年 2001年9月 2006年1月[改題版]
7 夜より暗き闇 A Darkness More Than Night 2001年 2003年7月
8 シティ・オブ・ボーンズ City of Bones 2002年 2002年12月/2005年2月 アンソニー賞
9 暗く聖なる夜 Lost Light 2003年 2005年9月
10 天使と罪の街 The Narrows 2004年 2006年8月
11 終決者たち The Closers 2005年 2007年9月
12 エコー・パーク Echo Park 2006年 2010年4月
13 死角 オーバールック The Overlook 2007年 2010年12月
14 ナイン・ドラゴンズ Nine Dragons 2009年 2014年3月
15 The Drop 2011年
16 The Black Box 2012年

著者マイクル・コナリーはまだ若い(58歳)ので、当面はこのシリーズは続きそうです。ただシリーズ初期の頃のベトナム戦争帰りで心が刺々しく屈折した部分が最近はすっかり失せてしまい、想定年齢も高くなってきて丸くなってしまいました。

家族や恋人、そして小賢しいテクニックを使った捜査などが増えて行くにつれ、最近の動向は大きくイメチェンしたみたいで感心できません。先のマッド・スカダーの場合も後半から酒をキッパリ断って、探偵免許を取得し、素面で探偵をおこなうようになりましたが、共通するのかもしれません。

FBI捜査官だったテリー・マッケイレブが登場した6作目の「堕天使は地獄へ飛ぶ」、7作目の「夜より暗き闇」あたりから、その作風というか主人公の性格が変わってきたかなと感じるようになりました。

こちらもベストを選ぶとすると、登場編の第1作「ナイトホークス」か、殺された自分の母親の真実を追いかける4作目の「ラスト・コヨーテ」、前述のテリー・マッケイレブが登場する7作目「夜より暗き闇」あたりかな。最近新しい作品でコレというのはないかも。

そのテリー・マッケイレブが主役となり、ハリーもちょっと登場するスピンオフ「わが心臓の痛み」もいい感じでした。この小説は「ブラッド・ワーク」という原題で、クリント・イーストウッド監督・主演で2002年に映画化もされています。DVDで見ましたがなかなかいい映画でした。

主人公の名前、ヒエロムニス・ボッシュは15世紀の有名なフランドルの画家が由来で、子供の頃に殺されてしまった母親が名付けました。1作目からこの母親と名前の由来についてたびたび登場しますが、4作目の「ラスト・コヨーテ」で殺人の謎が解けてその後はあまり出てこなくなりました。

登場人物は毎回代わり、スペンサーシリーズのホークのような常連の相棒はいません。時々出てくるのは元妻でFBI捜査官だったエレノア・ウィッシュやロス市警のジェリー・エドガー、キズミン・ライダーと言ったところ。登場するたびに、異動していたり、昇進していたりして、時の流れを感じさせます。

サザエさんやスペンサーと同じく、こちらも主人公は歳をとらない感じ。さすがにスペンサーのように昔、朝鮮戦争に従軍していたという年齢ではありませんが、こちらは今から40年ほど前に終結したベトナム戦争に従軍し、帰国後警察官になったという設定で、そのままの年齢ならば少なくとも今は60歳以上にはなっているはずですが、今でも若々しい活躍ぶりです。


【関連リンク】
808 ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ
328 スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
327 さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー
269 ハードボイルド的男臭さ満点小説

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1秒もムダに生きない 時間の上手な使い方 (光文社新書 525) 岩田健太郎

著者は40代の感染症内科の現役の医師ですが、いくつもの著書を出しています。医師でありながら執筆活動されている人は結構多く、有名どころでは渡辺淳一、帚木蓬生、海堂尊、夏川草介(敬称略)など多くの作家がいます。やっぱり才能のある人はなにをやらせても立派で見事なものです。

著者は上記に上げた兼業作家のように小説を書くのではなく、自分の得意な感染症分野のわかりやすい解説本を多く出されています。

著者自身がこの本では何度も書いてますが、いわゆるビジネス系タイムマネジメントの勧めの本ではなく、自らが実践してきたやり方と考え方を、賛同できるならやってねと言った軽いノリです。

確かにいつ何時手がぽっかりと空いてしまうことを考えて、いつでもいろいろとできる準備をしておくことや、下手に仕事の優先順位などをつけず、その時間になにが一番やりたいかを考えて気分的にノレる仕事からやっていくという手法は、すでに自分も自然と身につけてやっている手法なので、確かにその通りだと思いました。

例えば、ネットの調子が悪いときには、悪態をつくのではなく、ネットから離れてできる仕事の中から選んでそれに没頭するとか、メールは都度いちいちチェックせず、まとまった時間があるときに、次々と読み、返事がいるものはその場で書いて出し、あとに残さないとかなど。後で出すことにすると、忘れることがあるのと、同じメールをまた読み返す二度手間になってしまいますからね。

電車など移動の時は、リラックスできるようにいつも文庫を持ち歩き、読み終えそうな時には重たくなるけど新しい文庫をカバンに補充しています。

私自身も仕事でも遊びでもダンドリが重要だといつも思っていて、時間を無駄にしないように心掛け、ちょっとした時間のすき間にできることをいくつも準備しておくなど、才能や知性は著者に遠く及ばないものの、著者と共通するところが結構ありそうと思ったり。著者が好んで読む小説(作家)も書かれていましたがドンピシャ一緒しています。

とは言ってももう私も50代半ば、20代30代の頃と違って、そう寸暇を惜しんでガリガリとやる仕事はなく(期待もされず)、また身体も脳も若いときのように活発には動かないので、そう時間を気にする必要はなくなってきたんですけどね。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

骸の爪 (幻冬舎文庫) 道尾秀介

2006年に単行本、2009年に文庫化された作品で、「背の眼」(2005年)に続く、霊現象探求所の真備庄介が登場するミステリーホラーシリーズです。

著者の作品では過去に「片眼の猿」(2007年)を読みましたが、上記シリーズや、2011年直木賞に輝いた「月と蟹」、評価の高い「向日葵の咲かない夏」(2006年)などはまだ読んでいません。って言うか、実は著者の名前は以前からよく知っているので、もっと何冊も読んでいる気がしていました。

主人公は著者と同じ名前のミステリー小説家で、滋賀県へ親戚の結婚式に出席したあと、見学させてもらう予定だった深い山の中のお寺で宿泊することになります。

そこは、仏像を製作する場所でもあり、木彫りや漆塗り、焼き物などで様々な仏像が作られています。そこで一泊した主人公は、お約束通り、様々な異変に出くわすこととなり、さらに20年前に謎の失踪をして行方不明のままになっている仏師のことを知ることになります。

謎を抱えたまま、帰京してきた主人公は友人の真備庄介に話しをして、再度そのお寺へ向かいます。

ま、予定通りに、主人公が見た様々な謎や、行方不明になっていた仏師とその婚約者、そして今回新たに行方不明となった二人の仏師について、真備が論理的に解明していくというものです。

ま、あまり考えることもなく、ストーリーも単純で、娯楽読み物としていいものですね。

いくつかの謎は途中でなんとなくわかった気になりますが、そうしたことも織り込み済みなのか、これでもかっていうぐらい次から次へとどんでん返しが続くのはさすがです。

著者別読書感想(道尾秀介)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

親鸞 激動篇 (講談社文庫)(上)(下) 五木寛之

私も今年の5月に読んだ「親鸞」(上)(下)の続編で、2012年発刊の作品です。現在ではすでにこの激動編のあとの「親鸞 完結篇」が単行本で出ています。

「親鸞(上)(下)」の読書感想

著者もすでに82歳、失礼ながらいつ絶筆されても不思議ではないご高齢ですから、無事にこの長編小説「親鸞」が完結したことを編集者はホッと胸をなで下ろしていることでしょう。

あとは「青春の門 」がまだ完結していませんが、大丈夫なのでしょうかね。

この激動編も、前作同様に鎌倉時代初期に実在した僧侶親鸞を主人公にしたエンタメ小説で、決してお堅い歴史書、研究本ではありません。

前作では京都で法然上人とともに元々は貴族や公家達のものだった仏教を広く庶民に広めたかどで、法然は四国へ、親鸞は越後へ流刑となりましたが、この激動編は、ようやくその刑の期間が終わり、妻の恵信と二人で平和に日々生活をおくっているところから始まります。
 
  この夏に新潟へ行ったときに道ばたに見えた巨大な親鸞像は、どうしてこんなところに?って思いましたが、越後は妻の恵信の故郷であると同時に、親鸞にとっても第2の故郷でもあったのですね。 
 
小説では、越後の守護代と郡司の間に利権争いから領地騒動が起き、それに巻き込まれることになる親鸞は、河川の利権を一手に握る外道院という桁外れの僧侶とその弟子達の協力を得ながら、本来の仏教のあり方を考えつつ説いていきます。

そして妻の恵信との間に子供が出来たとき、「本当に安住していて喜んでいるのか?」という心の中の声に気がつき、このままこの越後で暮らしていくことに疑問を感じ、妻や子を連れて新たな布教活動のため関東へ旅立つことになります。

旅立つきっかけとなったのは子供の頃に鴨川河原で知り合った破戒僧で、今は立派な武将になっている男の誘いなどがあり、また法然上人のところで修業時代に知り合った領主などの誘いがあったからです。

関東は今の茨城県、筑波山が見える場所に住まい、武将や領主の支援の元で布教活動をおこなっていきます。

しかし地域地域にはそれまでの宗教があり、新しく入ってくる仏教に反発する者もいて、命を狙われることも。危機一髪の時にはまたまた京都にいた頃の知り合いが突然現れて救ってくれたりと、エンタメ性が満開です。

そして、いよいよ関東を出て、京の都に上る決心をするところでこの激動編は終わります。

著者別読書感想(五木寛之)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

旅をする木 (文春文庫) 星野道夫

著者は1952年生まれで、慶応大学生時代に写真で見たアラスカの動物や自然に魅了され、ついにはアラスカ大学野生動物管理学部に入学(中退)するほどのアラスカやその自然が好きな写真家、冒険家です。

しかし1996年にテレビ番組の取材で滞在していたロシアのカムチャツカ半島南部のクリル湖畔でヒグマに襲われ死亡されています(享年44歳)。

この随筆はアラスカを中心に自然の偉大さや素晴らしさ、アラスカで関わった様々な人を日記か手紙のようなスタイルでエッセーとして書かれたもので、亡くなる2年前の1994年に出版されています。

その中には、学生時代に短期間アラスカへホームステイしたときの様子や、その後アラスカ大学への入学、学生時代にアラスカに興味をもつきっかけとなった写真を撮ったプロカメラマンとの出会い、時には飛行場などないアラスカの各地を飛び回るブッシュパイロット達との出会いと別れ、美しい自然と動物たちの生命の営みがこれでもかっていうぐらいに盛り込まれています。

タイトルの「旅する木」とは、あるアラスカで知り合った生物学者の話しで、マツ科のトウヒという木の種が、鳥に落とされ、それが川沿いに根付いて大きく育ちます。

やがて川の浸食でトウヒの木は倒れてアラスカのユーコン川からベーリング海へ流されます。そのなにもないツンドラ地帯へ運ばれた木はキツネの縄張りにマーキングされ、その場所にキツネの猟師が罠を仕掛け、やがてそのトウヒは拾われて薪となり大地に帰る。と言った悠久の時代を流れていった木のことを指しています。

アラスカには人間の歴史が遠く及ばない長い気の遠くなるような歴史があり、それが奇跡的に現在でもそのまま残っている数少ない場所で、そこへ新たにやってくる人、そこから離れずに暮らしている人がいますが、いずれにしても人の人生など自然の歴史からするとホンの瞬間にしかすぎないということがよくわかります。


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介護退職 (祥伝社文庫) 楡周平

Cの福音」のようなダークヒーローものから、どこにでもいるサラリーマンが直面する社会の問題を描いた「ラストワンマイル」や「プラチナタウン」のようなビジネスマンものまで幅広くこなす著者ですが、この作品もタイトルをみればすべてがわかってしまう「親の介護」と「それにともなう会社との関係」を描いた現代サラリーマン悲哀物語で、2011年に単行本、2014年9月に文庫化された作品です。

主人公は50を少し回ったばかりの大手家電メーカー管理職で、アメリカへの本格進出を図るべく忙しい毎日をおくるサラリーマン。家には妻と息子の三人家族、自宅マンションのローンがあり、どこにでもある都会の風景です。

そして私立中学校を目指す頭のいい子供、子供の教育に熱心な専業主婦の妻、自分は超大手有優良企業に勤務し、年収は1千万円超えという、公私とも順風満帆な、普通の人にとってはめちゃ羨ましい限りの暮らしぶりです。

しかしその主人公には、秋田の実家でひとり暮しをしている母親がいて、その母親が雪かきの最中に転んで骨折をしたという知らせが飛び込んできます。父親はずっと以前に病気で亡くしています。

この母親の怪我から始まり、主人公とその家族に、様々な試練が訪れることになりますが、考えてみると地方に年老いた親を残して都会で暮らすすべての人にとって他人事ではないストーリーです。

少し前に「仕事と介護の両立という難題」という記事を書きましたが、まさにこの主人公は職場で「介護のため休みたい」とは言えない「隠れ介護」の立場に立たされます。

この主人公の妻は、母親の介護と子供の受験のストレスで倒れてしまい、主人公が母親の介護をするしかなくなります。そして、介護のため会社を休みがちになった主人公に対し、上司が言い放ちます。

「会社は無尽講のような相互扶助を目的とする組織じゃない。与えられた職務を果たすことができないとなれば、誰かにその役割を移さなければならないものだ。そして何より優先されるのは個人じゃない。組織、ひいては会社の利益だ」

「仕事も介護も、どちらも大変だ。一つでも全力を尽くさなければ全うできないものを、君一人でやっていくのは不可能だ。そして仕事には引き継ぐ人間がいるが、介護、ましてや面倒を見るのが親ともなればそうはいかない。このまま無理をして今度は君が倒れたんじゃ、お母さんの面倒は誰が見る。家族はどうなる。状況をよく考えることだ。」

母親と、その介護ストレスで倒れた妻の二人の介護のため、しばしば会社を遅刻したり早退する主人公に対し、上司の正論たる警告がサラリーマンにとってはズシリと重く響くことでしょう。

著者別読書感想(楡周平)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

沈黙の画布 (新潮文庫) 篠田 節子

2007年から2008年にかけて日経新聞夕刊で連載されていた小説で、2009年に「薄暮」として単行本、その後改題されて2012年に文庫化されています。

著者は大学を卒業後、八王子市役所に10数年間勤めていたという作家としては地味で変わり種の方ですが、デビュー後は新人賞など順調に賞を重ね、1997年には「女たちのジハード」で直木賞を得ていますので、元々文才のある優れた方なのでしょう。

主人公は大手の出版社で元々美術雑誌を担当していた中年男性で、廃刊になったために別の編集部へ異動しますが、美術への関心は薄れず、かつて新潟で創作をしていたという無名作家の作品集を手掛けることになります。

絵画の世界は素人には理解できない複雑怪奇な世界で、子弟制度や日展審査の腐敗、売買に関わる闇の世界、著作権など様々な利権や慣習がはびこっています。

そうした中で、絵画で食っていける人の数は、おそらく芸能や音楽で食っていける人よりもずっと少ないはずで、バブルの時でもなければ、大きなスポンサーがついていたり、実家がとても裕福であるとか、特殊な才能以外に恵まれた環境でなければなりません。

そういうことから今後日本で藤田嗣治や横山大観、東山魁夷、平山郁夫と言った世界で認められる大画家はもう出てこないのかも知れません。

この作風からすると、旅とうんちく話しがやたらと多い宮本輝氏の作品を読んでいるような感覚を受けます。

著者の作品は「絹の変容」「弥勒」など4冊ほど読んでいますが、これは日経新聞の連載と言うこともあって、主要読者の男性中高年者向けに少し地味な味付けにしているのかなという感じを受けます。

著者別読書感想(篠田節子)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫) リリー・フランキー

2006年の著書ですが、本屋大賞にも選ばれ、ドラマや映画にもなり、大ヒットしたことはよく覚えています。

天の邪鬼ですが、そうした読む前にあまりにも有名になった本はその時には読みたくないのです。

しばらく経って忘れられてきたことにこそっと読むようにしています。

読み進めると、先日読んだ島田洋七著「佐賀のがばいばあちゃん 」と雰囲気が似ているなぁって思わなくもありません。

有名人の貧乏な子供時代と、破天荒な祖母や母親、父親などを面白おかしく描くことで、小説としての人情噺の出来上がりってヤツです。

著者は1963年生まれということは私よりも6年あとで、子供の頃の描写では、流行や子供の遊びなど、かなり違っているはずなのに、結構似ていたりして驚きです。

調べてみてわかったのは、子供の遊びが大きく変化したのは1983年に発売されたファミコンが出てきて以降からなんですね。

1983年以降に小学生だったという人は、1971年以降の生まれで、現在なら40歳前後の人達にあたります。それまでの小学生の遊びは似たり寄ったりで1970年前後生まれかどうかで分かれるようです。

さて内容は炭坑の街、筑豊での祖母との生活や小倉での母との生活、出ていって滅多に帰ってこない父親との話しなど、子供時代の話しが半分。後の半分は、大分の高校を卒業し、東京へ出て美大に入ってから癌と闘病する母親を東京に呼び、苦心しながらも生活の基盤を作っていく姿などが描かれています。

タイトルにもなっている東京タワーは後半にならないと出てこず、このタイトルはどうなのよ、と思わなくもないですが、主人公のひとりでもある母親が、病棟からジッと眺める東京タワーを象徴的に使いたかったのだろうなぁと。

今では高校と大学で学んできたデザインやイラスト以外にも、音楽家や俳優などでも活躍し、そのいずれもが高い評価を受けているマルチタレントの著者ですが、30歳ぐらいまでの長い極貧生活とちゃらんぽらんな性格は、それでもちゃんと生きていけて、しかもチャンスをものにして才能が開花するんだと元気をもらうことができます。

どこまでが真実で、どこからが創作かは本人しかわかりませんが、小説として出した以上、それなりに脚色はしてあるはずで、そのまますべてを信じることはできないものの、まったくすべてを創作された小説にはない生々しさや、主人公の身勝手さや葛藤などが前面に出ていて、読む人を圧倒します。なるほど多くの人に支持されるいい作品だと思います。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫) カズオ・イシグロ

著者は1954年生まれ長崎県出身の日系イギリス人作家で、5歳の時に父親の仕事の関係で渡英し、そのまま英国に帰化した方で、三作目の「日の名残り」(1989年)は英国で最高の文学賞ブッカー賞を受賞しています。

この作品は著者の6番目の長編小説で2005年に発表、2006年に日本語訳版が発刊されています。また2010年には映画化され、日本でも2011年に公開されています。

小説の前半は英国独特の全寮制学校と思えるようなところで、学んでいる生徒達の日々の生活が綴られています。

思春期の少年少女達の日々の生活ですから、面白いと言えば面白く、淡々として平易と言えば平易な文章が続きます。

しかし、中盤あたりまでくると、どうもこの少年少女達は、世間から隔離された、親のいない特別な少年少女だということが段々とわかってきます。

詳しくはネタバレになるので書けませんが、決してSFやホラー、ミステリーとも違う、なんというかテーマは重いのですが、純文学に近いものと言っていいでしょう。

主人公はキャシーという女性で、病人の介護をしている現在から、一気に過去の全寮制の生活へと飛びます。

そこでは教師とのふれあい、同級生や先輩との友情や恋愛など、繊細で壊れそうなどこにでもいる心が不安定な少年少女達で、前半だけを読むと青春ドラマかと思ってしまいそうです。

タイトルの「わたしをは離さないで(Never Let Me Go)」は、主人公がまだ少女の頃に寄宿舎で手に入れたカセットテープに入っていたお気に入りの曲のことで、それをひとりで聞いて無邪気に踊っている姿を、ジッと見つめていた教師が、なぜか涙を流しているのを見てしまいます。

本来なら深夜に音楽を聴いていて怒られると思っていたのに、涙を流していたということが、強く印象に残り、やがてはそのカセットは盗まれてなくなってしまいますが、大人になってから、中古品の店で見つけます。

その教師もやがては学校からいなくなり、そして主人公達がなぜ集められて生かされているのか、誰のために生きているのか、自分達は誰の子供なのかなど、やがて明らかになっていきます。

著者別読書感想(カズオ・イシグロ)


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