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このブログでも過去に書いたことがある「限界集落」についてですが、その後どのようになっているのか調べてみました。

調べると、過去2回、9年前の2013年と、4年前の2018年に書いていました。

地方が限界集落化していく 2013/5/11(土)
過疎と限界集落の行方とコンパクトシティ 2018/3/24(土)

今回の元データ、「過疎地域等における集落の状況に関する現況把握調査報告書」(令和2年、総務省 地域力創造グループ 過疎対策室、調査時期:令和元年9月11日~令和元年11月29日)
を元にしてその概要を少し書いておきます。

まず過疎集落についてですが、過疎法(過疎地域自立促進特別措置法)により過疎地域に指定された地域のことで、市町村単位ではありません。

2022年5月時点で市町村数は1,724ありますが、その市町村からさらに区分けした現存する(居住者のいる)全集落数は調査時点で76,710集落あり、その中の49,341(64.3%)集落が過疎集落と言われています。

前回調査の4年前(2016年)は、過疎集落数が46,831(61.9%)集落だったので、4年間で2,510集落が新たに増加しています。

都市部に住んでいると、集落の6割以上が過疎という実感は感じにくいですが、旅で地方へ行くと、シャッター通りや、放置された田畑、空き家、神社などを見かけることがあります。

前回調査時点で過疎地域であった集落数は 0.6%(349 集落)減少しています。その内訳は、消滅(無人化)した集落(139 集落)や集落再編により減少した集落(327 集落)のほか、新たに誕生した集落(74 集落)等ということです。

過疎集落の中で住民の半数以上が65歳以上の集落(いわゆる高齢化率50%超え)は20,372集落あり、過疎集落全体の32.2%(4年前は22.1%)を占めます。その中には住民全員が65歳以上(高齢化率100%)の集落が956集落(1.5%)あります。

地域別では、住民の半数以上が65歳以上の集落の割合が中国圏と四国圏では40%を超えています。

同じく過疎集落において住人の半数以上が75歳以上である集落の割合は3,676集落で割合は5.8%、住民全員が75歳以上の集落は339集落で0.5%となっています。

都会でも高齢化率が3割に近づきつつあるとか言ってますが、すでに高齢化率100%の集落が国内に千近くもある(そのうち339集落は75歳以上だけの集落)とは驚くしかありません。

集落住民全員が75歳以上の集落(339集落)のほとんどが10人未満・10世帯未満の基礎集落で、約6割が集落機能の維持が困難な状況とされています。そりゃそうでしょうね。

それでも、こういう意見を述べている学者さんがいます。

限界集落の真実―過疎の村は消えるか?(2019年、首都大学東京都市教養学部准教授山下祐介)
私は「消えた」とされる集落を調べてみました。しかし高齢化が理由で消えた集落はありませんでした。消えた真相は、戦後開拓がうまくいかなかった、災害移転、ダム建設に伴う移転などであり、本当の意味で高齢化が理由で消えた集落は探してもないというのが私の結論です。

どうなんでしょうね。

つまるところ、出て行く一方で、財産を守り、新たなことを始める新しい血が入らず、開拓がうまくいかなかったのも、インフラを新しく更新し災害を未然に防いだり、復旧させることができなかったのは住民の高齢化が一番の原因と思いますが、どうなのでしょう。

今後10年以内に消滅(無人化)する可能性がある集落は454集落0.7%(4年前515集落)で、いずれ消滅(無人化)すると予測されている集落は2,744集落4.3%(4年前2,697集落)です。

地方ブロック別でみると、今後「10 年以内に消滅」あるいは「いずれ消滅」と予測されている集落の割合が最も高いのは四国圏です。

前回調査時に「10年以内に消滅(無人化)する可能性がある」と予測されていた集落の中の508集落が、今回調査までの4年間で実際に消滅(無人化)したのは47集落(9.3%)でした。

地方ブロック別でみると、北陸圏で多く、10年以内に消滅すると予測された集落の3割近くが消滅しています。

前回調査時に「10年以内に消滅(無人化)する可能性がある」と予測されながら現在も存続している集落の8割以上は、10人未満・10世帯未満の小規模集落で、いずれにしても今後数年以内には消滅する可能性が高いと思われます。

過疎集落の生活サービス機能の特徴としては、 公民館や集会所は33.2%の集落に、商店・スーパーは21.8%、、駅やバス停は53.5%の集落にある一方、病院・診療所やガソリンスタンド、郵便局、ATM、デイサービスセンター、小学校、幼稚園・保育所等がある集落は1割に満たない状況です。

コンビニや駅はもちろん、各種の病院やATMなどがすべて徒歩圏にあるという都会育ちには考えられないことでしょう。

ザクッと概要だけを抜き出しましたが、毎年国内では、茨城県や山口県の県民全人口に相当する60万人以上が減少しているので、地方の集落が毎年数百消えていくのは仕方がないことだと思います。

同じように寒村と言っても岐阜県の白川村のように、なにも努力をしなければとっくに消えていたような山深き中の集落が、今では世界遺産に指定され、国内はもとより世界中から観光客を集め、若い人の移住者が増えるという成功を収めた集落もあります。

いずれにしても、人口減少が続く日本において、その集落を生かすも殺すも、そこに住む人達の能力と努力次第で、集落を出て行った子供達や、ましてや政治や役所の力をあてにしていてはダメなのでしょう。

【関連リンク】
1587 地方の道の駅の正しい方向性は
1154 地方の可能性と限界
1089 プチ移住という選択



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