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サラバ(上)(中)(下)(小学館文庫) 西加奈子

2014年に単行本、2017年に文庫化された長編小説で、2015年に直木賞を受賞した作品です。

主人公の男性が一人称で子供の頃から大人になるまでの複雑な家庭の事情と、自身の交友関係を中心に語っていきます。

父親の仕事の関係でイランで生まれ、一度は母親の実家がある大阪へ帰国するものの、小学生の頃にはやはり父親について家族でエジプトへ引っ越します。

これは著者自身の実体験が元となっているようで、現地の風俗や日本人学校の様子など、リアリティがあり読んでいても引き込まれます。

この子供時代に外国で生活している時代が、80年代後半頃でちょうど日本がバブルの真っ只中、日本人全体が自信にあふれていて生き生きとしているのがよくわかります。

そんな中でも主人公の家族にはちょっと変わった母親と、かなり変わった姉がいて、幼いながら主人公はそれらにできるだけそれには関わらないように苦心しています。

エジプトでは同年齢の現地エジプト人の友人ができ、アラビア語で「さようなら」のことを「マッサラーマ」と発音することから、それと日本語の「サラバ」を重ねて二人の合い言葉にして、いつも「サラバ!」と声を掛け合うことになります。それがこの小説のタイトルとなっています。

この小説の主人公は、身長が高く綺麗な顔立ちをしたモテモテの男性ですが、どこまで女性の著者の願望と体験がリンクしているのか気になるところです。

主人公の母親の母親(主人公の祖母)や姉(叔母)、以前住んでいたアパートの大家さんで背中に菩薩の刺青があり、やがては周囲から教祖様に持ち上げられていく女性など、魅力ある人達が次々と登場してきますが、これもまた著者の親族からなにかしらのモチーフを得ているのでしょうか。

そして大学生活や、アルバイトを続けながら、ライターの仕事も請け負い、そしてやがては家族と友情を描いた小説を書くという主人公と著者が重なっていくところが面白かったです。

★★★

著者別読書感想(西加奈子)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ペスト(新潮文庫) カミュ

原題は「La Peste」で、1947年に発刊された長編小説です。新型コロナウイルスが流行したことで、この作品が一躍見直されて有名にもなっています。

映画「ベニスに死す」は1911年に南欧でコレラが大流行した時の模様が描かれていましたが、こちらはタイトル通りペストの流行で、1940年代はフランス領だった北アフリカのアルジェリアの港町オランが長期にわたり封鎖され、治療薬もなく絶望的な中、医者達の奮闘の模様がまるで見てきたようにリアルに描かれています。

もちろんこれはフィクションの小説ですから、実在する町オランでそのようなことが起きたという事実はありません。

不条理文学と言われるカミュが、ペストがひとつの町を襲い、大人も子供も、献身的な人も、敬虔な信者も誰もかもペストに罹ると不条理な死を迎えるという、ある意味では、新型コロナウイルスなど、常に脅威の細菌やウイルスが流行してバタバタと亡くなっていく自然節理をシュミレートしているものです。

登場人物が何人も出てきますが、それがなかなか覚えられず、読み進めていくと時々混乱してしまいます。

そこで登場人物一覧を作ってみました。海外小説では巻頭に登場人物一覧があるのが通例ですが、これにはありません。この登場人物一覧を印刷し、しおりの代わりに使うと便利です。

登場人物一覧
ベルナール・リウー 主人公、医者
リウー夫人 リウーの妻と母、母とリウーは同居、妻は病気で離れた療養所にいる
ミシェル リウーの住むマンションの門番、ペストに罹って死亡
ジャン・タルー ホテルに住む謎の人物、ペスト患者対応でリウーに協力、日記を記す
リシャール 医師会会長、医師
カステル 老医師、免疫血清を研究
オトン 法廷判事、子供をペストで亡くす
レイモン・ランベール 新聞記者、仕事でこの町に来ていたところ封鎖されて出られなくなる
ジョセフ・グラン 市の臨時の下級役人
ジャーヌ・グラン ジョセフの妻
バヌルー 神父、ペストに感染するも主義から医者の治療を拒む
コタール 犯罪者、自殺未遂をリウーに助けられる小男
ゴンザレス 町から脱出したいランベールに頼まれラウルを紹介する密輸商
ラウル 町から脱出を請け負う男
マルセル 町から脱出の手伝いをしている高校生
ルイ 同上、マルセルの兄弟

なお、朱戸アオ作のコミック「リウーを待ちながら」(2018年)は、日本でパンデミックが発生するパニックを描いた医療サスペンスですが、タイトルのリウーはこの作品の主人公をインスパイアしたものということです。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

団塊の秋(祥伝社文庫) 堺屋太一

単行本が2013年に発刊され、2019年に亡くなられた著者の小説としてはおそらく最後の作品です。文庫は2019年に発刊されています。

「団塊の世代」が発刊されたのが1976年、団塊世代が30歳前後になった頃で、社会的に大きな影響を及ぼしてきました。そしてこの本が発刊された2013年頃は団塊世代が完全に定年を迎える65歳ぐらいに差し掛かる頃です。

65歳なら人生で言えばもう「冬」ではないの?ということですが、巻頭に「人生は、玄(くろ)い冬にはじまり、青い春と朱(あか)い夏を経て、白い秋に至る。暗い冬で終わるのではない。」とあります。

しかしこの小説に登場するのは、学生時代の1971年に、学割の海外ツアーで出会った人達が、その後も仕事や思想は様々ですが、度々集まって老年に入っても会食を共にしていきます。

その人達とは、東大出の厚生省官僚、大手都市銀行勤務、弁護士で野党の国会議員、朝日新聞社がモデルと思われる大手新聞社勤務、三洋電機がモデルと思われる大手家電メーカー勤務、高校教師で夫婦とも公務員で定年まで勤務、大手商社勤務を辞めて実家の建設業を継いだ男性と、それぞれ誰もがうらやむ?キャリアを歩んでいきます。

読んでいても、年金が夫婦で50万円とか、退職金が6千万円とか、思いっきりひがんでしまいます。

例えば厚労省官僚として、あるいは大手都市銀行や大手新聞社で定年を迎えた男は、定年後の天下り先には事欠かず、最後まで仕事や収入に恵まれています。

高校教師だった女性は定年まで働き、結婚した相手も公務員で、バブル時に家を買い、高金利のローン返済に汲々としますが、二人して満額の年金をもらうことで余裕の老後生活です。

この登場人物で、一番たいへんだったのは、三洋電機がモデルの大手家電メーカーへ就職した男性が、やがて松下電器?に吸収されて閑職へ出され、その後は配送センターやタクシー運転手へと仕事が変わっていく人と、大手商社を辞めて実家の建設業の跡継ぎとして社長になりますが、バブルが弾けた途端に破産してしまい、財産も家も失ってしまい嫁の実家に転がり込むことになる男性。

しかしいずれの登場人物もそれなりに幸せをつかみ、最後は2028年に集まろうとレターを出して、現状がそれぞれ報告されるところで終わります。

未来予測小説でもありますが、実際のその後の世界は新型コロナで世界中がパンデミックに襲われるとか、ロシアがウクライナに侵略し、制裁措置で世界が真っ二つに分かれてしまい、石油や天然ガス、食料品などが不足するなど思いもよらないことが起きています。

小説に何度か出てくる、日本の戦争犯罪を何度も持ち出されて糾弾されるのも困りますが、これ以上、キナ臭いことが起きないことを願うばかりです。

団塊の世代で華々しくデビューした著者の最後の作品としては、こちらもやや楽観的過ぎ、独善的とは思いますが、同じ時代をおくってきた団塊世代には共感するところが多いでしょう。

★★☆

著者別読書感想(堺屋太一)

【関連リンク】
 9月後半 燃える部屋、朝日新聞がなくなる日、傀儡に非ず、残り全部バケーション
 9月前半 メタボラ(上)(下)、そこへ行くな、砂の街路図、ヒトラーの試写室
 8月後半 R帝国、レインツリーの国、冷蔵庫を抱きしめて、追撃の森


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