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1762
暴力脱獄(原題:Cool Hand Luke) 1967年 米
監督 スチュアート・ローゼンバーグ 出演者 ポール・ニューマン、ジョージ・ケネディ

主演のポール・ニューマンの脂がのっていた42歳の頃の映画で、評価は高かったそうですが、ハンサムで魅力的な俳優のワンマン映画で、不良っぽさとワイルドなイメージをもったアイドル映画のような感じもします。

ストーリーは、ある日酔っ払ってパーキングメーターを壊したかどで刑務所に収監されることになった元軍人だった主人公が、刑務所の理不尽な厳しいルールに反旗をひるがえすものの、権力側からはさらに厳しい扱いを受けます。

何度か脱獄を計りその都度失敗して連れ戻されますが、3度目には成功したかに思えましたが、、、というような内容です。

見ていてよくわからなかったのですが、主人公は軍隊で従軍していた時は数々の勲章をもらいながら昇進もしていたのに、その後なにか問題が起きたらしく、除隊するときには最下層の兵士となっています。それが主人公の反体制、反権力という性格を現しているのか、最後には教会で神頼みということで、イマイチ理解不能な面がありました。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ゴジラ -1.0 2023年 東宝
監督:山崎貴 出演者:神木隆之介、浜辺美波、山田裕貴他

前に劇場で「シン・ゴジラ」を見たばかりだなぁと思っていたら、あれはもう7年も前の2016年公開で、コロナ禍前のことでした。このコロナ禍の3年間はほぼ記憶が飛んでしまっているのかも知れません。

最近見た映画 2016/8/27(シン・ゴジラ)

元々、子供の頃からゴジラ映画はほとんど見たことがなく興味も薄かったので、今回のゴジラはもういいかなぁと思っていて見る予定はなかったのですが、私が小学生の頃にプラモデルを買ってきてその形状に感動し好きだった局地戦闘機の試作機「震電」が重要な場面に登場しているというので、こりゃ見なくちゃ!と変な理由で映画館へ駆けつけました。

ゴジラ映画第1作の公開が1954年で、その映画の時代設定もその頃と思われるので、今回のこの映画の時代設定は従来のゴジラシリーズの中ではもっとも古くなる終戦直後の1946年です。つまり終戦で東京は焼け野原でゼロとなってしまい、さらにそこから怪獣に襲われ-(マイナス)になってしまう設定なのでしょう。

終戦直後という設定なので、現れたゴジラと対決するため太平洋戦争を生き残った駆逐艦雪風や重巡高尾、そして試作機のまま放置されていた震電などが登場するわけです。そのあたりは、「永遠の0」で凝りに凝った映画を作った山崎貴監督のミリオタぶりが発揮されています。

負けずにミリオタネタを書いておくと、震電は後方にプロペラがあり、プロペラの後ろに邪魔なエンジンや胴体がない分効率がよく、速度も他の戦闘機を圧倒する740km/hを予定していました。しかし後方に大きなプロペラがあるということは、もし搭乗員が機体の故障などで脱出しようとすると、そのプロペラに巻き込まれてしまうことが必至です。

当時は現代のジェット機のような座席ごと飛び出す射出座席の技術は日本にはなく、どうしたかというと、プロペラを火薬で吹き飛ばした後に搭乗員が脱出するという方法が考えられていました。

ところが実験した技術者によると、プロペラだけを吹き飛ばすのは難しく、テストしてみたところ、プロペラどころかエンジンまで吹き飛んだと、おそらく雑誌「丸」で読んだ記憶があります。

今回のゴジラ-1に出てきた震電には、なんと、当時同盟国だったドイツ空軍ですでに使われていた圧縮空気での射出座席が設置されていて、装置にはドイツ語で説明が書かれているところなどが芸が細かなところです。

この震電(実物大模型)は、映画の撮影のあと、筑前町立大刀洗平和記念館が購入し展示されているとのことです。

ゴジラと戦った異形の戦闘機「震電」福岡で発見!? 史実じゃ“あり得ないプレート” 貼られた意味は?(乗りものニュース)
大刀洗の「震電」には、展示当初からある“秘密” が隠されています。それは2階テラスに上がると見えるコクピット内の座席、そのヘッドレスト下部にある赤文字で書かれた白いプレートです。そこにはドイツ語で「Druckluft-Schleudersitz」(圧縮空気式射出座席)などが描き込まれています。これが示すところは、そのシートがドイツ式の射出座席であるということでしょう。

もっと詳しいのがこちら

対ゴジラ戦兵器として戦闘機「震電」は妥当か?映画「ゴジラ-1.0」のリアリティーを検証する(文春オンライン)
劇中、ゴジラを倒すことに執念を燃やす元特攻パイロット・敷島浩一(演・神木隆之介)の「ゴジラを銃撃して怒らせ、誘導するための戦闘機が欲しい」という求めに応じて探し出されたのが、敗戦から2年近くを倉庫の中で空しく過ごし、朽ち果てかけていた「震電」だった。

そんなこんなで、太平洋戦争中の兵器に詳しい人が見ても楽しめる映画でしたが、涙腺が緩い年配の人なら涙なしでは見られません。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ブロンコ・ビリー(原題:Bronco Billy) 1980年 米
監督 クリント・イーストウッド 出演者 クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック

1980年当時、すでにダーティ・ハリーシリーズで俳優としては超有名になっていたイーストウッドが監督をする7作目の作品です。

時代背景は公開と同じ1980年頃のアメリカで、西部劇活劇ショーの地方回りをしている集団を率いているのが、早撃ちガンマンとして人気のブロンコ・ビリーです。

貧乏な団体ながら、興業に加えて慈善事業なども盛んにおこなっていて良きアメリカ人を演じていますが、なかなかナイフ投げの的になる危険な役割のアシスタントが居着かず苦労しています。

そんなとき、電話代に困っている女性にお金を貸し、その返礼で無理矢理アシスタントに就かせます。その女性というのが、ニューヨークに住む大富豪の令嬢で、富豪が亡くなって相続の権利を持つ女性です。

また一座の投げ縄芸を得意とする青年が酒場で喧嘩に巻き込まれ、留置されてしまいます。公演ができなくなるので、保安官に釈放を願い出ますが、暗に裏金を要求されやむなく貯めてきた全財産を渡します。

しかし公演の開始が大幅に遅れたことで、客が暴れて客席に火をつけ、それが元で公演には欠かせない大テントが燃えてしまいます。

わがままに育った令嬢は旅芸人と一緒に地方巡業することになり、興業の先行きは?遺産の行方は?そして主人公との恋の行方は、、、という流れです。

クリント監督が製作するいつもの子供でもわかりやすい平坦な物語で、それはまた様々な人種や教育水準の一般的なアメリカ人に受けそうです。

見ていると40年以上前の映画ということもあり、最近の複雑で理解するのが難しい映画が多い中、新鮮でもあり、また容易にクライマックスの想像がつくだけにちょっと物足りなさも感じます。

★★☆

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ティアーズ・オブ・ザ・サン(原題:Tears of the Sun) 2003年 米
監督 アントワーン・フークア 出演者 ブルース・ウィリス、モニカ・ベルッチ

アフリカのナイジェリアで内戦が起こり、反政府グループが民主的な大統領を殺害し、武力で勢力を拡大していこうとする中、旧政権を支持してきたアメリカ軍は、ナイジェリアに取り残されたアメリカ人を救うためにジャングルの奥地にある教会兼病院へ特殊部隊を編成し送り出します。

しかしアメリカ人の女医は、患者を置いてはいけないと同行を拒否し、やむなく自力で歩けるナイジェリア人の患者達とともに迎えに来る米軍ヘリコプターの着陸地点へ向かいます。

しかしヘリにはアメリカ人しか乗ることができないことを知った女医は怒りだし、特殊部隊の大尉はやむなく子供と怪我人だけをヘリに乗せ、他の人達は陸路で隣国カメルーンへ向かうことにします。

しかし、なぜか反政府軍がその病院から女医達と一緒に脱出したひとりのナイジェリア人を捕まえようと躍起になって追いかけてきて、激しい攻防戦が繰り広げられることになります。

いわば現代版の「七人の侍」「荒野の七人」「プライベートライアン」みたいな感じです。

しかし自国民を救うためには他国内において、派手にドンパチやって許されるのはアメリカの特権と思っているような映画で、あまり感心はできません。

エンタメ映画とはいえ、最後は追ってきたナイジェリア兵に対して空母から発進した戦闘機からミサイルを打ち込み全滅?させるようなことまでします。

★★☆

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ゼロの焦点 2009年 配給 東宝
監督 犬童一心 出演者 広末涼子、中谷美紀、木村多江

1970年代の中学生か高校生の頃に松本清張の代表作とも言えるこの小説は読んだ記憶がありますが、何度か製作されている映画やドラマの実写版を見るのは初めてです。この2009年版の映画は日本アカデミー賞作品賞を含む11部門で優秀賞を受賞しています。

あらすじはおぼろげに記憶していますが、細かなところはすっかり忘れていて、映画を見て思いだしてきました。

物語の時代背景は、1958年頃で、ちょうど私が生まれた頃の話で、まだ終戦後の混乱の爪痕が色濃く残っていた時代です。出版はずっと後になりますが森村誠一の「人間の証明」に似たところがあります。

映画化で一番たいへんだったろうなと思ったのは、1958年の街並みや蒸気機関車などのロケ地です。エンドロールを見てなるほどと思ったのは、古い街並みなどのシーンでは、韓国でロケをおこなっていることがわかりました。

そういう時代には珍しく、女性が主役でその他の重要人物もほとんどが女性という映画です。男性はちょっとだけでしかもすぐに殺されたり自殺してしまいす。

当時は見合い結婚が普通の時代でしたので、結婚相手の背景などまだほとんど知らない新婚時代に突然夫が行方不明になってしまうというところから始まります。

それでも当時の女性としては行動的で、夫の失踪の謎を突き止めようと遠い赴任地まで出掛けていき、そこで夫とつながりのあった人を訪ねていきます。

いずれもベテラン俳優陣が素晴らしい演技をしていて、最近多いアイドル映画とは違って迫力も感情表現も素晴らしいのひと言です。

戦後の混乱期を生き延びて現代に新しい活路を開いたやや陰のある人物を描いたという点では同じ著者の小説「砂の器」の映画も良かったですが、それと同じような匂いを感じられました。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

バグダッド・カフェ(原題:Out of Rosenheim)1987年 西独・米(日本公開1989年)
監督 パーシー・アドロン、出演者 マリアンネ・ゼーゲブレヒト、CCH・パウンダー、ジャック・パランス

いきなりアメリカのラスベガス近くの砂漠をクルマで旅行中のドイツ人中年夫婦が大喧嘩をはじめ、太ったおばさん(主人公)がクルマから降り、スーツケースをもってヨタヨタと歩き始めます。

そしてそのおばさんがたどり着いたのが、ロサンゼルスとラスベガスの中間ぐらいの砂漠の中にある薄汚れたモーテルとドライブインを兼ねているバグダッド・カフェです。

バグダッド・カフェでは、黒人の女主人が子育てなどでイライラしていて、夫にも愛想を尽かし追い出してしまいますが、そうした時に謎のドイツ人中年女性が「泊めてくれ」とやってきて、不信感を募らせます。

夫と喧嘩をして行くところがない中年ドイツ人女性は、バグダッド・カフェの掃除を始めたり、赤ちゃんのお世話を勝手にして、やがてカフェの女主人や常連客などからも認められていきます。

しかし、観光でアメリカに来ていたドイツ人女性ですから、ヴィザが切れているのがバレて帰国することになり、、、

ジェベッタ・スティールが歌うテーマ曲「コーリング・ユー」は印象深い歌で、誰もが一度は聞いたことがあると思いますが、元はこの映画のテーマ曲だったのですね。

歌詞も「ラスベガスから何処とも知れぬ地へ続く荒れ果てた道 あなたが行った所よりマシなどこか 壊れかけのコーヒーメーカー くたびれた一軒の小さなカフェの中・・・」と映画のシーンが思い浮かぶ歌詞が続きます。


https://www.youtube.com/watch?v=UHkW0Cw5w94

映画ロケで使われた元々あった別名のカフェは、この映画ロケの後、バグダッド・カフェと店名を変えそのままの建物で営業中だそうです。

バグダッド・カフェ

映画向きの美女も美男も、そして悪人や死人も一切出てこない、なんだか心が清められそうな映画です。

★★☆

【関連リンク】
2023年9~10月 ゲッタウェイ(1972年)、扉の影に誰かいる(1971年)、目撃(1997年)、ミステリと言う勿れ(2023年)、ものすごくうるさくて、ありえないほど近い(2011年)、三人の名付親(1948年)

2023年7~8月 君たちはどう生きるか(2023年)、隣のヒットマン(2000年)、オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(2013年)、起終点駅 ターミナル(2015年)、ブラッド・ファーザー(2016年)

2023年5~6月 スペース カウボーイ(2000年)、幸せへのまわり道(2019年)、最後の忠臣蔵(2010年)、キネマの神様(2021年)、小説家を見つけたら(2000年)
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