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著者が過去に週刊誌や新聞等に発表した様々な書評を一冊にまとめた本です。書評としてはわずか数行だけのものが多く、極めてシンプルで「いい」か「悪い」か、「面白い」か「残念」か、「好み」か「好みでない」かをズバズバ切りまくっていて気持ちがいいです。
 
しかしいかんせん、帰国子女であり、本業がロシア語通訳で、ロシアや東欧の熱烈ファンということで、書評に上がる多くは日本人にはあまり馴染みのないロシアや東欧の現代作家や評論家などの本(和訳本)が多く、著者が「面白い」という本が果たして普通の日本人に(何を持って普通と言えるかは別として)とって共感を得られるかと言えば甚だ疑問が残ります。なんたって20世紀で一番ひかれる男性がゾルゲ(ソ連の元スパイだったドイツ人)だと言い切る人ですから。
 
もちろん書評ですから自分が思ったことをズバリと書くことはなんら問題はありませんが、「彼女が面白いと書いているのでぜひ読んでみよう!」とはなりそうにありません。なにか面白い本を探そうと思ってこの書評を読むとちょっとガッカリするかもしれません。
 
1日に7冊は平気で読むと言う著者ですから、紹介されている書籍数も半端な数ではなく、ロシアや東欧もの以外の書籍で何点か「読んでみてもいいかな」と思えるものがありました。そういうのは忘れないうちにとりあえずAmazonの「ほしい物リスト」に入れておくと、あとでAmazonの書評や、懐具合を考えて判断できますので便利です。
 
この米原万里氏は2006年5月に56歳で癌により惜しまれつつ亡くなりましたが、そのギリギリ直前までの書評が残されています。書評の日付を見ると2005年、、、2006年1月、2月、3月、4月と最後は5月に掲載後なんの予告もなくぷっつり終わっているのが泣けてきます。
 
また書評を書きながら癌との闘病記録も同時に書かれています。癌治療に関して様々な治療法を探して、自ら実験台となり新しい治療法について調べたり、受診を受けたりした記録が書かれています。そしてそこで何度も書かれているのが、多くの癌関係の書籍の多くを「余命幾ばくもない癌患者がすがりたくなる気持ちを利用し、あれを買えこれを試せという悪どい金儲けビジネス」として非難しています。
 
知識が半端なく豊富で、せっぱ詰まった上に基本的に人を疑うことが信条みたいなこういう患者さんを持ってしまった医者は、本文に何度か出てきますが「今までのお金は返すからもう来ないでくれ」ということになってしまいます。それを読むと患者のわがままにも相当問題がありそうに思え、医者が気の毒になってきます。
 
様々な治療法を試すために多くの医者にかかり、結果、心から信頼できる医者や治療法に巡り会えなかった(と推察する)不幸もあるのでしょうが、著者は命をかけていたわけですから、納得がいかなければ喧嘩も持さずで、患者のわがままとばかりは言ってられないかなと思います。
 
ま、才色兼備で国際的な人脈が豊富で、時の総理大臣のモーションすら袖にした貴重なある意味貴重な女史を失ったことを惜しむひとりです。

著者別読書感想(米原万里)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
死角 オーバールック (講談社文庫)  マイクル・コナリー

現代的なハードボイルド主人公ハリー・ボッシュシリーズ13作目で2007年発表の作品です。1990年代半ばに出たシリーズ第1作「ナイトホークス 」で虜となり、それ依頼ずっと文庫が出ると買って読んでいます。今回の作品は今までと比較すると短めです。
 
ストーリーは、ロス市警殺人課の刑事ボッシュが偶然担当することになった事件に、FBIが関与してきて、元恋人だったFBI捜査員と前作に続き解決に当たるというものです。二重三重に仕掛けられた謎や、毎度お馴染みのFBIとロス市警の対立関係などが盛り込まれています。
 
前作長編「エコー・パーク 」で気合いが入りまくりだったのに対して、この作品はイマイチ乗り切れていないような感じを受け、私の中では凡作の部類に入るかも知れません。当初か偶然が重なるご都合主義的な、例えば知的で計画的な犯人がたいへん重要な犯罪の証拠品を、犯行現場近くの街のゴミ箱に廃棄するなんてことがあるはずもなく、そういった無理な設定に飽きてきたのかもしれません。
 
すでにアメリカでは出版されているらしい次回作に期待しますが、もしそこで、期待が外れてしまうようならば、今後私の愛読書から外さざるを得ません。現在売れっ子だからといって安心していては、次々と出てくる若くて野心のある作家に一夜にしてコケにされますよ。と言ってもそういう声が届くわけもなし。

著者別読書感想(マイクル・コナリー)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
この高嶋哲夫氏は2000年に初出、2004年に文庫化され、2007年に映画にもなった核兵器を搭載した米軍戦闘機が冬の日本アルプス山中に墜落し、それを奪取しようとする北の兵士と自衛隊員との闘いを描いた「ミッドナイトイーグル 」で一躍有名になった作家さんですが、クライシスノベルを得意とする方のようです。
 
私はこの作家さんの本は、その「ミッドナイトイーグル 」と、石油枯渇問題を一気に解決することができる石油を作り出す特殊なバクテリアを日本人研究者が発見する「ペトロバグ―禁断の石油生成菌 」(2007年文庫)を過去に読んでいます。
 
ところが、この小説では従来のイメージとは趣向がガラリと変わり、サラリーマンの誘拐事件を核とした多少ハードボイルド的要素を交えた中年男の人間ドラマです。昔の小説だか映画の宣伝文句にあった「ダメ男にも意地がある」みたいな感じです。
 
ストーリーは、妻子がいながら仕事一辺倒で家庭をまったくかえりみない中年エンジニアが、社長の自宅へ報告書を届けに行った帰り道、社長と間違えられて誘拐されてしまいます。しかし誘拐した犯人の男女と隠れ家で交流を深めていくうちに、なにかがおかしいことに気がつき、、、というものです。
 
ちょっと過去の小説のイメージとは勝手が違い、最初は戸惑いましたが、なかなかよく考えられて作られていると思います。ただ、高度成長期ならいざ知れず、企業の幹部が社員を殺害してまで保身をしようとするのは、ちょっと考えにくいことだったり、上場企業を退職した元社員が、勤務していた企業の社内ネットワークにいとも簡単に侵入できたりするのは、あまり現実的ではないかなと思ったり。
 
ま、それほど細かなところにリアリティを追求するのが目的ではないのでいいのですが、タイトルにもなっているファイヤーフライ(蛍)については、タイムリーに印象的なことがあります。
 
それは少し前に福山雅治が出ていた東芝レグザのテレビコマーシャルで、CGでしたが蛍のかたまりが突然ばらけていくシーンがありましたが、そのシーンとこの小説の中で誘拐の犯人だけが知っている蛍の墓場へ誘拐された主人公を連れていき、互いに心を通わす場面とが重なりました。文章ではなかなか伝わりにくいシーンですが、この世とは思えない蛍が創り出す美しいイメージが想像できました。

著者別読書感想(高嶋哲夫)
 
 

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