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「今年3月末現在の全国の生活保護受給者は202万2333人(世帯数145万8583世帯)で、戦後混乱期の1952年度以来、59年ぶりに200万人を突破したことが14日、厚生労働省の発表で分かった。また受給世帯数も1952年度の統計開始後、過去最多を更新した。」という記事がありました。
日本の人口は1億2800万人ですから、その中で生活保護を受けている人の割合は1.6%で、世帯数で見ると全体で約3%、高齢者世帯を抜粋すると6%超となります。世帯数で見ると割合が高くなるのは単身世帯の受給者が多いことを指します。
そして生活保護予備軍として、この先65歳になっても年金がもらえない65歳以下の人は全国におよそ80万人いて、さらにこのままだと年金はもらえないが、過去にさかのぼり高額の年金を一度に支払うことができれば些少な年金が支給される人が約110万人います。
ここからは推測ですが、過去にさかのぼって掛け金を一括して支払えば年金がもらえる110万人の中高年者のことを考えてみると、単純に忘れてたという人は少なく、経済的な理由や信条から支払ってこなかった人が多く、例えば過去10年分妻と二人分360万円を一度に支払えるかというと、あまり現実的ではないような気がします。そのような中高年者は結局年金ではなく生活保護を選ぶことになるでしょう。
この合わせて190万人の無年金予備軍はすでに中高年層で(若年層はこれから支払えば25年に足る)、経済環境から50歳代以上の再就職は難しい上に、肉体的にもどんな労働もいとわない人ばかりとは限りません。
逆にこの無年金予備軍の中には、年金や生活保護に頼らなくても、すでに老後の資金を十分に蓄えている人や、老後は子供や親族に扶養してもらえる人達がいると思われますので、全員が無年金で生活保護に頼るというわけではありません。
しかし核家族化、少子化、DINKS(子供なしの共稼ぎ夫婦)の世代が高齢化を迎え、頼るべき子供や親戚がいないケースや、長引く不況とデフレで、社会人になった子供は正社員ではなく、収入や雇用に不安定なフリーターだったりするケースもありますので、とても親の面倒まで見られないという現実的な問題も考慮しなければなりません。
ニートで無収入な子供が親の年金を頼りにして暮らしているというニュースも最近よく耳にします。
またある程度の貯蓄や財産を持っている人は、今まで年金を支払ってこなかったとは考えにくいので、年金受給資格に満たない人の多くは、手続き上のミスでなければ、裕福な世帯ではないことが容易に想像ができます。
それらを考えると、現在200万人の生活保護者数に、今後10数年のあいだに上記の無年金予備軍190万人のうちザックリ半分の100万人が、新たにな生活保護受給者として加わってくる可能性があります。
さらに世帯主の完全失業者が150万人を突破しようとしている中で、このまま若年層、中高年層の雇用状勢が改善しなければ、無年金高齢者との相乗効果(今までは無職の子供でも親の扶養や援助でなんとか暮らせていた)によって劇的に申請が増えていくことになります。
日本の場合、本来は生活保護が受けられる立場であっても、世間体を気にしたり、あるいは知らなかったということで受給していない潜在的な生活保護者候補が相当数いると言われています。
役所へ申請に行ってもなんだかんだと高圧的に門前払いされるケースもあると聞きます。また役人に著しくプライドを傷つけられ、頭にきて申請を取り消すようなこともあるそうです。
役所からすれば、受給率(人口に対する生活保護者数の割合)がそれぞれの役所で低いほど評価される仕組みですから、なんとか支払わなくても済むよう努力をします。
また誰からも扶養されていない年金だけで生活している高齢者の年金支給額が、生活保護の受給額と比べて少なければ、その差額は生活保護の申請をすればもらえます。
しかし福祉費の支出をできるだけ抑えたい役所が、それらを積極的にPRすることはありません。
すでに財政的には年金はパンクしていると言われていますが、人口統計を見れば年金システムが将来どうなるのかというのはあきらかで、これほど予測しやすいものはありません。
それを知っていながら、なにも手を打ず、政治家や役人への利益誘導をしてきた歴代の与党政治家(自民党)と、厚労省官僚達の責任はとても重いはずです。
しかしそのツケは誰も責任を取らず、挙げ句の果ては消費税アップをおこない「無年金者に対しても平等に年金を」とか言い出しています。
税金を上げて、年金を納めてこなかった人にも年金を支払うというのは、真面目に25年以上年金掛け金支払ってきた人にとって不平等であることは一目瞭然です。
かといって、無年金者の多くが将来生活保護を申請するなら、結局は税金を投入することとなり同じことです。
少なくともこれらを改善するには、責任ある政治家と官僚に最大の痛みを持ってもらうため、議員数と厚生労働省役人の大幅な削減と、家賃の高い霞ヶ関から出て僻地への移転、議員住宅や公務員住宅などの特権や優遇策の撤廃を最低限の条件として実行してもらい、その後ならば仕方がないかなと思っています。
でもきっと既得権益は絶対に手放したくないのでできないでしょう。
また生活保護は本来憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」ために、母子(父子)家庭への育児中の経済・教育支援や、身障者や病気・怪我で働けない人への生活・福祉支援であったはずですが、いつの間にか、職をなくした自由労働者と、「ヤ」がつく自由業の人達、無年金高齢者の多い制度になってしまい、それが過去最大となり、今後も増え続けていくというのが生活保護の実態なのでしょう。
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