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(1)0増5減の衆議院選挙区

2013年6月24日、衆院小選挙区定数の区割り変更により0増5減案が可決成立しました。最高裁判所での相次ぐ「違憲」や「違憲状態」の判決で待ったなしで急がれた結果による妥協の産物とも言える決着でした。

この際、審議をしなかった参議院がどうだとか、与野党間の合意がどうだとかというのは抜きにしても、3年前の国勢調査の人口統計でかろうじて2倍未満に抑えることを念頭におかれ、抜本的な選挙改革にはほど遠い結果となりました。

参議院選挙でねじれが解消された与党は、引き続き国会議員定数の大幅削減や、その先にある参議院の存在意義についての議論を始めることが可能でしょうか?

結局は、国会議員が自ら職を失う可能性が高まる法案に真剣に取り組むはずもなく、このまま、再び最高裁で違憲判決が出続けて始めて重い腰を上げて動き出すぐらいのスピードでしょう。


(2)選挙のネット活用

7月の参議院選挙からネットが解禁されました。正しくは「選挙運動にネットを使うことが一部だけに許されるようになった」というだけで、世界的なネットを利用した選挙の流れから見るとまだまだ大きく遅れていると言わざるを得ません。

ひとえにこうした法律を作る人達(決定権のある長老)のネットへの理解不足が促進の障害になっていることは明かです。

今回のネット選挙で大儲けしたのは、政党も候補者もわけがわからないので、丸投げして頼るしかなかった大手広告代理店や、一部のWeb系のシステム会社ぐらいで、経済的な影響はほとんどなかったと言えるでしょう。

それよりも、期待したほど若者の投票率は上がらなかったようで、これはネットを使う、使わないにかかわらず、国民全体の政治に対するあきらめというか、期待できないという表れです。

特に今回は与野党間の対決構造の大きな焦点が見あたらず、今回はぜひ投票しなければと言う浮動票があまり動きませんでした。そうなると地盤(よく組織された後援会)、看板(有名人や地元の名士)、カバン(金)のある自民、公明、共産が強く、その通りとなりました。

もし本当にもっと投票率を上げたいのなら、中・高校生への政治教育の徹底は基本として、それこそネットで自宅からでも投票が可能とする仕組みや、いきなりそこまでいかずとも、投票をコンビニや郵便局に設置した専用の投票マシンから可能とするなど、投票してもらいやすくする仕組み作りが重要で、旧態依然のやり方では無理でしょう。

今回のようにやっていいことと、ダメなことがいくつもるような中途半端なネット選挙では、どこまでやると選挙違反になるのかがよくわからないまま進み、またネットの世界では次々と新しい使い方や仕組みが生まれてくる中で、結局はよくわからないまま、見切り発車的におこなわれました。

ネットを活用すると決めたら、ブラックリスト方式で禁止事項だけを決め、それ以外はすべて解放すべきでした。ただネットに限りませんが、ただ金持ちだけがたくさん露出できるという候補者の有料広告については、なんらかの規制が必要でしょう。

その他のネット利用については、候補者であれ、有権者であれ、何をどう使おうと自由にして、一般国民が自由にその討論や議論に参加できるようにして、友人や知人に対して自分の主義や主張、応援している候補者を伝えることも可能とすべきで、それがなにか問題があるとは思えません。


(3)柔道やサッカー、プロ野球など公益団体代表の進退

多くの公益法人は、別の味方をすれば特定の業界や団体の利益代表の機能を持ち、それはまた紐でつながっている官公庁の利益誘導機能も併せ持っています。

理事長職は名誉職でもあり、天下り官僚のお飾りというケースも多くありますが、そうでない場合は、それぞれの業界やもっと上のクラスの社交界で、権力志向の強い人がなっているケースがよくあります。

現在の柔道やサッカー、プロ野球のそれぞれの公益団体の理事長やコミッショナーは、いずれもギラギラの権力志向が強い人達のようで、不祥事で自分が責任をとって辞めることなど、絶対にありえないしあってはいけないと思っている人達です。

体罰やセクハラ、補助金の不正流用など問題が噴出した全日本柔道連盟の会長は、投書はどこ吹く風の態度でしたが、さすがにバッシングが強くなり、下手をすれば公開の場で引きずり下ろされてしまう事態にまで発展してきたことに危機感を感じたのか、8月末にようやく辞任をすることになりましたが、これははまだ異例のことです。

問題が起きたときの責任は、例え部下や他人になすりつけてでも、自分は無関係と開き直り、天命と信じて疑わず、人々から尊敬を受ける役職を全うし、(表面上だけでも)惜しまれつつ、自らの意志で勇退をするのが美学だと強く思っています。そのことによって叙勲の道も開けてくるというものです。

その辺りの感覚が一般国民や各種スポーツに精を出している選手達と大きく乖離しているのは当たり前のことで、これは独善的な経営者とその従業員との関係や、学閥でグルグル捲きにされた医学会、年功序列を守り抜く官僚機構、特権階級意識の強い世襲政治家などと共通したところがあります。

骨のあるジャーナリストならば徹底糾弾して、それこそキャンペーンでも張って、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌、週刊誌、ネットを駆使して「ならぬものはならぬ」と筋を通すべきなのですが、そのようなキャンペーンは我が身や我が社の総帥の意志に反すると見ておこなわず、逆に貧困層からのし上がってきて目障り耳障りなことをする成り上がり者の橋下氏などを、徹底的に糾弾し痛めつけることばかりに専念します。

日本では表向き階級制度はなくなったとされていますが、年収何億円というテレビキャスターや、30才で軽く年収1千万円を超える新聞記者やテレビ局員などは、明らかに資産家や事業家、世襲政治家など持てる者と同類の立場、近い階級と言ってもよく、その人達が作った番組や紙面、語る言葉を鵜呑みにしてしまうようではその階級とは一生縁がないと言っていいでしょう。

そしてこのような玉虫色の解決こそが、権力者と一部のマスコミが共同して作り上げた、一般国民を押さえ込む作戦であることはあまり知られていません。

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