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赤猫異聞 (新潮文庫) 浅田次郎

単行本は2012年、文庫版が2014年12月に発刊されました。文庫が出るとなにも考えずすぐ買ってしまう浅田次郎氏の長編時代劇です。

赤猫とは元々は「赤猫を這わす」ということから火付けや放火を意味する江戸時代からある隠語のようですが、それが転じて火事を意味することも多いようです。

ちょうど10年前、2005年に読んだ重松清著「疾走」の中では、主人公の兄の放火犯を「赤犬」と呼び、その家族を村八分にする土地の話しが書かれていたのを思い出しましたが、地域によって猫だったり犬だったりするのでしょう。

昔から「喧嘩と火事は江戸の華」と言われるぐらいに、江戸ではしばしば大きな火事に見舞われています。

そして、今で言う刑務所、江戸時代は牢屋敷と呼ばれていましたが、そこに閉じこめられていた罪人も、その大火が近くまで迫ってきた時には、一時的に解き放ちがおこなわれることがあります。

物語の時代は慶応から明治に変わり、その元年の暮れも押し詰まった頃、ちょうど江戸の牢屋敷で不可解な斬首の刑が実行されようとしていた時に、半鐘が鳴り響きます。火事が起き火が迫ってきたことから、牢につながれていた罪人達の解き放ちが実行されます。

その中でも重罪人と言われているのが「客分で招かれていた地場の親分に裏切られ、賭場の全責任をかぶらされた信州無宿繁松」、「旗本の次男で新政府の役人相手に夜な夜な辻斬りをしていた岩瀬七之丞」、「悪党の与力にうまく利用された末に捨てられた夜鷹の元締めで江戸三美人の白魚のお仙」の3人です。

解き放ちの際にこの重罪の3人だけは後々面倒だから大火事のどさくさに紛れて切って捨てようとした同心仲間を信義にもとると説得し、「三人のうち一人でも戻らなければ戻った者は死罪、三人とも戻れば全員が無罪、全員が戻らなければ牢屋の鍵役同心が切腹」という妙な条件を付けて解き放されることに決まります。

そして、時代は平和な明治に飛んで、その三人や番人から解き放ち後に起きた不思議な出来事を伝聞として書き残すため、役人が聴き取りに回るというストーリーです。

こういうストーリーは黒澤映画にもなった芥川龍之介の「藪の中」で使われたものと同様の流れですが、最後に「種明かし」と「浅田流泣かせ処」が用意万端整えられています。

とっても面白かったです。おそらく「壬生義士伝」同様、そのうち映画化が企画されるのではと思います。

著者別読書感想(浅田次郎)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

殺人鬼フジコの衝動 (徳間文庫) 真梨幸子

2008年に単行本、2011年に文庫化された大ヒットしたミステリー小説です。最初はタイトルから受ける印象は、山田宗樹著の「嫌われ松子の一生」みたいな話しかなぁと思っていましたが、読んでいる途中には百田尚樹著の「モンスター」にも似ているか?と感じたり、過去に読んだいろんな作品が頭の中をよぎります。

ネットではこの小説の仕掛けについて喧喧囂囂と議論や感想が述べられていますが、私も最後まで読んだ後、ちゃんと内容が理解できていませんでした。

ネットでのネタ晴らしを読んで「あーそうなのか」ってわかったぐらいです。頭がよくて勘のいい人ばかりじゃないのだから、そんなにややこしい仕掛けにしなくてもいいのになっていう感想です。

最初からどうも凝りすぎていて途中でどうなっているのかスッキリしないまま読み進めていくことになりますが、こうした最後まで読んだあと、再び最初の話しを読み返して考えないと気がつかないというマニアックな内容がいいと言う人がいるのでしょうかね。

内容はとにかく、自分の都合で簡単に人を殺して、証拠隠滅のため解体したり、子供を虐待して死なせたりと、やたらと殺しやいじめのシーンが平板に出てくる後味の悪い小説です。

ま、ミステリー小説の中で殺人が起きるのは半ば常識ですが、それにしてもちょっとやり過ぎの感があって、あまりにも非現実的なホラー色、カルト色満載で、どこか未知の世界の出来事って感じですが、そういうのがたまらなく好きっていうマニアがいても、小説の世界ならば別に不思議ではありません。私個人的にはもういいですけれど。

著者別読書感想(真梨幸子)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

モップガール (小学館文庫) 加藤実秋

2007年に単行本、2009年に文庫化された小説で、その後シリーズ化され2012年には続編の「モップガール2 事件現場掃除人」が発刊されています。

また2007年には小説と設定が少し違っているようですが、北川景子主演でテレビドラマ化もされています(見たことありません)。

元々はテレビドラマ化をする目的で書かれたということで、登場人物、ストーリーともわかりやすくというか単純に描かれています。

内容はアルバイト募集の広告を見て、清掃会社で働くことになった主人公の若い女性は、仕事をしてみてビックリ、事件や事故の生々しい現場の後を掃除するいわゆる特殊清掃もおこなっている会社です。

次々人が殺される「殺人鬼フジコの衝動」のあとにまた生々しい殺人現場の小説かい!って思わなくもないですが、たまたま山積みにされた中から手に取ったのがそれというだけで、他意はありません。

作品は連続テレビドラマ化に便利なように、連作短編形式で、主人公の女性が特殊な各清掃現場で、突然体調に異変が起き、五感に直接訴えかけられ、それが事件の謎や真相を暴き出すという単純な流れです。

なので最初の1話を読んだ後は、その変形バージョンの繰り返しに過ぎず、やや興味も落ちてしまうのが難点かな。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

「意識高い系」という病~ソーシャル時代にはびこるバカヤロー (ベスト新書) 常見陽平

著者は典型的な元リクっぽい感じで、頭はいいのだろうけど、理屈が多くて好きには慣れないタイプの人だなと思っていましたが、面白そうなタイトルにひかれて読んでみました。

著者も自ら20代の頃は「意識高い系(笑)」だったと述べていて、その経験を元に、アラフォーになった現在(出版は2012年)振り返ってみて感じたことが書かれています。

Amazonのこの新書の書評では散々なことを書かれていますが、私は読んでみて意外?とすんなり納得のいくところも多々あり、バラエティ番組をボーとみているかのように楽しく面白く読めました。著者もプチ炎上商法をうまく利用されているそうなので、賛否両論あるのは承知の上のことでしょう。

私のような団塊世代と団塊ジュニア世代に挟まれたいわゆる「しらけ世代(笑)」にとっては、団塊世代に散々いいように使われ、振り回されたあげく、今度は団塊ジュニア世代から突き上げられたり、中途半端とバカにされてきて、その両世代には恨み神髄というか、気持ちは分かり合えないものと自覚しています。

著者はその団塊ジュニアど真ん中な人で、団塊世代の中にも少なからずいた自意識過剰気味なリーダー的存在と、文字通り親子そっくり似ていると言わざるを得ません。

いや、著作がつまらないというのではなく、人間的な暖かさがないというか、上から目線で下々を嘲笑している感じが、常に引け目や負い目を感じている人(私)にとっては、なんだか身につまされる思いがするのです。

内容は、「意識高い系(笑)」の若者の時代的な変化や生態を面白おかしくまとめたもので、一緒になって「あるある」と嘲笑した向きには著者と一体感がもてるのではと思われます。


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