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働き方改革により、来年4月からは有給休暇の取得が義務づけられたり、また介護や育児のために在宅ワークがオープンに認められたりと多様な働き方が実現していくことはたいへん結構なことです。
通常の有給休暇の付与日数は、フルタイムで勤務している人であれば、勤続7年目以降は法定で20日間となります。
さらに一般的な日本の会社であれば、夏休み3日間、年末年始休暇5~6日間は有給相当として特別休暇がありますので、それらの休暇をすべて取得すると年間の有給休暇日数は29日となります。
今年2018年を例にとると、1年間で出勤するべき日数(平日)は248日、休日(土・日曜日、祝日)は117日です。
その休日に上記の有給休暇20日間と夏と冬の休み計9日を休日に加えると、出勤すべき日数は219日、休日146日となります。
1ヶ月の平均出勤日数は219÷12ヶ月=18.25日ということになります。
さらに、法定で取得が可能となっている育児休暇や介護休暇、企業によっては長期間勤続者に与えられる有給のリフレッシュ休暇、女性には無給でしょうけど生理休暇など、個々に設定があり、もしそれらが利用できるならば、さらに休日日数は増えます。
もっと言えば、休日ではありませんが、週のうち何日かは在宅ワークが可能だったり、自宅の近くにあるサテライトオフィスへ出勤して仕事をしても良いという制度が一部では始まっています。
そうした多様な働き方によって、せこい!と言われかねませんが、ちょっと考えないといけなくなるのが、通勤手当、通勤定期という制度でしょう。
派遣社員や非正規社員の一部を除き、ほとんどの会社員や官公庁職員は、なんらかの公共交通機関を利用して通勤し、その通勤費を手当として支給されています。
その通勤手当は、基本的には1ヶ月の通勤定期代というのが多いのではないでしょうか。中には3ヶ月定期代や6ヶ月定期代の支給という場合もありますし、アルバイトなどは出勤日の実費精算というケースもあります。
ところが、上記に書いたように休日が増え、出勤日数が減ってくると、しつこく言うとせこいようですが、この定期代支給という制度にいろいろと問題が生じてきます。
例えば夏休みのある8月や年末年始の12月や1月、元々日数の少ない2月、ゴールデンウィークの5月、シルバーウィークの9月など、それらの休日に合わせてまとめて有給を取得する時があれば、出勤日数がかなり減りますから、定期代をもらっておきながら定期を買うメリットがなくなります。つまり定期代でペイする月としない月が混在するわけです。
それでは、通勤定期代の1ヶ月料金、3ヶ月料金は、各々何日分換算でしょうか。任意の区間で試算しています。
1ヶ月定期 | 3ヶ月定期 | |
---|---|---|
JR(松戸~新橋間) | 15日分 | 43日分 |
東京メトロ(和光市~池袋間) | 17日分 | 49日分 |
都営地下鉄(本八幡~市ヶ谷間) | 17日分 | 53日分 |
東急(渋谷~横浜間) | 19日分 | 53日分 |
京王(新宿~京王八王子間) | 19日分 | 54日分 |
小田急(新宿~登戸間) | 19日分 | 53日分 |
京急(品川~横浜間) | 20日分 | 56日分 |
JRの定期代は1ヶ月定期でも15日以上出勤日数があれば定期(1ヶ月)がお得になり割安感があります。これだと問題は少ないでしょう。
ところが、私鉄だと1ヶ月に19日~20日以上出勤しないと定期(1ヶ月)はお得になりません。
上記で書いたように、有給休暇などをフルに取得した場合、1ヶ月平均で18.25日しかなく、しかも休日の多い今年の9月は有給をまったく使わなくても平日は18日しかありませんので、そういう月に私鉄で1ヶ月の通勤定期を購入するメリットはありません。
もっとも、通勤定期を通勤以外、例えば休日の買い物や趣味での外出時にも利用するというのなら問題ないですが。
また1ヶ月定期なら単純計算で損でも、3ヶ月定期なら平均するともう少し平均日数が下がりますので均せば損しないということになるかも知れません。
電車の通勤定期以外にも、例えば駅まで自転車やバイクで通勤する人が利用する駐輪場の費用も同様で、働き方改革でこの駐輪場の定期利用も見直す必要が出てきます。
川崎市の駐輪場は場所によって金額が違いますが、一例をとると、1日利用の場合、自転車100円、原付バイク150円のところ、1ヶ月定期は自転車1700円、バイク2500円となっています。
この1ヶ月定期金額だと自転車もバイクも17日分で元がとれる計算で、それ以下の利用だと定期を利用するメリットは金銭的にはないことになります(一時利用の場合、早い者勝ちで駐輪場所に空きがなくなるケースがありますが、定期利用は優先的に駐輪場所が確保されるという別のメリットがあります)。
昔のように、一律で通勤手当を定期代で支給という制度も、この働き方改革によって、変わってくるのかも知れません。
また通勤手当があるから、遠距離通勤者が減らず、会社の往復で疲れ果て、生産性が悪く非効率な仕事となるので、通勤定期は廃止すべきという、ちょっと乱暴な意見も出てきています。
これは、会社から遠い場所に安い住居費で住む人と、会社の近くで高い住居費を払っている人のあいだで、通勤費の高低が差別になっているという考え方です。例えば会社まで徒歩で通える人は、通勤費ってもらえませんから悔しく思うでしょう。
現在は税制で、通勤費は所得税が非課税になるというメリットがあり(限度あり)、それを利用するというささやかな庶民の節税対策ですが、今後、多様な働き方を推進していくのならば、こうした税制や制度の見直しが必要になってくるのではないかと思われます。
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