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孤舟 (集英社文庫) 渡辺淳一

2010年単行本刊、2013年に文庫版刊の定年後の男の悲哀と希望を描いた長編小説です。

医者として長く勤務されていたので、直木賞受賞作となった「光と影」など医療や病院に関係する小説や、「失楽園」など官能的な大人の恋愛小説で人気だった筆者に、このような定年後の男の惨めな姿をコミカルに描く小説があったとは知りませんでした。

著者は4年前に亡くなっていますが、この小説の団塊世代の主人公よりもずっと前の世代に生きた人で、この小説を書くにあたっては、様々な後輩達から定年後の話しを聞いて、それがこの小説のネタになっているものと思われます。

主人公は大手広告代理店で、執行役員まで上り詰めたものの、60歳になり大阪の子会社の社長へ転出を言い渡されますが、今さら転勤する気はなく、それを断り、会社を辞めてしまった団塊世代の男性です。

「男は仕事、女は家庭」という昭和時代の典型がモデルとなっていて、いかにもありそうな、そして定年後に起きそうなことが次々と予定調和的に起きます。

映画「家族はつらいよ」でも団塊世代の男性が主人公で、まったく似たような展開ですので、こうした団塊世代の男性は一種定型パターン化され、思い込みというかステレオタイプばかりでちょっとその点が気になります。

それにしても、この世代の平均図と言うとオーバーかもしれませんが、この主人公は二子多摩川(東京都世田谷区)にあるローンを終えた100平米もある豪華マンションに住み、60歳から企業年金がたっぷりともらえ、その他にも貯蓄した退職金もあって、仕事を辞めてから半分に減らされたものの、毎月5万円のお小遣いでは不満と言う主人公の設定は、これから60歳を迎えようとする人達にとってはなんとも羨ましい限りです。

さらにこの主人公、妻がプチ家出したことに乗じて、入会金5万円のデートクラブに入会し、1回デートするたびに2万円と、デートの費用を全部負担という、まったく贅沢三昧の生活です。

映画「家族はつらいよ」でも、団塊世代の主人公は横浜の住宅街にある大きな1戸建てに商社勤めの長男夫婦、孫達と住み、長男以外の子供達もそれぞれ結婚し、時々実家に帰ってくるという仲の良い家族がモデルとなっています。

それらが団塊世代の定年後の象徴だと言われると、そんなものかなとも、ちょっと違うんじゃないかとも思えてきますが、両者とも面白おかしく多少の波風は立ちますが、なんとも優雅な定年後です。

定年後、仕事を辞めた途端に毎日朝起きてから「なにやろうか」と悩むことが書かれてますが、よほど仕事一筋で趣味はなく、友達もいないという人でなければ、そうはならないかな。

それよりもお金がないので、なにもできず、どこにもいけず、家でジッと引きこもりって人がこれからは増えていきそう。

ただ、今まで、なんでも他人が代わりにやってくれていたことを、自分で(自分も)やらなければ進まないということはあり、そうしたことの中でも家事(料理や掃除、ペットの世話、近所付き合いなど)の習得だけでもしばらくは忙しく過ごせそうです。

★★☆

著者別読書感想(渡辺淳一)

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天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫) 村山由佳

著者の多くの作品の中では初期の作品で、1994年刊、文庫が1996年刊の恋愛小説です。

その後に続編として10年後を描いた「天使の梯子」(2004年)、さらにその4年後を描いた「天使の柩」(2013年)、スピンオフの短編小説「ヘヴンリー・ブルー」(2006年)などがあります。

さらにこの作品を原作として映画が2006年に制作されています。監督は冨樫森、出演者は市原隼人、小西真奈美、沢尻エリカなど。

単純に言えば女性作家が描くベタベタのハードロマンス小説で、住野よる著の小説を原作とした映画が大ヒットした「君の膵臓をたべたい」と似た、悲恋に終わる恋愛小説の見本、テンプレートみたいな作品です。

主人公は高校卒業し美大を受けたけどダメで予備校通い中の男性と8歳年上の精神科医との恋ですが、まず出会いからして、電車の中がラッシュで窮屈だったのを助けてあげ、その後、主人公の父親が入院した精神病院で偶然にも父親の主治医となった彼女に再会します。

しかもその彼女は、またまた偶然にも高校時代に付き合っていた女性の実姉というおまけ付き。あり得ないでしょう。

ま、一度は、こうした偶然がもたらしてくれた、燃えるような恋愛をしてみたい!と思うのは男女ともに共通することなのでしょうね。30年ぐらい前ならともかく、オッサンにはもう残念ながら共感を感じられません。

と言いつつこの著者の作品を読むのは3作品目で、直木賞受賞作「星々の舟」(2003年)、柴田錬三郎賞など3賞に輝いた「ダブル・ファンタジー」の2冊をいずれも2013年に読んでいます。

中毒性があるのか、忘れた頃にきっとまた別の作品を手に取ってしまうのでしょうねぇ、、、

★★☆

著者別読書感想(村山由佳)

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完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫) 若林正恭

雑誌ダ・ヴィンチに2010年から連載していたコラムというかエッセイ「オードリー・若林の真社会人」を2013年に書籍化したもので、2015年にその後の追加をした完全版の文庫が出ました。

著者は漫才コンビオードリーの小柄なツッコミ担当のほうで、相方の春日俊彰がムキムキの身体を誇張するど派手で奇抜なイメージだけに、陰に隠れたような存在です。

個人的には著者や相方が出るようなバラエティテレビ番組はまったく見ないので、この本を読むまでは、オードリーという漫才コンビ名ぐらいは知っていても、その漫才師の名前までは知りませんでした。

内容は、大学を卒業し、相方とコンビを組んで始めた芸人生活も、なかなか売れない頃の話しを思いしろおかしく書いているのと、その後急に売れ出して、自慢話しではなく、この人気は一過性で、そのうち売れなくなる日がきっとくると、それに恐れながらも連日多くの仕事をこなしていく日々の話し。

人を笑わせてなんぼの世界にいる人が、なんてネガティブで後ろ向きな見方、考え方をする人なんだ!って思いましたが、世の中案外そういうものかもしれません。

ま、エッセイを読む限りは、著者は人気の芸人さんとは言え、ネガティブ思考も含め、取り立てて言うこともない、普通の方ですね。

特段、おぉ!と感心することもなく、自分の性格やら、考え、出来事の感想などが淡々と綴られているような感じで、日記ブログの延長と言うことなのでしょう。

この本を出すきっかけとなったのは、雑誌ダ・ヴィンチへの寄稿ですが、その前には長くブログを書いていて、それに対してネット上で「中二病」という批判というか評価が高まってしまい、やめてしまったということも書かれていました。

若くて壁にぶつかっている人が読むと共感を得られるかもしれませんが、60歳以上の年寄りが読むにはちょっと気恥ずかしい感じもします。

★★☆

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沈黙の町で (朝日文庫) 奥田英朗

この長編小説は朝日新聞朝刊に2011年から2012年にかけて連載されたもので、2013年に単行本として、そして2016年に文庫版として発刊されました。

著者の書く小説は、コミカル系、シリアス系などどれをとっても大好きで、文庫になったものはほとんど読んでいます。

直木賞にも輝いた「空中ブランコ」を含む「精神科医・伊良部シリーズ」はもちろん、映画やドラマになった「サウスバウンド」「オリンピックの身代金」などもどれも気に入っています。

普段はあまり好んで読まないエッセィ集も、著者が書いた「港町食堂」は、これは読まなくちゃと思って買ってきました。

5月後半の読書と感想、書評「港町食堂」2015/6/3(水)

この小説の内容はシリアス系で、しかも中学生のいじめ問題や、学校と親たちの葛藤を取り上げたかなり重い内容となっています。

地方都市の中学校で生徒が転落して亡くなっているのが発見されます。直前まで一緒にいたテニス部の同級生達との関係は?という点が焦点となっていきますが、生徒はもちろん、学校関係者、生徒の保護者たち、警察、検事、新聞記者などが入り乱れ、事件の真相が徐々にわかってくるという流れです。

新聞小説という長さが決まった小説の性なのかどうか不明ですけど、ちょっとあちこち余分と思えそうな話題に飛びがちで、それがちょっと気になるところです。

新聞連載小説の場合、毎回新聞紙上で読むと気にならなくても、こうした文庫で一気読みをすると、ちょっとまどろっこしく感じることがよくあります。

単行本で出すときには、多少は見直されているのでしょうけど、どうせなら、新聞で使われた挿絵でも入れた上で、思い切ってバッサリ余計な脂肪は削っちゃうというのも必要かも。

ビックリするようなミステリー仕立てではなく、モンスター保護者や、学校関係者の危機管理の無能ぶりとか、実際起きそうな事象が丁寧に書き込まれているという印象です。

★★☆

著者別読書感想(奥田英朗)

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流れ星が消えないうちに (新潮文庫) 橋本紡

2006年に単行本が、2008年に文庫版が発刊された長編小説で、2015年にはこの小説を原作として柴山健次監督、波瑠や入江甚儀、葉山奨之らの出演で映画が公開されています。

いわゆるユルフワな恋愛小説で、60過ぎたオッサンが読むにはちょっと気恥ずかしく、また感情移入も難しいものですが、現代の恋愛事情をユルく知るにはまぁいいかなと。

特に最近は、内容を知って本を買うことは少なく、誰かが推薦していたり、この小説のように「新潮文庫100冊」に入っていたりするものを適当に買っているから、自分に合ったものかどうかは関係なくよく読むようにしています。

主人公は二人いて、ひとりは父親が遠くへ転勤したためにひとりで実家暮らししている若い女性、もうひとりはその女性と同級生の若い男性。

女性には同級生だった彼氏がいましたが、海外をひとりで旅行中に事故で亡くなり、その後に同じく同級生だった別の男性と現在付き合っています。

日常のことが淡々と語られ、亡くなった恋人との思い出や、恋人が亡くなった状況に一抹の不安があったりして、悶々としています。

新しい彼氏は死んだ恋人とは同級生で親友の間柄。つまり傍から見ると、親友が亡くなったおかげで彼女と付き合うことができたというこれもまた悩ましい立ち位置です。

そうしたちょっと複雑な関係から、父親が突然母親と気まずくなって実家へ帰ってきたり、新しい彼氏と父親が妙に仲良くなったりと、様々なことが進んでいきます。

タイトルは、死んだ彼氏と付き合うきっかけとなった高校生時代の学園祭で、彼氏が作ったプラネタリウムで流れ星を流していたこと、そのプラネタリウムを彼女が実家で預かったままになっていて、それが今もちゃんと動いたことが爽やかな話しになっています。

★★☆

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