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1282
君の膵臓をたべたい 2017年「君の膵臓をたべたい」製作委員会 配給東宝
監督 月川翔 出演者 北川景子、小栗旬、浜辺美波、北村匠海

住野よる氏の2015年刊の作家デビュー作品を原作とした青春恋愛映画です。

こうした若くて綺麗な女子高生が大病を患い余命幾ばくもないという設定は、片山恭一著の青春恋愛小説「世界の中心で、愛をさけぶ」でも話題となり、ちょっと今すぐに思い出せませんが、その他にもいくつもの作品があって一般的ですが、そうしたシチュエーションは一定の根強い需要があるのでしょう。

映画では高校時代と、現在の12年後が学校を中心に行き来します。主人公が12年後にはその同じ高校で教師をしているという設定です。

甘酸っぱくも切ない二人や友人との関係は、今の高校生にとってはありえねぇーって感じでしょうけど、高校を卒業して10数年経った人にとっては、想い出は美化されているので、自分の高校生活を思い出したりしてこうした映画にベッタリと寄り添えるのでしょう。

いかんせん、それだけに、もう高校生活なんて平安時代か明治維新とも区分できないほど遠い昔の出来事となっている60過ぎのオヤジが見るにはちょっと耐えられないかも知れません。

そんな内容を知らずに見た私が悪うございました。映画自体の出来は今まで大作やヒット作と言われる作品がない監督が手がけたにしてはよくできていると思います。日本アカデミー賞でも優秀作品賞などを受賞していますのでそれは間違いないところです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

わたしを離さないで 2010年英・米
監督 マーク・ロマネク 出演者 キャリー・マリガン、アンドリュー・ガーフィールド

英国のノーベル賞作家、カズオ・イシグロが2005年に発表した同名のSF小説が原作の映画です。その小説は、4年前の2014年に読んでいます。

11月後半の読書と感想、書評「わたしを離さないで」2014/12/3(水)

この映画以外に、私は見ていませんが、2016年に綾瀬はるか主演で日本に舞台を変えて、テレビドラマ化がされています。

映画は基本的には原作に忠実に作られていて好感が持てます。著者自身が製作総指揮として加わっていた影響があると思われます。

ストーリーは、医療技術が進み、臓器の移植により長生きができるようになった英国の1980~90年代と思われる架空の世界。そこでは健康な臓器を提供するためだけに生まれ、育てられる「提供者」と呼ばれる人達がいます。

その「提供者」のひとりが主人公で、幼いときに一緒に過ごした提供者の仲間との日々、成長してからの提供者同士の短い恋愛、そしてやがて順次臓器提供がおこなわれ、友人や恋人が当たり前のように亡くなっていきます、、、

小説で読んでいると、実感はわかなかったものの、こうして臓器が次々と取り出され身体が弱っていく提供者達を見ていると、わかっていてもむなしく涙が出てきます。

現実の社会でも、お金持ちは多額のお金と引き換えにして、誰かわからない臓器を闇市場で買い移植するというビジネスが、一部の国ではおこなわれています。

その場合の臓器提供者は、合法的な脳死した人からだけでなく、浮浪児や誘拐された被害者、人身売買された人、犯罪者だったりすることもあるそうで、すでに小説のフィクションが現実におこなわれています。

そういう現実味を帯びてきた感のあるSF映画でまったく身震いする怖い話しですが、英国ののどかな田園風景など映像は美しく、決して感情的にはならず、淡々と描かれているのがまた臓器移植の行き着く先と人間の愚かな顛末を考えさせられます。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

三度目の殺人 2017年 「三度目の殺人」製作委員会 配給東宝
監督 是枝裕和 出演者 福山雅治、役所広司、広瀬すず

是枝裕和監督と福山雅治のタッグで「そして父になる」以来2作目となる作品で、日本アカデミー賞で最優秀6部門、優秀賞4部門を獲得しています。

そして父になる」でもそうでしたが、この監督は、決してハッピーエンドや、スカッと事件が解決した明るい結末を示すのではなく、終わった後になにかもやーとした言い様がない後味を残します。

殺人犯人役に役所広司が、国選で弁護士に就いた主人公のエリート弁護士役の福山雅治を混乱の極みに追いやっていきます。

30年前にも強盗殺人を犯し、出所してからの2度目の殺人ということで、死刑は免れない状況で、犯人は供述をコロコロと変えていきます。

その理由を調べていくと、被害者の娘(広瀬すず)との関係が見え隠れし、被害者は殺されて当然というムードになっていきますが、果たしてその真実は、、、

不思議なのは、役所広司演じる犯人は、今回の殺人を入れて2度の殺人を犯したことになりますが、タイトルの「三度目の殺人」とは、どういうことなのか?、そして、本当に殺害したのはこの犯人なのか?、節々に登場する十字架やそのイメージはなにを象徴しているのか?など、見る人に挑戦するかのように疑問を残したまま映画は終わります。

と、まぁなにか不思議なストーリーで、こうした見る人にモヤモヤを残して終わるというのは、それがネットなどで拡散し、論争が拡がっていくという最近の新たな作戦なのかも知れません。

個人的には、「なにか見落としていたか?」と不安になり、あまり嬉しくはないですが、こういうのがウケるのも、なにか霧がかかって先が見えない最近の社会を象徴しているのかもですね。

★★☆

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何がジェーンに起こったか? (原題:What Ever Happened to Baby Jane?)1962年米国
監督 ロバート・アルドリッチ 出演者 ベティ・デイヴィス、ジョーン・クロフォード

主演の二人は1930年代~40年代に人気だった女優で、二人とも晩年の60歳近くになってこの映画で姉妹役として初共演と話題になった、ミステリー&サスペンス映画です。

映画の中で妹は子役時代に「Baby Jane」と呼ばれ大ブレークし、大人気となりますが、大人になってからは売れない大根役者に成り下がり、子供時代は地味だった姉が、演技力で大女優となります。

しかしその姉は人気絶頂期に交通事故で下半身不随となり、晩年を精神に異常を抱えている妹とともに暮らしています。その交通事故は妹が姉の成功を嫉妬し、殺そうと思って起こしたものだと噂が立ちます。

その姉妹が憎しみ合った晩年の生活と、そこで起きる様々なことは、当時流行だったヒッチコックのサイコ調の雰囲気が漂います。

この大女優二人、実生活の場でもあまり仲良くなかったみたいで、妹役の女優だけがアカデミー主演女優賞にノミネートされると、姉役の女優は受賞反対運動を起こすという騒動まで起きています。

それはさておき、妹が精神を病んだ理由と、姉の交通事故に関係があったことが最後になってわかるという仕掛けです。

若い当時は可憐で美しかった元人気大女優が、髪の毛を振り乱し、狂気の精神異常を演じるというのは衝撃だったでしょう。

ま、なんというか、古いですけど、見応えのある良い映画でした。

★★☆

【関連リンク】
1254 甘い生活、フューリー、劇場版 進撃の巨人 前編 紅蓮の弓矢
1244 幕末太陽傳、きみに読む物語、パシフィック・リム、家族はつらいよ2、岸辺の旅
1194 秘密 THE SECRET、山の音、君の名は。



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1281
ちょっと古いデータですが、書籍(雑誌のぞく)の年間発行部数は、出版科学研究所調査でおよそ8万点(2015年)です。1年365日で割ると1日平均219冊もの書籍が新しく発刊されていることになります。

この8万点は、文学などの他、学術系の専門書や超絶マニア向けのもの、教科書、マニュアル、参考書など、普通の書店に並ばない書籍も含めてです。

ご想像通り、書籍の発刊点数は緩やかながら減少傾向にあって、不動産業などその他の事業で稼いだりできる大手はともかく、中小零細の出版社の悲痛なうめき声が聞こえてきそうです。

2014年~2016年 部門別 新刊書籍 出版点数と新刊書籍 平均定価(円)




個人的に興味があるのは主として文学部門で、2014年から2016年にかけては13,484点、13,390点(前年比99.3%)、13,381点(前年比99.9%、書籍全体の約17%)と、ほとんど下がってはいません。書籍全体ではこの3年間で3.5%ダウンしています。

意外と言えば意外ですね。

これは、まず文学系書籍を出版しているのは概ね大手出版社が多く、出版不況でもまだ持ちこたえられているってことと、総合出版社として書籍全体の落ち込みを少しでもカバーするために、出版数を無理をしてでも増やそうという方針があるようです(推測です)。文学は専門書などと違い、数打ちゃ当たるかも知れませんしね。

2016年文学の出版点数13万点のうち文庫本はといえば、調べてみたところ推定ですが約8300点ほどです。全文学書籍に占める割合は6%ほどで、意外と少ないなと感じます。

新刊本だけではないですが、書店の売り場面積では文庫本が約1/5ぐらい(20%)を占めているところが多い感じですので。

これは文庫の場合、あまり新規性、話題性はなく、どちらかと言えば単行本としてよく売れた本の数年後に発売される廉価版という位置づけですから、新刊書籍の中に占める割合としてはそれほど多くないのだと思われます。

もっと言えば新刊で出た単行本文学書のうち、6%だけが文庫になっていると言えます。新人作家なら、出版した単行本を文庫化してもらうことが、ひとつの大きな目標となりそうです。

次に雑誌です。

ちょっと飛んでいますが、2010年、2015年、2016年の雑誌出版点数推移です。




雑誌の出版総数は、2010年4,056点、2015年3,674点(2010年比90.6%)、2016年3,589点(前年比97.7%)と、先ほどの文学系書籍と比べると、やや下がり方が大きいのが特徴です。

雑誌の部門別では、特に「読物」系が2010年446点、2015年338点(2010年比75.8%)、2016年323点(前年比95.6%)と年々落ち込みが目立ちます。

中には出版書籍から電子ブックへの転換が順調にいっているものもあるかも知れませんが、電子書籍は規模としてはまだ小さいものです。

年間書籍、雑誌販売額はおよそ1兆5000億円に対し、電子書籍・雑誌は2000億円ほど、率にすると13%ほどです。それでもシェアはもう13%に達しているんですね。知りませんでした。もう小さいなんて言えないかも知れません。

そして年々紙の書籍や雑誌が落ちてきているのに対し、電子ブック市場は年々増加しているので、あと十数年もすれば、やがて逆転する時代がやってくるのでしょう。

時代とは言え、書籍を開いたときの、紙のパルプとインクの匂いが好きな紙の書籍ファンの私としては少し寂しい気持ちです。

【関連書籍他】
戸籍のことならこの1冊 (はじめの一歩)(単行本)

戸籍を読み解いて家系図をつくろう(単行本)

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無戸籍の日本人(ノンフィクション文庫)

【関連リンク】
1219 2800冊の蔵書について(1)
1191 リス天管理人が2017年に読んだベスト書籍
1185 著書のプロフィールについて
1097 出版不況と電子出版の行方
1014 時代遅れの再販制度を変えられるか



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1280
一般的な日本人の場合、普段日常生活の中において、各種手続きをする時に必要となる住民票はともかく、戸籍を意識することはそれほどないでしょう。

小説を読んでいると、出生の秘密とかで戸籍の話しが出てくることが時々ありますが、日本人の多くは、結婚・離婚や、子供が生まれたとき、養子縁組、あとはパスポート取得の時ぐらいしか戸籍には縁がないかも知れません。

つまり結婚せず、海外へ行くこともなければ、一生、自分の戸籍とは縁がないということも考えられます。

通常なら、現在住んでいる場所が証明できる「住民登録」だけでよいと思いますが、元々戸籍は、家督を明らかにし、納税や徴兵のために国が国民を管理するために作られたもので(諸説あります)、特に古い「家制度」の名残とも言えます。

すでにこうした戸籍制度を持つ国は、台湾と香港以外にはなく、その点では日本もいずれ戸籍制度が見直しされることになるかも知れません。

江戸時代以前と違い、人の移動が盛んになった現在、戸籍のある本籍地はどこだったっけ?というケースが出てきますし、役所でも戸籍と現住所の2重に管理が必要で無駄も多くなります。

例えば、出身が沖縄で戸籍も沖縄にありながら、仕事の関係で長く北海道に住んでいて、その間に、地元の人と結婚することになると、(世帯主の)戸籍のある沖縄へ婚姻届を出し、子供が生まれると沖縄の役所へ出生届を出し、海外旅行のためパスポートを申請するときにまた沖縄から戸籍謄本を取り寄せることになります。面倒くさいですよね。

もちろん、戸籍(本籍)を今の住まいなどに移すということも可能ですが、十数年に1回程度のことなら、面倒だしそのままという人も多いでしょう。

私はすでに30年以上関東に住んでいますが、生まれ育った関西に今でも本籍地が残したままで、前述の届け出や謄本が必要になるたびに、わざわざ出掛けたり、郵送で申請したりという手間がかかっています。

しかも私が世帯主ですから、配偶者も子もすべてその戸籍に入り、子供のパスポートの申請などにおいても関西の役所からいちいち取り寄せなければなりません。

戸籍の元になる本籍地は、任意に国内であればどこに置くこともできます(転籍届が必要)。

時々クイズに出題されますが、日本人で一番多い本籍地は皇居(東京都千代田区千代田1番)で、約2100人、2番目が大阪城(大阪市中央区大阪城1番)で約800人、3番目が阪神甲子園球場(兵庫県西宮市甲子園町1番)で約700人と言うことです。

それにしてもタイガースファンというのは、、、

自動車運転免許証は以前は「本籍地」という欄がありましたが、現在(2010年以降)は記載しないようになりました。身元証明としてもよく使われるので、プライバシー保護の観点からでしょう。

住民登録と納税、年金関連はマイナンバーカードで一元化され電子化されましたが、戸籍については旧態依然のまま放置状態です。

様々な行政手続きにおいて、つまらない手書き作業や謄本や抄本発行などに時間をとられるのではなく、公平性と効率化を進め、早くすべての国民データを電子化し、それらによって働き手不足の折、公務員の思い切った削減につなげてもらいたいと願うばかりです。

【関連書籍他】
戸籍のことならこの1冊 (はじめの一歩)(単行本)

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【関連リンク】
1089 プチ移住という選択
999 覚悟の地方移住か都市部で介護難民か
889 公的な高齢者移住計画は成功するか?
733 高齢者の地方移住はこれからも進むか

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1279
インターネット、とりわけWebの世界は言うまでもなく流行りすたりが激しく、そのスピード感も従来の感覚でいると置いて行かれることになります。

まだブログという仕組みがなく、ホームページや日記、BBS(掲示板)などと呼んでいた1999年に、無料で使えるからとジオシティーズ(現在はYahoo!ジオシティーズ)を利用し始め、その時は趣味のサイトを作って地味にテキストや写真を貼り付けていました。

次いで2002年春にリストラに遭い、立ち上げたのがこのブログ(日記)の本元「リストラ天国」のサイトで、使い慣れていたジオシティーズに新たなアカウントで場所を確保し開設しました。

2002年当時でもまだブログという形式は一般的でなく、ジオシティーズで提供されていた日記フォームに自身のリストラ顛末やその他日常の話しを書き、BBSと呼んでいた掲示板に意見や感想などコメントを書いてもらうというやり方でした。

そして2010年1月に、その時点ではすでに一般的となっていた便利なブログ機能を活用するため、日記を忍者ブログというサイトへ移行しました。忍者ブログを選んだのは特段理由はなく、無料で使え、使いやすそうだったからです。

その後は8年間、「ジオシティーズは過去の日記のアーカイブやインデックス」&「日々の更新やコメントは忍者ブログ」のコンビで利用してきましたが、ジオシティの無料で使えるホームページ容量にそろそろ限界が近づき、移転か、もしくはジオシティでより多くの容量が使える有料プランに切り替えようかと考えていた矢先、ジオシティーズの閉鎖が決まってしまいました。



元々サイト移転も視野に入れていたので、閉鎖のショックはありませんが、20年近く使ってきただけに閉鎖は残念です。これも時代の流れでしょう。

この閉鎖の機会にもう辞めちゃう?っていうことも考えましたが、せっかく積み重ねてきたコンテンツ(ろくでもないものと自覚してますが)もあり、まもなく仕事を引退することもあり、どうせ暇を持て余すのだからとしばらくは続けようと思っています。

したがって、ジオシティに置いてある記事やコンテンツは、他のサイトに移すことになりますが、その作業自体は引っ越しツールなどがありそれほど難しくはなさそうです。

ただ、URLが変わってしまうので、昔からブックマークをして時々アクセスしてくれていた人は、自動転送期間が終われば、やがて画面がエラーになりますので、その点は申し訳ない気持ちです。

どこへ移転するかは、これから考えますが、ジオシティーズを使ってきた人は活動的でない人も含めて累計で何百万人もいるそうですから、他の方の動向を参考にしつつ、今度は無料ではなく、より便利な機能が使える有料プランのサイトを予定しています。

また度々移転するのも嫌なので、運営(経営)が安定していそうなところが狙いです。

小さなレンタルサーバの会社は、ユーザーに割と親切で細かな点にもよく気がつきますが、資金が尽きてしまうとある日突然事業停止(サーバ停止)となるリスクがあります。またサーバ攻撃や大量アクセスに弱く、そうした時にはエラーで停止状態になる確率は高くなります。

逆に大手レンタルサーバ業者は、サーバ運用技術や経営基盤は安定しているものの、一度囲い込んでしまうと利用料の値上げを実施してきたり、儲からないとみるや、小口の客相手のビジネスは辞めてしまったり、他社へ事業譲渡したりしますので、メリット・デメリット双方あり、悩ましいところです。

もしどこかでいいところがあれば、その理由も含めて教えてください(笑)

すでに多くのジオ利用者が移転準備を進めていて、その移転先を探している客を捕まえようと業者側でもキャンペーンを張ったりとこの業界は賑やかになってきています。

検索で「ジオシティーズ 移転」で検索すれば、そうした情報があふれています。

目標は年内に移転先を決め、年末年始で作業をして、来年1月初旬にも移転を完了したいかな。

忍者ブログのほうは、ずっと無料で提供してくれてありがたく、今のところ大きな不満はないのですが、このご時世でもSSLの未対応や、今年何度か更新ができなくなるマイナートラブルがあったり(何度か問い合わせしましたがまったく返信や反応はなし)と、ちょっと気になることもあり、今すぐではないにしても、他の方法も考えておく必要があるかなぁと思っています。


【関連リンク】
1158 海外通販を使ってみた感想
669 ネット人口の正しい統計
561 WEBブラウザの変遷と栄枯盛衰



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1278
孤舟 (集英社文庫) 渡辺淳一

2010年単行本刊、2013年に文庫版刊の定年後の男の悲哀と希望を描いた長編小説です。

医者として長く勤務されていたので、直木賞受賞作となった「光と影」など医療や病院に関係する小説や、「失楽園」など官能的な大人の恋愛小説で人気だった筆者に、このような定年後の男の惨めな姿をコミカルに描く小説があったとは知りませんでした。

著者は4年前に亡くなっていますが、この小説の団塊世代の主人公よりもずっと前の世代に生きた人で、この小説を書くにあたっては、様々な後輩達から定年後の話しを聞いて、それがこの小説のネタになっているものと思われます。

主人公は大手広告代理店で、執行役員まで上り詰めたものの、60歳になり大阪の子会社の社長へ転出を言い渡されますが、今さら転勤する気はなく、それを断り、会社を辞めてしまった団塊世代の男性です。

「男は仕事、女は家庭」という昭和時代の典型がモデルとなっていて、いかにもありそうな、そして定年後に起きそうなことが次々と予定調和的に起きます。

映画「家族はつらいよ」でも団塊世代の男性が主人公で、まったく似たような展開ですので、こうした団塊世代の男性は一種定型パターン化され、思い込みというかステレオタイプばかりでちょっとその点が気になります。

それにしても、この世代の平均図と言うとオーバーかもしれませんが、この主人公は二子多摩川(東京都世田谷区)にあるローンを終えた100平米もある豪華マンションに住み、60歳から企業年金がたっぷりともらえ、その他にも貯蓄した退職金もあって、仕事を辞めてから半分に減らされたものの、毎月5万円のお小遣いでは不満と言う主人公の設定は、これから60歳を迎えようとする人達にとってはなんとも羨ましい限りです。

さらにこの主人公、妻がプチ家出したことに乗じて、入会金5万円のデートクラブに入会し、1回デートするたびに2万円と、デートの費用を全部負担という、まったく贅沢三昧の生活です。

映画「家族はつらいよ」でも、団塊世代の主人公は横浜の住宅街にある大きな1戸建てに商社勤めの長男夫婦、孫達と住み、長男以外の子供達もそれぞれ結婚し、時々実家に帰ってくるという仲の良い家族がモデルとなっています。

それらが団塊世代の定年後の象徴だと言われると、そんなものかなとも、ちょっと違うんじゃないかとも思えてきますが、両者とも面白おかしく多少の波風は立ちますが、なんとも優雅な定年後です。

定年後、仕事を辞めた途端に毎日朝起きてから「なにやろうか」と悩むことが書かれてますが、よほど仕事一筋で趣味はなく、友達もいないという人でなければ、そうはならないかな。

それよりもお金がないので、なにもできず、どこにもいけず、家でジッと引きこもりって人がこれからは増えていきそう。

ただ、今まで、なんでも他人が代わりにやってくれていたことを、自分で(自分も)やらなければ進まないということはあり、そうしたことの中でも家事(料理や掃除、ペットの世話、近所付き合いなど)の習得だけでもしばらくは忙しく過ごせそうです。

★★☆

著者別読書感想(渡辺淳一)

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天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫) 村山由佳

著者の多くの作品の中では初期の作品で、1994年刊、文庫が1996年刊の恋愛小説です。

その後に続編として10年後を描いた「天使の梯子」(2004年)、さらにその4年後を描いた「天使の柩」(2013年)、スピンオフの短編小説「ヘヴンリー・ブルー」(2006年)などがあります。

さらにこの作品を原作として映画が2006年に制作されています。監督は冨樫森、出演者は市原隼人、小西真奈美、沢尻エリカなど。

単純に言えば女性作家が描くベタベタのハードロマンス小説で、住野よる著の小説を原作とした映画が大ヒットした「君の膵臓をたべたい」と似た、悲恋に終わる恋愛小説の見本、テンプレートみたいな作品です。

主人公は高校卒業し美大を受けたけどダメで予備校通い中の男性と8歳年上の精神科医との恋ですが、まず出会いからして、電車の中がラッシュで窮屈だったのを助けてあげ、その後、主人公の父親が入院した精神病院で偶然にも父親の主治医となった彼女に再会します。

しかもその彼女は、またまた偶然にも高校時代に付き合っていた女性の実姉というおまけ付き。あり得ないでしょう。

ま、一度は、こうした偶然がもたらしてくれた、燃えるような恋愛をしてみたい!と思うのは男女ともに共通することなのでしょうね。30年ぐらい前ならともかく、オッサンにはもう残念ながら共感を感じられません。

と言いつつこの著者の作品を読むのは3作品目で、直木賞受賞作「星々の舟」(2003年)、柴田錬三郎賞など3賞に輝いた「ダブル・ファンタジー」の2冊をいずれも2013年に読んでいます。

中毒性があるのか、忘れた頃にきっとまた別の作品を手に取ってしまうのでしょうねぇ、、、

★★☆

著者別読書感想(村山由佳)

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完全版 社会人大学人見知り学部 卒業見込 (角川文庫) 若林正恭

雑誌ダ・ヴィンチに2010年から連載していたコラムというかエッセイ「オードリー・若林の真社会人」を2013年に書籍化したもので、2015年にその後の追加をした完全版の文庫が出ました。

著者は漫才コンビオードリーの小柄なツッコミ担当のほうで、相方の春日俊彰がムキムキの身体を誇張するど派手で奇抜なイメージだけに、陰に隠れたような存在です。

個人的には著者や相方が出るようなバラエティテレビ番組はまったく見ないので、この本を読むまでは、オードリーという漫才コンビ名ぐらいは知っていても、その漫才師の名前までは知りませんでした。

内容は、大学を卒業し、相方とコンビを組んで始めた芸人生活も、なかなか売れない頃の話しを思いしろおかしく書いているのと、その後急に売れ出して、自慢話しではなく、この人気は一過性で、そのうち売れなくなる日がきっとくると、それに恐れながらも連日多くの仕事をこなしていく日々の話し。

人を笑わせてなんぼの世界にいる人が、なんてネガティブで後ろ向きな見方、考え方をする人なんだ!って思いましたが、世の中案外そういうものかもしれません。

ま、エッセイを読む限りは、著者は人気の芸人さんとは言え、ネガティブ思考も含め、取り立てて言うこともない、普通の方ですね。

特段、おぉ!と感心することもなく、自分の性格やら、考え、出来事の感想などが淡々と綴られているような感じで、日記ブログの延長と言うことなのでしょう。

この本を出すきっかけとなったのは、雑誌ダ・ヴィンチへの寄稿ですが、その前には長くブログを書いていて、それに対してネット上で「中二病」という批判というか評価が高まってしまい、やめてしまったということも書かれていました。

若くて壁にぶつかっている人が読むと共感を得られるかもしれませんが、60歳以上の年寄りが読むにはちょっと気恥ずかしい感じもします。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

沈黙の町で (朝日文庫) 奥田英朗

この長編小説は朝日新聞朝刊に2011年から2012年にかけて連載されたもので、2013年に単行本として、そして2016年に文庫版として発刊されました。

著者の書く小説は、コミカル系、シリアス系などどれをとっても大好きで、文庫になったものはほとんど読んでいます。

直木賞にも輝いた「空中ブランコ」を含む「精神科医・伊良部シリーズ」はもちろん、映画やドラマになった「サウスバウンド」「オリンピックの身代金」などもどれも気に入っています。

普段はあまり好んで読まないエッセィ集も、著者が書いた「港町食堂」は、これは読まなくちゃと思って買ってきました。

5月後半の読書と感想、書評「港町食堂」2015/6/3(水)

この小説の内容はシリアス系で、しかも中学生のいじめ問題や、学校と親たちの葛藤を取り上げたかなり重い内容となっています。

地方都市の中学校で生徒が転落して亡くなっているのが発見されます。直前まで一緒にいたテニス部の同級生達との関係は?という点が焦点となっていきますが、生徒はもちろん、学校関係者、生徒の保護者たち、警察、検事、新聞記者などが入り乱れ、事件の真相が徐々にわかってくるという流れです。

新聞小説という長さが決まった小説の性なのかどうか不明ですけど、ちょっとあちこち余分と思えそうな話題に飛びがちで、それがちょっと気になるところです。

新聞連載小説の場合、毎回新聞紙上で読むと気にならなくても、こうした文庫で一気読みをすると、ちょっとまどろっこしく感じることがよくあります。

単行本で出すときには、多少は見直されているのでしょうけど、どうせなら、新聞で使われた挿絵でも入れた上で、思い切ってバッサリ余計な脂肪は削っちゃうというのも必要かも。

ビックリするようなミステリー仕立てではなく、モンスター保護者や、学校関係者の危機管理の無能ぶりとか、実際起きそうな事象が丁寧に書き込まれているという印象です。

★★☆

著者別読書感想(奥田英朗)

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流れ星が消えないうちに (新潮文庫) 橋本紡

2006年に単行本が、2008年に文庫版が発刊された長編小説で、2015年にはこの小説を原作として柴山健次監督、波瑠や入江甚儀、葉山奨之らの出演で映画が公開されています。

いわゆるユルフワな恋愛小説で、60過ぎたオッサンが読むにはちょっと気恥ずかしく、また感情移入も難しいものですが、現代の恋愛事情をユルく知るにはまぁいいかなと。

特に最近は、内容を知って本を買うことは少なく、誰かが推薦していたり、この小説のように「新潮文庫100冊」に入っていたりするものを適当に買っているから、自分に合ったものかどうかは関係なくよく読むようにしています。

主人公は二人いて、ひとりは父親が遠くへ転勤したためにひとりで実家暮らししている若い女性、もうひとりはその女性と同級生の若い男性。

女性には同級生だった彼氏がいましたが、海外をひとりで旅行中に事故で亡くなり、その後に同じく同級生だった別の男性と現在付き合っています。

日常のことが淡々と語られ、亡くなった恋人との思い出や、恋人が亡くなった状況に一抹の不安があったりして、悶々としています。

新しい彼氏は死んだ恋人とは同級生で親友の間柄。つまり傍から見ると、親友が亡くなったおかげで彼女と付き合うことができたというこれもまた悩ましい立ち位置です。

そうしたちょっと複雑な関係から、父親が突然母親と気まずくなって実家へ帰ってきたり、新しい彼氏と父親が妙に仲良くなったりと、様々なことが進んでいきます。

タイトルは、死んだ彼氏と付き合うきっかけとなった高校生時代の学園祭で、彼氏が作ったプラネタリウムで流れ星を流していたこと、そのプラネタリウムを彼女が実家で預かったままになっていて、それが今もちゃんと動いたことが爽やかな話しになっています。

★★☆

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