リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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個人的なことですが、私はひとり旅が好きで、特に宿泊をともなう遠方へ旅行するときはほとんどひとり旅です。
子供がまだ小さい頃には、勝手にひとり旅はできませんでしたが、下の子供が高校生になってからは、夏休みや冬休みなどによく行っていた家族旅行はしなくなり、もっぱら旅行に行くならひとり旅です。
元々、若いときから仕事で宿泊をともなう出張をよくしていました。出張はほとんどがひとり旅なので、若い頃からひとり旅に慣れていたということがあるでしょう。
ひとり旅のメリットは、行動が自分勝手にでき、予定や行き先の変更や追加、キャンセルなども自由、自分の体調や興味、関心だけを考えておけば良いことです。
つまり同伴者に気を遣うことはないということです。結構他人に気を遣う性格なので、これが一番大きなメリットです。
映画「ミステリに言う勿れ」では、主人公の学生、久能整が広島で美術展を見た後、日帰りで東京へ帰る予定だったのが、ワケありの女子高生に頼まれ名門旧家の豪邸に急遽泊まることになりますが、その時「よその家の風呂に入るのは嫌」「洗濯物を他人に洗ってもらうのは嫌」「他人と同じ部屋では寝られない」など極度の人見知り?で笑いましたが、なんとなくその気持ちはわかります(わかるんかい!)。
ひとり旅に慣れていると、「寝たいときに寝て、起きたいときに起きる」「目が冴えてなかなか寝られないときは温泉に浸かりに行ったり、テレビを見て深夜までボーと過ごす」など勝手気まま人に気を遣うことなく過ごせることが大事なのです。
逆にひとり旅のデメリットは、「話し相手がいない(喜びや感動を共有できない)」、「ひとりで食事をする」、「体調が悪くなったときなど頼れる人がいない」などでしょうか。
私は「話し相手がいない」というのはまったく気にならない、デメリットとは思わないタイプですが、食事、時に夕食は時々ひとりで食べる寂しさを感じることがあります。
現役時代、出張先で宿泊するときはだいたい現地社員と夕食を一緒に食べることが多く、知らない街でひとりで夕食を食べるという経験はあまりありません。
その寂しさを感じないようにするため、宿泊先のレストランでは夕食を食べず、外の洋食屋やラーメン店などひとりで行っても平気な店へ食べに行きます。また疲れているときにはコンビニで弁当を買って部屋で食べたりします。
体調面は、今まで旅先で具合が悪くなったりトラブルに遭ったりしたことはないので、ひとり旅の時には、事前の準備や体調管理をしっかりおこない、無理なスケジュールは作らないように気を配っています。ま、国内なら、言葉も通じるし、携帯電話もあり、健康保険も使えるので特に心配はしていません。
そうしたひとり旅ですが、リクルートの「じゃらん宿泊旅行調査2023」によると、コロナ禍前の2018年度に18.0%だったひとり旅の割合は、21年度に20.1%、22年度は19.8%とわずかながら上昇しています。
男女別で見ると、男性のひとり旅がどの年代でも圧倒的に多いのも特徴ですが、男性では若いほど宿泊をともなうひとり旅の割合が多いようです。
1年を区切ったデータではひとり旅は約20%ですが、過去に宿泊をともなうひとり旅をしたことがある人は36%というデータがあります(公益社団法人日本観光振興協会 全国観光情報データベース、2019年11月調査)。
旅行者の3~4割がひとり旅となると、観光ホテルや旅館ももう少しシングル客を歓迎する部屋や宿泊プランが充実してきそうです。
現在はまだ観光ホテルでは団体客優先の意識が強く、個人客やましてひとり旅の客は冷遇されている雰囲気があります。もう昭和の頃に多かった団体客なんてそうそうないと思いますけどね。
私はひとり旅の宿泊先は、都市部ならビジネスホテルの中から選ぶことが多いです。理由はシングルルームがとりやすいことと素泊まりの宿泊料が安いからです。
地方の観光地でビジネスホテルがないときは、普通の観光ホテルや旅館、リゾートホテルに泊まりますが、素泊まりでも部屋はツインルームのシングル利用となり料金はやや高めになります。
あとホテルの部屋についている浴室は狭くてくつろげないので、大浴場や温泉付き浴場のあるホテルを優先的に探します。もし大浴場のないホテルに宿泊する時は、ホテルに入る前に、温泉付きの日帰り湯などに寄ってからホテルに向かいます。
旅行ではほとんどマイカーを使うことが多いので、目的地の近くに安いホテルや大浴場付きのホテルがないときは、少し離れた場所で宿泊することもあります。
例えば春や秋の行楽シーズンの京都市内のホテルは予約がとりにくいですが、隣の滋賀県、しかも駅近でなく、国道沿いに建っているようなビジネスホテルならすぐに予約ができます。クルマなら京都市内まで30分で行けます。
これからもまだ身体が元気で動くうちに、年に1~2回は遠くのまだ行ったことがない場所へひとり旅をしたいと計画しています。
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1638 マイカーで行く東京から京都・大阪・和歌山へのルート
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こちらあみ子(ちくま文庫) 今村夏子
2010年に発表したデビュー作「あたらしい娘」がいきなり太宰治賞を受賞し、タイトルを「こちらあみ子」に改題し、別の短篇を追加した単行本を出版した2011年には三島由紀夫賞を受賞しています。
2014年に文庫版が出版され2022年に大沢一菜、井浦新などの出演で映画化されています。
この2014年に文庫が出てからはしばらく休筆状態でしたが、2016年以降、主として短篇集がポツリポツリと発表されています。
そして2019年に出版した「むらさきのスカートの女」で芥川賞を受賞しています。
広島出身の著者で、その子供の頃の思い出やエピソードがうまく使われている小説です。したがって登場人物の口調は広島弁です。
女性の子供の頃のイメージは、妹や姪など近しい女の子が周囲にいなかったこともあり、私にはイマイチ実感がありませんが、小中学生の頃の主人公あみ子の自由奔放な行動やぶっ飛んだ思考パターンはアルアルなのでしょう。変わり者には違いないでしょう。
タイトルは、まだ小学生の頃にトランシーバーを買ってもらい、「こちらああみ子、応答せよ!」と語るところからつけられています。
実は自分も小学生の頃にオモチャのトランシーバーをクリスマスだったか忘れましたが親にリクエストをして買ってもらったことがあり、小説と同じく、最初は兄とやりとりし、次第に誰も相手をしてくれなくなり、ザーザーと音を立てるトランシーバーに向かってひとりで喋っていた記憶がよみがえってきました。まるで、そのシーンは自分の子供の頃を見ているようで驚きました。
子供とは言え、人の感情や思考に深く入り込んだ内容の小説は、純文学的でもあり、自叙伝的でもあり、読書でしか拡げることができない(と思っている)、他人の感情の流れや生き方をまざまざと見せつけられ、様々な考えが頭の中をよぎっていきます。
著者の狙いではないかも知れませんが、そうした読者に考えさせることができる文学というのは読むとなにかお得感がいっぱいな気がします。
★★☆
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戦国武将、虚像と実像(角川新書) 呉座勇一
著者は1980年生まれとまだ若い歴史学者さんですが、すでに多くの書籍を書いておられ、テレビでもNHK BSの「英雄たちの選択」などにもゲスト出演し、学者にしては野心を強く感じる方です。
ちょうど10年先輩の歴史学者磯田道史氏(慶応大出身)の後釜を狙っているような気がします。
東大卒の著者としては学者として負けたくはないでしょう。
タイトル通り、巷で知られている戦国武将の真の姿とは?というテーマで、様々な古い文献や資料から読み解いています。
ただその記述が正しいのか間違っているのかはあくまで著者の想像でしかありません。
本著で取り上げられている戦国武将は、お馴染みの
1.明智光秀
2.斎藤道三
3.織田信長
4.豊臣秀吉
5.石田三成
6.真田信繁(真田幸村)
7.徳川家康
の7人です。
歴史小説やドラマ・映画では、作家や脚本家が作り上げた想像上の戦国武将が登場しますが、時代によってその姿は大きく変わってきます。
特に戦国時代の後の江戸時代では、神君・徳川家康を英雄視し、徳川家を持ち上げ忖度した内容の記述が多くなり、江戸時代が終わったあとの明治時代は一転して尊皇派や主君への忠義者が名誉挽回を果たし、大戦前には尊皇はもとより、国家のためなら命を投げ出し、朝鮮や中国への侵攻した武将が高く評価されます。
そして戦後にはまたガラリと変わり、革新や進取、合理主義、部下思いなどが優れた武将とされていきます。
我々、平成や令和に生きる人達は、多くは昭和時代以降に書かれた小説を読み、それを元にしたドラマや映画を見ることになりますので、本著で触れられている戦国時代や江戸時代、明治時代に書かれた書籍や資料で現される戦国武将の姿は違ったイメージとなります。
そうした時代ごとに、評価がどう変わっていったのかという話しがメインで、本当はどうなの?というのは結局よくわかりません。
そりゃそうです。その時代に生きたら現在とは価値観も社会情勢も物事の善悪すらも違っていて、さらに小説や記録を書いて残した人の立場や思想によっても変わりますから、それで400年以上前の武将達の性格を知り、評価をするのは難しいものです。
★★☆
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極東動乱(ハヤカワ文庫) デイヴィッド・ブランズ&J・R・オルソン
2019年に米国で出版された本作の原題は「Rules of Engagement」で、直訳すると「交戦規定」となります。著者は二人で、ふたりとも海軍兵学校出身の元海軍士官という変わり種の作家さん達です。日本語版は2022年に発刊されています。
そういう職業軍人だったことから、本著で重要なポイントとなる軍事シミレーション、特に軍隊用の最新ネットワークシステムや世界中の軍隊が躍起になっているハッキング合戦など、リアリティのある内容となっています。
内容はタイトルで表現されている通り、北朝鮮に亡命している天才的テロリストが、ロシアの軍需産業マフィアから極東に軍事的な緊張をもたらして欲しいという依頼があり、中国人民軍、日本の自衛隊、そしてアメリカ海軍のネットワークに自立型のウイルスを仕込むことに成功します。
そして公海上を飛ぶ米国海軍の哨戒機や、自衛隊の護衛艦などに対し、ニセの指令で中国空軍が突然ミサイルを撃ってくるという事態が発生し、全面戦争に陥る前に天才テロリスト対アメリカの若き士官候補生チームとの電子戦が始まります。
もちろんアメリカ人が書く大衆受けを狙った戦争小説ですから、最後はどうなるかは言うまでもないことです。
現代の戦争は、ウクライナやガザで起きている従来型の大砲やミサイル、戦車、歩兵などを使ったものが現実としてありますが、この小説では、あくまでもスマート?に、電子戦で優位に立てば戦争に勝てるという綺麗事のような内容にちょっと現実離れした話しで気持ちが乗っていきません。
★★☆
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二人のクラウゼヴィッツ(新潮文庫) 霧島兵庫
1975年生まれの著者の小説は今回初めて読みますが、過去にはいくつか時代物の作品を書いておられます。そしてなぜかは不明ですが、今年2023年から名前を野上大樹に変えると発表されています。
文庫の解説に書いてありましたが、著者の前職は自衛官で、陸上自衛隊で攻撃ヘリAH-1S(通称コブラ)に乗っていたというから、著者の描く戦記物には独自の視点や発想があるのだろうと思います。
本著は、タイトルでもわかるとおり、「戦争論」で有名な19世紀前半に活躍したプロイセン王国の陸軍軍人カール・フォン・クラウゼヴィッツを描いています。
2020年に「フラウの戦争論」として単行本が出版された後、2022年にタイトル名を変更して文庫化されました。「フラウ」とはクラウゼヴィッツの妻の名前(愛称?)です。
小説では、フランスの皇帝ナポレオンから侵略され、何度も激突するプロイセン王国の軍人として活躍している時代と、もうひとつは、ナポレオンが失脚し流刑されてフランスとの戦争が終わり、左遷に近い兵学校の校長として余生をおくりつつ、ナポレオンとの数々の戦争を元にした「戦争論」の論文を書いている時代との2つが交互に出てきます。
その兵学校の校長として勤務中は、その仕事に鬱々としながらも妻と一緒に平和に暮らしながら論文をまとめていますが、隣国のポーランドで暴動が起き、再び戦争の危機が訪れて参謀として出征することになります。
しかしその戦争中にコレラが流行り、1831年にあっけなく戦地で病死してしまいます。
そして時代が過ぎて、妻のクラウゼヴィッツが夫の残した「戦争論」を出版するために駆けずり回ることになるという物語でした。
小説の中では、日本人にはほとんど馴染みがない18世紀初頭に起きたナポレオンと欧州諸国との戦争、イエナ・アウエルシュタットの戦い、アイラウの戦い、ボロジノの戦い、グロースゲルシェンの戦い、ライプツィヒの戦い、リニー、カトル・ブラの戦い、ラ・ベル=アリアンスの戦い(通称ワーテルローの戦い)が詳細に地図入りで説明されています。
ちょうど今、リドリー・スコット監督の大作映画「ナポレオン」が公開されていて話題になっていますので、先にこの本を読んでから映画を見ると双方からの視点で見ることができてよくわかるかも知れません。
聞き慣れない地名や名前が多くて読むのはたいへんですが、1820~1830年頃というと日本では江戸時代で天保の大飢饉(1832年)などが起きた鎖国時代の真っ只中で、そのような中で欧州ではこのような激動が起きていたということを知れて歴史ファンは大いに楽しめると思います。
★★★
【関連リンク】
11月前半の読書 忍ぶ川、定年バカ、二千七百夏と冬(上)(下)、長く高い壁 The Great Wall
10月後半の読書 にぎやかな未来、凪の光景、コブラ(上)(下)、百万のマルコ
10月前半の読書 太陽は気を失う、ジャイロスコープ、一億円のさようなら、七人の暗殺者
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1755
昨今なにかと評判が悪いのが、オジサン中心というか男性ばかりが徒党を組んでいるかのような場や会などで、昭和の香りがたっぷりと漂ってきます。
例えば、ビッグモーターの謝罪会見では似たようなダークスーツに身を包むオジサン達が居並んで脂汗をかきながら会見に臨んでいましたし、日本大学のアメフトタックル問題や理事長の不正が発覚したときも、会見の場に居並んでいたのは操り人形のような生気のない顔をしたオジサンばかりでした。最近では女の花園、宝塚劇団員自殺問題で会見に出てきたのもダークスーツを着た金太郎飴みたいなオジサンばかりです。
ビッグモーターの会見には取締役全員は出ていませんが、同社の取締役は全員が男性だったそうです。もっとも特別調査委員会の報告書では義務の取締役会すら開かれていなかったそうで、名ばかり取締役だったのでしょう。
一昔の上場企業の株主総会はまさにそうしたオジサン達だけの仲良しクラブでしたが、現在は政府の男女共同参画の推進や東証などの指導により取締役や社会取締役などに女性の登用が進み、役員全員が男性というケースは少なくなっています。
しかし相変わらず、政治の世界や役所の中ではまだまだ中高年男性が強い実権を握っていて、女性の積極登用やリーダーが出てきません。小池東京都知事や千葉県知事、大阪府知事、熊本県知事などはその中では稀なケースでしょう。与党自民党の派閥のリーダーには過去も現在も女性はいません。
日本大学に不祥事が相次ぎ、その原因のひとつには権力のある男性がトップに立って、言いなりになる男性幹部ばかりを登用して経営をブラックボックス化してきたことにあると言われています。
林真理子新理事長が名乗りを上げて改革に乗り出しましたが、いかんせん巨大法人においては経営のアマチュアで、実質的に大学運営を支配しているのは、やはり男性幹部達だろうと容易に推測できます。数十年後に今回の様々な苦悩やうまくいかない言い訳を小説化してくれることぐらいしか期待できません。
そんなわけで、今でもオジサン支配が続いていると思われる日本大学は、なにも変わらず、様々な問題を引きずったまま右往左往しています。
先日、テレビでドキュメンタリー番組を見ていたら、石川県の「赤ちゃん協議会」の様子が紹介されていました。
遠距離出産 “能登で産みたい”(NNNドキュメント'23 2023年10月8日放送)
石川県が立ち上げた「赤ちゃん協議会」とは、
本県の周産期医療の提供体制について、病院・市町・大学等の関係者が一堂に会し、課題を共有し、対応策を協議するために、「赤ちゃん協議会」を設立いたしました。
今後、「赤ちゃん協議会」の下に設ける「産科医ワーキンググループ」「病院長・大学ワーキンググループ」の2つのワーキンググループにおいて検討を行い、この結果をふまえて、再度、「赤ちゃん協議会」で協議し、本県の周産期医療提供体制に必要な対応を実施することとしています。
と、分娩事故が起きて乳児を死なせた反省から立派なお題目が立てられています。
が、しかし、、、
下の写真は、その石川県で2022年に開催された「赤ちゃん協議会」の様子です。
ずらーと居並ぶダークスーツの参加者はみなオジサン達です。「赤ちゃん」のことを考える会ですら育児の経験などまったくなさそうなオジサン達ばかりです。もう終わっているでしょ?
いやもちろん育児経験があり、また妊婦に寄り添える産婦人科医なども中にはいるのでしょうけど、居並ぶ全員が本当に妊婦や出産、育児に理解や深い関わりがあるのでしょうか?
これが日本のオジサン社会の実態です。少なくともこのようなメンバーに周産期医療を託したいとは思いません。
少し話しはズレますが、漫画家田村由美氏原作の漫画、またはテレビドラマの「ミステリーと言う勿れ」の中で、オジサン達について印象的なことが描かれていました。
それは、主人公の大学生久能整が、ある殺人事件の重要参考人として警察で取り調べをうけることになります。
そこでオジサン達に雑用ばかりやらされている新米の若い女性刑事が、警察の男社会の中でパワハラに耐えながら悩んでいることを察します。
その女性刑事が思いやりのある人だと感じ、主人公は「何か罪を犯した時、あなたに捕まえてもらいたい」と伝えたところ、女性刑事は「女だからといってなめないで」と怒り出します。
主人公は「なめられないように気をつけなければいけないのはこの署のおじさんたちだ」と答え、「それこそがあなたの存在意義だと思います」と核心を突きます。
その意味は、
「おじさんたちって特に権力サイドにいる人たちって徒党を組んで悪事を働くんです」
「都合の悪いことを隠したり、こっそり談合したり、汚いお金を動かしたり」
「でもそこに女の人が一人混ざっているとおじさんたちはやりにくいんですよ」
「悪事に荷担してくれないから、鉄の結束が乱れるから」
「でも女の人は群れて立ち上がったりしないからどれだけ虐げられても戦ったりしない」
「だからおじさんたちが不正をしづらいように、見張れる存在が、あなたがいる意味ってそれじゃないですか?」
と言い放ちます。
原作者も女性で、60代ということらしいですから、昭和時代の男性社会の真っ只中で様々な苦労をされてきて、漫画の中でこうしたオジサン批判がすらすらと出てくるのでしょう。
同じく映画「ミステリーと言う勿れ」の中でも(もちろん漫画でもあり)、昭和的なオヤジが出てきて、仕事を辞めて専業主婦になって子育てをしている娘に「子供とのんびりいられるのは幸せだろ?それが女性の幸せのはずだよ」」と言うシーンがあります。
それを聞いて複雑な顔をしていた娘を見た主人公は、昭和オヤジに対し「もし家にいて家事と子育てをすることが、本当に簡単で楽なことだったらもっと男性がやりたがると思う」「実際はそうじゃないということは、男性にとってしたくないできないことなんです」とバッサリ斬り捨てます。
さらに「男の幸せという言葉がなく女性の幸せだけあるというのも、おそらく女性をある型にはめるためにオジサンが言い出したことだと思う」と容赦ありません。
ま、そんなわけで、有能な女性が多く出てきて、自ら変わることができそうもない、未だ勘違いしているオジサン達や男性中心社会を早く崩壊させてもらいたいものです。
【関連リンク】
1585 専業主婦志向と共働き志向推移
1393 女性活躍ブームと女性管理職
869 働かないおじさんと年功序列
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1754
先月に書いた「タクシー業界の行く末 2023/10/28(土)」の続編で、書き漏らしたことを書いておきます。
前回はタクシー運転手の収入と労働時間を主に書きましたが、今回は現在のタクシー運転手の年齢と、今後期待されている女性運転手数の推移、そしてここのところ進歩が早い料金決裁システムの導入状況についてです。
まず、タクシー運転手の年齢層ですが、地域別に年齢層のグラフにしてみました。データ出典は、「一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会」です。
関東を除き、年齢層で多いトップ2は60代と70代以上の高齢ドライバーです。関東だけは50代と60代がトップ2です。つまり関東だけはタクシードライバーの高齢化が他の地域よりはマシになっています。
東北、四国、九州・沖縄の3地域では、60歳以上のタクシードライバーが7割を超えています。住人の高齢化ばかりが言われていますが、サービス業の運転手の高齢化も顕著です。
そうした高齢のタクシードライバーが、限界を感じていよいよ引退する頃(5~10年後?)は、地方のタクシー事情はどうなるのでしょうか。
全国のタクシー運転手の年齢層別では下のグラフの通りです。
60代と70代以上を合わせると63%と、様々な産業(従業員)の中でも、このタクシー乗務員の圧倒的な高齢化が進んでいることがよくわかります。この年齢層は通常他の産業では心身ともに疲れて次々とリタイアしていく人達です。
ウーバーなど、配車アプリを使ったライドシェア(白タク?)の規制緩和は「安全管理面で懸念がある!」と堅固な利権を持つ国や政府は後ろ向きですが、果たしてこのような本来なら身体が弱って引退してもおかしくない60代以上が6割を超えるタクシー乗務員の運転が、若い人が最新の安全装備を備えた高級車を使ったライドシェア※と比べて安全か?というとなんとも言えなくなります。
※欧米のウーバーを見ていると、利用者が予約するときに運転手の評判や使っている自動車を見て選べるので、自ずとウーバーで人気(依頼が多くなる)となるためにはアウディやベンツなど安全で快適なクルマを使う人が増えています。
ライドシェアの現状は下記の記事の通り、まだまだ道険しです。
タクシー不足で地方が悲鳴 業界はライドシェア導入に反対(2023/10/17時事通信社)
一般の人が自家用車で客を有料で運ぶ「ライドシェア」導入に向け、「活力ある地方を創る首長の会」が17日、国に提言を出した。高齢化と人口減少が加速する中、地域社会での移動手段の確保は喫緊の課題だ。新型コロナウイルス禍の収束後、増加傾向にある外国人観光客の運送にも十分に対応できておらず、地方は悲鳴を上げている。 |
◇ ◇ ◇
運転手不足と乗務員の高齢化対策に有効なタクシーの女性運転手の割合は、まだ全体の2.3~2.5%に過ぎませんが、時間や日数など比較的多様な働き方ができるということもあり、今後の増加に期待できます。
その女性運転手の推移ですが、ここ数年はコロナ禍の影響もあってか意外に伸びてはいません。
女性運転手の10歳ごとの年齢層で一番多いのは50代でその次が60代、次が40代となっています。男女合計の全体では一番多いのが60代、次が70代以上の年齢層になるので、全体平均よりおよそ10歳以上若いということになります。
一般的にはタクシーの乗客が多いのは、公共交通がないか少ない早朝や深夜時間帯と言われますが、女性運転手の場合は、乱暴な酔っ払いなどを避けるなど、安全面を考えるとやはり勤務する時間帯に配慮が必要でしょう。
しかし、病院への送り迎えや、子どもの送迎など、昼間の高齢者や、習い事などで子どもの利用はこれからも増えていきますから、昼間の勤務だけでも活躍の場はあります。
運転手不足が叫ばれると、すぐに「自動運転だ!」とバカのひとつ覚えのように言う人がいますが、安全なレールの上だけを走る電車でさえ自動運転がほとんどできていないのに、特に都市部において、なにが起きるかわからない公道上で自動運転車が自由に走るようになるにはまだ十数年も先の話でしょう。
◇ ◇ ◇
最後にタクシーの料金決済方法の多様化です。私がよくタクシーを使っていた頃(20~30年前)は、ようやくクレジットカードが使えるようになってきてはいましたが、乗車中にスマホやICカードでかんたんに決済できるような仕組みはここ5年ぐらいで普及してきました。
一般的にタクシーで使えるキャッシュレス決済には、クレジットカード、非接触型ICカード、QRコードの3種類があります。
非接触型ICカードの中には、SuicaやPASMOのようなICカードの場合と、スマホでタッチして決済するApplePayや楽天Edyなど、QRコードにはPayPayやLINE Pay、楽天ペイなどがあります。
乗ったタクシーでどのキャッシュレスが使えて、なにが使えないのかというのは乗ってみないとわからない(ドアに書いてある場合が多いですが)というのは不便です。まだまだ改善の余地がありそうです。
そうしたキャッシュレス決済が今は当たり前だ!と言ってしまっては、運転免許証を返納して病院へ通うキャッシュレス・リテラシィが低い高齢者にとってはキツイものがあります。
特に地方の過疎地域の高齢者にとって、そうしたキャッシュレスの仕組みは他では必要がないので馴染みがなく、丁寧に教えてくれる若い人もいないので、混乱するばかりです。
タクシーが少ない地域で、限定的に配車アプリを使った白タクを許可しようという話もありますが、そうした地域に住む80代、90代の高齢者に配車アプリや電子決済がうまく使いこなせるとも思えません。
若い人はまったく考えられないことでしょうけど、高齢になって眼が悪くなると、あの小さなスマホの画面に出てくるボタンや説明文がよくわからないし読めないのです。
都会に住む高齢者ですら、コンビニやスーパーのレジで、スマホ決済やポイント利用のためにモタモタしている人をよく見かけますが、地方に住む高齢者には現状では配車アプリを使えと言ってもなかなか普及しないでしょう。
現在、クレジットカード決済を含むキャッシュレスの電子決済の機器を搭載しているタクシー車両は全国平均でおよそ90%に登っています(2022年3月、一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会調べ)。
ただ地域によって差があり、東京都と神奈川県においては99%の搭載率ですが、和歌山県や鳥取県、徳島県、愛媛県、佐賀県は60%台です(同)。60%の装着だとまだ普及しているとは言えません。
面白いのは昔からあるクレジットカードが利用できる車両と、比較的新しいSuicaやPASMO、PayPayなど非接触型ICカード(スマホ、QRコード決済含む)が使える決裁の機器設置は必ずしもリンクはしてなく、地域によって、例えば佐賀県はICカード決済が63%の普及率に対し、クレジットカード決済は22%と大きく開きがあります。
同様に宮崎県はICカード93%とかなり高い普及率に対し、クレジットカードが使える車両は35%という少なさです。県民性とかもあるのでしょうかね?
つまりひとつのキャッシュレス決済の手段だけ覚えておけば大丈夫ということになっていないことが問題です。現金なら同じ方法で全国共通で使えるのにです。
今はまだマイカーがあり仕事もしていないのでタクシーに乗ることはまずありませんが、やがて免許証の返納の時が来ることは確実で、そうなった10数年後にはタクシーの料金決済は業務効率と安全確保のため(少なくとも都市部では)現金は受け付けないということになっているかも知れません。
◇ タクシー業界の行く末 2023/10/28(土)
【関連リンク】
1735 地方の大問題は災害と公共サービス
1315 キャッシュレスの流行にあえて逆らってみる
1154 地方の可能性と限界
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1753
忍ぶ川(新潮文庫) 三浦哲郎
著者の小説を読むのは今回が初めてですが、1961年の芥川賞受賞作「忍ぶ川」を含む同年に単行本が出版された短篇集です。単行本とその後に発売された文庫版とでは収録作品に違いがあります。
著者は戦前の1951年生まれで自伝的小説が多い青森出身の作家さんですが、年が離れた6人兄弟の末っ子で、まだ幼い頃に二人の姉が相次いで自殺、二人の兄は失踪し行方不明という過酷な子ども時代を過ごしています。
表題作の「忍ぶ川」を含め「初夜」「帰郷」「団欒」「恥の譜」「幻燈畫集」「驢馬」の7篇が収録されていて、1961年から1934年に発表された小説で、その多くが自伝を元にした内容です。
タイトルの忍ぶ川はどこか地方の川の名前か愛称かと思っていたら、大学生時代に東京で下宿をしていた時に、貧乏なのに酒の勢いで行った少し高級な料理屋の店名でした。
「忍ぶ川」では、忍ぶ川で仲居の仕事をしていた女性を見初め、収入のない学生時代に結婚するという無茶なことをします。
貧困と、差別や因習が残る田舎の中で、血のつながった家族の自殺や失踪という実際に経験してきたことを元にして書かれているので、時代が違うとは言えリアリティがあります。
「初夜」と「帰郷」はその続編という扱いで、東京の大学を休学して実家の青森に戻り、身内だけのささやかな結婚をして近くの温泉へ新婚旅行へ出掛けます。その後、東京で仕事が見つかり妻と子を呼び寄せて暮らしますが、父親が危篤となり帰郷することになります。
最後の作品「驢馬」はこれらの中では全く異質のもので、太平洋戦争中に満州から留学生という扱いで青森にやってきた満州生まれの主人公が、狂っているとしか思えない日本人に、追いつめられて自分が狂ったフリをする必要に迫られるという内容で、一番読み応えがありました。
★★☆
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定年バカ(SB新書) 勢古浩爾
過去に「定年後のリアル」(2010年)、「定年後7年目のリアル」(2014年)を読み、自分の定年後を見ているようで、また考え方について参考になることが多く、ファンになりました。
◇2018年12月後半の読書と感想、書評(定年後のリアル)
◇2019年7月前半の読書と感想、書評(定年後7年目のリアル)
著者はすでに50冊近い書籍を出版されていて、それだけでも凄いなと思いますが、大ヒットしてその後続々と出て7冊にも達する「定年」本で、しっかりと印税生活をされているような気がします。羨ましい限りですが、機を見るに敏で能力がある方なのでしょう。
本著は2017年に出版された柳の下狙いの「定年」本ですが、これがまた面白くて、学者や評論家などが書いた「定年本」を徹底的にこき下ろしています。リアルな定年後を知らない奴が勝手なこと言うなとばかりです。
それらのこき下ろされた定年本のいくつかは私も過去に読みましたが、著者の定年本に比べるとリアリティがなく、薄っぺらで読んだそばから記憶には残っていませんが、著者の「定年のリアル」はいつまで経っても記憶に残っています。そういうことが言いたかったのでしょう。
だいたこうした定年本を書いている人(著者)は、一流大学を出て一流会社に就職し、その後は独立してカタカナの事業をしている人か、世の中をまるで知らない学者先生と相場が決まっていますので、中身は空疎で机上の理想論が上滑りしている感じです。
読者の年齢や年収、健康状態、雇用延長、年金金額、配偶者の収入、資産、居住地など様々なので、定年前後に「あーしろ、こーしろ」というのは難しく、どうしても自分が考える理想の定年後を述べるという形になるのでしょう。
その点、著者の定年本に書かれているのは、「自分の定年後はこうだった」というリアルな姿で、それを知って「自分ならこうする、こうしたい」という思慮を導いてくれるという点で優れています。
サラリーマンを長く勤め上げ、定年で辞めたというホワイトカラー限定の定年実例と言えるので、それに近い定年を迎えた人やまもなく迎える人の参考にはなりそうです。
余計なお世話ですが、出版社SBクリエイティブにはまともな編集者や校正者がいないようで、ミスがそのまま残っているのが目立ちます。著者は悪くないです、出版社がプロの仕事をしていないだけです。
57ページ 誤「なにもするこがなく」→正「なにもすることがなく」
137ページ 誤「なくせばい」→正「なくせばいい」
189ページ 誤「告別式は・・」→正「送別会は・・・」
など、素人がサクッと読んでいて3つも見つかるので、プロの校正者が校正すればその何倍かの誤字や誤用が見つかると思います。名門出版社の岩波文庫や新潮文庫では、プロの校正者や編集者が仕事をやっているので誤字や誤用はほとんど見つかりません。
SBCさん、安く使える校正者がいないのなら、特別な訓練を受けていない素人ですけどやってあげますよ。って私のブログも誤字誤用だらけで信用はないでしょうけど。
★★☆
◇著者別読書感想(勢古浩爾)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
二千七百夏と冬(上)(下) (双葉文庫) 荻原浩
2014年に単行本、2017年に文庫が出版された長編歴史小説です。歴史と言っても現代(2011年)と縄文時代の終盤近い2700年前とのふたつの時代が舞台です。
主人公は、現代は新聞社の北関東と思われる地方局に勤務する若い女性記者と、2700年前は石器を使って狩猟をメインとしている小さな村の少年です。
縄文時代というのは歴史の中ではすごく長く、諸説あるものの現在から1万6000年ほど前から2500年前までの1万3500年ほどが続きました。縄文時代の特徴は、石器だけではなく土器や竪穴式住居、弓矢などが特徴です。
1万年以上続いた縄文時代から、渡来人の影響で食糧生産の稲作や鉄器などが特徴の弥生時代へ変わるタイミングは、なにかのきっかけで一気に生活風習が変わってしまうというものではなく、おそらく何百年もそれぞれの時代が並行していたはずです。
著者はそこに目をつけて、狩猟主体の縄文部族と、海を渡ってやってきて、農耕を始め米を主食とする農耕部族のふたつが交わる瞬間をドラマ化していています。これがまるっきりの創作だというのは当然ですが、まるで見てきたような描き方で読み応えがあります。
前半部分は縄文時代の少年の話が長く続きますが、そこで使われる言葉が現代の日本語と共通する部分があり、著者の苦心の跡が読み取れます。例えば「イー→イノシシ」「ヌー→犬」「クムゥ→熊」「カァー→鹿」「クヌコ→キノコ」など。誰もそのことを証明したり反論できません。
ちょっと前半部分で間延びして、しかも意味のわからない縄文時代の言葉が出てきて読みづらいですが、慣れてくる中盤頃からは感情移入ができてサクサク読めるようになります。ちょっと我慢が必要ってことです。
現代の新聞記者が出てくるのは、ダム工事現場で、縄文人と弥生人が手をつないでいるような人骨が発見され、その時代を超えた二人のことを考えるという流れです。
前・中盤の密度の濃い内容と比較すると、最後はちょっと淡泊な感じでしたが、面白かったです。
★★★
◇著者別読書感想(荻原浩)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
長く高い壁 The Great Wall(角川文庫) 浅田次郎
著者の作品はかなりの数を読んできましたが、おそらく初めてではないかと思われる犯罪ミステリーで、ホームズ役の探偵作家と、ワトソン役の東京帝大出の文系エリート将校という組み合わせで事件を解決?する話です。
小説雑誌「野性時代」に連載後、2018年に単行本、2021年に文庫化されています。
単に戦場ミステリーだと「日輪の遺産」(1993年)なんかはそれに近いかも知れませんが、探偵が事件の謎に迫るというのは初めてのような気がします。
タイトルの「長い壁」とは、万里の長城を指していて、時代は日中戦争が泥沼に入りつつある1938年秋の北京から物語は始まり、万里の長城に駐屯し、匪賊や共産党軍の攻撃に対処していた日本陸軍の兵士10名が、何者かに殺されてしまうという事件が起きます。
単に敵に攻撃を受けて戦死した状態ではなく、血の一滴も流さず銃器の使用跡もなく、見張り番をしていた全員が同じような謎多き死に方です。
そこへ通称ペン部隊として新聞社の嘱託として北京へ来ていた探偵小説で人気作家の主人公が、護衛兼見張り役として軍の検閲班長と一緒にその事件現場へ向かうことになります。
ミステリーなので詳細を書くのは野暮というものですが、ヒントはこの万里の長城で守備を任されたのは、本隊の足手まといになるならず者だったり犯罪者などで、指揮官も士官学校を出たばかりで実戦経験がない若い見習士官だということ。
主人公達は、事件現場近くにいた軍隊の警察を担っている憲兵曹長とともに、殺された10名以外の他の分隊長らから聴取をおこない、事件の謎に迫っていくことになります。
舞台のバックボーンをもう少し書いておくと、1930年代に満州を併合した日本は、1937年には中国北東部の盧溝橋事件が発端となり支那事変(日中戦争)が起き、その後全面戦争へと発展していきます。
武力衝突後に首都北京を攻略後も、中国政府(中国国民党軍)は南下して戦い続け、北京周辺や北東部では日本軍に反抗する中国共産党が組織だってゲリラ攻撃をしかけ、また広大な満州から中国北東部にかけて発生した抗日武装集団(匪賊)がいて、日本軍はそれらに悩まされ続けます。
本著に出てくる張飛嶺は架空の場所ですが、調べると現在も昔のまま残っている司馬台長城周辺がモデルのようです。
角川書店のサイトにも、司馬台長城を見学した時の著者の写真が載っていて、長城の巨大さがよくわかります。
万里の長城を舞台に、従軍作家が日本軍の闇に挑む。浅田次郎作品初の戦場ミステリ(カドブン)
★★★
◇著者別読書感想(浅田次郎)
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