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905
夏の庭―The Friends (新潮文庫) 湯本香樹実(かずみ)

この本は著者のデビュー作で1992年(文庫は1994年)に発刊され、1994年には相米慎二監督、三國連太郎などの出演で映画(夏の庭-The Friends-)も制作されています。

小学3年生の男の子3人が、死んだ人をみてみたいという興味本位で、今にも死にそうだと噂されている1人住まいの老人を家の外から観察するところから始まります。

そうした少年達が主人公の流れから、スティーヴン・キングの「スタンド・バイ・ミー」みたいなものかなって思いながら読み進めました。また重松清氏の小説にもこうした小学生が主人公の冒険譚もよくありますね。

やがて少年達と老人とがうち解けることができ、一緒に庭の草むしりをして花を植えたり、壊れた家を修復したりしつつ心から理解し合える関係となっていきます。そして老人から様々な話しを聞くことになります。

老人が婚約者を置いて太平洋戦争へ出征したこと。南方の島で飢餓に苦しめられる中、逃げ出した住民を殺してしまったこと。そのことを引きずり帰国してからもその婚約者の元には帰れなかったこと、など。

なるほど、児童文学でもあり、翻訳されて世界十数カ国で出版されたという作品らしく、なかなか情緒あるいい作品に仕上がっています。映画ではストーリーが原作とだいぶんと違っているようです。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

マリアビートル (角川文庫) 伊坂幸太郎

この小説は2007年に文庫化されすぐに読んだけど、なにがなんだかよくわからなかった小説「グラスホッパー」(2004年)の続編で、2010年に単行本、2013年に文庫化されています。

さすがに8年前に読んだ記憶は老化という以上に後から後から上書きされてきて消耗が激しくほとんど覚えてきませんが、鯨や蝉などあだ名を持つ変わった殺し屋などが出てくる突拍子もないストーリーで、著者の「陽気なギャングが地球を回す」や「死神の精度」などと同様、妙にクセになりそうな予感はありました。

今年(2015年)の秋にはその前作「グラスホッパー」の映画(出演:生田斗真、浅野忠信、山田涼介など)が公開されるそうで、それがうまくいくとこの続編「マリアビートル」もいずれ制作されるのでしょう。

こちらの内容は、東京駅を出て盛岡へ向かう東北新幹線の中で、誘拐から人質を助け出して連れ戻す途中の殺し屋や、その殺し屋から身代金の入ったトランクを盗もうとするいつも不運でツキがない殺し屋、自分の息子に重傷を負わせた少年をつけ狙うアル中の元殺し屋など様々な目的をもった人達が繰り広げるコメディタッチのやや含まれるミステリー小説仕立てとなっています。

新幹線の車内という密室の中で、次々と殺人が起きたり、殺し屋同士がにらみ合ったりと、ま、現実にはありえねぇ息が詰まりそうな展開が延々と続きます。しかし最後の最後で登場する引退した伝説の殺し屋なんていうのが物語をびしっと引き締めてくれます。

タイトルが初めて目にする単語だったのでなにかと不思議でしたが、主人公でもある男の名前七尾から連想して天道虫と呼ばれるツキのない殺し屋と、そのテントウムシの中でもナナホシテントウムシが英語圏では聖母マリアを連想させるとして「Ladybird」「LadyBeetle」と呼ばれているそうで、それからの引用だと思われます。

著者別読書感想(伊坂幸太郎)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

さらば雑司ヶ谷 (新潮文庫) 樋口毅宏

この作品は著者のデビュー作で、2009年単行本、2012年に文庫化されています。前から読みたいと思っていましたが、今回ようやく2010年刊の「民宿雪国」と合わせて買ってきました。

東京都内で長く働いていますが、この小説の舞台である雑司ヶ谷(ぞうしがや)付近には行ったことがなく、どこなんだろう?ってずっと思ってましたが、なんとなく地名が下町っぽい雰囲気なので、小説の内容も劇団ひとり著「陰日向に咲く 」的な内容をイメージしていましたが、大きく裏切られることに。

ちなみに雑司ヶ谷は東京都豊島区にあり、池袋の近く、ジョン万次郎や小泉八雲、夏目漱石、永井荷風など多くの有名人の墓がある雑司ヶ谷霊園や、法明寺鬼子母神堂などが有名なところだそうです。

内容は戦前から雑司ヶ谷地域を牛耳っている新興宗教の教祖の孫が主人公です。中国へ人身売買された子供を捜しに行き、そのまま5年間生死不明だった主人公が生まれ故郷の雑司ヶ谷に戻ってきます。

そしてそこで起きる縄張り争いや、教祖から命令された事故の捜査など、しっちゃかめっちゃかな展開となっていきます。途中でアホらしくなって投げ出しそうになりましたが、グッとこらえて最後まで読みました。

ま、こういうのもアリなんでしょうけど、雑司ヶ谷で素朴に暮らしている住人にとってはえらい迷惑な話しでしょう。

著者別読書感想(樋口毅宏)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

ドミノ (角川文庫) 恩田陸

2001年単行本、2004年文庫化されたミステリー小説です。著者の作品は数えたところ過去16作品を読んでいますが、多作な作家さん故、まだまだ未読の作品が多く楽しみにしています。

ここ5回ほど直木賞にノミネートされながら惜しいところで逃していますが、もう時間の問題でしょう。こうした多作の作家さんが大きな賞をとると、書店は大規模な受賞記念フェアを開いて過去の作品も大々的に売れるので喜ばれそうです。

この作品は、東京駅を舞台にして、様々な目的で集まってきた縁もゆかりもない人達が、ドミノ現象のように一気に動き出して崩れ落ちることで、双方向に関わってしまうという、上の「マリアビートル」にも少し似た展開のミステリー小説です。

登場人物は、東京駅前にあり契約目標達成に焦っている生命保険会社の人達や、趣味の俳句で集まった定年退職した元刑事達、手製爆弾を仕掛けようとする過激派、付き合っている女性と別れようと画策している青年実業家、子供タレントのオーディション帰りの親子、元暴走族で今はピザの配達屋をやっているヤンキー、東京を舞台にした映画を作ろうと東京ステーションホテルに宿泊中のアメリカ人監督、大学のミステリー研究サークルの面々など同時進行で多くの主役達がドタバタ劇を繰り広げることになります。

そうした、元々は関係しない人達が、偶然という必然?で、東京駅の魔力に吸い寄せられ、そして大きな事件が勃発します。

最後のクライマックスは、それまでの仕掛けがワクワクさせられるものだった割に、アッサリとしたもので、ちょっとガクッときましたが、なかなかお気楽に楽しめる小説です。

私は通勤電車の中の短い時間で細切れで読み進めましたが、場面や主人公が次々と変わるだけに、落ち着いた場所で、一気に読み進めるほうがいい小説だと思います。

著者別読書感想(恩田陸)


【関連リンク】
 2月後半の読書 和菓子のアン、リフレはヤバい、屍者の帝国、三匹のオッサン
 2月前半の読書 赤猫異聞、殺人鬼フジコの衝動、モップガール、 「意識高い系」という病
 1月後半の読書 殺し屋ケラーの帰郷、模倣犯(1)~(5)

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904
昨年の暮れには国内量産型としては初の水素を燃料として電気で走る燃料電池車MIRAIが発売され、今年中にはホンダも同方式の量販車の販売が予定されています。

公害問題が深刻になってきた60年代後半以降、自動車メーカーは主として排気ガス浄化のための環境性能に力を入れてきました。それが48年(1973年)規制からほぼ毎年実施されてきた排ガス規制で、順次強化されてきた歴史があります。

特にアメリカのマスキー法を取り入れた50年(1975年)及び51年(1976年)規制のCO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)を従来の1/10以下にするという基準はハードルが高く、その頃に発売された新型車はパワーが激減してスポーティモデルが壊滅、余計な装備を付加するため重くなり、「パワーがない」「重い」「走らない」の三重苦とおまけに価格も上昇と散々でした。

しかし高度成長期にあった当時の自動車技術者が死に物狂いで研究し、そのアイデアが結実し、また技術的な発展と進歩もあり、暗黒時代は5年ほどで無事に脱し、世界に冠たる技術力を見出せたのもこれらの試練があったからこそと言えます。

そして今では電気自動車やこの燃料電池車など、ゼロエミッションをうたい文句にした無公害車が登場し始めています。

今回の新しい技術の量販型燃料電池車はどうでしょうか?

こうした新しい技術を使ったクルマの登場時には問題点はつきもので、水素や水素ステーションの供給体制、耐久性・安全性の検証、量産によるコスト削減効果、革新的技術の登場など、まだ不確定要素の部分も多く、普及については未知数のところも多くあります。

しかしいわゆるアーリーアダプターの先進技術に飛びつく新しもの好きな人は必ず一定数はいるので、トヨタ・ホンダの新型車はそこそこは売れることになるでしょう。ちなみにMIRAIの今年度生産台数はわずか700台、来年2016年でもたった2000台の予定です(プリウスは国内販売だけで2014年約18万台)。

しかし1997年に発売開始された量販型ハイブリッドカーの先駆者プリウスのように、従来のガソリンを使って電気でも走ることが出来るという従来技術の延長線上にあるクルマとは違い、特殊な用途以外には今までになかった水素エネルギーを使うだけに、今後一気に普及していくかはまだわかりません。つまり燃料電池車普及に関しては、不透明な部分がまだあるってことです。

その不透明な技術革新?車を普及させるため、700万円を越す燃料電池車に国は225万円※もの税制優遇や補助金(税金)を出すことを決めています。それに加えて東京都では101万円の補助金(税金)を出すことを決めている他、他の多くの自治体でも100万円前後の補助金を出す計画があるそうです。



※ MIRAI車両本体価格7,236,000円
※ 税制優遇策+補助金(国)+補助金(東京都) 合計3,352,900円(車両本体価格の46%もの優遇策)
 (税制優遇、国の補助金内訳)
 エコカー減税
  ・重量税・・・30,000円
  ・自動車取得税・・・180,900円
 自動車グリーン税制
  ・自動車税・・・22,000円
 CEV補助金・・・2,020,000円

なんとまぁ、大判振る舞いですねぇ。

他の多くの新型車にも適用されているエコカー減税やグリーン税制はもちろんMIRAIにも適用されますので、すでにエコカーとしては優遇されています。

さらに燃料電池車というだけでCEV補助金(クリーンエネルギー自動車等導入対策費補助金)をプラスして数百万円もの補助金(=税金)が出るなんてキチガイ沙汰としか思えません。

ちなみにこれらの優遇税制や補助金(税金投入)で得をするのは購入者と大メーカーだけです。

この車両本体価格が700万円を超える贅沢なクルマを買おうとする人は、日々の生活費が不足して汲々している人や、正社員になかなかなれないでいる非正規労働者でもなく、ましてや(預金の少ない)年金生活者でも、子育てと仕事を両立させるために子供の送り迎えや通勤用の車を買うシングルマザーでも、地方に住みバスや電車の本数が減ってしまい、クルマがないと生活が成り立たない人達ではありません。

生活に十分余裕があり、車が好きで、希少価値のある新しい物好きな人ならば、そうした補助金や税制優遇などしなくても、買う人は買うし、買わない人は買いません。

1千万円を越すフェラーリやポルシェの新車が、補助金やエコ優遇税制がなくても年に数千台売れますが、それと同じで補助金のあるなしでそれらの売れ方が大きく変わったりしません。

そして製造するトヨタの今期(2015年3月期)の営業利益予想は2.7兆円という莫大な利益を出している会社で、そのさらなる利益(先行投資)やPR活動につながる補助金(しつこいけど税金)を出してやる意味がよくわかりません。

消費者のために出すのだというのであれば、新車であろうとなかろうと、またエコカーであろうとなかろうと共通して補助金(または減税)すべきで、こうした資金に余裕のある大メーカーでしか作れない燃料電池車に出すというのであれば、それはその特定の大メーカーのために税金を投入してやっているということです。

特に古いクルマを大切に乗っていると、エコカー減税などが受けられず、様々な新車買い換え特典ばかりで、モノを大事に使って長持ちさせ、廃棄物をできるだけ少なくしようとする精神に反することをしてまで、大メーカーの売上拡大につながる施策ばかりをやってくれます。

百歩譲って今後は脱炭素社会、水素エネルギー社会を作っていこうという政策があり、国民や市民の税金を使ってなにかしたいのならば、減り続けているガソリンスタンドへの水素供給施設の建設補助や、集合住宅用、または家庭用燃料電池装置の設置補助というのならばまだ理解できます。

トヨタやホンダに間接的に税金をつぎこむよりも、地元の中小零細企業が多いガソリンスタンド事業者や一般家庭にまわすほうがずっと効率的で理にかなっています。

各地にあって災害時などでは避難所としても機能する道の駅などにも水素ステーション設備を設けたり、水素ステーションには必要な高圧ガス製造保安責任者の雇用補助とかをすればいいのです。

MIRAIを買うと3百万円もお得!って言うのは、つまりは「1台につきみんなの大切な3百万円の血税が、裕福な特定の購入者とそれを作ったメーカーのために使われるのだ」ってことをよく理解しておく必要があります。先行き不安で明るいMIRAIなどない私にはどうしても割り切れませんが。


【関連リンク】
891 昨年の自動車販売データ
864 衝突安全性テストについて
863 マイカーを軽自動車に買い換え
757 蓄電池技術は他の産業の進化に追いついていない
751 自動車事故と車種や装備の関係
661 乗用車の平均車齢と平均使用年数
557 運転免許証の取得推移と乗用車保有台数推移を並べてみる
467 見過ごせない自賠責保険料の大幅値上げ



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903
年寄りの愚痴のひとつに違いないのですが、最近思うことに若者の仕事に対する姿勢がずいぶん変わってきたなと感じることがよくあります。

例えば、自分の所属する部署とは別のところでなにか問題が起きていて、それを教えてあげる、もっと直接的に注意をしてあげる場合、直接会って話す場合と、それほど緊急性もなく軽い場合はメールで伝えておくということがあります。

メールで伝える場合は嫌みや誤解を生じないようにと、明らかな間違いでも、限りなく低姿勢で「できれば○○しておいたほうがいいんじゃない?」と注意というか、気をつかって丁寧な書き方をするわけですが、それに対する真摯な返答どころか、返答すらこない。酷いときは無視。

メールを送った場合、忙しくてメールを読んでいないかな?と思ってしばらくしてリマインドすると、面倒くさそうに、なにやら訳のわからない言い訳をメールにダラダラと書いてくる。これが一人や二人のことではなく。

青臭い言い訳だけなら、若気の至りとも思えるのですが、その言い訳に続いて、わざわざ他人の同様の間違いを探し出してきて、「あれはどうなんだ?」「これも違っているじゃないか?」と変な理屈をこね回し、必死に自分のおこないを正当化しようとしてみたり、「不可抗力なんだから文句言うな!」と抗弁してくる。

そうじゃないだろ?

確かに私(現57歳)の若いときには、年功序列・終身雇用が当たり前で、上司や先輩の言うことは絶対で、それが間違っていようとも、いちいち反論や抗弁なんて許されない環境だったし、そうやって仕事の厳しさやビジネスのマナー、常識(時には理不尽と思うようなことも)を身をもって覚えていくという、今の若い人からすると「ナンセンス」の一言で済まされそうな古臭いやり方だったことは事実。それを懐かしんでるのでも求めているわけではない。

しかし、いつの時代でも先輩や年長者に対する最低限のマナーや礼儀は失っちゃいかんだろ。ましてビジネスマナーを(やんわりと)注意してやってるんだからちゃんと聞けよな。

ビジネスの基本で言い尽くされている「報・連・相」は、そうした先輩達にたたき込まれてきたものだ。やがて自分の年代が上がっていくにつれ「報・連・相」を「する」立場だったのが、「される」立場になってきて、自分の役割が変わってきたことを実感していくことになる。

少なくとも最高学府で高等教育を受けて会社に就職した人なら、そうした基本的なビジネスマナーや礼儀を理解できない人はいないものと思っていたのですが、最近それに自信がなくなってきました。

そうしたことが自然には出来ない、する気もない人は、本来なら成績や成果のみで判断されるスポーツで身を立てたり、芸術家になったり、あるいはずっと甘えたままでいられる家業に就いたり、それともオレ様が大将と起業したりすればいいのです。あとは親や兄弟にずっと養ってもらうニートになるという道もあります。

少子化が進み、両親からも、先生からも、果ては会社の上司からも甘やかされて育ってきたと思われる今の多くの20代30代は、他人との関係では「敵か味方か」「得か損か」の判断しかしていないような感じで、会社においてはそれを応用して「自分の評価に影響がある人か、それとも関係ない人か?」の判断基準になっているようです。

そういう自分の評価や利益に関係するところにしか気配りが出来ない、頭が働かないというのは、ビジネスマンとしてどうなんでしょうかね?そしてそういう人に限って、人事考課の自己評価欄には「人から信頼され、与えられた仕事はきっちりとできている」とかきっと書いているのでしょう。ちゃんちゃら可笑しいわ、愚か者め。

そうやって自分の損得だけで行動を決めている人間が世の中に増えていくと、会社はもちろん、結果的には社会はますます荒廃していき、住みにくい社会になってきます。

東電の社長や会長が、自分や自分の家族が決して放射能の高い場所で決死の作業をすることはないことを知っているからこそ、放射能が漏れようが建屋が爆発しようが、修復に時間がかかろうが、汚染水を海に垂れ流そうがどうでもよく、要は会社の安泰と、自分の収入と天下り先がちゃんと確保できればそれでいいと考えて行動するのとなにも違いはありません。

同じ企業の中で、誰も悪意をもって人に注意やミスを指摘をするわけではなく(たまにそう言う人もいるのかも知れませんが)、みんなでよくしようと考えてやっていることだと、どうして素直に受け取り、注意してくれた相手に感謝できないのかまったく謎です。

人から注意をされたら「まず一度は無視する」「言い訳を考える」「同様のミスをあげつらい自分を正当化する」というような教育が若い人に向けて密かにどこかで行われているのではないかとちょっと勘ぐってしまいそうです。


【関連リンク】
848 同意を求められる会話
775 光陰矢の如し
767 若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
658 自転車のマナー違反が特にひどい
530 貧乏な若者からお金を取る方法
528 最近の若い奴らときたら・・・

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902
極めて個人的なことですが、首筋に小さなイボ(疣・いぼ)がポツポツとできはじめたのは2~3年ほど前で、ほっておいても自然に乾燥してとれちゃうかなと楽観視していたら、それがいよいよ大きく育ってしまい、目立ちにくい場所とはいえ、このままじゃ格好も悪いし、シャツの襟でこすれると痛いしということで、イボを取りに意を決して皮膚科へ行ってきました。

首筋にはその割と大きめのイボと、まだ直径1mmぐらいの小さなものが2つほどがあり、それ以外に散髪屋で固い櫛で地肌を梳かれるときに引っかかり「イテテ」となり、「ありゃ、ここにイボができてますねぇ~」って教えられ、首筋のとは少し違うタイプのイボが頭頂部と後頭部に都合3箇所できていることが判明しています。

こんなにイボが集団でできるのは初めてのことで、おそらくは加齢と長年粗雑に扱ってきた皮膚の老化が原因だと思いますが、普段は触らなければ痛くもかゆくもないだけに、ついついほったらかしていました。

イボについて調べると、首イボというのもあり割とポピュラーな病気のようですが、できる場所は人によって手や足、顔、お腹、背中などそれぞれのようです。つまり全身どこにできても不思議ではなさそうです。

またイボと言ってもいろいろな種類があるらしく、市販薬を塗っておけばなんとかなるものもあれば、ちゃんと治療を受けないと取れないものもあるようです。

また病院も、イボの治療は基本的には皮膚科ですが、中には整形外科や内科でも治療をやってくれるところはあるようです。それほど一般的ということなのかも。

イボができる原因としては、ウイルス感染というのがもっぱら多いそうですが、遺伝や感染経路など発症する特定は難しいらしく、したがって予防できることは少なく、イボができてしまってからの対処療法しかないのが実際のところです。

私も少し前にイボに効くと言われている健康食品の一種「ヨクイニン錠剤(ハトムギ)」を1年ほど試してみましたが効果はなく、結局どんどんと成長を続けてしまい、今に至ってわけです。

で、イボの治療法ですが、皮膚科にかかる前に調べてみたところ、

(1) 塗り薬や内服薬
(2) 液体窒素で冷凍療法
(3) 炭酸ガスレーザーで切除
(4) 外科治療(メスで切除)

などがあり、近年多いのは(2)と(3)とのこと。(1)以外はどれも痛そうで気持ちが萎えそうです。

しかしそこは高い健康保険を何十年と支払い続けながら、風邪ひとつひかずに、ほとんど病院にはかかってこなかった故、たまには使わないともったいねぇとケチ臭い動機も手伝って近所にある小さな皮膚科専門病院へ。

病院を探したり選ぶ際にはネットの病院のホームページが役に立つわけですが、残念ながら郊外の個人病院レベルでは、10年前に作って一度も更新していない?って感じの情けないぐらいにプアなものだったり、それすらもなかったりする病院も結構あります。

ホームページがない病院も検索できる?

Google先生に「○○市●●区&皮膚科」で聞いてみると、地図でちゃんと所在地と名称を示してくれるので便利です。

そしてホームページのない病院に関しても、「お医者さんガイド病院検索」など、病院情報サイトで診療時間など調べることも可能です。

患者というか顧客の立場から言わせてもらうと、やっぱりキチンとしたホームページがあって、診療曜日、時間、治療設備、得意な治療科目、担当医の経歴や専門、治療方針、地図やアクセス方法、駐車場の位置などが、画像を使いながら綺麗にまとめられていると安心感が断然違います。

未だに権威丸出しで、出身大学や海外留学経験、著書や勤務してきた大学病院ばかりが列挙してある、なにか勘違いしている医者もいますが、郊外の住宅地にあるような個人病院や小さなクリニックではそれらは求められてません。

どこの学校を出てきたかではなく、得意な専門分野と経験年数、地域の中でどういう医療をしたいかが重要でしょう。

さて、近所には幸か不幸か皮膚科の専門病院は1軒しかなく、土曜日の朝1番で向かいました。こうした病院は9時診察開始ならその30分ぐらい前から受付が始まっていて、診療開始時間に行ったのではすでに満員ということがよくあります。

そこで初日は診療開始の15分前に病院へ到着すると、あらま、もう10人ぐらいが先に来ていて待合室が混雑しています。そう言うこともあろうかと、文庫本と狭い待合室で風邪などうつされたら困るのでマスクまで持っていきましたが正解です。

初診の基本データを書いて本を読んで待っていると、30分ぐらいで呼ばれました。様子をうかがっていると、診療はなしで薬だけをもらう人や、5分とかからず診療が終わる人もいて、割とスムーズに順番が回ってきました。

そして私の診察では、頭頂部と首筋のイボをみて、「まずは冷凍療法でイボを焼きましょう」「この治療は1回2回で終わることは少なく何度か通ってもらうことになる」「頭頂部のイボは小さいのですぐに取れると思うけど、首のほうは少し時間がかかるかも。どうしても取れなかったら切る方法も考える」とのことです。

その場ですぐに小さなポットの中に入っている冷凍窒素で冷やした綿棒やピンセットでイボを焼いていく感じです。

痛い?

ピリッとして熱いというか痛いですが、我慢できないほどの痛みではありません。特に首筋の場合は耳が近いので、ドライアイスのようなものでチリチリと皮膚を焼くような音が間近に聞こえるのはちょっとつらいです。あと終わった後もしばらくジンジンと痛みが残ります。

ケーキなど生ものを持ち運ぶときに入れるドライアイスは二酸化炭素を液化して凍らせたもので、昔はそれが治療に使われていたそうですが、保管や扱いの容易さから、今ではマイナス150度程度の液体窒素を凍らせたものが使われています。

それをイボに押しつけて瞬間冷凍し、イボの組織を死滅させ、やがてはその部分がかさぶたのようになって自然にはがれ落ちるというのが冷凍治療です。

で、とりあえず初回は大きめの2箇所(首筋と頭頂部)を治療してもらい、かかった時間は最初に症状の説明や患部を見せたりする時間も含めても10分程度と極めてスピーディ。治療は1~2週間おきに来てくださいと言われました。

その1回の治療で頭頂部にあったイボは洗髪中に痛くも何ともなくポロッとはがれ落ちてなくなりました。ただ首筋の大きめのイボは少し小さくなったもののさすがにダメです。同様に3回目に焼いてもらった首筋の小さなイボも2回ほど処置すると、もうほとんど突起がなくなりました。

その後何度か通い(現在合計5回治療)、小さなイボはすべてやっつけてもらいましたが、どうも首筋の大きめのイボは、半分ぐらいの大きさまで小さくなりましたが、かたくなにまだくっついていて、はがれ落ちてくれません。さてどうしよう。医者はもうしばらくこれでやってみましょうとのこと。

悪いことは言いません、もし小さなイボでもできたら、大きくなる前に皮膚科へ行ってちょっと焼いてもらうと早く綺麗に取れますが、大きく育ってしまうと長引くし何度も痛い治療を受けなければなりません。


【関連リンク】
759 糖質ダイエットについての備忘録その1
738 日本人の年齢別死因は
737 日本人が罹りやすい病気
716 変形性股関節症は治らない
652 手のひらにできた異物
602 ついに変形性股関節症の診断下る
417 もはや国民病とも言えるうつ病について考える その1

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901
和菓子のアン (光文社文庫) 坂木 司

著者の作品はデビュー作「青空の卵」(2002年)や「ワーキング・ホリデー」(2007年)を読みました。いずれも面白かったので、この作品にも大きな期待を込めて読みました。

この作品は2010年単行本、2012年に文庫化された連作短編小説で、「和菓子のアン」「一年に一度のデート」「萩と牡丹」「甘露家」「辻占の行方」の5編が収められています。

すぐにでもテレビドラマ化できそうな内容で、太めでパッとしない高卒したばかりの若い女の子がデパ地下の和菓子屋さんでアルバイトを始め、そこで店長や同僚からいろいろな和菓子のうんちくや成り立ちを教えられ、また様々な客との接客を通じて成長していく姿を描いています。

タイトルは2014年のNHK連続ドラマの「花子とアン」からではなく、和菓子といえばアンコで、そこから同僚に付けられたニックネームということです。

真保裕一、新野剛志、荻原浩、柴崎友香、三浦しをん、有川浩の各氏などがよく描くいわゆる「お仕事小説」のひとつとも言えますが、ごく身近なところにある和菓子店という点に興味が惹かれます。

例えば「洋菓子はあんなに華やかなのに和菓子はなぜ地味なのか」、「同じものでも季節や場所によって名前が変わる」、「新暦と旧暦双方に必要な季節菓子」、「温度や湿度管理が必要な和菓子」など役に立つネタも豊富です。

最後の解説にくどく書かれている通り「これまで洋菓子派だった人も必ずや、地味だけど滋味掬すべき味わいがある和菓子の魅力に開眼すること確実。美味しくってためになる、本書は多幸感に満ちた物語」だと思います。

あー水無月と桜もち(道明寺タイプの)食いてー!

著者別読書感想(坂木司)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

リフレはヤバい (ディスカヴァー携書) 小幡績

2013年1月刊ですので2年前の新書と言うことになります。負け惜しみで言うと、こうした本は発刊から少し経ってから読む方が、その内容に信憑性があるのかどうかがリアルにわかったりするのでいいかも知れません。

著者は東大を首席で卒業し大蔵省、その後アメリカへ留学という超のつくエリートさんで、負け惜しみで言うとハッキリ言って大嫌いなタイプです。

好き嫌いはともかく、発刊当時にはこの本は騒がれました。

たいして偏差値が高くないお金持ちの坊ちゃま専用の私立大学卒で、アメリカへの大学留学も1年で中退して帰ってきた安倍総理が選挙で大勝ちし旗を振る人気沸騰中のアベノミクス政策の根幹を揺さぶる内容が、東大→大蔵省→ハーバード大の超のつくエリートさんが書いたものですから。

今回アベノミクスが目指しているリフレ政策というのは

(1)インフレターゲットを作り
(2)マネーの大量供給をおこない
(3)「インフレ上昇期待」を働きかけ
(4)日銀法改正をおこなう

というものですが、著者は「日本の経済に必要なのは構造改革である」「財政政策・金融政策で解決するものではない」というのが主張で、リフレ政策について様々な問題点と批判が書かれています。

特に最近は円安が進んだことで、トヨタやホンダ、パナソニックなど大手製造業(海外輸出がメインでドルで商売している事業)が大儲けをしていて景気がいい話しがよく出てきますが、まさにその問題点についても書かれていて、また株価上昇では経済がよくならない理由についても書かれています。

例えばインフレになっても賃金が上がらないというのは、上記のような大企業以外の9割以上の人が勤める中小零細企業の内情は厳しく、まさに昨年2014年は物価上昇を考慮した実質賃金では前年比2.5%減というリーマンショック後の2009年に匹敵する酷い状態です。

政府や政治家が言う賃金上昇も大企業や公務員に限定されていて、その他の多くはますます貧乏になっていっています。

逆に円高でこそ国富が増大し、ドル思考で戦略を考えるべきと、もっともな話しが続きます。

まだ鈍い私の頭の中ではちゃんと整理できていませんが、いちいちもっともな話しで、経済や外国為替等に明るくなくても、説得力あるわかりやすい内容で、2年前に大きなショックを与えたことがわかります。

しかし今ではこの本の主張がすっかり忘れられてしまった感があるのは残念というか、日本人の楽観的忘却思考がまた発揮されているのかなと思ってみたり。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

屍者の帝国 伊藤計劃×円城塔

2007年に「虐殺器官」でデビューし、その後「ハーモニー」発表直後の2009年に34歳で亡くなった伊藤計劃が、次作として書き残したプロローグを元に、よきライバルでもあり作家デビュー同期生の円城塔が本編を書き起こした作品で2014年7月(文庫版は11月)に発刊されました。

ちょっとややこしそうな設定ですが、読み始めるともう止まりません。多少は世界の名作シリーズの知識がないとその面白さが一部失われてしまうのかもしれませんが、気にしないで読むことも可能です。ただしグロが苦手な人は読むのがつらいかも知れません。

ネタバレも甚だしいですが、おおまかなあらすじを書いておきます。あらすじを知っているからと言っても、この本の楽しみが少しでも奪われるなんてことは絶対にないのでご安心ください。

時は19世紀終盤、英国の若き医師ジョン・ワトソン(アーサー・コナン・ドイル著の「シャーロック・ホームズ」の相棒)は政府の秘密機関(表向きはユニバーサル貿易で責任者はMというからイアン・フレミング著の「007ジェームズボンド」の世界です)に呼び出されます。

ヴィクター・フランケンシュタインにより実用化された死者を電気で蘇らせる技術、つまり死体をフランケンシュタイン化(メアリー・シェリー著「フランケンシュタイン 」)することに成功し、世界はその「生きる屍者」を増産することで、単純労働や兵隊など使役として使うようになっています。

当時は大英帝国と帝政ロシアで世界の覇権を争っていた時代で、その代理戦争としてアフガニスタンで戦争(1878年~1881年)が起きています。

その英国が統治しているインドの隣国アフガニスタンで、生者と変わりない動きをする新種の屍者がいるらしいと言うことで、ブラム・ストーカー著の「吸血鬼ドラキュラ」で吸血鬼ハンターとして登場するヴァン・ヘルシング教授から教えも受けたワトソンが密命を帯びて派遣されます。

インドではリットン伯爵(実在したインドの総督)の庇護をうけ、元アメリカ大統領で、退任後は民間軍事企業ピンカートン社にいるユリシーズ・グラント(これも実在)や、レット・バトラー(マーガレット・ミッチェル著の「風と共に去りぬ」)やミス・ハダリー(ヴィリエ・ド・リラダン著の「未来のイヴ」)らと接触、屍者製造の基礎研究資料が流出したロシア帝国の技術者などとともに、新型屍者の製造がおこなわれているアフガニスタンの奥地へ向かいます。

そこで新種の屍者の帝国を作っていたアレクセイ・カラマーゾフ(ドストエフスキー著の「カラマーゾフの兄弟」の三男)が、シベリア流刑から救い出した兄のドミートリイ・カラマーゾフを屍者として生き返らせて一緒に住んでいます。そしてワトソンを待っていたと言い、知っているすべての話しをして、その後屍者化する霊素導入を自分におこない自殺します。

天才科学者ヴィクター・フランケンシュタインが生み出した最初の屍者「The One」と呼ばれる最初に作られたフランケンシュタインと屍者を作るにあたって重要なことが書かれている「ヴィクターの手記」が日本に渡ったという情報を得て、鎖国を解いて間もない明治時代の日本へワトソンらが向かいます。

グラントなどは富国強兵に力を入れている日本で、「The One」をおびき寄せるため、明治天皇とグラントとの会見(1879年に実際におこなわれている)の場を作るが失敗。その責任を英国になすりつけようとレット・バトラー、ハダリーのコンビがワトソンを罠にかけます。

罠を見破り切り抜けたワトソンはレット・バトラーが所属しているピンカートン社の船に同乗し、アメリカプロヴィデンスへ渡り、いよいよ「The One」と対決します。The Oneは自らを「種の起源」で有名なチャールズ・ダーウィン名乗ります。密かに後を付けてきていたルナ協会の手で「The One」捕獲に成功、英国に戻るため、ジュール・ヴェルヌの小説「海底二万里」に登場するノーチラス号が登場。

ふぅ疲れた。そしていよいよクライマックスへ突入していきます。あとは読んでね。

しかし円城塔氏もとんでもない壮大な小説をよく引き継いで書いたものだと感心します。故人もきっと多少は戸惑いつつも喜んでいることでしょう。

著者別読書感想(伊藤計劃)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

三匹のおっさん (文春文庫) 有川浩

2009年に単行本、2012年に文春文庫と2015年に新潮文庫で発刊されています。

すでに第2弾の「三匹のおっさん ふたたび」も発刊され、昨年2014年には北大路欣也や泉谷しげる出演でテレビドラマ化もされていました。

連作短編形式で書かれているので、テレビの連続ドラマには最適っぽい感じです。

要はこれ、団塊世代の多くが還暦を迎えた今から6年ほど前に、その団塊世代のリタイア後にスポットを充てた団塊世代ウケする還暦ヒーロー物ですね。

と思っていたら、団塊ヒーローの孫や子供の恋愛などもうまく折り込み、青春熱中ど真ん中ドラマもうまく混ざっているので、若い人が読んでも十分に楽しめそうな内容です。

そうでないとどうしても重松清氏の団塊ヒーロー小説っぽく「昔はよかった」「今でも俺たちは元気だぞ」的なやや暗めの話しで終わってしまいますからね。

内容はサラリーマンを60歳定年で引退したり、飲食店の経営を息子に譲り渡したりして暇ができた昔の悪ガキ仲間3人が、夜回りをしたり、困った人を助けたりすると言うストーリーで、それに妻や孫、娘などが関わってくるという勧善懲悪物語です。

特にこれといった特徴はありませんが、暇つぶしにはちょうどいいライトな連作短編形式の小説です。若い人にとかく邪魔者扱いされる中高年者の気持ちや感覚を少しでも知ってもらえるといいですね。

著者別読書感想(有川浩)


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