リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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塩狩峠 (新潮文庫) 三浦綾子
1968年に発刊された小説で、実話を元にした感動作品です。これを原作として映画もできましたが1973年と約40年も前なので目にした方は少ないでしょう。
私は著者の作品ではデビュー作で代表作の「氷点」を15年ほど前に読んでいますが、こちらは繰り返しテレビドラマ化がされていて、最近、と言ってももう8年前になりますが2006年にヒロイン石原さとみ主演でありました。
タイトルになっている塩狩峠は北海道の道央と道北と結ぶ境にある険しい峠で、1899年(明治32年)には国鉄の前身の官設鉄道天塩線(現在の宗谷本線)が敷設されています。
そこで1909年(明治42年)に実際に起きた鉄道事故で、身を挺して犠牲となった鉄道院(国鉄の前身)職員の長野政雄氏がこの小説の主人公のモデルです。
明治時代といえばまだ仏教が当たり前の日本ではキリスト教やその信者は差別的にヤソと呼ばれ、大都会東京でも一般世間からは変わり者と言われ、のけ者にされていました。
主人公の母親もキリスト教徒であったため、子供を産んですぐに姑に家から追い出されてしまいます。主人公はその姑が亡くなるまで、母親はずっと前に死んだと聞かされていました。
姑が亡くなり家に母親が戻ってきたと思ったら、今度は父親が急死してしまい、中学(旧制、現高校)を卒業した後は一家の大黒柱として働かざるを得なかった主人公ですが、札幌に住んでいる中学校時代の親友から北海道へ来て仕事をしないかと誘われます。
自分の母親や妹、そして親友の妹で好きになった障害者の娘さんもキリスト教の信者ということもあり、北海道へ渡って鉄道会社に就職していた主人公は、やがては自然とキリスト教へ入信することになります。
私自身、キリスト教のことはよくわかりませんが、こうした自己犠牲と宗教というのはとても相性がいいようで、この鉄道事故が起きた後は日本でもキリスト教と信者が大層持ち上げられ、見直されるきっかけとなったそうです。
しかしその後日本は宗教とは直接関係がないとはいえ、自己犠牲を美徳とする教育とマスコミの煽動を徹底しておこない、国全体で多大な代償を払う太平洋戦争へと突入していくわけですから、そうした自己犠牲を清らかに賞賛する社会の風潮は美徳と言うだけでなく、なにか恐ろしいものだという感じもします。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
医療にたかるな (新潮新書) 村上智彦
昨年2013年に刊行された新書で、その刺激的なタイトルもあり、ベストセラーになりました。著者は負けん気の強い方なのでしょう、ユニークな経歴で、まず最初は薬科大学を卒業したものの、医者から「薬剤師のクセに」と一段も二段も下に見られて腹が立ち、それならばと医学部へ入り直し医者へ。
しかし実家が半端なくメチャクチャ裕福でないと薬科大学と医学部の両方を卒業するなんて絶対に無理でしょうね。
大学病院で勤務していたとき、北海道瀬棚町の町長に請われて町営の病院へ移り、再建と町民の意識改革に手を尽くしたものの、町長が替わったとたん政策が大きく変わってしまい、新町長と喧嘩別れして新潟の湯沢町の病院へ。その後財政破綻した夕張市の管財人からの依頼を受けて夕張市へ行きます。
そこでは既得権益者やたかり、甘え体質が蔓延していた役所や住民達とも対立し、一方的な批判記事が書かれたり、議会でつるし上げにあったりと散々な目に遭いながらも、1億円を超える当面の資金を自分で工面し、無駄をなくし予防医学を中心とする医療改革をおこなっていく過程が書かれています。
批判は国の制度や自治体や役所の問題だけでなく、医療現場にたかろうとする北海道の住民体質に向けても舌鋒鋭く、持論を述べています。
実際に双方の言い分を聞いてみないとどっちがどうでという判断は難しいのですが、とかく新しい風を吹き込もうとすれば、先日「政治家の殺し方」でも書いたように過去何十年間にわたり強大な力を蓄えている既得権益者との激しい戦いがあり、この著者もそれに巻き込まれることになります。
あと残念なこととして、この新書では触れられていませんが、既婚の著者の自宅(単身赴任?)で、著者の愛人と思われる二人の女性が刃傷沙汰を起こした事件が2012年に起き、自分が借金までして作った「医療法人夕張希望の杜」の理事長を辞職するに至っています。
著者の医療に関する信念と、プライベートのスキャンダルとは関係がないと言ってしまえばその通りですが、せっかく改革者として既得権益者やそれに与するマスコミに対して正面から攻勢をかけていたのに、つまらないことで勢いをそがれてしまうことになったことは無念なことでしょう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
オレたちバブル入行組 (文春文庫) 池井戸潤
テレビドラマで人気を博した半沢直樹シリーズの第1作目の小説として有名です。この文庫が発売された2007年から2008年前半頃には店頭に平積みをされていた時期がありましたが、当時はそれほど人気が高かったわけではありません。
私も著者の本では、デビュー作の「果つる底なき」や「BT’63」をすでに読んでいましたが、「またお得意の銀行小説(著者は元銀行マン)か」ぐらいに思い、買うことはありませんでした。その後出てきた主人公は銀行員ではない「空飛ぶタイヤ」「鉄の骨」「下町ロケット」などは面白く読ませていただきました。
しかしご存じの通り2013年にはテレビで大ヒットし流行語大賞にも選ばれるほどの人気となり、再び書店では「半沢直樹フェア」が仰々しく開催されていました。
著者にとってはこうしたテレビや映画で作品が映像化され、それがきっかけでベストセラーとなり、その影響で別の作品も一緒に売れるのはとっても旨味があるでしょう。
それだけに作品の映像化による原作使用料は、大ヒットして興行収入58億円と言われる映画「テルマエ・ロマエ」でさえ、その原作者ヤマザキマリ氏に支払われた原作使用料はたったの100万円だったというように、おそらく信じがたいほど安くても我慢せざるを得ないのが現状かも知れません。ヒットするかどうかまだわからない時に契約するわけですからね。
物語は、主人公の半沢直樹がバブル真っ盛りの中、就職活動をおこない、悠々と都市銀行の内定をとり、順調に階段を駆け上がっていたところ、バブルが弾けてしまいます。
支店の営業成績を上げるため、支店長命令でろくな審査もせずに企業融資をおこなったところ、それが不良債権になってしまい、あとは支店長以下に責任を押しつけられ、窮地に追いやられそれを同期の仲間達にも助けられ奔走するというものです。
「すさまじきものは宮仕え」とはよく言ったもので、特にエリートが集まる大手企業ではこうした社内政治力学や、上司の不正行為、ミスが発生したときのスケープゴート探し、子飼いの部下や社内派閥の構成、ゾンビとか妖怪と呼ばれても権力にしがみつく老人など、事実は小説より奇なりということは、大手企業に勤務したことがない私ですら知っていますが、今の若い人達は、こうした現実ではあり得ないようなビジネス下克上物語で少しは溜飲を下げたりするものでしょうか。
◇著者別読書感想(池井戸潤)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
それでも、警官は微笑う (講談社文庫) 日明恩
昨年読んだ武本・潮崎シリーズの「そして、警官は奔る」の前作になります。つまり2作目を読んで面白かったので1作目も読もうと買ってきました。著者のその他の作品では「鎮火報 Fire's Out」を読みましたが、こちらは消防士が主役の小説で、こちらもとても面白かったです。
著者の名前は日明恩と書いて「たちもりめぐみ」と読みます。普通の人は読めませんよね。ということは、書店によって著者順に並べてあったとしても「タ」のところにちゃんと置いてあるかどうか怪しかったりします(多くの書店員さんは賢いから大丈夫かも知れませんが)。
そしてこの著者は警官や消防士という、男臭くて汗臭い男を主人公とした小説を書きますがなんと女性です。
主人公の武本は高卒で警視庁に入り、硬派で真面目一方のたたき上げの刑事。コンビを組まされている後輩の潮崎は、大卒で国家試験を通り警視庁に入庁してきたキャリアではないもののエリートで、しかも実家が茶道の名門家元とかで、警視総監クラスの上流社会にコネをもち、警察組織の中でどう扱っていいか困って、本人希望で現場の所轄に配属された刑事。年は若く経験も少ないものの、役職は武本よりも上というありがちな設定です。
そしてこの二人は経歴と同様に、性格も対照的で、無口で人嫌いな主人公と、とにかくよく喋り、誰とでもすぐに仲良くなれる潮崎は、お互いに自分にない、いいところを認め合っています。
前述の通り、このシリーズの2作目は昨年春に読んでいますが、その時謎だった二人の関係や主人公の武本、潮崎二人の素性がこれを読んでようやくわかりました。やっぱりシリーズものは最初から読まなきゃダメですね。
第2作目を読んだときの感想文では「堂場瞬一氏の作品と共通する匂いがある」ような事を書きましたが、この1作目を読むと暴力的指向性が楡周平氏の作品のイメージに似たところがあるなぁって感想。いずれにしても刑事や知能犯を派手目に描くと味付けは似てきてしまうのは仕方がないところで、最近ちょっとそういう作品が多すぎるかなぁという気がします。
◇著者別読書感想(日明恩)
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定年まであと4年となってきて、この先のことをいろいろと考えるようになってきました。
そのひとつは、60歳で会社を辞めたあともリアルに付き合っていける人(友人)は何人ぐらい残っているかな?と。このような現実的な自問自答が繰り返し頭の中をよぎります。
現在の法律では60歳定年の規程であっても、希望をすれば65歳まで(私の場合は経過措置があるので63歳まで)は義務的に会社に雇ってもらうことは可能ですが、どうせ非正規社員になる(通常は定年後は1年ごとの契約社員や嘱託)のなら、積極的には働かないという選択肢や、働くとしても(できるかどうかは別として)なにか別の仕事をと考えたりしています。
いやいや、特に財産と言えるような貯金もなく、40歳過ぎで転職しているのでまとまった退職金もなく、住宅ローンは62歳まで続き(途中で5年間の延長をしたため)、今から子供に経済的な世話になるのもはばかられるし、さらに60歳過ぎて気前よく雇ってくれるところなんざそうはないと確信をもって言えるので、いずれにしてもこの老体にむち打りこのまま可能な限り今の勤め先で働かなくてはいけないのは確実な情勢ですが、なぜか仕事のことよりも先に、プライベートで気軽につきあえる友人・知人のほうへ頭が先にいってしまいます。
4月に読んだ小説「ダイスをころがせ」では、43歳の主人公が、ずっと疎遠にしていた高校時代の同級生に、「今度の国政選挙に地元から立候補するので秘書兼選挙参謀になって欲しい」と頼まれるところから始まります。
そのことがなければ一生涯その同級生と再び言葉を交わすこともなかったハズですが、偶然も重なり元同級生という存在から、大きな目標へ向かって一緒に目指す親友の関係へと変化していきます。
それを読んで、金や権力(昇進など)がついて回る会社の同僚や先輩・後輩なんかより、高校や大学の同級生や、クラブの先輩・後輩といった関係、つまりは途中で何度も途切れながらでも、結果的には何十年と続いてきた細い糸の縁のほうが、実はずっと価値があるというのは、自分に当てはめて考えても確かかもしれないなぁとあらためて感じた次第です。
一般的によく言われるように、会社を定年で辞めると年賀状の枚数が一気に減ってガッカリするという、ちょっと古い会社人間の例をひくまでもなく、会社を辞めると友人・知人が仕事関係を中心に大きく減ってしまうのは普通のことでしょう。
幸い私の場合、40過ぎで転職後、20年間勤めてきた以前の会社の人達の多くと、仕事上ではまったく関係がなくなっているに関わらず、今でも年賀状やFacebookでのつき合いが細々と続いているのと、現在勤務している会社では、社風と言うこともあり社員同士の年賀状のやりとりはほとんどしていないので、例え今すぐ会社を辞めたとしても、それだけで年賀状の数が減るということはなさそうです。
ただこの歳になると毎年、高齢の恩師や先輩、親戚などから喪中葉書によって訃報が届き、賀状の枚数がその分は確実に減っていくのは寂しい限りです。
但し「年賀状=友人」というのは短絡的で、実際にそういう人に連絡をとってみても「ではすぐに会おう!」となるかどうかはお互いが思っている距離感の相違や、年賀状という一種の虚礼のつながりだからこそ続いているというケースもあるでしょうからなんとも言えません。
私にとって親友と呼べるのは、やはり高校や大学の時の同級生で今でも時々会う友人や、海外赴任中に知り合った同年代の人達、そして前の会社に勤務していた20年間をともに苦労をしてきた同期生ぐらいなのかなぁと。
残念ながら仕事を通じて知り合った人や会社の先輩後輩と言った人の中では、知人レベルや気楽な友人はいても、親友と呼べるような関係はありません。
ずっと昔、そう、小・中学生の頃から「親友を作れ」「親友を呼べる仲間を増やせ」という言葉をよく耳や目にしました。
しかし、この「親友」という言葉にはなにか引っかかりがあり、その時は本当に親友と呼べるのは誰?という答えが出ませんでした。
今から考えると「そりゃそうだ」と思うのですが、要は相手が自分をどのように思っているかは無関係に、自分が「お前は親友だ」と勝手に決めてしまえばそれが親友にもなるし、卒業したり、クラスが変わったりして数年経って自然に関係性が消滅した頃にはまた別の親友と思い込む相手ができているだろうし、その時々で定義なんていい加減なものです。
ところがこの歳になってくると、大学時代は同級生という程度でそれほど親しくなかったのに、卒業して30年以上も経過した今でも平均すれば年に何度かは一緒に食事をしたり遊びにいくような関係が続いている相手は、まさに親友と呼んでも誰に恥じることはないでしょう。
つまり本当の親友というのは一時的にでも過去を共に過ごしてきた歴史が作りあげるものだというのが最近になってわかりました。
一番わかりやすいのは、男女の関係では「金の切れ目は縁の切れ目」って言いますが、男同士の友情や交流も、概してそういうところがあり、「あの人と知り合いになっておけば、そのうちなにかいいことあるのでは?」とか「あいつは顔が広いので頼めば客先からの注文を取りやすい」と言った「なにか役立つ(かもしれない)」という思惑で続いている縁は、やはり退職や引退で切れてしまうというもの。
一方、学生時代の知人で、共通の友人がいて、お互いの仕事ではなにも利害関係はなく、話題も趣味のことや家族、共通の友人のことばかりという友人は、お互いになにも損得勘定や遠慮もなくつきあえるので、やがては一生のつきあいになっていきます。
ただ悲しいことにそれって学生時代にはわからないことで、今思えば「まさかあいつとこんなに長い縁ができるとは!」って思うこともあり、人の縁なんて摩訶不思議なものとしか言いようがありません。
海外で知り合ってその後20年以上交友が続いている友は、お互いに周囲に日本人が誰もいない環境の中において、違う文化、違う言葉、違う風習でともに苦労を味わい、ふとプライベートで偶然知り合って意気投合した相手で、おこがましい言い方をすれば「死ぬか生きるかの戦争を一緒に戦った戦友」みたいな強い絆と同種のものでしょう。
通常なら帰国後、勤務場所も遠く離れ、仕事も関係性がなければつながりは自然消滅するのですが、上記のように尋常ではない場所で生まれた縁は、その後もなぜか切れることなく続いていくもので、そうした関係は平和な世の中では極めて稀なケースでしょうけど、確かに存在することがわかりました。
若い人にアドバイスができるとしたら、
・若いときに親友がいないなどと悩む必要はまったくない。また無理に作る必要もない。親友は必然性と歴史が作ってくれる。
・苦境の時、困っている時に気にかけてくれたり、変わらずつきあってくれるのが本当の友人で、逆に羽振りのいいときに近づいて来るのはみな偽物と疑え。
・仕事を通じての友人は、プライベートで深いつき合い方ができた人だけが残り、その数は決して多くはない。
ってことでしょうかね。
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たぶん私と同年代の方で、デパートに勤務をし、約10年前に脱サラをして、中古の着物販売を手掛けておられる和田一郎さんという方の過去のブログがたいへん面白かったので書いておきます。
まずは新入社員や、せいぜい社会人になって3年未満の方に読んでもらいたいなと思うコラム記事です。
◆社会人になって学んだ7つのこと
詳しくはリンク先をじっくり読んでもらうとして、若いビジネスマンにぜひ知っておいてもらいたい、「雇われ人になった社会人の掟」と言えるもので、これを知らずに勝手に自分流で世の中を解釈し「この会社はダメだ」「上司はクソだ」「周りはわかってくれない」など不満を周囲に撒き散らすのはやめてもらいたいのです。
そんなことをしていては誰も味方にはなってくれないという忠告でもあり、あとで後悔するよということです。
で、その7つのこととは、
1.そこにしか居場所はないと思って頑張れ
2.ちょっと無理そうなことをやると宣言してやれ
3.上司に楯突くときは、会社を去る覚悟でやれ
4.どれだけ頑張ってもやがては敗者になることを肝に命じよ
5.どれだけ忙しくても好きなことをやめるな
6.考えぬく、工夫し抜く、自分で学ぶ癖をつけよ
7.貪欲に正直に欲しいものを求めよ。そして、同時に、自分の中にある灯をまばゆいばかりにせよ
これを書いた和田氏はサラリーマン生活を19年続け、その後独立起業しビジネスを成功させている方です。
そうした「経験者は語る」ものはビジネス書やネットで世の中にあふれていますが、その中でピカリと光る秀逸なものは決して多くはありません。
このブログ記事は、決してプロの作家や著名人が(ゴーストライターを使って)書いたというものではありませんが、素人らしく素直な自分の体験が吐露されていて、同年代の私が読むと、うなづけたり、身につまされたりします。
私もこういうキレキレのブログを書いてみたいものです。もうムリだろうけど。
ただそれらは20代での若いときにはまったく気がつかない、ピンとこないことばかりで、だいたいは中年以降になってからようやく気がついたり後悔したりすることなのです。
1番などは、最近の流行で、自分の勤務先の問題点をいちいちあげつらい予防線的に「ブラック指定」しておけば、すぐに辞めてしまっても、自分の努力や能力の足りなさの言い訳になるというムードがありますが、数ある就職先の中からそこを選んだ自己責任という点が欠落しています。
体育会系ノリはさすがにもう古いでしょうけど、まずは、いまの環境で、己の限界まで挑戦してみることを伝えているのでしょう。
4番の「どれだけ頑張ってもやがては敗者になることを肝に命じよ」は、20代では入社同期達との差はまだ決定的なものではありません。
せいぜいあいつは早く昇進できて運がよかった、オレは配属された部署が悪かった程度のもので、実力的な勝った負けたなどの実感はほとんどありません。
しかしそれが30代、40代になると、加速度的に能力や実力の差は明らかになってきて、もし同期入社が10人いれば、その中で経営層にまで認められ順調に昇進できるのはせいぜい1人か2人に絞られていきます。
ちょっといやらしい言葉ですが「どれほど頑張っても、ほとんどの人は、同期の誰かの前に頭を垂れて決裁を求める立場に置かれる運命だ」なのです。これが社会の掟というかルールなのです。
よくあるリストラの一環では、辞めさせたい人の上司に、その人の元部下や同僚を就かせ、プライドをめちゃめちゃにしてしまうという手法が取られます。
つまりそうしたことが起きれば会社は「辞めて欲しい」と暗に言っているのだと理解しなければなりません。今まで気楽に呼び捨てしていた元部下や同僚に対し、その瞬間から敬語を使って頭を垂れ決済を求めるのはつらいものですが、そういうことは当たり前にあることを理解しておかなければサラリーマンは勤まりません。
5番の「どれだけ忙しくても好きなことをやめるな」もいいアドバイスだなぁと実感します。
年寄りの愚痴かも知れませんが、最近の若い人はよく言えば多趣味、悪く言えば気まぐれで、飽きっぽく、なにをやっても長続きがしないような気がします。
20代の人の中には、「いろんなことをいっぱい体験することが自分の成長につながるんだ」と思っている人が多く、そのように新入社員向けビジネス書にも書かれています。
その考え方はある意味間違ってはいませんが、それは「多くの経験をした中から早く自分の核になることを見つけよう」あるいは「長く続ける芯がありながらも、その専門バカにならないよう、もっと他にも手を拡げよう」というのが正しい解釈なのです。
その長く続けていくべきことがいつまでも見つからないし、芯もないのに、あれにもこれにもと手を出して、結局なにも身につかず、なにも興味を持てず、いろんなことに手を出したけど、すべて浅く広く知っただけで終わりという人生は歩んでもらいたくないと言うことでしょう。
何事も「継続は力なり」です。何十年とあるひとつのことを継続することで、やがてはそれがその人の芯となり柱になり、人生の中に潤いを与えてくれ、仕事以外の充実や喜びを与えてくれるものになっていきます。そういうことって20代の人には想像もできないことでしょう。
◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆ ◆◆◆◆◆
次は、同じ和田一郎氏のブログで、社会人、特にサラリーマンになって10年以上が経った人に読んでもらいたいコラム記事です。
僕が19年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと
こちらは19年勤務してきた会社を退職するときに、自分の今までの働き方や仕事に対する考え方が、サラリーマン生活をおくる上では正しくはなかったと反省を言葉にしたものです。
ちょっと著者独自の現在の立場や考え方に偏って書かれていますので、すべてのサラリーマンに共通しているわけではありませんが、こちらも参考になる言葉だと思います。
個人的には内容について賛同できない箇所も一部ありますが、あえてそれには触れません。
1.入社初日から社長を目指して、全力疾走すればよかった
2.ゴルフをすればよかった
3.会社のカラーに染まりたくないと思わなければよかった
4.社内のひとのことに、もっと興味を持てばよかった
5.思い上がらなければよかった
6.できない上司、嫌いな上司に優しくすればよかった
7.あのひとのようになりたいというひとを、もっと早くみつければよかった
8.男気なんてゴミ箱に捨てればよかった
9.もっと勉強すればよかった
10.できる評判を得たいために、長時間働き続けなければよかった
11.同期が先に昇進したとき、笑って忘れればよかった
12.社内での自分の評判に、もっと気を使えばよかった
番外.もっと早く辞めればよかった
番外は、筆者が独立起業した事業に成功を収めた方なので、なんとも言えません。逆に仕事が嫌で辞めたはいいけど、再就職がうまくいかなかったり、事業に失敗して「番外:辞めなければよかった」と考える人も決して少なくないと思います。
また上記のコラムを捕捉する形で下記の続編があります。
『「僕が19年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと」で語りたらなかったこと』
以上、ご参考までに。
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以前書いた「高齢者ビジネス(第1部 居住編)」の続編で、今回は趣味編です。趣味といっても広いのでいくつかに絞っていきますが、狙いはやはり65歳前後になった800万人を超える団塊世代の人達向けが中心になるでしょう。
新聞広告や挟み込まれているチラシをみると、いまは団塊世代向けの広告ばかりで、霊園、お墓、介護施設、懐かしのメロディのCD、懐かしの映画DVD、ウォーキングシューズ、電動マッサージ機、添乗員付きフルサポートの旅行、自宅リフォーム、二世帯住宅、宅配弁当、組み立て模型、安楽椅子、腰や膝のサポーター、健康食品、シワやお肌の手入れグッズ、スポーツジムなどが中心です。それらがいま旬の(新聞読者向けの)売れ筋商品・サービスと言うことなのでしょう。
ちなみに20年前の新聞チラシで多かったのは、圧倒的に不動産、自動車、家具、スーツ、家電製品、カルチャークラブ、ゴルフ場やリゾート会員権、ホームセンターなどでした。
もとより高齢者と言っても今の60代は元気で、外出する機会も多く、旅行やスポーツの趣味をもっている人もかなりいます。冬山登山や海外の観光地でなにか事故が起きると遭難者や被害者はたいてい60過ぎの高齢者ですし、平日の国内の有名観光地は元気で暇そうな高齢者ばかりと言っても過言ではありません。
そうした観光地や名所旧跡へ行くとよく目にするのは高級カメラをもった高齢者達です。そして昔なら高級カメラは男性の趣味だったものが、最近のCMトレンドを見てもわかるとおり、女性の需要も高まってきています。
写真撮影は他の趣味と比べて体力や資金力は不要で、そしてすぐにでも始められる趣味です。もちろん趣味が高じて高級一眼レフカメラ本体と超望遠レンズなど一式を揃えたり、遠出に備えてワンボックスカーを改造したりすると、それなりにお金はかかりますが、道具よりも撮影する場所とタイミング、ジッとシャッターチャンスを待つ忍耐力、被写体を捉える技術があれば、お金をかけずにいい写真を撮ることができます。
高級一眼レフカメラを買う年齢層は40歳以上が約7割を占めるというデータもあり、40代に入った団塊ジュニア以降は人口減少が甚だしいので、すでにその需要はピークを迎えつつあると思います。
20代の若い人の多くはスマホのカメラで十分という人が多く、わざわざ重くて邪魔になりしかも高い高級一眼カメラを買おうと思う人はマニア以外少ないでしょう。
しかし買った高級カメラも、高齢者の場合には健康上の問題や、買ったはいいけど意外に重くてかさばり、気軽には使えない一眼レフカメラを結局ほとんど使わない人が、これから増えていくでしょうから、当然ながら高級カメラの中古市場が賑わうようになると予想しています。
カメラのような精密機器の場合、オークションなどで個人やカメラ専門業者以外の業者から中古品を買うのは保証がなく、リスクが高いのでできれば避けたいものです。
一番いいのはメーカー直営の子会社かメーカーから認定を受けた専門中古業者が、中古品のリフレッシュと販売(ネット)をおこなってくれるとユーザーも安心して購入できます。
ただし、それだけで稼ごう、儲けようとすると、中間マージンがその分大きくなり「買値は安く・売値は高く」となってしまい、安い個人オークションや型落ちモデルの新古品価格との比較から利用者はあまり増えていきません。
そこでメーカーの新製品の販売強化策として、その販売促進費を中古市場に流用する作戦です。
どういうことかと言うと「当社の新製品を買えば、もし売るときには、高く買い取ります」という保障を新製品購入希望者に与えることで新製品の販売強化をおこない、同時にそこで得られる利益の一部を中古品の買取価格補填や整備費用に回すのです。
それによって中古品売買のマージンを減らすことができ、高く買取り、リーズナブルな価格で販売することが可能となります。
そう仕組みを作れば、裕福な人には新製品を安心して買ってもらい、そして不要になったり買い換えをしたい時には気軽に下取りに出してもらう仕組みを作ります。
なんだったらクルマの残クレローンと同じように、一定期間までなら購入価格の50%で引き取るという制度や買取保障を付けてもいいでしょう。
クルマなどと同じで、老い先短い高齢者が5年後に売りたいと思った時にほとんど無価値ですと言われるとショックを受けますが、ある程度の買取保障があれば、安心して高額な耐久消費財が買えるというものです。
高級一眼レフの新製品は高くて手が出ないけど、中古品ならという人は、メーカー系列の会社が全面的にメンテナンスをしてくれて、品質保障までついた製品が買えるのならば、オークションやハードオフより、多少は高くてもそちらを選ぶでしょうし、もっと本格的にやりたければ、市場やオークションに流れる自社製品が中古で安く出てきたならば片っ端からその関連子会社が買い取って値崩れを起こさないようにすれば、中古品価格の高値安定調整も可能となります。
次に私が狙うべきと考える高齢者向け趣味のマーケットとしては、家庭菜園(貸し農園)です。
今の団塊世代の多くは、元々都会に住んでいた人よりも、地方から都会へやって来た人達が多く、子供の頃は畑や田んぼで家の手伝いをしていたという人がかなりいます。
また都会育ちの人も年齢を重ねるとともに、花を育てたり庭で土いじりがしたいと思う人が自然と増えていきます。
そうした人が暇と体力を持て余している中で、自宅(マンションとか)の近所にそれまでは古いアパートや駐車場があった土地にレンタルの畑ができると大いに喜ばれるでしょう。
人口や世帯数が減っていく中で、これから駅から離れた郊外でアパート経営や駐車場経営をする人は確実に減ってくるでしょう。そうした土地を安く借りて利用するのです。
農林水産省はじめ様々な自治体が市民農園を推進していますが、そうした役所主導の大規模で、予約がいっぱいで、なかなか順番が回ってこなく、融通の利かないものではなく、もっと小回りが効いて小規模で臨機応変なものを想定しています。
家庭菜園用として貸し出す月々費用は格安に設定し、さらに貸し農園に定期的に巡回してくるプロ(農家の人のパート)のアドバイスは無料で受けられるようにします。
そうすれば農園を借りた人は素人でも安心して農作業ができ、さらに自分で作った無農薬野菜や生活に彩りを添える花の収穫など成果も期待でき満足感も上がります。
そしてここが肝心なのですが、上記の通り月々の貸出費用は極力安く抑え、その代わりに作業道具や肥料、手間のかかる雑草取りや代理での水やり作業などのオプションで儲けるビジネスモデルです。
大規模な安い市営駐車場や各地にありながらもなぜコインパーキングが流行ったかと言うと、100円という安価で駐車ができるという錯覚と、小規模ながらあちこちにあって便利だからです。
そしてビジネスモデルとしては、コピー機やプリンター本体のように、本体は個人に安く売ったり貸し出して、トナーや紙、インク代で儲けるというものです。まずはとっかかりやすくて年金生活者でも十分に支払い続けられる安い価格で長期利用者を集めるわけです。
コインパーキングのTime24と競争になりますが、あちこちに点在する空き地の利用を土地の所有者に訴えかけます。なんたってコインパーキングと違い、初期の設備費用はほとんど不要(土盛りだけ)で、もし将来更地に戻す必要があっても大きなコストはかかりません。
最低限の設備として水道(または井戸)設備だけでOKですから土地の持ち主にとってもメリットはあります。
さて次は今後自宅介護が普通になってくると、宅配弁当も流行ってくるでしょうけど、今まで厨房には近づかなかった男性も毎食の料理を作る必然性ができてきます。夫婦ともに健康でも、夕食は交代で作るとか、そういう老夫婦世帯が増えていっても不思議ではありません。
そう、3つめの趣味は料理です。
定年後に料理学校へ通って料理を習う男性が増えてきたというニュースを読んだことがありますし、いつも年賀状だけで欠礼している昔お世話になった80歳を過ぎた元上司も、妻に先立たれてから、料理学校へ通い、毎食自分で食事を作っていると年賀状に書いてありました。
妻に教わろうとすると、「そんなことも知らないの!」「手際が悪い」とかプライドをメチャクチャにされてしまいそうなのと、男性は一流のプロが作った料理を外で食べる機会が多くあって、舌の肥えている人が多くいます。
なのでちょっと凝った料理や、妻の味付けではなく自分が食べたい料理を好みの味で作ってみたいという欲求があります。
で、ここは優しいおネェさんが教えてくれる「簡単」「便利」で「美味しく」「健康にいい」料理を学ぶことができる「男性料理学校」が流行りそうなので、それを住宅地域の駅前に作るのです。小規模なら住宅を少し改造した個人宅でも始められるかもしれません。
することがなく自宅にこもり、妻以外と話す機会がめっきり減った男性高齢者にとって、同じように手つきがたどたどしい男性に混じっての料理学校は、自分好みの料理が作れるという実益も十分に満たし、しかも若い女性の先生と気軽に話しができ、同じような立場の友人も増やせる絶好の趣味と言えます。それで得た知識で夕食を作り、妻や家族に喜ばれたらもう一石四鳥です。
経営する側も、以前なら専業主婦や嫁入り修行中の働いていない娘さん向けに開いていた平日昼間のコースが、少子化と共働きが増えていくにしたがい生徒が減っています。
変わって、働く若い女性向けの平日夜間や土・日曜日に開くことが主流になりつつあり、そこで引退した男性向けに平日の昼間のコースを入れると教室が有効利用でき、もってこいではないでしょうか。
ちょっと思いついただけの3つの高齢者向けビジネス(趣味編)を考えてみました。いずれも現在あるビジネスの延長線上のものばかりですが、あともうひとひねりか、ふたひねりできれば、大きなビジネスとしてチャンスがあるかも知れません。
【関連リンク】
824 高齢者向けビジネス(第3部 仕事編)
810 高齢者ビジネス(第1部 居住編)
754 東京オリンピックとこれから高まるビジネスチャンス
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この業界のことを"ど素人"があれやこれやと勝手なことを書くのはどうかと思うのですが、ネタ不足の折、公表されているデータと個人的感想を少し書き残したいと思います。
パチンコは学生の頃はほとんどせず、社会人になってから、一緒の寮住まいだった同期の男がやたらとパチンコ好きで、最初のうちはつき合いで通っていましたが、その後、仕事が終わってから暇な時にはひとりでも通うようになりました。戦績は勝ったり負けたりで総合すると確率通りやや負けってところです。
しかし幸いにも、のめり込むようなことはなく、勝っても生活用品やタバコに換えるぐらいで、まれに大勝ちした時以外は換金することもない、完全に"ど素人"の域を出ませんでした。
パチンコ台もギャンブル的なものは避け、ゆっくり少しずつ勝ったり負けたりするものを選んでいたせいでもあります。根っからギャンブルには向いていない性格で、ここ10年以上は行ってません。
その後1980年後半頃から登場してきたメダルのパチスロが大きな流行となりましたが、それにはまったく興味がわかず、さらには大当たりすれば大儲けができるものの、当たらなければ万札が瞬間になくなってしまうと言うギャンブル性が強い台が多くなってきたため次第に足が遠のくようになりました。
つまり私にとってパチンコは単にストレス発散、暇つぶし程度のものだったのです(元々はそういうものだったはずです)。パチンコ依存症の話しを聞くと、今でもなにがそんなに面白いのかな?って不思議に思います。
日本生産性本部のレジャー白書2013によると、パチンコホールの売り上げはこの20年のあいだに約40%ダウンしているということで、もう完全に構造不況業種入りをしたと言ってもいいのかも知れません。
しかしそれでもまだ年間売上高19兆円という巨大ビジネスです。
19兆円といえば、働く国民(約1億人)と企業から新たな税金として集められた東日本大震災の復興予算(当初)の19兆円と同額の規模で、世界有数企業のアップルやトヨタの年間売上額がほぼそれに匹敵し、国内全域の電力・ガスの売上も近いものがあります。とにかく巨大なのです。
売上が20年で4割も減ったとなると、店もそれなりに減少していているのかな?と思いきや、私の住まいがある神奈川県や、職場がある東京都内では、駅前や盛り場に多いど派手なネオンと騒音を撒き散らしているパチンコホールはあまり減ったような印象はありません。それは下記のような理由がありそうです。
矢野経済研究所の調べでは、2012年12月と2013年12月のパチンコホール経営企業数(ホール数ではない)を比べると、3975社から3818社へと1年でわずか4%の減少、新たにホールが出店するエリアは人口の多い東京や神奈川、埼玉、大阪、兵庫に集中しているとのことです。全体総数では減っていても、都市部では横ばいかまだ増えている可能性があります。
つまり私のように神奈川に住み東京へ通勤していると、パチンコホールの減少は気がつかない程度(逆に増えている地域もありそう)ということで、減っているのはもっぱら地方や郊外のようです。
そう言えば地方の国道をクルマで走っていると、閉鎖された巨大なパチンコホールや、さびれた駅前にシャッターが降りたままの店舗を見かけることがあります。
そうした都会のホールも今後はどうなるかと言えば、まず団塊世代をはじめ高齢者の年金が減少(あるいは増税で目減り)して、パチンコや公営ギャンブルに回るお金が年々下がっていくように思います。
今まではこうした団塊世代を中心とする中高年者がパチンコや公営ギャンブルを根っこで支えていたと言っても過言ではありません。
「スロットは若い人が多いぞ!」と言われそうですが、上記のレジャー白書の統計では、この1年間にパチンコやスロットをした人口が20年間でなんと1/3に減少してきていることがわかっています。
パチンコ遊技者が1/3に減ったのに売上は2/3にしか減っていないということは、熱心な愛好家だけが、大金をつぎ込んでいるということになるでしょう。
それはつまりパチンコをする人の裾野がたいへん狭くなり、中毒とまでは言わないまでも、習慣化した愛好家とギャンブルとして遊技する人に固定化されつつあると言ってもいいでしょう。
高齢者に多い暇つぶしのために小金を持って毎日のように通ってくる人や、若い人に多い仕事代わりに生活費を稼いでいるパチプロやセミプロなんかはまさにそうですね。
パチンコをこの1年間にしたことがあると答えた人の割合を年代別で見ると、この20年間で10代は15%が2%へ、20代は50%から18%へと大きく下がっていることからも、若い人のパチンコ離れは明かです。さらにその年代は少子化で人口も少なく、両方の負の効果が今後数年間でさらに大きく効いてくると思われます。
また遊技者の裾野が狭くなっているという証拠に、日本遊技関連事業協会のデータで、ひとりのパチンコ店の平均滞在時間(プレー時間)が、2011年と2012年との比較で3.9時間から4.6時間と、わずか1年間で42分も増加していることからもわかります。
私のような"ど素人"なら、あの騒音が激しく埃っぽくて空気も悪い中で2時間以上も座っているなど、ほとんど耐えられないことですが、そういうのが趣味で好きだったり、生活がかかっていたりする人にとっては子守歌かBGMのようなものなのでしょう。
今の若い人にとってはPCかスマホがあれば暇つぶしのゲームとしては十分でしょうし、そのスマホ代やアプリ代などが積み重なり毎月高額の支払いをしなければならないので、損をする可能性が高いパチンコに入れあげる余裕も暇もないでしょう(根気と才能があり生活費を稼いでいるパチプロは別)。
また5年以内のあいだで「パチンコを始めたり再開した」という人の割合と、「パチンコやめた」という人の割合を比較すると、「やめた」という人の割合が高くなっています。それが衰退産業であることの証明でもあります。
逆に5年以内のあいだに「始めたり再開した」人の多いレジャーはと言うと、「国内旅行」「ウォーキング」「映画」「カラオケ」「外食」などで、これはやはり団塊世代が退職した後の生活が大きく反映していそうです。
そのような社会情勢の中で、今後パチンコホールはどういう方向を目指して行くのでしょうか?
現在のパチンコやパチスロはギャンブル性が高く、習慣性や依存性もあり、今後すぐに客がいなくなるということはないにしても、やはりその形態はニーズに合わせて変わっていかざるを得ません。
ひとつは海外への進出です。世界にはまだ多くの発展途上国があり、そうした国が経済成長していく中で、国民の適度な息抜きとも言えるレジャーが不可欠になっていきます。
日本の高度成長期の手軽なレジャーとして発展してきたパチンコは、当時のようにギャンブル性を薄めれば受け入れてくれる国はありそうです。
次に、国内ではすでに多くの女性パチンカーを見かけますが、男性よりも7年近くも寿命が長い女性高齢者をどれほど安定して取り込めるかというのが直近の課題でしょう。
意外と高齢者とパチンコとの相性は悪くないのです。暇もあれば、亡くなった旦那が残してくれた遺産も遺族年金もある女性高齢者が、暇つぶしのために毎日通ってくれるようになれば、その数は半端なく多いだけに最大の狙い所でしょう。
病院の待合室と同様、女性高齢者が毎日欠かさず訪れ井戸端会議の場として、また孫のお菓子や夕食のおかずの一品でもゲットできるようにし向ければいいのです。景品交換所に揚げたてコロッケやひじきの和え物が並ぶ日も近い?
とかく脱税疑惑や某国との関係をやり玉に挙げ、パチンコ業界を批判し、またその巨大な利権を必死に守ろうとする警察組織を糾弾する人もいますが、これだけ巨大な産業となって、それで生活(ホール従業員や機器製造メーカー従業員)をしている人達も多いことから、規制を強めるにしても着地点と業界の将来設計が必要となるでしょう。
一方では国内カジノを解禁しようという構想が着々と進む中、パチンコ業界もカジノに反発したり、パチンコはあくまでギャンブルとは違うと言い張って無視を決め込むのではなく、互いに協調してギャンブル業界の再編とクリーン化、利権の排除などを進めていく必要があるのかも知れません。それが一番難しい大きな課題ではあるでしょうけど。
もし国内にカジノが出来るようになったとしても、アメリカ資本や中国資本のカジノ王にいいようにされるのではなく、それこそパチンコ業界が一致協力して乗りだして、日本独自のクリーンなハイテクカジノを目指していってらいたいものです。
【関連リンク】
780 あらためて高齢社会白書を概観してみる
765 労働生産性はむやみに上げるもんじゃない
755 電子書籍を普及させるには
696 五輪競技除外候補とスポーツ競技人口
443 原油価格とガソリン代
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