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778
年もいよいよ押し迫ってまいりました。今年もどうにか1年を無事に終えられそうです。

今回が今年最後の投稿となるので、今年一年の日記をさっと振り返ってみたいと思います。

今年の初日の出は、あまり天気がよろしくないと聞いていたので、ここ数年のように初日の出を見るために遠方へは出掛けず、近所の小山になっている公園へ出て拝みました。

わずかに雲がかかってしまいましたが、それでもなんとか初日の出を拝むことができました。

2013年あけましておめでとうございます

お正月が明けてすぐ箱根へ家族で1泊旅行に出掛けました。ゆっくり温泉につかり、帰りには御殿場のアウトレットに寄り、大学生の長女と高校生の次男はお年玉を使いあれやこれやと買い物に精を出していました。私もたまたまのぞいたナイキの店で、型落ちのブーツが破格値で出ていたので衝動買いをしました。

そのおろしたてのナイキのブーツを履き、1月中旬に大震災と津波に襲われた東北三陸海岸沿いを2泊3日でひとり旅をしてきました。8月には夏休み中の子供を伴って、原発事故避難地域近くなどを巡る東北沿岸地域を回ってきました。

東北巡り

震災後すでに2年が経ち、復興もかなり進んでいるかと思いきや、そう簡単ではなさそうでした。また観光気分で被災地を巡るのは抵抗感があり、沈痛な面持ちで数え切れないほど壊れた建物や学校や海岸に向かって手を合わせるという心が痛む旅となりました。

普段はクールであまり表情を変えない高校生の息子も、8月に南相馬市から浪江町へ向かったとき、人っ子ひとりいなくなった街を見て、とても緊張をした表情をしていたのが印象的でした。

社会はいよいよ団塊世代が65才となり、雇用延長後の大量退職者が続出しているという時代背景もあり、本格的な高齢者社会へと向かいつつあります。

旺盛な高齢者の労働意欲は善か悪か
高齢者の地方移住はこれからも進むか

テレビも新聞も街のあちこちでも高齢者に向けた番組、記事、話題、商品が目立つようになってきました。こうやって世の中が変わっていくのだなぁと実感しました。

高齢化社会の行方
高齢者の犯罪が増加

昨年末に民主党政権があっさりと倒れ、代わりに国民に期待され第二次安倍政権が誕生し、デフレ克服、インフレ誘導、日本経済復活という掛け声とともに、一気に様々なモノの値段が上昇していきました。でも庶民は給料も賞与も上がるどころか、天引きの額だけが増えていき、実質手取り額は減る一方で、一般庶民の家計は困窮を極めていきます。

値上げ、増税スケジュールを考える
相続税の税率を上げると言うこと

非正規社員と正規社員の格差の問題が、不思議と派遣社員の問題(派遣切り)とよく混同され象徴的に報道されたり議論されています。

「年越し派遣村」など湯浅なんとかという人のデマにうまくのせられ踊らされ、それらが偽善に満ちた嘘っぱちだったことをそろそろ理解すべきですが、インパクトを求めたがるマスメディアにとっては、常に悪者は巨大な存在(非正規社員個々人ではなく派遣会社)でなければならないようです。

非正規雇用拡大の元凶が人材派遣だって?
ハローワークは非正規職員のおかげで回っている
労働契約法改正で非正規雇用者は幸せになれるか

また大学の授業料の高騰と、奨学金ビジネスの実態が大きくクローズアップされるようになってきました。格差社会をなくすためには平等に高等教育が受けられるように!という発言の裏には、多くの人を大学に呼び寄せ、大学ビジネスで一儲けを企もうとする人が必ずいることを知らなければなりません。

大学へ奨学金で行くということ
大学生の就職率推移と卒業後の進路

家電エコポイントや地デジブームで昨年までは好調だった家電量販店最大手のヤマダ電機が今期は赤字転落するというニュースは、景気が上向いているという政府や日銀の必死のアピールに水を差しましたが、ネット通販のAmazonや楽天などの好調ぶりをみると当然の結果と言えます。

アマゾンジャパンは国内の小売り業を破壊するか?
Amazonにガチ対抗できるのはイオンかセブン&アイか

都市と地方の格差問題についてもいろいろ書きました。限界集落化とそれを食い止めるためのコンパクトシティという言葉がニュースなどでよく流れていました。TPPによる競争激化や個人農家の高齢化、後継者不足の中で、国の政策にただ乗っかりなにもしてこなかった一部の農家へ税金を支払ってきた減反政策が見直されるのは遅すぎたぐらいです。

地方が限界集落化していく
道の駅は次の段階へ進めるか
農業の大規模化と零細な起業

テレビなどでも大きく特集され、結婚しない人が将来陥るかもしれない孤独死や介護できない認知症の問題も今年は話題となりました。

認知症患者の増大で国は衰退する?
コンパクトマンションが流行っているらしい

もちろん結婚することだけが善というつもりはありません。人の自由意志や価値観が変化していくことを国は臨機応変に認めてそれに合った政策や制度を作っていくべきでしょうし、国民側も自らの力で様々な規制や障害を乗り越えていく努力が必要です。

離婚の多さと結婚という形式
そして次男坊は希少価値を持つ

雇用は上向き傾向にあると言われていますが、学生、中高年とも就職は相変わらずたいへんです。「贅沢言わなければなにか仕事はあるでしょ?」という人もいますが、若い人にとっては使い捨てで将来性もなく収入が低い仕事に積極的には就きたくないのは当たり前です。

有効求人倍率と完全失業率から推測する未来
離職率が高いことは悪ですか?

雇用のミスマッチと言いますが、人口が減り、必ず漸減していく経済環境では今後大きく伸びていくだろう産業もなく、これでは若者の将来に夢が描けません。

就活では大企業を目指すべき3つの理由
若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?

この日記は元々「リストラ、失業、再就職、雇用」が主たるテーマでした。最近はちょっとサボリ気味ではありますが、その関連の話題も時々書いているつもりです。

退職勧奨・強要にあった場合の対処法
40歳以上の解雇や退職勧奨は最悪だ
それでも日本の解雇規制は緩すぎる

今年書いてきたブログ記事の一部ですが、紹介させていただきました。

それではこれで今年の筆納めとさせていただきます。1年間どうもありがとうございました。
皆様もよいお年をお迎えください(ぺこり)。

さて年賀状書かなきゃ(-_-;)

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777
リストラ天国日記の777回目ということで、なにか嬉しい話題とか楽しくなる話しがないかと探してみたところ、ありました、ありました。

OECD(経済協力開発機構)がおこなった「国際成人力調査(PIAAC)」というのがあって、「読解力(Literacy)」、「数的思考力(Numeracy)」、「ITを活用した問題解決能力(Problem solving in technology rich-environments)」の3つのスキルについてOECD加盟国を中心に24カ国で調査が実施され、その結果が今年2013年に発表されました。
※PIAAC:Programme for the International Assessment of Adult Competencies

調査の対象となった母集団は、OECD加盟国を中心とする参加24カ国の16~65才の個人で、日本では2011年~2012年にかけて11,000人が対象となりその中から5,200人が調査に参加しています。

この3つのスキルを他国と比較することで、自国の教育に偏りがないかどうか、自国民の優れているところや、逆に他国と比べ劣っている部分が判明します。国の教育水準や教育制度上の欠陥など、さらにこれからの教育政策にも役立つものとされています。

昔から日本は資源のない国で、国民全体の教育レベルを高めることにより、世界に伍してビジネスを展開していかなければならないという宿命があり、それこそ学校の教師や塾の先生をはじめ、官民とも必死に子供や若者の教育に力を注いできました。

その代表的な話しが「米百俵」の故事です。「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、(売却してその金を)教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」という明治初期の長岡藩士小林虎三郎の言葉です。つまり「目の前の利益よりも、将来を見据えた教育投資こそが重要」という教えです。

そうした過去の遺産を受け継いできた日本の教育制度は、ここ数十年もの間、世界の中でもトップクラスを維持し続けてきました。欧米からすればアジアの片隅にあり、第二次大戦でこてんぱんに敗れ去った野蛮な小国が、このような教育水準を作り上げ維持しているなんてまったく信じ難かったことでしょう。

その調査結果の概要を簡単にまとめておきます。

(1)「読解力」
PIAACにおける読解力とは、社会に参加し、自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させるために、書かれたテキストを理解し、評価し、利用し、これに取り組む能力

日本では識字率はダントツに世界のトップだと昔から言われてきましたが、確かに義務教育の充実と、他国からの移民や難民をほとんど受け入れない排他政策のため、日本語という特殊な言葉の読解力はおしなべて優れていると言っていいでしょう。

ただそれ故に国内では日本語だけですべて完結し、他国語を取り入れるという必要性がなく、それが文化や経済の国際化の波に大きく後れを取ってしまっていることはゆがめません。

調査では「読解力」を6段階の習熟レベルに分け、習熟度がもっとも高いレベル5の割合が一番多いのはフィンランド(2.2%)、次いでオーストラリア(1.3%)、オランダ(1.3%)、スウェーデン(1.2%)と続き、日本は1.2%で第5位となっています。全体の平均は0.7%。

最高のレベル5では5位ですが、比較的習熟度の高いレベル4とレベル3の割合がもっとも多いのは日本で、逆に習熟度が低いレベル2、レベル1、レベル1未満の割合がもっとも少ないのも日本です。つまり「突出した天才は少ないけれど、高いレベルの人が多く、低いレベルは少ない」ということになります。その結果、全体の平均点では日本がトップ、年齢を区切って若者(16~24才)の平均点でも世界でトップです。気持ちがいいですね。



16~24才の若者の読解力国別平均点


国語の読解力はまずベーシックな国力となるものですから、それが世界一というのは誇れることではないでしょうか。ただそれと引き替えにして外国語が苦手というハンデも一緒に背負うことになってしまったわけですが。


(2)「数的思考力」
PIAACにおける数的思考力とは、成人の生活において、様々な状況の下での数学的な必要性に関わり、対処していくために、数学的な情報や概念にアクセスし、利用し、解釈し、伝達する能力である。

日本人は以前は数学など理系に強い国民と言われてきましたが、最近は若者の理系離れが心配されています。しかしその伝統は今でも残っているようです。ただ残念ながら読解力と同様、突出したレベルの天才型は少なく、平均的に高いというのが特徴です。

数的思考力がもっとも高いレベル5の割合が多いのは、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ベルギー、オーストラリア、そして7番目に日本です。インドはこの調査に含まれていませんが、もし入れると人口が多くレベルにばらつきはあるでしょうけど上位にくる可能性はありそうです。

数的思考力の比較的高いレベル4、レベル3の割合がもっとも多い国は日本で、低いレベル1とレベル1未満の割合がもっとも少ない国も日本です。つまり数的思考力も平均的に他国より高いことを物語っています。

そして成人全体の平均では他国を圧倒しています。

16~65才の成人の数的思考力の国別平均得点


しかし薄々気がついていたことですが、若者(16~24才)の数的思考力の平均トップはオランダ、次いでフィンランド、そして日本と3位に落ちてしまいます。

16~24才の若者の数的思考力の国別平均得点


これってゆとり教育が原因なのか?と思いましたが、ゆとり教育は2000年前後からですので、この調査の年齢には一部は達してなく、それよりも考えられるのは、90年代頃からこの国で静かに進行してきた「若者の理系離れ」に関係していそうです。ちょっと心配ですね。


(3)「ITを活用した問題解決能力」
PIAACにおけるITを活用した問題解決能力とは、情報を獲得・評価し、他者とコミュニケーションをし、実際的なタスクを遂行するために、デジタル技術、コミュニケーションツール及びネットワークを活用する能力である。

この「ITを活用した問題解決能力」については、残念ながら日本は平均レベルで、高年齢層に至っては大きく平均を下回る結果となっています。国内には多くのIT企業があるに関わらず、世界を見ると利用技術でもっと先へ行っているようです。

習熟レベルでもっとも高いレベル3の割合が多いのは、スウェーデン、フィンランド、日本の順で、かろうじて3位につけているものの、比較的習熟度の高いレベル2の割合は、スウェーデンがトップで次がノルウェー、オランダ、フィンランド、デンマーク…と続き、日本は韓国の後で14番目という低さです。

習熟度の低いレベル1の割合はもっとも少ないポーランドに次いで日本は2位、もっとも習熟度の低いレベル1未満の割合では日本がもっとも少なくなっています。(つまりレベルが極端に低い人は少ない)

ITを活用した問題解決能力の国別平均得点


そしてちょっと意外だったのはコンピューター経験がないと回答した成人の割合では、OECD平均が9.3%であるのに対し、日本は10.2%と、平均よりも高くなっています。

考えられるのは、日本ではパソコンと同時期にネット接続やメール利用が可能な携帯電話の普及が進み、コンピュータ(パソコン)の利用がそれに取って代わってしまったこと、個人経営や零細企業、特に農業や漁業など第一次産業と小規模な小売業ではほとんどITが活用されてこなかったこと、当初ライバルがいなかったNTTがネット接続の通信料をバカ高く設定していたことにより、パソコンとネットの普及の拡がりに待ったをかけてしまったことなど考えられます。

それに積極的に国民のIT活用を推し進めている国が多いのに、日本は国が先導するIT導入は少なく、民間企業に頼るばかりで、ネット選挙がようやく一部だけ解禁されたのもようやく今年からで、学校教育の現場においても他国に大きく差を付けられています。

下図の「ITを活用した問題解決能力の習熟度と年齢の関係」を見てみると、60~65才の年齢層だけがOECDの平均値を下回っていることがわかります。

ITを活用した問題解決能力の習熟度と年齢の関係

これは、世界で見ると、他国では年齢が高くても比較的ITを活用できているのに、日本の60才以上は利用していなかったり習熟度が低いことを現しています。もっと早くから選挙にネットが導入されていたり、納税や社会保障、役所の手続き等がネットでおこなえるようになっていれば、また違っていたでしょう。

以上の結果を概観すると、IT活用はちょっと勢いをそがれましたが、それでも日本の教育(学校ばかりではなく家庭や塾や職場教育なども含め)は世界水準でみるとまだ世界のトップクラスを走っていることがわかります。

しかしこの調査では出てきていない、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)や、さらに経済発展が目覚ましいその他の国の多くが教育に必死に取り組んでいますので、この情勢が塗り替えられる日はそう遠くないかもしれません。

また日本もこれから人口減が顕著になってくることから、外国人移民受け入れの政策も必要となり、そうするとその移民の子供達が日本の学校へ通い、日本で社会へ出て行ったときに、今までのように、ほぼ単一民族だけに教育をしてきた同じ教育水準が維持できるか?と言うとそうはならない気がします。

それに国民の資質は決して教育水準だけではなく、他人を思いやる感性とか、いにしえよりの教えをうまく取り入れた文化など、数値では表せないものがたくさんあります。今後はそういうものを大事にしていきたいものです。

少なくとも教育水準では他国を圧倒しているわけですから、なにか他国や他人とのもめ事が起こったとしても、そこは大人の態度をとり、追いつこうと必死にもがき、時にはやんちゃな相手であっても、余裕と懐の深い態度で優しく受け入れてあげる国民性が作れると、世界中から敬愛される国になれるかも知れませんね。

先のことはわかりませんが、とりあえずは、日記777号にちなみ、めでたしめでたしという話題でした。

【関連リンク】
765 労働生産性はむやみに上げるもんじゃない
749 TwitterとFacebookの現状
738 日本人の年齢別死因は
669 ネット人口の正しい統計
570 資産家も貧困者?統計で見る貧困率



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776
ネットを使う人にとってはもう欠かせないサイトになっているインターネット百科事典Wikipedia(ウィキペディア)ですが、利用することは多いのですが、その概要についてはほとんど理解していませんでした。

Wikipediaがスタートしたのは2001年のこと12年前のことです。まずは英語版をベースとして始まり、日本語を含む多国語への対応も同じ年から始まりました(日本語版は2002年に改良が施されて現在の形になる)。

運営するのは民間企業ではなく「ウィキメディア財団」というジミー・ウェールズが創設した非営利組織で、記事執筆はすべて無償のボランティアです。

運営資金は寄付などによりまかなわれており、私が考えるにインターネットができて以来、無償でこれほど世界中の人に役立つコンテンツサイトはないと断言できます。

Wikipediaで使用されている言語は286種類、まだ増えていく可能性もあります。掲載されている記事(中身のある1ページ)は世界中に25,227,270記事あり、そのうち日本語で書かれている記事は、885,856記事あり、日本語の記事だけでも毎月4~5千記事が増加しています。

岩波書店発行の広辞苑に収録されている日本語の数はおよそ23万項目(語)と言うことですので、それの3倍以上となります。

ただしこれは広辞苑などには含まれない著名人や芸能人、各種キャラクター、企業名、楽曲名などの固有名詞などが数多く含まれているためと思われます。広辞苑などの辞書は掲載する言葉や種類をプロが厳選しますが、Wikipediaは誰でも自由に加えていけるところが特徴です。

先日、三浦しをん著「舟を編む」を読み、辞典の編集についての内幕を知ることができましたが、専門家が言葉を集め、紙の書籍の限界から説明文の文字数や収録すべきかどうか、もっとひいて発刊がビジネスとして成り立つかどうかの判断など、制作者側の都合で編纂したり決められるものとは違い、ネットを活用する辞典では収録数や文字数などに制限はなく、百科事典にとっては最高の環境といえるのかも知れません。

しかしながら、Wikipediaの特徴でもある、誰でもが自由に記事が書け、編集できるということは、書かれていることが信頼できる誰かに保証された内容とは限らないわけで、意図してあるいは意図せず誤った内容が書き込まれたり、自分や特定の会社に有利に解釈して書くことも可能で、それを信じた人が、損害や迷惑を被るということも当然起きます。

そのような問題はさておき、Wikipediaによって、無料で素早く疑問を解決することができるようになったことは、人類の大きな進歩ではないかと思っています。

「『知るは楽しみなり』と申しまして、知識をたくさん持つことは人生を楽しくしてくれるものでございます。」と「クイズ面白ゼミナール」(1981年~1988年)の番組冒頭で語っていたのは鈴木健二氏ですが、Wikipediaはまさに、この知るという楽しみを身近に与えてくれるひとつとなっています。

このWikipediaに関する各種データを拾ってきましたので掲載しておきます。数値は基本2013年10月現在です。

まず言語別の記事数のランキングです。



フィリピンは最近は英語がメインに使われているので、現地語は地方や高齢者以外はあまり使われていないのかと思っていましたが、なんと10位、11位にふたつもの現地語がランクインしています。

それだけフィリピンではこのWikipediaの利用が盛んなのでしょうか?フィリピン人のIT活用がこれほど進んでいるとすれば、今後IT業界が人材や開発拠点を求める先は中国やインドではなくフィリピンなのかも知れません。

ネイティブスピーカー(母国語を喋る人)が多い言語は、1位中国語、2位英語、3位ヒンディー語、4位スペイン語、5位アラビア語という順ですが、Wikipediaの言語別記事数は当然その順番とはなっていません。

特に中国本土では、何度かWikipediaへのアクセスがブロックされたせいもあり、中国語を使う人口が多い割りには記事数はあまり伸びていません。

オランダの人口は約1660万人で世界で58番目という国ですが、オランダ語の記事数は英語に次ぐ171万記事、第2位というのには驚かされます。それだけオランダ語圏でWikipediaの活用(閲覧だけでなく投稿や編集含め)が進んでいるのでしょう。

英語版のWikipediaで2012年の1年間にもっとも多く見られた記事は、1位Facebook、2位Wiki、3位Deaths in 2012(2012年に亡くなった人リスト)、4位One Direction(英国・アイルランド出身のポップスグループ)、5位The Avengers (2012年公開の映画)です。

日本語版に限定すると、1位AV女優一覧、2位AKB48、3位ももいろクローバーZ、4位ONE PIECE、5位嵐 (グループ)となっています。なんて平和で脳天気でスケベな人が多く活用している日本語版でしょう。

しかし日本語版で今年12月のある1週間だけを切り取り、もっとも多く見られた記事を見ると、1位特定秘密保護法案、2位軍刀、3位ネルソン・マンデラ、4位彬子女王、5位山口鉄也となっていて、2位と5位については?ですが、それ以外は社会性のあるテーマが上位を占めています。どっちが本当の日本人ユーザーなのか?です。

さて、このWikipediaという巨大な存在は、まるで生き物のように、今後もどんどんと成長を続けていくのでしょうか?

Wikipeddiaに登録をして記事を書いたり編集をおこなう人達のことをウィキペディアン (Wikipedian) といい、誰でもなることができますが、実際に記事を書いたり頻繁に編集をしている人は限られています。

このウィキペディアンの増加と活性化が今後のWikipediaが成長、発展していくかどうかを左右しています。もちろん記事の質も問われています。

現在でも世界広域で見ると、記事の偏りが見られ、例えばウィキペディアンが多い高等教育を受けた西洋人・白人から見た社会現象や歴史認識と、そうでない人達から見たそれとでは大きく食い違っていて当たり前です。

もっと言えば、Wikipedia日本語版と韓国版で竹島や慰安婦の記事はおそらく双方相容れない内容が書かれていることは容易に想定されます。

そうした政治や宗教、人種、戦争、文化、歴史、領土などの記述については、書いた者勝ちとなってしまうことが得てしてあり、あとから反論を付け加えたり書き換えることもできますが、現状ではウィキペディアンの勢力が強いものが勝ってしまう状態です。

したがって、現在まだネットにアクセスできない世界中の多くの人達が、今後ネットにつながりWikipediaを見ると、驚き、嘆き、哀しみ、怒りとなって様々な問題、例えば国際紛争や宗教戦争を引き起こすきっかけとなるかもしれません。

いずれにしても「世界の44億人がまだネットにアクセスをしたことがない」と国連の専門機関国際電気通信連合が発表しています。この数は、世界人口のおよそ6割に相当し、概ね発展途上国に集中しています。

これらの人が今後ネットにアクセスすることになればWikipediaはもっと発展すると同時に、前述したような先進国やIT活用度の高い国の一部の人が書いた内容が議論を巻き起こすことになるのでしょう。

それと英語の記事が439万もあると言うことは、それをすべて各国語に翻訳するだけでも相当なボリュームがあり、さらに紙の辞書が数年ごとに改版されるように、Wikipediaも日々更新されるコンテンツが数多くあり、ここで終わりというものがありません。現状ではまだ無限の可能性を秘めていると言っても差し支えないでしょう。

ひとつの危険性を述べておくと、このような巨大なデータベースを持ち、世界中で大きな影響力を持つ存在になったWikipediaを運営する「ウィキメディア財団」が、公正中立(なにをもって公正中立かという別の問題もありますが)な立場で居続けられるのかという疑問もあり、野心ある誰かが、それをうまく利用して情報操作や利益誘導に使わないとも限りません。過去にはそのような問題も実際に起きています。

万が一、公正中立な立場が失われてしまえば、「Wikipediaの記事はまるで信用がおけない」という評判が一気に広まり、悪影響を怖れる検索エンジンの結果からも除外されてしまい、結果、優秀で良心的なウィキペディアンが去り、忘れ去られた遺物になってしまうこともあり得ます。

また、初心者やITリテラシィが低い人ほど、ある特定個人が書いた主張を定説と誤認し、その内容を盲目的に信じ込んでしまう危険性もはらんでいます。

そうした意図的で作為的な記事についてはWikipedia運営側や良心的なウィキペディアンの素早い対応や判断(削除や注意書き)が要求されるでしょう。これはどこまで人が無償で奉仕を続けられるかという重い課題にもつながっていきます。

したがって「ウィキメディア財団」が今後長年にわたって、広告主などスポンサーを得ることなく、寄付金でまかない、特定企業や国家に頼ることなく運営し、公正中立な立場を堅持し続けてこの巨大なシステムを維持して、さらに質を担保していけるのかがこれからの大きな問題となってくるのでしょう。


【関連リンク】
767 若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
765 労働生産性はむやみに上げるもんじゃない
738 日本人の年齢別死因は
644 うつ病に罹った人との関係は難しい
596 ニートって言うな!と言われても
583 人口が減るのもいいんじゃない


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775
いよいよ年末が近づいてきました。

年を取ってくると「1年がアッと言う間に過ぎる」と人はよく言います。

前になにかで読んだ受け売りですが、これには根拠があって、20才の若者にとって1年という期間は、その人が生きてきた20年という時間の長さの中の1年、つまり1/20(0.05)の時間に相当しますが、60才の初老の人の1年は今まで生きてきた60年の中の1年ということで1/60(0.0167)です。

20才の人と60才の人では、1年の長さが感覚的に3倍も違ってきて不思議ではないということです。

そりゃ年配者が1年を短く感じるのは当たり前です。

次第に感じるようになる感覚的なものですからこれを若い人に言葉で理解しろと言っても伝わりません。年を取るごとに身をもって実感していくというものです。

そんなわけで今年で56才になった私も四捨五入すればもう60才、定年まであと4年という年齢になってしまいました。

もうずっと前に亡くなった父親(大正8年生まれ)が働いていた時は、55才定年の時代でしたので、その年代をとうとう超えてしまったということになります。

戦後、平均寿命が急速に伸びたことから定年が55才から60才へと延長されたのは1980年代頃でしたが、自分がまだ20代の頃は、60才定年になっても、自分は55才までにリタイアして、仕事以外で余生をゆっくり楽しもうと思っていました。

残念ながら55才までに引退するという夢は果せず、さらに年金支給開始年齢の引き上げや雇用延長が当たり前の風潮で、60才を過ぎてもまだまだ働かされそうな勢いです。逃げ切った団塊世代以上の人達に、貧乏人は死ぬまで働けと言われているようです。

閑話休題、まったく「光陰矢のごとし」とはよく言ったものですが、これは年齢を重ねるにつれ実感が深まっていきます。

その「光陰矢のごとし」という言葉ですが、「少年老いやすく、学成り難し」と対になって語られることが多く、後者の出典は、

 少年老い易く学成り難し
 一寸の光陰軽んずべからず
 未だ覚めず池塘春草(ちとうしゅんそう)の夢
 階前の梧葉(ごよう)已(すで)に秋声

子供の頃より学問を志しながら、高齢になっても、大きな成果を果たせていない。
残り少ない人生だから、一瞬の時間もおろそかにしてはならない。
春の池の堤に芽生えた若草のように瑞々しく、夢はいまも覚めずにいるのに、
気がつけば、石段の前に生える梧桐の葉が、秋の訪れとともに色づくように、
自分が人生の秋ともいうべき初老を迎えている。

とされ、作者は12世紀末頃の中国宋代の朱熹(朱子)の漢詩からというのが長い間通例でしたが、近年の研究では朱熹の作品の中には含まれていないことが判明しているそうです。

また同詩の「少年老い易く学成り難し」に対する「光陰」は含まれますが「矢のごとし」までは含まれていません。

もう少し調べてみると、「光陰矢の如し」は、元の中国では「光陰如箭」という漢字にあたり、これは9世紀初頭の唐代の詩人李益の作に使われているようです。朱熹(朱子)よりも300年以上も前のことです。

9世紀と言えば、日本は平安時代で、最澄、空海が命をかけて唐に渡った頃ですね。彼らが唐で流行っていた漢詩をそこで耳にして、面白い言い回しだと思って日本に持ち帰ってきたとも考えられます。証拠はありませんが。

日本でこの「光陰矢の如し」という言葉が記録として残っているのは、14世紀初頭の大燈国師遺誡の中に登場します。大燈国師(宗峰妙超)は鎌倉時代末期に、京都大徳寺を開山した臨済宗の有名な僧侶です。

 汝等諸人此の山中に来つて道の為に頭を聚む。
 衣食の為にする事なかれ、
 肩有つて着ずと云ふ事なく、口有つて食はずと云ふこと無し。
 只須らく十二時中無理會の處に向つて、
 究め来り究め去るべし、
 光陰箭の如し、謹んで雑用心すること莫れ、
 看取せよ看取せよ。
 ~以下略

修行僧達よ、この寺には修行の為に来たのだ。
着飾ったり、美味いものを食べるために修行するのではない。
肩があれば着物を、口があれば食べることは自然とついてまわるもので、
それに気を取られることなく、ただ仏道修行に打ち込め。
そしてそれを極めることだ。
時は矢のように過ぎ去って行く。余計なことを考えず、
真実を見極め会得せよ。

いろいろと含蓄のある言葉です。


【関連リンク】
553 企業名の妙
534 ATOKの変換モード表示がデスクトップから消えてしまう件
528 最近の若い奴らときたら・・・
413 Googleのあまり知られていない便利な方法や裏技
320 五月雨をあつめて早し


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774
NHKにようこそ! (角川文庫) 滝本竜彦

地元川崎(多摩区生田辺り)が舞台の小説という知識だけで買ってきましたが、結論を先に言ってしまうと「損をした」ということになります。

NHKといえば一般的には日本放送協会のことですが、それを勝手に自分流に「日本ひきこもり協会」と解釈し、引きこもり自慢をしているのがこの小説の主人公です。

その引きこもり生活は著者の実体験らしいのですが、それにしても文章力のせいなのか、まったく真に迫るものも盛り上がりにも欠け、ちょうどギャグが出てこないギャグ漫画を読んでいるようで、私にとっては時間の無駄でした。

しかしながらAmazonなどでこの本を検索すると、小説だけでなくコミック化もされていたりと、この作品をそれなりに高く評価している人もいるわけで、これはもしかすると50代のオヤジが読むにはハードルが高かったのかなと読後になって反省です。中年オヤジが雑誌CanCamを読んでも役にも立たないし面白くないのと同じ理由で。

前半は親のすねをかじって大学を中退し、そのまま就職もせず引きこもり生活。しかも贅沢に実家を出てマンションに1人住まいと、個人的な感情ではまったくもって許し難い状況。

後半ではいよいよ親からの仕送りが止まり、生活費がなくなりやむなく夜間道路工事の誘導係などちゃんとバイトをしているので、これは引きこもりとは言えず、単なるその日暮らしのフリーター。

そのような堕落した生活の中で、毎日しっかり食べ、コンビニで買い物し、公園で知り合った女性とデートし、次々と合法ドラッグを買ったり、いったいどこにそれだけの金銭的余裕があるのかまったく不思議な世界です。孤独死間際の単なる夢の中?って感じ。

ま、学校出て、その後は自分のため、家族のためと、働きづめに働いてきた普通の中高年にとっては、頭にくるだけのしょうもない話しなので、私のような人はくれぐれも読まない方がいいかもしれません。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

舟を編む 三浦しをん

2012年の本屋大賞で第一位に輝いた三浦しをん著「舟を編む」は、松田龍平、宮﨑あおい主演で映画化もされ、今年の4月に公開されていました。本を読む限り盛り上がりもなく淡々としたストーリーですが、映画の成績はどうだったのでしょうかね?

松田龍平と言えば同じ著者原作の映画やTVドラマ「まほろ駅前多田便利軒」でも準主役を演じていますので、三浦しをん作品とは切っても切れない関係にあるのでしょうか。

著者の作品は、過去に箱根駅伝を描いた「風が強く吹いている」、三重県の山奥で営林業で働く若者を描いた「神去なあなあ日常」を読みましたが、いずれの作品も面白くて読み応えがあります。真面目に働く現代若者群像を描かせると「西の有川浩」(出身地が高知県)に「東の三浦しをん」って感じかな。

ストーリーを簡単に言えば、「老舗出版社が新しく辞典を出すにあたり、人選をしたところ、営業部でくすぶっていた入社3年目の大学院卒の変わり者を発見し、その彼が様々な難関(社会人にとっては当たり前のことで難関とはとても言い難い程度ものだが)をくぐり抜け、成長していく姿を描いたもの」で、その主人公が学生時代から住み続ける老朽化したアパートに、年老いた大家の孫が帰ってきたことで、新しく出会いが生まれ恋愛が始まったりもします。

物語は特に大きな波乱もなく淡々と進んでいき、長い月日を経てやがて辞書が完成するまでの行程が描かれているに過ぎません。そう言うことに興味がない人は薄味過ぎて退屈するかも知れません。

いっそ小説としては今回は脇役で、主人公と結婚することになる板前修行中の香具矢が、男の世界で一流の板前にのし上がっていく話しをもっと膨らませ、女性版「前略おふくろ様」っぽく書いたほうがずっと面白そうに思ったりします。

辞典がもうひとつの主役ですから、日本語についてのもうんちくも数々出てきますが、これって映画となり日本国外で上映された際、どういう見せ方をするのか不思議です。外国人に日本語の言葉の深い意味や語源、使われ方なんてわかるわけもないので。その辺りはうまく作られているのでしょうね。

巻末にはこの本を書く上で岩波書店(広辞苑)と小学館(大辞泉)の辞書制作担当へ取材したことが明記されていましたが、面白いのは映画化にあたっては、三省堂(大辞林)が制作協力し、制作者の中にはこの原作本の発行元光文社が入っています。

その他の国語辞典を発行している大手出版社(例えば角川書店、新潮社、旺文社など)は、原作にも映画にも加われず、悔しい思いをしているでしょうね。

この小説ではテーマには上がっていませんでしたが、私の世代では普通に国語、漢和、英和、和英、現代用語、百科事典などが各家庭にありましたが、これだけ電子化が進んでくるとなかなか家それぞれで各書を購入すると言うことはないでしょう。

救いはまだ学校では辞書を使った学習を教えていますが、IT教育が進むとやがてはそれもなくなってしまいそうな気がします。こうした辞典や辞書は、やがて紙の書籍から、デジタル化されたデータでしかなくなってしまうのでしょうかね。

著者別読書感想(三浦しをん)

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死への祈り (二見文庫) ローレンス・ブロック

マット・スカダー・シリーズ15作目のこの「死への祈り」はアメリカで2001年に発刊され、日本語に翻訳されたこの文庫版が出たのは2006年になります。

このニューヨークの刑事(のちに退職して探偵)を主人公としたマット・スカダー・シリーズが始まったのは「過去からの弔鐘」の1976年ですから、この15作目の「死への祈り」の2001年までには25年の月日が経っています。

私がこの著者の作品を最初に読んだのは1993年に短編集の「おかしなこと聞くね」でしたが、今回のマット・スカダー・シリーズに初めて触れたのは1999年になってからで割と遅めからでした。

同じく探偵が主人公のハードボイルド小説、ロバート・B・パーカーのスペンサーシリーズは1973年から亡くなる2010年まで書かれてきましたが、その間37年、主人公のスペンサーはほとんど年をとらない、いわゆる国民的漫画サザエさんと同じく、どれから読んでも主人公達の若々しい肉体とスーパーマン的活躍が期待できました。

しかしこのマット・スカダー・シリーズは、書かれた時期に合わせてそれなりに年を取っていき、その点主人公とともに自身も年を重ねていき、本当に現代を生きている主人公のようなリアル感があっていいものです。

今度スペンサーとマットと、もう1人マイクル・コナリーのハリー・ボッシュの年表でも作ってみると面白いかな。著者のローレンス・ブロックもマット・スカダーの第1作を書いたときには意気盛んな38才でしたが、現在(2013年)はもう75才です。

さて本編のストーリーは、探偵の免許を取り上げられ、妻のエレインと悠々自適の生活をおくっていたある日、自宅の近くで弁護士夫婦が惨殺され、その後犯人と思われる二人が自殺死体となって発見される事件が起きます。

警察もマスコミも犯人が死んだことで一件落着としましたが、殺害された弁護士の妻の姪が、この殺人事件にはなにかスッキリしない疑問があることを主人公に相談したことから、暇にあかせて独自に捜査を開始します。

そうした中で、主人公の元妻の病死が伝えられ、現在の妻エレインに多少気兼ねしつつ葬儀に参列したり、ほとんど交流のなかった元妻との子供達の微妙な関係なども話の中に入ってきて、マットも年老いてきたなぁと感じさせられます。

やがてマットの執念が実ることになりますが、そこはミステリー小説ですから読んだ人だけのお楽しみです。しかしこんなにツキのある犯人って他には見たことがないです。

著者別読書感想(ローレンス・ブロック)

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美しい隣人 (集英社文庫) 花井良智


2011年に仲間由紀恵と壇れい主演でテレビドラマ化され話題となった作品の小説版(ノベライズ)です。そのテレビドラマは見ていませんが、この小説では内容は少し違っているそうです。

郊外の住宅地の高台に建つ2軒の新しい住宅が舞台となり、その1軒に住む夫が大阪に単身赴任中で幼稚園児がいる専業主婦が主人公です。

その隣の家に、ひとりの美しい女性が引っ越してきます。その女性の夫はアメリカ人で、まだしばらくアメリカで仕事をしているのでここに住むのはインテリアコーディネーターの仕事をしている自分ひとりとのこと。

そしてこの隣人が引っ越してきてから、主人公に様々なトラブルが降って湧いてくることになります。無言電話、仲のよかったママ友との仲違い、姑との関係、そして大阪に単身赴任中の夫の浮気、、、

いや、ま、元々がテレビドラマですから、次回以降の番組を盛り上げるため次々と事件や裏切りが起きるのは常套手段ですが、ちょっとサイコ的な色彩が強く、私には抵抗があります。

以前読んだ石田衣良著「眠れぬ真珠」でも主人公に災難が降りかかる同じようなサイコチックな展開がありましたが、それに似ている感じです。幸せそうな夫婦の家庭が壊れていく様子は湊かなえ著の「夜行観覧車」にも似ていたりします。

【関連リンク】
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