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小説家ならもらって損はない直木賞ですが、2013年上半期は、桜木紫乃氏の「ホテルローヤル 」に決定しました。おめでとうございます。

ちなみにその直木賞、受賞すると記念の懐中時計と副賞として100万円がもらえるそうですが、なんだか小説家にとっては最高級の栄誉にしては地味でケチ臭いような気がします。

「ノーベル賞」の約1億円はともかく、以前俳優の水嶋ヒロが受賞したことで有名になった「ポプラ社小説大賞」が2000万円、「江戸川乱歩賞」や「ホラーサスペンス大賞」「サントリーミステリー大賞」などが1000万円と、結構文学関連では高額賞金があります。

せめて日本一とも言える文学賞ですから副賞に1000万円ぐらいは出してもよさそうですが、受賞すれば大きなPRとなり、本が売れるからそれでヨシということなのでしょうか。

その桜木氏の経歴は少し変わっていて、裁判所でタイピストとして勤務した後に結婚。専業主婦の時に小説を書いて、直木賞は2回目の候補で見事に射止めました。

専業主婦からの作家デビューは川上弘美氏や久木綾子氏など最近割と多い気がします。そういう才能に恵まれた妻をもった旦那はとてもラッキーですね。私ならすぐに仕事を辞めて、主夫役と妻のマネージャー業務に専念しますね。

一般的には一流の小説家として認められるこの直木賞受賞者ですが、元々はどういう仕事をしてきた人が多いのかなとちょっと調べてみました。あまり古い受賞者まで調べるのは手間なので、1990年から2012年までに受賞した61人についてだけです。


第103回(1990年上半期) 泡坂妻夫 会社員・家業(絵師)
第104回(1990年下半期) 古川薫 教員・山口新聞
第105回(1991年上半期) 宮城谷昌光 出版社、家業(土産物屋)・英語塾
             芦原すなお 帝京短期大学講師
第106回(1991年下半期) 高橋義夫 出版社、広告会社
             高橋克彦 アレン短期大学専任講師
第107回(1992年上半期) 伊集院静 広告代理店
第108回(1992年下半期) 出久根達郎 古書店
第109回(1993年上半期) 高村薫 外資系商社
             北原亞以子 石油会社、広告制作会社他多数
第110回(1993年下半期) 佐藤雅美 週刊ポスト、週刊サンケイ記者、フリーライター
             大沢在昌 勤務歴なし
第111回(1994年上半期) 中村彰彦 文藝春秋編集部、出版部
             海老沢泰久 國學院大學折口博士記念古代研究所
第113回(1995年上半期) 赤瀬川隼 住友銀行、外国語教育機関、書店
第114回(1995年下半期) 小池真理子 出版社
             藤原伊織 広告代理店(電通)
第115回(1996年上半期) 乃南アサ 広告代理店
第116回(1996年下半期) 坂東眞砂子 フリーライター
第117回(1997年上半期) 篠田節子 八王子市役所
             浅田次郎 陸上自衛隊、婦人服販売会社経営
第119回(1998年上半期) 車谷長吉 広告代理店、出版社、旅館、料理人
第120回(1998年下半期) 宮部みゆき 法律事務所、東京ガス等
第121回(1999年上半期) 佐藤賢一 東北大学大学院仏文学専攻博士課程、勤務経験なし
             桐野夏生 映画館、広告代理店、フリーライター
第122回(1999年下半期) なかにし礼 作詞、作曲、翻訳、舞台演出等
第123回(2000年上半期) 船戸与一 小学館、祥伝社、フリーライター
             金城一紀 勤務歴なし
第124回(2000年下半期) 山本文緒 勤務歴あり(不明)
             重松清 角川書店、フリーライター
第125回(2001年上半期) 藤田宜永 エールフランス、翻訳
第126回(2001年下半期) 山本一力 通信機会社、近畿日本ツーリスト、コピーライター
             唯川恵 北國銀行等
第127回(2002年上半期) 乙川優三郎 国内外のホテル勤務、会社経営や機械翻訳
第129回(2003年上半期) 石田衣良 広告代理店、フリーコピーライター
             村山由佳 不動産会社、塾講師
第130回(2003年下半期) 江國香織 勤務歴なし
             京極夏彦 桑沢デザイン研究所、広告代理店、デザイン会社
第131回(2004年上半期) 奥田英朗 プランナー、コピーライター、構成作家
             熊谷達也 中学校数学教諭、保険代理店
第132回(2004年下半期) 角田光代 勤務経験なし
第133回(2005年上半期) 朱川湊人 出版社
第134回(2005年下半期) 東野圭吾 デンソー
第135回(2006年上半期) 三浦しをん 外資系出版社、書店アルバイト
             森絵都 アニメシナリオライター
第137回(2007年上半期) 松井今朝子 松竹、ぴあ嘱託記者、脚本家
第138回(2007年下半期) 桜庭一樹 アルバイト
第139回(2008年上半期) 井上荒野 翻訳
第140回(2008年下半期) 天童荒太 映画脚本家
             山本兼一 出版社、編集プロダクション、フリーライター
第141回(2009年上半期) 北村薫 高校国語教師
第142回(2009年下半期) 佐々木譲 溶接・自動車組立工、広告代理店、本田技研工業
             白石一文 文藝春秋
第143回(2010年上半期) 中島京子 日本語学校、出版社、フリーライター
第144回(2010年下半期) 木内昇 出版社、フリーランス編集者、フリーライター
             道尾秀介 2社勤務(営業職)
第145回(2011年上半期) 池井戸潤 三菱銀行等
第146回(2011年下半期) 葉室麟 地方新聞社記者、ラジオニュースデスク
第147回(2012年上半期) 辻村深月 山梨県団体職員
第148回(2012年下半期) 朝井リョウ 東宝勤務中
             安部龍太郎 東京都大田区役所、図書館司書


調べ方は、Wikipediaや著者インタビュー、作品の著者紹介欄などからで、100%の信憑性はありません。また、複数の職業を経て作家となった方も多く、その場合は、私の独断でどこかに無理矢理に当てはめてみました。

まとめた結果は、61人の受賞者のうち、もっとも多かった前職は、他を圧倒して「出版社勤務」の13名(21.3%)でした。

出版社での勤務経験があるのは、山本兼一氏、朱川湊人氏、重松清氏、小池真理子氏、中村彰彦氏、宮城谷昌光氏、白石一文氏、三浦しをん氏など。

やはり出版社に勤めようと思う人は小説が好きな人で、そして才能とチャンスに恵まれるとやがては自分で作品を書いて小説家デビューするという構図ができあがっています。

直木賞自体が元々は出版社が主催していた(現在は財団法人主催)ということもなじみ深いだけあって多少は関係しているのでしょうか。

次に多かったのは、「広告代理店」の7名(11.5%)です。これはちょっと意外な気がします。

作家と広告代理店というのがすぐには結びつきませんが、広告のコピーライターやクリエイターが文章や作品で無から有を創り出すところなど、作家と共通する感性を必要とするのかも知れません。

「広告代理店」出身の直木賞作家としては、石田衣良氏、車谷長吉氏、藤原伊織氏、乃南アサ氏、伊集院静氏など。

その次に多かったのは、僅差で中学高校の国語教師や大学講師、塾講師など「教員、講師」で6名(9.8%)です。芦原すなお氏、村山由佳氏、熊谷達也氏、北村薫氏などです。

教員や講師の仕事は、朝早くから夜遅くまでびっしりと会社に拘束される民間企業のサラリーマンと比べると、割と自由時間があって創作活動に向いているのかもしれません。

教員も休みなく働いている人もいるかも知れませんが、私の身近な知人や短絡的な知識だけの感想です。

それ以外では、順に勤務歴なし(5名8.2%)、公務員・団体職員(4名6.6%)、銀行員(3名、4.9%)、映画関連職(3名)などです。

銀行員というのは、どこも長時間働かされるのが普通ですから、その合間に小説を書いたり勉強するのは大変なことでしょう。しかし日本経済や金融の表と裏をかいま見る機会も多く、話題には困らないでしょう。

実は「出版社」とか「代理店」「銀行」のように色分けができない、その他一般企業出身者を合計するとそれが2番目に多く、例えば「法律事務所」(宮部みゆき氏)とか、「外資系商社」(高村薫氏)、「通信機器輸入や近畿日本ツーリスト」の山本一力氏、「自動車メーカー」に勤務していた佐々木譲氏など12名(19.7%)などです。

そうしてみると、出版社出身者以外は、作家の前職についてはばらけています。

前職の変わり種としては、八王子市役所勤務だった篠田節子氏、大田区役所に勤務していた安部龍太郎氏、「アルバイトやフリーター」だった桜庭一樹氏や坂東眞砂子氏、調べたところ「勤務経験なし」の金城一紀氏、江國香織氏、角田光代氏、大沢在昌氏など。

前職がないと「まずは勝手知ったる自分の得意な領域で」という作品が書けないので、これはもう無から創り出す創作の才能に頼るしかありません。すごいと思います。

そのまま勤めていればエリートビジネスパーソンとして安定した生活がおくれたであろう元銀行マンだった赤瀬川隼氏や唯川恵氏、池井戸潤氏、二足のわらじで受賞後に東宝に就職した朝井リョウ氏、三島由起夫自決のニュースを聞いて陸上自衛隊に入隊した浅田次郎氏なども異色です。

意外に思ったのは、文章を書くプロでもある新聞社の元記者は葉室麟氏ただひとりでした。ノンフィクションや時事コラムなどを書く元記者は多そうですが、直木賞を狙える小説となると分野というか必要とされる能力が違うのでしょう。

昨今多くの新聞社記者が早期退職しているようですが、司馬遼太郎(産経新聞社)、井上靖(毎日新聞社)、松本清張(朝日新聞社)のように過去の経験を生かした創作小説で活躍してもらいたいものです。

あと、世間には現役医師の作家や大学教授のかたわら執筆されてる人は数多くいますが、直木賞に限ってはこの13年間にひとりもいません。


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「七音(どれみ)」「希星(きらら)」「火星(まあず)」「天響(てぃな)」など日本ではいわゆるキラキラネームというどうにも読み方が難しい(っていうか読めるわけない)名前が流行っているそうですが、今回はファーストネーム(名)ではなく、ラストネーム(姓)の話しです。

韓国では金、李、朴、崔、鄭の姓が圧倒的多数を占め、金姓は国民の21%以上、李姓も15%近くを占めています。同様に中国でも王と李の姓がどちらも全国民の7%以上を占め、それらの姓を持つ人の数はそれぞれ約9,000万人以上という多さです。

これらは元々姓の数が少なかったとだけではなく、姓を持つ歴史の長さが大きく影響しています。中国は世界でもっとも早くから姓を名乗った国で、それは今から5千年前にさかのぼるそうです。

つまり通常一夫一妻制の元では、一般的に夫婦が結婚後にはどちらかの姓を名乗り、片方の姓はその時点で消えてしまうことになります。

ある姓が他の姓より最初は少し多いだけでも、結婚して二つの姓がひとつの姓になっていけば、多い姓が少ない姓より残る確率が高くなり、それが数千年の単位で何百世代にわたって2つの姓が1つに集約されることが繰り返されるのです。

そうすると最初から比率の高かった姓が、少ない姓を圧倒していき、やがては数種類に固定してしまいます。

日本の場合、私が子供の頃は鈴木姓が一番多いと言われていましたが、現在は佐藤、鈴木、高橋の順で多い姓のベスト3です。

そして1位の佐藤姓が全体に占める割合は、金姓の21%や王姓の7%には遠く及ばず、30万種とも言われる日本の姓の中で、せいぜい1.5%ぐらいですので、日本では姓を名乗る歴史はまだまだ始まったばかりと言っていいでしょう。

日本で国民すべてに姓が必須になったのは明治8年からと言われていますからまだ138年ほどです。世代で言えば25年ごとに世代が変わっていくと仮定すれば、その138年間で新しく世代が作られたのは5~6世代ほどです。5000年と138年ではまったく比較しようがありません。

さて、30代から40代の頃には仕事関係や友人関係の結婚式に招かれることが多く、その時にしばしば思ったのは、「せっかく綺麗な苗字なのに、旦那のありふれた平凡な名前に変わってしまうのがもったいないな」です。

通常は結婚すると夫になる男性の姓になるケースが多いのですが、妻側の姓が例えばですが「白鳥」とか「清泉」「朝霧」「水流」のように割と珍しくしかも爽やかな姓だと、それがひとつ消えてしまうことがすごく残念な気がしました。

外国人が日本に帰化したり日本国籍を取得する場合、新たな姓を作ることがよくあります。特に日本国籍がないといろいろと不自由な芸能人やサッカーや相撲などスポーツ選手に多くみられます。

サッカー(元)選手では、三都主アレサンドロ(旧名Alessandro Santos)、ラモス瑠偉(旧名Ruy Gon*alves Ramos Sobrinho)、呂比須ワグナー(旧名Wagner Augusto Lopes)、相撲界では曙太郎(旧名Chad George Haaheo Rowan)、武蔵丸光洋(旧名Fiamalu Penitani)、高見山大五郎(旧名Jesse James Wailani Kuhaulua)、小錦八十吉(旧名Saleva'a Fuauli Atisano'e)、ラグビー界ではニールソン武蓮伝(旧名Brendan Neilson)、真羽闘力(旧名Feletiliki Mau)、野球界からもダルビッシュ有などなど。

こうした、新しく作られた姓が今後どのような変遷をたどっていくのか興味あるところですが、100年先はもちろん50年先のことも私には確かめようがないでしょう。

特にラモスとかニールソンとかカタカナの姓は極めて珍しいので、子孫はそれをどう感じとり、先の人生に生かしていくことになるのでしょう。

日本人の人口減と移民政策によって100年後にはカタカナの苗字が珍しくなっているかもしれませんね。

あと、姓が新しく作られるケースとして、捨て子など親が不明のまま児童養護施設に預けられた場合、仮の名前(姓名)を行政府の長が定め、その名前で育てられ、その後養子などで新たな養父母の姓に変わらなければ、幼少の頃に付けられた姓名をそのまま使うことになるようです。

外国人が日本で産んだ子は、届け出をしなければ国籍が得られません。しかし不法滞在の外国人の場合、届け出をすると自分が不法滞在者であることがバレ強制送還されるので届け出をしないケースが増えています。そういう子は義務教育の学校にも行けず、親からも邪魔扱いされ虐待されがちになってしまいます。

日明恩氏の小説「そして、警官は奔る」では、そういう子ども達を非合法で預かり、不法滞在の親が働いている間、子供の世話をしているボランティアに「羽川のぞみ」という女性が登場します。

なぜ非合法と知りつつ、そのような子どもの世話をするボランティアをおこなっているのか?と警官の主人公は疑問を感じますが、この女性、産まれてまもなく多摩川近くに捨てられているのを発見され、児童養護施設で育ったという過去がわかります。

つまり「羽田近くの多摩川で見つかり保護されたが、希望をもって生きて欲しい」という願いを込めて行政が付けた姓名と主人公は推測するのです。

いずれにしても姓は簡単に変えることはできません。特殊な例として、犯罪絡みなどで本名のままでは普通の生活がおくれないという場合に裁判所の許可のもと、姓名を変更することが可能なようですが、それは極めてまれなケースです。

過去には総理大臣にまで上り詰めた「田中角栄」と同じ名前を子供につけた田中という夫婦の子供。元総理はその後刑事被告人となり世間を賑わせ、同時に子供が学校の同級生達からその名前のせいでいじめられることになり改名したとか、神戸の少年が引き起こした凶悪な殺人事件のあと、少年院から社会復帰する際に、元の名前が報道され知れ渡っていたので改名して出所したなど。

近年ではネットの中で、良くも悪くも姓名がずっと残ってしまうことがあり、それが完全に消せない場合、それによって、進学や就職、結婚などに不利になるケースが起こります。

そういう時に、裁判を起こしてでも姓名を変更したいという人が今後増えていく可能性がありそうです。ってもうすでに増えていても驚きません。

SNSは実名か匿名かという論争もよくありますが、実名の場合、例え自分にまったく非がなくとも、間違えられて犯罪者に祭り上げられたり誤用されてしまうことがないとは言えません。

大津市のいじめ自殺では、無関係な人が加害者の生徒の親と指摘され、それが一気に広まりました。そして一度書かれたものを間違いだからと言っても消してもらうには途方もない労力がかかります。

そういうのを見ると、あまりよく考えず、ムードや勢いだけでネット上に実名登録してむやみにプライバシィを公開してしまうのはどうかと思いますがどうでしょう。


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遠野物語 (集英社文庫) 柳田國男

柳田國男氏は明治8年生まれの民俗学者だった人で、島崎藤村や田山花袋、国木田独歩、南方熊楠などとも交流があり、埋もれてしまいがちな日本の各地に残るスピリチュアリズムを広く紹介した初めての人かも知れません。

その中でもこの「遠野物語」は有名で、岩手県遠野出身の民話蒐集家佐々木喜善氏が語る遠野に伝わる民間伝承を筆記・編集し、1910年に350部余りを自費出版したのが最初です。文庫にはこの「遠野物語」の他、「女の咲顔」「涕泣史談」「雪国の春」「清光館哀史」「木綿以前のこと」「酒の飲みようの変遷」などが収録されています。

内容は天狗、河童、座敷童子など日本の古くから伝わる妖怪にまつわる話しから、山人、マヨヒガ、神隠し、山霊、古くから伝わるしきたりなど多岐に渡り、極めて短い簡潔な文章で全部で119話あります。ただ119話といっても1話で完結するものばかりではなく、2話、3話でひとつの話しとなっているものもあり、読んでいるとどこまでが前の話と関わっているのか、全然関係ない話しなのかわからないときがあります。

もちろん今でも文庫として販売されていますが、すでに著作権は切れていますので、青空文庫で無料で読むことも可能です。

「遠野物語」の一部を大胆に引用してみましょう。

一七
旧家にはザシキワラシという神の住みたもう家少なからず。この神は多くは十二三ばかりの童児なり。おりおり人に姿を見することあり。
土淵村大字飯豊の今淵勘十郎という人の家にては、近きころ高等女学校にいる娘の休暇にて帰りてありしが、或る日廊下にてはたとザシキワラシに行き逢い大いに驚きしことあり。
これは正しく男の児なりき。同じ村山口なる佐々木氏にては、母人ひとり縫物しておりしに、次の間にて紙のがさがさという音あり。
この室は家の主人の部屋にて、その時は東京に行き不在の折なれば、怪しと思いて板戸を開き見るに何の影もなし。しばらくの間坐りて居ればやがてまた頻《しきり》に鼻を鳴らす音あり。さては座敷ワラシなりけりと思えり。この家にも座敷ワラシ住めりということ、久しき以前よりの沙汰なりき。この神の宿りたもう家は富貴自在なりということなり。

三一
遠野郷の民家の子女にして、異人にさらわれて行く者年々多くあり。ことに女に多しとなり。

三二
千晩ヶ岳は山中に沼あり。この谷は物すごく腥《なまぐさ》き臭のするところにて、この山に入り帰りたる者はまことに少なし。昔何の隼人という猟師あり。その子孫今もあり。白き鹿を見てこれを追いこの谷に千晩こもりたれば山の名とす。その白鹿撃たれて遁げ、次の山まで行きて片肢折れたり。その山を今片羽山という。さてまた前なる山へきてついに死したり。その地を死助という。死助権現とて祀れるはこの白鹿なりという。

五七
川の岸の砂の上には川童の足跡というものを見ること決して珍しからず。雨の日の翌日などはことにこの事あり。猿の足と同じく親指は離れて人間の手の跡に似たり。長さは三寸に足らず。指先のあとは人ののように明らかには見えずという。

八四
佐々木氏の祖父は七十ばかりにて三四年前に亡くなりし人なり。この人の青年のころといえば、嘉永の頃なるべきか。海岸の地には西洋人あまた来住してありき。釜石にも山田にも西洋館あり。船越の半島の突端にも西洋人の住みしことあり。耶蘇教は密々に行われ、遠野郷にてもこれを奉じて磔になりたる者あり。浜に行きたる人の話に、異人はよく抱き合いては嘗め合う者なりなどいうことを、今でも話にする老人あり。海岸地方には合の子なかなか多かりしということなり。

九十
松崎村に天狗森という山あり。その麓なる桑畠にて村の若者何某という者、働きていたりしに、頻《しきり》に睡くなりたれば、しばらく畠の畔に腰掛けて居眠りせんとせしに、きわめて大なる男の顔は真赤なるが出で来たれり。若者は気軽にて平生相撲などの好きなる男なれば、この見馴れぬ大男が立ちはだかりて上より見下すようなるを面悪く思い、思わず立ち上りてお前はどこから来たかと問うに、何の答えもせざれば、一つ突き飛ばしてやらんと思い、力自慢のまま飛びかかり手を掛けたりと思うや否や、かえりて自分の方が飛ばされて気を失いたり。夕方に正気づきてみれば無論その大男はおらず。家に帰りてのち人にこの事を話したり。その秋のことなり。早池峯の腰へ村人大勢とともに馬を曳きて萩を苅りに行き、さて帰らんとするころになりてこの男のみ姿見えず。一同驚きて尋ねたれば、深き谷の奥にて手も足も一つ一つ抜き取られて死していたりという。今より二三十年前のことにて、この時の事をよく知れる老人今も存在せり。天狗森には天狗多くいるということは昔より人の知るところなり。

一〇三
小正月の夜、または小正月ならずとも冬の満月の夜は、雪女が出でて遊ぶともいう。童子をあまた引き連れてくるといえり。里の子ども冬は近辺の丘に行き、橇遊《そりっこあそ》びをして面白さのあまり夜になることあり。十五日の夜に限り、雪女が出るから早く帰れと戒めらるるは常のことなり。されど雪女を見たりという者は少なし。


一七は座敷童
三一は山男
三二は山の霊
五七は河童(カッパ)
九十は天狗
一〇三は雪女

とまぁこのような内容が訥々と書かれています。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

傍聞き《かたえぎき》 (双葉文庫) 長岡弘樹

「迷走」「傍聞き」「899」「迷い箱」の各短編小説を集めた作品です。どの作品もピリッとひと味もふた味も効いていてなかなかのショートストーリーに仕上がっています。うまいですねぇ。

「迷走」は逆恨みによって刺された検事を病院へ運ぶ途中、救急隊員が、なぜか病院へ搬送するのではなく、その周囲の道を迷走させた理由とは?「傍聞き」とは「かたわらにいて、人の会話を聞くともなしに聞くこと」の意ですが、その手法を使うと、話しが例え嘘でも真実味を帯びて聞こえることをうまく利用したトリックです。

「899」は近所のアパートに住む女性に恋する消防士が、その女性部屋で消火活動をするときの心理状態と意外な行動を。「迷い箱」は受刑者が社会復帰するまでの更生保護施設の施設長の女性と、そこを退寮していった元受刑者の気持ちを描いた作品となっています。

各編主人公は救急隊員、女性刑事、消防士、更生保護士と公務を職業とする人達ですが、これらの小説には多くと言うかほとんどの小説に登場してくる便利な精神異常者などは出てこず、なにげない日常に起きているテーマでうまくショートストーリーにまとめてあります。

そうしたショートストーリーでは、古くはサキの「サキ短編集」や、「賢者の贈り物」や「最後の一枚の葉」などを書いたO・ヘンリ短編集、比較的最近ではジェフリー・アーチャーの「十二の意外な結末」や「十二枚のだまし絵」などが秀逸な短編集です。

この著者の作品は今回始めて読みましたが、今後もチェックしていきたいと思います。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

九月が永遠に続けば (新潮文庫) 沼田まほかる

著者沼田まほかる氏(65歳)の経歴は変わっていて、団塊世代の女性らしく早く結婚するものの、やがて離婚、得度して僧侶になったかと思えば、建設コンサルタント会社の経営をし倒産。その後57歳で出したこのデビュー作「九月が永遠に続けば」が、道尾秀介氏「背の眼」に勝ってホラーサスペンス大賞を受賞するという快挙を得ました。

ストーリーはある事情で離婚した女性が主人公で、その主人公の高校生の息子がある日、神隠しにでもあったように忽然と行方を消してしまいます。その消えた長男を探し出す物語となっています。

主人公は別れた元夫が再婚した女性の連れ子と交際している男性と知り合い、やがて深くつき合うようになりますが、その男性が事故か事件か不明ながら駅のホームから転落して死亡します。それが長男の行方不明とタイミングが同じだったので、息子がなにかの事情でその男を突き飛ばして殺したのではないかと疑い始めます。

この小説でも、レイプ事件の被害者や、近親相姦に悩む姿など現代の精神的病巣についての話題が登場してきます。先日読んだ直木賞受賞作品、村山由佳氏の「星々の舟」でもそうでしたが、女性作家はこうした創作設定を比較的軽く扱い過ぎてヘキヘキしないでもないです。もちろん女性作家だけでなく売れっ子の東野圭吾氏の「白夜行」などでも、主人公の敵が次々とレイプされる設定などもありますから、女性作家特有のものではないのでしょうけど、なにか軽薄すぎて嫌な感じがします。

最近のミステリー小説、特にホラーというジャンルでは精神異常者やレイプ犯罪、幼いときの虐待の心的外傷後ストレス障害(PTSD)などが、お約束のように必須となっているとはいえ、そういうものに頼らない本格的なミステリー小説はないものかなと心待ちにしているところです。

この文庫の解説を読むと「登場人物はみなどこにでもいる普通の善良な人」と書いてありましたが、善良はともかく、子どもの頃から何度もレイプされたり、大人になってからもその時と同じような設定でしか夫婦の営みがもてないなんて普通の善良な人々ではないでしょう。

あと、主人公を支える近所の関西弁男が女性の恋愛心理を表すのに「遠野物語」から引用していてびっくり。しかし出ていたその内容「村の娘が栃の木に恋してしまい、舟を造るために伐採された木を追いかけて一緒に滝壺へ・・・」というお話し、同時に読んでいた「遠野物語」にはなく、似たような話しで「飼っていた馬に恋し、やがてその馬と結婚した娘さん」の話しはあったけどなぁと思って調べてみたところ、「遠野物語」の続編にあたる「遠野物語拾遺」にその引用された話しが出ていました。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

瑠璃を見たひと (角川文庫) 伊集院静

この作品は1992年に初出ということで、同年に直木賞を受賞した「受け月」の前後に書かれたものと推察がされます。また同年には篠ひろ子と再婚し(最初の妻夏目雅子さんは1985年に死去)、同氏にとっては絶頂と言える時期だったかもしれません。

主人公は神戸の名門資産家に嫁いだものの、満たされぬ思いを感じてある日突然夫を捨てて出奔します。そして亡き父親の遺言にあった「なにか困ったことが起きたときにここへ電話をしなさい」というの実行します。

そこには父親と若くして亡くなった母親の知人で、謎の中国人女性が待っていて、何も聞かずに住む場所や仕事を提供してくれます。そしてその女性に頼まれ、それを対で持つと富と権力が手に入るという伝説の彫刻を探しに香港、フランス、ベルギーへと旅立つことになります。

そこまでもなにかあり得そうもない不思議なストーリーですが、ここから後半にはいるとさらに中国マフィア、ナチの残党、囚われの身となったままでシルクロードへの旅、ジンギスカンに滅ぼされた西夏文明の遺跡と、奇想天外、斬新奇抜、空前絶後、荒唐無稽な話しがジェットコースターのように進んでいきます。ちょっと待ってくださいよねぇ、と言ったところです。

本のタイトルにもなっている瑠璃色とは「やや紫みを帯びた鮮やかな青」ということで、このストーリーでは探し求めるタオティエという彫刻に使われている翡翠の色と、北京の西千キロほどにあった西夏の都の遺跡に残る伝説の瑠璃色に光る湖などを現しているものと思われますが、読む前はもうちょっとロマンティックな物語を想像していました。

この小説の中には日本人はほとんど登場せず、主人公を含め日本に住む中国系、または華僑など外国に渡った人、元ベトナム難民などアジア系の人達ばかりです。悪役で日系ドイツ人などは出てきますが、ちょっと毛色の変わった登場人物ばかりでそこのところは面白く読むことができました。

著者別読書感想(伊集院静)


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743
日本にはほとんどの人が知らないというのを含めて多くの出版社がありますが、零細規模だったり資本的に不安定なところも多く、今までに数多くの出版社が倒産、廃業、休止を余儀なくされています。

しかし調べてみてわかったのですが、意外に出版社の倒産、特に大型倒産というのは少なく、他の業界、例えば建設業や不動産業、金融業、製造業、飲食サービス業などと比べてみるとこの長引く不景気の中でも不思議と大手出版社はつぶれていません。

理由をいくつか考えてみると、大手出版社は自社でビルなど不動産を持っているところが多く、人件費以外の経費はあまりかかず逆に出版以外の収入が得られていること、出版は昔のやりかたとは違い、発行部数が少なくても出しやすく、大きなリスクを背負うことがないこと、若い人が活字離れしても、その代わりにコミックやライトノベルはよく売れ、一方電子書籍の伸びは緩慢で、一気に書籍と置き換わりそうもないこと、比較的裕福な書籍好きな団塊世代がリタイアし、暇になって書籍をよく買ってくれるなどなど。

10年前なら倒産した出版社から発行されていた書物は廃刊となり、手に入れるのが難しかったのですが、Amazonのおかげで全国の古書店やリサイクル店からたいていの本は出品されており、簡単に手に入りやすくなったのは素晴らしいことです。

「ネットのせいで紙情報が主体の出版社が次々と倒産」と思いがちですが、意外とそうでもなく、2000年以前と2005年以降と比較しても年間の倒産、廃業件数はさほど変わりません。

ネットが流行すれば出版社もいち早く体制を変化させたり、多様化することで生き延びていたり、逆に売れるコミックにシフトをしたり電子書籍などをいち早く手掛け、売上を伸ばしている会社もあります。

新聞の発行部数のピークは1997年でそれ以降はずっとダウントレンドですが、雑誌や書籍などを扱う出版社も影響がもっとも大きいのは「若者の活字離れ」ではないでしょうか。書店数も同様に1990年代後半以降ずっと減少しています。

出版社というのは一種読書や書籍の趣味が高じ、会社を作った、あるいは大手出版社に勤務していたが、大手では扱わない自分の好きな本だけを扱ってみたいという編集者が独立してみたいな個人商店規模のところも多く存在し、スポンサーが撤退、あるいは死去すると、そこで終わりということもありそうです。

また倒産や経営悪化後に、有志達や新たなスポンサーの元で新会社を設立して前の会社の事業を引き継ぐというケースもあります。河出書房が河出書房新社に、中央公論が中央公論新社へと「新社」と名が付く出版社はそういう所以があります。

下記は2000年~2013年上半期までに業務委譲、活動休止、倒産、廃業して実質活動を終えた出版社の一覧です。

2000年
釣りの友社 自己破産
ペヨトル工房 解散
アクセラ 事業停止
青年書館 倒産
小沢書店 自己破産
博品社 廃業
柏樹社 廃業
マインド出版 廃業
葉文館出版 倒産
あゆみ出版 休業
飛天出版 自己破産
駸々堂出版 自己破産
2001年
同文書院 民事再生法の適用を申請。出版事業は継続中
梧桐書院 民事再生法申請
十月社 倒産
長崎文献社 倒産
経営実務出版出版 業務停止
ティーツー出版 民事再生法申請
都市文化社 倒産
銀河書房 倒産
成星出版 倒産
2002年
柴田書店 民事再生法の適用を申請。出版事業は継続中
勁文社 倒産
同朋舎 倒産
社会思想社 倒産
ワラヂヤ出版 破産
梧桐書院 民事再生法の適用を申請。出版事業は継続中
あゆみ出版 破産
創樹社自己 破産
一粒社 廃業
さくら出版 破産
2003年
婦人生活社 破産
日刊工業新聞社 産業活力再生特別措置法適用申請。出版事業は継続
デジキューブ 自己破産
光芒社(旧・丸山学芸図書) 廃業
ノースランド出版 自己破産
アップフロントブックス 事業停止、解散
アミューズブックス 事業停止、解散
シュベール出版 倒産
2004年
デル・プラド・ジャパン 自己破産
アルプス社 民事再生法適用申請。翌月ヤフーの子会社化、吸収合併
美術公論社 廃業
大明堂 廃業
ギャップ出版 自己破産申請
東京布井出版 破産
2005年
ソフトマジック 破産
平和出版 任意整理
文献出版 解散
メタローグ 倒産
岩崎美術社 廃業
ぺんぎん書房 倒産
2006年
ビブロス 自己破産
ナウカ 倒産
アポロコミュニケーションなど3社 民事再生法申請、2007年にぶんか社の子会社化
続群書類従完成会 不渡り倒産
史輝出版 消息不明
アクタスソリューション 自己破産
経林書房 破産
碧天舎自己 破産
2007年
リーフ出版・雄飛 破産
英知出版連鎖 倒産
あおば出版 破産
桃園書房・司書房 自己破産
朝日ソノラマ 廃業朝日新聞社へ版権譲渡
エクスメディア 自己破産
山海堂 自己破産
アートン 会社整理
白鳳社 廃業
チクマ秀版社 解散
夏目書房 業務停止
英知出版 破産手続き開始
生活情報センター 破産手続き開始
嶋中書店会社 解散手続き開始
東京法経学院出版 民事再生法の適用を申請
司書房 破産
2008年
新風舎 破産手続き。事業は文芸社へ譲渡
草思社 民事再生法適用申請。出版事業は継続。のち文芸社の子会社化
はまの出版 自己破産申請
アスコム 民事再生法適用申請。出版事業は継続
大阪書籍 民事再生法適用申請。出版事業は継続。日本文教出版に教科書版権譲渡
九天社 自己破産
日本洋書販売 自己破産
詩学社 倒産
マガジンファイブ 解散
雁書館 廃業
彌生書房 営業休止
歴史春秋出版 民事再生法の適用を申請
アーカイブス出版 民事再生法の適用を申請
スタジオ・セロ 破産
2009年
メディア・クライス(旧・バウハウス) 自己破産を申請
ユーリーグ 民事再生法の適用を申請。中心事業はいきいき株式会社に譲渡
雄鶏社 自己破産を申請
一橋出版 自己破産を申請
社会保険新報社 自己破産
エム・ピー・シー 自己破産
ゴマブックス 民事再生法の適用を申請
デプロ 自己破産を申請
草の根出版会 自己破産申請
ナイタイ出版 破産
日本聖書刊行会 解散
2010年
日本スポーツ出版社 破産申請
CCRE 民事再生法の適用を申請
一草舎 任意整理解散
工業調査会 事業停止
東京三世社 事業停止、廃業
理論社 民事再生法の適用を申請
KI&Company 倒産
コンシャスプレス 破産
民事法情報センター 解散
2011年
短歌新聞社 廃業
パロル舎 倒産
ブレーン出版 破産手続き開始
編書房 解散・廃業
講談社インターナショナル 解散
中央書院 破産
2012年
レッスンの友社 事業停止
武田ランダムハウスジャパン 倒産
どうぶつ社 廃業
オルディ 破産手続き開始
アメーバブックス新社 解散
エフ企画 業務停止
霞ヶ関出版社 廃業
学会出版センター 廃業
教学研究社 破産
工業調査会 破産
2013年
明文図書 自主廃業

その多くは一般の人にはあまり馴染みのない出版社ですが、個人的には2007年の「山海堂」、2009年の「ゴマブックス」が気になります。「山海堂」はクルマ関連の雑誌や書籍をよく購読していましたし、「ゴマブックス」は新書などで何冊か読んだことがあります。

「ゴマブックス」と「ごま書房(新社VM)」はよく間違われるようですが、元々はまったく関係のない会社で、一時期は事業の一部の譲渡を受けて「ごま書房」でゴマブックスを傘下に入れていましたが、経営悪化のため手放しました。

いずれにしても、書籍や新聞など紙媒体の電子化は、エコ(環境)や輸送配達コストの増加など長い眼で見ると避けられないわけですが、それには3年5年という短期中期レベルではなく、10年20年というゆっくりした長期的な変革となるでしょう。

だって今の老眼の入った中高年者が、今さら小さなスマホやタブレットの画面で新聞や書籍を読むなんて考えられません。その人達が新聞も書籍も読めなくなり需要がなくなるまでは、あと20~30年はかかりそうです。


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742
以前から「日本は解雇規制が厳しく人材流動性に乏しい」「中高年を解雇できないから若い人の採用が進まない」などの話しを読んだり聞いたりするたびに、すごく違和感を感じていました。

なぜなら私自身10年ほど前に、自身の希望に反して勤務していた会社から簡単に解雇された経験があり、その会社の同僚十数名もほぼ同時期に軽々しく解雇されたという経験があるからです。

会社の業績がいざ傾くと、経営者は自分達の責任をまず棚に上げ、立場の弱い人間から順にスケープゴートに仕立てていくのが通例です。

立場の弱いというのは決して非正規社員というだけでなく、部長や執行役員といった責任ある立場の人にも向かいます。

会社の業績が悪化するのは、社会情勢などもありますが、一般的には経営者とその下にいる執行役員や各部長の責任が大でしょう。

だから責任は上層部にあるわけですが、誰が責任を取るかを決めるのは一握りのトップなので、割を食うのはいつも執行役員や部長クラスということになります。

どうしても納得がいかない場合は解雇に抵抗するという方法もあります。

職安や労基署、それにいざとなれば裁判で不法行為を訴えかけることもできます。

しかしどれほど正当性のある言い分があったとしても、実際問題として、決着するまでに時間がかかり、精神的にも経済的にも追い詰められていくそのような事態はできれば避けたいと思うのが人情です。またそれまで世話になってきた会社や同僚といざこざを起こしたくないという心理的な要素もあります。

入社以来世話になった人や、仲のよかった人事責任者などに諭されれば、普通はあきらめて解雇に応じる人がほとんどではないでしょうか。また残ったとしても、そのような冷たい会社や経営者の元で、その先はつらい日々が待ち受けていることも容易に想像ができます。

私は勤務した経験はありませんが、外資系企業では、もっとドライで、日本であっても個人業績の悪い人や部門の縮小や閉鎖により、簡単に社員の解雇が言い渡されます。外資系だから日本の法律は守らなくてもよいわけではなく、法律を守って整理解雇を普通におこなっているわけです。

そういう整理解雇が普通におこなわれている日本で「解雇規制が厳しくて」と言われても「どこがだよ?」と言いたくもなります。

それをある意味裏付ける資料として、独立行政法人労働政策研究・研修機構が「従業員の採用と退職に関する実態調査」を7月31日に発表しました。

それによると、
ここ5年間に正規従業員に

 退職勧奨を行ったことが「ある」16.4%
 特に「1000人以上の会社」では30.3%、「300~1000人の会社」で23.1%と高率
 普通解雇をおこなったことが「ある」16.0%
 整理解雇をおこなったことが「ある」8.6%
 普通解雇と整理解雇のいずれかをおこなったことが「ある」20.7%
 整理解雇で退職金割り増しなど特別な措置を実施して「いない」24.7%
 解雇の通告時期は「1ヶ月ほど前」が47.5%ともっとも高い

というデータがあります。
(50名以上の民間企業2万社のうち回答があった5964社のデータ)

これらからすると、事件や事故を起こして一方的に解雇される懲戒解雇ではなく、本人にさほど大きな理由がなくとも解雇を言い渡される「整理解雇」や「普通解雇」は、5社に1社の割合であり、もはや決してレアなことではなくなっていることがわかります。

さらに解雇の際に退職金割り増しなど優遇策がないところが4社に1社。解雇通知は1ヶ月前というのが2社に1社の割合。1ヶ月前では転職準備もなにもあったものではなく、欧米でよくある一時帰休「レイオフ」などよりも、もっとひどい実態が明らかになっています。

付け加えておくと「懲戒解雇」ではなく、「普通解雇」の場合、その理由として「非行」や「無断欠勤」「仕事に必要な能力の欠如」などともっともらしい理由が付けられますが、もし本当に重大な問題を起こしているのなら「懲戒解雇」にすべきで、あえて「普通解雇」にしているところは、解雇する側にもなにかしら問題があったり、辞めさせるために無理矢理に評価を落として痛み分けをしようという企業側の卑しい魂胆も見え隠れします。

あとこの調査を見て、ちょっと疑問に思うのは、中小零細企業のほうが実質的な解雇はもっと多いのではないかなと言うことです。つまりこのアンケート調査には現れてこない、中小企業では当たり前におこなわれている「自己都合退職」という名の実質解雇です。

中小零細企業には多いワンマン社長の元で働く人は、そのワンマン社長に気に入られるとトントン拍子に出世していきますが、そうでなければ、特に、ワンマン社長に逆らうことの多い社員や、給料が高くなる中高年になるといつ肩叩きがされるかわかりません。

また、中小零細企業の場合、不景気で一部の部門を閉鎖した場合、大企業のように他部門で吸収することができず、余剰人員となってしまいます。

そのような場合、中小零細企業では大企業や外資系企業のような法律に従った解雇ではなく、本人から自己都合で辞めると言い出すようにし向けることが普通におこなわれています。それらはこの調査で言うところの「普通解雇」や「整理解雇」にはカウントされません。

したがって、上記の調査はある一定規模以上の大会社の数値は比較的信用できますが、中小企業が自ら出す数値にはあまり信憑性があるとは言えません。もしそれでも比較するなら自己都合も含めた離職率(年間退職者数/全社員数)を比較して見れば、中小零細企業の離職率が大手企業と比べて高いかがわかるでしょう。

結局は「人材の流動化」や「若者の正社員雇用をしやすく」という名の元で、雇用・解雇規制の緩和や撤廃が議論されるのは、独立した労働組合組織があるような大手企業だけの問題で、御用組合に成り下がっていない組合だと、解雇するのが難しいものだから、それをなんとかしたいという大手企業側からの要請に応えるものと考えられます。

ま、研究者や学識者というのは国や自治体からの支援だけでなく、そういう大企業にスポンサーになってもらって研究活動費を援助してもらったり、共同研究をおこなったりすることが多く、大企業に有利な結果を導くことが自らの利益にもつながることから、そういう議論がいつまでも続くのでしょう。


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