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内閣府が毎年出している通称「高齢社会白書」正確には「高齢化の状況及び高齢社会対策の実施の状況に関する年次報告」平成25年度版(2013年中に発表)というものがあります。
暇がある人はここのサイトからダウンロードして(PDFでおよそ30ファイルあります)読んでいただければいいのですが、ざっくりとそれの概略を書いておきます。将来については推定ですが、30年後50年後に見たときになにが当たっていてなにが外れていたということがわかっていいですね。自分はその時にはもう生きてはいないと思いますが。
◆総人口と高齢者人口
平成24(2012)年10月1日現在、総人口は1億2,752万人、そのうち65歳以上の高齢者人口は、過去最高の3,079万人(前年2,975 万人)となり、総人口に占める割合(高齢化率)も24.1%(前年23.3%)となっています。
※最新のデータ2013年9月16日現在では、人口1億2,726万人(前年比-26万人)、65才以上高齢者人口3,186万人(同+107万人)、高齢化率25.0%(同+0.9%)
65歳以上の高齢者人口を男女別にみると、男性は1,318万人、女性は1,762万人で、性比(女性人口100人に対する男性人口)は74.8で、男性対女性の比は約3対4となっています。
高齢者人口のうち、「65~74歳人口(前期高齢者)」は1,560万人(男性738万人、女性823万人)で総人口に占める割合は12.2%、「75歳以上人口(後期高齢者)」は1,519万人(男性580万人、女性939万人)で、総人口に占める割合は11.9%。
1947~1949年に生まれたいわゆる「団塊の世代」が65歳になり始め、65歳以上の高齢者人口は1950年には総人口の5%に満たなかったものの、1970年に7%を超え(国連の報告書において「高齢化社会」と定義された水準)、さらに、1994年にはその倍化水準の14%を超え「高齢社会」と称されました。そしてさらに高齢化率は上昇を続け、現在24.1%に達し「超高齢化社会」と呼ばれています。※2013年9月16日現在高齢化率は25.0%
今後の推計では、12年後の2026年には総人口1億2000万人を下回り、34年後の2048年には1億人を割って9913万人となります。
総人口が減少し続ける中で、団塊世代のほとんどが65才以上となる来年2015年には65才以上の高齢者は3,395万人となり、団塊世代が後期高齢者に入る75才を迎える11年後の2025年には3,657万人に達します。さらに高齢者数は増加し、28年後の2042年に3,878万人のピークを迎えます。これは団塊世代の次に大きな塊、団塊ジュニア世代の多くが65才を超えることによります。
◆高齢化率と対現役世代人口
高齢化率は2013年に25%だったのが、21年後の2035年に33.4%、46年後の2060年には39.9%に達し、国民の2.5人に1人が65才以上の高齢者という社会を迎えることになる。
今から64年前の1950年(昭和25年)には1人の高齢人口に対して12.1人の15~64歳人口(生産年齢人口)だったのに対して、2012年は高齢者1人に対して現役世代2.6人になっています。
今後、高齢化率は上昇を続け、現役世代の割合は低下し、46年後の2060年には、1人の高齢者に対して1.3人の現役世代という比率になります。
高齢化率を都道府県別でみると、2012年現在の高齢化率は、最も高い秋田県で30.7%、最も低い沖縄県で17.7%となっています。26年後の2040年には、最も高い秋田県では43.8%となり、最も低い沖縄県でも、30.3%に達すると見込まれています。
東北など地方の高齢化が深刻と言われ、16年後の2040年の予測では、高齢化率40%を超えているのは、秋田、青森、高知、北海道、徳島の道県ですが、2012年から2040年までの高齢化率の伸びでは神奈川や千葉も上位に入り、都市部においても高齢化が進んできます。
先進諸国の高齢化率と比較をすると、日本は1980年代までは下位、1990年代には中位だったのが、2005年には最も高い水準となり、それ以降、世界のどの国もこれまで経験したことのない高齢社会を迎えています。
◆高齢者世帯と暮らし
65歳以上の高齢者がいる世帯は増え続け、2011年の世帯数は1,942万世帯あり、全世帯(4,668万世帯)の41.6%を占めています。
一人暮らしの高齢者が高齢者人口に占める割合は、1980年には男性4.3%、女性11.2%だったのが、2010年には男性11.1%、女性20.3%とこの30年の間に倍増し、さらに今後も増えていく予想です。
60歳以上の高齢者の暮らし向きについてみると、『心配ない』(「まったく心配ない」と「それほど心配ない」の計)と感じている人の割合は全体で71.0%あり、年齢階級別にみると、「80歳以上」は8割と高い割合となっています。この世代においては、「老後の不安」というものはあまりなさそうです。
高齢者世帯の平均年間所得は307.2万円で、全世帯平均(538.0万円)の半分強です。しかし世帯人員一人当たりでは、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、197.4万円となり、全世帯平均(200.4万円)との間に大きな差はみられません。
公的年金・恩給を受給している高齢者世帯の約7割において、公的年金・恩給の総所得に占める割合は80%以上となっています。
世帯主が65歳以上の世帯の平均貯蓄額は2,257万円で、全世帯平均1,664 万円の約1.4倍となっています。このあたり、貯蓄額はすべてかき集めても数十万円の56才の私にとって、まるで信じ難いというか、愕然とするばかりです。
宵越しの金は持たねぇ!の心意気はどうした!ってひがんでしまいます。さらに私の場合13年前に転職をしていますので、4年後に迎える定年時の退職金はほとんどあてにできません。
2011年では65歳以上人口に占める65歳以上の生活保護受給者の割合は2.63%であり、全人口に占める生活保護受給者の割合(1.58%)より高くなっています。正規・非正規労働や若者の収入格差と同様、平均で2000万円以上の貯蓄がある高齢者世帯がある一方で、ここでも格差が広がっているように考えられます。
◆高齢者の健康
日常生活に制限のない期間(健康寿命)は、2010年時点で男性が70.42年、女性が73.62年です。平均してこの年齢までは自分で日常生活をおくることが可能と言うことです。
平均寿命が男性80歳、女性86歳ですから、日常生活に支障が出るようになってから男性で10年、女性で13年も生きるわけで、そう思うと健康寿命が少し短いような気もします。団塊世代が一斉に70代に突入する5年後には医療・介護業界は大変なことになりそうです。
将来予測では、2020年には男女とも健康寿命は、生活習慣病の改善や医療技術などの進歩により、約1年間延びるとされています。それでも寿命までの10数年間は症状の軽重の差はあれど介護の必要があり、大きな社会問題になりそうです。
高齢者の死因となった疾病をみると、死亡率(高齢者人口10万人当たりの死亡数)は、2011年において、「悪性新生物(がん)」が970.3と最も高く、次いで「心疾患」589.2、「肺炎」406.3の順となっていて、これら3つの疾病で高齢者の死因の半分を占めています。
65歳以上の要介護者等認定者数は2010年度末で490.7万人(高齢者に占める割合16.64%)で、2001年度末から203万人増加しています。75歳以上で要介護認定を受けた人は75歳以上の被保険者のうち22.1%を占めています。
高齢者に占める要介護者の割合を将来の高齢者人口に当てはめてみると、要介護者数は2015年には565万人(2010年と比べ1.15倍)、2025年に609万人(同1.24倍)、2042年には645万人(同1.31倍)となります。さらに団塊世代が健康寿命を超え始める2020年以降は、上記の推定値よりももっと急激に要介護者が増えると考えておかなければならないでしょう。
◆高齢者と雇用
全産業の雇用者数の推移をみると、2012年時点で全労働力人口6,555万人のうち、60~64歳の雇用者は472 万人(7.2%)、65歳以上の雇用者は340万人となっています。
定年到達者の状況をみると、2012年6月1日時点において、過去1年間の定年到達者のうち、継続雇用された人の割合は73.6%、継続雇用を希望しなかった人24.8%、継続雇用の基準を満たさずに離職した人1.6%となっています。
高齢者雇用安定法が改正され、希望者全員が(段階的に)65才まで雇用を義務付けた法律が施行されたのが2013年4月ですので、今後継続雇用される割合は高まるのでしょう。
しかしいつまでも働きたいと思う人がいる一方で、早く引退したいと考える人もいるはずで、年金支給の問題とも関係しますが、その割合が今後どう変わっていくのか興味があるところです。
「早く引退したいという人」=「お金持ちの遊び人」というわけではなく、家人の介護や、自身の健康障害などで、毎日の通勤や勤務に耐えられない人も多くいます。
◆その他
65歳以上の高齢者の交通事故死者数は、2012年は2,264人で前年より減少していますが、交通事故死者数全体に占める割合は51.3%と半数を超えています。
高齢者が被害となる事故が多いのと同時に、今後高齢者ドライバー、ライダーの数が増えることによって、加害者となるケースも増えそうです。それを減らすためには、衝突防止ブレーキ装置や運転補助装置などの普及が急がれます。
地方での顕著な住人の高齢化を象徴することとして、東日本大震災において、岩手県、宮城県、福島県の3県で収容された死亡者の検視等を終えて年齢が判明している15,681人のうち、60歳以上の高齢者が10,360人と死亡者全体の66.1%を占めていました。
交通事故や災害においては、身体が不自由で人の助けがないとひとりで逃げることができなかったり、動作や視力の衰えから素早い判断や行動ができなかったり、反応が鈍く危険を避けることができないという高齢者独特の被害が目立ちます。
次に2011年の65歳以上の高齢者の刑法犯の検挙人員は、2001年と比較すると、この10年間で検挙人員では約2.4倍、犯罪者率では約2倍に高まっています。ちなみに65歳以上の高齢数は、その10年間で約1.25倍になっていますが、検挙人数、犯罪者率はその伸びを遙かにしのぐ高い伸びとなっています。
65才以上の高齢者のひとり暮らし率は全体で15.7%ですが、受刑歴ありの高齢者だけをとってみると、ひとり暮らしの率は77.9%に跳ね上がり、ひとり暮らしと犯罪を犯す率とは無関係ではないと言えます。
逆にみると、今後ひとり暮らしの高齢者が増えていくということは、それにともない犯罪発生も増えていく可能性がありその対策が急がれます。
犯罪の被害者としてみた場合、一般刑法犯の割合は、他の年代とあまり変わりはないものの、重犯罪の被害者として65才以上高齢者の数は増加傾向にあり、2009年では殺人は全体の21.9%、傷害致死も28.9%と各年代と比較しても高くなっています。
激しく抵抗されない高齢者に対しての強盗や、ひったくりなど通り魔的犯行が増えそうです。また高齢者が各年代層の中では一番お金を持っているという背景があり狙われやすいためかもしれません。
孤独死とか孤立死と言われている問題ですが、東京23 区内における一人暮らしで65歳以上の人が自宅で亡くなった数は、2012年に2,729人でした。(
独)都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約76 万戸において、単身の居住者で死亡から1週間を超えて発見された孤独死の件数(自殺や他殺などを除く)は、2011年度に200件あり、そのうち65 歳以上に限ると131件(66%)となります。これは2008年度と比べ全体で約3割増、65歳以上では約5割の増加となっています。
ここまでざっくりと高齢社会白書の中身を見てきました。様々な考え方や、いやそうはならんだろう?という楽観的な考えもあるでしょうけど、過去の国や政府が発表した推計数値を見ると、少子化の勢いや、経済成長、年金の不足、医療費負担の伸びなど多くは推計や予想を裏切る、悪いほうへふれる傾向があったことを考えると、これらの推計値よりもっと悪化することも予想されます。
悲観論ではないですが、やがて国民の3人に1人が65歳以上の高齢者となり、さらにその高齢者の4人に1人が認知症を患っているという社会はもうすぐ現実となります。
日本はこの現実と向き合って、世界に先駆けた超高齢化社会に則した世界最高の医療、福祉国家を目指し、遅れて超高齢化社会を迎える他の先進国にその仕組みやシステムを輸出できる国作りをすぐにやっていくべきではないでしょうか。
国の英知を結集し、医療、バイオ、薬品、リハビリ、介護の各技術に予算を投資し、医療や介護の現場を担うロボット(アンドロイド)開発、高齢者が安全快適に暮らせる住宅やインフラ整備、元気な高齢者が余生を楽しめるレジャーやスポーツ振興、世界中のお金持ちが、豊かな自然と世界一の医療と介護を求めて押し寄せてくる環境作りなど、目指すべきはそこだと思うのですがいかがでしょう。もちろん自国民には安価で提供してもらわなければなりませんが。
【関連リンク】
769 相続税の税率を上げると言うこと
763 認知症患者の増大で国は衰退する?
740 高齢者の犯罪が増加
733 高齢者の地方移住はこれからも進むか
706 高齢化社会の行方
689 自分の終焉をどう演出するか
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明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
今年のブログ1発目は読書感想です。ちょっとどうかなと思いましたが、私にとって夏休みと冬休みはまとめて本が読める貴重な連休ということもあり、またネタ不足の折、いいかなと。
-◇--◇--◇--◇--◇--◇--◇--◇-
植物図鑑 (幻冬舎文庫)
「阪急電車
夢見る乙女には最高なものでしょうけど、夢など見ない中年オヤジでも昔懐かし野草を食べるという興味をひき結構楽しめます。
タイトルが植物図鑑ですから、小説の中身もそれに近いものがあります。つまり主人公の女性が、ある日偶然出会った行き倒れの男を自宅へ連れ込み、そのイケてる男がやたらと雑草に詳しく、自宅の近所で取れる雑草を次々と料理に代えていくという物語です。
しかし連れ込んだ男に対して、元彼が残していった服や避妊具を使わせようとするなんざ、ちょっと考えられないことをする人だと思うのですが、今の若い女性にとっては、別に気にすることもない普通のことなのでしょうかね?おお怖。
そう言えば「阪急電車」の中でも電車の中で出会う男女が、電車の沿線の崖に生えている山菜かなにかを一緒に取りに行くとかそういうシーンがありました。著者にはそういう趣味が元々あるのでしょうね。
私の子供の頃にはまだ近所には畑や田んぼが残っており、そこに生えているヨモギを摘んでよもぎ餅をつくってもらったり、ツクシも白味噌であえて食べたり、はこべは飼っていたジュウシマツの餌にと子供ながらに野草を選び分けてそれなりにうまく付き合っていたことを思い出します。
この小説のタイトルを見て阿刀田高著「花の図鑑
その中では女性のタイプを花で例えて書いてあり、いかにも当時の日経新聞の主たる読者の中年以上のオッサン向けの小説だなぁと思っていました。
一方の「植物図鑑」では、その「花の図鑑」の逆をいったか、『男の子に美少女が落ちてくるなら女の子にもイケメンが落ちてきて何が悪い!ある日道端に落ちていた好みの男子。』とPRには書かれています。
つまり女性が書いた女性向けのお花(雑草)の、甘く切なく元気の出る夢の物語と言ったところでしょうか。
ちなみに出てくる植物は、ヘクソカズラ、フキノトウ、ツクシ、ノビル、セイヨウカラシナ、タンポポ、イヌガラシ、スカシタゴボウ、ワラビ、イタドリ、ユキノシタ、クレソン、ノイチゴ、イヌビユ、スベリヒユ、アップルミント、アカザ・ソロザ、ヨモギ、ハナミズキなど。
◇著者別読書感想(有川浩)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
四畳半神話大系 (角川文庫)
2003年に「太陽の塔
私の年代で「四畳半」と言えば、永井荷風著「四畳半襖の下張り
この森見氏と「鴨川ホルモー
森見氏のほうが京大では3年ほど後輩ですが、作家デビューは在学中にデビュー作を書いた森見氏が逆に3年ほど早いようです。
さてこの小説、、、変わっています。
京大に入学した主人公が、さぁ青春を楽しもうとキャンパス内で勧誘をしている様々なクラブやサークルの中からこれはと思った4つの不思議なサークルに所属した場合の4つのキャンパスライフが描かれています。
どうなんでしょう。それぞれの物語に主人公と周囲にいる人達には微妙な違いが発生しているわけですが、登場人物はどの話でも限られていて、その中だけで終始し、完結していきます。
読者はどの人生が気に入ったとか、これは酷いと思ったかなどの感想をもつことを期待されるのかもしれませんが、4つのストーリーに分かれているものの、その中の半分ぐらいは前のストーリーと一字一句変わらない場面が繰り返されるので、なんとも言えない既視感というか、一度読んだ本を間違って買ってきてそれを読み進めていくうちに「あ!これ前に読んだぞ」と自らのミスに失笑してしまうような感じというか、「あ、また出てきた」と読み進めるモチベーションが次第に薄れていってしまいます。
こうした、人生の岐路でもし別の選択をしたらどうなるか?というパラレルワールド的な小説はいくつかありますが、結局は大差ない結果となり、ちょっとつまらないかな。
コミックからテレビドラマとなった「JIN‐仁‐
◇著者別読書感想(森見登美彦)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アイの物語 (角川文庫)
著者の年齢は公表されていないようですが、たぶん私と同い年か近い年齢のSF作家です。この作品は、2006年に発刊(文庫版は2009年)された長編のSF小説ですが、私はこの著者の小説は今回初めて読みます。
SF作家として活躍する他にもゲームクリエイターや、トンデモ本やトンデモ品を品評することを目的とする「と学会」会長としても知られているそうです。私はなんのことかさっぱりわかりませんが。
この小説は未来の地球が人工知能をもったロボットに支配されているなかで、古い歴史の語り部役の人間の男性が、ロボットに軟禁され、そこで怪我の治療を受けながら女性の姿形をしたアンドロイドから毎日架空の物語を聞かされるというもので、千夜一夜物語にヒントを得たものと思われます。
そのアンドロイドから聞かされる物語は、小説の設定からはずっと過去の話しになる現代の地球上で起きている様々な話しや今から少し未来の物語で、その中で強く印象に残ったのが、超高齢化社会となった2030年頃の話しとして、人工知能を備えた人型アンドロイドが介護施設において初めてテスト導入される話しです。
65才以上の高齢者が2030年には3660万人に達し、全人口の30%を超えるのは確実ですが、その時果たして認知症患者1千万人を含む高齢者の介護を誰がどのようにおこなうのか?という問題はまったく解決されていません。
個人的には外国から若い人の移住を受け入れるよりも、日本の優秀な製造技術をもって介護ロボットの開発のほうが脈がありそうな気がしています。
私も中高年になって初めて知りましたが高齢になってから、見知らぬ人のやっかいになるというのは、気を遣い嫌なものです。その点相手がロボットなら気を遣う必要もなく楽です。
別に介護ロボットと言っても看護師の姿形をした万能ロボットでなくても、ベッドから起き上がったり、食事や排泄の世話や日常の生活の手伝いをするロボットで構わないわけです。
その他にもリハビリサポート用ロボットだったり、会話の相手を務めるロボットだったり、認知症患者のための行動把握、安全監視用ロボットなど、人それぞれの要望や症状に合った役割分担で使い分ける専用機でいいわけです。
個人的な考えはさておき、小説では著者の趣味もあってか、かわいらしい女性型アンドロイドで、老人の話し相手にもなれば、介護のすべてを自律的におこなえるという設定です。
最初のうちは仕事を学ぶために人間の介護士の言うことを素直に聞いていましたが、次第に学習効果が高まり、「人間は間違ったことをする」ということを学び、次第にロボットが自らの正しい考え、行動を主張し始めるところから、人間とロボットの間に溝が生じてきます。
そのような人間とアンドロイドの歴史が6つの象徴的な話しとして語られ、最後はその語り手のアンドロイドが生まれた時代へさかのぼり、なぜ人の命令を聞かなくなったか、そして地球上で人とアンドロイドが対立するようになってしまったかが明かされます。
確かに宇宙開発のように、場所によっては移動のために地球の時間で何百年、何万年もかかり、空気も水もない(あるかどうかわからない)世界では、生身の人間ではなく、アンドロイド(ロボット)が向いているというのは当たり前のことで、無理をして人間が乗り出さない方がいいのかも知れません。
580ページの長編作品で、途中少しかったるい部分もありますが、この最後の7編目の話しが壮大な物語で、読み応えは十分です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
タクシードライバー 一匹狼の歌 (幻冬舎アウトロー文庫)
1993年に発刊(文庫は1997年)された、著者が10年間に渡り経験したタクシードライバーのドキュメント本です。当初「タクシードライバーほろにが日記」として出版されましたが、発刊直後に出版元がなくなったため、変わりに幻冬舎からタイトルを変えて発刊されました。
著者は若い頃から詩を書いたりするのが好きで、いずれはそれでメシを食っていけたらいいなぁと思い、そのためにはまず経済基盤を作ってゆとりある生活を手に入れようと、様々な事業に手を出しますが、失敗して食い詰めることになります。
そして生まれ育った大阪を離れ、東京で毎日空腹でどうしようもなくなったときに、賃金の日払いが可能で、いつも募集をしているタクシードライバーになります。
そしてその経験を生かし、運転手の仕事は続けながら書いた小説「タクシー狂躁曲
その後この小説を原作とした映画「月はどっちに出ている
このタクシードライバーという職業、一度この仕事に就くとそこからなかなか抜け出せないと言われている中で、死亡者も出た大きな交通事故に2度遭い、やむを得ず離れることになります。
そのような著者が経験してきたタクシー乗務の出来事や、同僚達の話し、そして、タクシー業界が抱える様々な問題にまで切り込んでいきます。
この本が書かれてすでに20年以上が経っていますので、現在の業界慣行や就労条件などに変化はあるのでしょうけど、昨今でもタクシー運転手の年収の低さや労働環境の厳しさなど相変わらずといった話しもよく出てきます。
私自身、以前は雨の日の通勤で、仕事で、プライベートでよくタクシーにもお世話になっていたものの、ここ数年タクシーにはほとんど乗ったことがないぐらい、縁遠い存在になってしまいました。
タクシー料金が上がると利用者が減り、利用者が減ると収入が下がり、不景気になって働く場が減るとタクシー運転手の応募が増え、運転手が増えると1人当たりの収入が減るという、わかりやすいけど、認可権を持つ国と政治的判断の要素と社会の景気の動向に大きく左右され、それに翻弄される運転手という構図がよくわかります。
◇著者別読書感想(梁石日)
【関連リンク】
12月前半の読書 NHKへようこそ、舟を編む、死への祈り、美しい隣人
11月後半の読書 三陸海岸大津波、聖女の救済、覇王の番人、うつくしい子ども
11月前半の読書 ダブルファンタジー、一刀斎夢録 上・下、小太郎の左腕
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年もいよいよ押し迫ってまいりました。今年もどうにか1年を無事に終えられそうです。
今回が今年最後の投稿となるので、今年一年の日記をさっと振り返ってみたいと思います。
今年の初日の出は、あまり天気がよろしくないと聞いていたので、ここ数年のように初日の出を見るために遠方へは出掛けず、近所の小山になっている公園へ出て拝みました。
わずかに雲がかかってしまいましたが、それでもなんとか初日の出を拝むことができました。
2013年あけましておめでとうございます
お正月が明けてすぐ箱根へ家族で1泊旅行に出掛けました。ゆっくり温泉につかり、帰りには御殿場のアウトレットに寄り、大学生の長女と高校生の次男はお年玉を使いあれやこれやと買い物に精を出していました。私もたまたまのぞいたナイキの店で、型落ちのブーツが破格値で出ていたので衝動買いをしました。
そのおろしたてのナイキのブーツを履き、1月中旬に大震災と津波に襲われた東北三陸海岸沿いを2泊3日でひとり旅をしてきました。8月には夏休み中の子供を伴って、原発事故避難地域近くなどを巡る東北沿岸地域を回ってきました。
東北巡り
震災後すでに2年が経ち、復興もかなり進んでいるかと思いきや、そう簡単ではなさそうでした。また観光気分で被災地を巡るのは抵抗感があり、沈痛な面持ちで数え切れないほど壊れた建物や学校や海岸に向かって手を合わせるという心が痛む旅となりました。
普段はクールであまり表情を変えない高校生の息子も、8月に南相馬市から浪江町へ向かったとき、人っ子ひとりいなくなった街を見て、とても緊張をした表情をしていたのが印象的でした。
社会はいよいよ団塊世代が65才となり、雇用延長後の大量退職者が続出しているという時代背景もあり、本格的な高齢者社会へと向かいつつあります。
旺盛な高齢者の労働意欲は善か悪か
高齢者の地方移住はこれからも進むか
テレビも新聞も街のあちこちでも高齢者に向けた番組、記事、話題、商品が目立つようになってきました。こうやって世の中が変わっていくのだなぁと実感しました。
高齢化社会の行方
高齢者の犯罪が増加
昨年末に民主党政権があっさりと倒れ、代わりに国民に期待され第二次安倍政権が誕生し、デフレ克服、インフレ誘導、日本経済復活という掛け声とともに、一気に様々なモノの値段が上昇していきました。でも庶民は給料も賞与も上がるどころか、天引きの額だけが増えていき、実質手取り額は減る一方で、一般庶民の家計は困窮を極めていきます。
値上げ、増税スケジュールを考える
相続税の税率を上げると言うこと
非正規社員と正規社員の格差の問題が、不思議と派遣社員の問題(派遣切り)とよく混同され象徴的に報道されたり議論されています。
「年越し派遣村」など湯浅なんとかという人のデマにうまくのせられ踊らされ、それらが偽善に満ちた嘘っぱちだったことをそろそろ理解すべきですが、インパクトを求めたがるマスメディアにとっては、常に悪者は巨大な存在(非正規社員個々人ではなく派遣会社)でなければならないようです。
非正規雇用拡大の元凶が人材派遣だって?
ハローワークは非正規職員のおかげで回っている
労働契約法改正で非正規雇用者は幸せになれるか
また大学の授業料の高騰と、奨学金ビジネスの実態が大きくクローズアップされるようになってきました。格差社会をなくすためには平等に高等教育が受けられるように!という発言の裏には、多くの人を大学に呼び寄せ、大学ビジネスで一儲けを企もうとする人が必ずいることを知らなければなりません。
大学へ奨学金で行くということ
大学生の就職率推移と卒業後の進路
家電エコポイントや地デジブームで昨年までは好調だった家電量販店最大手のヤマダ電機が今期は赤字転落するというニュースは、景気が上向いているという政府や日銀の必死のアピールに水を差しましたが、ネット通販のAmazonや楽天などの好調ぶりをみると当然の結果と言えます。
アマゾンジャパンは国内の小売り業を破壊するか?
Amazonにガチ対抗できるのはイオンかセブン&アイか
都市と地方の格差問題についてもいろいろ書きました。限界集落化とそれを食い止めるためのコンパクトシティという言葉がニュースなどでよく流れていました。TPPによる競争激化や個人農家の高齢化、後継者不足の中で、国の政策にただ乗っかりなにもしてこなかった一部の農家へ税金を支払ってきた減反政策が見直されるのは遅すぎたぐらいです。
地方が限界集落化していく
道の駅は次の段階へ進めるか
農業の大規模化と零細な起業
テレビなどでも大きく特集され、結婚しない人が将来陥るかもしれない孤独死や介護できない認知症の問題も今年は話題となりました。
認知症患者の増大で国は衰退する?
コンパクトマンションが流行っているらしい
もちろん結婚することだけが善というつもりはありません。人の自由意志や価値観が変化していくことを国は臨機応変に認めてそれに合った政策や制度を作っていくべきでしょうし、国民側も自らの力で様々な規制や障害を乗り越えていく努力が必要です。
離婚の多さと結婚という形式
そして次男坊は希少価値を持つ
雇用は上向き傾向にあると言われていますが、学生、中高年とも就職は相変わらずたいへんです。「贅沢言わなければなにか仕事はあるでしょ?」という人もいますが、若い人にとっては使い捨てで将来性もなく収入が低い仕事に積極的には就きたくないのは当たり前です。
有効求人倍率と完全失業率から推測する未来
離職率が高いことは悪ですか?
雇用のミスマッチと言いますが、人口が減り、必ず漸減していく経済環境では今後大きく伸びていくだろう産業もなく、これでは若者の将来に夢が描けません。
就活では大企業を目指すべき3つの理由
若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
この日記は元々「リストラ、失業、再就職、雇用」が主たるテーマでした。最近はちょっとサボリ気味ではありますが、その関連の話題も時々書いているつもりです。
退職勧奨・強要にあった場合の対処法
40歳以上の解雇や退職勧奨は最悪だ
それでも日本の解雇規制は緩すぎる
今年書いてきたブログ記事の一部ですが、紹介させていただきました。
それではこれで今年の筆納めとさせていただきます。1年間どうもありがとうございました。
皆様もよいお年をお迎えください(ぺこり)。
さて年賀状書かなきゃ(-_-;)
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777
リストラ天国日記の777回目ということで、なにか嬉しい話題とか楽しくなる話しがないかと探してみたところ、ありました、ありました。
OECD(経済協力開発機構)がおこなった「国際成人力調査(PIAAC)」というのがあって、「読解力(Literacy)」、「数的思考力(Numeracy)」、「ITを活用した問題解決能力(Problem solving in technology rich-environments)」の3つのスキルについてOECD加盟国を中心に24カ国で調査が実施され、その結果が今年2013年に発表されました。
※PIAAC:Programme for the International Assessment of Adult Competencies
調査の対象となった母集団は、OECD加盟国を中心とする参加24カ国の16~65才の個人で、日本では2011年~2012年にかけて11,000人が対象となりその中から5,200人が調査に参加しています。
この3つのスキルを他国と比較することで、自国の教育に偏りがないかどうか、自国民の優れているところや、逆に他国と比べ劣っている部分が判明します。国の教育水準や教育制度上の欠陥など、さらにこれからの教育政策にも役立つものとされています。
昔から日本は資源のない国で、国民全体の教育レベルを高めることにより、世界に伍してビジネスを展開していかなければならないという宿命があり、それこそ学校の教師や塾の先生をはじめ、官民とも必死に子供や若者の教育に力を注いできました。
その代表的な話しが「米百俵」の故事です。「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、(売却してその金を)教育にあてれば明日の一万、百万俵となる」という明治初期の長岡藩士小林虎三郎の言葉です。つまり「目の前の利益よりも、将来を見据えた教育投資こそが重要」という教えです。
そうした過去の遺産を受け継いできた日本の教育制度は、ここ数十年もの間、世界の中でもトップクラスを維持し続けてきました。欧米からすればアジアの片隅にあり、第二次大戦でこてんぱんに敗れ去った野蛮な小国が、このような教育水準を作り上げ維持しているなんてまったく信じ難かったことでしょう。
その調査結果の概要を簡単にまとめておきます。
(1)「読解力」
| PIAACにおける読解力とは、社会に参加し、自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発展させるために、書かれたテキストを理解し、評価し、利用し、これに取り組む能力 |
日本では識字率はダントツに世界のトップだと昔から言われてきましたが、確かに義務教育の充実と、他国からの移民や難民をほとんど受け入れない排他政策のため、日本語という特殊な言葉の読解力はおしなべて優れていると言っていいでしょう。
ただそれ故に国内では日本語だけですべて完結し、他国語を取り入れるという必要性がなく、それが文化や経済の国際化の波に大きく後れを取ってしまっていることはゆがめません。
調査では「読解力」を6段階の習熟レベルに分け、習熟度がもっとも高いレベル5の割合が一番多いのはフィンランド(2.2%)、次いでオーストラリア(1.3%)、オランダ(1.3%)、スウェーデン(1.2%)と続き、日本は1.2%で第5位となっています。全体の平均は0.7%。
最高のレベル5では5位ですが、比較的習熟度の高いレベル4とレベル3の割合がもっとも多いのは日本で、逆に習熟度が低いレベル2、レベル1、レベル1未満の割合がもっとも少ないのも日本です。つまり「突出した天才は少ないけれど、高いレベルの人が多く、低いレベルは少ない」ということになります。その結果、全体の平均点では日本がトップ、年齢を区切って若者(16~24才)の平均点でも世界でトップです。気持ちがいいですね。
16~24才の若者の読解力国別平均点
国語の読解力はまずベーシックな国力となるものですから、それが世界一というのは誇れることではないでしょうか。ただそれと引き替えにして外国語が苦手というハンデも一緒に背負うことになってしまったわけですが。
(2)「数的思考力」
| PIAACにおける数的思考力とは、成人の生活において、様々な状況の下での数学的な必要性に関わり、対処していくために、数学的な情報や概念にアクセスし、利用し、解釈し、伝達する能力である。 |
日本人は以前は数学など理系に強い国民と言われてきましたが、最近は若者の理系離れが心配されています。しかしその伝統は今でも残っているようです。ただ残念ながら読解力と同様、突出したレベルの天才型は少なく、平均的に高いというのが特徴です。
数的思考力がもっとも高いレベル5の割合が多いのは、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、ベルギー、オーストラリア、そして7番目に日本です。インドはこの調査に含まれていませんが、もし入れると人口が多くレベルにばらつきはあるでしょうけど上位にくる可能性はありそうです。
数的思考力の比較的高いレベル4、レベル3の割合がもっとも多い国は日本で、低いレベル1とレベル1未満の割合がもっとも少ない国も日本です。つまり数的思考力も平均的に他国より高いことを物語っています。
そして成人全体の平均では他国を圧倒しています。
16~65才の成人の数的思考力の国別平均得点
しかし薄々気がついていたことですが、若者(16~24才)の数的思考力の平均トップはオランダ、次いでフィンランド、そして日本と3位に落ちてしまいます。
16~24才の若者の数的思考力の国別平均得点
これってゆとり教育が原因なのか?と思いましたが、ゆとり教育は2000年前後からですので、この調査の年齢には一部は達してなく、それよりも考えられるのは、90年代頃からこの国で静かに進行してきた「若者の理系離れ」に関係していそうです。ちょっと心配ですね。
(3)「ITを活用した問題解決能力」
| PIAACにおけるITを活用した問題解決能力とは、情報を獲得・評価し、他者とコミュニケーションをし、実際的なタスクを遂行するために、デジタル技術、コミュニケーションツール及びネットワークを活用する能力である。 |
この「ITを活用した問題解決能力」については、残念ながら日本は平均レベルで、高年齢層に至っては大きく平均を下回る結果となっています。国内には多くのIT企業があるに関わらず、世界を見ると利用技術でもっと先へ行っているようです。
習熟レベルでもっとも高いレベル3の割合が多いのは、スウェーデン、フィンランド、日本の順で、かろうじて3位につけているものの、比較的習熟度の高いレベル2の割合は、スウェーデンがトップで次がノルウェー、オランダ、フィンランド、デンマーク…と続き、日本は韓国の後で14番目という低さです。
習熟度の低いレベル1の割合はもっとも少ないポーランドに次いで日本は2位、もっとも習熟度の低いレベル1未満の割合では日本がもっとも少なくなっています。(つまりレベルが極端に低い人は少ない)
ITを活用した問題解決能力の国別平均得点
そしてちょっと意外だったのはコンピューター経験がないと回答した成人の割合では、OECD平均が9.3%であるのに対し、日本は10.2%と、平均よりも高くなっています。
考えられるのは、日本ではパソコンと同時期にネット接続やメール利用が可能な携帯電話の普及が進み、コンピュータ(パソコン)の利用がそれに取って代わってしまったこと、個人経営や零細企業、特に農業や漁業など第一次産業と小規模な小売業ではほとんどITが活用されてこなかったこと、当初ライバルがいなかったNTTがネット接続の通信料をバカ高く設定していたことにより、パソコンとネットの普及の拡がりに待ったをかけてしまったことなど考えられます。
それに積極的に国民のIT活用を推し進めている国が多いのに、日本は国が先導するIT導入は少なく、民間企業に頼るばかりで、ネット選挙がようやく一部だけ解禁されたのもようやく今年からで、学校教育の現場においても他国に大きく差を付けられています。
下図の「ITを活用した問題解決能力の習熟度と年齢の関係」を見てみると、60~65才の年齢層だけがOECDの平均値を下回っていることがわかります。
ITを活用した問題解決能力の習熟度と年齢の関係
これは、世界で見ると、他国では年齢が高くても比較的ITを活用できているのに、日本の60才以上は利用していなかったり習熟度が低いことを現しています。もっと早くから選挙にネットが導入されていたり、納税や社会保障、役所の手続き等がネットでおこなえるようになっていれば、また違っていたでしょう。
以上の結果を概観すると、IT活用はちょっと勢いをそがれましたが、それでも日本の教育(学校ばかりではなく家庭や塾や職場教育なども含め)は世界水準でみるとまだ世界のトップクラスを走っていることがわかります。
しかしこの調査では出てきていない、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)や、さらに経済発展が目覚ましいその他の国の多くが教育に必死に取り組んでいますので、この情勢が塗り替えられる日はそう遠くないかもしれません。
また日本もこれから人口減が顕著になってくることから、外国人移民受け入れの政策も必要となり、そうするとその移民の子供達が日本の学校へ通い、日本で社会へ出て行ったときに、今までのように、ほぼ単一民族だけに教育をしてきた同じ教育水準が維持できるか?と言うとそうはならない気がします。
それに国民の資質は決して教育水準だけではなく、他人を思いやる感性とか、いにしえよりの教えをうまく取り入れた文化など、数値では表せないものがたくさんあります。今後はそういうものを大事にしていきたいものです。
少なくとも教育水準では他国を圧倒しているわけですから、なにか他国や他人とのもめ事が起こったとしても、そこは大人の態度をとり、追いつこうと必死にもがき、時にはやんちゃな相手であっても、余裕と懐の深い態度で優しく受け入れてあげる国民性が作れると、世界中から敬愛される国になれるかも知れませんね。
先のことはわかりませんが、とりあえずは、日記777号にちなみ、めでたしめでたしという話題でした。
【関連リンク】
765 労働生産性はむやみに上げるもんじゃない
749 TwitterとFacebookの現状
738 日本人の年齢別死因は
669 ネット人口の正しい統計
570 資産家も貧困者?統計で見る貧困率
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ネットを使う人にとってはもう欠かせないサイトになっているインターネット百科事典Wikipedia(ウィキペディア)ですが、利用することは多いのですが、その概要についてはほとんど理解していませんでした。
Wikipediaがスタートしたのは2001年のこと12年前のことです。まずは英語版をベースとして始まり、日本語を含む多国語への対応も同じ年から始まりました(日本語版は2002年に改良が施されて現在の形になる)。
運営するのは民間企業ではなく「ウィキメディア財団」というジミー・ウェールズが創設した非営利組織で、記事執筆はすべて無償のボランティアです。
運営資金は寄付などによりまかなわれており、私が考えるにインターネットができて以来、無償でこれほど世界中の人に役立つコンテンツサイトはないと断言できます。
Wikipediaで使用されている言語は286種類、まだ増えていく可能性もあります。掲載されている記事(中身のある1ページ)は世界中に25,227,270記事あり、そのうち日本語で書かれている記事は、885,856記事あり、日本語の記事だけでも毎月4~5千記事が増加しています。
岩波書店発行の広辞苑に収録されている日本語の数はおよそ23万項目(語)と言うことですので、それの3倍以上となります。
ただしこれは広辞苑などには含まれない著名人や芸能人、各種キャラクター、企業名、楽曲名などの固有名詞などが数多く含まれているためと思われます。広辞苑などの辞書は掲載する言葉や種類をプロが厳選しますが、Wikipediaは誰でも自由に加えていけるところが特徴です。
先日、三浦しをん著「舟を編む」を読み、辞典の編集についての内幕を知ることができましたが、専門家が言葉を集め、紙の書籍の限界から説明文の文字数や収録すべきかどうか、もっとひいて発刊がビジネスとして成り立つかどうかの判断など、制作者側の都合で編纂したり決められるものとは違い、ネットを活用する辞典では収録数や文字数などに制限はなく、百科事典にとっては最高の環境といえるのかも知れません。
しかしながら、Wikipediaの特徴でもある、誰でもが自由に記事が書け、編集できるということは、書かれていることが信頼できる誰かに保証された内容とは限らないわけで、意図してあるいは意図せず誤った内容が書き込まれたり、自分や特定の会社に有利に解釈して書くことも可能で、それを信じた人が、損害や迷惑を被るということも当然起きます。
そのような問題はさておき、Wikipediaによって、無料で素早く疑問を解決することができるようになったことは、人類の大きな進歩ではないかと思っています。
「『知るは楽しみなり』と申しまして、知識をたくさん持つことは人生を楽しくしてくれるものでございます。」と「クイズ面白ゼミナール」(1981年~1988年)の番組冒頭で語っていたのは鈴木健二氏ですが、Wikipediaはまさに、この知るという楽しみを身近に与えてくれるひとつとなっています。
このWikipediaに関する各種データを拾ってきましたので掲載しておきます。数値は基本2013年10月現在です。
まず言語別の記事数のランキングです。
フィリピンは最近は英語がメインに使われているので、現地語は地方や高齢者以外はあまり使われていないのかと思っていましたが、なんと10位、11位にふたつもの現地語がランクインしています。
それだけフィリピンではこのWikipediaの利用が盛んなのでしょうか?フィリピン人のIT活用がこれほど進んでいるとすれば、今後IT業界が人材や開発拠点を求める先は中国やインドではなくフィリピンなのかも知れません。
ネイティブスピーカー(母国語を喋る人)が多い言語は、1位中国語、2位英語、3位ヒンディー語、4位スペイン語、5位アラビア語という順ですが、Wikipediaの言語別記事数は当然その順番とはなっていません。
特に中国本土では、何度かWikipediaへのアクセスがブロックされたせいもあり、中国語を使う人口が多い割りには記事数はあまり伸びていません。
オランダの人口は約1660万人で世界で58番目という国ですが、オランダ語の記事数は英語に次ぐ171万記事、第2位というのには驚かされます。それだけオランダ語圏でWikipediaの活用(閲覧だけでなく投稿や編集含め)が進んでいるのでしょう。
英語版のWikipediaで2012年の1年間にもっとも多く見られた記事は、1位Facebook、2位Wiki、3位Deaths in 2012(2012年に亡くなった人リスト)、4位One Direction(英国・アイルランド出身のポップスグループ)、5位The Avengers (2012年公開の映画)です。
日本語版に限定すると、1位AV女優一覧、2位AKB48、3位ももいろクローバーZ、4位ONE PIECE、5位嵐 (グループ)となっています。なんて平和で脳天気でスケベな人が多く活用している日本語版でしょう。
しかし日本語版で今年12月のある1週間だけを切り取り、もっとも多く見られた記事を見ると、1位特定秘密保護法案、2位軍刀、3位ネルソン・マンデラ、4位彬子女王、5位山口鉄也となっていて、2位と5位については?ですが、それ以外は社会性のあるテーマが上位を占めています。どっちが本当の日本人ユーザーなのか?です。
さて、このWikipediaという巨大な存在は、まるで生き物のように、今後もどんどんと成長を続けていくのでしょうか?
Wikipeddiaに登録をして記事を書いたり編集をおこなう人達のことをウィキペディアン (Wikipedian) といい、誰でもなることができますが、実際に記事を書いたり頻繁に編集をしている人は限られています。
このウィキペディアンの増加と活性化が今後のWikipediaが成長、発展していくかどうかを左右しています。もちろん記事の質も問われています。
現在でも世界広域で見ると、記事の偏りが見られ、例えばウィキペディアンが多い高等教育を受けた西洋人・白人から見た社会現象や歴史認識と、そうでない人達から見たそれとでは大きく食い違っていて当たり前です。
もっと言えば、Wikipedia日本語版と韓国版で竹島や慰安婦の記事はおそらく双方相容れない内容が書かれていることは容易に想定されます。
そうした政治や宗教、人種、戦争、文化、歴史、領土などの記述については、書いた者勝ちとなってしまうことが得てしてあり、あとから反論を付け加えたり書き換えることもできますが、現状ではウィキペディアンの勢力が強いものが勝ってしまう状態です。
したがって、現在まだネットにアクセスできない世界中の多くの人達が、今後ネットにつながりWikipediaを見ると、驚き、嘆き、哀しみ、怒りとなって様々な問題、例えば国際紛争や宗教戦争を引き起こすきっかけとなるかもしれません。
いずれにしても「世界の44億人がまだネットにアクセスをしたことがない」と国連の専門機関国際電気通信連合が発表しています。この数は、世界人口のおよそ6割に相当し、概ね発展途上国に集中しています。
これらの人が今後ネットにアクセスすることになればWikipediaはもっと発展すると同時に、前述したような先進国やIT活用度の高い国の一部の人が書いた内容が議論を巻き起こすことになるのでしょう。
それと英語の記事が439万もあると言うことは、それをすべて各国語に翻訳するだけでも相当なボリュームがあり、さらに紙の辞書が数年ごとに改版されるように、Wikipediaも日々更新されるコンテンツが数多くあり、ここで終わりというものがありません。現状ではまだ無限の可能性を秘めていると言っても差し支えないでしょう。
ひとつの危険性を述べておくと、このような巨大なデータベースを持ち、世界中で大きな影響力を持つ存在になったWikipediaを運営する「ウィキメディア財団」が、公正中立(なにをもって公正中立かという別の問題もありますが)な立場で居続けられるのかという疑問もあり、野心ある誰かが、それをうまく利用して情報操作や利益誘導に使わないとも限りません。過去にはそのような問題も実際に起きています。
万が一、公正中立な立場が失われてしまえば、「Wikipediaの記事はまるで信用がおけない」という評判が一気に広まり、悪影響を怖れる検索エンジンの結果からも除外されてしまい、結果、優秀で良心的なウィキペディアンが去り、忘れ去られた遺物になってしまうこともあり得ます。
また、初心者やITリテラシィが低い人ほど、ある特定個人が書いた主張を定説と誤認し、その内容を盲目的に信じ込んでしまう危険性もはらんでいます。
そうした意図的で作為的な記事についてはWikipedia運営側や良心的なウィキペディアンの素早い対応や判断(削除や注意書き)が要求されるでしょう。これはどこまで人が無償で奉仕を続けられるかという重い課題にもつながっていきます。
したがって「ウィキメディア財団」が今後長年にわたって、広告主などスポンサーを得ることなく、寄付金でまかない、特定企業や国家に頼ることなく運営し、公正中立な立場を堅持し続けてこの巨大なシステムを維持して、さらに質を担保していけるのかがこれからの大きな問題となってくるのでしょう。
【関連リンク】
767 若者の離職の原因は単なるミスマッチなのか?
765 労働生産性はむやみに上げるもんじゃない
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