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会社へ通っていたときは、コンビニやカフェで朝と午後にコーヒーを買って飲むのが日課でしたが、20年以上前頃から休日など家でコーヒーを飲むときには「カルディ(Kaldi)で購入した挽いた豆をドリップして飲んでいます。
カルディの店舗は全国482店舗もありますので、過去一度も利用したことがない人でも、ブルーに黄色のKALDIの看板を見掛けたことがあるのではないでしょうか。
この店のコーヒー豆のなにが良いか?というと、店は変に気取ってなく大衆的で、コーヒー豆の種類(原産国)が豊富に選べ、料金も比較的安く、しかも味はそこそこ美味いというところでしょう。
コーヒー豆の種類は、どの店へ行っても20種類ぐらいあり、それぞれにわかりやすく特徴が書かれています。値段はコーヒー豆の種類によって違いますが、1パック200g単位で販売されています。
数年前からコーヒー豆価格が急騰していてかなり高くなりましたが、バランスが取れた味でリーズナブルな「スペシャルブレンド」が1パック702円(税込み2023年7月、以下同)です。
今では過去いろいろな種類の豆を試してみた結果、その中で自分が一番気に入った豆(ペーパーフィルター用に挽いて)を今はほぼ固定して買っています。
その「カルディ」のコーヒー豆を買うときに、お得になるとっておきの方法があります。
それは店舗によって年に1~2回、「お客様感謝セール」か「周年記念セール」というのがあり、その期間中はコーヒー豆が半額で購入できます(除外品あり)。
「周年記念セール」は、その店舗がオープンした月に定期的に毎年おこなわれますが、「お客様感謝セール」は不定期におこなわれます。
そのセール期間を知るためには、カルディのサイトの中にある「周年セール/オープンセールほか情報について」で調べられます。
但しリンクが時々変わるので、リンクがエラーになった場合は、トップページの右上にある「店舗検索」のページへ飛び、そこの右下に「セール開催店舗」へのリンクがあります。
これで調べておくと、「来週はどこどこへ出掛けたついでにカルディに寄ってまとめ買いしておこう」ということができます。
地方だと店舗は多くないですが、都市部だと主なターミナル駅や商業施設、商店街などにあるので、自宅や勤務先の周辺にある店舗をうまく利用すればかなりの確率で半額で購入できます。
また、あまり安くはなりませんが、近くに店舗がないという人にはオンラインで購入することもできます。少し割引になるものや、オンライン限定販売のコーヒー豆などもあるので、時々はチェックするのもいいかもです。
そんな褒めちぎったカルディですが、店舗数を急速に伸ばしたことで社内の仕入れのシステム的に無理が生じたのか、イケイケの勢いが余って購買部門が傲慢になったのかわかりませんが、今年の3月には公正取引委員会から法令違反を指摘され是正勧告を受けています。
今世間を賑わしているビッグモーターじゃないですけど、イケイケで勢いのある会社はどこかに無理が生じているというか、問題が発生しているものです。
カルディコーヒーファーム運営会社 下請け法違反で公取委勧告(NHK)
コーヒー豆や輸入食品などを扱う小売チェーン「カルディコーヒーファーム」の運営会社が、下請け法に違反する返品などを繰り返し、納入業者合わせて67社に1300万円余りの不利益を生じさせていたとして、公正取引委員会から返金を求める勧告を受けました。 |
店内は、まるでドンキホーテの小型版か?って思えるような雑多な陳列で、次々と目新しい商品や、小物類などが並べられ、セール期間中に一定額以上買うと、トートバッグなど様々な小物がプレゼントされる時もあります。
その結果、急速に膨れ上がった商品仕入れ部門には大きな権限が与えられていそうで、中にはそうした権限を笠に着て、優位な立場を利用した下請けいじめをする傲慢な人がいても不思議ではありません。
社内のコンプライアンス体制や内部統制がキチンと働かないとそうしたことが起きます。いつでも社外取締役を引き受けますよ(笑)。
それはともかく、以前BSフジで放送されているマニアックな番組「所さんの世田谷ベース」で、所ジョージさんが、「このコーヒーが一番美味いんだよな~」と言っていたのが、カルディの「ブルーマウンテンブレンド」でした。
この「ブルーマウンテンブレンド」、確かに美味しいのですが、一般人にとってはやや高い(200g、1,998円)ので、半額で買えるときに買うぐらいです。
コーヒー豆200gでコーヒー何杯とれるか?というと、カップやタンブラーの大きさによりますが、通常のコーヒーカップ1杯分(140ccほど)でコーヒー豆が約10gと言われています。
カルディの1パック(200g)では通常のコーヒーカップで20杯分、私が使っているサーモスのタンブラーは最大容量420mlで、8分目の実質2杯分の300ccぐらい入れますので、約10回分ということになります。
働いていたときは、自宅でコーヒーを飲むのは休日だけでしたが、在宅勤務になって以降(現在は完全にリタイア)、朝と午後の二回、自宅でコーヒーを煎れて飲んでいますので、挽きたて直後の豆が美味しいのはわかっていますが、品切れにならないよう、まとめ買いをして自宅に在庫をもつようにしています。
【関連リンク】
1680 私の健康習慣 その5(日本茶とコーヒー)
1484 地味な日課が固まりつつある
817 カフェではない喫茶店の凋落
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警察への行方不明者の届けが出された件数は、2020年、2021年は新型コロナの影響で外出の自粛や介護施設などでの行動が制限されたこともあって例年より1割程度下がっていましたが、2022年はまたコロナ前の8万人台へと戻ってきています。
下記のグラフは警察庁発表の資料から、行方不明者届けがあった総数と男女別の1966年から2022年までの長期推移です。
行方不明者の総数で見ると1970年代後半から1980年代前半に一度ピークを迎え、その後は下がりますが、2000年から2000年代前半頃まで再びピークを迎えます。
その後は減少傾向か横ばいで推移し、2020年と2021年にはコロナ禍の影響があり20数年ぶりに8万人台を割り込みます。しかし2022年には再び大きく増加し、コロナ前に近づきます。
行方不明者の男女比では、1989年までは男女差はあまりなかったものの、1990年頃から女性の行方不明者は減少傾向になり、対して男性は増加か横ばいで男女差に大きく差が付いてきます。
この男女差にはちょっと意外な感じがします。なぜ1990年頃から急速に男性の行方不明者が増えていったのか謎です。
というのは、後ほど出てきますが、行方不明者のうち20%前後は認知症患者が占めています。一般的に高齢になるほど認知症に罹る割合が高くなるので、寿命が長い女性のほうが認知症患者数は多いと思われますが、その影響は少ないようです。
あるいは考えられることとして男性の認知症患者のほうが女性よりも行動的で、より勝手に出歩いてしまうことが多いのかも知れません。
その認知症患者が行方不明になった数と行方不明者総数に占める割合が次のグラフです。2013年から2022年までの10年間の推移で、データは同じく警察庁の資料からです。
明らかに認知症患者数が行方不明者になる数が増えることで全体に占める割合も増えています。
日本の認知症患者数は2020年で約630万人ぐらいと推定されていますから、全体の約3%の認知症患者が行方不明になっていることになります。
もちろん行方不明になった全員がずっと行方不明のままというわけではなく、大半は後に保護されています。
ちなみに認知症患者に限らず、行方不明者の所在確認ができるのはおおよそ95%です。22年で言うと行方不明者総数84,910人の中の4,700人ぐらいは所在が確認できていないことになります。
何ヶ月、何年も後に所在確認がされることもあるので、1年単位では正確な所在確認率は出ません。
2050年頃には認知症患者は1千万人に達すると推定されています。そしてその3%が行方不明者になると、年間で3万人ということになります。
3万人というと、毎日82人の行方不明者届けが警察に持ち込まれることになるのでしょう。老老介護や介護人材の不足が言われていますので、その割合はもっと多くなるのかも知れません、
行方不明になる原因・動機別では、84,910人中、疾病関係が24,719人(構成比29.1%)で最も多く、このうち認知症又はその疑いによるものは18,709人(構成比22.0%)です。
疾病関係に次いで多いのは、家庭関係の12,899人(構成比15.2%)、次が事業・職業関係の9,615人(構成比11.3%)となっています(その他、不詳を除く。)。
高齢者は疾病(認知症)関係、若い人は家庭関係、中年は事業・職業関係と綺麗に年代で分かれるのかも知れません。
以前にも書いたことがありますが、少なくとも歩ける認知症患者は顔認証システムに顔や全身の登録を推奨し、万一行方不明になったときには駅や繁華街などの監視カメラで捕らえた顔や全身動画と瞬時に照合できるという仕組みを国や自治体、警察で導入すべき時期にきていると思います。
それが認知症患者の徘徊による事故や事件防止につながります。これだけ認知症患者の徘徊が増えてくると、徘徊が原因で被害を受けた人や会社が「相手は認知症患者だから仕方ない」と、損害や迷惑を笑って許容してくれるとは思えません。
その損害賠償責任は、介護者や家族にもかかってきますので、人権やプライバシー問題で反対する人も多くはないでしょう。
【関連リンク】
1177 年間8万人の行方不明者の行方
825 行方不明者と顔認識システム
763 認知症患者の増大で国は衰退する?
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ことさら話を大げさに考えるわけではないものの、人口減少や景気停滞が続く中にあって国内貨物量自体は横ばいでも、面倒な小口の通販など宅配貨物はまだまだ伸び続けるでしょうから、その「2014年問題」は最終的に一般市民レベルにまで影響が及んでくることは間違いありません。
「2014年問題」に詳しいのは下記のサイトです(途中から会員登録を求められます)。
物流の2024年問題とは何かをわかりやすく図解、3つの課題と悪影響、対策など徹底解説(ビジネス+IT)
この法律が適用されることで、今でもトラックドライバー不足とドライバーの高齢化が進む運輸業界で、残業時間が制限されることで手取り給料が減ってしまい、ますますドライバーのなり手がいなくなるだろうと言われています。
ドライバーに高い給料を支払うためには、配送の効率を上げるか、運賃を上げるかしかありませんが、IT化や効率化が難しい業務であることと、建築業のように安易に外国人労働者に頼れる仕事でもなく、また業界自体が中小零細企業が多く、業界団体全体としてのまとまりも欠けています。
最近では、この運送を効率化するために、コンビニ大手3社(セブンイレブン、ローソン、ファミリーマート)が共同配送の実験をおこない、また店舗への配送回数を減らす工夫など始めています。
また食品会社大手5社(味の素・ハウス食品・カゴメ・日清製粉・日清オイリオ)が共同配送のために物流システムを統合しています。
その他にも、全国に展開している大手運送会社は高速道路に中継点を設けて、そこでコンテナを交換することで、ドライバーが日帰りで自宅へ戻れるようにしたり、連結トラックで一度に大量に運べるようにしたりと涙ぐましい努力をしていますが、焼け石に水をかけているような気がします。
しかし、物流量は一番手間のかかる宅配便を中心にこれからも拡大していくでしょうから、そちらの対応を考えなくてはならないでしょう。
下記のグラフは、国交省の統計データから、ここ10年間の宅配便取扱個数の推移です。単位は百万個なので、2021年は49.5億個です。昨年2022年はまだ集計されていませんが、大手3社の推計では1%ほどアップしています。
この宅配便ですが、リタイアしてからは自分と家族の通販で購入した物品を自宅で受け取ることが多いのですが、もううんざりしています。
というのも、多いときには1日4~5回、次々と昼間にやってきてピンポーンと呼ばれます。自宅の部屋は2階にあるのでそのたびに小走りで階段を降りて出なければなりません。
当然、配送会社はまちまちで、ヤマト、佐川、Amazon(委託)、日本郵政など様々で、中には小さなモノもあるので、ポストに入れておけよ!と思うものまで、一応親切なのか、そういう決まりなのか不明ですが、ピンポーンです。
我が家の場合は、昼間でもほとんど誰かが自宅にいるので、受け取りが可能ですが、そうしたリタイアした高齢者か、専業主婦でもいなければ、昼間に自宅で受け取りができるケースはそう多くないでしょう。それが再配達問題になっています。
宅配便の再配達削減に向けて(国土交通省)
現在の形態の宅配便のサービスが開始されて約50年が経過すると言われていますが、近年のEC等の拡大により、2008年度は約32.1億個だった宅配便の取扱個数は、2021年度には約49.5億個と、5割以上増加しており、急速な伸びを示しています。一方で、2022年10月期のサンプル調査の結果では約11.8%が再配達になっております。 再配達はトラックなど、自動車を使って行われる場合がほとんどです。この約1割にのぼる再配達を労働力に換算すると、年間約6万人のドライバーの労働力に相当します。また、再配達のトラックから排出されるCO2の量は、年間でおよそ25.4万トン(2020年度国交省試算)と推計されており、宅配便の再配達は地球環境に対しても負荷を与えています。 再配達となった理由について、国土交通省が2022年に行った調査では、約2割が「配達されることを知らなかった」という調査結果となっております。 |
専業主婦が当たり前だった昭和の時代ならともかく、現在は通販を使いそうな若い夫婦世帯のうち約7割が共稼ぎ夫婦ですので、昼間に予告なく配達に来ても受け取れないのは自明の理です。
さらに最近は小・中学生の子どもが在宅していても、防犯のため呼び鈴に出てはいけない決まりにしている家が多いですから、なおさらです。
本当に無駄な配達をやっているといつも思います。
あと用事をしているときに玄関チャイムが鳴り、ホンの少し(30秒ほど)出るのが遅れると、もう配達業者は不在通知を残して去っているということが何度かありました。
ワンルームマンションじゃないので、チャイムが鳴ってから二階の部屋から玄関に出るまで数十秒はかかりますし、高齢者なら動きが遅いのでもっとかかることもあります。
しかし秒刻みで忙しい配達人達は、その数十秒を待ってはくれません。会話ができるインターフォンをつけろよ!ってことなのかも知れませんが、、、
コンビニやマンションなどに共同の宅配ボックスが置かれてそれらを利用しよう!という動きもありますが、徒歩で片道10分ぐらいかかるコンビニまで取りに行くのが面倒と思う人(私)も少なくないでしょう。
各戸の玄関に宅配ボックスを置いたとき、「受領印が必要な配達物の時にどうするんだろ?」と思っていたら、ボックスにヒモで印鑑を取り付けておくらしいです。宅配ボックスに最初から受領印が押される機能(自動捺印器)がついたものもあります。
しかし宅配ボックスはイマイチ普及が進んでいません。いっそのこと、宅配大手が共同出資して宅配の利用が多い家に無料で設置すれば不在配達は減らせそうに思います。我が家のように1日何個も宅配があると効果的とは思いません。
置き配がデフォルトになっていても、とりあえず呼び鈴を鳴らして在宅なら手渡ししてくれるのも親切なようで実は迷惑に感じるときもあります。
最後のユーザーに届ける運送を「ラストワンマイル」という言い方をしますが、そろそろ各社で一番無駄が多いラストワンマイルにもっと工夫をしたほうが良いのではないでしょうか。
少なくとも昼間の配達はやめて、夕方~夜間の配達だけにするとか、AIやサプライチェーンのシステムを駆使し、個々の家の事情(昼間は不在とか、午前中は在宅とか)などの情報を積み上げ、配達時間を変えたりルートの最適化を図るとか、共同配送をするとか。不在情報が流出して悪用されると困りますけど。
この前は、日本郵便が同じ日の1時間ほどの差で2回も配達が来ましたが、それは同じ発送元からの小振りな荷物で、同じ配送会社の中でも連携が取れていないようで、無駄を強いているのはユーザーや通販会社ばかりではないということがわかります。
いずれにしても毎日、2~3回、多い日は4~5回の宅配便を、用事をしていてもいちいち玄関まで急いで出て受け取らなければならないのは苦痛でしかありません。
【関連リンク】
1695 Y2Kから始まった○○年問題
1110 宅配業者は本当に困っているのか?
830 宅配ビジネスのラストワンマイル
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1730
マルタの鷹(ハヤカワ・ミステリ文庫) ダシール・ハメット
小説「マルタの鷹」(原題:The Maltese Falcon)は約100年前、1920年に雑誌で掲載後、1930年に最初の単行本が出版されたハードボイルド探偵小説の古典的な作品で、過去3回映画化されています。
映画化された作品の中でも1941年に公開された映画は主演にハンフリー・ボガートを起用してこれが大成功を収めています。
実はこの小説、創元推理文庫版を1997年に購入して一度読んでいます。今回ハヤカワ・ミステリ文庫版を購入後に気がつきましたが、読んだのが26年前のことなのですっかり内容は忘れていたので今回最初から全部読み直しました。翻訳者が違うので細かな点ではおそらく違っているのでしょう。
著者の作品ではもう一作、著者の長編小説のデビュー作「血の収穫」(1929年)を読んでいます。
内容は、サンフランシスコを舞台に、私立探偵の主人公が、怪しげな依頼人に頼まれた仕事で、ある男を同僚が尾行をしていた時、何者かに銃殺され、さらに尾行していた男もその後に殺害されるという事件に巻き込まれます。
主人公は殺された同僚の妻との関係を疑われ、殺害に関わっていたのではないかと警察に事情聴取されたり、新たな依頼人から取引を持ちかけられたりしながら、殺人事件の謎と、新たな依頼人から頼まれた黒い鳥の彫像を探すために奔走します。
タイトルは、地中海のマルタ島に十字軍の修道騎士団が住んでいた頃、当時栄華を誇るスペイン王に献上するために作られた宝石と黄金で飾られた鷹の彫刻が発見されて密かにアメリカに持ち込まれたという話があり、その彫像は価値を隠すために黒いペイントで覆われているというものからきています。
日本人の探偵ものは、どちらかというと、誰かに情報を集めさせそれをジッと考え知恵を絞り、頭の中で解決を目指していきますが、アメリカの探偵は、とにかくあちこちへよく動いて自分の目で見て調べます。また動くことで、悪事がバレないかと不安になった関係者が、自分をおとりにしてちょっかいを出してくるのを待つという手段をよくとります。その後のアメリカのハードボイルド小説の多くはその伝統を引き継いでいるのがわかります。
★★★
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オライオン飛行(講談社文庫) 高樹のぶ子
著者の作品は、過去に「億夜」と「氷炎」の2作品を25年前に読んでいて、今回久しぶりの3作目となります。
今回の作品は2016年に単行本、2019年に文庫化された作品で、ジャケ買いならぬ、タイトル買いです。
タイトルのオライオンは、有名な米国海軍の対潜哨戒機P3C、、、のことではなく、元々は星座のオリオン座のことです。冬の夜によく見える四角形のなかに並んだ3つの星がきらめいている有名な星座です。
小説の舞台は太平洋戦争前夜の1936年、フランス人パイロットが懸賞金のかかったパリから東京まで単独冒険飛行中に福岡県の脊振山で墜落し瀕死の重傷を負います。
主人公が勤める九州帝国大学医学部附属病院に重傷のフランス人パイロットが運び込まれ、そこで元気になるまで付きっきりで看護をすることになりますが、やがて看護師と患者の関係から、やがて大人の恋へと進んでいきますが、戦争が間近で敵国人となるフランス人との恋愛だけにやがて別離は必然です。
しかしそれだけではなさそうで、現代に障害を抱えて身寄りのなく生きる大姪(おおめい、姪の娘)の主人公が二人の悲恋のその後と謎を探し続け、やがてフランスへと旅をすることになります。
話は太平洋戦争前後と、現代の二つの時代を行ったり来たりしますが、読みやすく引き込まれていきます。
もちろんすべて創作ですが、こうした悲恋が起きていても不思議ではない時代で、それを現代人はどのような受け止め方をするのか、人それぞれだと思いますが、大人の恋愛小説としては面白くよくできた作品でした。
★★★
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
東芝の悲劇(幻冬舎文庫) 大鹿靖明
著者は朝日新聞やAERAで記事を書いていた経済の記者で、こうしたノンフィクションを何冊か書かれているので今はフリーのジャーナリストかと思っていたら、現在も同社に勤務されているようです。本著は2017年に発刊され、2018年に文庫版が出ています。
タイトルからわかるとおり、2000年頃から様々な不祥事や社内で権力闘争などが起き、それまで半導体や、家電、原発、医療機器、パソコンなどで優良企業を誇っていた東芝が、ガラガラと崩れ落ちていく姿を詳細にレポートされています。
東芝は言うまでもなく、創業者田中久重が明治初期に電機製造会社を設立したのが最初で、その後合併や吸収などを経て、総合電機メーカーの名門企業として日本の経済界や財界に君臨していました。
しかし最初の大きな躓きは1987年のココム違反事件で、子会社の事件ですが名門東芝の名前が大きく傷つくことになります。
その後は、功を焦った当時の社長が原子力発電の会社を非常識な高値でM&Aし、逆に優良事業だったNAND型フラッシュメモリ技術や音楽事業の東芝EMI、銀座東芝ビルなどの優良不動産を次々と売却するなど自転車操業が続きます。
そうした中で、決算の数字だけは良く見せるために、様々な不正会計や当時不正ではないものの、チャレンジという名前で、子会社に在庫を押しつけて見かけ上は利益が出ているように見せかけるなど、株主や社会への裏切りが跋扈していきます。
本書では、主にそうした不正などが起き始めた2000年前後から、不正が発覚し当時関わってきた多くの経営者が責任を問われ始めた頃の2017年頃までが生々しく詳細に書かれています。
そうしていると、下記のような記事がありました。いつも思うのですが、「晩節を汚す」というのはこういう人達の言葉で、権力を一度持つと、それを維持するためにはまともな理性が働かなくなるようです。
◇東芝元社長ら5人に賠償命令 3億円、個人責任を認定―不正会計一部「違反でない」・東京地裁(2023/3/28時事通信社)
インフラ事業で不正会計があったとして、元社長の佐々木則夫、田中久雄両氏と元副社長の久保誠氏ら5人の過失責任を認め、約3億円の支払いを命じた。一方、パソコン事業などの不正は認めず、元社長の故西田厚聡氏ら10人に対する請求は退けた。(2023年04月13日原告・被告とも控訴) |
◇東芝、「最後」の株主総会 非上場化で批判や惜しむ声(2023/6/29時事通信社)
投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)などの国内企業連合による買収提案の受け入れを決定しており、早ければ年内に非上場化する。上場会社として最後の株主総会となる可能性もあり駆けつけた一般株主からは買収に対する批判や惜しむ声が相次いだ。 |
東芝の前には、家電業界では三洋電機やシャープが破綻寸前までいき、結局は外国企業へ身売りすることになりますが、東芝の場合は、無能で傲慢な経営者によって壊されていったことと、唯一稼ぎ続けると思っていた原子力発電事業が、2011年の福島の原発事故により灰燼に帰したというか東芝にトドメを刺したという感じでした。
東芝関係者だけでなく、私のように若い頃に何度か芝浦の東芝本社ビルに行き、打ち合わせや商談をしてきた人にとっては、懐かしく、またこのような内幕を知ってとても残念に思うでしょう。
東芝の人って、パナソニックやソニーの人と違ってどこかのんびりしていながら、お高くとまっている、本著にも書かれていますが「お公家さま」っぽい感じの人が多かったのは私も感じていました。
★★☆
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流転の魔女(文春文庫) 楊逸
著者の作品は、7年前の2015年に芥川賞受賞作品の「時が滲む朝」(2008年)を読んでいます。
◇2015年8月後半の読書と感想、書評(時が滲む朝)
今回の作品は2013年(文庫は2015年)に発刊された長編小説で、ユニークなのは、二つのストーリー、二人の女性主人公の話が並行して進められます。
二人の主人公のうちひとり?は5000円札に印刷されている樋口一葉で、小説のタイトルはその5000円札が、もうひとりの主人公の手から離れた後、国をまたぎ様々な人の手に渡っていくイメージです。樋口一葉ともうひとりの女性主人公とも魔女と言うにはほど遠い感じですけど。
物言わぬ各国の紙幣に印刷されている人物(樋口一葉やベンジャミン・フランクリン、毛沢東、福澤諭吉など)が意志を持って語るというのは一種のファンタジーですが、そういうのは個人的にはまったく好きではありません。
もう一人の主人公は、中国から日本の大学へ留学中の若い女性で、決して裕福ではない実家の負担を気にして、できるだけ出費を避けるため、質素な生活をおくり、居酒屋や通訳のアルバイトに精を出しています。
また大学で同じクラスの男性にほのかな恋を感じていたり、同じ中国からの留学生仲間が間違った道へと行きかけるのを見ながらもなにもできずにいたりとこちらの話しの方が面白い。
なぜか、通訳のバイトで手にした5千円札の肖像画になぜか気持ちが入ってしまい、別れの時にまたきっと会えると紙幣番号を記憶しておきますが、もちろんそんな都合良く会えることなどなく、そのようなことをする意味がよくわかりません。というよくわからない小説でした。
★☆☆
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日本は非常任理事国としては過去最多の12回を経験していますが、今後どれだけ頑張っても常任理事国メンバーにはなれません。
というのも、常任理事国の1国でも反対すれば入れないので、ロシアや中国が今の政治体制である限り、領土問題など様々な国益が絡んでいる隣国の常任理事国加入に賛成するはずがないからです。
さらに国連は第二次大戦の戦勝国で作られた互助受益組織なので、日本やドイツ、イタリアなど連合国と戦って負けた国は終戦後70数年が経っている現在でも国際連合のもっとも基本的な方針が書かれている国連憲章の中の敵国条項(Enemy Clauses)に指定されています。つまり今でも国連の中では敵国という位置づけです。
なのに、戦争の反省もあったのでしょう、国連負担金だけは文句も言わず1980年代半ばから2018年までずっと米国に次いで2番目に多い負担金を支出してきました。現在は1位米国、2位中国、3位に日本となっています。
出典:外務省 主要国の国連通常予算分担率の推移 PDF(1977~2022)
他の現在でも米国と中国を除く英国、ロシア、フランスの常任理事国よりもずっと多くの国連分担金を払い続けていますが、分担金の決め方が経済力によるもので、米国や日本のように財政赤字でフウフウ言っていても関係ありません。
米国や中国のようにいくら分担金が多くても、常任理事国&安全保障理事会において発言権や拒否権が常時あればまだ納得もいきますが、理事国になれる可能性はないのに、毎年巨額の支出をしていくというのは、どうにも納税者として納得ができません。
それでも国際的なプレゼンスを得たいがため?または戦争で多くの国に迷惑をかけた罪滅ぼしで?あるいはいつかは常任理事国へ昇格させてもらえるかも?と思って国連の言いなりになっています。
非常任理事国32年出馬、日本政府が苦渋の決断…グローバル・サウスに出番譲る(讀賣新聞)
日本政府が10年後の2033年に次の国連安全保障理事会非常任理事国入りを目指す方針を決めたのは、苦渋の決断でもある。中国とロシアが取り込みを進める「グローバル・サウス」と呼ばれる新興・途上国との連携を深めるために出番を譲ることで、日本自らは安保理メンバーの長期不在を余儀なくされる。 |
しかし現在の国連は本当に世界の平和と安全に役立っているのか?というと、世界中で起きている戦争や内戦も止められないし、環境破壊も進む一方で満足な規制もかけられず、常任理事国の拒否権のせいで重要な決議はできず、国際協力も名ばかりで機能不全も極まっています。
日本はそろそろ国連から距離を置き、非常任理事国への立候補などは辞め、そして国連支出金を他の常任理事国以下の支出金額へ大幅に削減(支払いを一部拒否する)するという政策をとっても良いのではないかと思います。確かロシアなどは支出金は安い上、何年も支払いをしていない(不払い)と聞いたことがあります。
2023年の日本から国連への支出金は年間2.4億ドル(2022年)、約340億円です。このお金があれば、少子化対策のための増税や社会保険料の増額をもっと遅らせられるかも知れません。
【関連リンク】
1589 Co2削減についてわかりやすく
1257 国連分担金について思うこと
914 殺人事件の国際比較
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