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こちらあみ子(ちくま文庫) 今村夏子

2010年に発表したデビュー作「あたらしい娘」がいきなり太宰治賞を受賞し、タイトルを「こちらあみ子」に改題し、別の短篇を追加した単行本を出版した2011年には三島由紀夫賞を受賞しています。

2014年に文庫版が出版され2022年に大沢一菜、井浦新などの出演で映画化されています。

この2014年に文庫が出てからはしばらく休筆状態でしたが、2016年以降、主として短篇集がポツリポツリと発表されています。

そして2019年に出版した「むらさきのスカートの女」で芥川賞を受賞しています。

広島出身の著者で、その子供の頃の思い出やエピソードがうまく使われている小説です。したがって登場人物の口調は広島弁です。

女性の子供の頃のイメージは、妹や姪など近しい女の子が周囲にいなかったこともあり、私にはイマイチ実感がありませんが、小中学生の頃の主人公あみ子の自由奔放な行動やぶっ飛んだ思考パターンはアルアルなのでしょう。変わり者には違いないでしょう。

タイトルは、まだ小学生の頃にトランシーバーを買ってもらい、「こちらああみ子、応答せよ!」と語るところからつけられています。

実は自分も小学生の頃にオモチャのトランシーバーをクリスマスだったか忘れましたが親にリクエストをして買ってもらったことがあり、小説と同じく、最初は兄とやりとりし、次第に誰も相手をしてくれなくなり、ザーザーと音を立てるトランシーバーに向かってひとりで喋っていた記憶がよみがえってきました。まるで、そのシーンは自分の子供の頃を見ているようで驚きました。

子供とは言え、人の感情や思考に深く入り込んだ内容の小説は、純文学的でもあり、自叙伝的でもあり、読書でしか拡げることができない(と思っている)、他人の感情の流れや生き方をまざまざと見せつけられ、様々な考えが頭の中をよぎっていきます。

著者の狙いではないかも知れませんが、そうした読者に考えさせることができる文学というのは読むとなにかお得感がいっぱいな気がします。

★★☆

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戦国武将、虚像と実像(角川新書) 呉座勇一

著者は1980年生まれとまだ若い歴史学者さんですが、すでに多くの書籍を書いておられ、テレビでもNHK BSの「英雄たちの選択」などにもゲスト出演し、学者にしては野心を強く感じる方です。

ちょうど10年先輩の歴史学者磯田道史氏(慶応大出身)の後釜を狙っているような気がします。

東大卒の著者としては学者として負けたくはないでしょう。

タイトル通り、巷で知られている戦国武将の真の姿とは?というテーマで、様々な古い文献や資料から読み解いています。

ただその記述が正しいのか間違っているのかはあくまで著者の想像でしかありません。

本著で取り上げられている戦国武将は、お馴染みの
1.明智光秀
2.斎藤道三
3.織田信長
4.豊臣秀吉
5.石田三成
6.真田信繁(真田幸村)
7.徳川家康
の7人です。

歴史小説やドラマ・映画では、作家や脚本家が作り上げた想像上の戦国武将が登場しますが、時代によってその姿は大きく変わってきます。

特に戦国時代の後の江戸時代では、神君・徳川家康を英雄視し、徳川家を持ち上げ忖度した内容の記述が多くなり、江戸時代が終わったあとの明治時代は一転して尊皇派や主君への忠義者が名誉挽回を果たし、大戦前には尊皇はもとより、国家のためなら命を投げ出し、朝鮮や中国への侵攻した武将が高く評価されます。

そして戦後にはまたガラリと変わり、革新や進取、合理主義、部下思いなどが優れた武将とされていきます。

我々、平成や令和に生きる人達は、多くは昭和時代以降に書かれた小説を読み、それを元にしたドラマや映画を見ることになりますので、本著で触れられている戦国時代や江戸時代、明治時代に書かれた書籍や資料で現される戦国武将の姿は違ったイメージとなります。

そうした時代ごとに、評価がどう変わっていったのかという話しがメインで、本当はどうなの?というのは結局よくわかりません。

そりゃそうです。その時代に生きたら現在とは価値観も社会情勢も物事の善悪すらも違っていて、さらに小説や記録を書いて残した人の立場や思想によっても変わりますから、それで400年以上前の武将達の性格を知り、評価をするのは難しいものです。

★★☆

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極東動乱(ハヤカワ文庫) デイヴィッド・ブランズ&J・R・オルソン

2019年に米国で出版された本作の原題は「Rules of Engagement」で、直訳すると「交戦規定」となります。著者は二人で、ふたりとも海軍兵学校出身の元海軍士官という変わり種の作家さん達です。日本語版は2022年に発刊されています。

そういう職業軍人だったことから、本著で重要なポイントとなる軍事シミレーション、特に軍隊用の最新ネットワークシステムや世界中の軍隊が躍起になっているハッキング合戦など、リアリティのある内容となっています。

内容はタイトルで表現されている通り、北朝鮮に亡命している天才的テロリストが、ロシアの軍需産業マフィアから極東に軍事的な緊張をもたらして欲しいという依頼があり、中国人民軍、日本の自衛隊、そしてアメリカ海軍のネットワークに自立型のウイルスを仕込むことに成功します。

そして公海上を飛ぶ米国海軍の哨戒機や、自衛隊の護衛艦などに対し、ニセの指令で中国空軍が突然ミサイルを撃ってくるという事態が発生し、全面戦争に陥る前に天才テロリスト対アメリカの若き士官候補生チームとの電子戦が始まります。

もちろんアメリカ人が書く大衆受けを狙った戦争小説ですから、最後はどうなるかは言うまでもないことです。

現代の戦争は、ウクライナやガザで起きている従来型の大砲やミサイル、戦車、歩兵などを使ったものが現実としてありますが、この小説では、あくまでもスマート?に、電子戦で優位に立てば戦争に勝てるという綺麗事のような内容にちょっと現実離れした話しで気持ちが乗っていきません。

★★☆

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二人のクラウゼヴィッツ(新潮文庫) 霧島兵庫

1975年生まれの著者の小説は今回初めて読みますが、過去にはいくつか時代物の作品を書いておられます。そしてなぜかは不明ですが、今年2023年から名前を野上大樹に変えると発表されています。

文庫の解説に書いてありましたが、著者の前職は自衛官で、陸上自衛隊で攻撃ヘリAH-1S(通称コブラ)に乗っていたというから、著者の描く戦記物には独自の視点や発想があるのだろうと思います。

本著は、タイトルでもわかるとおり、「戦争論」で有名な19世紀前半に活躍したプロイセン王国の陸軍軍人カール・フォン・クラウゼヴィッツを描いています。

2020年に「フラウの戦争論」として単行本が出版された後、2022年にタイトル名を変更して文庫化されました。「フラウ」とはクラウゼヴィッツの妻の名前(愛称?)です。

小説では、フランスの皇帝ナポレオンから侵略され、何度も激突するプロイセン王国の軍人として活躍している時代と、もうひとつは、ナポレオンが失脚し流刑されてフランスとの戦争が終わり、左遷に近い兵学校の校長として余生をおくりつつ、ナポレオンとの数々の戦争を元にした「戦争論」の論文を書いている時代との2つが交互に出てきます。

その兵学校の校長として勤務中は、その仕事に鬱々としながらも妻と一緒に平和に暮らしながら論文をまとめていますが、隣国のポーランドで暴動が起き、再び戦争の危機が訪れて参謀として出征することになります。

しかしその戦争中にコレラが流行り、1831年にあっけなく戦地で病死してしまいます。

そして時代が過ぎて、妻のクラウゼヴィッツが夫の残した「戦争論」を出版するために駆けずり回ることになるという物語でした。

小説の中では、日本人にはほとんど馴染みがない18世紀初頭に起きたナポレオンと欧州諸国との戦争、イエナ・アウエルシュタットの戦い、アイラウの戦い、ボロジノの戦い、グロースゲルシェンの戦い、ライプツィヒの戦い、リニー、カトル・ブラの戦い、ラ・ベル=アリアンスの戦い(通称ワーテルローの戦い)が詳細に地図入りで説明されています。

ちょうど今、リドリー・スコット監督の大作映画「ナポレオン」が公開されていて話題になっていますので、先にこの本を読んでから映画を見ると双方からの視点で見ることができてよくわかるかも知れません。

聞き慣れない地名や名前が多くて読むのはたいへんですが、1820~1830年頃というと日本では江戸時代で天保の大飢饉(1832年)などが起きた鎖国時代の真っ只中で、そのような中で欧州ではこのような激動が起きていたということを知れて歴史ファンは大いに楽しめると思います。

★★★

【関連リンク】
 11月前半の読書 忍ぶ川、定年バカ、二千七百夏と冬(上)(下)、長く高い壁 The Great Wall
 10月後半の読書 にぎやかな未来、凪の光景、コブラ(上)(下)、百万のマルコ
 10月前半の読書 太陽は気を失う、ジャイロスコープ、一億円のさようなら、七人の暗殺者


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