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577
会社を退職したり、解雇されたりして、直後に次の仕事が始まらないと、お世話になるのがハローワークです。私の年代は1990年から使い始められたハローワークという愛称よりは、正式な(公共)職業安定所(職安)といったほうがずっと馴染み深いのですが、以前は仕事でも、また個人的に退職したあとの失業保険の手続にも何度も通った場所です。

組織的には、厚生労働省→都道府県労働局→ハローワークとなっていて、さらに地域によってはハロワの出張所などもあります。

多くの人にとってこのハローワークは、

 1)仕事を探す、相談する
 2)失業保険(雇用保険)受給手続をする
 3)不法労働など労働トラブルを相談する
 4)職業訓練を申し込む


ですが、雇う側(企業側)にとっても、

 5)求職者を募集する
 6)社員の雇用保険の取得、喪失手続
 7)各種助成金の手続
 8)民間職業紹介、労働者派遣関連手続

などがあります。

比べるほど多くの役所のことを知っているわけではありませんが、私の経験で言えば、ハローワークはやる気を感じられない役場の中でも上位にランクされます。

その理由としては、税務署や市税などを納める市役所などと違い、市民や企業にお金を支払う一方のお役所だけに、何ごとにも消極的でスローモーなのです(一応雇用保険の徴収部門ではありますが、他の税金や保険料と比べると桁違いに少ない)。

税金や保険金を支払う仕事だけに、ことを慎重に運んでいるだけという自負があるのかもしれませんが、特に斬った張ったの厳しい民間企業で働いてきた人にとって、彼らの思考・行動・決断スピードの遅さは、イライラを通り越していったん帰って一仕事終えてからまた来るよと言いたくなるほどです。

彼らにとっては1日何件の相談に適格に応じるかが評価のポイントではなく、9時から5時までにトラブルなくどうやって過ごすかが重要なポイントなので、相談や手続1件あたりの効率や、来所者の長い待ち時間や、的確な対応ができる知識の吸収にはまったく興味がありません。

それに、不正受給を防止するためなのでしょうが、「人を見たら泥棒と思え」とばかりに、ひどく疑いのまなざしと人の心を平気で傷つける言葉で対応をします。私も必死で再就職に努力していた時、すでに民間の紹介会社から紹介を受け面接も受けていたにもかかわらず、「本当ですか?証拠ありますか?」としつこく問い詰められました。

ましてや、失業して肩を落として手続に来ている人に対して、励ますようなひと言を言うことは絶対になく、それまでたっぷり収めてきた雇用保険を、失業してその受給申請をすると、保険金詐欺師を相手にするように、嫌々時間をかけて手続をおこないます。まるでお上のお金を下賜してやると言わんばかりです。

ま、すべてのハロワのすべての窓口担当者がそうでないと思いますが、過去に全国15箇所ぐらいのハロワに出入りした経験からすると、概ねどこも似たような感じです。都会だからとか地方だからという差もなく、概して失業保険給付者の多くは弱気で下手に出るのをいいことに、役人の態度は江戸時代のお代官のように横柄で高圧的です。

もっとも失業する恐れのない公務員に、雇用保険受給者の気持ちがわかるとも思えませんし、また業者相手にしても、一番下っ端とは言え厚労省の許認可の一端を持っているので、管轄する業者(主として人材ビジネス系企業)に対しての威張り方も半端ではありません。

そういうハロワに改善勧告がありましたので、ザマミロです。

2012年1月31日(朝日新聞)
求職者の望む仕事把握せず ハローワークに改善勧告

記事の内容は、総務省が全国31箇所のハローワークを調査したところ、求職者の希望する仕事や希望勤務地を把握しないで紹介をしていたり、受け付けた求人内容の労働日数が不正確だったり、最低賃金未満の仕事をノーチェックで受け付けていたとのことです。その他にも求職相談の記録の7割に不備があり、職業紹介後に採否結果を確認していないケースもあったとのこと。

でもこれは調査に入ると予告され、調査前にまずいことは一生懸命に隠した残りの一端でしょう。不意打ちで覆面調査でもやれば、もっととんでもない報告がゾロゾロと出てくるのは間違いありません。

例えば、上記の求職者の希望を把握せず紹介というのは、実際にはほとんど紹介なんかしていないことがバレるのを恐れて、後付けで紹介したことに書類上しただけと推測できます。普通なら希望条件を聞かずに仕事の紹介なんかできるはずもありません。

また企業から受け付けた求人内容に不備があったのも、調査があることを知って、慌てて求人を集めまくった結果か、あるいは日常的に求人の内容にまったく関心がない(=求職者に紹介する気持ちがない)かのどちらか。

求職相談の記録の7割に不備があったというのは、通常そのような仕事はしていなく、調査日までに想像や経験から鉛筆なめなめ夜なべして慌てて作ったものと想定できます。

調査は普通何日か前に『○月○日にこういう目的で調査をおこなうので、「求職者への紹介事例」「過去1年間の紹介実績」「求職者の相談記録」などを用意しておくこと』という予告がされますので、それから慌てて作ってもまぁ間に合うわけです。

結論としては、ハロワで仕事紹介を頼んでも、偶発的な幸運を除き、期待してはいけません。ハロワは失業保険をもらい、さらに職業訓練を受ける手続の場だという気持ちで付き合ったほうがよさそうです。

ただ最近は有料職業紹介や求人サイト、チラシにお金をかけずとも、とりあえず無料のハロワに求人出しておけば、いくらでも求職者が集まるからという零細企業やブラック企業が増えているらしいので、そういうケチな会社に相当高い競争率で入りたいならハロワもありかも知れません。

話は変わって、ハロワの所長は都道府県庁から定年前のほぼ上がりの小役人がやってきますが、なんたってやっと手に入れた一応は一国一城のポスト、所長ですからその偉ぶりは見事なものです。そしてまた、小役人には必須の「下には強く上には弱い」という伝統はもちろん受け継いでいます。

ハロワの上に立つ都道府県庁の労働局には霞ヶ関の厚労省から、まだ20代か30代と思える若きエリートキャリア官僚が経験を積むという目的で数年を過ごしています。必ず数年で移っていくので都道府県にしてみればお客様扱いです。

当然ながらハロワの60歳近い所長も、霞ヶ関から出向してきた高級官僚には平身低頭で、外部から見るとあのふんぞり返っていた所長が、身体の前後を入れ替えたようにペコペコしている姿に思いきり笑えます。そうそう見る機会はないと思いますが、私は見たことがあり実際に笑いました。

そして今回のように国の調査で叩かれるのは都道府県の小役人と相場は決まっていて、いかにもみせしめ的でもあり、ハロワに不満を持つ一般庶民に対し、一種のガス抜き的なセレモニーかなという気がしてなりません。

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1月後半の読書 2012/2/4(土)

576
あかね空 (文春文庫) 山本一力

山本一力氏は1948年生まれの今年64歳、15年前に江戸時代の庶民の生活を描いた「蒼龍」でデビューし、そして10年前にこの「あかね空」で直木賞を受賞されました。デビュー以来数十の作品を出しておられますが、私は時代物、特に江戸時代の小説はあまり興味がなかったので、今までに読んだことがありません。

作家へデビューしたきっかけというのが面白く、バブル時代に億単位の借金を背負ってしまい、それを一気に返済するため起死回生策として小説を書いたということです。道理でこの小説でも、主人公の長男が博打で多額の借金を背負ったり、店賃の支払い、豆腐一丁の値段などお金にまつわる小事がしばしば出てきます。私も貧乏人ゆえに、お金には細かい性格なのですが、小説においてこれほど細かくお金にこだわって書かれているのも珍しいでしょう。

内容は、京都で修行をしてきた貧乏な豆腐職人が、新天地を求め、江戸の下町にやってくるところから物語は始まります。貧乏長屋に居を構え、硬く歯ごたえのある江戸風の豆腐に対抗して、上品で柔らかい京豆腐を作りますが、これが当初はさっぱり売れません。

しかし長屋の仲間などにも支えられ、少しずつ販路が増えていき、商売は少しずつ順調になっていきます。そして結婚して跡継ぎになる2男1女をもうけます。

幸福と不幸は裏表で、妻や跡を継いだ息子達との間にギクシャクとした関係が残ったまま、主人公が亡くなってしまいます。後に残された妻と子供達は、、、あとは読んでのお楽しみと言うことです。いずれにしても江戸時代の市井が肌で伝わってくる小説です。

親子二代にわたる大河小説とも言えますが、上記のようにやたらお金に細かく、よく言えば丁寧、悪く言えば執拗に書かれている時代もあれば、いきなり数十年がすっ飛んでしまっているところもあり、ことの重大さと時間の流れが一定ではなく、ちょっと面食らうところがあります。

著者別読書感想(山本一力)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

告別 (ハヤカワ・ミステリ文庫) ロバート・B・パーカー

ボストンの私立探偵スペンサーシリーズ11作目の作品で1992年に日本語訳が出ています。

今回の事件は、あるダンスチームの主宰者から怪しい新興宗教集団に自分の恋人がさらわれたと言う事件に首を突っ込むことになりますが、本当の事件はというと、スペンサーの恋人スーザンが精神科医の学位を取った後、ひとりになりたいと遠く西海岸へ行ってしまうことにあります。

そのためタフガイだったはずのスペンサーは精神的にヨレヨレになってしまい、しかもスーザンに男がいることまでわかり、振る舞いが暴力的になるのはまだいいとしても、生きていく気力までを失って、クライマックスでは拳銃を構える犯人に向かって手ぶらで向かっていき、そのため胸を2発撃たれ、意識不明の重体となってしまいます。

物語の内容というか事件そのものは、やや薄っぺらく、ご都合主義的に思いますが、タフガイのスペンサーが、イアン・フレミングの描く本当の007ジェームス・ボンドの姿--任務のためとは言え、人をひとりやむを得ず殺してしまい、そのせいで、酒浸りになり、ひとりで悩んで苦しむ--とダブって見えます。

■スペンサーシリーズ関連過去記事
著者別読書感想(ロバート・B・パーカー)
スペンサーシリーズの読み方(初級者編)
さらばスペンサー!さらばロバート・B・パーカー
ハードボイルド的男臭さ満点小説

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

陽だまりの彼女 (新潮文庫) 越谷 オサム

一般的に言う「ファンタジーノベル」ってヤツなのでしょう。全体の9割は単なる学校のクラスからはみ出した者同士の、理想的な同級生恋愛とその後の結婚生活?って思ってしまいますが、最後の1割でそれがいっぺんにひっくり返えることになります。そこはま、お楽しみということで。

私的には、このような女子中・高校生、またはその頃の多感な頃の感情がまだ強く残っているロマンチック派な女性(書店の女性店員さんにそういう人が多そう)が読むと、それはそれはきっと楽しめるのでしょう。

が、中年を超えて、やがて老年にもさしかかろうかというリアリストな男が読むにはさすがにちょっと苦しいです。水だけでお腹が一杯になってしまったような感覚です。

いや、でもハーレクイーンのような、いかにもお嬢様やお姫様になりたかった女性向けに作られたものではなく、(若い)男性が読んでも十分に面白いと思える斬新なストーリーです。

ただ9割が現実的なホンワカした話しが山盛りで、残り1割だけに、ミステリーかつファンタジーというのは、、、と、まだ言うか。

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

廃墟に乞う (文春文庫) 佐々木譲

佐々木譲氏の小説では、北海道警刑事のシリーズが大ヒットしていますが、その流れをくむ刑事が主人公の連作短編集です。ただし登場人物は他の道警シリーズとかぶってはいません。そして過去の実績と実力と照らし合わせると遅きに感じる直木賞を受賞(2009年下期)したのがこの作品です。

私個人的には、佐々木氏の小説は文庫化されたものはほとんど読んでいますが、その中でもどちらかと言えば現代の警察もの以外の「エトロフ発緊急電」(1989年)や「昭南島に蘭ありや」(1995年)に代表される太平洋戦争ものや「天下城」(2004年)「くろふね」(2003年)など歴史もの小説が好きです。

さてこの小説の主人公は北海道警察本部捜査一課の刑事ですが、終章で明らかにされるある事件がきっかけで心的外傷後ストレス障害(PTSD)に罹り、現在は治療のため休職中の身。したがって4週間に一度心療内科を受診するだけで暇を持てあましています。

そこで知り合いから頼まれ、行き詰まっている事件の調査や真相を単独で行うことになります。もちろん休職中ですから調査の権限も警察手帳もない状態です。アメリカの小説に出てくるようなタフな元警官の私立探偵を日本版で作ろうとしたら、このような手法にするのがベターでしょう。

そして捜査を始めると地元の警察から「余計なことをするな」と煙たがられ、時には事件に関係する地元のヤクザに絡まれそうにもなります。激しいアクションもなければ、華麗に活躍する場面はありませんが、警察では追い切れない、または公にできない事件の裏側を、地道に詰めていき、明らかにしていくというスタイルは新鮮です。

そして事件の大筋が見えた段階で、地元警察のプライドを傷つけないよう、そして刑事の手柄となるよう巧みに捜査の範囲やベクトルを修正し誘導していきます。

アメリカの私立探偵小説の主人公ならば、警官に楯突いてでも強引な捜査をおこない、ドヤ顔で結果だけを警官に伝え、恩を売っておくために手柄を渡すというパターンが多いのですが、この小説の主人公は休職中とは言え同じ警官同士ということもあり、地元警官への気の使い方は半端ではなく、これを読むと逆に警察官のプライドの高さと縄張り意識の強さだけが際だちます。

著者別読書感想(佐々木譲)

  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

血と骨 梁石日(ヤン・ソギル)

梁石日氏の作品は「闇の子供たち」に続きたぶん2冊目の購入です。この「血と骨」も「闇の子供たち」も映画になっているので、すでにそちらを観たと言う人もいるでしょう。また実質的な小説家としてのデビュー作「タクシー狂躁曲」も「月はどっちに出ている」というタイトルで映画化され、大ヒットしています。

梁石日氏は1936年生まれですから今年で76歳です。1936年と言えば日本では二・二六事件が起き、政治にも軍事色がより一層強まる頃で、ヨーロッパはドイツを中心とする第二次世界大戦(1939年~)の響きが近づきつつある、暗雲立ちこめる混乱の時代でした。

この小説は、そのような時代に多くの同胞達とともに朝鮮から出稼ぎ労働として日本に移住してきたある
型破りな大男の半生で、その大男のモデルとなったのは、他でもなく著者梁石日氏の実父です。

大阪には在日韓国・朝鮮人が数多く住んでいますが、戦前、戦中は安い工場労働者として根深い差別と貧困で苦しみ、戦後は他の日本人同様、すべて失った焼け野原からの出発です。そのような時代を背景としたひとりの在日朝鮮人とそのまわりにいた家族や同胞、愛人などの狂おしいほどの生と性が描かれています。

この小説では父親の半生がメインにその父親の言葉で語られますが、話の途中には、飛田新地の娼婦だったり、強引に結婚することになった妻だったり、同胞の幼なじみであったり、最後には長男(つまり著者がモデル)の視点で語られたりと、場面、場面で主体となる主人公がコロコロと変わっていくのが特徴です。

時代も時代ですから、その貧しさと狂気、日本が物資不足の中で世界と戦争を始めようとする異様な集団的な興奮状態の世相と、それに加えて酒と博打と暴力の世界にどっぷりつかり、理不尽までに自分勝手な父親の暴れっぷりに、読み進むのが途中で苦痛になってくるほどの重くてつらい内容が続きます。どうにか最後までキチンと読めましたが、精神的に不安定なときにこれを読むのはあまりお勧めしません。

主人公は蒲鉾の加工職人ということで、初めてその仕事のことを知りましたが、ほぼすべてが自動化されている現在とは違い、高級食材として手作業で作られていた雰囲気がよく伝わってきます。そう言えば私のまだ小さかった頃(昭和30年代)の蒲鉾は、カネテツなど大手食品メーカー以外のものは、板からはみ出していたり、山の形が少し歪んでいたりして、もっとずっと手作り感が残っていたように思います。

著者別読書感想(梁石日)



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575
昨年2011年の自殺者数は、2~3年前から大きく騒がれ、多額の対策予算をとって、様々な手をうってきましたが、その結果は前年より1,100人ほど減った(3~4%のマイナス)ものの、14年連続して3万人を超え30,513人となりました(警察庁統計)。

1年365日で割ると、1日平均で83.6人が自殺で亡くなっています。

しかもこの統計に表れる自殺者数は、遺書が残されていたり、ハッキリと判明しているケースだけで、事故死や病死と区別がつかないような時は、残された遺族のことを考えると自殺とは判断されないでしょうから、実態としてはもっと多いはずです。

例えば処方されていた睡眠薬を多目に飲んで死亡した場合、遺書があれば自殺になりますが、本当は自殺目的でも遺書を書かずに発作的に飲んでしまった場合だと、間違えて飲んでしまったと誤飲事故の扱いになることもあるでしょう。

「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」や「生きて虜囚を辱めを受けず」など、昔から日本人の気質として自殺者が多いのは有名ですが、国別にどの国の人が自殺する割合が高いをみる自殺率は「国民10万人あたりの自殺者数」で比べます。そのできるだけ新しいデータでの国際比較が下記の表になります。

2012010015.jpg
(各最新データ、日本は2010年)

自殺率の国別比較では、韓国、ロシアは日本より上位ですが、米国やドイツの2倍以上、英国の3倍以上と、先進国からするとやはり異常に高いと言わざるを得ません。日本、韓国、東欧諸国については「自殺の多さは文化」「民族の特性」とも言えそうですが、決して誇れる文化でも特性でもなさそうです。

自殺と宗教がなにか関係しているのかと思って調べてみました。自殺率の多いそれぞれの国でもっとも多い信仰宗教、あるいは無宗教は下記の通りです。
リトアニア ローマ・カトリック教会(79%)  
韓国 無宗教(約半数) プロテスタント(約30%)
ロシア ロシア正教会(大半)  
ベラルーシ 東方正教会(80%)  
ガイアナ ヒンドゥー教(28%) プロテスタント(16.9%)
カザフスタン イスラム教(47%) 正教会(44%)
ハンガリー カトリック(67.5%)  

と、バラバラで、ほとんど宗教と自殺はどうも関係なさそうです。

以降のデータはすべて日本のものですが、自殺する人の職業はと言うと、圧倒的に多いのが無職者で18,673人(59%)、次が被雇用者(勤め人)8,568人(27%)、その次はずっと少なくなり自営業者・家族従事者で2,738人(9%)です。この上位3つで全体の95%を占めています。いじめ問題や友人関係、恋愛など悩みが多そうな学生(小・中・高校、大学生)の自殺者は意外と少なく928人(全体の3%)です。

年代別では50歳~59歳の50代が最も多く、次が60代、その次が40代で、いわゆる中高年者がほとんどです。ただ女性に限ってみると、50代の次は30代となっていて、その点が男性と違います。

ちなみに私は、その自殺がもっとも多い「魔の年代」の真っ只中にいます。そうなんです、この年代になると「毎日つらいだろ、そろそろ楽になったらどうだ?」と耳元でささやきが聞こえるようになるのです。嘘です。

井上陽水の古い歌じゃないですが、「若者の自殺が増えてきてたいへんだ」と言われますが、実は19歳までの自殺者は全体からすると誤差の範囲とも言えるわずか1.7%です。中高年者の自殺と未来のある若者の自殺では損失価値が違うと言われそうですが、それは差別でもあり、また実は取り立てて大騒ぎするような数ではないことは確かです。

自殺の原因別は、
2012010011.jpg

健康問題 48%
経済・生活問題 22%
家庭問題 13%
勤務問題 8%
男女問題 3%
学校問題 1%

となっています。(いずれも2010年データ)

この自殺の原因を見る限り、もし自殺者を大幅に減らす対策をおこなうならば、学校のいじめ問題対策やリストラ問題対策でもなく、今すぐにおこなうべきは「精神と肉体の両面での医療、介護、福祉(ケア)」と、それらに関係して「経済的負担の軽減」と「社会復帰するためのサポート」に尽きます。

と書くと、先月読んだ山本譲司氏著「障害累犯者」に登場してくる「知的あるいは聴力障害者」に対するサポートと非常に似ています。しかしそうした障がい者と自殺の関連は調べていません(調べようがない)ので、関係があるのかないのかは不明です。

無職者の自殺が多いというのも、リストラなどによる解雇が直接原因というより、健康を害し(あるいは障害があって)仕事を辞めざるを得なくなり無職、あるいは倒産やリストラなどにより退職した後、数カ月の雇用保険受給期間を過ぎても再就職がうまくいかず、いよいよ生活に困窮し追い詰められてというパターンだと考えられます。

リストラ解雇問題は自殺者を生み出す間接的な要因としては考えられますが、自殺者対策はリストラを問題視する以前に、働く意欲のある人にとって、再就職や新規開業などが容易にでき、万が一うまくいかなくても、心のケアと生活費のサポートが受けられるセーフティネットの拡充が必要と言うことでしょう。しかしこれでは国にお金がいくらあっても足りそうにありませんね。

さて、次に「失業者数と自殺者数には相関関係がある」としたり顔で語る人やメディアが多いので、過去からの推移を失業率と自殺者数、それに失業率と反相関関係にあると言われている名目GDPと3つ並べて見ることにします。※名目GDP(物価を考慮しない国内の経済活動の総額)

2012010012.jpg

理論上は失業率が下がり(失業者が減り)、より多くの人が経済活動に関わることになれば、自動的に名目GDPは上がる(増える)はずです。しかしグラフではあまりその傾向は見て取れません。

では失業率と自殺者はというと、失業率はバブル崩壊後の1990年頃から徐々に上昇していきますが、自殺者数は1998年に一気に上がった以外、その前後はほぼ横ばいであとは目立った動きはありません。一見すると関係がありそうに思えますが、その二つに「ハッキリとした相関関係はない」と言えるでしょう。

1999年は失業率が4.1から4.7%と0.6ポイントも急増し、名目GDPが1%下がりましたが、自殺者は横ばい(0.5%の微増)です。2003年は失業率が前年から0.1ポイント下がったにも関わらず名目GDPも下がってしまいました。そして自殺者数は前年から7ポイントも一気に急増することになります。

しかしいったい自殺者が急増した1998年にはなにがあったのでしょうか?もしかすると自殺者のカウント方式が多少変わったのかもしれませんが、警察庁調べと総務省調べを比べてみると、総数は違うものの同じ傾向が見られますのでそれも違うでしょう。

GDPが上がると自殺者は減少し、逆に下がると自殺者は増加するという傾向は、先ほどの失業率よりはなんとなくですが反相関関係にありそうです。それでも2001年や2008年のように双方とも下がっているという年もあり、もっと詳しく分析するには、経済活動や失業以外の他の要因、例えば人口構成比の変動、当時の世相、金融施策、人気タレントなど影響力を持つ人物の自殺、集団自殺の流行などについても考慮する必要がありそうです。

■関連過去日記
2010年2月 338 自殺者数が年間3万名を超えている意味
2009年7月 246 自殺考その3
2007年7月 052 自殺考その2



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574
高齢化社会という言葉はすでに耳タコになっていますが、その高齢者は裕福なのか?と問うと、60歳以上の高齢化世帯は平均貯蓄額が2000万円を超えている(平成22年調査)ということを過去に何度か書きましたが、実際には何億円と貯蓄を持っている人もいれば、貯蓄はゼロと言う人も当然いますので、答えは人によるというのが実際のところでしょう。

一般的に格差社会と言えば「若者の正規社員と非正規社員の所得格差」のように思われがちですが、高齢者の年金支給額や、貯蓄や不動産など保有資産からなる高齢者の貯蓄・資産格差も実はものすごく大きいのです。

下記のグラフは平成22年(2010年)の総務省家計調査のデータを加工して作ってみたものです。まず貯蓄額別世帯主年齢割合を40代、50代、60代、70代以上で比べてみました。

Pic0003ss.jpg

これでわかるのは、60代になると急に貯蓄額が膨れあがります。これは60代以上の多くの人が、退職金をもらったことによるものと推測できます。しかし実際にはこの数千万円の退職金は、今や一部の大企業か公務員に限定されつつあります。現在50代以下の人達が定年に達した時、果たして数千万円の退職金を受け取れるのかは微妙なところです。

次にデータは同じものですが、年代別貯蓄額でその割合を比べてみます。

Pic0004ss.jpg

これを見ると60代以上の40%以上が2000万円以上の貯蓄があり「60代以上の平均貯蓄額は2000万円を超えている」というのがよくわかります。ちなみに40代で2000万円以上の貯蓄があるのは16%、50代では27%です。定年前の50代でも4世帯のうち1世帯は2000万円以上の貯蓄があるんですね。これはちょっと驚きです。

最後に、その貯蓄額を定年前の50代と、概ね退職金を得たと思える60代で円グラフにして比べてみました。

Pic0005ss.jpg

これでわかるのは、50代と60代とを比較して、1000万円以上の貯蓄を持つ世帯が、37%から50%に増えていることです。つまりこの増えた13%の人達は1000万円以上の退職金をもらえた人ではないかと推定できます。

もちろん退職金をすべて住宅ローンの残金返済に充てたので貯蓄額は増えなかったとか、一度ではなく退職年金として毎月少しずつ支払われるとか言う人もいるでしょう。そういう世帯を含めても、1千万円以上のまとまった退職金が支払われるのが全体のせいぜい20数%かと思うと、意外と少ない気がします。

さらに現在50代の人は、好む好まざるに関わらず、終身雇用制度の破壊者でもあり、転職ブームの火付け役で、30~40代に一度以上転職をしている人が結構多くいます。その場合、転職先で役員にでもなっていない限り、退職金を数千万円受け取ることができるということはないでしょう。

さてタイトルの「老後のためにはいくら必要か?」ということですが、ある試算では夫のリタイア後、60歳の夫婦二人が平均余命(男性21.7年、女性27.1年)まで生きる前提で、質素な暮らしをするにしても約3000万円の貯蓄が公的年金はとは別に必要ということです。

今になって思うと60歳で3000万円の預貯金なんてあり得ないとも思えてきますが、これには通常の毎日の生活費の他、住宅ローンの残り費用700万円、趣味余暇費用500万円(27年分)、子供への援助(結婚や住宅購入)費用400万円、自動車関連費用400万円、住宅リフォーム費用500万円、医療介護費用300万円などが含まれます。

もし、引退後に住宅ローンが終わっていると700万円、自動車を持っていなければその代わりの交通費用(タクシー代とか)を差し引いたとしても約300万円が不要となり、これで引退後に必要な貯蓄は2000万円です。

細かく見ると、夫婦二人世帯の平均的な1カ月の生活費は25万円が必要とされています。仮に厚生年金で夫婦に毎月20万円が支給されるとすると、不足の毎月5万円を貯金から取り崩すことになります。5万円×12カ月×25年=1500万円となります。それ以外に一時的に発生する、自宅の修繕、リフォーム費用、家具や家電の買い替え費用、医療費、子供や孫への贈答や資金援助などを足すと2000万円は最低必要ということになります。

もし生前にお墓を建てたり、葬式費用を準備しておこうと考えると、さらに500~1000万円(お墓の立地による)が別に必要です。そう考えると私は鳥葬か水葬で結構と遺言残したくなります(日本では死体遺棄罪または死体損壊罪になります)。

持ち家でなく借家の場合は、住宅ローンの残債やリフォーム費用、固定資産税は不要ですが、平均でならすとそれらを上回る家賃負担が死ぬまで毎月のしかかります。その対策としては、子育てが終わればできるだけ子供を早く家から追い出して、速やかに年金生活に入っても余裕のある安い借家に移り、その浮いた分を貯蓄に回しておくという工夫が必要そうです。

ただ安いからと古いアパートに引っ越すと、入居後数年で建て替えのため追い出される可能性があります。そうなるとまた慣れない新しい土地へ引っ越して生活することになり、さらには高齢者だけの入居を嫌がるオーナーがいたりと苦労しますから、終の棲家探しは慎重におこなわなければなりません。

地域医療や日々の生活のことを考えると、安住の地は財政破綻のリスクが少ない市町村に限りますが、地方都市の安い家賃の住宅へ引っ越すのもありかも知れません。ただその場合、都市部と比べると医療、介護、買い物、娯楽などに不便な思いをするかもしれません。

一時期はリタイア後は物価の安いアジアの発展途上国へ移住すれば、年金でリッチな生活が送れるというブームがあり、今また円高の恩恵でそれが注目されていますが、高齢者にとって語学はもちろんのこと、治安や医療、季候、住環境、食生活、近所付き合い、娯楽などの面で、若い頃のような行動力や環境順応性が落ちてきますので実際は厳しそうです。

それにしても引退後の無収入生活への準備には思わぬ大金がかかるものです。高齢に近づくと人はみな一生懸命に貯蓄に励むのもわかります。私は贅沢しなければ年金だけで最期まで大丈夫だろうと甘くみていました。その頼みの年金も近い将来下がる懸念もあります。例え給付額が下がらなくても、物価が大きく上がったり、消費税や医療費が上がれば実質的に年金が下がるのと同じことになります。

高齢者の貯蓄額格差に戻ると、60歳代世帯で、貯蓄額が1000万円未満だと、上記の見立て通り、老後の行く末はかなり厳しいことになり、その割合は全体の37%の世帯です。一方試算でまずまずの生活ができる3000万円以上の貯蓄を持っている人は26%です。

こうしてみると、従来のように親から子供へ住宅購入資金や結婚資金などを援助したり、悠々自適に夫婦で海外旅行へ出掛けられそうな人達は、全体の20~30%だけで、残りの7~8割の高齢者世帯は、ひたすら余計なお金を使わないように、また病気に罹って医療費が増えないようにし、節約節約の耐乏生活に縛られてしまいそうです。

住宅ローンが終わった不動産を持っている人は、最悪それを売ってお金に換えることができます。しかしこれから人口が減少していく中で、郊外の住宅地では買った値段以上で売れることはなく、逆に建物は相当に老朽していますので買い手も付かず、よくて半分となり、結局は二束三文で叩き売るよりは、リフォームしながら不便でも住み続けた方がマシということになりそうです。借り家と比べ持ち家の投資効果はどうだったのか?と考えるところです。

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書籍にも似たタイトルのものがありますが「やめることから始めよう」という題がついたある記事の中に、「意味のないやめるべきこと」の一例として「年賀状のやり取り」というのがありました。

その筆者にとっては「新年の挨拶として大切ではあるが、その後1年間に送った人とどれくらいやり取りしたり、会ったりしただろうか。意味がないと思える人に送るのは、やめたほうがいい。」とバッサリ切り捨てています。

おいおい、それは全然違ってるぞ!と思わず反論です。

ここで筆者が記事に書いている「意味のない年賀状のやり取り」とはなにか?ということですが、前後をみてみると、「その後1年間に送った人とどれくらいやり取りしたり、会ったりしただろうか」=「会わない人には送っても意味がない」と言いたいようです。

ちなみに筆者は某コンサルティング系企業の社長さんですが、私個人的に言えば、こういう根源的な過ちを平気で公言する社長がやっている会社とは絶対に付き合いたくないものです。

私は「頻繁にやり取りしたり、会ったりする相手だから年賀状を送る」なんてことは、社会人になってから一度も考えたことがありません。確かにそういう人も少数ながらいますが、多くは、1年のうちに滅多に顔を合わせることのない人や、もう何年も会っていない人に対し、ご無沙汰のお詫び、近況の報告、新年のご挨拶として送ります。そういう相手だからこそ年賀状が最大限にいいのです。普段会える人には会って挨拶すればいいのです。

ずっと会っていない、会えないからこそ、例え虚礼と言われても1年に一度の年賀状を出すべきであり、それが過去に恩や縁のあった人に対しての最低限の礼儀ではないでしょうか。またそうして1年に一度ぐらいは様子伺いをしておかないと、その方の安否や、今どのような状態、環境にいるかもわからなくなってしまいます。

いつでも顔を合わせる会社の同僚や上司などは、否応にも会社が始まれば、直接新年の挨拶をおこないますので、年賀状は不要でしょう。それこそあまり出す意味がありません。

そうではなく、法事の時にしか会わない遠い親戚や、遠く離れて暮らす兄弟、学校時代の恩師や同級生(小・中・高・大)、元勤めていた会社の同僚や当時お世話になった方々など、それだけでも普通ならすぐに50~100人ぐらいに達するでしょう。

私の場合は、そういう方が9割で現在の仕事関係は別にして約70~90枚ぐらいを毎年出しています。それこそ仕事関係で出すのは年々減ってきて(減らして)今では10枚程度で、合計100枚程度です。

よく定年になって会社を退職した途端、年賀状の枚数が激減してガックリ落ち込むという話題が面白おかしく伝えられますが、その原因は現在の勤め先関係、つまりは上記記事の筆者が意味があると思っているらしい「やり取りしたり、会ったりする人」ばかりの年賀状だから起きることです。

そしてここが大事なのですが、年1回の個人の年賀状は、昔は苦心して毎年干支の絵を芋版やゴム版に彫って、宛名書き含めすべて手書きで1枚1枚作っていたものですが、最近はパソコンと年賀状ソフトとカラープリンターで簡単に作れてしまいますので、せめて一枚一枚自分の近況や、相手を気遣うひと言を手書きで添えるのが重要なポイントです。それができるのは(やる気が起きるのは)せいぜい100~150枚程度まででしょう。

私の知人の中には、毎年800枚ぐらいの個人宛の年賀状を出したりもらったりしていることを自慢気に語る人もいますが、それだけの数だと、業者で印刷して、形式上送るだけになってしまっているでしょう。そういうのはどうかと思います。もらった側も、印刷だけの他のDMと同じでほとんど記憶に残らずポイでしょう。

やっぱりもらって嬉しい年賀状は、どんなに美しい写真よりも、お金をかけて印刷されたものよりも、「自分あてて書かれたひと言」です。効率ばかりを求めるデジタル社会の弊害なのか、そういった気遣いの重要性を考えなくなった人が増えて残念でなりません。

あと、10数年前頃から始まった電子メールで送られてきて、ネット上で見るネット(Web)年賀状というのがありますが、私は物珍しかった初期の頃は別として、ここ数年それをもらってもそれらを開いた(クリックした)ことがありません。

だってその人の温かさや思いやり、人柄というものが感じられず、逆に無機質な汎用デザインで興ざめしてしまい、とても寒々と感じるからです。年のせいだと言ってしまえばその通りかもしれません。

そして送った相手から、それを見てくれたかどうかがわかるらしく、たまに「ネット年賀状を送ったのに、開いてくれない」とクレームを寄越す人がいますが、そんなものを送られるほうが迷惑だと思っているので、特に相手にしません。

個人でも会社関係でも同じですが、せっかく年賀状を送るのならば、滅多に会うことのできない人に、そして必ず自分の近況や相手や相手のことを気遣うひと言を添えて送りましょう。その効果はアナログ的かもしれませんが、きっと将来自分の大きな財産となっていきます。

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