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ここ数年間のうちで広まってきた支払い方法に割賦販売があります。元々割賦販売は戦前・戦後の日本が貧しい時代に、高価な工業製品などを買う際、月々に分割して支払うもので、最初は商売用の機器類、やがては一般家庭用のミシンなどへと普及していきました。
 
最近というかここ10年ほど前頃からは、携帯電話の普及にともない、月々の基本料や通信費などの支払い額と契約期間を決めることで、本体費用を0円にしたり安価に抑える手法がありますが、これも一種の割賦販売に近いものと言えます。この携帯電話からスマートフォン、タブレット型端末などへと拡がっていっています。
 
またお金を借りるローンの一種にリボルディング払いというものがあります。クレジットカード利用の支払いや消費者金融で借りたお金の返済にこのリボ払いを勧められるケースが増えてきています。このリボ払い(返済)も一種の割賦で購入するのと同種とも言えます。

もちろんそこには一度はまると簡単には抜け出せない大きな罠が仕掛けてあります。支払いをリボ払いに変更すると、豪華なプレゼントがもらえたり、多額のポイントがもらえたりしますが、それだけしてもすぐに元が取れる業者にとってたいへん美味しい仕組みなのです。
 
2007年にアメリカで起きたリーマンショックは、サブプライムローンの破綻から始まりましたが、そのローンは十分に信用度のない人達に、月々安い支払いで家が買えるという、欲と錯覚をうまく利用した無茶な住宅の割賦販売が原因のひとつでした。

日本ではバブルの時に今後は不動産も自分の給料もますます上昇していくと錯覚をさせて、無茶なローンを組み(組ませて)破綻した人や金融機関と同根です。
 
エコカーブームで注目されるEV(エレクトリックビークル)や、魅力あるハイブリッドカーを購入する際に、「トヨタ3年分ください」などと各メーカーが力を入れて宣伝しているのが従来の一括購入ではなく、残価設定ローン(残価設定クレジット)という割賦販売手法です。

元々はクルマ雑誌などに必ず広告が出ているオニキスが主におこなってきた販売手法ですが、その広告を一見すると400万円の憧れの高級車が月々数万円で自分のモノになるという、ワケあり割賦販売手法です。

例えばレクサスIS(新車価格約400万円)の場合、月々63,300円を支払えばなんと自分のものになります(ワンナップ月々お支払いプラン、36回払い)。

もし400万円を単純に36カ月で割ると毎月11万円となります。

これが6.33万円になるのは36カ月(3年)後には、残価を残したまま引き取られてしまうからに他なりません(残価を別途支払って買い取ることも可能だが、そうすると最初に現金で買うより相当高くつくことになります)。
 
パソコンを買おうと量販店へ行くと、最新型の国産ノートパソコンが5万円とか、海外製だと2万円とか表示されています。

よく見ると「指定の通信会社と一定期間契約とセットの場合」と小さな文字で書かれています。

よく知らない人なら「どうせインターネットにつなぐため通信会社との契約は必要だし、それでパソコンが安くなるならお得かも」と思ってしまい、途中で解約できない不要で高額な通信費用を毎月支払う契約をしてしまいます。
 
ネットの接続は「別途契約をしている会社がありそれを使うから不要」と、パソコンの大幅値引はあきらめる代わりに通信会社の怪しげなセット抱き合わせ販売ではなく、本体だけの購入をしても、次はパソコンには必須のセキュリティソフトの年間契約を強く、非常に強く勧められることになります。

たぶん最初の3カ月間や半年間は無料ですが、これに一旦加入してしまうと、毎年毎年知らないうちに高額の利用料を自動引き落とされてしまいます。

もしパソコンが故障して使えなくなっても、遠慮なく引き落としはされていきます。

そして実際に経験したのですが、契約を解除するためには平日の昼間に、まったくつながらない有料のサポート連絡先へ電話する以外に方法はなく、運良くつながって解除を申し入れることができても、すぐの解除は出来ず、数カ月先まで契約が残り、結局もう一年間は契約延長したこととして引き落としされてしまいます。

本当にあくどい会社が多いので注意です。有名なところでもそうですから、みんな堂々と騙されます。
 
最後のセキュリティソフトのケースは割賦ではなく年間契約ですが、上記のいずれのケースも、比較的少額で支払いにそう不自由しないぐらいの、ほどほどの金額とプラスα金額を毎月決まって支払わせるのが最近というか、実は昔から営々と続く、古典的で不景気な時期にこそ効果を発揮する割賦販売手法なのです。
 
一度契約をすれば、割高な違約金なしに2年間とか3年間は契約を中止することができず(○年縛り)、業者側は毎月安定した収入が得られます。また通信料金やPC関連年契の場合、サービスの提供会社だけでなく、販売店にも一定の手数料が毎月(毎年)入りますので、店側もそういう商品は例え騙しても必死になって売ろうとします。
 
毎月の支払額が少しずつ増えていってることに多くの消費者は気がつきません。またもし気がついても通常は「ま、少額なので急がなくてもいいか」となります。

「わずかな金額で知らず知らずのうちに」というのが販売側の狙い目で、さらに「生かさず殺さず」が客に対する姿勢です。「殺してしまう」とは「つい調子に乗って借りすぎてしまい破綻してしまう」ことを指しますので、それは業者側としても避けたいと思っています。
 
で、こういう事が頻発します。
 
インターネットの光通信サービスの契約を巡る消費者トラブルが増えている。「強引な勧誘を受けた」などの苦情相談が、全国の消費生活センターに2010年度は11月までで3500件を超え、前年度同期の約1.6倍。クーリングオフ(無条件解約)などを定めた特定商取引法が、契約代理店など電気通信事業者に適用されないことも、増加の背景にあるようだ。
 
いまちょうど旬なネタは「地上波デジタルテレビ」と、65歳以上の高齢者世帯の平均貯蓄が2000万円を超える「小金持ち高齢者向けビジネス」です。
 
つまり、各家に立っているアンテナを見て地上波デジタル対策をしていない家(普通は高齢者世帯)をまわり、政府が進めている地上波デジタルや光の道構想など、とにかく意味不明なことを熱心に説明し、急がないとたいへんなことになると説得します。

そして、光回線や、CATVなどの契約を取りあとは各業者に工事の依頼をするという比較的簡単で単純なビジネスです。

以前なら詐欺まがいの家のリフォームや、ソーラー設備などでしたが、今は政府が後押しする政策に則った販売ですから、誰からも信用してもらいやすいでしょう。
 
当然小金持ち高齢者には、新しいテレビはもちろん、いつでも孫の顔が見られるようになると言ってフォトフレームやタブレット端末なども売りつけます。

孫が来たときに一緒に遊べるようにとネットにつながるゲーム機やソフトも必要でしょう。販売員は高齢者世帯1軒にうまく入り込めば当面は美味しい果実が得られますし、高齢者同士のつながりで知り合いを紹介してもらうことができれば、その輪はどんどん拡がっていきます。完全に狙い目でしょう。
 
しかも、それらは毎月数百円~数千円の契約が多いので、年金以外の定期収入のないお年寄りでも、安心して契約をしてしまいます。

しかし実際はネット接続が定額制でなく後から数万円が請求されたり、必要もない150チャンネルものテレビ番組の契約だったりと、実際にお年寄りのために役立つ契約ではなさそうです。

そして途中で解約したくてもできず、数年間は不必要に支払続けるというのが現実の姿となっています。
 
不況の時こそ急に延びてくるこの割賦販売には十分気をつけて利用する必要がありますが、今はまだその危険性を警告するメディアはないようですね。



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遥かなる未踏峰 (新潮文庫)  上・下巻 ジェフリー・アーチャー

数年に1冊ぐらいのペースでしか文庫が出ないアーチャーですが、毎回楽しみにして購入しています。

この人の本、古くは「百万ドルをとり返せ! 」「ケインとアベル 」「チェルシー・テラスへの道 」など20数冊にのぼりますが失敗したと思ったものは1冊もなくすべて当たりです。

今回もアーチャーお得意の古き良き時代の英国の話しですが、間違いなくいい作品です。
 
ストーリーは、北極点、南極点への到達が他国に先を越され、最後に残された未踏峰エベレストへ、第一次世界大戦が終了した1920年代に果敢に挑戦した英国人(実在の人物)を主人公にした小説です。登場人物のほとんどが実在の人達ですから、基本的に悪役はいません。
 
主人公(ジョージ・マロリー)は、アメリカの新聞記者に「なぜ、あなたはエベレストを目指すのか?」と問われて「そこに山があるから(Because it is there)」という返答をしたという有名な話しがあります。私も子供の頃にその話を聞いたことがあります。
 
少し出来すぎに思えるぐらい登場人物がそれぞれの役目をキッチリと果たし、未踏峰征服の大プロジェクトへ向かって進んでいきますが、小説では2回となっているエベレスト行きが実際には下調べを含め3回行っていることや、登山家として活動すると従来勤めていた教職には就けず、生活費に困ってしまうことなど、やや端折った部分もあるようです。(Wikipedia等には詳しく書かれている)
 
おそらくいずれはこれを原作とした映画も制作されるのでしょう。今から100年近く前の装備で、エベレスト登頂というのは考えただけでも無謀な冒険ですが、小説ではわかりにくい当時の貧弱な装備が映画で見られるとそれが実感できるのではないかと思います。

著者別読書感想(ジェフリー・アーチャー)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 

北海道警シリーズの「笑う警官 」「警察庁から来た男 」「警官の紋章 」に続く第4弾となるこの本は2009年10月に発刊されましたが、2011年1月時点ではまだ文庫化はされておらず、知人からいただいた単行本を読みました。
 
以前のシリーズ作品と登場人物含め共通した点は多いのですが、今回の事件はそれらとはほとんど関係ない(関係なくはないのですが)、ストーリーとなっています。

特に過去の一連の作品で共通した「腐敗した北海道警のキャリアや幹部達」という流れは、今回は抑えた内容となっています。

その代わりに札幌の名物となっている「YOSAKOIソーラン祭り」をメイン舞台とし、シリーズを通して出てくるレギュラー陣の北海道警警察官が活躍します。
 
小説の中で一箇所、犯人とおぼしき男が乗っていたバイク(スーパーカブ125cc)のナンバー照会を、警官が陸運局に問い合わせをする場面がありましたが、この原付2種のバイクの登録は市区町村なので、陸運局に問い合わせるのは間違いです。

この点は本田技研で働いていたこともあり、バイクをテーマにした作品をいくつか残しているバイク好きの作者にしてはちょっと残念なところです。

著者別読書感想(佐々木譲)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 

先月読んだ「封印されていた文書(ドシエ)―昭和・平成裏面史の光芒〈Part1〉 」の続編です。

続編ですから前作を読んだときほどのインパクトはなくなってしまいますが、逆にパターンを先読みできるようになり読むスピードが速くなりました。
 
このPart2で選ばれた事件や事故は下記の通り
 
 ・国松長官狙撃事件 平成7年3月
 ・金大中拉致事件 昭和48年8月
 ・中川一郎怪死 昭和58年1月
 ・グリコ・森永事件 昭和59年3月
 ・全日空機函館ハイジャック事件 平成7年6月  
 ・吉展ちゃん誘拐事件 昭和38年3月
 ・小渕恵三首相死亡 平成12年4月 
 ・日本赤軍・重信房子逮捕 平成12年11月
 ・沖縄サミット医療オペレーション 平成12年7月
 ・金正男不法入国・国外強制退去事件 平成13年5月
 
この中ではやはり吉展ちゃん誘拐事件(昭和38年)は、私がまだ幼少の頃に起きた事件なので、リアルタイムでは記憶にありませんが、昭和の犯罪史を語る上でよくその名前が登場しますので、いまでは概要については知っていました。

それ以外の事件や事故は、新聞やテレビなどのリアルタイムの報道を通じて知っています。
 
先日2月5日に元連合赤軍幹部の永田洋子(65歳)死刑囚が、刑を受けるのではなく、病気にて死亡しましたが、この本に登場する重信房子とは同い年の極左女性リーダーで、二人は直接的な関わりはなかったようです。

二人は似たもの同士という気がしますが、私は全共闘世代ではなく、そのしばらく後の世代なので詳しくは知りません。
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
告白 (双葉文庫)  湊かなえ

湊かなえ氏のデビュー作で、いきなり第6回本屋大賞を受賞するという快挙を達成した小説です。

すでに松たか子主演で映画化もされ有名になりましたが、とにかく新人の作品としては「凄い!」のひと言です。
 
最近の小説としては短めな部類に入りますが、登場人物のモノローグだけで構成され、その告白や日記等がとても新鮮で読者をグイグイと引き込んでいきます。そして最後には驚愕の結末が待っています。
 
主人公の愛娘を事故に見せかけて殺した犯人やその動機は、早々に判明しますが、物語はそこからさらに深みへとはまっていきます。

最後はとてもおぞましい結末というか、決してハッピーエンドではないことだけは言っておきます。映画(DVD)も見たいと思いますが、後味が悪くならなければいいのですが、、、

著者別読書感想(湊かなえ)
 

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471
外国人が日本を旅行中に財布やバッグなどを紛失したところ、ちゃんと警察へ届けられていたことに驚き感激したという話しを何度か聞いたことがあります。つまり日本人にとっては当たり前の道徳や誠実さが、外国人にとっては驚きに値するということなのでしょう。
 
社会に出ているほとんどの日本人は(1)家庭のしつけ (2)幼児教育 (3)義務教育 (4)高等教育を受けています。その中で自然と物事の善悪や、道徳を身に付けています。また不思議なことに日本人の道徳や倫理には、まったくと言っていいほど宗教が影響していません。これも宗教を禁止する一部の国を除き、世界的に見て不思議なことのひとつでしょう。
 
トイレにバッグが置き忘れてあれば「きっと困っている人がいるだろう」と、例え誰も見ていなくても、そして中に現金が入っていても、そのまま交番や事務所に届け出るのが普通の日本人の感覚です。もちろん現金などがあればネコババする人もいると思われますが、これは昔も今もそう変わらないレベルでしょう。
 
そうした世界的に見ても稀な美徳を持つ日本人でしたが、この長期的な史上最悪の不況で、社会構造や日本人の精神に、大きなひずみが起き、ゆがみが出ているようです。大げさかも知れませんが、気になっています。
 
そのひとつは、大阪道頓堀川の清掃をおこなっていた市職員が、勤務中に川から引き上げた落とし物から現金やプリペイドカード、さらにはゴルフバッグなどまでを長年にわたり仲間内で着服していることが発覚し、それだけでも驚きましたが、さらにこともあろうか、その市職員の犯罪を内部告発した同僚職員までを懲戒免職にしました。
 
内部告発者は本来その身分や立場が守られなければなりません。万が一内部告発者に重大な違法行為があったとしても、アメリカで犯罪者が減刑されることを条件に証言する司法取引と同様に、内部告発するのと引き替えに大きく罪が減じられて当然のことです。
 
つまりその内部告発がなければ、何年も不正や犯罪が続き、もし発覚しても証拠を集めるために長期間にわたり多額の費用と捜査員を投入することを考えると、告発者に感謝をして当然のことでしょう。それを大金をネコババしていた職員と同じ重い処分が下されるというのは、告発者を守るのではなく、チームワークを乱したという見せしめ以外のなにものでもありません。つまり大阪市はそのような犯罪行為に気がついても、身内を悪く言う告発者は許せないと言っているように思えてきます。
 
関西では少し前に、偽装牛肉問題で雪印を告発した西宮冷蔵が、業界からつまはじきにされ、仕事がもらえず倒産するということがありましたが、いったいいつになったら、内部告発者が手厚く守られ、その正義や勇気が誰からも称えられるようになるのでしょうか。それは村社会から抜け出せない日本人にとっては無理なことなのでしょうか。
 
ふたつ目は、福岡のホテルで従業員が、合い鍵を使い宿泊客のクレジットカードを盗んで買い物をしていたという事件がニュースになっていました。この犯罪自体はものすごく単純なことで、もし外国の2・3流以下のホテルで「部屋に置いていたクレジットカードがなくなった」と届け出ても、「そりゃ、置いていたあなたが悪いでしょう」と一笑に付されてしまうだけです。
 
2011/2/09 宿泊客のカード抜き取り買い物…そっと戻す手口 YOMIURI ONLINE
福岡県警博多署は9日、福岡市西区今津、元ホテル従業員○○容疑者(42)を住居侵入、窃盗容疑で逮捕したと発表した。勤務していたホテルで宿泊客が留守中に客室からカードを盗み、買い物をした後、再び財布の中に戻す犯行を繰り返していたとみて、余罪を追及する。
 
ただ、今までの日本ならば前述したとおり、例え二流、三流のホテルであっても、部屋に現金を無造作に置きっぱなしにして外出しても、それらが紛失することはまずありませんでした。私も昔は出張ばかりしていて全国の安いビジネスホテルを泊まり歩きましたが、不安はまったくありませんでした。しかしこのニュースを見て、もはや日本の安全神話、日本人の道徳心は過去のものとなってきていることを実感しました。
 

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470
いよいよあと半年でアナログ放送が停波されます。いや~困りました。
 
我が家(一戸建て)の状況は、1階のリビングにはCATV(ケーブルテレビ)をもう5年ぐらい前から導入しているので、地デジ放送やBS放送を見ることができます。

なので、アナログ波が停波されても、まったく自宅のテレビが映らなくなるという地デジ難民というわけではありません。
 
しかし部屋数が多い家なら多いケースですが、CATVのケーブルを直接引き込んだリビング以外の部屋にもそれぞれにテレビがあり、その各部屋にはアンテナ用コンセントが設置されていて、そこには外から引き込んだアナログ用(VHF)のアンテナ線しかきていません。
 
我が家のアンテナ線(VHF)は、5年ほど前近所にマンションが建った時に、マンション側の費用で共同アンテナが立てられ、そこから供給されるようになりました。

マンションから供給されるようになるまで使っていた自前のテレビアンテナは、老朽化していたこともあり、その時に撤去しました。
 
そこで困ったのは、アナログ放送が停波すれば、そのマンションからのテレビ電波供給も停止されてしまうことです。

地上デジタル放送の電波は受信エリアが広く、建物等による電波障害の影響が少なく、各戸でアンテナを建ててくださいと通知が来ていました。

つまり我が家の場合、CATVを入れているリビング以外のテレビが映らなくなるということです。
 
現在リビング以外でテレビを見ているのは、二部屋だけですが、元々アンテナ線の室内配線はリビング以外に4部屋あります。リビング以外の各部屋で地デジ放送が見られるようにするには、いくつかの選択肢があります。
 
1)CATVのテレビ受信契約数を増やし各部屋に引き込む工事を依頼する
2)地デジ用アンテナを新たに建てる
 
まず1)の「CATVの契約を増やし、工事を依頼する」ですが、将来に渡ってお金さえ気にしなければ、一番お手軽でしょう。
 
メリットとしては、

・月々の追加費用と一時的な工事費だけで初期費用が安く抑えられる
・安定した地上波、BS、その他CATVチャンネルが視聴できる
 
デメリットは、

・長期的に見ると費用がかかる
・各部屋にケーブル引き込みのため、部屋ごとに穴を開けて配線工事する必要がある
 
2)の「地デジアンテナを建てる」は、上の1)のメリット・デメリットを概ね反転したものとなります。

つまり長期的に見ると支払総額は安くなり、各部屋に既に配線されているので新たな穴空け工事等は不要(但しアンテナ本体以外に別途、ブースター、混合器、分配器などの購入・設置が必要)ですが、今の時期アンテナ設置工事が集中していることもあり、1~2カ月待ちと強気の価格設定、しかも一括で支払う必要があります。
 
自前の地デジアンテナを立てれば、CATVのテレビ視聴分の契約は解約することができます(CATVは他にもネットや電話としても利用中)。

当然その分のコストが毎月抑えられますが、その代わりに地デジ+BSアンテナ工事代、ブースター、混合器、分配器などの一時的な費用、ザクッと見積もってもらったところ約12万円!が最初にかかってきます。

これは正直言って各種納税や子供の学費納付の季節で物入りが続き、一番痛いところです。
 
あと現在の東京タワーから送られてくる地デジの電波は来年から東京スカイツリーからの送信に切り替わります。そうするとその時点でアンテナの向きを変える必要が出てきそうです。屋根の上に設置した場合、自分ではできないので、その際の工事費もまた別途必要となります。
 
とは言え、アンテナ設置諸々に12万円かかったとしても、CATV会社に毎月支払う費用のうちテレビ受信契約を増やした費用が月々5千円だとすると、24カ月(2年)でアンテナ設置費用はチャラ、以後は故障時の修理以外に費用は発生しないことになります。

CATVで各部屋でも見るための工事費用(1箇所3000円)を考慮すると、たぶん2年未満で元が取れることになります。

地デジ+BSアンテナだけではCATV独自チャンネル(ディズニーチャンネルとか)が見られなくなりますが、小さな子供もいないので特に問題はありません。
 
方向性としては、地デジ+BSアンテナの新規設置に向かいたいところですが、一度に支払う費用のことを考えると、しばらくはCATVでつなぎ、そしてできれば東京スカイツリーからの電波送信に移ったあと、アンテナの新規設置という二段階方式が正解かもしれません。

しかしいずにしても物入りだなぁ、、、
 


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 469
著者が過去に週刊誌や新聞等に発表した様々な書評を一冊にまとめた本です。書評としてはわずか数行だけのものが多く、極めてシンプルで「いい」か「悪い」か、「面白い」か「残念」か、「好み」か「好みでない」かをズバズバ切りまくっていて気持ちがいいです。
 
しかしいかんせん、帰国子女であり、本業がロシア語通訳で、ロシアや東欧の熱烈ファンということで、書評に上がる多くは日本人にはあまり馴染みのないロシアや東欧の現代作家や評論家などの本(和訳本)が多く、著者が「面白い」という本が果たして普通の日本人に(何を持って普通と言えるかは別として)とって共感を得られるかと言えば甚だ疑問が残ります。なんたって20世紀で一番ひかれる男性がゾルゲ(ソ連の元スパイだったドイツ人)だと言い切る人ですから。
 
もちろん書評ですから自分が思ったことをズバリと書くことはなんら問題はありませんが、「彼女が面白いと書いているのでぜひ読んでみよう!」とはなりそうにありません。なにか面白い本を探そうと思ってこの書評を読むとちょっとガッカリするかもしれません。
 
1日に7冊は平気で読むと言う著者ですから、紹介されている書籍数も半端な数ではなく、ロシアや東欧もの以外の書籍で何点か「読んでみてもいいかな」と思えるものがありました。そういうのは忘れないうちにとりあえずAmazonの「ほしい物リスト」に入れておくと、あとでAmazonの書評や、懐具合を考えて判断できますので便利です。
 
この米原万里氏は2006年5月に56歳で癌により惜しまれつつ亡くなりましたが、そのギリギリ直前までの書評が残されています。書評の日付を見ると2005年、、、2006年1月、2月、3月、4月と最後は5月に掲載後なんの予告もなくぷっつり終わっているのが泣けてきます。
 
また書評を書きながら癌との闘病記録も同時に書かれています。癌治療に関して様々な治療法を探して、自ら実験台となり新しい治療法について調べたり、受診を受けたりした記録が書かれています。そしてそこで何度も書かれているのが、多くの癌関係の書籍の多くを「余命幾ばくもない癌患者がすがりたくなる気持ちを利用し、あれを買えこれを試せという悪どい金儲けビジネス」として非難しています。
 
知識が半端なく豊富で、せっぱ詰まった上に基本的に人を疑うことが信条みたいなこういう患者さんを持ってしまった医者は、本文に何度か出てきますが「今までのお金は返すからもう来ないでくれ」ということになってしまいます。それを読むと患者のわがままにも相当問題がありそうに思え、医者が気の毒になってきます。
 
様々な治療法を試すために多くの医者にかかり、結果、心から信頼できる医者や治療法に巡り会えなかった(と推察する)不幸もあるのでしょうが、著者は命をかけていたわけですから、納得がいかなければ喧嘩も持さずで、患者のわがままとばかりは言ってられないかなと思います。
 
ま、才色兼備で国際的な人脈が豊富で、時の総理大臣のモーションすら袖にした貴重なある意味貴重な女史を失ったことを惜しむひとりです。

著者別読書感想(米原万里)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
死角 オーバールック (講談社文庫)  マイクル・コナリー

現代的なハードボイルド主人公ハリー・ボッシュシリーズ13作目で2007年発表の作品です。1990年代半ばに出たシリーズ第1作「ナイトホークス 」で虜となり、それ依頼ずっと文庫が出ると買って読んでいます。今回の作品は今までと比較すると短めです。
 
ストーリーは、ロス市警殺人課の刑事ボッシュが偶然担当することになった事件に、FBIが関与してきて、元恋人だったFBI捜査員と前作に続き解決に当たるというものです。二重三重に仕掛けられた謎や、毎度お馴染みのFBIとロス市警の対立関係などが盛り込まれています。
 
前作長編「エコー・パーク 」で気合いが入りまくりだったのに対して、この作品はイマイチ乗り切れていないような感じを受け、私の中では凡作の部類に入るかも知れません。当初か偶然が重なるご都合主義的な、例えば知的で計画的な犯人がたいへん重要な犯罪の証拠品を、犯行現場近くの街のゴミ箱に廃棄するなんてことがあるはずもなく、そういった無理な設定に飽きてきたのかもしれません。
 
すでにアメリカでは出版されているらしい次回作に期待しますが、もしそこで、期待が外れてしまうようならば、今後私の愛読書から外さざるを得ません。現在売れっ子だからといって安心していては、次々と出てくる若くて野心のある作家に一夜にしてコケにされますよ。と言ってもそういう声が届くわけもなし。

著者別読書感想(マイクル・コナリー)
 
  ◇   ◇   ◇   ◇   ◇
 
この高嶋哲夫氏は2000年に初出、2004年に文庫化され、2007年に映画にもなった核兵器を搭載した米軍戦闘機が冬の日本アルプス山中に墜落し、それを奪取しようとする北の兵士と自衛隊員との闘いを描いた「ミッドナイトイーグル 」で一躍有名になった作家さんですが、クライシスノベルを得意とする方のようです。
 
私はこの作家さんの本は、その「ミッドナイトイーグル 」と、石油枯渇問題を一気に解決することができる石油を作り出す特殊なバクテリアを日本人研究者が発見する「ペトロバグ―禁断の石油生成菌 」(2007年文庫)を過去に読んでいます。
 
ところが、この小説では従来のイメージとは趣向がガラリと変わり、サラリーマンの誘拐事件を核とした多少ハードボイルド的要素を交えた中年男の人間ドラマです。昔の小説だか映画の宣伝文句にあった「ダメ男にも意地がある」みたいな感じです。
 
ストーリーは、妻子がいながら仕事一辺倒で家庭をまったくかえりみない中年エンジニアが、社長の自宅へ報告書を届けに行った帰り道、社長と間違えられて誘拐されてしまいます。しかし誘拐した犯人の男女と隠れ家で交流を深めていくうちに、なにかがおかしいことに気がつき、、、というものです。
 
ちょっと過去の小説のイメージとは勝手が違い、最初は戸惑いましたが、なかなかよく考えられて作られていると思います。ただ、高度成長期ならいざ知れず、企業の幹部が社員を殺害してまで保身をしようとするのは、ちょっと考えにくいことだったり、上場企業を退職した元社員が、勤務していた企業の社内ネットワークにいとも簡単に侵入できたりするのは、あまり現実的ではないかなと思ったり。
 
ま、それほど細かなところにリアリティを追求するのが目的ではないのでいいのですが、タイトルにもなっているファイヤーフライ(蛍)については、タイムリーに印象的なことがあります。
 
それは少し前に福山雅治が出ていた東芝レグザのテレビコマーシャルで、CGでしたが蛍のかたまりが突然ばらけていくシーンがありましたが、そのシーンとこの小説の中で誘拐の犯人だけが知っている蛍の墓場へ誘拐された主人公を連れていき、互いに心を通わす場面とが重なりました。文章ではなかなか伝わりにくいシーンですが、この世とは思えない蛍が創り出す美しいイメージが想像できました。

著者別読書感想(高嶋哲夫)
 
 

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