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きみがぼくを見つけた日(原題:The Time Traveler's Wife) 2009年米
監督:ロベルト・シュヴェンケ 出演:レイチェル・マクアダムス、エリック・バナ
オードリー・ニッフェネガー著の同名の小説を映画化したものです。原題にあるとおり、タイムトラベラーものの恋愛映画ということで、ややその手のストーリーには食傷気味ですが、意外と面白かったです。
自分の意志とは関係なく、突然自分の未来や過去に影響がある場所へタイムスリップしてしまう男性が主人公で、子供の頃に突然現れた謎の中年男に恋をして、やがて図書館で青年時代のその男性とばったり出会うというヒロインとの哀しくも切ない物語という感じ。
タイムトラベルものはもういい加減にうんざりしていますが、「もしも○○だったら」的な架空の想像をするなら、タイムトラベルというのは安易で最適なツールになります。
昨年大ヒットした「君の名は。」も映画は見ていませんがそういうストーリーだし、やはり昨年にヒットした「帰ってきたヒトラー」も、今年1月に公開された「本能寺ホテル」もやはりタイムスリップものです。
そのうちNHK大河ドラマでも現代人が戦国時代にタイムスリップするようなドラマが作られるようになるのかも知れません。それはないか。
★★☆
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陽のあたる場所(原題:A Place in the Sun)1951年米
監督:ジョージ・スティーヴンス 出演:モンゴメリー・クリフト、エリザベス・テイラー
セオドア・ドライサーの小説「アメリカの悲劇(An American Tragedy)」を映画化したもので、日本では1951年に公開されました。アカデミー賞監督賞他5部門で受賞し、ゴールデングローブ賞では作品賞に輝いた作品です。
貧しい家庭で育った主人公が叔父の経営する工場で働くことになり、そこでも仕事ぶりが認められ一躍昇進していきます。
自分には縁がないと思っていた上流社会へも顔を出すようになり、そこで社交界の花と言われていた女性と知り合い恋愛が始まります。
しかし主人公には工場勤め時に知り合った同じく貧しい家庭の女性との付き合いがあり、その女性が妊娠したことで事態は急変することになります。
と、今ではドラマや映画で珍しくもない貧しい男の出世物語と三角関係のなれの果てっていう構図ですが、まだ太平洋戦争が終わって数年という時代においては刺激的だったと思います。
当時まだ10代のエリザベス・テイラーがとってもチャーミングで、しかも上流社会のお嬢様役でなかなか堂々とした女優っぷりです。それだけでも見る価値のある映画かもしれませんね。
★★☆
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招かれざる客(原題:Guess Who's Coming to Dinner)1967年米
監督:スタンリー・クレイマー 出演:スペンサー・トレイシー、シドニー・ポワチエ、キャサリン・ヘプバーン
公開を前に亡くなったスペンサー・トレイシーの遺作とされる作品で、さらに4度もオスカーをとった名女優キャサリーン・ヘプバーンとの共演という豪華配役で騒がれた作品でもありますが、この映画というか人種差別に関したテーマからしても一番存在感が高いのは、まだ40歳になる前のシドニー・ポワチエでしょうか。
この映画公開と同年にはシドニー・ポワチエの大ヒット作「夜の大捜査線」も公開されています。
ここ何年も白人俳優、女優しか受賞できないと言われてきたアカデミー賞ですが、当時はこうした人種問題をテーマにした根深いアメリカの現実を大ヒットさせていたのですね。
新聞社社長の一人娘がヨーロッパ留学からアメリカの自宅へ帰ってきます。そのときにヨーロッパで知り合った黒人男性を一緒に連れてきます。
どういう黒人かと調べると、昔に事故で妻子を亡くした医者の資格を持つ男で、世界的にも評価の高い数々の書籍も出している優秀な人物ということがわかりました。
娘の母親や親しくしているゴルフ仲間の神父は祝福をしますが、娘の父親は黒人と結婚することにどうしても賛成できず悩むことになります。
黒人男性は、両方の親全員が賛成してくれなければ結婚はできないと伝え、やがてその両方の両親が一同に集まることになり・・・
最後は父親の感動的なスピーチで終わりますが、この50年前にはやがて黒人大統領登場するということまでは理解を超えていたでしょうけど、実際的には現在でもこうした差別感というのはほとんど変わっていないというのが現実なのでしょう。
★★☆
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武士の献立 2013年 『武士の献立』製作委員会
監督:朝原雄三 出演:上戸彩、高良健吾
江戸時代に外様大名としては最高級の権力を持っていた加賀藩お抱えの料理人と、その息子夫婦の成長物語です。
時代劇映画としてはそこそこヒットした2010年公開の映画「武士の家計簿」も同じ加賀藩が舞台でしたが、二匹目のドジョウというか、それと同じ流れをくむ映画です。
大名達の料理を作る台所方の家の次男に生まれ、本来は長男が後を継ぎ、次男は他家へ養子に入ることになっていたところ、長男が若くして病気で亡くなり、侍でありながら料理人の家督を継ぐ役目が自分に回ってきました。
剣の道を究め、その道でのし上がろうと思っていた矢先に、刀ではなく包丁に持ち替えて藩に貢献する包丁侍になったことで、仕事にもまったく身が入らず、やる気が出ません。
それを憂いた江戸詰台所方の父親が、自分が工夫した料理の素材をひと目で見抜いた浅草の料亭の娘で江戸の加賀藩屋敷で女中として働いていた主人公を見初め、息子の嫁にと加賀へ送り込みます。
妻となった娘はやる気のない次男に洗練された料理技術を教え、メキメキと実力が伴ってきますが、加賀騒動(1748年)が起き、改革派の親しい友人から誘われ藩主の暗殺へ巻き込まれそうになります。
上戸彩のような現代的な顔をした美人が、このような時代劇に向くのか?しかも男を立てて出世が決まると自分は武家の奥方には相応しくないとサッと身を引くような控えめな性格の女性が似合うのか?というのはさておき、ストーリーとしては実際に起きた事件をうまく取り入れ、わかりやすく起承転結ができています。
最近の映画は複雑に奇をてらうものが多く、見た後にスッキリしないものが少なくないですが、こちらはハッピーエンドで終わります。
★★☆
【関連リンク】
1090 「ゼロ・グラビティ」、「真田幸村の謀略」、「イエスマン “YES”は人生のパスワード」、「スティーブ・ジョブズ」
1051 「麗しのサブリナ」、「白熱」、「第七の封印」、「最前線物語」、「シン・ゴジラ」
1042 「男と女の不都合な真実」、「スリーデイズ、ダークナイト ライジング」、「鍵」、「北の零年」、「海街diary」
990 「るろうに剣心 京都大火編」、「るろうに剣心 伝説の最期編」、「アメリカン・スナイパー」、「新劇場版 頭文字D 「Legend1 -覚醒-」、「Legend2 -闘走-」、「ジョーカー・ゲーム」
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1090
ゼロ・グラビティ 原題:Gravity 2013年米・英
監督:アルフォンソ・キュアロン 出演者:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー
アカデミー賞の監督賞他6部門が受賞した最新の技術を駆使した宇宙エンタティメント映画です。
いやホント背筋が凍るぐらいにすごい映像の迫力です。原題のGravityとは重力という意味です。
「2001年宇宙の旅」が最初に公開されたのは、1969年にアポロ計画で初の月面着陸成功より1年前の1968年で、その時に観客が見た衝撃と同様のものがこの映画には備わっている間がします。
登場人物は実質二人だけ。そのうちのひとりも早々に宇宙の彼方にいなくなってしまい、ただひとり、誰の助けもなく宇宙に取り残されてしまいます。
ロシアが衛星を破壊したために、それで発生した宇宙ゴミが拡大してスペースシャトルエンデバーで作業中の主人公に襲いかかってきます。
乗っていたスペースシャトルは破壊され、乗員も2人を残して死亡。ひとりが持っていた船外活動ユニットを使い、遠方に見えるISS(国際宇宙ステーション)へ向かいます。
しかしISS到着直前で船外ユニットが燃料切れとなり、ブレーキを利かせられずに激突、かろうじて主人公はISSにしがみついて助かりますが、もう一名ははじき飛ばされ宇宙の彼方へ。
そこから主人公ただひとりの脱出劇が始まります。シャトル→ISS→天宮(中国の宇宙ステーション)と。
原理的に不可能というのはさておいて、重力がない中での様々なシーンは一見の価値ありです。どうやって撮影したのでしょうかね、ってVFXのおかげでしょう。
録画した映像をテレビで見ましたが、これはやっぱり周囲が真っ暗な中、巨大なスクリーンで見ることに最大の価値がある映画らしい映画だと思いました。
★★★
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
真田幸村の謀略 1979年東映
監督:中島貞夫 出演者:松方弘樹、あおい輝彦、片岡千恵蔵、萬屋錦之介
大河ドラマ真田丸は終わりましたが、今から40年近く前には真田幸村がどのように描かれていたというのに興味を持って148分という長い映画を見てみました。
大河ドラマではどっちが主人公?というぐらいに幸村の父親の真田昌幸が目立っていましたが、こちらは片岡千恵蔵演じる真田昌幸は完全に脇役にまわり、メインは幸村と真田十勇士のコミック的な活躍というパターンです。
そしてこの映画は東映俳優陣が惜しげもなく登場します。真田幸村を演じるのは東映のスター松方弘樹で、その他にもちょい役含め加藤清正:丹波哲郎、真田信幸:梅宮辰夫、淀君:高峰三枝子、徳川家康:萬屋錦之介、三好伊三入道:真田広之、三好清海入道:秋野暢子、筧十蔵:森田健作、猿飛佐助:あおい輝彦、霧隠才蔵:寺田農、海野六郎:ガッツ石松、豊臣秀頼:小倉一郎、本多正純:小林昭二、後藤又兵衛:成田三樹夫、林羅山:金子信雄など豪華俳優陣総出演です。
ただ40年前と言えばまだワイヤーアクションもなければ、CGやVFXもありません。
懐かしいような今からするとちゃちっぽい感じもしますが、その代わりにいい大人の出演者がそれぞれ一生懸命に汗をかきながら演技をしているのがよくわかるのでそういう楽しみ方で見ないといけません。
真田丸にも描かれていましたが、真田配下の佐助が徳川家康の影武者を襲ってしまい、まんまと騙されたシーンがあり、やっぱ似ているのかなと思っていたら、最後は真田丸と大きく違い、大阪夏の陣で幸村と家康が一騎打ちをして悪役の徳川家康の首が30mぐらいはね飛ばされてしまいます。
★☆☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
イエスマン “YES”は人生のパスワード 原題:Yes Man 米2008年
監督:ペイトン・リード 主演:ジム・キャリー
まったく内容も主演俳優のことも知らないまま観た映画です。
主人公は3年前に離婚を経験した独身の銀行員で、仕事以外は家の中に引きこもり、レンタルDVDばかり観ている後ろ向きで暗い男性。
世界中を放浪している友人がやってきて、怪しげなセミナーに参加するよう主人公に勧めます。これが「決断を迫られた時"イエス"といえば人生がすべて変わる」というもの。
セミナー会場で初参加の主人公に、代表者から「YES以外の回答をすれば災いが起きる」と脅されます。
そして、その通りとなり、なにごとにも「YES」と言い続けることで、前向きになり人付き合いが良くなり、そして新たな恋人にも巡り会うことができ、仕事も昇進していくという、コメディ映画です。
ま、アメリカ人らしい発想と言えばその通りですが、”病は気から”と同じで、外へ飛び出し、人生に前向きに生きることで、健康になり、新しい出会いができ、人生がきっと変わりますよということなのでしょう。
日本には70~80万人いるとされている引きこもりの人達ですが、アメリカでも増加しているとのこと。日本だけの現象と言うことではなさそうです。
ただ日本とちょっと違うのは、日本では生活は親がかりで、近所のコンビニぐらいしか出掛けないのに対して、欧米では仕事をしながらもプライベートでは誰とも付き合わず、休日はジッと家にひとりでいるようなパターンが多いそうです。働いていればそれだけで日本では引きこもりとは言いませんけどね。
というように、日本とアメリカではちょっと精神構造や社会との関わりが違いますが、日本でもそろそろ引きこもり対策、ニート対策の役立つ映画を宮崎駿氏か新海誠氏に頼んで作ってもらうとかしないとこのままではまずいのとちゃう?って感じた映画でした。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
スティーブ・ジョブズ 原題:Jobs 米2015年
監督:ダニー・ボイル 主演:マイケル・ファスベンダー
言わずと知れたマッキントッシュやiPhoneなどの生みの親、スティーブ・ジョブズの自伝映画です。以前観たFacebook創設者のマーク・ザッカーバーグの半生記映画「ソーシャル・ネットワーク」とも近いものがあります。
スティーブ・ジョブズは1955年生まれですから、戦後すぐに生まれたベビーブーマー(団塊世代)とは違い、私とほぼ同じく、ジュニア世代との谷間の世代です。そしてまだ若い56歳で膵臓癌から膵臓腫瘍に転移して亡くなっています。
自伝映画ですので、1970年代後半から1980年代にかけて、大学を中退して実家のガレージで仲間とパソコンを手作りするところから始まり、その後画期的で美しいマッキントッシュが爆発的人気となっていくところを映像化しています。
IBMとの闘いや、OSでマイクロソフトのビル・ゲイツとの確執、そして自ら引っ張ってきたジョン・スカリー社長と亀裂が生じていきます。
特に1980年代OS戦争でアップルは先行していながら、その後そっくりなWindowsがマイクロソフトから発表され、ビル・ゲイツとの電話でのやりとりで「テメー!コノヤロー!ビン底メガネのクソヤロー!真似しやがって!許さないからな!ゼッテー破滅させてやるからな!みてやがれ!(筆者意訳)」と罵っていたのが強く印象に。その後2007年にはマイクロソフトから出資を受け入れたりして仲良くなっています。
こうした天才的なカリスマ事業者と、その周辺にいる投資家などとは折り合いがつくことはなく、やがてアップル社を追われるように退社、そしていよいよ窮地に立ったアップル社へ再び返り咲くというめまぐるしい当時の変遷を思い出させてくれます。
登場人物は原則実名で登場し、それぞれの役者がうまく演じていますが、悪者役になった先見の明のないスカリーや投資家達は、この作品を見たのかどうか気になるところです。
★★☆
【関連リンク】
1051 麗しのサブリナ、白熱、第七の封印、最前線物語、シン・ゴジラ
1042 男と女の不都合な真実、スリーデイズ、ダークナイト ライジング、鍵、北の零年、海街diary
990 るろうに剣心 京都大火編、伝説の最期編、アメリカン・スナイパー、新劇場版 頭文字D Legend1 -覚醒-、Legend2 -闘走-、ジョーカー・ゲーム
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1051
家で古い映画を録画したものや、久しぶりに映画館へ行って見た映画の感想です。
麗しのサブリナ 原題:Sabrina 1954年米
監督:ビリー・ワイルダー 出演:オードリー・ヘプバーン、ハンフリー・ボガート、ウィリアム・ホールデン
「ローマの休日」で一気にスターダムにのしあがったオードリー・ヘプバーン主演作で、我が儘で気分屋のお転婆娘に恋をしてしまう大金持ちの家の兄弟にハンフリー・ボガートとウィリアム・ホールデンという豪華人気俳優を寄せ集めしたみたいな映画です。
1954年当時と言えば、日本にマリリン・モンローが来日したり、街頭テレビでは力道山が大きな外国人をバッタバッタと倒していりした頃です。
そしてこの映画でヘプバーンが履いていた低いパンプス風の靴が「サブリナ・シューズ」として大ヒットしました。
ヘプバーンが演じる娘は、金持ち一家に雇われている住み込みの運転手の娘で、その金持ち一家の兄弟から、立場や階級を超えて見初められるという、その後「プリティ・ウーマン」のような数多く製作される、若い女性のサクセスストーリーの元祖みたいな感じです。
展開が早く、集中して見ていないと、物語はすぐに何年も経っていたりしますが、ベテラン俳優陣を相手に若きヘプバーンが堂々とした役者ぶりを示すのは見ていて気持ちいいものです。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
白熱 原題:White Heat 1949年米
監督:ラオール・ウォルシュ 出演:ジェームズ・キャグニー、マーガレット・ウィンチェリー、ヴァージニア・メイヨ
アメリカのギャング映画と言えばマフィアの組織的なギャングを描くことが多いのですが、母親とマザコンの主人公のギャングというちょっと風変わりな設定が面白いです。
1949年という戦後まもなく作られた映画だけに、特に凝ったところはなく、直球勝負でギャング団の狂気の世界が冷徹に展開されていきます。
列車を襲撃して大金を奪い殺人も犯し、それが原因で当局からは重罪で追われることになりますが、母親のアイデアから犯行時には遠隔地で微罪を犯したということで自首をし、列車強盗の重罪から逃れるという知能ぶりもみせます。
しかし刑務所に収監中に妻の不貞や腹心の裏切りを知り、犯罪の師でもあった母親も亡くなり、やがては自暴自棄となっていくシーンがもの悲しく泣けてきます。
ちなみに同じ「白熱」と書いてデッドヒートと読ませる1977年公開の日本映画がありますが、まったく別物で、こちらは当時若者のあこがれだったスカイラインGTRとセリカGT(ターボチューン)の戦いを描いた田中光二氏の小説の映画化です。
★★☆
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第七の封印 原題:Det sjunde inseglet 1957年スウェーデン
監督:イングマール・ベルイマン 出演:マックス・フォン・シドー、グンナール・ビョルンストランド
日本ではあまり見ることがない、珍しいスウェーデン映画で、私の生まれた1957年公開の映画という点に興味を覚えて見てみました。
いわゆる宗教映画なので、キリスト教を身近に知らない日本人だと、なかなか見ていても意味がわからなかったりして、退屈するところですが、主演の二人(騎士のアントニウス・ブロックとその従者ヨンス)がなかなか味わいのあるいい演技をしていて、惹き付けられます。
映画のテーマは、無益だった十字軍の遠征から国に戻ってきたスウェーデンの騎士が、コレラや魔女裁判などで荒廃する祖国をみて神の不在を感じるというものです。
同時に自らが死神に憑かれてしまい、命をかけて死神とチェスの試合をするというのはちょっと笑えてしまいます。
題名は新約聖書のヨハネの黙示録からのものです。
★☆☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
最前線物語 原題:THE BIG RED ONE 1980年米
監督:サミュエル・フラー 出演:リー・マービン、マーク・ハミル
最初第1次大戦のモノクロシーンが続き、そういう時代の映画なのかと思っていたら、その第1次大戦の中で生き残った軍曹が次の第2次世界大戦にも同じくアメリカ陸軍第一歩兵師団(The Big Red One)の軍曹として復帰。そこからカラー映画となります。
復帰した歴戦の勇士である軍曹は、若き分隊の兵士に生き残る術を教え込み、最初は北アフリカへの上陸、次にシチリア、そしてノルマンディー上陸、ポーランドと常に最前線の厳しい環境の中、部下とともに戦っていきます。
北アフリカでのフランス軍との奇妙な迎合や、シチリアではナチから解放された住民の歓迎、そして悲惨きわまりないノルマンディー。ポーランドではナチスの強制収容所を開放するシーンがあり、瀕死の子供との短い交流など泣かせる場面もあります。
こうしたヨーロッパ戦線で戦うアメリカ人歩兵というのは、やはり有名なテレビドラマ「コンバット」がベースにあり、なかなかそれを越えるようなものは作られないのですが、この映画も「コンバット」の影響が見え隠れする感じです。
ノルマンディー上陸シーンは、砲火の中、鉄条網を爆破するという限定的で、「プライベート・ライアン」のように大規模で臨場感満載のシーンは展開されませんが、こうしたヨーロッパ戦線を次々転戦していく流れの速い映画の場合は仕方がないのでしょう。
主演のリー・マービンはこうした歴戦の軍曹という役には最適で、北アフリカでは負傷して仲間から離れ野戦病院に収容されたあと、アラブの衣装を着て病院から脱走し、分隊を探し出すというコミカルな場面もあります。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
シン・ゴジラ 英題:GODZILLA Resurgence 2016年東宝
監督:庵野秀明 出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ
実はゴジラ映画を映画館で観るというのはこれが初めてです。なぜか子供の頃からゴジラにはあまり興味はなくて、せいぜいテレビで放送された映画を見るぐらいでした。
夏休み中と言うこともあり、小さなお子さんも多くいましたが、これは単に怪獣映画というものではないだけに、それを知らずに来た小さなお子様ににはちょっとつらいかも?でした。
とにかく話しの2/3が役人、官僚、政治家、アメリカ公使、防衛省、学者のやりとりで、それが日本の現実と言えばそうなのですが、ジェットコースター的なエンタメ映画を期待していると退屈きわまりないかもしれません。
しかし政治や自衛隊装備、危機管理などに造詣が深ければ、庵野秀明監督の細かなところまでディテールにこだわる設定ゆえに、それなりに楽しめる映画かも知れません。CG技術が進化したおかげでこのリアルさが表現できたとも言えます。
ゴジラは2度上陸して、その2度目は鎌倉付近から武蔵小杉あたりまでやってきた時、「多摩川を越えて東京には入れない!」と自衛隊が現実的な装備、10式戦車、99式自走155mmりゅう弾砲、96式多目的誘導弾システム、多連装ロケットシステム自走発射機M270 MLRSなどで反撃することになります。
おいおい東京守るため川崎はどうなってもいいって言うのか?
しかし普段よく見慣れた川崎や多摩川の風景が、ゴジラに壊されていくというシーンはなかなか興味深いものです。
★★☆
【関連リンク】
1042 男と女の不都合な真実、スリーデイズ、ダークナイト ライジング、鍵、北の零年、海街diary
990 るろうに剣心 京都大火編、るろうに剣心 伝説の最期編、アメリカン・スナイパー、新劇場版 頭文字D「Legend1 -覚醒-」、「Legend2 -闘走-」、ジョーカー・ゲーム
983 我が青春のヒーロー、スティーブ・マックイーン
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1042
時々録り溜めしておいた映画を一気に見たくなります。映画1本を見るには最低2時間はそれに集中できる時間が必要で、この情報過多でスピード時代に、それはたいへん贅沢な時間の使い方と言えます。
録画しておく映画は特にジャンルや制作国にこだわりはなく、片っ端からという感じです。感想の★の数は読書と同じで3つ(お勧め)、2つ(暇なら)、1つ(いまいち)です。
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
男と女の不都合な真実(原題::The Ugly Truth) 2009年 米
監督:ロバート・ルケティック 出演者:キャサリン・ハイグル、ジェラルド・バトラー
いかにもアメリカのコミカルな恋愛映画で、先が読めてしまい、しかもそれが裏切られることなく淡々と進んでいきますので、こんなものかなと。
こうした脳天気な恋愛映画はあまり積極的に見ないのだけど、内容をまったく知らず、ドキュメンタリー映画「不都合な真実」のような知的好奇心を満たしてくれる映画かなと勝手に見誤って鑑賞しました。原題を直訳すれば「醜い真実」ということで邦題にわりと近いかも知れません。
内容はテレビでは放送禁止用語となるような卑猥なわいせつ用語の連発(映画はテレビよりも基準が甘い)で、そうした映画館でしか見られない下ネタ満載バラエティ的な作品が好きな人には面白いのかも。
日本でも結婚しない(できない)若者が増えているということですが、彼の国でもそれは同様らしく、婚活や出会い系サイトも活発で、紆余曲折ドタバタしながらもいい男といい女が結びついちゃうという、なんちゃって恋愛ドラマです。
★☆☆
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スリーデイズ(原題:The Next Three Days) 2008年 米
監督:ポール・ハギス 出演者:ラッセル・クロウ、エリザベス・バンクス
幸せを絵に描いたような家族が、ある日妻に殺人容疑がかけられて逮捕されてしまいます。しかも状況証拠は揃っていて、殺された女性と口論をした直後に殺されてと不利な状況です。
裁判でも殺人罪で有罪が決まり、収監されますが、夫である主人公は妻の無実を信じます。
これ以上無実を訴えても無理だと判断した主人公は、大胆な脱獄計画を作り始めます。
ところが現在収監されている刑務所から3日後には別の刑務所へ移送されることがわかり、急遽前倒しで実行に移すことになります。
脱獄映画では「ショーシャンクの空に」が秀逸ですが、なにもかもがうまく想定通りに運び、無事脱出に成功というストーリーはアメリカではいまや鉄板ですね。
★★☆
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ダークナイト ライジング(原題:The Dark Knight Rises) 2012年 米
監督:クリストファー・ノーラン 出演者:クリスチャン・ベール、アン・ハサウェイ、モーガン・フリーマン
映画バットマンシリーズは全部は見ていませんが、割りと好きなほうです。シリーズものですが、内容的に別に順番通りにみないと意味不明ってことではないので安心です。
バットマンシリーズではヒーローよりも圧倒的に存在感が高い悪役ヒーローがいつも話題にあがります。
本作品の悪役も桁外れの才能と力をもち、バットマンを追い詰めていきますが、そこに意外な落とし穴があります。
いや驚きました。ミステリーの基本は一番怪しくないのが犯人だ!というのをすっかり忘れさせてしまうほど、メインの悪役の存在感が際だっていました。キャットウーマンも華を添えています。
様々なハイテク兵器も登場しますが、基本は腕っ節で殴り合いをするっていうシーンが一般的なアメリカ人好みらしく、そうしたシーンが多いのも特徴です。
★★☆
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鍵 1959年 大映
監督:市川崑 原作:谷崎潤一郎 出演者:京マチ子、仲代達矢、中村鴈治郎、叶順子
上映当時は成人映画指定となっていましたが、現代の感覚からすればそのセクシー度は全然たいしたことない感じです(テレビ用に修正がされてはいるのでしょうけど)。
1960年のカンヌ国際映画祭のコンペティションに出品され、審査員賞を受賞したという作品でもあります。
原作は言わずと知れた谷崎潤一郎の小説ですが、映画版はその内容とは多少違っています。
それにしても、当時の人気女優京マチ子が色っぽい人妻役で当時35歳の円熟した際どいシーンが散りばめられ、なかなかのものです。
しかし、夫公認?で古風な人妻の浮気、しかも自分の娘の彼氏との不倫というストーリーは、この時代には十分に衝撃的だったでしょう。どういう人が映画館へ駆けつけたのでしょうか。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
北の零年 2004年 東映
監督:行定勲 出演者:吉永小百合、渡辺謙、豊川悦司、柳葉敏郎
明治初期の近代日本が幕開けした激動と混乱の時代に実際に起きた「庚午事変」により、徳島藩淡路島(当時淡路島は徳島の範囲だったのですね)から未開地の北海道へ移住を命じられた稲田家の人々をモデルとした映画です。
主演の吉永小百合と渡辺謙が夫婦役で、先に乗り込んでいた夫(渡辺謙)の元へ、子供を連れた妻(吉永小百合)を含む第2陣の移住隊が四国から北海道は静内へやってきます。
しかしその後すぐに明治政府から廃藩置県が発令され、先行して北海道に入っていた徳島藩の開拓民達の居場所がなくなり、帰るにも帰れず、事実上、藩からは見捨てられてしまうという理不尽な扱いを受けます。
そこで美しい妻と賢い夫の夫婦愛情物語かと思いきや、まったくそうではなく、夫は寒冷地でも耐えられる農作物の指導を仰ぐために札幌へ向かいますが、そのまま行方不明となり、妻をはじめ、開拓地に残された人達は厳しい冬の北海道で食うに食えない過酷な状況に追い詰められていきます。
以前読んだ吉村昭著のノンフィクション小説「羆嵐 」はやはり北海道へ移住してきた開拓民と巨大な羆との闘いで先住のアイヌ民に救われるという内容でしたが、この作品でもアイヌ民が大きな役割を担います。
トヨエツは侍の恰好よりもアイヌ民族衣装を着ている方がずっと似合っていると思ったのは私だけではないでしょう。
それにしても撮影当時60歳の吉永小百合は役柄でも見た目でも30代にしか見えないという映画のマジックには驚かされます。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
海街diary 2015年 「海街diary」製作委員会
監督: 是枝裕和 原作者: 吉田秋生 出演者:綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず
昨年(2015年)カンヌ国際映画祭に鳴り物入りで出品され、主演者総出で色気と笑顔を振りまいてきましたが、肝心の映画の評価はイマイチだったようです。
しかし映画のストーリー自体は決して悪いものではなく、ちょっと出演者が妙に張り切り過ぎていて、その演技が空回りしている面がありますが、風光明媚な自然や、家族の絆、姉妹愛など、日本人の感性からすればなかなか心に染みるいいものです。
それに脇役として樹木希林、大竹しのぶ、五十嵐淳子の名優陣が、演技の下手な主演の4姉妹を救ってくれています。
ストーリーは、次々と結婚離婚を繰り返してきた父親の葬式に出た最初の妻の子である3姉妹が、すでに亡くなっている二番目の妻との間にできた義理の妹と出会い、3姉妹が住む鎌倉の家にやってきます。
ま、家族とはなにか、娘それぞれの気持ちと感情がほとばしるってのが狙いだったのでしょうけど、ちょっと学芸会的ノリでその点は残念だったかも。カンヌのプロの審査員もこれではちょっと賞は出せないでしょうね。
★★☆
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と言ってもロードショーを映画館へ見に行ったわけではなく、テレビで放映されたものを録画しておいたり、レンタルDVDを借りてきて観たものばかりです。
「るろうに剣心 京都大火編」(2014年)
「るろうに剣心 伝説の最期編」(2014年)
2011年に制作された「るろうに剣心」が大ヒット?して作られた続編です。主演の緋村剣心役に佐藤健、ヒロインに武井咲、脇を他の映画では主役級の大物俳優伊勢谷友介、福山雅治、藤原竜也などを揃え、なかなか豪華な出演者です。
あらすじは省略しますが、伝統的なチャンバラ劇を現代風にするとこうなるって見本のような映画で、正統な侍、剣術ファンにとっては痛いことこの上ないでしょうが、衰退している時代劇に新風を吹き込んだ功績は大きいのではないでしょうか。
この映画で主人公を助ける脇役で登場する江口洋介が演じる斎藤一(さいとうはじめ)別名藤田五郎は、幕末の新撰組の三番隊組長という真の侍で、その名前を逆さにした「(人斬り)一刀斎」と呼ばれ倒幕勢力に恐れられていました。
この映画の主人公剣心が「人斬り抜刀斎」と呼ばれているのは、この「人斬り一刀斎」をモチーフにしているというのをどこかで読んだ気がします。
この映画とは関係がありませんが、浅田次郎氏の小説に「一刀斎夢録」というのがあり、斎藤一の新撰組での活躍から、明治新政府における教育者としての立場をフィクションとして描いていますが、なかなか面白かったです。こちらもぜひ映画化を期待したいところです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「アメリカン・スナイパー」(2014年)
泥沼化するイラクでのテロリストの戦争に4度従軍した実在した伝説的なスナイパー(狙撃手)クリス・カイルが書いた回想録の映画化です。
監督はクリント・イーストウッドで、北米での興行成績はスティーヴン・スピルバーグ監督の「プライベート・ライアン」(1998年)を超え、戦争映画の中ではトップに踊り出ました。
圧倒的な武力差がある中で、他国において次々とテロリスト?達を撃ち殺していくのは果たしてどうなのよーと思わなくもないですが、アメリカ人にとっては、他国のために多くのアメリカ人が血を流し、勧善懲悪を果たしてやっているのだという思いが強いのでしょう。正義は常にアメリカにありと。
そうしたテロ国家という決めつけで、他国に軍事介入していく疑問などはまったく挟むことはなく、単に戦闘的な鷹派の作りになっているのは原作は読んでいないのでわかりませんが、映画の場合、クリント・イーストウッド監督ですから仕方ないところなでしょう。
スナイパーを描いた映画と言えば「ジャッカルの日」(1971年)、「山猫は眠らない」(1993年)、「レオン」(1995年)、「スターリングラード」(2001年)、「ハート・ロッカー」(2010年)など数多くありますが、中でもやはり第二次世界大戦中に実在したロシアの狙撃手を主人公にした「スターリングラード」は別格で、一番好きな映画です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
新劇場版 頭文字[イニシャル]D Legend1 -覚醒-(2014年)
新劇場版 頭文字[イニシャル]D Legend2 -闘走-(2015年)
言わずと知れたしげの秀一氏の漫画原作で、テレビアニメや実写映画化、ゲームなど様々な展開を見せている頭文字Dですが、原点に戻って、主人公がスピードに目覚めるところから峠の下りで激しいバトルを展開するところを描いた初期の頃のリメーク版です。
今年2月には第3弾の「Legend3 -夢現-」が最終章としてロードショー公開されることになっています。
漫画が最初に登場したのが1995年ですので20年前になります。その後のクルマの進化や、道路や社会環境は大きく変わってきましたが、それでも当時の若者(今では立派な中年)を夢中にさせたクルマやストーリーは今でも新鮮です。
登場するクルマもAE86はもちろん、高橋兄弟のロータリークーペRX-7(FC3S、FD3S)、スタイリッシュなFR車シルビアS13、最強パワーとAWDを誇るスカイラインGTRのR32、FF最強のシビックEG6など中年オヤジにとっては懐かしいクルマが次々と登場してきます。
でも正直言って、やっぱ迫力は実写版映画の「頭文字[イニシャル]D THE MOVIE」がよかったかな。あれの続編をぜひに作ってもらいたいモノです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ジョーカー・ゲーム」(2015年)
柳広司原作の小説の映画化で、亀梨和也主演、伊勢谷友介、深田恭子など出演の国産スパイ映画です。
モデルは日本帝国陸軍のスパイ養成機関中野学校で、そこに選抜され訓練を受けたスパイ達が、太平洋戦争前の中国租界地において日・英・米の諜報戦を闘う姿を描いています。
真面目な歴史映画ではなく、エンタメスパイ映画ということで、割り切って楽しむもので、ストーリーや展開にどうこう言うべきことではありません。
ただ007シリーズやミッション:インポッシブルのように、お金をかけた派手で魅力的なスパイ映画が多い中で、少予算の中で演技の素人のアイドル歌手が主人公を演じるというのは見劣りするのは仕方ないとはいえ、少々無理があるなぁって感じ。
小説は続編というか短編なのでネタは続きますが、残念ながらこの出来では映画の続編は期待できないでしょうね。
唯一、深キョンがルパン三世の峰不二子のような出で立ちでセクシーに立ち回り、活躍するのがオジサンが見ていて唯一楽しかった点です。
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