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1681
民王(文春文庫) 池井戸潤

2010年単行本、2013年に文庫化された日本を舞台にし、政治を扱ったコメディSF小説です。

漢字が読めない総理大臣とか、理想を追い求めて政治家になったものの、政治力学と利権誘導などにまみれていく中で変わっていく政治家などが面白おかしく書かれています。

さらにSF要素として、アメリカの製薬会社で密かに開発された意識を別人と変換できる技術がテロ組織に漏洩して、総理大臣とそのバカ息子の意識が入れ替わるというとんでもない内容です。

著者の小説では、リコール隠しの「空飛ぶタイヤ」や、ゼネコンの談合問題を描いた「鉄の骨」、不良債権まみれの都市銀行が舞台の「果つる底なき」など硬派なものが好きですが、こうしたおちゃらけた小説も書いていたとはちょっと意外な感じがしました。

感想としては、ちょっとふざけ過ぎということで、評価は厳しいものとなります。それは上記にも書いたように「硬派なビジネス系小説」を書く(書いて欲しい)作家というイメージが私の中にはあり、それとの落差が許容できなかったためと思われます。

銀行員出身の著者にしてみれば、政治を扱うことと、それをコメディに仕立てるのはおそらくチャレンジだったと思いますが、空回りしてしまったようです。

★☆☆

著者別読書感想(池井戸潤)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

震災列島(講談社文庫) 石黒耀

以前、デビュー作の霧島火山噴火を描いた「死都日本」(2002年)を読んだことがあるパニック系?小説を得意とする著者の第2作目がこの「震災列島」です。

本職は内科医ということで、北杜夫氏、渡辺淳一氏、北村薫氏、帚木蓬生氏、久坂部羊氏、海堂尊氏、知念実希人氏、夏川草介氏など、才能ある人はなにをやってもできちゃうものです。

本著は2004年に単行本として、2010年に文庫化されています。つまりここが重要なんですが東日本大震災が起きるずっと前に、発生場所こそ違いますが、大地震と大きな津波、そして原発事故を予言していた小説です。

内容は、地面に穴を掘る掘削業者の主人公は、東海地震が起きれば、名古屋市内でも名港に近い自宅周辺では津波が到達するだろうと思っています。

そしてその住宅地には暴力団組織のフロント企業が進出してきて、東海地震にかこつけて地上げをしようと狙っています。

そして住民に対する嫌がらせが始まり、住民組合の会長をやっている主人公の父親と一緒にフロント企業へ苦情を申し立てにいき一悶着を起こします。すると主人公の娘を誘拐し重傷を負わせ、自殺へと追い込む暴挙に出てきます。

それに対して主人公は、暴力ではかなわないので、地震や地盤の知識を生かし、さらに調べて東海地震と東南海地震が必ず連動して起きるだろうことを予測して、暴力団を一網打尽にすることを計画します。

というような流れですが、個人の復讐劇だけではなく、危険な場所に立地している静岡の浜岡原発で地震による冷却水に問題が発生して建屋が水素爆発したり、管理棟の免震構造が不十分なことなど、東日本大地震を完全に予言していたと言っても良い内容です。

さらに本書の中では、政府が東海地震が起きると世界中から日本売りが殺到することを予測して、日銀とあらかじめ計画を立て非常事態が起きた際には国民の資産をすべて一時凍結する施策を練っていきます。

それだけに内容豊富で、文庫としては約2冊分になる617ページの長編です。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

神と罌粟(ハヤカワ文庫) ティム・ベイカー

本著はオーストラリア人(今はフランスに在住)の著者の2作目の長編小説で、2018年に発刊され、日本語翻訳版は2020年に出版されました。

タイトルにある罌粟は「ケシ」と読みますが、医療用のモルヒネの原料として使われる一方、ヘロインなど麻薬を作る原料を指すことが多いです。原題は「CITY WITHOUT STARS」で直訳すると「星のない街」です。

舞台は2000年頃、アメリカとの国境沿いにあるメキシコの架空の街です。全編メキシコが舞台の日本語翻訳小説というのは珍しいです。今まで読んだことはなかったような気がします。

そこでは経済特区の工場が建ち並び、多くの貧しい女性労働者が、中国との激しい価格競争のために低賃金で雇われています。

そしてその街では過去から800名を超える女性が誘拐され殺されるという事件が連続して発生していますが、なぜか警察の捜査はおざなりで犯人逮捕には至っていません。

主人公と言えるのは、労働組合の女性活動家(オルグ)、女性フォトジャーナリスト、他の地区から移動してこの連続女性誘拐殺人事件の捜査にあたる刑事、犯罪組織カルテルの首領、幼い頃に虐待を受けていたカトリック教会の神父の5人です。

それぞれが語り手としてランダムに出てきて、さらに登場人物がざっと30人ぐらいいますので、ついていくのが結構しんどかったです。

さらにメキシコ人の名前や地名が日本人にあまり馴染みがないこともあってなかなか覚えられず、誰が誰だった?と、半分ぐらいまでは「登場人物一覧」と首っ引き状態でした。

警察組織や上司も腐敗しているようで、そのためあまり乗り気ではない相棒と二人だけで謎の解明と犯人逮捕へ突き進む刑事はわかりやすい構図なので、つい感情移入していきます。

その周囲では聖職者の不正と犯罪組織カルテルの結びつき、さらにはアメリカの麻薬捜査機関が出てきて邪魔をしたり、低賃金にあえぐ女性労働者を組織化し、無謀にも工場の中でストライキを画策しようとする活動家など、様々な話題がとっちらかってしまい、これほどいっぱい詰め込む必要があるの?という感じもします。

文庫としては多い510ページの長編で、登場人物や地名の難しさもあり、読むのに結構時間を要しましたが、日本とはあまり縁のないメキシコの国内事情などが少しわかって(20年以上前の架空の話ですが)それなりに楽しめました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ブラフマンの埋葬(講談社文庫) 小川洋子

少し前に読んだ「ミーナの行進」(2006年)の2年前に発刊された作品で2004年に単行本、2007年に文庫化されています。

「ミーナの行進」が自分の子供時代を彷彿させるというかヒントにしたような内容だったのに対し、この著作は見事なまでの想像だけで創作したような作品感があります。

2022年4月後半の読書と感想、書評(ミーナの行進)

しかも女性作家の小説に多い(というかほとんどがそう)自分を投影した女性を主人公にするのではなく、若い男性が主人公の話で、男性独特の感情の機微がうまく表現されています。

国内の辺鄙な場所にある資産家の大きな別荘を改築して、芸術家達が自由に使える「芸術家の家」の管理人の青年と、あるとき青年の元に怪我をして助けを求めてきた子犬のような謎の生物「ブラフマン」との出会いと別れまでの短い物語です。

その生き物は全身毛に覆われていて肉球もあり子犬のようですが、手足の爪のあいだに水かきがあり、池に連れて行くと喜々として飛び込んで泳ぐという、河童の子供か?と思ってしまいました。河童は全身が毛に覆われているとは思えませんが、私は見たことがないので。

青年のひとり語りで、町にある雑貨屋の娘への淡い想いや、古くから芸術家の家を作業場としている墓碑銘を専門的に彫る石工師との友情、生きた動物の毛アレルギーの手編み作家の高齢女性との諍いなどとともに、その町ができた経緯などがうまく物語に散りばめられてとても面白かったです。

この著作を入れてまだ3作目ですので、これからもっと読んでみたいと思ってます。

★★★

著者別読書感想(小川洋子)

【関連リンク】
 11月前半 夜明けまで眠らない、危険なビーナス、掏摸、高い城の男
 10月後半 友罪、カズサビーチ、コロナ倒産の真相、解錠師
 10月前半 サラバ(上)(中)(下)、ペスト、団塊の秋

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1678
夜明けまで眠らない(双葉文庫) 大沢在昌

著者の作品は「佐久間公シリーズ」を始め1990年代と2000年代によく読みましたが、最近はすっかりご無沙汰してました。本著は2016年に単行本、2018年に文庫化された長編ミステリー&ハードボイルド小説です。

2007年に読んだ「死角形の遺産」以来、久しぶりに著者の作品を読みましたが、やはりハードボイルド小説を書かせれば抜きん出ているのはさすがです。

主人公は東京でタクシーの運転手をやっていますが、元は陸上自衛隊空挺隊員からフランスの外人部隊、さらにはフリーの傭兵と、いかにもという経歴です。

しかしその傭兵時代に経験した夜中に仲間の首を切り取って持ち帰るという恐ろしいゲリラ集団のトラウマが消えず、暗い夜には寝られず明るい昼間に寝るという生活から、夜間専門のタクシー運転手に落ち着いたという事情です。

そのタクシーに乗ってきた男が後席に携帯電話を置き忘れ、その忘れ物を届け出てきた男がタクシーに乗った男とは違っていたことから返却しなかったことで脅されますが、そこから物語はミステリーな展開が始まります。

最初は反社会組織との闘いかと思いきや、傭兵時代に反政府組織と戦ってきたことが絡んできて俄然面白くなります。

日本国内では派手な撃ち合いシーンは現実離れして小説でも使いにくいところですが、治外法権の外国大使館員や、その専用住宅の中での銃撃戦へとうまく持って行ってます。

シリーズ化してもおかしくない経歴を持つ影のある魅力あるスーパーヒーローの主人公ですが、残念ながら今のところ続編は出ていないようです。

★★☆

著者別読書感想(大沢在昌)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

危険なビーナス(講談社文庫) 東野圭吾

2016年に単行本、2019年に文庫化された長編ミステリー小説です。2020年にはテレビドラマ版も作られています。

主人公は動物病院の雇われ院長代理の独身男性で、早くに画家だった父親が亡くなり、母親の再婚相手の裕福な名門家で育ちますが、自分の家ではないと大学を卒業してからはその実家には寄りつきません。

母親と再婚相手との間に子供ができて、その子(主人公の弟)が名門家の跡継ぎとして育てられますが、家のメインの総合病院は継がないで、アメリカに渡ってベンチャー企業を創業しています。

その名門家の当主が危篤に陥ったことから、相続の問題もあり、アメリカから次男が帰ってきますが、婚約者だという女性から「帰国したあと行方不明になった」と主人公の元に電話が入ります。

相続には無縁でいたいと思っていた主人公ですが、その婚約者のために相続争いが予想される実家へ弟の婚約者を連れて行くことになります。

いかにも危険で妖しい雰囲気が漂いますが、相続争いというより、主人公の母親が再婚前に住んでいた家の浴槽で亡くなっていたという古い事故の話が蒸し返され、さらに危篤の当主が若い頃におこなっていた新しい脳の治療術を人体実験していたのでは?ということまで拡がっていきます。

ちょっと混乱しますが、最後はもっと驚愕の展開が待ち受けています。いやーさすがにミステリーの天才作家さんです。リアリティはないですが、予想だにしなかった展開に脱帽です。

★★★

著者別読書感想(東野圭吾)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

掏摸(河出文庫) 中村文則

2009年に単行本、2013年に文庫化された小説で、タイトル通り掏摸(スリ)を生業としている男が主人公の物語です。

そのどんどんと追いつめられていく場面がなんとも重苦しく、主人公の悩みに深く感情移入してしまいました。

元々はフリーで仕事をしていましたが、あるとき筋者と仕事で関わることになってしまい、そのボスから見込まれて無理難題を突きつけられることになっていきます。

スリのテクニックについてはおそらく取材しているのでしょう、かなり具体的に紹介されています。一種のマジシャンのようなものです。

私は20年ぐらい前、新幹線の中で、帽子掛けにかけておいた上着のポケットの中から、サイフをすられたことがあります。本を読んでいたので寝てはいなかったのですが、ガラガラの前の席にすっと座ったスリに新大阪から京都間の20分間のあいだにすられ、京都駅を発車した時にハッと気がついたら上着の向きが変わっていて、前に座った人はいなくなっていました。

しかしその上着の内ポケットにサイフが入っているとよくわかったものです。新大阪駅で土産物を買いサイフを取り出した時から、目をつけられていたのかも知れません。

小説の中でも、サイフや、奪いたい目的物が、内ポケットやズボンのポケット、バッグの中など、どこにあるかというのが決行する際の最大ポイントだということがわかります。そのためスリはしばらく様子を見て、あるいは偶然を装ってぶつかって、どこに目的物があるのかを確かめるようです。

小説の最後はフリーのスリ師の小悪は、ずっと大きな巨悪からは逃れられず、切ない結末でしたが、その巨悪を主人公にした続編「王国」があるそうですので読んでみたいと思います。

★★☆

著者別読書感想(中村文則)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

高い城の男(ハヤカワ文庫SF) フィリップ・K・ディック

映画「ブレードランナー」の原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」で有名なSFの巨匠作家ですが、同著よりも高い評価を受けているのがこの作品で、1963年にはSF小説最高の栄誉であるヒューゴー賞を受賞しています。原題は「The Man in the High Castle」と、翻訳版のタイトルは直訳です。

アメリカで最初に発表されたのは1962年で、日本語翻訳版は1965年(昭和40年)に一度出ていますが、今回の文庫は初版が1984年(昭和59年)のものです。

上記の「ブレードランナー」以外にもこの著者の作品は、「トータル・リコール」(1990年)、「マイノリティ・リポート」(2002年)、「ペイチェック 消された記憶」(2003年)、「NEXT -ネクスト-」(2007年)など、数多くの映画の原作となっています。

内容はまったく知らずに読み始めましたが、ビックリです。

第二次世界大戦が、ドイツ、日本、イタリアの枢軸国の大勝利に終わり、連合国は廃墟となりドイツと日本がアメリカを分割統治している世界が舞台です。

ドイツは、ヒトラーが病気でその後を継いでいた側近のボルマン首相が亡くなり、その後をゲーリングやゲッペルス、親衛隊幹部のハイドリヒなどが次の首相候補として政治が混乱してきます。

日本はアメリカに太平洋岸連邦を設け、サンフランシスコに日本の統治拠点を置いていますが、相変わらずユダヤ人の迫害を続けるドイツを苦々しく見ています。

そうした中でアメリカ国内で読まれているのが「イナゴ身重く横たわる」というタイトルの、第二次世界大戦で連合国側が勝っていればこうなるという内容の小説です。

この本はアメリカの管轄地域では普通に売られていますが、戦勝国ドイツの占領地域や影響力がある地域では禁書となっていて密かに回し読みされています。

その小説を書いたアメリカ人男性が住んでいるというのが、デンバー近くにある安全に配慮した高い城だという噂があり、読者で内容に感激したアメリカ人女性が謎のイタリア人のトラック運転手と一緒にその著者に会いに行こうと高い城へと向かいます。

一方、ドイツから商人と騙ってサンフランシスコへやってきたドイツ国防軍情報部大尉が、日本の在米通商代表団代表とそこへ日本から来た元陸軍参謀総長に対し、ドイツ政府内で密かに計画されている日本への核攻撃作戦を聞かされ、それを阻止するために協力して欲しいと頼まれます。ドイツは同じ戦勝国の日本さえ叩けば世界を征服できるという思惑からです。

日本の和歌や中国の易などが方々に出てきて、日本がアメリカを支配管理するとこうなるという1962年当時の創造がとてもユニークで面白いです。

昭和(前半だけか)な日本人なら一度は「もしあの戦争に勝っていたら」と夢想することがあると思いますが、それを具体的に描いたのがこの小説で、ドイツ人はかなり悪者として描かれているのに対し、日本人はドイツのユダヤ人迫害に反対の立場で、占領地においても礼を欠かさず穏やかな表現になっていてホッとします。

しかし科学技術は圧倒的にドイツが進んでいて、火星や金星までロケットを飛ばし、ドイツの航空会社ルフトハンザはロケット旅客機で超高速移動を可能としているなど飛び抜けたところが面白いです。

その点、日本はまだプラスチックの射出成形技術がなく、ドイツから技術提供を受けたいと願っているなど、旧態依然で見る影もありません。

何事にも中国の易占で現れた結果で判断するなど、やや東洋のことを誤解していたり、また和歌なども出てきたり、見方によっては哲学的なところもあって理解しにくいところも多く、西洋と東洋の距離がとてつもなく大きかった時代の1962年に書かれたSF小説というのを理解して読めばそれらも許せます。

★★☆

著者別読書感想(フィリップ・K・ディック)

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1674
友罪(集英社文庫) 薬丸岳

2013年に単行本、2015年に文庫が出版されたミステリー長編小説です。また2018年にはこの小説を原作として、生田斗真と瑛太のW主演の映画が公開されています。

主人公のひとりには神戸連続児童殺傷事件の加害者「少年A」をモチーフにし、医療少年院を出所後、作られた別名とニセの履歴をもって寮がある埼玉の鉄工所に就職します。

もうひとりの主人公は、大卒でマスコミ志望でしたがうまくいかず、アルバイトをしていた週刊誌のフリーライターの仕事と住まいを失い、とりあえず住むところを確保しようと寮がある同じ鉄工所に就職し、二人は同日に採用され働き始めます。

同時に入社した同い年の男性は、寮では薄い壁を挟んで隣ですが、毎晩悪夢に襲われてうなされていることを不審に思います。

文庫で593ページのそこそこ長尺ですが、時間の流れはゆっくりしていて、せいぜい1~2年の話です。それだけに二人の関係が濃密で、二人を中心としながらも周囲の人達が巻き込まれたり、関わってくることで様々なことが起きるというパターンです。

果たして自分の友人、仲間だと思っていた人が、実は何の罪もない子供を殺し、さらに異常者としか思えないような残虐な死体損壊をしたと知ったら果たしてそれまでと同じように付き合えるか?という問いかけをしています。

ドキュメンタリー番組などで、過去に犯罪を犯した前科者が退所後に身元を引き受けて仕事を与え更生の手助けをする人(社長)が出てきますが、なかなか難しいというのが実態です。どうしても周囲は色眼鏡で見てしまいます。

ましてや、殺人、しかも無抵抗な子供殺しで、少年法に守られ罪に問われず出所してきた人にどこまで心を許せるのか?という重苦しい問題を考えさせられます。

また同時に悪い男に騙されアダルトビデオに出演し、騙されたとわかって男の元から逃げ出したあとも男から過去の映像を職場などにばらまかれるという女性が出てきます。こちらは犯罪者ではないものの、過去の行いによって真っ当に生きようとしても人生を狂わせられてしまう破滅的な話が出てきます。

そうした心苦しい重い話ですが、最後は少しは救われるような形で終わっているのが救われます。

★★☆

著者別読書感想(薬丸岳)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

カズサビーチ(新潮文庫) 山本一力

2016年に単行本、2019年に文庫化された歴史長編小説です。最初はタイトルを見てどこか南のリゾート地の話かと勝手に想像しましたが、全然違っていました。

タイトルのカズサとは上総(かずさ)のことで、現在の千葉県の大部分で九十九里浜などを含むエリアの総称です。

著者の作品は、歴史時代小説をメインとして7作品を読んでいますが、代表的な作品で鎖国中の江戸時代に難破した後救助されアメリカへ渡って教育を受けた中濱万次郎を描いた「ジョン・マン」シリーズはまだ読んでいませんでした。

そのジョン万次郎と同じように、日本の漁船が難破して、アメリカの大型捕鯨船などに救助されたことは幾度とあったようです。

この作品では二隻の漁船、12名もの漁師を救ったものの、時はまだペリー来航の前で、ガチガチの鎖国真っ只中の日本の陸地に近づくだけで無警告で砲撃されるという状況です。

どうやって漁師達を安全に引き渡し、また多くの漁師を救ったためにその先の航海で不足することとなった食糧や燃料などを日本で積み込めるかという難題に取り組んだアメリカの船長が主人公です。

今は引退状態でロングアイランドのサグハーバーに住む船長に会いたいとやってきたのが、江戸幕府と開国交渉をおこなおうとするペリー提督の要請を受けた富豪です。

その富豪に対して、幕府との交渉の仕方や日本人気質など、船長が長い時間をかけて語るというストーリーです。

日本の江戸幕府と交渉するために、上総沖に停泊し、救助した漁師の一部を交渉役として上陸させますが、前例のないことで幕府の中でも鎖国を堅持すべしの攘夷派と、領民の命を救ってくれた恩人に報いるべきとの人権派のあいだで混乱します。

鎖国中と言うこともあり、幕府にはわずかに長崎出島にいるオランダ人から教わった英語を学んだ役人はいますが、救われた漁師に英語を理解する者はおらず、言葉でのやりとりができず、絵を描いたり仕草で伝え合ったりと想像を絶する交渉で、その苦労が偲ばれます。

実話を元にしたこうした小説はリアリティがあってグイグイと物語に引き込まれます。とても面白かったので、関連する小説「ジョン・マン」シリーズも読んでみたくなりました。

★★★

著者別読書感想(山本一力)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

コロナ倒産の真相(日経プレミアシリーズ) 帝国データバンク情報部

2021年5月発刊の新書ですので、まだコロナ禍の真っ只中で中間報告的な内容となっています。

意外だったのは、一般的にコロナ倒産第1号は、北海道にあるコロッケ製造販売業者が2020年2月に自己破産を申請したということです。

帝国データバンクがコロナ関連倒産と認定した定義は、「新型コロナが倒産の一因となったことが当事者が認めた場合、または取引先への通知にその記載があること」だそうです。

その後コロナ倒産は増え、2021年3月末時点で1237件、負債総額は4409億円にのぼっています。

しかし実際には2020年は前年から6.5%も倒産件数が減り、20年ぶりの少なさという、倒産件数が大幅に減っている変な現象が起きていました。つまりリーマンショックの時のように「不景気になったから倒産件数が増える」という図式が当てはまらないということです。

それには国や自治体からの様々な補助金や無利子融資など支援があったことが一番の要因ですが、その他にも本書では触れられていませんが、コロナ禍が起きるまで社会から批判の的となっていた企業の「内部留保」のおかげというのも大きかったのではないかなと思います。

様々な業種別の倒産例をあげて解説されていますが、要はコロナが致命傷となったものの、コロナ禍がなくとも経営状態は相当悪かった、あるいは相当無理をしていたというのが倒産した企業の実態というのがよくわかります。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

解錠師(ハヤカワ・ミステリ文庫) スティーヴ・ハミルトン

文庫で560ページという長編で、もし難解な内容だと読むのに時間がかかりそうと思っていましたが、まったくそうした心配はなく、サクッと読めちゃいました。

著者は探偵になりたくなかった探偵「アレックス・マクナイト (Alex McKnight) シリーズ」で有名になった作家さんですが、これはそのシリーズではなく2009年(翻訳版は2011年)に発刊された単独小説で、原題は「The Lock Artist」です。

もし原題のタイトルのままを翻訳版で使うと、英語では「Lock」と「Rock」の違いがわかりやすいけど日本語のカタカナだと「ロックミュージックのアーチスト」と勘違いされそうで、あえてわかりやすい漢字表現のタイトルになったと想像します。

主人公は17歳の高校生で、幼い8歳の時に悲劇が起きてそれ以来ずっと喋ることができなくなっています。

その主人公の一人称で物語は進んでいきますが、過去(高校生時代)と、高校を卒業後に様々な因縁の後にプロとして金庫破りをすることになった時代とが交互に語られていきます。現在(プロローグ)は刑務所の中です。

物語は、なぜ喋れなくなったのか?、なぜ刑務所にいるのか?、金庫破りの技術を教わった師匠ゴーストとは?、一目惚れした相手との恋の行方は?など様々な?が出てきてはその話が語られしていきます。

完全犯罪ものや悪人が活躍するピカレスクものでもなく、趣味で覚えた錠前破りを周囲の悪い人間が次々と利用して引くに引けなくなってしまい、やがては罪の意識もなく金庫破りを仕事としていくようになります。

しかし時には心の葛藤から、犯罪者からお呼びがかかるポケベル(時代は携帯電話がようやく普及し初めた頃)を捨ててしまおうとなんども逡巡するシーンが出てきます。

喋れないという障害を持ちながら、それが障害とはならない解錠師というスペシャルな仕事にのめり込んでいく姿はその成功したときの爽快感とともに気持ちが感情移入していきます。

最後はちょっと単純であっけない終わり方でしたが、たいへん面白かったです。

★★★

【関連リンク】
 10月前半 サラバ(上)(中)(下)、ペスト、団塊の秋
 9月後半 燃える部屋、朝日新聞がなくなる日、傀儡に非ず、残り全部バケーション
 9月前半 メタボラ(上)(下)、そこへ行くな、砂の街路図、ヒトラーの試写室


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1670
サラバ(上)(中)(下)(小学館文庫) 西加奈子

2014年に単行本、2017年に文庫化された長編小説で、2015年に直木賞を受賞した作品です。

主人公の男性が一人称で子供の頃から大人になるまでの複雑な家庭の事情と、自身の交友関係を中心に語っていきます。

父親の仕事の関係でイランで生まれ、一度は母親の実家がある大阪へ帰国するものの、小学生の頃にはやはり父親について家族でエジプトへ引っ越します。

これは著者自身の実体験が元となっているようで、現地の風俗や日本人学校の様子など、リアリティがあり読んでいても引き込まれます。

この子供時代に外国で生活している時代が、80年代後半頃でちょうど日本がバブルの真っ只中、日本人全体が自信にあふれていて生き生きとしているのがよくわかります。

そんな中でも主人公の家族にはちょっと変わった母親と、かなり変わった姉がいて、幼いながら主人公はそれらにできるだけそれには関わらないように苦心しています。

エジプトでは同年齢の現地エジプト人の友人ができ、アラビア語で「さようなら」のことを「マッサラーマ」と発音することから、それと日本語の「サラバ」を重ねて二人の合い言葉にして、いつも「サラバ!」と声を掛け合うことになります。それがこの小説のタイトルとなっています。

この小説の主人公は、身長が高く綺麗な顔立ちをしたモテモテの男性ですが、どこまで女性の著者の願望と体験がリンクしているのか気になるところです。

主人公の母親の母親(主人公の祖母)や姉(叔母)、以前住んでいたアパートの大家さんで背中に菩薩の刺青があり、やがては周囲から教祖様に持ち上げられていく女性など、魅力ある人達が次々と登場してきますが、これもまた著者の親族からなにかしらのモチーフを得ているのでしょうか。

そして大学生活や、アルバイトを続けながら、ライターの仕事も請け負い、そしてやがては家族と友情を描いた小説を書くという主人公と著者が重なっていくところが面白かったです。

★★★

著者別読書感想(西加奈子)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ペスト(新潮文庫) カミュ

原題は「La Peste」で、1947年に発刊された長編小説です。新型コロナウイルスが流行したことで、この作品が一躍見直されて有名にもなっています。

映画「ベニスに死す」は1911年に南欧でコレラが大流行した時の模様が描かれていましたが、こちらはタイトル通りペストの流行で、1940年代はフランス領だった北アフリカのアルジェリアの港町オランが長期にわたり封鎖され、治療薬もなく絶望的な中、医者達の奮闘の模様がまるで見てきたようにリアルに描かれています。

もちろんこれはフィクションの小説ですから、実在する町オランでそのようなことが起きたという事実はありません。

不条理文学と言われるカミュが、ペストがひとつの町を襲い、大人も子供も、献身的な人も、敬虔な信者も誰もかもペストに罹ると不条理な死を迎えるという、ある意味では、新型コロナウイルスなど、常に脅威の細菌やウイルスが流行してバタバタと亡くなっていく自然節理をシュミレートしているものです。

登場人物が何人も出てきますが、それがなかなか覚えられず、読み進めていくと時々混乱してしまいます。

そこで登場人物一覧を作ってみました。海外小説では巻頭に登場人物一覧があるのが通例ですが、これにはありません。この登場人物一覧を印刷し、しおりの代わりに使うと便利です。

登場人物一覧
ベルナール・リウー 主人公、医者
リウー夫人 リウーの妻と母、母とリウーは同居、妻は病気で離れた療養所にいる
ミシェル リウーの住むマンションの門番、ペストに罹って死亡
ジャン・タルー ホテルに住む謎の人物、ペスト患者対応でリウーに協力、日記を記す
リシャール 医師会会長、医師
カステル 老医師、免疫血清を研究
オトン 法廷判事、子供をペストで亡くす
レイモン・ランベール 新聞記者、仕事でこの町に来ていたところ封鎖されて出られなくなる
ジョセフ・グラン 市の臨時の下級役人
ジャーヌ・グラン ジョセフの妻
バヌルー 神父、ペストに感染するも主義から医者の治療を拒む
コタール 犯罪者、自殺未遂をリウーに助けられる小男
ゴンザレス 町から脱出したいランベールに頼まれラウルを紹介する密輸商
ラウル 町から脱出を請け負う男
マルセル 町から脱出の手伝いをしている高校生
ルイ 同上、マルセルの兄弟

なお、朱戸アオ作のコミック「リウーを待ちながら」(2018年)は、日本でパンデミックが発生するパニックを描いた医療サスペンスですが、タイトルのリウーはこの作品の主人公をインスパイアしたものということです。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

団塊の秋(祥伝社文庫) 堺屋太一

単行本が2013年に発刊され、2019年に亡くなられた著者の小説としてはおそらく最後の作品です。文庫は2019年に発刊されています。

「団塊の世代」が発刊されたのが1976年、団塊世代が30歳前後になった頃で、社会的に大きな影響を及ぼしてきました。そしてこの本が発刊された2013年頃は団塊世代が完全に定年を迎える65歳ぐらいに差し掛かる頃です。

65歳なら人生で言えばもう「冬」ではないの?ということですが、巻頭に「人生は、玄(くろ)い冬にはじまり、青い春と朱(あか)い夏を経て、白い秋に至る。暗い冬で終わるのではない。」とあります。

しかしこの小説に登場するのは、学生時代の1971年に、学割の海外ツアーで出会った人達が、その後も仕事や思想は様々ですが、度々集まって老年に入っても会食を共にしていきます。

その人達とは、東大出の厚生省官僚、大手都市銀行勤務、弁護士で野党の国会議員、朝日新聞社がモデルと思われる大手新聞社勤務、三洋電機がモデルと思われる大手家電メーカー勤務、高校教師で夫婦とも公務員で定年まで勤務、大手商社勤務を辞めて実家の建設業を継いだ男性と、それぞれ誰もがうらやむ?キャリアを歩んでいきます。

読んでいても、年金が夫婦で50万円とか、退職金が6千万円とか、思いっきりひがんでしまいます。

例えば厚労省官僚として、あるいは大手都市銀行や大手新聞社で定年を迎えた男は、定年後の天下り先には事欠かず、最後まで仕事や収入に恵まれています。

高校教師だった女性は定年まで働き、結婚した相手も公務員で、バブル時に家を買い、高金利のローン返済に汲々としますが、二人して満額の年金をもらうことで余裕の老後生活です。

この登場人物で、一番たいへんだったのは、三洋電機がモデルの大手家電メーカーへ就職した男性が、やがて松下電器?に吸収されて閑職へ出され、その後は配送センターやタクシー運転手へと仕事が変わっていく人と、大手商社を辞めて実家の建設業の跡継ぎとして社長になりますが、バブルが弾けた途端に破産してしまい、財産も家も失ってしまい嫁の実家に転がり込むことになる男性。

しかしいずれの登場人物もそれなりに幸せをつかみ、最後は2028年に集まろうとレターを出して、現状がそれぞれ報告されるところで終わります。

未来予測小説でもありますが、実際のその後の世界は新型コロナで世界中がパンデミックに襲われるとか、ロシアがウクライナに侵略し、制裁措置で世界が真っ二つに分かれてしまい、石油や天然ガス、食料品などが不足するなど思いもよらないことが起きています。

小説に何度か出てくる、日本の戦争犯罪を何度も持ち出されて糾弾されるのも困りますが、これ以上、キナ臭いことが起きないことを願うばかりです。

団塊の世代で華々しくデビューした著者の最後の作品としては、こちらもやや楽観的過ぎ、独善的とは思いますが、同じ時代をおくってきた団塊世代には共感するところが多いでしょう。

★★☆

著者別読書感想(堺屋太一)

【関連リンク】
 9月後半 燃える部屋、朝日新聞がなくなる日、傀儡に非ず、残り全部バケーション
 9月前半 メタボラ(上)(下)、そこへ行くな、砂の街路図、ヒトラーの試写室
 8月後半 R帝国、レインツリーの国、冷蔵庫を抱きしめて、追撃の森


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バイクやクルマを運転していて、時々「どうしよう?」と判断に迷うときがあります。

それは、「自転車にまたがったまま、横断歩道を渡りたそうにしている場合、停まるべきかどうか」

何度かそういう場面に出くわしますが、歩行者や、自転車を降りている人が横断歩道で渡ろうとしている人がいれば、間違いなく停まって譲ります。またそうしなければ道交法違反です。

例外はないと言いたいですが、横断歩道を渡りたいのか、単にその場所で人待ちで突っ立っているだけなのか?その場で電話をしているだけなのか?など、判断に迷うこともありますが、そういう場合は、横断歩道前で停まれる速度まで落とし、ギリギリまで様子をみることはあります。

山梨県で、歩行者に手で合図されて譲られたので先に通ったドライバーが警察官に止められ違反キップを切られたという話題が少し前に炎上していました。

歩行者妨害「お先にどうぞ」で行ったら違反に!撤回に至るまでの全記録(藤吉修崇弁護士)

私もウォーキング中など歩行者の立場の時、横断歩道の手前で、やってくるクルマが1台だけで、それが通り過ぎれば後続車はないから、先に行っていいよーとクルマのドライバーに手で行けと合図をすることがありますが、それでドライバー側が違反に問われるのは無茶な話です。自分がドライバー側なら違反と言われても納得できません。

少し離れた場所で警戒(いわゆる隠れて取締り)している警官にとっては、その歩行者の行動(譲る仕草など)が見えないから、歩行者妨害だ!という判断をする場合があるのでしょうけど、違反ではないとドライバーが証明するには、その歩行者の証言を得るか、装着してかつちゃんと映っていればドライブレコーダーの映像を見せるしかなく、面倒な事態となります。

歩行者の時でさえ、そういうことが起きるのに加えて、自転車に乗った人が横断歩道に停まっている場合、普通に考えるなら、

・「自転車は軽車両だから歩行者とは違う」
・「車両と車両なら優先道路のこちらに優先権があり停止する必要はない」

しかし、、、

その手の話で迷う人は多そうで、こういう記事がありました。

横断歩道での自転車=歩行者扱い!?結局、いったいドライバーはどうすりゃいいのか!(ベストカーweb)
「横断歩道の自転車にはどう対処したらいいのか?」ということをよく聞かれる。なかには「歩行者と同じで自転車に優先権がある」などと、拡大解釈したがる警察のお先棒を担ごうとする報道もあります。

要約すれば、
優先道を走るクルマが、信号のない横断歩道にさしかかったとき、
自転車に乗った人が横断しようとしていても優先道を走っているクルマに停止する義務はない
ただし、自転車横断帯※を渡ろうとする自転車があれば自転車が優先でクルマは停止義務がある
自転車を降りて横断歩道を渡ろうとしている人がいれば、クルマは停止義務がある
 ※自転車横断帯:歩行者用の横断歩道に付随してある自転車マークの横断帯

この自転車横断帯は信号のない横断歩道にはほとんどないのですが、「自転車も歩行者と同様に横断歩道で優先権があり、クルマは一時停止しなければならない」と書いてあるだけの誤解を招きかねない記事が散見されます。

例えば、「横断歩行者等の 『等』には自転車も含まれる」や「横断歩道で待っている限りは自転車も(乗っている場合でも)歩行者と同様の扱いである」と書かれている場合もあります。

これは、「自転車」に、「自転車横断帯を走る自転車」という条件がつきますが、誤解や思い違いから誤った解釈がよく見られます。

当然、警察官でもよく理解していない人もいるでしょうから、思い込みや拡大解釈で取締りをおこなう場合もありそうです。

さらに例外的にややこしいのは、

13歳未満の子供、及び70歳以上の高齢者」が乗る自転車は、例外的にすべての歩道を乗ったまま走ることが許されていて(改正道交法第63条の4第1項第2号)、つまり「歩行者と同等」とみなされるので、自転車に乗ったままでも横断歩道では歩行者と同じく優先されるということです。

横断しようとしている自転車に乗った高齢者っぽい人がいた場合、「あの人は70歳未満か?以上か?」なんてとっさに判断できっこないのですが、ルールはそういうことです。わからない時には停まるしかないでしょう。

未だに、横断歩道で歩行者の横断のために停まってくれるクルマは、私の実感では5割に達していませんが、今後は取締りも厳しくなって、シートベルトの着用義務化などと同じく、取締りを厳しくすればやがてはそれに馴染んでくるのでしょう。

文化先進国になるためにも、厳しい取締りがおこなわれなくても自然とそうしたマナーやルールが当たり前になるといいのですけどね。

【関連リンク】
1605 年齢層別交通事故数と運転免許取得者数
1081 高齢ドライバに対する偏見と規制
658 自転車のマナー違反が特にひどい



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