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大いなる遺産(上)(下)(新潮文庫) ディケンズ
チャールズ・ディケンズ(Charles John Huffam Dickens)は19世紀中盤(1812年~1870年)に多くの小説を書いた英国の作家です。代表作には本作とともに、『オリバー・ツイスト』『クリスマス・キャロル』『デイヴィッド・コパフィールド』『二都物語』などがあり、本作を含め、その多くが映画化されています。
本作「大いなる遺産」(原題:Great Expectations)は、1860年から1861年にかけて初版が出版された著者の後期にあたる作品です。原題を直訳すると「大きな期待」です。
日本語版は複数の出版社から出ていますが、私が買ったのは1951年(昭和26年)に初版が発刊された新潮文庫版の再版です。
大まかなあらすじは、時代は18世紀の中盤頃、まだ赤ちゃんの頃に両親を亡くし、下層労働者の鍛冶職人と結婚した年が離れた姉の元で育てられていた主人公に、匿名の大富豪から、巨額の遺産を相続できる可能性があることを突然家にやってきた弁護士から通知を受けます。「相続できる可能性」がつまりタイトルの「大きな期待」となるわけです。
まだ富豪は存命していて相続するには至ってないものの、下層労働者階級から紳士になるために必要なお金や教育を受けるため、家を出てロンドンに住むようになります。
ロンドンでは、様々なことを学ぶために寄宿する紳士の家で、その家の息子と仲良くなりやがて親友となり家を出て一緒にシェアハウスを借りて住むようになります。
下層労働者の居候だった子供時代に謎だらけの富豪の家に連れていかれますが、そこで知り合った富豪の養女への憧れ、子供の時に沼地で出くわした脱獄囚との関係など、複雑に絡み合いながら、年齢を重ねていくにつれ物語は佳境へと進んでいく一種のミステリー小説です。
ただ、数多くのミステリーを読んできた身としては、その遺産の持ち主が誰かは容易に想像がつき、結果は正解でした。
なにぶん時代背景も執筆されたのも古い小説ですが、テーマのひとつになっている人間性は今も昔も共通した複雑で重要なもので、読んでいても違和感は感じません。
そしてなんと言ってもこの本が長く名作として語り継がれる理由のひとつには、人が生きていくための教訓、友情、親子愛、恋愛、格差、お金の使い道、怨恨などがいくつも散りばめられていて、それぞれの読者の頭の片隅に残るものがあるからだと気がつきました。
あと、まったく本書と直接的に関係はありませんが、最近読んだ「一八八八切り裂きジャック」(服部まゆみ著)と、「ボートの三人男」(ジェローム・K・ジェローム)の小説が、ほぼ同時代で、後に産業革命と名付けられた中のロンドンを舞台とした小説だったので、その頃の世界で最も豊かで洗練され、良くも悪くも話題性に事欠かない都市に住む人達のイメージがダブって見えました。
★★★
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
人生にはやらなくていいことがある(ベスト新書) 柳美里
著者の作品は20年以上前に2作品を読んでいますが、どのような背景のある方かは一切知りませんでした。
今回この2016年に出版された新著では、韓国から渡ってきた両親のことや、何度も家出や自殺未遂を繰り返し、名門高校から退学を迫られ中退したこと、10代で劇団に加わりそこで知り合って一緒に住んでいた恋人との死別、シングルマザーとなり、新しい離れた年下のパートナー、購入した鎌倉の家から震災後に福島南相馬市へ引っ越しをした事情など、本人の半生記が何度も同じ事が繰り返して書かれていました。
もちろん、著者にはそういう気はさらさらないでしょうけど、読んでいてこれほどの不幸自慢、貧乏自慢、社会貢献自慢を読まされても気の毒とも思えないし、きっと自己主張が強烈で我の強い人なんだろうなぁというのが感想です。随筆というより自分が波瀾万丈な小説の主人公のようです。
ま、それはともかく、過去に読んだ「家族シネマ」と「フルハウス」は、あまり記憶には残っていないですが、悪い印象はなく(よい印象がなければ2作品目は読まなかった)、作家という特殊な創造性をもった方には、なにか突き抜けた経験と、自信、才能があるものなのでしょう。
この新書を読んだことで、作家のバックボーンが良くも悪くも頭の中に残り、今度著者の小説を読むときには、それらが頭の中を横切り、普通とは違った感想になってしまいそうです。
もちろん著者の大ファンであれば、必読書であることは間違いありません。
★☆☆
◇著者別読書感想(柳美里)
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闇の底(講談社文庫) 薬丸岳
著者の作家デビューは2005年の江戸川乱歩賞を受賞した「天使のナイフ」でしたが、それに次ぎ2006年に出版されたのが本書で、2009年には文庫化されました。
著者の警察小説には「刑事・夏目信人シリーズ」が有名ですが、今回の作品はそれらよりもずっと前に書かれた独立した作品です。
少し前に読んだ柚月裕子著「慈雨」と同じく、幼女誘拐殺人事件が主たるテーマになっていて、この同じようなテーマがたまたま続いたことで心苦しくなってしまいました。
主人公は、少年時代に幼い妹が誘拐され殺害された過去を持つ刑事で、同様の事件が起きて捜査をおこないます。
また並行して、過去に幼女を暴行し殺害し、10数年の刑を終えて社会復帰している前科者を、同様の事件が起きる度にその事件と関係があるなしにかかわらず、制裁として凄惨に惨殺していく謎の男性が準主人公となっています。
したがって、警察は、幼女殺害事件とともに、幼女殺害の過去を持つ出所者に対する私的リンチ事件の二つを追うことになります。
果たして幼い妹を殺され、それが自分の責任でもあると思っている刑事に、幼女を殺しておきながら社会復帰してのうのうと暮らしている出所者をリンチから守ることはできるのか?というジレンマがあり、、、というような流れです。
未来と無限の可能性がある子供をターゲットとした犯罪は特に凶悪で許されるべきことではありませんが、日本では死刑制度があるものの、原則として複数名の殺害でないとまず死刑には該当せず、さらになんらかの精神疾患等が認められると意外と軽い刑で社会復帰してくるという問題があります。
さらにこの小説でも問題となっていますが、ペドフィリアは罰せられても再犯の可能性が高く、海外では出所後も居場所を公開されていたり、GPS装置を身につけさせられるという強硬な手段も使われています。
個人的には、刑として敷居が高く、世界の主流(G7の中では日本とアメリカだけが死刑あり)となっている死刑制度は廃止(休止)し、その代わりに、完全に社会とは切り離された住人のいない島に長期受刑者用の刑務所を作り、そこで受刑者自らが農業や畜産をおこない自給自足を原則としながら、長期刑(30年とか50年とか)や終身刑という制度を作ってはどうかと思っています。
★★☆
◇著者別読書感想(薬丸岳)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
空中庭園(文春文庫) 角田光代
2002年に単行本、2005年に文庫化された連作短編小説で、2002年下期の直木賞の候補になりましたが落選しました(直木賞該当作品なし)。増刷されていないのか、Amazonではなぜか販売されていません(2023/3/12時点)。読みたい人はBOOK-OFFへGo!
収録されている作品は、「ラブリー・ホーム」「チョロQ」「空中庭園」「キルト」「鍵つきドア」「光の、闇の」の6篇です。
東京郊外の団地(本文中はダンチ)に住む夫婦と子供二人の一家と、その近くに住む祖母、夫の若い愛人が、それぞれ語り手となって1話ずつ展開していきます。
こうした東京郊外の巨大団地を舞台にした小説は重松清氏や垣谷美雨氏の小説でもよく出てきますが、世代も施設も画一化された人工都市にすむ似たもの同士で、休日には家族でバスやマイカーに乗って近くの巨大ショッピングセンターへ行くのが家族のレジャーという姿は容易に想像ができます。
一家の夫婦は、若いときにできちゃった婚をし、妻は早く母親から離れたかった理由や、ダンチを購入したことで自分の両親とは違った家族を作ろうと奮闘、夫は職を転々としながらも複数の愛人がいるというダメ夫、子供達もそれぞれのストレスや問題を抱えながら、表向きは一切の秘密がない家族を演じています。
そういう意味では、意外性はない普通の家族ドラマとも言えるかも知れませんが、夫の若い愛人が、子供の家庭教師として家に乗り込んでくると言うのは、ちょっとやり過ぎな感じも。
★★☆
◇著者別読書感想(角田光代)
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2月後半の読書 未来を見る力、カタストロフ・マニア、慈雨、ブルーアウト
2月前半の読書 幽界森娘異聞、保険ぎらい、ホテル・ニューハンプシャー、A2Z
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1700
祝!1700回 2002年から21年で日記(ブログ)が1700回に達しました。地味ながら続けています。
◇リストラ日記 過去INDEX
未来を見る力 人口減少に負けない思考法(PHP新書) 河合雅司
著者は「未来の年表」がベストセラーになり、その後「未来」を銘打ったシリーズ新書が柳の下のドジョウというか雨後の竹の子というか、次々と矢継ぎ早に出版しているジャーナリストです。
本著はその未来シリーズ5作目となる作品で2020年に出版されています。
こうした出生率や生産人口などのデータを元にした新書は、藻谷浩介著「デフレの正体 経済は「人口の波」で動く」など、数多くありますが、こうした話しはほとんどの日本人にとって「不都合な真実」であり、記憶に残したくない、議論のテーマにもしたくない一過性の話題にしかなりません。
というのも、政治家でも重鎮と言われる人達は概ね60歳以上で、さらにそうした政治家を選ぶ最大勢力の団塊世代が75歳以上ということもあり、せいぜいあと20年が無事に過ごせれば良いので、その先の未来がどうなろうと関係なく、考えたくもないというのが実態だからでしょう。
ちなみに現在の衆議院議員の平均年齢は55.5歳、昨年の参議院選挙の当選者の平均年齢は56.6歳ということです。いずれにしても30年後にはほとんどいなくなる人ばかりです。そう言う人達に50年後、100年後を考えた政治ができるとも思えません。
それはさておき、本著はコロナ禍が始まったあとに書かれたもので、そうした未曾有の厄災をきっかけに日本の社会構造や働き方などを変化させるアイデアなども書かれています。
ただ日本人というのは外圧によって変化する(させられる)のは得意ですが、厄災ごときで変化できるか?ってことは懸念するところです。
仕事や市場、老後、地域などの未来について、おおまかな想像図を示してくれていて、それに対してどうすれば良いかというヒントを与えてくれます。
しかし先に書いたように、こうした悩ましい不都合な真実の問題が、グルグルと頭の中に留まっているのがせいぜい1ヶ月ぐらいというのが残念なところです。
★★☆
◇著者別読書感想(河合雅司)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
カタストロフ・マニア(新潮文庫) 島田雅彦
2017年に単行本、2020年に文庫化された予言的なSF小説です。
予言的と書いたのは、その中に出てきた世界中を襲った殺人新型ウイルスの出現と非常事態宣言などは、まだコロナ禍の2年前に書かれた本著で見事に予言をしていたからです。
さらにこの小説では、太陽フレアの爆発により電磁波が発生し地球上の電気通信がすべて異常をきたし使えなくなり、電気が使えなくなると、水道のポンプも動かなくなりインフラが壊滅、原発も冷却できずにメルトダウンし、東京も放射能に侵されていきます。
その太陽フレアの爆発で太陽コロナのプラズマ噴出などの話も出てきますが、太陽コロナと、2019年12月に発生し始めたコロナウイルスとも直接は関係ないですが、コロナという名称が妙に合致していて予言的と言えます。
小説で描かれる時代と舞台は2036年、今から13年後の関東です。
主人公はある医療薬の治験モニターになり、治験中に人工冬眠で眠らされていましたが、目が覚めたら周囲には誰もいなくなっているという異常事態に遭遇します。人工冬眠技術は現在もすでに実用化まで来ていて火星有人探査時に飛行士に施されるという話があります。
その眠らされているあいだに、太陽フレアの爆発で都市機能が完全に失われ、さらに新型ウイルスの流行で、都市部はガラリと変わってしまい、主人公はそうした絶望状態の中でどう生き抜くのか!?という感じ。
昔から無人島への漂流物語とか、ひとり取り残されて生き抜くというスタイルの小説が好きですから、この小説もたいへん面白く読めました。
そう言えば小松左京著の「復活の日」(1964年)とも似ています。あれは核戦争と殺人ウイルスの二重苦でした。主人公はたまたま南極の昭和基地にいて低温に弱いウイルスには罹りませんが、アメリカの核ミサイルが地震に反応して自動発射されると、ソ連の自動反撃核ミサイルが南極にも飛んでくる?ということで、アメリカの核ミサイルの発射を無効化するため生き延びていたアメリカの原子力潜水艦に乗り込みアメリカへ渡るという話でした。
そうした悲劇的な話ですが、主人公が軽く明るく前向きなので、読んでいても暗さはあまり感じません。
著者の小説は12年前に現代の若者を描いた「自由死刑」を、昨年には戦後のドサクサ時代を描いた「退廃姉妹」を読んでいて、そちらもとっても面白かったですが、今回のこの作品とは全く趣の違う内容で、同じ作家さんが書いたと思えないほどでした。有能というか万能な方です。
★★★
◇著者別読書感想(島田雅彦)
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慈雨(集英社文庫) 柚月裕子
著者の小説は3作目となりますが、今回は前回読んだ「朽ちないサクラ」と同様に警察ものというか、正確には定年退職した元捜査一課の刑事が主人公のシリーズものではない独立した長編小説です。2016年に単行本、2019年に文庫化されています。
主人公は群馬県警に入りますが希望とは違い僻地の村民との関係が難しい駐在所に移動となりますが、そこで起きた事件を苦労して解決したことが認められ、県警本部に異動となって刑事になります。
そこで、幼女殺害事件が起き、容疑者を見つけますが、当時のあまり正確ではないDNA検査でクロとなり、本人はずっと否認したまま逮捕され裁判でも有罪が決まります。
しかし事件直後から長く留守にしていた容疑者の隣人が、その事件のあった日時に容疑者が自宅にいたことを目撃したことが判明し、えん罪の可能性があると上司に報告しますが、DNA検査の信憑性に疑義が出ると他の事件にも影響が出るので再捜査は握りつぶされることになります。
組織を守るため、また自分を守るために上司に抵抗できず、えん罪を見逃した16年前のことをずっと後悔していますが、退職後にその16年前の幼女殺害事件と非常によく似た事件が起きたことで、もしかすると当時見逃した真犯人が起こしたのではないかと苦悩します。
退職後は、仕事で向き合った死者の霊を収めるために妻とともに四国八十八か所霊場めぐりに出掛けますが、現職当時の部下からこの新しい事件捜査に協力して欲しいと頼まれ、お遍路を続けながら電話で連絡をとり続けます。
この小説では、犯人を除いて嫌な人は出てこず、また家庭も順調で、すごく恵まれた主人公です。世の中の半分ぐらいは嫌なヤツと思っているので、これほどいい人ばかりが登場すると、ちょっと真実味が薄れて感じます。
あと、四国お遍路のことも詳しく書かれていて、おそらく実際に現地に赴いて距離感や風景などを身を以て感じられたのでしょう。
★★★
◇著者別読書感想(柚月裕子)
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ブルーアウト(小学館文庫) 鈴木光司
著者の小説は、1990年代に「リング」や「らせん」などホラー小説が大ヒットした頃にたくさん読みましたが、2008年に「アイズ」を読んでから15年間ご無沙汰していました。この小説は、2015年に単行本、2019年に文庫化されています。
昨年、和歌山の潮岬へ行きましたが、そのすぐ近くの紀伊大島にあるトルコ記念館や、トルコ軍艦(エルトゥールル号)遭難慰霊碑があることは知っていました。時間の関係で通り過ぎましたが、もし先にこの小説を読んでいたら、きっと寄っていたでしょう。
著者とホラー小説は望むと望まないとに関わらず、ほぼそうしたイメージが定着していますが、この小説にはホラー要素はなく、現代と台風でエルトゥールル号が串本沖で沈んだ1890年と二つの時代が並行して進行していきます。
主人公は、現代は串本のダイビングショップでインストラクターとして働く若い女性、1890年はエルトゥールル号に乗り込むトルコ海軍のアッメフット大尉です。
エルトゥールル号が串本沖で沈んだという歴史は動かないので、旧式の蒸気と帆船の両方を動力とする大型船が、なぜ台風がやってくることを知りながら、難所である潮岬付近を航行し、遭難することになったのかを忠実に書いてありよく理解できました。
その一方、現代のほうで、トルコから来たダイビング客が実は祖父がエルトゥールル号の生き残りで、その祖父が預かった仲間の遺品(ガラスの小瓶)を探すために潜っているという話は、ちょっと無理矢理のこじつけな感じがしますが、ロマンは感じられます。
もう少し、違ったカタチ、例えばホラーでもファンタジーでも、時代を超えた壮大なロマンスなどを期待しただけに、あまりにもささやかなファンタジーで終わってしまい、そこのところだけはちょっと残念でした。
★★☆
◇著者別読書感想(鈴木光司)
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幽界森娘異聞(講談社文庫) 笙野頼子
ほぼ私と同年代(2歳違い)の三重県出身の著者の小説は今回が初めてです。ちょっと変わったというか私にとっては難解な小説を得意とされているようです。
今回の作品は、2000年~2001年に群像で掲載された後、2001年に単行本、2006年に文庫化された(私)小説です。
(私)と加えたのは、文中に何度も(笙野注)があり、「私」の主張を強く意識したエッセイ風な内容となっているからです。
それにしてもまったく内容は知らず読み始めたところ、タイトルの「森娘」というのが、文豪森鴎外の娘で明治・大正・昭和を生きた作家の森茉莉のことであるとわかりました。タイトルからすると、なんとなくファンタジーもの?と勝手に思っていました。
「贅沢貧乏」などを書いた森鴎外の娘(森娘)、森茉莉が書いたエッセイや小説などから引用し、その考え方や思いを著者なりに評価というか持ち上げていきます。
その他にも、森娘と関わった作家や、エッセイに書かれた主にテレビで活躍した芸能人などの話が出てきます。例えば室生犀星、志賀直哉、白洲正子、円地文子、三島由紀夫、米原万里、山口百恵、桃井かおりなどなど。
またどういう関係かはともかく、主人公(著者?)が飼っている猫たちの話しも多分に加わって、これはエッセイなのか小説なのか、よくわからないところもあります。読み進めていくのが結構苦痛でした。
私は米原万里の小説やエッセイは好きですが、この著者や「森娘」の感性と精神性が理解できず苦手だと言うことがわかりました。
★☆☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
保険ぎらい 「人生最大の資産リスク」対策(PHP新書) 荻原博子
テレビの情報番組で引っ張りだこの経済評論家の著者ですが、著書も数多くあって、一度読んでみたいと思って買ってきました。今回は2020年発刊の新書ですが、「年金だけでも暮らせます」(2019年)も一緒に買ってきましたのでそれは近いうちに。
新書はタイトルで売れるかどうかが決まってしまう側面がありますが、この著書のタイトル(主題)はシンプルながらわかりやすくて良いと思いますが、副題につけられた「人生最大の・・」はちょっとどうかな?って感じです。
中身をじっくり読むとわかりますが、要は健康面では公的保険(加入必須の健康保険や介護保険等)が多くの部分をカバーしてくれているので、「生命保険や医療保険の必要性はほとんどない」ことや、死亡や病気になる確率はどこの保険会社でも同じデータを使うので、「有名芸能人を使ったテレビ広告や保険アドバイザーなどの人件費が少ない保険会社のほうが保険料が安くなる」のでそちらを選ぶべきなど。
また保険は掛け捨てが基本で、学資保険や養老保険など掛け捨てではない保険の場合、「昔の金利が高い時代に契約したもの以外は意味がない」など、保険選びや保険解約のノウハウ、知恵がメインです。
ただし、広くすべての人を対象としているので、本の半分ぐらいは自分(引退した65歳)とは関係がない話し(iDeCoとか、労災、介護休暇など)があり、そこは飛ばして読めるので、サクッと読めるかわりに内容的に薄かったということもあります。
しかしこれを多くの人に読まれると、特に大手、しかもテレビ広告をよく出しているような保険会社は困るでしょうね。したがって、保険会社のスポンサーが多いテレビの情報番組等で触れるのがタブーなことばかりです。
この本に書かれていた内容で、私が知らなかったことや誤解していたことなどを今後別の機会に書いてみたいと思います。
★★☆
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ホテル・ニューハンプシャー(上)(下)(新潮文庫) ジョン・アーヴィング
著者は1942年生まれで今年81歳になるアメリカの作家です。有名な作品には「ガープの世界」(1978年)などがあります。この作品、「The Hotel New Hampshire」は1981年にアメリカで発刊されました。日本語翻訳版は1986年に単行本、1989年に文庫化されています。
ニューハンプシャーというのはアメリカの州の名前だということは知っていても、はてどの辺りにあったっけ?とわからない日本人が多いと思いますが、私もそのひとりです。
アメリカ合衆国の北東部、カナダ国境に近く、大西洋に面していてメイン州とバーモント州、マサチューセッツ州に囲まれている州です。歴史ある場所ですが東海岸で大きな産業があるわけではないので日本人には馴染みがない州です。
そこで生まれ育った1家族の物語で、時代は第2次大戦前後、両親と5人の子供と1匹の熊(その後犬)が中心で、語り手は次男で、中年になってからその当時家族に起きたことを語っていくという流れです。
タイトルは、ハーバードを出た父親が戻ってきてから妻となった女性の実家を売って得た金で廃校になった女子高を買い取って改装し、従業員を雇ってホテルを経営することになりますが、場所は観光地はなく企業もなく、経営は思わしくなく、子供達もそれに否応なく巻き込まれていきます。
ホテル経営に活路が見いだせず、昔に知り合ったウイーンに住むユダヤ人に誘われ、ホテルを売って、オーストリアのウィーンへと家族で移住することになります。そこでも古びたビルの中で(第二次)ニューハンプシャーホテルと名付けたホテルを経営することになります。
一見すると一家のホテル経営苦労物語に見えますが、その中身は、奇形、レイプ、同性愛、近親相姦、オーストラリアで合法化されている売春、ユダヤ人迫害、テロリスト達との対決など話題性、エンタメ性豊富というか詰め込みすぎ?という感じもします。
この小説を読んでいたときはもっと古い時期(1960年代)ぐらいの作品かなと思っていましたが、意外に1981年と40数年前の作品でした。というのも、戦前や戦後間もない頃の話しが中心で、その時代がまだすぐ近くにあるような感じがしたから。
あとで知りましたが、1984年(日本公開は1986年)に、ジョディ・フォスターやロブ・ロウが主演したこの作品を原作とした映画が作られています。機会があれば見たいかな。
★★☆
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A2Z(講談社文庫) 山田詠美
2000年に単行本、2003年に文庫化された大人の恋愛小説と言えるでしょう。タイトルのA2Zは、章立てことにABC順にアルファベット仕立てになっていて、そのアルファベットの単語がその章の中で使われているというたわいもないことです。
ちょうど読書していた時期と同じタイミングで、Amazonプライムビデオのオリジナルドラマが2月3日に公開されました。主演は適応障害のためしばらく休んでいて久しぶりに登場する深田恭子主演とのことです。
主人公は大手出版社で文芸書籍の編集を担当している35歳の既婚女性です。小説にはこうした出版社や編集者を扱ったものが多いのも身近にそのネタや知識があるから書きやすいのでしょう。
その主人公の女性がまたぶっ飛んでいて、夫の浮気を知ことになっても取り乱すこともなく、並行して自分も10歳年下の若い男性といい仲になり、さらに新しく担当することになった若手の有望新人作家にも言い寄られと、夫が若い女性にぞっこんになるのは別として、これは多くの女性からは夢のようで憧れられるでしょう。
その浮気男の夫も、終盤には浮気相手にふられて主人公の元へ戻ってきますが、今度は主人公が家を出て若い男との逢瀬を継続する道を選びます。
と、まぁ、ベタな女性向きの不倫恋愛小説ですが、登場する人物がみないい人で、悪者役というか悪意のある人が出てこないのがちょっと不意義な感じです。
それだけにサラッと軽く飛ばして読めますが、還暦過ぎた男性が読むにはちょっと違和感がありまくりでした。
★★☆
◇著者別読書感想(山田詠美)
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1694
ボートの三人男(中公文庫) ジェローム・K・ジェローム
内容は知らず、タイトル買いです。著者は19世紀後半と20世紀初旬に活躍した英国の作家さんです。
原題は「Three Men in a Boat, To Say Nothing of the Dog!」で、基本翻訳のタイトルと同じですが「犬は除く」が付いています。
英国ロンドンに流れるテムズ川はよく知られていますが、19世紀後半においてもその川の流れと周辺の街並みはあまり変わっておらず、貸しボートを借りて仲間と遊んだり旅行をすることがそこそこ人気だったようです。
しかし読んでいても地名だけではいまいちピンとこず、せっかくなので地図とルート、作品に出てくる町や川の堰の名前を一覧化しておきました。ロンドンやオックスフォードにいた人ならなんとなくイメージが湧いてくるでしょう。
◆テムズ川をさかのぼるボートの航路◆
Jとハリーと犬のモンモランシーがロンドンからキングストンまで機関車で移動
キングストン(Kingston) 2人と1匹が貸しボートに乗船 |
ハンプトン・コート(Hampton Court) |
モールジー(Molesey) |
ウォルトン橋(Walton Bridge) |
ハリフォード(Halliford) |
シェパートン(Shepperton) |
ウェーブリッジ(Weybridge) ジョージがバンジョーを抱えて合流乗船 |
ステーンズ(Staines) |
ベルウィアーロック(Bell Weir Lock) |
ボヴェニー閘門(Boveney Lock) |
クッカム閘門(Cookham Lock) |
マーロー(Marlow) |
ソニング閘門(Sonning Lock) |
ハーリー堰(Hurley Lock) |
メドメナム(Medmenham) |
ハンブルデン閘門(Hambleden) |
ワーグレーブ(Wargrave) |
シップレイク(Shiplake) |
ソニング閘門(Sonning Lock) |
レディング(Reading) ストリートリー手前までスチームランチに曳いてもらう |
メイプルダーラム閘門(Mapledurham Lock) |
ゴーリング閘門(Goring Lock) |
ストリートリー(Streatley) |
ウォリンフォード(Wallingford) |
ドーチェスター(Dorchester) |
アビンドン閘門(Abingdon Lock) |
スンドフォード閘門(Sandford Lock) |
イフリー閘門(Iffley Lock) |
オックスフォード(Oxford) |
帰りは流れにまかせてパンボーン(Pangbourne)まで下り、そこでボートを置いて機関車でロンドンへ
当初は、真面目な旅行案内書的な内容をかくつもりだったのですが、本題から大きく外れたユーモアがメインの小説になっています。
ただユーモアと言っても、100年前のユーモアで、現在もそれで笑えるか?ということもありますが、素直に苦笑するしかありません。
とにかく話しの行方がどこへいくのかわからないほどあっちこっちへと飛び、今のことなのか、過去のことなのか時々わからなくなったりします。しかしテムズ川上流の優雅な情景が目に浮かぶようなうまい表現が多く、読んでいてリゾート気分になります。
翻訳者が小説家でもある丸谷才一氏で、おそらくその丸谷氏が努力されて、これでも読みやすくなっているのだろうと思います。
面白かったかって?
う~ん、名作らしいのですが、いまいち「なにが言いたい?」「なにが教訓?」「どれがユーモア?」と混乱するところは私の読解力か感受性のなさか、いまいち満足するには至りませんでした。
★☆☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
叫びと祈り(創元推理文庫) 梓崎優
著者の作品を読むのは今回が初めてです。1983年東京都生まれで兼業作家さんということですから勤め人でもあるのでしょうか。
この作品は実質的なデビュー作で、2010年に出版、2013年に文庫化された連作短篇集で、解説を読むと、当初は最初の短編だけを発表したところ好評で、プラス4作を書いて合計5作品の連作としてまとめたものだということです。
その5作品のタイトルは、「砂漠を走る船の道」「白い巨人」「凍れるルーシー」「叫び」「祈り」です。
最後の「祈り」以外の舞台は外国で、「砂漠を走る船の道」は西アフリカのマリ付近の砂漠地帯、「白い巨人」はスペインのラ・マンチャ地方、「凍れるルーシー」は南ロシア、「叫び」はブラジルのアマゾン流域です。
そうした外国で、不可解な事件が起き、その謎解きをするのが、日本の出版社に勤務する7カ国語を操る日本人青年です。
少し前に読んだ、「アイルランドの薔薇」(石持浅海著)も、こちらは長編小説でしたが似たような感じです。
連作短編と書きましたが、それぞれ5つの作品は完全に独立していて、主人公の日本人青年だけが共通しています。しかも最後の「祈り」はその大活躍した日本人青年が、記憶喪失に陥っていてサナトリウムのような場所に入院しています。
いずれも話がぶっ飛んでいて、その中身にリアリティはありませんが、デビュー作で創作した作品と考えると末恐ろしい新人作家の登場!という感じでしょうか。これからが楽しみな作家さんです。
★★☆
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帰れないヨッパライたちへ 生きるための深層心理学(NHK出版新書) きたやまおさむ
医学生時代には加藤和彦らとザ・フォーク・クルセダーズで一世を風靡したミュージシャンであり、多くのヒット曲の作詞家でもある著者ですが、現在は東京で精神科医として活動されています。
著者の作品は過去に「さすらいびとの子守歌」「戦争を知らない子供たち」「止まらない回転木馬」「人形遊び」の4作を読んでいます。いずれも1970年代のことで今から50年近く前のことです。
たまたま懐かしい名前を新書コーナーで見つけたので買って読みましたが、以前の著作とはまったく違い、精神分析医療に関わる話しが中心で、あまり馴染みがないこともあり意味不明でした。
こうした実際に経験してきた治療に関しての話しは、医学的なレポートや論文ならともかく、こうした新書で書くには例え匿名にしたとしても書くのは難しそうです。
なので、自分が経験した芸能界からの逃避や、英国で師事した専門家の話、その他精神医学でよく言われていることなどの話しが中心となります。
それならそれで、おそらく出版社の人から強く勧められたのだと思いますが、「昔のふざけたコミカルソング」を彷彿とさせる「帰れないヨッパライ」などタイトルに使わなければ良いのにと思ってしまいます。
専門書ともエッセイとも違うちょっと中途半端なものになってしまったのは残念です。
★☆☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
親鸞 完結篇(上)(下)(講談社文庫) 五木寛之
2010年に「親鸞」、2012年に「親鸞 激動篇」が出版され、三部作最後のこの作品が2014年(文庫は2016年)に発刊されました。元々は東京新聞や中日新聞、京都新聞など多くの地方紙で連載されてきた小説です。
過去に前2作は読んでいます。
◇2014年5月前半の読書と感想、書評(親鸞)
◇2014年12月前半の読書と感想、書評(親鸞 激動篇)
浄土真宗の宗祖、親鸞聖人が主役の小説で、これは伝記ではなく小説なのでエンタメ性がかなり盛られているようですが、大きな流れとしては判明している限りにおいて人生をなぞってはいるようです。
この完結編の時代背景は13世紀中盤、鎌倉時代の京都で、前作の激動篇では、誰でも念仏を唱えれば浄土へいけるという専修念仏に対し、比叡山や奈良の古寺勢力からの反発があり、民衆を惑わすと後鳥羽上皇から法然らとともに地方へ流罪となり、越後、そして東国(茨城)へと地元の名士達の協力を得ながら布教を継続していきます。
この完結篇では、60才を超えた親鸞が、東国から再び京都へと戻ってきます。そして90才で入滅するまでの様々な出来事が描かれています。
親鸞がまだ若い時に京都で知り合った多くの人達が再登場します。親鸞を慕うものもあれば、敵視するものもあり、様々な思惑が交錯し、さらに身内の長男までもが反発して東国へと旅立ってしまいます。
しかしこの時代に90才まで生きるというのは、もうそれだけで常人ではなく奇蹟の人でしょう。鎌倉時代の平均寿命は24才ということで、これは出産時や子供の頃に亡くなる子が多かったことからそうなりますが、それでも70才を超えて健在なのは極めて珍しいことでしょう。
昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出てきた源頼朝は51才、主人公の2代目執権北条義時は61才、その息子3代目北条泰時は59才、姉の北条政子は68才で亡くなっています。
過去には親鸞を主人公にした小説やそれを原作とした映画がいくつか作られています。この五木親鸞もいつかは映画化されるかも知れません。
★★☆
◇著者別読書感想(五木寛之)
【関連リンク】
1月前半の読書 志賀越みち、ファーストラヴ、一八八八切り裂きジャック、帰郷
12月後半の読書 鬼棲む国、出雲 古事記異聞、A、厭な物語、君たちはどう生きるか
12月前半の読書 レンブラントをとり返せ、カササギたちの四季、仔羊の巣、異常快楽殺人
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読書をして個人的な趣味趣向でそれぞれランクづけをしていますが、その中から毎年年間ベスト(大賞)を選んでいます。
内容によって「新書/ビジネス/ノンフィクション」「海外翻訳小説」「日本国内小説」の3部門に分けて独善的に評価をしています。
そしてその書籍というのは、数多くの賞と違って、私が前年に読んだ本から選びますので、新刊本はほとんどなく、小説に至ってはほぼ文庫しか読まないので、中には古典に分類されるような本もあります。
◇ ◇ ◇
2022年の1年間で読んだ本の合計は作品数が99作品、上下巻を2冊とカウントする冊数では107冊となりました。一昨年の2021年と比較すると作品数で+6作品と増加しましたが、冊数では▲5冊と減少しました。
2013年から10年間の冊数と作品数の推移は下記の表の通りです。年間の読書した冊数は98~117冊で、平均すると年間108冊、1ヶ月当たり9冊平均で読んだことになります。
新書 ノンフィク |
冊数 | 海外小説 | 冊数 | 日本小説 | 冊数 | 作品数計 | 冊数計 | 月間平均 冊数 |
|
2022年 | 11 | 11 | 15 | 16 | 73 | 80 | 99 | 107 | 8.9 |
2021年 | 22 | 22 | 13 | 21 | 58 | 69 | 93 | 112 | 9.3 |
2020年 | 29 | 30 | 14 | 19 | 51 | 56 | 94 | 105 | 8.8 |
2019年 | 29 | 29 | 8 | 9 | 71 | 77 | 108 | 115 | 9.6 |
2018年 | 26 | 26 | 9 | 13 | 64 | 71 | 99 | 110 | 9.2 |
2017年 | 26 | 26 | 16 | 21 | 62 | 70 | 104 | 117 | 9.8 |
2016年 | 14 | 14 | 12 | 16 | 65 | 79 | 91 | 109 | 9.1 |
2015年 | 17 | - | 12 | - | 65 | - | 94 | 107 | 8.9 |
2014年 | 26 | 26 | 17 | 13 | 70 | 62 | 113 | 101 | 8.4 |
2013年 | - | - | - | - | - | - | 86 | 98 | 8.2 |
2020年に仕事から引退しましたが、その前と後で読書した冊数に大きな差はありません。おかしいな?暇な時間が増えたはずなのに、、、
◇ ◇ ◇
それでは、まず「新書/ビジネス/ノンフィクション部門」です。
2022年は11作品(冊数)と例年の半分以下という少なさでした。やはりビジネス界から身を引くと、新書やビジネス書への興味は失われていきます。
そして今回のこの部門では残念ながら「たいへん面白かった(役に立った)」という★3つをとった作品がなく、「宇宙を読む」「無人島に生きる十六人」「生きて帰ってきた男」など優秀な作品が多かった当たり年の昨年とは大きく変わってしまいました。
しかし受賞なしというのも寂しいので、今回は「新・日本の階級社会」(橋本健二)、「戦国時代の大誤解」(鈴木眞哉)、「老いた家 衰えぬ街」(野澤千絵)、「異常快楽殺人」(平山夢明)の4候補の中から、、、
「戦国時代の大誤解」(鈴木眞哉著)が大賞を受賞しました!
パチパチパチ
パチパチパチ
著者はかつて戦国時代に活躍した和歌山の傭兵集団雑賀衆の子孫の方で、2007年に発刊された新書です。
感想は、「5月前半の読書と感想、書評(戦国時代の大誤解)」に書いています。
◇ ◇ ◇
「海外小説」は、15作品で16冊を読みました。ー昨年2021年と比較すると作品数は2作品増えましたが、冊数としては5冊減りました。
その15作品の中から候補は「解錠師」(スティーヴ・ハミルトン)、「ペスト」(カミュ)、「追撃の森」(ジェフリー・ディーヴァー)、「IQ」(ジョー・イデ)の4作品の候補から、、、
今回は甲乙つけがたく2作品、「ペスト」カミュ著と、「追撃の森」ジェフリー・ディーヴァー著に決定しました!
パチパチパチ
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「ペスト」の感想は、「10月前半の読書と感想、書評(ペスト)」
「追撃の森」の感想は、「8月後半の読書と感想、書評(追撃の森」
「ペスト」は、古い小説ですが、コロナ禍に読むと、目には見えない未知のウイルスとの壮絶でむなしい戦いが身近に感じられます。
また「追撃の森」は、広大な自然公園の中で、殺し屋と女性保安官とが知力を絞った一昼夜の息詰まる攻防戦を描いていますが、物語にグイグイと引き込まれていき、最後のどんでん返しなど、なかなか楽しめる小説でした。
◇ ◇ ◇
「国内小説」は、最も多い73作品、80冊を2022年の1年間に読みました。前年から15作品、11冊増加しています。
その73作品の中から、印象深い「サラバ(上)(中)(下)」(西加奈子)、「ヒトラーの試写室」(松岡圭祐)、「蜜蜂と遠雷(上)(下)」(恩田陸)、「カズサビーチ」(山本一力)、「追想五断章」(米澤穂信)、「ツリーハウス」(角田光代)の6作品が大賞候補となります。
その中から、、、迷いつつ、、、
「カズサビーチ」山本一力著に決定しました!
パチパチパチ・・・
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読書感想はこちらです。
◇2022年10月後半の読書と感想、書評(カズサビーチ)
タイトルからイメージしていた内容とまったく違う展開で、鎖国が続く幕末時代を背景に、アメリカの捕鯨船を中心に、遭難した日本人漁民を救助し、日本へ送り届けようとするアメリカ船と、前例がない江戸近くへの外国船入港を許すかどうかというストーリーです。
こうした実際に起きた出来事を下敷きにした歴史小説はとてもリアリティがあり、個人的にはとても好きです。
そう言えば、著者の山本一力氏は、ちょうど10年前、「2012年に読んだ本のベスト」で、時代小説の「あかね空」が大賞を受賞しています。
そして僅差の次点には「蜜蜂と遠雷(上)(下)」恩田陸著を選びました。
パチパチパチ・・・
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読書感想はこちら
◇2022年4月前半の読書と感想、書評(蜜蜂と遠雷(上)(下))
こちらは直木賞を受賞した作品ですが、私的にはまったく馴染みのなかった国際ピアノコンクールの舞台裏や、人生をかけた参加者達のピリピリした様子など、読んでいて迫力があり、感情移入もしやすく良い小説だと思いました。
その他の「サラバ」や「ツリーハウス」「追想五断章」「ヒトラーの試写室」も、決してなにかが劣っているわけではなく、十分に楽しめる面白い作品でした。あくまで個人的な趣味趣向で選んでいるだけです。
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