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いつか夜の終わりに (双葉文庫)
2009年に発刊された単行本「てのひらたけ」を2013年に改題して文庫化された作品です。著者は50代の現役サラリーマンで、二足のわらじ作家さんのようです。得意分野はホラー小説のようで、この作品も短編小説で、ホラーやミステリーが中心です。
そう言えば、「八朔の雪 みをつくし料理帖」などで有名になった高田郁さんと名前の漢字が似ていて、間違えられそう。
収録されているのは、「てのひらだけ」「あの坂道をのぼれば」「タンポポの花のように」「走馬灯」の4編です。
「てのひらたけ」は登山が趣味の男性が迷い込んだ異次元の世界と恋愛をうまく結びつけた印象深い作品。
「あの坂道をのぼれば」は、40歳にして、水商売の女とならぬ恋に落ち妻子を残して家を飛び出した結果、訪れる悲劇と切ないラスト。
「タンポポの花のように」は、よく知らない叔母が孤独死したあとに、その住んでいた家の整理を頼まれた女性が主人公で、その叔母の人生が次第にわかっていくことで、それまでまったく知らなかった叔母の壮絶な子供時代の出来事を知ることになる物語。
「走馬灯」は既に病気で亡くなった父親を街中で見かけたという中年の兄弟の話しから、その父親が死ぬ前に病院のベッドの上で語ったことが、現実となっていく不思議。
ちょっとひねった怖くはない不思議がジワーと後から出てくるミステリー短編ですが、よく読み込まないとあとで???となりそうです。
著者にすればそれがスタイルなのでしょうけど、軽ーく読み飛ばしていると、あれれ?どうして?となってしまいそうです。
★★☆
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しない生活 煩悩を静める108のお稽古 (幻冬舎新書)
2014年発刊の新書で、著者は東大教養学部を出た後、仏教の世界に入り僧侶となった方です。
但し、浄土真宗本願寺派の教義に反した活動・出版をしたとして、僧籍を剥奪されたり、奇行癖があったりと、いろいろと紆余曲折のある方です。
この新書が出た2014年は、僧籍はすでに剥奪されていましたが、父親の後を継いだ浄土真宗正現寺の住職だった頃です。
それだけに煩悩の塊みたいな方の煩悩本ですので、説得力があるのか、ないのか。
それでもいくつか気になる項目があって、例えば「79被害者ぶって人を責めることは自ら苦しみたがることと同じ」の項で、最近よく聞く「キレやすい高齢者」で誰も自分を被害者に仕立てあげ、自分を有利な立場にしようとやっきになっているということが書かれていて、確かにそうかなって思います。自分も気をつけなくちゃ。
あと、これは不満ですが、本文のあちこちに出てくる「トホホー」とか「あいやー」とか「いやはや」とか「ガーン」とか「ガビーン」とか、著者のクセなんでしょうね。つまらない余計な言葉が満載で、せっかく良いことを書いてあってもそれを台無しにしています。
同様に「~ですよね。」という書き方も、読者に著者の思いを共感してくれ、オレの言うことを聞け!としているみたいで、「大きなお世話!」「俺はそうは思わないけど」と反感を持ってしまいます。
ま、不満もいろいろありますけど、若い僧侶がいろいろと悩みつつ前に進んでいこうという思いは伝わってきます、
★☆☆
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乳と卵 (文春文庫)
2008年に発刊され、芥川賞を受賞した作品です。短編の「あなたたちの恋愛は瀕死」も収録されています。
この著者の作品は「ヘヴン」(2009年)「すべて真夜中の恋人たち」(2011年)「あこがれ」(2015年)を読んでいます。
男性にはよくわからない、思春期の女性が大人の女性に変化していく女性独特の話しをジンワリと教わった感じの小説です。
タイトルの卵は卵子のことを指し、乳は女性特有の象徴ですが、この小説では、主人公の少女がやがて生殖に必要な生理が始まることを鬱陶しく思い、離婚してその少女と二人暮らしの母親が豊胸手術をしたいといろいろ調べているという設定です。
もう一人の主人公は、その豊胸手術をしたがっている母親の妹で、東京で一人暮らしをしています。登場人物は女性ばかりですね。
なかなか話が進まずに、だからなに?と思っているうちに終わってしまう短い小説ですが、これが文化人が認める純文学というものか~って気がします。時代が変われば賞の評価や対象にも変化があってしかるべきなのでしょう。
★☆☆
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晩夏光 (ハルキ文庫)
2013年に作家デビューしたときの作品がこの著書です。文庫版は2018年に発刊されています。著者は1972年生まれということですので、ちょうど団塊ジュニア世代の真ん中の方です。小説の著作数はまだ少ない方で、他の作品は読んだことはありません。
香港の裏社会をテーマにしたこの作品は、私自身、中国に返還される前の1980年代の香港、もちろん裏社会ではなく表社会で短期間仕事をしていたこともあり、興味をもって読んでみました。
但し、この本の購入動機は久しぶりのジャケ買いというか「タイトル買い」で、中身はほとんど知りませんでした。
小説の舞台となっている香港の裏社会と言っても、この小説に出てくるのは、ジャッキー・チェン主演の映画に出てくるような巨大な悪の組織や、バックに中国がついた国際ポリティカルスリラーとも違う、どちらかというと、観光客がスリの被害に遭うと、その盗難を探し出して持ち主に返して手数料をとるという、こぢんまりとした裏ビジネスです。
都市伝説的に語られていた「昼間に盗難に遭った高級バッグがその日の夜には、キャットストリート(骨董街)の店頭に並ぶ」というようなことは現在はさすがになくなっているでしょうけど、それは、この街ではなんでもビジネスになるという一例を表しています。
主人公は、自分が起こした自動車事故で婚約者を失い、自暴自棄になって香港にやってきた日本人青年で、綺麗な夜景が眺められるビクトリア湾の公園で闇の商売を仕切っている香港人青年と知り合い、その裏稼業を手伝っているうちに、殺人事件や警察の陰謀に巻き込まれていくというストーリーです。
その香港も、いまや過激化する民主化運動で、観光客も減り、ホテルや土産物屋など観光業界は大打撃でしょう。政治問題には触れるつもりはありませんが、今後、政治も思想も中国本土に吸収されていくであろう香港と香港人達の行く末が気になるところです。
★★☆
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ラスト・ワルツ (角川文庫)
ジョーカー・ゲーム(2008年)、ダブル・ジョーカー(2009年)、パラダイス・ロスト(2012年)に続くD機関シリーズ作品の第4弾で、2015年に単行本が発刊され、2016年に文庫化されています。
収録作品は「ワルキューレ」「舞踏会の夜」「パンドラ」「アジア・エクスプレス」の4編です。
物語の時代はいずれも太平洋戦争に突入する直前の、軍部が台頭しつつあるきな臭い昭和初期。
「ワルキューレ」の舞台は、日本と同盟関係を結んだドイツで、日本大使館の改築の際に送り込まれた内装業者に扮した日本人スパイ、ドイツで映画を制作していた有望なユダヤ人監督と支援者、日本やアメリカで映画にかかわってきた日本人俳優などが、それぞれの目的のためにうごめく世界を描いています。
「舞踏会の夜」の舞台は日本で、華族の女性が若い頃に窮地を救ってくれた軍人の男性と交わした「いつかは一緒にダンスを」という約束を、20年後のアメリカ大使館で開かれた舞踏会で実現することになったその理由は?
「パンドラ」はちょっと変わっていて、英国で自殺と偽装された殺人事件が発見され、英国警察のベテラン警部が真犯人に近づくと、第一次大戦時の戦友だった情報部MI5のエージェントから捜査停止を告げられ、さらに隠されている陰謀がわかるというややこしい物語。
「アジア・エクスプレス」は満鉄の中で起きた殺人と、日本のスパイとソ連のスパイキラーとの壮絶な知恵比べです。
このシリーズも4作目、最初の頃の驚きやわくわく感からすると、意外性は薄れてきて、初期の頃のような泥臭い人間が、思いもよらないような活躍をするというドキドキはなく、まるで最初からスーパーマンが活躍するように変わってきて、そろそろ潮時かな~って気もします。
007シリーズも、初期というかイアン・フレミングが書いた小説では失敗してぐじぐじ悩む人間味あふれるジェームス・ボンドが、今ではエンタテインメント性だけの、単なるサイボーグ的なスーパーヒーローとなってしまい、つまらなくなりました。
アイデアは毎回違っていて楽しめるのですが、意外性がウリだけに、ちょっと残念かな。
★★☆
◇著者別読書感想(柳広司)
【関連リンク】
11月後半の読書 夜と霧の隅で、朽ちないサクラ、我が家のヒミツ、天魔ゆく空(上)(下)
11月前半の読書 人斬り以蔵、晴れた日は図書館へいこう、アンガーマネジメント入門、幕末時そば伝
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夜と霧の隅で (新潮文庫)
1960年に出版された短編と中編の小説集で、1960年上期の芥川賞受賞作です。著者は医者として勤務をしながら、数多くの著作がありますが、中でも「どくとるマンボウ航海記」「楡家の人びと」などが有名です。また若い頃から始めた登山にも造詣が深く、本書にも登山をテーマにした短編が含まれています。
収録されている作品は、「岩尾根にて」「羽蟻のいる丘」「霊媒のいる町」「谿間にて」「夜と霧の隅で」の6編で、その中の表題となっている中編の「夜と霧の隅で」は、ナチスドイツでヒトラーが抵抗勢力や病人等を社会から排除するよう命じた「夜と霧」と言われる命令をモチーフとした作品です。
その「夜と霧」は戦後に小説や映画になっていますが、当時のナチスが捕虜やナチスに反抗する思想犯、ユダヤ人、異教徒などを収容所に送り込み、最終的には誰にも知らされることなく、夜霧に紛れるかのようにして殺してしまうという1941年にヒトラーが命じた作戦ですが、その中には精神病などの患者も含まれていたと言うことです。
その「夜と霧」作戦下の精神病棟で、ユダヤ系の妻が連行され、それをきっかけに精神に異常をきたし治療を受けていた日本人外交官の姿と、なんとか患者達をひとりでも多く救いたいと、絶望的な治療に取り組む医師達の物語です。
「岩尾根にて」は、命綱もなく危険な登山を見かけ、その後会話をすると、ほとんど意識がない状態で崖を登っているという人だったり、崖を登っていると、墜落死した人を見つけたりと、本格的な登山をする人ならあるあるなのかも知れませんがゾッとします。
その他の短編も、著者の経験から発想した物語っぽくて、なにかリアリティがあってドキドキします。
★★★
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
我が家のヒミツ (集英社文庫)
2015年単行本刊、2018年文庫版刊の短編小説集です。
著者の作品は好きで、文庫になっているものはほとんど読んでいます。こうした短編小説も多くありますが、著者の作品では、本格的なミステリー小説が秀逸と思っています。でもN木賞に輝いたのは、コミカル路線の連作短編小説でしたね。
今回の著者と同様の短編小説集では、「家日和」(文庫版2010年刊)は2010年に、「我が家の問題」(文庫版2014年)は2019年にそれぞれ読んでいます。
2019年7月後半の読書「我が家の問題」
今回収録されている短編は、「虫歯とピアニスト」、「正雄の秋」、「アンナの十二月」、「手紙に乗せて」、「妊婦と隣人」、「妻と選挙」の6編です。
実は上記の「我が家の問題」は、著者の作品としては、あまり面白く感じず、昭和時代の夫婦関係を引きずったままのように見えて、低い評価をしました。
しかし今回の著書は同じような一般家庭と夫婦をテーマにしながらも、もっと奥深い感じがして面白く読めました。
著者からすれば、「別に前作から変化はない」ということでしょうけど、読み手側のその時々の精神状態によっても変わってくるのか、今回は別物?と感じました。
「虫歯とピアニスト」は、昔に憧れていたピアニストが、自分の勤務する歯医者へやってきた話し。「正雄の秋」は熾烈な会社の中での出世競争で、好きではなかった同期に負けてしまった話し、「アンナの十二月」は、自分の出生の秘密を知り、実の父親に会いに行った話し、「手紙に乗せて」は、妻を亡くした男性同士の相哀れむ手紙、「妊婦と隣人」は産休のため家にいることになり、それで知ることになった不可解な隣人、「妻と選挙」は、N木賞作家で今は落ち目になった作家の妻が、市会議員選挙に出馬するという出来事。
どれも上々の出来と言えます。
★★☆
◇著者別読書感想(奥田英朗)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
朽ちないサクラ (徳間文庫)
著者の作品は「最後の証人」(2010年刊、文庫2011年刊)を2012年に読んで以来7年ぶりとなります。
2012年4月後半の読書「最後の証人」
この作品は、2015年刊(文庫は2018年刊)の長編小説で、女性作家としては割と珍しい、警察ものミステリー小説です。
元々、法廷もの小説がお得意な著者ですから、その延長線というか手前にある警察署や刑事、公安といった知識もお持ちなのでしょう。
タイトルの「サクラ」は一般的には警察をイメージしますが、ここでは警察内部の符丁として使われているらしい公安警察を指しています。
女性作家らしく、主人公は民間企業を辞めて、地元に戻り、地方の警察署に事務職員として勤務する女性で、その主人公の親友だった女性新聞記者が何者かに殺害されたことで、事件に首を突っ込んでいくというパターンです。
警察と公安(警備局)との関係など、内部の事情はあまり外部に出てくることはありませんし、まして最近の骨抜きされたメディアが警察を敵に回すようなスクープを掲載するとも思えなく、リアリティはどこまであるのかというのはよくわかりません。
しかし過去に現実に起きた、ストーカー殺人事件や、新興宗教団体のテロ活動など、身近なテーマも盛り込み、サスペンスドラマとしてうまく仕上がっています。
終わり方が、主人公の続編も期待できるような感じでしたが、現在のところ、出てはいないようです。
★★☆
◇著者別読書感想(柚月裕子)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
天魔ゆく空(上)(下) (講談社文庫)
2011年に単行本、2014年に文庫化された長編時代小説です。この著者には珍しい時代小説ですが、過去に明智光秀を主人公にした「覇王の番人」を読んでいます。
2013年11月後半の読書「覇王の番人」
元々、著者の作品は、現代の外交官や警察官、自衛隊員などを主人公としたハードボイルド系ミステリーや、原題のお仕事系小説から入ってきたので、こうした時代小説というのは最初はちょっとどうかな?って思っていました。
しかし上記の「覇王の番人」がそこそこ堪能することができ、心配は杞憂でした。またそれら以外にもコミカル系の小説などもあり、幅が広い知識と才能はお見事です。
同じように、ハードボイルド小説と時代小説を取り混ぜて発表されている直木賞作家佐々木譲氏と、なにか作風にも共通するところがあるような気がします。
内容ですが、多くの日本人にはなかなか理解しにくい、室町幕府を開いた足利幕府の末期、応仁の乱の終盤からこの物語は始まります。
幕府内で権力を持つ細川本家筋の細川政元を主人公にして、鎌倉時代を築いた源氏の係留で、150年ほど続いてきた足利将軍時代が跡継ぎ争いで弱体化し、やがて全国各地で将軍の言いなりにはならない有力者が続々と登場し、国盗り物語の戦国時代へと入っていく時代の話しです。
戦国時代のまっただ中、織田信長がおこなった、家族を政略結婚に出す、一揆弾圧、比叡山焼き討ち、将軍の追放などをこの幕臣の細川政元がすでに70年前におこなっていたのですね。
私もこの時代のことはまったく知識がないまま読み始めたのですが、これを読むと、なぜ応仁の乱が起きて、それが収束した後に室町幕府が壊れていったのかがよくわかります。
主な登場人物は、足利義政(第8代将軍)、日野富子(義正の正室)、足利義視(義正の弟)、足利義稙(義材、義視の子、10代将軍)、清晃(足利義澄、11代将軍)、細川勝元(細川京兆家当主、守護大名)、細川政元(勝元の子)、洞松院(勝元の娘)、細川政国(政元の後見人)、畠山政長、畠山義就、山名宗全、赤松政則、大内義興、六角高頼、上杉房定など。
とにかく似たような名前の登場人物が入り乱れていっぱいいるので、誰が誰やら混乱します。
この物語の数十年後には、本格的な戦国時代が到来し、武田信玄、上杉謙信、織田信長など地方の有力者が力を付け、覇権を争い群雄割拠することになります。
いや、当時の事実関係は誰にもわかりませんが、これほど難解な時代をわかりやすく整理して読ませてくれる小説として面白かったです。
★★☆
◇著者別読書感想(真保裕一)
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人斬り以蔵 (新潮文庫)
1964年頃に書かれた短編小説を、その後1969年に8作品をまとめて文庫化した短編時代小説集です。実在する人物と、しない人物が混ざり合わさっていて、どこまでが実際に起きた事象や行動か、あるいはまったくの創造の産物かなどわかりにくいです。
「鬼謀の人」は幕末の写真に残っている異様な顔(巨大なおでこ)をした有名な兵学者大村益次郎と、明治維新の立役者桂小五郎(木戸孝允)との関わり合いが面白い内容でした。
表題になっている「人斬り以蔵」は、土佐藩郷氏出身で剣の達人岡田以蔵と、同じ土佐藩出身の武市半平太が過激な尊皇攘夷を目指す土佐勤王党で一緒になり、以蔵は自分を取り上げてくれた武市のためとして攘夷に邪魔な相手を斬りまくりますが、出身が足軽という家系で軽く見られることに反発し、そしてなんにでも首を突っ込みたい性格を周囲にやがては疎まれ、別々の道へ進む姿を描いています。
「割って、城を」は戦国時代から安土桃山時代にかけての武将鎌田善十(鎌田刑部左衛門)と古田織部正重然が、それまでの戦国時代の武士が、命を賭けて戦うという姿から、お茶をたしなみ芸術を愛でるという姿へ変化していく様が書かれています。
「おお、大砲」は、徳川家康が大坂城を攻略した後に、不要となった大筒(大砲)をもらい受け、大切に何代にもわたり幕末まで保管してきた奈良の弱小藩を描いた作品。
「言い触らし団右衛門」は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将塙団右衛門が、自分の名前を世の中に売り込むため、様々な方法を使うことが、現在の売名行為に炎上商法を使うこととダブっていて面白いところ。
「大夫殿坂」は岡山の津山藩から、商業の街、大坂の出先機関、大坂蔵屋敷へやってきた井沢斧八郎が、その大坂で兄が新撰組の隊士に殺されたことを突き止め、その復讐をする物語です。
最後の決闘シーンは、たった2行ですけど映画「用心棒」のクライマックスシーンを彷彿とさせます。
「美濃浪人」は美濃で養子に入った先の義父が医者だったことから、緒方洪庵に学び、医者として活躍する所郁太郎と、長州藩の武士で後に政治家になった井上馨が刺客に襲われ時に命を救った話し。
「売ろう物語」は安土桃山時代から江戸時代初期の武将後藤又兵衛の物語を抽出したものです。
又兵衛は名高い武将ということもあり、黒田官兵衛→仙石秀久→黒田官兵衛→黒田長政→池田忠継→豊臣秀頼と請われるままに主君を変えてきたことでも有名です。一説には報酬に不満があったとか。
上の「言い触らし団右衛門」にもありましたが、世継ぎではない、貧しい中からのし上がってきた武将は手柄を立てて名を馳せ、それに見合う石高を得るというのが理想だったのでしょう。
でも最後は、負けるのを覚悟して大坂城へ入り、大坂夏の陣で討ち死にします。
こうした主人公にはならない脇役の人達を取り上げた小説というのも、なかなか面白みがあって良いものです。
★★☆
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晴れた日は図書館へいこう (ポプラ文庫ピュアフル)
現在では怪談や霊感など多くの推理小説を手掛ける著者の長編デビュー作品が、この2003年にマイナー出版社から単行本(2013年文庫化)として出版された児童文学作品という異例の作家さんです。
著者としては児童文学に重きを置いているわけではなく、本来書きたいのは、世の中の不思議などをテーマとした推理ものなのでしょう。しかし児童文学作家として名声を浴び、戸惑いもあるのかも知れません。
それはさておき、60過ぎたオッサンが、児童文学?という気もしますが、なかなかどうして、面白く読ませていただきました。
この小説は、「わたしの本」「長い旅」「ゆれた本のなぞ」「消えた本のなぞ」「エピローグはプロローグ」の短編連作の5作品からなっています。
時には甘ったるいファンタジー小説も読みますが、こうした小学生が主人公のちょっとした疑問や謎解きの話しは肩も凝らないし、あまり考え込むこともなく、サラッと読めて気分転換にちょうど良いです。
★★☆
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パワハラ防止のための アンガーマネジメント入門: 怒り、イライラのコントロールで、職場は変わる! 成果が上がる!
著者は特定社会保険労務士で行政書士など資格を持つ日本アンガーマネジメント協会認定ファシリテーターで、この著書は2014年に発刊されています。
若いときから割と怒りっぽいタイプと言われていましたが(自覚はなし)、50を過ぎてから丸くなってくるのかと思いきや、どうにも怒りがムクムクと湧いてくるシーンが度々あり、自分では怒りっぽくなったなぁと自覚するようになりました。
例えばお店でちょっとした店員さんのミスでも怒りが湧いてくると言うような感じで、このままキレやすいオヤジになるのも困ったことになりそうで、以前、日本アンガーマネジメント協会が主催している入門講座を受講しようと申込みまでしたのですが、別の用事が入りキャンセルしたという過去があります。
とりあえず、本でも読んでおこうかと思って、お約束の協会代表理事安藤俊介氏の本を探していたのですが、なかなか見つけられず、先にこちらの本を見つけて購入した次第です。
買ってから気がついたのですが、タイトルの上に「パワハラ防止のための」という副題?が入っていて、これは部下を持つ上司に向けた本であることがわかります。
なので、ちょっと目的とするキレない高齢者というのにはあまりマッチしていませんが、これからはその方が需要がありそうだから、そのうち出てくるかな。
本文で紹介されていますが、キレる原因となる個人の「強いこだわり」「譲れない価値観」の種類には、(1)道徳心(2)利己心(3)自尊心(4)執着心(5)警戒心(6)自立心があり、それらの強さが度を超すと怒りに変わるということです。
例えば最近よくあるあおり運転による暴力は、利己心が度を超し、自分の走行の邪魔をしたというところで怒りが満ちているのでしょう。
また自尊心が高いと、ちょっとした注意をされたことでプライドを傷つけられたと怒りが沸点に達し、満員電車内で喧嘩沙汰がおきたりします。
あとは、自分ではどうしようもない(変えられない)ことに対して怒っても生産的ではなく、健康上もよくないというのはよく理解出来ます。例えば、日本経済の行方について心配したり、もっと身近なところでは隣人の攻撃的な性格を変えることは個人の力ではどうしようもないとか。
そうした論理的な怒りの質や、それらの対処法をなどを学ぶことで、温和な生活に、、、というのが理想ですけど、なかなか思うようにいきません。
でも何かあったときに、それを思い出せるように繰り返して学んでおくことが必要でしょう。
★★☆
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幕末時そば伝 (実業之日本社文庫)
2007年に「異譚・千早振る」として出版され、その後2011年に「幕末時そば伝」と改題されて文庫版が出ました。
この著者の作品はいくつか読みましたが、古代史ミステリーの解釈などでは目からうろこで、専門家ウケは悪そうですけど、素人に対してはそれなりに説得力があって楽しく読めます。
2011年8月前半の読書「邪馬台国はどこですか?」邪馬台国は岩手の山中に!?
2012年2月前半の読書「九つの殺人メルヘン」グリム童話の残酷さ!?
2013年3月前半の読書「ニライカナイの語り部」作家六波羅一輝シリーズ第2作目!
2013年10月後半の読書「新・世界の七不思議」早乙女静香シリーズ!ノアの箱船と桃太郎!?
2015年10月前半の読書「努力しないで作家になる方法」著者の作家デビューに至るまでの奮闘記?
2016年4月前半の読書「新・日本の七不思議」皆既日食が起きて卑弥呼が死んだ?
守備範囲も相当に広く、日本史だけではなく世界史ミステリーもあり、そうしたネタ探しはどうやっているのか、次はなにが出てくるのかと興味津々です。
今回のは少し前に書かれた作品ですが、有名な古典落語をベースにして、「もし、こうだったら」「あの真実はこうだった」など、コミカル路線で時代の新解釈の内容となっています。
そのためには、元の落語を多少なり知ってないと、面白くないかも知れません。それだけに、興味をひいてこの作品を読むのは古典落語に馴染みのあるかなり年配に限る?という気もします。
出てくる落語は、いずれも有名な古典落語、「粗忽長屋」、「千早振る」、「湯屋番」、「長屋の花見」、「まんじゅう怖い」、「道具屋」、「目黒のさんま」、「時そば」です。
最近は古典落語をテレビで見ることもすっかり減ってしまい、週に1回ある「NHK日本の話芸」の中に時々古典落語が登場するぐらいです。
若い人には、うるさいだけのドタバタコント芸のほうがウケが良いらしく、若い落語家も古典よりも新作落語で動きの激しいコント的な落語をするようになり、静かにしっとりと聞かせる古典落語はもう高齢者にしか需要はなさそうなのが残念です。
★★☆
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9月後半の読書 赤ひげ診療譚、非属の才能、笑うハーレキン、土の中の子供、あこがれ
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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
著者は1977年生まれのアメリカの小説家で、2002年に作家デビュー、この作品は長編としては第2作目の2005年の作品で、日本語版は2011年に出版されています。
またこの小説を原作とした映画が2011年に制作公開されていて日本では2012年に公開されています(見ていないけど)。
日本語のタイトル名はえらく長ったらしく変わっていますが、直訳すればほぼ原題通りの意味です。
ストーリーは、2009年のアメリカ同時多発テロで貿易センタービルにいた父親を失った、ちょっと変わり者の9歳の少年を主人公として、その父親が残した鍵の秘密を解こうとニューヨーク中を駆け回ります。
貿易センタービルへの航空機衝突テロはアメリカが他国から一方的に攻撃されたという論調が一般的ですが、この小説では、アメリカのドイツドレスデンへの無差別空襲や、広島への原爆投下で同様に多くの市民が亡くなったことなど、戦争でアメリカがおこなってきた様々な大量殺人についても触れられています。
主人公の少年も、そのドイツへの空襲で多くの家族や友人を亡くし、その後アメリカへ移民としてやってきた祖母がいますが、祖父は父親が生まれる前に出奔しています。
そうした中で、突然父親をテロで亡くし、情緒不安定になりながらも、周囲の見知らぬ人を巻き込みながら、父親の姿を追い求め、鍵の秘密を探し回る勇気とその行動力は目を見張ります。そんな9歳がいるわけねぇ!って言ってしまえばその通りですが、、、
鍵と一緒にブラックと書かれたメモが残されていて、電話帳で調べるとニューヨーク市の5区に472名のブラック姓があり、それを一軒一軒訪ねていっては自分の父親と関係がないかを訪ね歩きます。
本の体裁は少し変わっていて、1行しか書かれていないページや、少年が父親に買ってもらったカメラで撮影した写真、祖母の古い手紙などがあちこちに挟み込まれていて、なかなか読み解くのがたいへんでした。こういうのが、最近の流行なんでしょうかね。
ともかく、今までにはない、新鮮な気持ちで新種の小説を読んだ気分になれました。
★★☆
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オネスティ (集英社文庫)
2015年に単行本、2017年に文庫化された長編小説です。
著者の作品は、過去に「うつくしい子ども」(1999年)、「エンジェル」(1999年)、「眠れぬ真珠」(2006年)、「40翼ふたたび」(2006年)、「美丘」(2006年)、「シューカツ!」(2008年)を読んでいます。
2011年3月後半の読書「美丘」
2013年7月前半の読書「40翼ふたたび」
2013年9月前半の読書「眠れぬ真珠」
2013年11月後半の読書「うつくしい子ども」
2014年2月後半の読書「シューカツ!」
シリーズ物やエッセイなど多作の作家さんですので、読んだのはごくごく一部ですが、久しぶりに読んだって気分になりました。テレビでは時々バラエティや情報番組に出ていて拝見するのですが。
さて中身ですが、恋愛小説と言うにはちょっとアレ過ぎて、なんとも言えませんが、幼稚園時代に隣同士になった同い年の男女が、中学生時代に「お互い恋愛抜きで何もかも話せる親友で居続けよう」と二人で取り決め、それぞれの道を歩んでいくというそれだけです。
ま、内容は結構過激な描写というか、お互いの性体験を話し合うというのが延々と続きますので、エロ系小説が苦手な人にはお勧めできないかも。
そしてそうした二人の関係性に周囲の人達が疑心暗鬼に巻き込まれ、結局は二人だけの世界にどっぷりつかった「迷惑な人達」という流れです。
★☆☆
◇著者別読書感想(石田衣良)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)
著者はマンガ「毎日かあさん」などの作品がある漫画家さんです。その代表作「毎日かあさん」は毎日新聞で15年間の長きにわたり週1回連載されていました。
「仕事編」「家庭編」「男と女編」「性格編」「トラブル編」と別れていて、合計60の質問と、それぞれに明快な回答(ちゃんと内容はあります)が書かれています。
60の質問以外のおまけに有名作家さんや漫画家さんからの質問にも回答しているのが笑えます。業界?内で顔が広いのでしょうね。
ちょっとその中から、質問と回答の最後のひと言(実際は丁寧に回答されています)でまとめた文章を書いておきます。ぶっ飛んでいる回答も多くあって楽しいですよ。
「仕事編」では『「ミスは人のせい、手柄は自分のもの」という上司を改心させる方法は?』
→相手の悪事をみんなに晒せ。
「家庭編」では「息子の部屋からロリコンマンガが出てきました」
→「君臨すれども統治せず」で。
「男と女編」では「30歳過ぎて、いまだに童貞です」
→ソープに行け!(北方りえぞう)
「国際結婚に親が反対しています」
→無視してさっさと結婚して、さっさと孫を産むが吉。
「トラブル編」では「別れた彼女の部屋に置いてあったものを捨てられた」
→傷は浅いぞ、よかったよかった。
など、本人はいたって真面目に答えていますが、その回答が的を射ているのは当然としても笑っちゃうものもあり、楽しめます。
回答に共通しているのは、結構女性に対して厳しく、「女性も必死に働いて稼げ!」という考え方。
今でこそ専業主婦が減り共働き夫婦が増えてきていますが、著者が言う女性の働き方は、男になにかあっても自分が養う覚悟でガンガン働けという思想です。またそれで初めて男女が対等な立場に立てるということ。
これは、著者が結婚していたカメラマンの夫(その後離婚)を病気で亡くした壮絶な経験と、自身のギャンブルで大きな借金を背負った過去と教訓からきているものと思います。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
敦煌 (新潮文庫)
この小説は、1959年に初出、その後文庫本が発刊されましたが、「楼蘭」(1958年)、「天平の甍」(1957年)、「蒼き狼」(1959年)など著者の中国西域ものの代表作と言われています。1988年には佐藤純彌監督、西田敏行、佐藤浩市などが出演した映画が公開されました。
実はこの映画、見たかったけどまだ見ていないので、日テレさん!ぜひ映画の全編ノーカット放送をお願いします。
物語は、北宋(960年~1127年)の時代、科挙(エリート官僚)の試験を受けに来た小説の主人公趙行徳は、試験中に居眠りをしてしまい失敗してしまいますが、その帰り道で殺されかけていた隣国西夏の女を救ったことで、西夏文字で書かれた布きれをもらい、その書かれている内容を知りたいと、北宋と敵対している西夏へ向かいます。
西夏が支配する地域に入ると、兵隊に捕まり捕虜となり、そのまま西夏の兵隊として徴兵されることになりますが、文字を読むことができ、様々な知識が豊富なことで、武勇優れる隊長の参謀となり、勢力急拡大中の西夏の中枢へと入っていきます。
元々は漢民族が支配していた地域に多くの仏典や経典があり、それらを西夏文字に翻訳する仕事を自ら進んでおこなうことになります。しかし漢民族の隊長が西夏に反旗を翻したことで、隊長の腹心だった主人公の運命も大きく変わっていきます。
やがて西夏の軍隊に追い詰められ、敦煌へ逃げ延びますが、そこにもやがて西夏の大軍が押し寄せ、せっかく見つけた仏教経典など古い資料が焼かれてしまうことをどうにか阻止しようと画策します。
現実の歴史では、その隠されていた多くの仏教資料が1900年代に入ってから海外の研究者により次々と発見されました。千年前の隠されたそれらの文化遺産が、どうやって隠され残ったかという疑問をモチーフにしています。
★★☆
【関連リンク】
10月前半の読書 その女アレックス、レオナルドの扉、「やりがいのある仕事」という幻想、ノボさん
9月後半の読書 赤ひげ診療譚、非属の才能、笑うハーレキン、土の中の子供、あこがれ
9月前半の読書 田園発港行き自転車、大人の流儀6 不運と思うな。、日本農業への正しい絶望法、お引っ越し
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その女アレックス (文春文庫)
カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作目の「悲しみのイレーヌ」(2006年刊、日本語版は2015年刊)は今年2月に読んでいますが、この作品がシリーズとしては2作目(2011年刊、日本語翻訳版2014年刊)となります。
2019年2月後半の読書と感想、書評「悲しみのイレーヌ」
この作品は日本でも「このミステリーがすごい!2015 海外部門で1位」、「本屋大賞翻訳小説部門で1位」などに輝きましたが、世界的にも大ベストセラーとなっています。
このシリーズは、「わが母なるロージー」(2011年、翻訳版2019年)、「傷だらけのカミーユ」(2012年、翻訳版2016年)がすでに既刊です。
ストーリーですが、ミステリー小説ゆえ、深い内容には触れませんが、主人公は夜道を歩いていたとき、突然誘拐される女性(アレックス)と、フランス警察のカミーユ警部。
女性が誘拐されたのを目撃したとの通報で、警部が担当することになりますが、まったくその足取りや被害者が特定できず、捜査は難航します。
この警部は、過去に自分の妻が誘拐されて惨殺されてしまうと言う経験(前作「悲しみのイレーヌ」 )があり、本来は精神的にもこうした誘拐事件の捜査にはふさわしくないのですが、周囲の仲間から過去を早く吹っ切るためにも事件を担当させられます。
ただし、普通の犯罪小説と違うのが、その誘拐事件は本作品の1/3ぐらいの部分を占めるに過ぎず、その女性の本性や過去に起きた凄惨な出来事が次第に明らかになっていくというものです。
ま、最後のトリックとクライマックスについては、少々どころかかなり無理な感じもしますが、それが小説だ!ということなのでしょう。
長い作品ですが、テンポもよくサクッと読めてしまいます。できればシリーズ1作目の「悲しみのイレーヌ」を先に読んでおくと、主人公の警部の苦悩やレギュラー陣のこともよくわかって良いかも知れません。
★★★
◇著者別読書感想(ピエール・ルメートル)
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レオナルドの扉 (角川文庫)
2015年に単行本、2017年に文庫化された長編歴史小説です。タイトルにあるようにレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年~1519年)にまつわる話しがテーマになっていて、小説の舞台となっているのは、ダ・ヴィンチの死後300年のイタリアとフランスで、ナポレオン(1769年~1821年)が皇帝となり武力で支配している地域です。
前からずっと不思議に思っていたことがあり、それが本書にも出てきますが、フランス革命(1789年~1799年)では圧政と堕落した王政に対し民衆が立ち上がり、革命を起こして王政と旧体制を壊したわけですが、その後すぐに軍人であり元貴族ののナポレオンが登場し、革命終結後わずか数年で自らが皇帝になるとというのはどうにも理解できませんでした。
もう王政はこりごりと国民は思って革命を起こしたはずなのに、そうした不可思議な事情は本書の主人公の言葉で出てきますが、その理由は書かれていません。
本書のストーリーは、元ダ・ヴィンチ村に住んでいた祖父とともに、流れ着いたイタリアの小さな村で時計屋を営んでいる若い孫の男の子を主人公として、レオナルドが300年前に書き遺した新兵器などのアイデアを書いたノートのありかをナポレオンが率いるフランス軍よりも早く見つけ出そうとします。
途中、同じくそのノートを手に入れようと、レオナルドの良きライバルでもあったミケランジェロの末裔とも一悶着が起きますが、和解ができて、協力し合い、少年がレオナルドのノートに書かれた新兵器を次々と実現化して、イタリア全土を支配するナポレオンの軍隊を圧倒するなどというエンタメ感満載のストーリーです。
さすがに波瀾万丈、快刀乱麻、よほどの予算がなければ実写映画化は難しいでしょうけど、せめてアニメ映画化しても不思議ではないかなと思います。そのうちできるかも知れませんね。
★★☆
◇著者別読書感想(真保裕一)
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「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書)
普段新書を買うときは、いわゆるジャケ買いで、タイトルを見て面白そうなものを買ってきます。つまり著者は誰でも構わないし知らないケースが多いのです。そのあたりは必ず著者名を見て買う小説と違う点です。
この新書もタイトルを見ただけで買ったので、実際に読むだすまでは誰が書いた作品かは知りませんでした。
で、読む前に、著者名を見ると、おっ!なんと、「スカイ・クロラ」などの作品で有名な作家さんじゃない!ということを知りました。
この著者は数多くの作品を出されていますが、過去にその中の「すべてがFになる」と「ZOKU」という小説を読んでいます。「スカイ・クロラ」はアニメ映画で見ました。
この著者とはまったく同世代で、誕生日が数日違うだけという、なにか不思議な親近感があります。
きっと小学生の頃にはツイスターや人生ゲームで遊び、中学生の頃には好きなアーチストのレコードを買い求め、高校生の頃には深夜ラジオとアーケードゲームのブロック崩しを楽しみ、大学生になってからインベーダーゲームに夢中となったのではないでしょうか。著者は国立大に入った秀才なので、子供時代とは言え、凡人の私と比べるのもなんですけど。
内容はタイトルにあるとおり、最近の若者がよく言う「やりがいのある仕事がしたい」に、著者なりの反論というか考え方を述べたものです。著者は大学で教鞭をとっていたこともあり、学生やOBから就職などについてよく質問や相談があったそうで、そうした経験からです。
一度も民間企業の会社員になったことがない著者にしては、世の会社の道理をよくご存じで、机上の空論ばかりを述べる学者先生や、自身が有名大学&大企業出身であることをベースにして上から目線でモノ言う有識者と違い、若い人にはなかなか役立ちそうな話しが満載です。
舌鋒鋭く、少し突き放した冷淡な感じもしますが、会社に入ってから「思っていたのと違う」と嘆くより、こうした器用で名をなした人の話を聞いてみるのも悪くはないでしょう。もっとも著者と同レベルに生きられるか?というものとは違いますが。
★★☆
◇著者別読書感想(森博嗣)
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ノボさん(上) 小説 正岡子規と夏目漱石 (講談社文庫)
2013年に単行本、2016年に文庫化された小説で、若い頃からの正岡子規と夏目漱石の友情と、正岡子規が後世に残した偉大な文化などの話しが中心となっています。
正岡子規(1867年~1902年)というと、真横から撮影されたはげ頭の頭部が異常にでかい?写真がすぐ思い浮かび、ちょっととっつきにくそうな感じがしますが、四国松山から上京し、東大へ通っていた頃は誰もから好かれる好男子だったのですね。
それとその横顔でひげを生やした写真からは、お爺さん?って感じを受けていましたが、35歳という若さで亡くなっていますから、やや老け顔だったのでしょう。
その正岡子規、ほぼ同世代に夏目漱石や同じく松山出身で日露戦争で活躍する秋山真之、俳句で知り合った森鴎外も懇意で、その他にも歴史的人物が子規の周囲に次々と登場してくるのは驚きです。
特に東京大学入学後からの夏目漱石との仲は深く、お互いにその才能を尊敬し合い、行く道は違っていてもその友情はずっと変わりませんでした。
また正岡子規は野球が日本に入ってきてまもなくプレーヤーとして日本での普及に大きな影響をもたらし、ベースボールをもじって野球、バッターを打者、ランナーを走者、四球をファーボールなど訳した最初の人でもあり、野球に対して一家言ある著者(伊集院静)にとっては、この正岡子規を取り上げなければならない運命だったのかも知れません。
松山から希望が叶って上京し、予備門から東京帝国大学へ入学、その間にも俳句や短歌、随筆、浄瑠璃などを書き、自分には小説が向いているのではと創作活動を続けます。
タイトルは、正岡子規の幼名正岡升(のぼる)から、松山時代の友人達から「ノボさん」と親しみを込めて呼ばれていたことからです。
そのハチャメチャで貧しく短い人生ですが、多くの人に影響を及ぼし、明治という時代を駆け抜けていった一人の人間正岡子規を魅力ある人物として描いた小説として秀逸です。
★★★
◇著者別読書感想(伊集院静)
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9月前半の読書 田園発港行き自転車、大人の流儀6 不運と思うな。、日本農業への正しい絶望法、お引っ越し
8月後半の読書 美学への招待、中年だって生きている、すべて真夜中の恋人たち、孤独の歌声
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