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スロウハイツの神様(講談社文庫)(上)(下) 辻村深月

著者の小説は以前短編集の「ツナグ」(2010年刊)を読んでいます。この2007年刊(文庫版は2010年刊)の長編小説が2作品目です。

2016年1月後半の読書と感想、書評「ツナグ」

読んでみてすぐに思ったのは、これは映画化するのに向いた作品で、既にあるなら見てみたいと思いましたが、残念ながら制作はされていません。どうしてかな?

ストーリーは、東京郊外にあるスローハイツという元旅館をリフォームした古びたシェアハウスに住むアーティスト達の人間模様というドラマです。テラスハウスじゃないですが、今なら若者に受けそうなテーマでしょ?

戦後に手塚治虫氏を慕って全国から漫画家の卵達が集まってきたトキワ荘のイメージで、それを現代版に焼き直したという感じです。

住人は脚本家として活躍している女性オーナー、既に超売れっ子作家になっている男性とその担当の敏腕編集者、その他には映画監督や画家、漫画家を目指している若い卵達です。

出てくる男女とも、皆良い人ばかりで、こういうメンバーが集まればシェアハウス生活も楽しいかもですね。世の中そううまくいくことは少ないでしょうけど。

やがて、オーナーの脚本家がアメリカへ行くということで、このチームに終わりが訪れます。オチはその後に判明しますが、意外性もあってたいへん面白く読めました。

★★★

著者別読書感想(辻村深月)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

幕末下級武士のリストラ戦記 (文春新書) 安藤優一郞

2009年に発刊された新書で、幕末から明治期にかけて生きた下級武士だった山本政恒氏が自身で絵と文章で書き残したサムライの一代記を現代風に読みやすくし解説をした新書です。

この人物、下級武士とは言え、ことあれば将軍の影武者として身を挺する職分であり、その後も、篤姫の護衛をしたり、京都での大政奉還や、江戸城開城なども身近で経験している人物です。

さらには、上野寛永寺で起きた彰義隊と官軍との戦い(上野戦争)にも巻き込まれ、やがて、将軍の座から降ろされ、駿河に移された主君徳川家について静岡へ下りますが、その後廃藩置県で食えなくなると、今度は東京、群馬で職を探して家族を養おうと決意します。

そうした幕末の激動の60年間が、器用な絵とともに、日記風に事細かく書いて残すのは、識字率も低く、印刷技術ない時代のことで。当時としては凄いことだと思います。

幕末の話しと言えば、英雄視される坂本龍馬や、勝海舟、西郷隆盛、大隈重信、将軍の座から没落していく徳川慶喜などばかりが取り上げられますが、この山本政恒氏のような庶民に近いところにいた下級武士の苦労と悲哀が語られることはありません。

つい数年前までは江戸城勤めの武士という高いプライドがありながら、幕府がなくなってからは食うに困るようになり、百姓に教えを請うて庭に畑を作り、東京と名称が変わった生まれ故郷の江戸に戻ってからは傘貼りやお面作りなどの内職、家を売って子供のために商店を出してやるなど、サムライのイメージがこれほど変わってしまうことはありません。

これって、大企業に勤務していたけど、経営が傾き、能力がある者や家名がある者はうまく転職出来ても、普通のサラリーマンだったら、、、という現代の状況と同じだなと思わずにいられません。

それほどまでに、江戸幕府から明治新政府に体制がガラリと変わったことで、隅々までに大きな影響が出たのだということが、よくわかるラストサムライ一代記でした。

★★★

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降霊会の夜 (文春文庫) 浅田次郎

週刊朝日に連載されていた長編小説で、2012年に単行本、2014年に文庫版が発刊されています。

泣かせの浅田ワールド満載ですが、ちょっと話しが無駄に長く、くどくなってきた感があり、年を取ってから涙もろくなってきているにかかわらず涙が浮かぶことはありませんでした。

主人公は軽井沢っぽい感じの高級別荘地に男一人で住んでいましたが、ある日、別荘の外で急な雷雨に遭って怯えてしまいうずくまっている女性を助けます。

その助けた女性から、近所に降霊をしてくれる人がいるのでご紹介しますと言われ、冷やかし半分で、同じ別荘地にある家へ出掛けます。

そこには年配の女性と姪の若い女性が住んでいて、仕事としてではなく、頼まれた場合に降霊会を催してひとの役に立つことをしているとのこと。

そして、主人公が小学生だった頃の同級生で、事故で亡くなった友人の霊を呼び寄せます。

降霊でやってくるのは、呼び寄せようとした霊だけではなく、亡くなっているその関係者の霊や、まだ生存中の生き霊までがやってくるという念の入りよう。ちょっと都合良くありません?

浅田次郎作品ということで、読む前からの期待が大きいだけに、今回はちょっと無理しているかな~という感想です。

浅田ワールド作品には、コミカル路線のものも数多くありますが、こちらはいたって真面目なシリアス路線です。そのため出てくる人達や霊はみないい人ばかりで、読者を泣かせようという思惑がありありで、くどく感じた次第です。

シリアス路線の小説で、この世のものではない霊が出てくる作品は、「鉄道員(ぽっぽや)」や「地下鉄に乗って」などがあり読みましたが、いずれも泣かせられました。しかもその両方とも映画化されヒットしています。

また今回泣けなかったのは、「鉄道員」や「地下鉄に乗って」が、家族、親子といった濃密な関係だったのが、この作品では亡くなったのが友人という比較的薄い関係だったからかも知れません。

この小説もいずれ映画化あるいはテレビドラマ化されるのでしょう。もしそうなれば、団塊世代と思える主人公が過ごした戦後の子供時代や、青春真っ盛りの学生紛争時代が、再現映像として出てくることになりそうです。

★★☆

著者別読書感想(浅田次郎)

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