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海賊とよばれた男(講談社文庫)(上)(下) 百田尚樹

出光興産創業者の出光佐三をモデルとした作品で、2013年に本屋大賞を受賞しています。

2016年には映画が公開される予定で、監督は山崎貴、主演は岡田准一の「永遠の0」コンビとなります。

私が生まれる前の話しがメインなので、よく知らなかったことも多いのですが、戦後の占領統治時代に、世界第2位の海軍力を持っていた英国と石油メジャーに対し、敗戦国(日本)の1民間人が堂々と喧嘩を売って、しかもそれに勝利をした日本人がいたことをこの小説で始めて知りました。

ま、こうした小説にはありがちな、大げさにドラマティックかつロマンティックにヨイショした部分がないとは言えませんが、史実も織り交ぜています。

第二次大戦後のイランは独立していましたが、まだ英国の影響下にあり、そこで産出する原油はすべて英国が国有するものと主張していたため、自由に輸出ができず、イラン国民は貧困にあえぐ状況となっていました。

そこへ石油が不足していて、戦後の復興が進まない日本の石油販売の1企業が、自前の石油タンカーをイランへ差し向け、英国の妨害や差し押さえを見事にすり抜け、原油を日本へ持ち帰ったのが「日章丸事件」と言われる1953年に起きた事件です。

その後イランでは石油を狙う英国と米国がタッグを組み、イラン国内でクーデターを起こし、再びメジャーと言われる英米仏の大手石油企業が利権を手中に置くことになります。

しかし、英国と堂々と渡り合った日本の石油企業として、世界をアッと驚かせた影響もあり、日本国内で競合するメジャー以外の新たなパートナーと組むことがかない、また石油精製工場も建設してようやく石油ビジネスを順調に軌道に乗せることができるようになっていきます。

私の家の近所には、ENEOS(旧日本石油、三菱石油、JOMOなどが合併、統合した国内最大の石油精製販売会社)とESSO、それに出光のガソリンスタンドがあります。

今までは営業時間の長いENEOSを利用していましたが、この本を読んでからは、今後はメジャーに支配されず、日本民族系石油販売会社として生き延びてきた出光興産のスタンドにも行かないとなぁって思いました(感化されやすいタイプ)。

★★☆

著者別読書感想(百田尚樹)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ツナグ (新潮文庫) 辻村深月

1980年生まれという若手女流作家さんの作品で、デビューは2004年ともう12年も前ですが、今回初めて読みました。2012年にはまだ読んでいませんが「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞されています。

この連作短編小説は2010年に刊行され、2011年には吉川英治文学新人賞を受賞、2012年には松坂桃李主演で映画が製作されています。

主人公は死者と生者のあいだを取り持ち、死者と再会させてくれるという使者(ツナグ)の若い男性。というと、恐山のイタコを思い浮かべますが、霊が乗り移って言葉だけを伝えるのではなく、亡くなった人が現実に現れ、二人だけで数時間会うことができるという設定。

梶尾真治著の「黄泉がえり」(1999年)も10年以上前に読みましたが、あれも願うことで死者と出会うことができるというのがテーマでしたから、本質的に似ていると言えば似ています。

もう一つ、伊坂幸太郎著の「死神の精度」(2005年)はそうした媒介者ではなく、死神が主人公で少し違いますが、連作短編という形ではよく似た感じです(それらを参考にしていたかどうかは知りませんが)。

これらの作品はいずれもすぐに映画化されるところを見ると、こうした死者と生者の関係性を扱うテーマは映画に向くのでしょう。

なので、中高校生や夢見がちな若い女性ならともかく、ロマンの欠片もなくなった中年男が読むには内容が無理目ではありますが、ストーリーもよくできていて、なかなか面白く、これなら映画制作者の目にもとまるだろうなぁって気がしました。

★★☆

著者別読書感想(辻村深月)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

逃げろ光彦 内田康夫と5人の女たち (講談社文庫) 内田康夫

2005年に単行本、2008年文庫化された短編集で、シリーズ主人公「速見光彦」が登場するのはその5編中1編のみです。

これらの短編小説は書き下ろし作品の「逃げろ光彦」以外は「問題小説」というちょっとアレ系の雑誌に掲載されていた作品ですので、著者の作品としては珍しい濡れ場シーンが入っているのがご愛敬です。

収録されているのは「逃げろ光彦」「飼う女」「交歓殺人」「埋もれ火」「濡れていた紐」の5編ですが、それぞれに笑う女、泣く女、悲しむ女、怒る女、殺す女の5人の女がテーマになっています。

著者自身あとがきで自身が書いていますが、著者の作品で短編というのは珍しく、やはりあまり短編を書くのが好きではないということです。

しかしいつも読み慣れた長編とは違い、短編もなかなかと思える出来で、これはこれで十分に楽しめます。できれば全部が浅見光彦が登場する短編というのがあれば、それも悪くはないかなと思いますけどね。

★☆☆

著者別読書感想(内田康夫)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

日本名城伝[新装版] (文春文庫)  海音寺 潮五郎

著者は1901年(明治34年生まれ)の歴史作家で、1977年に亡くなっています。戦前の1936年には 「天正女合戦」と「武道伝来記」で第3回直木賞受賞を受賞されているほか、NHK大河ドラマやその後映画にもなった「天と地と」など、戦前戦後にかけて多くの歴史小説やエッセイを残されています。

この本は、当初1977年に発刊されましたが、その後2005年に新装版として出版されています。私自身は著者の名前は以前からよく知っていましたが、作品を読むのは今回が初めてです。

内容は戦国時代から江戸時代にかけて建築された各地の名城が建設されたときの時代背景や歴代の城主、関係する有力な武将などについて詳しく解説がされていて、地政学的、建築・土木学的な視点の研究本ではありません。

取り上げられる城は全部で12あり、熊本城、高知城、姫路城、大阪城、岐阜城、名古屋城、富山城、小田原城、江戸城、会津若松城、仙台城、五稜郭です。

九州から北海道まで順に北進していて造られた時代はバラバラです。個人的には過去に行ったことがある松本城や彦根城、岡山城、岡崎城、田辺城、伊賀上野城、安土城(跡)、米沢城(跡)が入っていないのはちょっと残念。

江戸時代までに造られたお城で、現在でもその象徴的な天守が当時のままで残っているのは姫路城と彦根城(いずれも国宝指定)ぐらいで、当時に再建、改築されて現在まで残っているお城としては犬山城・松本城・高知城・松江城(高知城以外は国宝指定)になります。

本書に登場する名古屋城や大阪城の今のお城は象徴的というか、鉄筋造りでエレベーターもあり観光目的化していますので、建築物自体はげんなりもしますが、この本に出てくる各お城の建設当時の背景を読むことで、なぜここにこのようなお城が建設されたのかなど、当時の雰囲気が良く伝わってきます。

現在建っている大阪城は、豊臣を滅ぼした徳川家康の息子秀忠によって、豊臣色を一掃して新しく再建されたお城をモデルに造られていますので、大阪が日本の中心だった頃の全盛期を反映していません。願わくば、豊臣秀吉が造った当時の大阪城を復元してもらいたいものです。

★★☆

【1000回まであと☆4】

【関連リンク】
 1月前半の読書 月と蟹、不実な美女か貞淑な醜女か、左京区恋月橋渡ル、交換殺人には向かない夜
 12月後半の読書 雪の夜話、銀河ヒッチハイク、首都崩壊、龍は眠る
 12月前半の読書 早春の化石、冬蛾、中国化する日本、恍惚の人
 11月後半の読書 ラストチャイルド(上・下) 、老いる覚悟、Nのために、昭和の犬

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