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私の住む地域は都市部郊外地域で、30年前に引っ越してきたときには大きな道路から少し入れば田畑など農園も拡がる割とのんびりした地域でした。

写真:日産ライフケアビークル
この30年間でそうした農園が開発や相続税対策のため次々と住宅やマンションなどに変わり、小・中規模の工場やガソリンスタンド、倉庫などもファミレスやコンビニ、マンションへ変貌し、古くからある大手不動産会社が開発した大規模な住宅地を含めすっかり大住宅地域へと変わりました。

そして気がつくと、自宅の周囲には多くのデイサービス(通所介護)事業所ができています。

Googleマップで自宅周辺の「デイサービス」を検索するとおよそ半径1kmほどの中に15箇所のデイサービス事業所が見つかりました。

同条件で検索するとコンビニはもう少し多くて20箇所ありますが、コンビニは駅周辺に集中しているのに対し、デイサービス事業所は地域全体に広がっています。

平日、朝にウォーキングをしていると、ディサービスの送迎車ばかりが目立ちます。住宅地の中を走るクルマは宅配便のクルマかディサービスのクルマどちらかです。

そのディサービスですが、中でなにがおこなわれているのか?というのはあまり知られていません。

規模や設備などによっても違うそうですが、ディサービスの目的は「(要介護者が)自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図る」だそうです。

つまり、
1.機能維持・向上
2.日常生活のお世話
3.機能訓練
4.孤立感の解消
5.家族の(身体的/精神的)負担軽減

結構アレもコレもと欲張りな目的です。

要介護者に認定されると、介護保険の範囲でディサービスを利用できるわけですが、当然ながら利用者側から様々な意見があります。

例えば、「はてな」にディサービスについて投稿されていたコメントを一部抜粋して引用すると、

「ボランティアでデイサービスに行ったときに、利用者の方に「みんなが好きでここにいるんじゃない」と言われた」

「デイサービスは個人の部屋が無いしまわりがガヤガヤしてるのが苦手な人は逃げ場が無いからキツい」

「塗り絵とか子どもの遊びみたいのさせられる。ばかみたいって祖母も嫌がってる。人によって「尊厳が傷つけられた」と感じる基準違うから難しい。」

「デイサービスは利用者の世代が60代から100代と幅広く、性別も趣味も障害もバラバラの人々が一堂に会するから。これを解決する手段はない」

これらの意見はいずれも介護現場の近くにいる関係者か要介護者の家族の話しばかりで、ディサービスを利用している要介護者本人の意見ではありません。

影響力がある多くのフォロワーを持つ要介護者が、TwitterなどSNSで利用者の本音を発信するようになるのは、まだあと数年はかかりそうです。

  ◇   ◇   ◇

NHKスペシャルでも放送されましたが、認知症診療の第一人者だった精神科医の長谷川和夫さんが認知症に罹り、社会に認知症の理解を進めていく活動をされていましたが、今年の11月に亡くなられました。

その長谷川医師が自ら提唱したディサービスへ自分が介護される立場になって通所した時のことについてこのようなことを語っています。

認知症の第一人者が認知症になった」(NHK)
家族の負担を減らし、認知症の人の精神機能を活発化させ、利用者が一緒に楽しめる場所の重要性を訴え続けてきた。
しかし、この日、利用者全員で行うゲームに参加した長谷川さんに笑顔はなかった。
「医者のときは『デイサービスに行ったらどうですか?』って、そういうことしか言えなかったよね。少なくとも、介護している家族の負担を軽くするためには非常に良いだろうくらいな、素朴な考えしか持っていなかったよ。『今日は何がしたいんですか?したくないですか?』っていうことから出発してもらいたい。ひとりぼっちなんだ、俺。あそこに行っても。」(長谷川さん)

確かに負担が大きい要介護者を抱えた家族にとってディサービスは大きなメリットには違いありませんが、肝心の要介護者本人にとっては「行きたい場所ではない」となっているケースがあるようです。

特に高齢者や認知症患者は新しい対人関係が苦手な人が多く、個室がなく、全員で一緒になにか(童謡を歌ったり折り紙したり)をやらされるとか、不満がたまる人もいるでしょう。集団生活が苦手な私もたぶん合いそうもないです。

最近は、高齢者の趣味嗜好にできるだけ合わせた行事や活動、レクリエーションを取り入れているところもありますが、まだまだそういうのは例外的で、多くは「危険がなく安全第一で」「できるだけ全員一緒に」「少数の介護者で管理が可能な」ことに限定されるのでしょう。

障害の程度や機能の違い、性別や年齢、趣味趣向など幅広い要介護者を相手にしますので、たいへんだとは思いますが、これから自己主張が特に強い団塊世代がその対象となって一気に増えていきますので、様々な問題やトラブルが起きそうで心配です。

【関連リンク】
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