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ミライ20世紀の終盤、1990年代後半頃に「Y2K問題(2000年問題)」という言葉が社会にまん延していたことを覚えている人も多いでしょう。

1970年代頃から本格的に社会インフラとして使われてきたコンピュータのプログラムに使われてきた西暦の下2桁が99から00になることで、システムが異常をきたすのではないかという技術的、社会的な問題でした。

結局は、大騒ぎした割にはほとんど影響はなく、IT業界が疲弊し潤っただけということで無事に収束しました。

それ以来、なにか大きな時代の波やそれによるリスクが予想されるときに、「○○年問題」という言葉が流行り出しました。そのほとんどがあまり根拠がない、イメージ先行や注目を浴びたいがゆえの無理矢理作ったものですが。

現在ささやかれているその○○年問題をリストアップしておきます。

◇2023年問題
2023年10月から施行されるインボイス問題のことで、主に中小零細企業の作業が増えることに加え消費税負担の増加や、対応できないと下請け企業は取引停止になったりして廃業が続出するのではないかと言われています。また非公表の氏名が国税庁により公表されるなどプライバシーの問題もあります。

同じく2023年には防衛費増額による新たな税金または既存税の増額が予定されていて、それによる政治や社会の混乱が予想されます。

また、2023年は新築オフィスビルのオープンラッシュで供給が増えるうえ、コロナ禍によるリモートワークの増加でオフィス需要が減少していることもあり、特に首都圏でオフィスビルの空室率が相当高まると予想されています。

◇2024年問題
2024年4月に施行される働き方改革関連法によって、物流業界、特にトラックドライバーの時間外労働の規制がこの年に中小零細企業まで拡大し、物流を担う人員不足が予想されています。また同時に時間外労働が減ることでトラックドライバーの収入が減ることになり、さらにこの業界の人手不足が加速しそうです。社会の影響として宅配の荷物の到着が大幅に遅れたり時間がかかるようになりそうです。

◇2025年問題
特にこの年になにかが起きるということではなく、団塊世代(1947年~1949年生まれ)670万人がすべて75歳以上の後期高齢者になります。医療や介護など、社会保障費の増加がその後ますます進むことになりそうです。
この高齢化は、団塊世代の子供達、団塊ジュニア世代(1971年~1974年生まれ)がすべて65歳以上になる2040年頃がピークになると予想されています。

◇2025年問題(昭和100年問題)
官公庁などで多く使われている和暦で昭和100年となる年で、そのため2000年問題の時と同様に、和暦を残しているコンピュータなどで問題が起きる可能性があると言われています。

◇2030年問題
1980年~1990年のバブル期に大量に採用、養成された航空機パイロットが、定年等で大量に退職する問題です。コロナ禍の影響で一時的には需要は減りましたが、観光立国を目指す中で、またLCCの増加で航空機パイロットの需要は高まっています。そういう意味ではヒロインがパイロットを目指すNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』は、国交省とNHKが密かにタッグを組んだドラマなのかも知れません。

◇2031年問題
この年、高齢者の増加とその年金支払いで、今まで貯めてきた年金積立金が枯渇すると言われています。昔は若者が多く、高齢者が少なかったので、有り余る年金積立金を使って豪華な厚生年金ホールを作ったり、豪華なリゾート施設を次々に建設したりして役人天国を謳歌してきましたが、そのツケを支払う時がまもなくやってきます。年金に多額の税金を投入(そのために消費税増税?)したり、支払う年金を引き下げたりと様々な方策が順次おこなわれることになるのでしょう。

◇2040年問題
人口が1番多い団塊の世代が90歳以上、そして2番目に人口が多い団塊ジュニアの世代が65歳以上の高齢者となる2040年は、高齢者人口がピークとなる年と言われています。
2030年には3人に1人が65歳以上と予想されているのに対して2040年には3人に1人が85歳以上と予想されています。それにより年金や医療、雇用などの問題がさらに深刻化するだけでなく、ついには行政などの運営も難しくなると言われています。

◇2045年問題
コンピューターやAI技術が進み、技術的特異点(シンギュラリティ)に達する年と言われています。わかりやすく言えば、コンピューターが自立的に考える能力が人間の頭脳を越え、実用的な人工頭脳が現実となります。そうなった時に人や世界はいったいどう変わるのか、今はまだ想像ができません。

◇2053年問題
日本の人口が1億人を下回るとされる年です。しかしコロナ禍の影響で、未婚化、少子化が予想よりも進み、したがってこの年はもっと早まる可能性が高いです。

 ◇   ◇   ◇

仕事から引退した身にとっては時間もたっぷりあるので、宅配便の配達が遅れようが、役所の手続きにトラブルが起きようが、零細企業が次々廃業しようが、飛行機の運航が中止されようが、なにも影響はないですが、年金財源の枯渇と年金大幅減額が目に見えてくるのはとても恐ろしいです。

また2045年、今から22年後のシンギュラリティは、ある日突然なにかが変わってしまうというものではないですが、世の中の仕組み、社会構造などが徐々にAIシフトへ変わっていき(わかりやすいのはクルマやバス、電車が完全自動運転になり、製造現場でも無人工場が普通になるなど)、人間の役割とは?という世界が楽しみでもあり、また恐ろしくも感じます。

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