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私の子供の頃に開通した東海道新幹線。そしてそれからまもなく新幹線の次はリニアモーターカーだと言われてきました。それからすでに50年近く、進んだようで全然進んでいないような気がします。

一時期には鉄道会社のみならず、総合商社や日本航空なども参入すると言われ、成田空港-東京間に走らせるとか、首都移転の後、新首都と東京を結ぶために使われるとか、様々な話しが持ち上がっては消えていきました。

ここにきてようやくJR東海が2027年(15年後)に品川-名古屋間で開業することを発表しましたが、まだ問題は山積みです。

用地買収、人口(乗客)減少による需要の低下、高磁力発生にともなう健康障害問題、活断層など危険地域対策、高額運賃と採算性など未知数的な不安要素が多く、1960年代の東海道新幹線建設時のような「国をあげて一丸となって夢を実現しよう」というわけにはいかないでしょう。

もうすっかり忘れ去れてしまってましたが、最初にリニアモーターカーの実験線が作られたのが33年前1979年で、場所は宮崎県日向市でした。その後リニア中央新幹線の本線としていずれ使えるようにと、1997年山梨県大月市に先行区間として18.4kmの実験線が完成しました。

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現在も山梨実験線の42.8km全線開通完成を目指し、工事が進められています。しかしこれらはまだ実験線で、すべてが完成しても名古屋までの全長286kmの15%に過ぎません。

東京-名古屋間での営業運転開始があと15年後の2027年の予定、東京-大阪間ともなると2045年の開通予定で33年先の話しです。しかも東京オリンピックの開催に間に合わせるため、国家プロジェクトとして昼夜を問わず突貫工事で間に合わせた東海道新幹線とは違い、完成は予定より相当遅れそうな気がします。

 山梨県笛吹市で建設中のリニア実験線(2012年4月)
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東海道新幹線建設当時、現在の東海旅客鉄道(JR東海)はまだ日本国有鉄道(JNR)でしたから、土地の買収や沿線住人に対する騒音対策なども国が対応し、採算も度外視ができました。土地を売った人の中には「お国のためなら」「国には逆らえない」という人も少なからずいたのではないかと思われます。

しかし今はJR東海は民営会社ですので、公共的な性格がある鉄道とはいえ、とても国家プロジェクトとは言えず、土地の収用について強制力はなく、また企業として採算性や資金調達、株主対策、用地買収、沿線住人への補償など、多くのハードルがこれから壁となって待ち受けていそうです。

私の考えとしては、もうこうした夢を追うような大規模公共工事の時代ではなく、現在ある新幹線の改良と複々線化(より安全な内陸側に新線の追加)などをおこない、効率性、安全性、大規模災害時の代替えとして既存施設の整備に重点におこなうべきじゃないかなと。

リニア新幹線が開通する2030年~50年と言えば、3人にひとり、2.5人にひとり以上が60歳以上と高齢者だらけの国です。

その日本にわずかな時間短縮が可能なリニア新幹線をありがたがる人がどれほどいるのかという疑問、世界の国に売り込むためそのサンプルとなる営業線が欲しいなら、もっと近距離で需要の多い区間(成田-東京間や梅田-関空間、名古屋-中部空港間など)や、様々な障害が少ない国家的プロジェクトでお金を払ってもらえる海外に出て作ればよいのです。



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