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昨年2013年に始めて海外からの旅客数がようやく1千万人を超えたと言うことで「クールジャパン」「観光立国」政策の成功だ!などと喜んでいる政府や国の関係者がいますが、それって今までがあまりにも無為無策だっただけで、これで成功したなんて満足しているようではとんでもない話しだとということを書いてみます。
入国と出国の話しですが、1964年までは観光旅行としての海外渡航は厳しく制限されていて、1966年に年間1回限りという渡航制限もなくなり、ようやく観光旅行としての海外旅行が普及し始めました。
そういった制限もあり、日本に入ってくる旅行客と出ていく旅行客の人数はほぼ拮抗していて100万人未満という少なさでした。
高度成長期と歩調を合わせるように1970年以降は自由化で一気に日本から外国へ出国する人の数は増えていきますが、反面、外国からやってきて日本に入国する人はほとんど増えません。
その時代、団塊世代が消費の中心にいたため、自然と内需は拡大基調だったので、あえて外国から観光客を呼ぼうという意識も需要もなかったと思われます。
出国する日本人が1千万人を突破するのはバブル時終盤の1990年です。逆に外国から日本にやってくる人の数が1千万人を超えるのがようやく昨年2013年なので、もし出国と入国の人数収支バランスというのがあるとすると入国する外客数は23年遅れということになります。
つまり海外旅行が一般的になってからの40年間、日本から外国へ送り込む戦略は航空会社や旅行代理店にいくらでもあったのに、外国観光客を日本に呼び込む戦略はまったくなかったのか、ほとんど誰も知らないところにあって、それが機能していなかったということになります。
訪日外客数と出国日本人数
次に、世界各国(地域)への外国人訪問者数を調べてみました。
ギリシャやエジプトのように古代の有名な遺跡や遺産があり、たいして努力をしなくても観光客が増えていく国や、ニューヨークやロンドンなど世界の金融・経済の中心地をもつ国々もありますが、上位は決してそう言うところばかりではなく、様々な外客誘致を展開して外客を増やしていそうな国も目立ちます。
日本人に人気のある外国の観光地はと言えば、パリ、ニューヨーク、香港、ローマ、エジプトなどなど多数あります。
そうした人気の観光地(国や地域)がある中で、日本には世界遺産にも登録された富士山や古都京都、奈良、雪質がよくインフラも整っている北海道の雪山リゾートに、世界でも有数の透明度や生物の多様性を誇る沖縄の海、アジアでは最初にできたディズニーランドやユニバーサルスタジオなど、老若男女の外国人に好まれる観光名所がいくつもある日本は果たして外客数で世界の何位にランキングされているでしょうか?
10位?まさか!
20位?いえいえ
30位?まだまだ
実は33位です。
アジアの国や地域の中だけでみても、3位中国、10位マレーシア、12位香港、19位サウジアラビア、20位マカオ、23位韓国、25位シンガポール、30位アラブ首長国連邦に続いての9番目です。アジアで一番の先進国で経済大国だ!なんて威張っていても、外国からやってくる観光客数では後進国なのです。
外客数1位のフランスの年間入国外国人数は8300万人、2位のアメリカは6700万人です。日本は2012年は840万人でフランスのたった1割しかなく、他のアジア諸国、34位のインドネシア804万人、39位の台湾731万人と比べてもわずかな差でしかありません。
先進国とされるG8の国(グラフでは紺色)の中でも、日本だけ大きく引き離されての最下位です。多くの美しい自然や文化遺産、最新の技術力やアミューズメントがありながらも、実は世界の人達から避けられているとしか思えないような少なさです。
「日本は島国だからちょっと隣国へという感覚がないので」と思う人もいるでしょう。
確かに隣国と陸続きであるかどうかは外客誘致には大きな問題ですが、同じような島国の英国は日本の3倍、アイルランド、インドネシア、台湾が経済規模では何倍何十倍も違う日本と外客数ではほとんど変わらないというのは、なにかやはり日本に問題があるとしか思えません。
これらの数字から見ると、日本人が外国に対して思っているほどは、外国の人は日本が生み出してきた工業製品やアニメにこそ信頼や共感はしていても、日本という国や文化、歴史、それと日本人に対して興味も関心もないってことでしょう。
中国や韓国が世界中で日本バッシングをおこない、それが概ね成功しているように見えるのも、こうした外国から見た日本の閉鎖性、わかりにくさ、人同士の交流の少なさからきているのではないかと思わなくもありません。
問題は今までの外国人観光客誘致策が大きくずれていたか遅れていたということでしょう。
これだけ元々の来日外国人が少ないと、少しお金をつぎ込んでPRするだけでも数百万人は増えるでしょうから、世界同時不況とはいえ現状では増えて当たり前だったのです。
一時的に効果が期待できるオリンピック頼みではなく、国と観光業界が、この惨めで情けない外客数の増加に本気で取り組み、せめて10年後には韓国や中東諸国、香港、シンガポール、マカオ、マレーシアを抜き、アメリカの半分ぐらい、3000万人の観光客誘致を必達の目標とする計画を立ててもらいたいものです。
前例のないことをやりたがらない役人にまかせておいても無理な話しでしょうけど。
少ないと言うだけではなんですから、また折を見て、外客増加私案を書いてみたいと思います。
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