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高齢化社会もまもなく佳境に入りつつあり、年金や生活保護の受給者が増えて社会福祉にかかる経費が増大してたいへんだという話しは毎月のように耳にします。

ただ、憲法で保障されている「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」を現実の制度に置き換えると生活困窮者に与えられる生活保護の支えは最低限必要な制度と思われます。

ではなぜ、これほどまでにこの制度や制度を使う人が叩かれたり、社会悪とでも言うような問題として俎上に上がってしまうのでしょう。

確かに生活保護費の不正受給や疑わしいケースが毎年摘発されたりします。そういうのはもちろん可能な限り発見して排除していくべきですが、いくらでも人手とお金をかけて調査し検挙すればいいというものでもないでしょうし、不正受給は全体の0.5%と決して頻発しているというレベルでもありません(税金の滞納率は1.3%前後、小売店での万引き被害は売上金額の0.8~1%と言われています)。

悪事をはたらく犯罪者は生活保護を不正に受給しようと考える人だけではなく、他にもいっぱいいるわけですので不正受給ばかりを調査、監視、摘発するのも限界があります。

不正受給者をなくすという以外の対策等で増加する生活保護費の問題を解決できないものか考えてみました。もちろん夢のような解決策があれば頭のいい人が先に提案して実行しているわけで、無理を承知の上でのことです。

まず生活保護受給者数と受給世帯数の推移を調べます。データの出典は厚生労働省の「被保護者調査」です。



約40年前の高度成長期の1975年には月平均で135万人だった生活保護受給者は2013年には216万人と1.6倍に増えています。人口も1975年から1.14倍増えていますが、人口比で見ると、さすがにちょっと増えすぎでしょう?っと思うのもやむを得ません。

これは生活保護受給者の数と失業率は深い関係があって、1975年は1.9%だった完全失業率は2013年は4%にまで上昇しています。まずはこれが大きいでしょう。

つまり失業率が高いと、失業後に次の仕事に就けず、やむなく生活保護を申請するという人が当然ながら増えることになります。

都会に住んでいる若い人なら「仕事がないなんて、考えられない」と思うでしょうけど、地方に住んでいる人や中高年者はこういうケースは珍しいことではありません。

また家族の介護のために地方から離れられず、また介護のために働ける時間が限られて、そういう都合のいい仕事が見つからないという人も多くいます。さらに50歳を超えていたりすると都会でも次の仕事を見つけるのは困難です。

そういう人達には、制度として家族を介護しながらでも働ける環境を提供するなど、働く場を作っていくしかないでしょう。

ちょうど介護士や介護補助員の不足ということもあるので、老人ホームに介護している家族を預け、そのホームで毎日働くという仕組みが作れないものでしょうか。

老老介護や認知症介護など介護側に大きな負担を強いて悲惨な結末を迎えることを考えると、もっと積極的に施設や福祉団体が介護と雇用に関わるべきでしょう。

また民間の老人ホームが高くて入れられないという場合でも、その費用の代わりに今まで介護をしていた家族がそのホームで働くことで要介護者が優先的にホームに入居できるのなら双方にとってメリットがありそうです。

次に、生活保護というと、イコール高齢者というイメージが強くありますが、生活保護受給世帯の内訳をよく見てみると、確かに高齢者数の増加とともにその数は増え続け、世帯別で見ると受給者全体の4割以上を占めていますが、ここ数年で割合が急速に増加しているのは、「その他の世帯」です。



「高齢者世帯」(青)とは65歳以上の男女のみか、これに18歳未満の者が加わった世帯を表しますが、一般的にみて老夫婦のみあるいは高齢者が1人で暮らす世帯と考えていいでしょう。

生活保護を受ける「高齢者世帯」は2012年は約68万世帯(2014年74万世帯)で、生活保護受給世帯全体の44%(同45%)を占めています。これは10年前と比べると24万世帯も増加(155%)していますが、生活保護受給世帯全体に占める割合は横ばい※です。※2002年の高齢者世帯が占める生活保護受給世帯の割合は46%

つまり高齢者世帯の増加で生活保護受給世帯が増えているというのは、絶対数では正しいですが、全体の割合からすると間違っているということです。

「母子世帯」(オレンジ)は配偶者がいない65歳未満の女性と18歳未満の子のみの世帯で、生活保護を受けているのは2012年で11万世帯です。10年前と比べると3万世帯(139%)の増加と、他と比べると極端な増加率ではありません。

「障害者、傷病者世帯」(緑)は世帯主が障害者または傷病者で働けない世帯で、2012年に生活保護を受給しているのは48万世帯。10年前と比べると14万世帯(141%)増えています。

そして最後の「その他の世帯」(紫)ですが、65歳以上高齢者や母子、または障害・傷病者の世帯以外の世帯のことで、いわゆる(働くことができる人がいる)普通の家庭(世帯)です。

もちろん特殊な例としては、「50歳代の世帯主が会社の倒産(または事業が失敗)で失業したが、次の仕事が決まらず、貯金もないので夫婦ともアルバイトをしながら常勤の仕事を探しつつ不足分を生活保護の受給に頼っている」とか、「ずっと引きこもりで親の年金で暮らしていたが、その親が亡くなり、かと言って40代で職歴なしだと働くこともできずに」っていうケースもあるでしょう。

この普通の世帯「その他の世帯」の受給が妙な感じで急増しています。2102年は28万世帯で、10年前と比べるとなんと20万世帯(335%)と3倍以上に増えています。

生活保護受給世帯全体に占める割合も、2002年8%だったものが、2012年には18%と2倍以上の伸びを示しています。

つまり、「高齢者世帯」の生活保護受給対策も必要ですが、それでだけではなく、「その他世帯」の生活保護受給の実体を明らかにして、その対策を早急に詰めるべきでしょう。

おそらくですが、親の介護問題や、地方都市の景況悪化、若年層より高い中高年層の失業問題などが深く関わっているように思えます。さらにニートや引きこもりの増加もこれに拍車をかけていることになるでしょう。

最後に医療費の問題です。

生活保護が受給できると医療費が無料になります。これはなにを置いても大きいですね。

貯蓄がない低所得者や年金生活者が健康で、医療費がかからなければいいのですが、そうでなく、持病があったり怪我や病気のため保険が適用されてもなお高額な医療費や薬代が必要な場合、自分で働いて治療費を稼ぐよりも、生活保護を申請する方が得という考えに立ってしまいます。それが広く知られているだけに、その流れはもう止めるに止められないでしょう。

2012年のデータでは、生活保護費全体に占める医療扶助費の割合は46.5%にまで増えてきています。つまり金額ベースでみると、「生活保護を受ける理由は生活費が半分、あとの半分は医療費がタダになるから」とも考えられるのです。

そりゃ、お金がないからと言ってまともな医療が受けられないというのは人道に反します。本来は国民皆保険制度でいつでも安い料金で医療を受けられるのが日本が世界に誇れる仕組みでした。

しかし医療が高度化し、高額な検査や高度な手術、そして新薬が次々と投入され、それに比例して医療費が高騰し、一方では医療の進歩で本来の寿命を超えてもなお生き続けることが可能となってきたため、そこに従来の保険制度だけではまかなえない医療費急増問題があるわけです。

一般的に「生活保護費の増大」って一言で片付けてしまっていますが、実際は、その半分は「医療費負担の問題」なのです。

若くて健康な人に「将来、延命治療はして欲しいか?」って聞くと、多くの人が「必要ではない」と答えます。しかし病気で気弱になった高齢者に同じ質問をすれば、多くは「して欲しい」と答えます。生活保護を受給していて医療費が一切かからないのならなおさらそう答えるでしょう。

生活保護とは無縁と思っている今の「延命処置は不要」と答える若い人も、やがて高齢となり、寿命が残りわずかになると、多くの人は同じように「延命処置して欲しい」と答えると思います。それが生命に固執する人間の性(さが)なので、それがおかしいとは思いません。

そうやって、病院では以前なら手の施しようがなく見守るだけだった高齢者や重病患者に対し、今では自腹ではとても支払えない高度な延命医療を施し、寿命を数日~数ヶ月延ばすようなことが普通におこなわれています。

そうしたことも含め、「生活保護受給資格があるのだから、今のうちに病院にいき、できるだけ多くの検査をしてもらい、長期入院をして、薬も余計にもらっておこう」というようなことが起きないよう、もう少しマシな制度にあらためることが必要でしょう。

例えば生活保護受給者でも生命に関わりのある治療以外の医療費は自己負担とか、生活保護費の中から医療費の一部を支払う仕組みとか。

と、いうことで、自分含めて誰もが将来お世話になるかもしれない生活保護に関しては、まだまだ他にもいろいろと考える余地がありますが、社会に必要な制度ということは前提にして、その中身や基準をより現実的にしていくことが重要ではないかという提言でした。


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