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一昨日の4月14日(木)夜から昨晩にかけて熊本、大分を震源とする震度7~6の地震が頻発しました。その後も大きな余震が続いているようで、被害に遭われた方にお見舞い申し上げます。
神戸や東北、九州と、なぜか首都圏を外して大きな地震が起きていて、いつ来るか?と心配性ではない私でも気になるところですが、普段からの備えが必要なのだろうなぁと思います。
今年の2月には「災害用備蓄品について考える」を書いて、自らも備蓄を進めていますが、同時に本棚や食器棚の固定や釣り棚の安全対策などもやっていかねばと思った次第です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さて、本題ですが、15年ほど前から右の股関節が痛みだし、4年前の整形外科での診察でようやく「変形性股関節症」の診断が下り、その後は体重を減らしたり、しゃがむような姿勢を減らしたりと保存療法を心がけてきましたが、痛みは年々激しくなり、最近では問題がなかった左側の股関節にも似たような痛みが起きるようになってきました。
■過去の関連記事
119 なんだか神経痛?(2003年11月)
164 カイロプラクティック(2005年6月)
424 股関節唇損傷?(2010年8月)
433 股関節唇損傷についての続編(2010年10月)
597 足(股関節)を痛めてできなくなったこと(2012年4月)
602 ついに変形性股関節症の診断下る(2012年5月)
716 変形性股関節症は治らない(2013年5月)
924 高齢化社会で変形性股関節症が増加する(2015年5月)
965 とうとう杖を買いました orz(2015年10月)
本当ならば、この連続する痛みに対処するためには、そろそろ人工股関節を入れる手術も考えないとならないのですが、
1)入院、手術、リハビリなどで、仕事を最低で1ヶ月、術後が悪いと2~3ヶ月休むことができるか?
2)60歳手前で人工関節を入れると、平均寿命と耐久性を考慮すると再び入れ替え手術が必要?
などの理由によりためらっているところです。
現役時代の健康保険組合と、会社を辞めてから国民健康保険で手術をするのでは自己負担割合が変わるのかなと思いましたが、70歳まではどちらも3割負担ということで変わりません。
逆に年金生活者など所得が低いほど高額療養費の補助が多く受けられ、実質の負担額は低くなりますから、現役時の手術より、引退後に受ける方がいいとも言えます。調べると股関節の置換手術の平均年齢は64.7歳だそうです。やっぱり引退後の65歳前後に受ける人が多そうです。
医者も「手術するならできれば65歳以降にしたほうがよい」と言うことで、なんとかあと7年ぐらいは騙し騙しでやっていければと思っていますが、特に寒い日などは、動かさなくてもジワーと、寝返りのため身体をひねるとギクッと痛むようになってきて、困ったものです。
痛むのは関節のクッションの役目をする軟骨がすり減っていたり、変形してなくなっていたりして、骨と骨が直接当たってしまうことによります。
なので、この軟骨を再生することができれば痛みはやわらぐはずですが、その方法としてはヒアルロン酸を直接間接部に入れる注射以外、その他の方法は現在の医学では確立されていません。そしてそのヒアルロン酸注入も必ずしも成果は上がっていない感じです。
私が4年前に行った整形外科でも、「痛くて我慢できなくなったら人工関節の置き換え」と言い切られてしまいました。
で、藁にもすがる思いで、無駄を承知の上、しばらく健康食品の「グルコサミン」と「コンドロイチン」を飲んでみることにしました。テレビや新聞の広告で、まるで痛い関節がすっかり良くなるかのようなあり得なさそうなアレです。
「グルコサミン」はグルコース(ブドウ糖)の一部がアミノ酸の特徴であるアミノ基という分子構造を持ったアミノ糖のことで、軟骨を構成するプロテオグリカンを作り出します。
「コンドロイチン」は軟骨の中や全身の細胞間に多く存在するムコ多糖、軟骨を構成するプロテオグリカンの中にある成分で、グルコサミンが元となって作られています。
いずれも経口(飲用)品としては医学的な効果は認められず、医薬品ではなく健康食品という扱いです。たまによくなった気がするっていうのも単なるプラシーボ効果とバッサリ斬り捨てられるのが通説です。
医療界では「これらの健康食品をいくら摂取しても胃で消化されるだけで、悪い骨の関節にわずかでも届くとは考えられない」と完璧にその効果は否定されています。
効かないという論拠としては下記のようなものがあります。
グルコサミン、ヒアルロン酸、コンドロイチンの効用(All About)
| (中略)グルコサミンはブドウ糖、ヒアルロン酸は澱粉、コンドロイチンは乳糖が基本構造です。経口摂取で体内に入った親水性の物質は、胃酸に強い物質の場合、消化、吸収されてから肝臓に行き、肝臓に直ぐに取り込まれなかった分は一定時間血中にとどまります。ちなみに胃は糖を吸収しませんが、小腸から単糖だけは吸収されます。 グルコサミンは、消化されずに吸収されます。ヒアルロン酸は消化されますが消化すると多糖ではなくなります。コンドロイチンは乳糖分解酵素がない人または少ない人では消化されずに体外に排出されます。 軟骨は関節内の液体、関節液から栄養を得ています。つまり関節液からしか軟骨には届かないため経口補給しても影響しないと考えられています。 |
ま、普通の医療関係者であれば、「過剰摂取しない限りは気休めのため副作用もないので飲んでもいいけど・・」的な感じです。
テレビや新聞では連日「グルコサミン」と「コンドロイチン」「ヒアルロン酸」をうたう健康食品の広告が花盛りです。これも超・高齢化社会独特の現象なのでしょう。
で、それらをすべて承知の上で、試しにAmazonで2ヶ月分のサプリを買ってみました。これから2ヶ月間飲み続けてみます。
グルコサミン&コンドロイチン・プラスMSM 180カプセル
海外直送品(Healthy Natural Products) 2,830円(2016/4/15現在)
「グルコサミン」と「コンドロイチン」はよく聞くけど、MSM(メチルサルフォニルメタン)ってなに?って調べると、質量の約34%がイオウ元素で構成された成分で骨や皮膚、細胞組織に必要なコラーゲンを健康に保つ働きがあり、痛みや炎症を鎮める効果が期待できるとのこと。また美肌によく、花粉症のアレルギーも抑えてくれるそうです。
ホンマかいな?と眉唾ではありますが、「関節によさそうなものをてんこ盛りにしてみました」っていう、いかにも大ざっぱなアメリカン的サプリです。
しかも1カプセルが通常日本の風邪薬などでよく見かけるカプセルのおよそ2割増しぐらいの大きさで、慣れるまで喉を通る時の違和感は感じます、が、すぐに慣れちゃいます。
面白い?のはカプセルを飲んだ後、ちょっと咳き込んだりすると、白煙のような白い粉がパッと飛び散ります。カプセルを飲んだ後はたっぷりと水を飲んでおかないと逆流しちゃうみたいです。
このサプリメントはアメリカからの直送ということですが、いかにも健康志向のアメリカWASPが愛用してそうな感じのカプセルで、3月時点の価格ですが2ヶ月分180錠(1日3錠×60日分)2,830円(税込み、配送料無料)と思ったほどは高くないかなって感じです。
実際の内容量は比較していませんが、世田谷自然食品の「グルコサミン+コンドロイチン」は1ヶ月分(240粒)で3,800円+税、サントリーウエルネスの「グルコサミン&コンドロイチン」は2ヶ月分(360粒)で7,020円+税です。
これだけ値段が違うと言うことは、内容が日本の製品のほうが内容量や品質が高いのかも知れません。でも所詮は健康食品(サプリメント)、細かいことにはこだわらないようにします。
あと、アメリカのサプリは医薬品と区別するために、1日のお勧め量は書かれているものの、いつ飲むのがいいとかは一切書かれていません。
普通几帳面な日本人なら「朝食と夕食の後に2錠ずつ」とか書いてあれば、その通りに実行しないと、なんだか効き目が薄れるかもというメーカー推奨神話のようなものがありますが、それが書いていないとなると、さていつ飲もうか?って考えてしまいます。
注意書きが書いてないと言うことは、いつ飲んでも構わないのですが、私の場合は、朝食後に2カプセル、夕食後にも2カプセルと、1日3錠目安からちょっと多めに飲んでみることにしました。あまり細かなこと気にするな!ってアメリカンな感じです。
こうした健康食品サプリメントは、一度始めるとなかなかやめられなくなるかも知れませんが、関節痛が気候の変化(これから暖かくなる)やプラシーボ効果であったとしても、もし改善してくれればそれはたいへんありがたいことなので、細い藁にすがってみることにします。
また2ヶ月後ぐらいに報告します。
【関連リンク】
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三十光年の星たち(上)(下) (新潮文庫)
多くの作品を残す著者の2011年に単行本発刊、2013年に文庫化された長編小説です。
1年に数冊は著者の作品を手に取りますが、まだまだ数多くの作品が未読なので、それらは老後の楽しみにしています。
この長編小説は、2010年に毎日新聞に連載されていた小説で、無難な仕上がりという感じです。
著者はこうした新聞連載が割とお好きなようで、「ドナウの旅人
今まで読んだ著者の21作品の中では、自伝的なライフワーク作品「流転の海
「流転の海シリーズ」については、
「4月前半の読書と感想、書評 2014/4/16(水)」
に少し書いています。
さて、こちらの小説の主人公は親からは勘当され、一緒に商売をしていた恋人には逃げられ、商売の借金だけが残り、半ば自暴自棄に陥っている30歳の男性です。主人公が住んでいるのは京都の中心街にほど近い長屋になっている古いアパートです。
商売でお金を借りていた同じ長屋に住む老人に、借金が予定通りに返せなくなったことを正直に伝えにいきますが、借金を棒引きする代わりに運転手役を頼まれ、一緒に借金の取り立てに行くことになります。
その後は急展開して、老人の過去を知り、自分の今までの生き方、考え方が誤りだったことを教えられ、その老人がやってきたこと、これからやろうとしていることを手伝い、そして跡を継ぐ決意をします。
30歳まで散々な人生をおくってきた主人公が、貧困の中からの一発逆転人生というのはまずありませんが、そこは創造と楽観な小説の世界。主人公は資産家の老人に気に入られ成長していきます。
ちょっと話しが巧くいきすぎるかなとも思いますが、人生なんてそんなものかも知れません。チャンスをうまくつかめるか、見逃さないかという、分水嶺に立つことはよくあることです。
この著者の小説の中には、本題とはあまり関係のない、様々な雑学的な珍しい雑学的な話しが盛り込まれています。
この作品でも、料理の話し、陶芸や染色の話し、人工林の話しなど、別にすぐに役立つわけではないけれど、知っているとそれだけで人生にちょっとだけ深みが増すような知識が得られます。そうしたことも宮本文学を読む楽しみのひとつでしょう。
★★☆
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だから日本はズレている (新潮新書 566)
著者は1985年生まれの作家、評論家ということで、報道ステーション始め、多くのテレビ番組にコメンテーターやゲストとして出演している若手論客という感じでしょう。
本書は2014年に発刊後、10万部を超える大ヒットとなり、若者の代弁者という立場?で、社会への不満、不条理、若者には理解しがたいオジサン文化や既得権益をわかりやすく論理的に説明をしています。
この本を出したときはまだ「20代の社会学者」ということで話題性がありましたが、現在はもう三十路で、これからが一番脂がのったの働き盛りでもあり、この人の真価が問われていくところでしょう。若くして著名になると、社会から注目される期間が長いだけに結構つらいものがありそうです。
学者としてまっとうな研究職に進んでいくのか、薄っぺらな評論家という名の電波芸者に成り下がっていくのか、それとも名誉欲と金儲けが巧い社会運動家として生きていくのか、後がないオジサンからすればどうでもいいですが、温かく見守っていきたいと思います。
目次をあげておくと、「リーダー」なんていらない、「クール・ジャパン」を誰も知らない、「ポエム」じゃ国は変えられない、「テクノロジー」だけで未来は来ない、「ソーシャル」に期待しすぎるな、「就活カースト」からは逃れられない、「新社会人」の悪口を言うな、「ノマド」はただの脱サラである、やっぱり「学歴」は大切だ、「若者」に社会は変えられない、闘わなくても「革命」は起こせる、このままでは「2040年の日本」はこうなる、と、ありふれてはいるものの、気になるワードを散りばめた、こんな感じ。
中でもしつこく書いてある、いかにもスマホも使いこなせていないオジサン達が無理やり考えたようなパナソニックのスマート家電とそのマーケティング戦略のバカバカしさ、昔から大企業・有名企業ばかりに群がたがる就活生の習性とそれを評価し認める社会など、面白おかしく世の中の不思議と不条理を取り上げています。
へぇ~って思ったのは知らなかったのですが、「日本の若者は格差を感じていない」の項に書かれています。
それは「欧米の国の若者と違って日本の若者は日本社会で生きることにそれほど不満を持っていない」ということ。
これは「国民生活に関する世論調査」のデータで、20代の若者は「今の生活に満足している」が78.4%に達しているとのこと。マスメディアは刺激的なタイトルをつけていつも逆の発信をしていますので多くの人はそれに惑わされているかも知れません。
私も気がついたらもう高齢者の仲間入り寸前のところまできています。こうした若者の実態を若者側から聞くことも少なくなっているので、たいへん勉強になります。
この著者、若いのに老成したところもあり、個人的にはまだまだ不満なところは多くありますが、案外いいセンいっていると思います。
このままメディアの軽いノリのオジサン方にいいように持ち上げられ、大金と名声をつかまされ、寝る間も惜しむ生活に翻弄されるようなことがなく、純粋に社会学や哲学の深淵を静かに学び、時には本を書き、時にはテレビに出てきてチクリと刺すという生活をおくり、やがては社会に影響を与えるような大物、鶴見俊輔氏のような評論家になってもらいたいものです。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
珈琲屋の人々 (双葉文庫)
殺人の前科を持ち8年間の服役を終え出所した後、亡くなった父親の喫茶店の跡を継いでマスターをやっている36歳の宗田行介が主人公です。
その喫茶店の名前は「珈琲屋」で、そこに集まってくる人々が1話ごとに変わっていく連作短編集です。
初出は「小説推理」に掲載されたもので、単行本としては2009年、文庫は2012年に刊行されています。
この作品には「初恋」「シャツのぬくもり」「心を忘れた少女」「すきま風」「九年前のけじめ」「手切金」「再恋」の7編が納められており、その後、続編として「珈琲屋の人々 ちっぽけな恋
主人公の幼なじみで、元恋人だった女性がいったんは結婚したものの、離婚して実家に戻っていて、毎日のようにこの店へやってきます。この脛に疵を持つ二人の大人の恋がどのように収斂していくのかというのも、楽しみとなっています。
舞台は8割以上ちっぽけな珈琲屋の中で終始しますので、きっと安上がりなテレビドラマに向くだろうなと思っていたら、すでに2014年4月にNHK BSプレミアムでドラマが放送されていました。
主人公のマスター役に高橋克典、その他木村多江、八嶋智人、壇蜜などが出演していますが、原作とはだいぶんと内容が変わっているようです。
著者は今年66歳、団塊世代に属する人で、作家デビューは18年前の1998年ということですが、作品を読むのは今回が最初です。作品には今回の現代小説や、時代小説もあり、今後いくつかは読んでみたいと思っています。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
新・日本の七不思議 (創元推理文庫)
著者の実質のデビュー作でもある「邪馬台国はどこですか?
2011年8月前半の読書「邪馬台国はどこですか?」
2013年10月後半の読書「新・世界の七不思議」
上記の「早乙女静香シリーズ」は、いずれも面白く、登場人物の話しに引き込まれるように読めました。ただいずれも短編集でライトな雑学の範囲を超えるには至りませんでしたが。
今回の謎解きをおこなうのは、下記の7つです。( )は私の一言あらすじです。
「原日本人の不思議」(日本人はどこからやって来た?日本語のルーツは?)
「邪馬台国の不思議」(皆既日食が起きたため、卑弥呼が亡くなった?)
「万葉集の不思議」(飛鳥時代の歌人、柿本人麻呂は実在しなかった?)
「空海の不思議」(空海は日本人ではなかった?)
「本能寺の変の不思議」(能の敦盛を好んだ織田信長は予定通り50年で幕を閉じた?)
「写楽の不思議」(写楽は誰か?わずか10ヶ月で消えた理由)
「真珠湾攻撃の不思議」(
残念ながら前2作からすれば、全体に新鮮味とパワー不足がゆがめませんが、「原日本人」や「空海」についての謎は、ミステリーとしても十分読み応えがあります。前にも書いたけど、そうしたテーマでもう少し深掘りした歴史ミステリー小説も読みたいものです。
また本作に含まれる「邪馬台国」や「本能寺の変」については前作の延長戦みたいなところがありますので、前作を読んでからこの短編を読むことをお勧めします。
★★☆
【関連リンク】
3月後半の読書 快挙、晴天の迷いクジラ、悪の教典、なぜ人を殺してはいけないのか―新しい倫理学のために
3月前半の読書 存在の耐えられない軽さ、風のささやき 介護する人への13の話、定年病!、K・Nの悲劇
2月後半の読書 退職金貧乏 定年後の「お金」の話、埋み火、残虐記、違法弁護
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1015
あまり聞き慣れないと思いますが、親子丼の鶏肉の代わりにお揚げ(油揚げ)と青ネギを使ったものです。
家では「玉子丼」あるいは「きつね丼」と言っていたような気がしますが、一般的には「衣笠丼」と言うのだそうです。
小学生の頃までは家で食べる丼ものと言えばその「衣笠丼」か、牛肉のバラ肉を卵とじした「他人丼」(関東では開花丼と言うらしい)だけで、「牛丼」なるものを初めて食べたのは中学生ぐらいになって近所に吉野家ができてからです。
その時は「どうしてこれは卵でとじない?」「卵とじのほうが美味しいのに」と、不思議に思った記憶があります。
つまり丼と言えば我が家では卵とじがディフォルトだったので、卵でとじていない丼との衝撃の出会いだったわけです。
次いで高校の学食のメニューに小さな掻き揚げがのった「天丼」がありました。今思えば「天丼」というにはおこがましいような工場で大量生産されたような小さな掻き揚げに、醤油だしを染みこませただけのものです。
その他のメジャーな丼「うな丼」や「カツ丼」と言った定番は大学生時代まで食べることはありませんでした。
今では食生活の中で、丼物って欠かせなくなってきました。熱々のご飯の上にのせた揚げたてパリパリの天ぷらや、ジューシーな柔らかい牛肉、甘辛いたれの香りが食欲をそそる鰻の蒲焼き、などなど、もうイメージするだけでよだれがでてきそうです。
この丼というご飯の上におかずを乗っけるという食べ方は、ほぼ日本独特の文化で、蕎麦やうどんと同様、江戸時代のファストフードだったようです。
丼の登場は諸説ありますが、一般的には西暦1500年頃の室町時代にさかのぼるとも言われています。ご飯の上に野菜を乗せて、その上に出汁をかけた「芳飯(ほうはん)」と呼ばれる料理がそれにあたるそうです。
岡田哲著の「たべもの起源事典」では、江戸初期に「切り盛り一杯」の商売が繁盛し、それがひとつの器(丼)に、ご飯とおかずをまとめてしまうという、いまの丼の形になったという説もあります。
世界中で食器を手に持って口に寄せ、中身をかき込むような食べ方をするのは日本以外では見かけません。どうしても私含めて日本人は食器を手に持って、食べたくなりますが、ほとんどの国ではけしからんマナー違反となります。
逆に外国人が日本のレストランや食堂で、それでなくともたどたどしい箸を持って丼やお皿からポロポロこぼしながら苦心してご飯やおかずをつまみ上げていたりしますが、日本のマナーとして、食器を手に持って、そのまま口につけてかっ込むことを教えてあげるべきでしょう。
こぼさずに素早く食べられるのでこれほど合理的かつ効率的な食べ方はないのですけどね。
そうした国際化が進めば、案外日本の食べ方が理にかなっていたりして、世界中で食器を手に持ち、お皿に直接口をもっていき一気に食べることもそのうちにOKになるかも知れませんね。無理か。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私が一番好きな丼は、カリッと揚がったトンカツに、半熟の卵がとろりとかかっている「カツ丼」です。またそれから派生して、群馬や福井で名物となっている「ソースカツ丼」もカツと新鮮なキャベツの2種類の歯ごたえがとても好きです。
こうした丼物は、西洋のサンドイッチやハンバーガーと同様、簡単に作れ、一気にサクッと食べられ、忙しいときや、何か作業をしながら片手間に食べるには最適です。
汁物、例えばラーメンやうどんなどでは、汁をこぼさないよう、また熱さでやけどをしないよう常に気をつけて食べる必要がありますが、丼ならよそ見しながらでも平気です。
昔は長時間麻雀をするときには、縁起を担いでということと、目を卓台から離さなくてもサクサクと食べられるのでいつも「カツ丼」でした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
和食やラーメンなどならわかりますが、丼にもちゃんと業界団体「一般社団法人全国丼連盟」というのがあるのには驚きました。
「全国丼連盟は、丼文化の魅力を多くの人たちと分かち合い、丼を通じて地域の笑顔を増やし、“DONBURI”文化を世界に発信していきます。」とのことです。この宣言文、凡庸で印象に残らずこれじゃダメですね。
ここでは毎年「全国丼グランプリ」というのが開催されています。全国のB級グルメが勢揃いする「B-1グランプリ」は毎年大きく報道されますが、この丼グランプリは初めて知りました。きっとPRが下手なんでしょうね。
グランプリには「牛丼金賞」「うな丼金賞」「肉丼金賞」「豚丼金賞」「親子丼金賞」「天丼金賞」「メガ盛り丼金賞」「バラエティ丼金賞」と、8つのジャンルに分かれ、しかも各ジャンル金賞は7~13店もの複数店が受賞しています。
2015年のグランプリ受賞一覧です。
賞の大判振る舞いゆえ、希少価値が乏しくせっかくのイベントが自滅しているって感じです。
受賞数を増やせばそれだけ多くの店とその常連客も喜んでくれるという安易な発想から来ているのかも知れませんがまったくもって邪道です。
私の考える丼グランプリは、まず丼のジャンル分けを
◆肉系(牛丼、豚丼、親子丼、焼き鳥丼、おいだれ丼、さくら丼、すき焼き丼など)
◆魚介系(うな丼、深川丼、づけ丼、鉄火丼、ネギトロ丼、いくら丼、ウニ丼、なめろう丼など)
◆揚げ系(天丼、カツ丼、かき揚げ丼、唐揚げ丼など)
◆その他(中華丼、麻婆丼、カレー丼、衣笠丼、木の葉丼、ハイカラ丼、若竹丼、ロコモコ丼など)
の4つのジャンルだけ。
そして自薦と他薦から各ジャンルで応募を受け付け、その中から書類審査や口コミ、全国にいる認定補助メンバー等の評価で優秀店を5店舗程度に絞ります。その優秀店にあがった店には複数の公式認定審査員が覆面で実際に食し、それぞれ採点を行い、その中から1店舗(1丼)だけ金賞を受賞します。
採点の上下をカットして平均点を求めるとか、認定審査員の偏差値傾向(平均的に点数を高く点けるとか低く点けるとか)の調整も導入すれば完璧です(同じ審査員が全国すべてを回るわけではないので)。
また通称「丼ミシュラン」として、優秀賞を獲得した丼と店には☆を与え、複数の丼が受賞した場合にその☆の数が増える工夫とかも考えられますね。
丼ものは世界中のビジネスパーソンのあいだで拡がりつつある「お弁当(BENTO)」ブームとのコラボも可能で、日本のコンビニで売られているようなご飯と具が分かれていて、食べる直前にご飯の上にまぶして食べるというようなちょっと工夫したお弁当が今後世界で流行るようになるかも知れません。
もしそうすれば日本ではない、各地の名物と丼飯との出会いが起こり、トムヤンクン丼(汁多め)、とかトリュフ丼とか、ケバブ丼、タコス丼とかいろいろと新しい丼が生まれてきそうです。
もうすぐ定年で暇ができそうなので、パートタイムでいいから企画・広報委員として雇ってくれないかしら(笑)。
【関連リンク】
906 トクホが売れるわけ
817 カフェではない喫茶店の凋落
759 糖質ダイエットについての備忘録その1
712 最近気になる食品の安全性
634 味覚の変化について
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古くから時々降ってわいたように話題に上がりながらも、いつもすったもんだする書籍等の再販制度の廃止についてちょっと考えてみました。
再販制度とは、書籍や新聞、音楽コンテンツ、タバコなど一部の商品について全国一律の定価販売を維持し、小売り側に対して勝手な値引きを許さない制度です。自由経済の中でも特異なシステムです。
昔は塩や化粧品、石鹸、医薬品などもその対象でしたが、それらはすでに解除され、現在再販制度が残っているものは書籍や新聞、音楽CD、タバコなどごく限られた商品だけです。
出版物の再販制度のメリットとしてよく言われるのは、
(1)定価販売で、地域格差をなくし、全国どこでも同じ値段で購入でき、読者が出版物に接する機会均等化が図れる
(2)出版社の自由な出版活動が守られ、多種多様な出版物が供給される
とされています。
確かに都会と地方の文化格差が大きかった昭和中期頃までは、(1)も納得できるところがありますが、現在のように格差は少なくなり、流通網が整備されてくると、(1)の根拠は揺らいでいます。
例えば通販で書籍を買った場合、一部の離島などを除き、送料は都会と地方で違いはありません。再販制度が作られたときはまだ全国の流通が整備されず、また宅配や通販といったビジネスが生まれる前の法律だったので、そうした現在の状況が反映されていません。
また、都市部での大規模店舗と、地方の小規模店舗で値段が変わってしまうのは、家電製品や食料品のような生活必需品と同様地域差ができるのも仕方がないと思われます。
逆に地方のほうが店舗費用や人件費が安くてすみ、都会の書店よりも経費が抑えられて安く販売できる場合だって考えられます。
どうも(1)の地域格差と機会均等を主張し続けるのは、現在もう無理があるように思われます。
次に(2)の定価制度のおかげで小規模な出版社でも大手出版社に伍して出版活動がおこなえるという論理は、今の時代出版社に限らずベンチャー企業が隙間を狙って躍進したり、アイデアとスピードで大手企業の牙城を崩したりというビジネスでは当たり前におこなわれている競争原理を否定しているかのように思えてなりません。
そこまでして、出版社や新聞社を保護しなければならないのか、彼らはそれほど特別な存在なのかをもう一度考えて見る必要があるでしょう。
そうした保護政策が自らの体力を弱め、結果的に保護がないと生き残れない虚弱体質に陥ってしまっているとも考えられます。
一度にすべて再販制度を撤廃せずとも、例えば書籍にしても時限再販制度(発行後一定期間のみ再販制度を維持し、その後は自由競争)の導入や、現在普通に行われている出版社と書店の委託販売制を順次買い切り制へ移行し、買い切り制度の場合は当然販売する側に自由に値段を決める権利を渡すとか。買い切りだと売れ残りのリスクがある反面、仕入れが安くなるので、売り切る自信があれば儲けも大きくなります。
1年以上売れ残った新刊本や文庫本、3ヶ月以上売れ残った雑誌が、定価の半額~3割引きとなれば、年間累計7000万人と言われる中古書籍販売で急成長しているブックオフへ安い書籍等を買いに行っている客を、旧来の書店へと呼び戻すことができるかも知れません。
客を書店に呼び込めたなら、割引本を買ったついでに、話題の新刊本も定価で買ってくれたりしますので、商売のチャンスが増えます。
さらに言えば、書店の買い切り制にすれば、常識を無視した過剰な仕入れや押し込みが減り、したがって返本も減り、資源の無駄遣いを減らせるでしょう。
誰でも既得権益を手放すのは嫌でしょう。出版社や大手取次、書店、新聞社、音楽業界などは再販制度に守られた既得権益の塊ですから、こうした問題が指摘されるたびに、大論陣を張って抵抗します。
叩けばほこりの出る政治家も新聞社や雑誌社に反感を買って、痛くもない腹を探られて、下手に叩かれたくないので、この問題を誰も真剣に取り組みません。
しかし農業や、石油や、金融ビジネスも、国内法で固く守られてきた産業が弱体化し、いざ国際競争の荒波をかぶると、いかに今までが温室で育てられてきたかがわかります。
出版分野においても、これからはいつ再販制度がなくなってもいいように、それには頼らなくてもよいビジネスモデルや仕組みを考え、逆に成長している世界へ飛び出していくぐらいの覚悟をしてもらいたいものです。
日本で成功したベストセラーを生み出すノウハウは他のアジアの国でも通用することも多いのではないでしょうか。
【関連リンク】
980 TSUTAYA図書館は非難されるべき問題なのか?
954 書店数や出版業界売上減と未来
743 出版社不況の現状
741 消滅すると言われていた新聞社の近況
330 消滅する書店
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突然ですが、自分が死ぬときは、事故や突然意識がなくなる急性の病気で倒れたり、寝たきりの生活が長引くような長患いではなく、できればまだ身体が自由に動かせるうちに「余命○年です」と告知されることが多い末期のガンであってほしいと思っています。
「ガンで死ぬのはつらいよ」と言われそうですが、一般的につらくない死に方のほうが珍しいと思っていて、それなら死ぬ直前まで痛み止めなどでケアしてもらえ、比較的行動の自由や意識がハッキリとあり、死ぬための準備ができるガンのほうがいいかなと思っています。
「ピンピンコロリ」が理想的という風潮もありますが、こちらも死ぬための準備やお世話になった人とのお別れができないまま、老衰や心臓麻痺等である日突然亡くなるということで、あまり私にとっては理想型とは言えません。
脳梗塞やくも膜下出血、心筋梗塞だと、突然倒れ、救命できたとしても、身体の自由が効かず、寝たきりになる可能性が多く、それも避けたいなぁと。
余命宣告されたあとでも行動の自由があれば、寿命が尽きるまでのあいだに様々な身の回りの整理や心の準備をすることができます。
もうその時は若くないので、未練もなく死ぬ覚悟ができると思います。家族にも長期の介護など迷惑をかけず、多少の我が儘も理解してもらいやすいでしょう。
生きた屍のように、弱った身体で意識もほとんどないままでも、ベッドで人工的な栄養補給や人工呼吸まで施されて何年も生き続けるというのは、現代医学の賜物でもある代わりに、介護する家族や次々と新たな患者を受け入れたい病院にとっては大きな迷惑にほかなりません。
生命力が強い若い人ならともかく、高齢者の延命処置は問題が大いにあります。
高齢者の場合ですが、ガン終末期のように、延命措置があろうとなかろうと、時期が来ればスパッとこの世との縁を切ってくれるほうが、どれだけ周囲の人を幸せにホッと安心してくれることか。
ジャーナリストの竹田圭吾氏が51歳の若さで今年1月にすい臓がんによって亡くなりましたが、癌が見つかってから約3年間、治療しながらも仕事を続け、亡くなる直前の12月までテレビやラジオに出演されていました。
まだお若かったので残念なことではありますが、亡くなる直前まで家族と一緒に過ごし、好きなジャーナリストの仕事ができて、本人は死と向かいつつもそれなりに満足だったろうと勝手に思っています。
同じくすい臓がんで亡くなったスティーブ・ジョブズ氏、夏八木勲氏、坂東三津五郎氏も、やはり会社の行く末を考え、新製品のアイデアを話し合い、俳優などの仕事を亡くなる直前までされていました。
このすい臓がんはガンの中でも一番タチが悪く、発見が遅れやすいので見つけた時には手遅れというケースが多いそうです。
5年後の生存率も進行が進んだステージ4の場合、わずか3~11%とガンの中で低く、発見≒余命数ヶ月~数年ということのようです。
一般的によく言われる「5年生存率」というのは、同じ症状で5年後に生存している割合です。
がんの種類・ステージ別5年生存率一覧表
例えば胃ガンの第1ステージ(発見が早い)だと、5年実測生存率は87.8%ですが、かなり癌の進行が進んだ第4ステージではわずか7.2%となります。
癌全体では第1ステージ83.9%、第2ステージ73.5%、第3ステージ43.8%、第4ステージ15.9%というのが5年生存率です。
第1ステージの早期発見だと5年生存率が80%以上と、癌に罹ったとしても早期発見ができれば恐れる必要はあまりなさそうです。癌は早期発見が肝と言われる所以です。
「余命はもってあと半年でしょう」と、ドラマや映画で告知される場面がよく登場しますが、医師が診断する「余命」とは「その病気の生存期間中央値」のことで、「生存期間中央値」とは、同じ状態にある患者の集団の半分が亡くなるまでの期間の事です。
つまり統計上、同じ症状で10名の患者がいた場合、中央の5人目が亡くなるまでの期間ということで、膨大な過去のデータから決められています。
なので、余命1年と宣告されても、1ヶ月で亡くなる場合もあれば、2年以上生きる場合も当然あるわけで、その患者にとって1年という期間はあまり根拠がありません。
但し最近では余命1~2ヶ月という診断に限っては、かなり精度が高くなってきていて、もしそう言われると、残念ながら大きくずれることはないそうです。
それと医者としては余命半年と宣告したところ、もし1ヶ月で亡くなると、遺族から「医療ミスがあったのでは?」と疑われかねないので、余命は短めで言うことが多いそうです。
余命を短めに言っておいて、それより長く生存すれば「よく頑張った」と言えて遺族も満足するからです。なんだかなぁって思いますが、それが現実的な大人の対応なのでしょう。
健康で若い人に「万一の時、延命処置はして欲しいか?」と聞くと、大概が「必要ない」と答えます。
しかし深刻な病気で身体が弱って余命いくばくもない人が同様に聞かれると、その多くの患者や家族は「して欲しい」と答えます。
これは年代ではなく、死がすぐ身近に迫っているかどうかで判断が変わるのではと思われます。
家族にしても本人の意志がないまま「延命処置はしなくていい」とは答えにくいものがあります。そのため従来であればすでに亡くなっているはずの人でも、最新の生命維持装置などの延命措置で、生きながらえている人が数多くいると言われています。
命を消すかどうかの問題であり、軽々しく決められることではありませんが、超・高齢化社会を迎える中で、この延命処置は社会的に大きな負担となりつつあります。
処置室が延命処置で何年も眠り続ける老人が占め、本当に急を要する救急患者が受け入れられないという病院が出てきても不思議ではないからです。
それに延命処置が増え、その高額医療費の負担が増加し続けていることも問題になってきます。
我が身に置き換えても、今は「延命処置など必要ない」と言っていても、実際に重病となり生きるか死ぬかとの境目に立った場合、「スパッと延命装置を切ってくれ!」と言えるかというと、なんだか微妙な気がします。
それが実際多くの患者、そして遺族の本音ではないでしょうか。
自分が病気や怪我で意識がなくなってしまった時、積極的な延命治療を拒否するためには、現在のところ日本回想療法学会がおこなっている「意思表明書(SDD)」(医学的延命処置を拒否する意思表明書)を身につけておくか家族に預けておくぐらいしか方法はありません。
こちらの法整備も日本は遅れているようです。
【関連リンク】
1005 泉質による温泉健康法
985 高齢者の健康には会話が重要だということ
958 男の更年期障害について調べてみる
738 日本人の年齢別死因は
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