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リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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最近はどうかわかりませんが、営業の仕事に就いている人には、常連としている馴染みの喫茶店があるのも珍しいことではありません。かくいう私も20~30代の頃は外勤営業が主たる仕事だったので、常連にしていた喫茶店がありました。
営業マンにとって居心地のいい喫茶店と言うと、
1)あまり混まない
2)知った人が来ない
3)週刊誌やスポーツ新聞がある
4)軽食が食べられる
5)椅子がゆったりしている
6)長居しても嫌がられない
などでしょうか。
喫茶店でくつろいでいる時間は結局仕事をサボっている?と言われると、まったくその通りなのですが、少し言い訳をすれば、昼休み時間や就業時間以外も顧客の都合で働いたり、移動のため食事もできない時がある代わりに、仕事が暇なときや、体調がすぐれないとき、外が大雨でモチベーション下がりまくりのときは勤務時間中でも休憩したり、リフレッシュするのは致し方がありません。もちろんそればかりでは困りますが。
20、30年前ならそうしたビジネスマンが数多く集う喫茶店が駅前やオフィス街の中にたくさんありましたが、現在は上記のスタバやターリーズ、シャノアール、ドトールなどセルフ式のお洒落なカフェチェーン店が増えてきて客をとられてしまったことや、オフィス街に進出してきたコンビニやファストフード店の低価格コーヒーの影響もあって今や絶滅危惧種扱いです。
料飲主体売上と喫茶店の売上推移グラフ(出典:公益財団法人食の安全・安心財団)
※料飲主体とは喫茶、居酒屋、料亭、ビアホール、バーなどで、レストランとは違い飲みものが主体の事業
喫茶店の売り上げは、1982年の1兆7396億円をピークとして、1992年は1兆4833億円、2002年は1兆1446億円、2012年には1兆197億円と最盛期の6割近くまで下がってきています。
ビアホールや居酒屋などを含めた料飲主体全体でも、喫茶店より少し時期が遅れていますが下がっていて、料飲主体事業の需要自体が減少傾向になっています。
喫茶店の店舗数は1996年に10万2千店舗あったものが、10年後の2006年には8万1千店舗へと20%以上減少しています(総務省統計局「事業所統計調査報告書」より)。直近のデータはありませんが、おそらく1980年代のピーク時の半分を切っていると思われます。
一方では国内のスターバックスの店舗は1996年にわずか5店舗からスタートし、10年後の2006年には686店舗、ドトールも1996年には500店舗だったものが2006年には1000店舗を超えています。
これだけ大手チェーンのカフェ(統計上は喫茶店)が増えている中で、喫茶店総数は減少しているわけですから、チェーン店以外の古くからあった喫茶店の減少は想像以上で過激に進んでいると思われます。
もう都会の中ではスポーツ新聞や週刊誌を読みながらゆっくりモーニングセットを食べられる喫茶店は、なかなか見つからないのかも知れません。
どうして1980年代から急速に喫茶店の数が減少してきたのでしょうか?
私の想像ですが、80年代中盤頃からバブルの影響で都会にある喫茶店の家賃が高騰してきたのに、わずか200~300円のコーヒーで、長時間ひとりの客に場所を占有されてしまう極めて効率の悪いビジネスモデルが成立しなくなってきたのではないでしょうか。
その証拠のひとつに喫茶店オーナーが、自宅の一部や所有しているビルの中でやっている賃貸費用のかからない(昔ながらの)喫茶店はまだしぶとく生き残っているところがいくつもあります。
バブルの土地や家賃高騰でふくれあがった店舗の家賃を支払って旧来形式の儲からない喫茶店をやっていくのは厳しい時代になったのでしょう。
それともうひとつ、1990年頃まではまだ若く、よく喫茶店を利用した団塊世代達が、2000年頃にはみんな管理職となり、外へ出掛ける機会も減り、したがって利用回数が減り、そして2000年代後半頃からは順次引退してしまったことで利用者の減少につながったと考えられます。
増えている大手カフェチェーンの戦略は、セルフ式で、持ち帰りメニューを充実させ、店内のレイアウトもあまりゆっくりと長居をさせないように明るく落ち着かない作りにしてあり、客の回転率を上げる工夫がされています。しかしそれがまた流行に敏感な若い人や時間に追われて忙しい人には向いているようです。
昔ながらの薄暗い喫茶店にいるのは中年高年オヤジが多く、お洒落なカフェの若い客層とは明らかに違っています。次の若い人達を旧来の喫茶店へうまく取り込めなかったのも敗因のひとつでしょう。
回転率を上げる工夫がされているセルフ型カフェの逆を張って、「長居上等!」「どうぞごゆっくり」と頑張っている銀座ルノアールやコメダ珈琲のチェーンは、座ればウェーターやウェートレスがお冷やとおしぼりを持ってきてくれる従来の喫茶店のいいところを取り入れていますが、飲み物以外に利益率の高い軽食を充実させることで、客単価を上げる工夫がなされています。
ちょっと小腹が空いたとサンドイッチと飲み物を頼めばそれだけで軽く千円は超えちゃいます。
また私を含め旧人類が好んだ、目立たない場所にあって、部屋の中は照明を少し落として薄暗く、なんとなく今までの人生に苦労をしてきたようなマスターがいて、古いジャズやクラッシックが静かに流れていて、スポーツ紙全紙と多種類の週刊誌などが無造作に棚に置かれ、タバコの煙が充満し、常連さんがたむろしているような喫茶店では今の若者には受け入れらそうもありません。
私が昔よく通ったオフィス街の喫茶店へは、近くを通ったときなどに懐かしくてつい寄ってみますが、店舗はあってもすでに喫茶店でなくなっているか、建物自体が建て替えられてしまって跡形もなかったりしているのがほとんどで、統計上の減少が大いにうなずけるところです。
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おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX
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国土交通省が4月に「新たな国土のグランドデザイン」を発表していました。これは中長期的に社会全体が高齢化していく中で、国際化の波、都市部の一極集中、巨大災害対策、食料・水・エネルギーの安全性確保と節約、ICTの利用などにより、日本の国土や社会をどう変えていくのがいいかという提案です。
2050年を視野に入れた国土づくりに向けて 新たな「国土のグランドデザイン」
書かれていることには特に目新しいことはなく、今までに言われてきたように、人口減による限界集落対策に地方のコンパクトシティ構想や、高齢化社会のビジネス育成として医療産業の拡充、エネルギーの地産地消、農産物の輸出、女性労働力の利用などが列挙されています。
おまけに国交省発表(検討した委員は各業界の民間が主)のものだけあって、この時代においてもやたらと道路などインフラや防災施設など公共事業に投資せよという雰囲気があるのはもう笑うしかありません。そうした仕事が減ったりなくなると自分たちの食い扶持や天下り先がなくなってしまいます。
そのレポートから抜き出してみると、今から36年後の2050年の日本の社会の姿は、
(1)人口は1億人を割り込み9700万人(現在から24%減)
(2)地方を中心に6割の地域で人口が半減
(3)出生率の高い地方から低い都会への若者の人口流入
(4)人口の約4割が高齢者という世界に過去例のない国へ(高齢者1980年1000万人→2050年3900万人)
(5)30年以内に70%の確率で発生予想の首都大震災や東南海地震の対策と備え
(6)温暖化や巨大台風、竜巻など自然環境の変化
(7)1960~1970年代に建設された多くのインフラ設備の老朽化と使用限界
(8)農林水産従事者の高齢化+跡継ぎなしによる急速な減少による食料自給率の変化
(9)新たなエネルギー供給(シェールガス、水素、メタンハイドレートなど)の可能性
などとなっています。
検討したメンバーが、国交省が選んだのであろう、いずれもお堅い職業の方や高年齢者の方で、保守的で面白味や夢がなく、せめてもう少し斬新なアイデアや明るい未来を示唆してくれるといいのですが、もったいないですね。
ちなみにこの「新たな『国土のグランドデザイン』構築に関する有識者懇談会」の10名の委員の平均年齢は59歳で、最高齢は68歳、最年少でも46歳という人達です。
そして約半数が寿命まであと10数年の「あとのことはもうどうでもいいじゃないか!」的な人達ですから、半数は未来を語るに相応しい人達ではない気がします。
20~30代の若い人が入っていれば、例えば、グローバル化によるダイバシティやオープン化の重要性を説きつつ、国内にアジアの国際金融センターや治療薬やバイオ研究機関、ロボット工学基礎研究所などの設立や、EUに習って自由貿易圏を作るアジア共同体構想などが出てきそうですが、この年代だと、どうしても太平洋戦争やその後のアジアとの関係において、日本の評判の悪さや、「大日本共栄圏」など過去の歴史問題を危惧してか、そうした未来志向のグローバルな戦略にはほとんど触れられていません。
また世界で最初に迎える超高齢化社会のモデルケースとして期待される最先端医療の拠点として、日本が得意とするハード(機材)・ソフト(医療従事者)と基礎研究や教育を集約し、24時間1年365日、世界中どこからでも難病など高度な医療を引き受け、世界に広く開放する先進医療国家構想を提案してもいいのかも。
さらにお金をかけて国土を人工的に変えていくのではなく、古くなったダムや道路、堤防、古家など人工物を廃し、元の自然の状態に戻し、自然の力を取り戻して、日本固有の動植物を再生し、自然豊かで自然と共生する古き良き日本の姿を作ろうとするジャパニズム構想のような斬新な発想など、私から見て欠落しているような感じがします。
これはスポンサーが国土を破壊するのが使命と思っている節がある国交省であり、選ばれた委員の中にも、あわよくば一枚噛んでお金儲けというのが好きそうな人が多いからかも知れません。
決して地方医療を金ではなく使命感で支えている無名の医者や、田舎に住みながら自然保護活動を地味におこなっているような人は委員には選ばれないでしょう。
ただ、以前からここでも書いている地方にある「道の駅」や、撤退したショッピングセンター跡地の活用、新たなエネルギーとしてのメタンハイドレートへの期待とシフト、ITCによる農業の大規模自動化などは、いまさらながら、そして全体から見れば小さな事柄ですが、その点はちょっと評価しています。
せめて国が未来を語る時は、高齢化と人口減少ということでビビっていないで、2030年には中国を抜いて世界でもっとも人口が多い国となる比較的親日的なインドをはじめ、人口増加が見込まれる東南アジア諸国との本格的な連携を、前述のように経済面だけではなく、学術、文化、生活、警察、防衛、医療、レジャーなど全面的な交流に発展させ、労働移住者のような従来の形ではなく、ちょっと学びに(あるいは遊びに)日本へ行ったついでに、1~3年ほど働いてくるかといったアジア人訪日優遇制度を作り、人の移動や労働がもっと自由闊達にできる自由開放都市国家を目指すのもいいのではないでしょうか。
そういうことを書くと伝統ある日本文化が壊されるとか、犯罪率が増加してとか言われそうですが、変に厳しく規制するから不法入国や密入国が起きて、それが犯罪の起点となり温床になるわけで、往来は自由化するけどもし治安を乱すなら即刻身ぐるみはいで裸同然で送り返すとすればいいだけです。
また日本の伝統と言うのは、宗教や言語など、そのほとんどは海外から輸入され、それを日本流にうまくアレンジしてきたものばかりで、今後もそのように海外からうまく取り入れて、新しい日本文化を作っていけばいいのではないでしょうか?
横浜や神戸にある中華街のように、各都市に「インド街」「インドネシア街」「ベトナム街」「タイ街」「マレーシア街」「イラン街」「ミャンマ街」「フィリピン街」「サモア街」「モンゴル街」「カンボジア街」などを作って、それぞれの国からやってくる人にも居心地のいい場所を作り、その街に積極的にその国から人を呼び込んでもらうようにすれば、日本語の壁や経済的な不安、生活の違いで来日を断念することもなくなりそうです。
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下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)
2007年に単行本として発刊された本で、2009年に文庫化されました。イメージ的には新書なのでしょうが、なぜか単行本→文庫の流れで発刊されています。
内容は著者が講演したセミナーの内容をまとめたもので、様々な本や自分が勤める大学の学生を見てきて、自分なりの分析と感想を述べたもので、「学ばない子供」や「働かない若者」をどうにかしたい!っていう実用書として役立てるものではありません。
ズバズバと斬って斬りまくる相変わらずの内容ですが、決して古今東西老人が若者に対して抱く「最近の若者は・・」といった愚痴ではなく、具体的な(極端な)例をひとつひとつあげていきながら、現代の(一部の)若者達が陥ってしまっている問題を指摘していきます。
中でも注力しているのは「今の若者は子供の頃からすべて物事を自分に決定権がある消費者の意識として考える」傾向にあり、したがって、例え親や友人が「間違っている」と言い聞かせても、本人は自らが消費者意識なので「自らで決めたことなので間違っていない」という錯覚に陥ってしまうということ。
つまり学校で真剣に学ばないのも、社会に出ても積極的に働かないのも、それらは自分が決めたことで、それが自分にとって合理的で最善だと信じこんでいることが危険だということです。そしてそこに様々な格差が生じてしまう社会になってきたとも言えます。
格差社会とは決して今に始まったわけでもなく、戦前にはれっきとした身分制度があり、性差や納税額の多寡によって政治家を選ぶ選挙権があったりなかったりしました。戦後の高度成長期においても、また一億総中流と言われたバブル時代においても歴然とした格差は常に存在してきました。
失われた20年と言われたバブル期以降に流行語となった「勝ち組と負け組」、「情報弱者」、「ワーキングプア」、「(悪意を持って言われる)ゆとり世代」などは現代の格差の象徴とも言えるものでしょう。
しかしこの本でいう格差は、自らの意志で、役に立たないと判断して学ばない、働かないという自分にとっては最善の道を選択した結果において新たな格差を作っていくという流れができてしまっていることを懸念しています。
章立ては大きく「学ばない若者」「働かない若者」を中心に、なぜそのようになってのか?を分析していきます。タイトルにあるように、自らの意志で「勉強せず」「働かず」、上を目指すことは本意ではないという若者が増えてきた社会に警鐘を鳴らしています。
ところどころに理解ができない(私の能力の問題)ところもありましたが、社会や教育のゆがみを痛烈に批判している内容です。
◇著者別読書感想(内田樹)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ダブル・ジョーカー (角川文庫)
2009年に吉川英治文学新人賞受賞を受賞した「ジョーカー・ゲーム
小説に出てくるD機関とは第二次世界大戦前に日本陸軍内部に組織したスパイ養成・運営部隊で、そこで中心的な役割をなすのが魔王と怖れられる結城陸軍中佐です。D機関のモデルは昨年亡くなった小野田寛郎氏も卒業したエリートが集まる陸軍中野学校ですが、D機関はあくまで想像の産物です。
このシリーズはいずれも1話完結の短編で構成されています。本のタイトル「ダブルジョーカー」は最初の短編のタイトルで、自分の思いのままに動かせないD機関を苦々しく思っている陸軍の幹部が、有能な部下にもうひとつのスパイ組織「風機関」を組織させ、「陸軍に二つのスパイ組織は不要」という名目でD機関をつぶそうと目論みます。そして双方に諜報活動で競わせるというストーリーのものです。つまり「スパイ組織=ジョーカー」で二つのスパイ組織という意味のタイトルです。
その他に、ソ連に内通する軍内部のスパイをあぶり出す「蠅の王」、民間人の通信技術者を利用してインドシナ(ベトナム)で暗躍する犯罪者を一斉検挙しようとする「仏印作戦」、「柩」「ブラックバード」の5編(文庫版は「眠る男」の6編)からなります。いずれも見事なストーリーテラーぶりで、この著者の才能はいったいどこまでいくのか大いに楽しみです。
◇著者別読書感想(柳広司)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
真珠湾―十二月八日の終戦 (角川文庫)
単行本が2002年、文庫本は2004年に発刊された歴史実話をモチーフとした小説長編小説です。著者の作品は好きで、この本を含め全5冊とも読み終えましたが、なぜだか2005年に「ミッドウェイの刺客
この小説は著者の作品で以前読んだ、終戦間際の北方領土に不可侵条約を一方的に破棄し、ソ連軍がなだれ込んできた時の模様を描いた「八月十五日の開戦
内容は、海軍軍令部から連合艦隊司令長官に異動した山本五十六と、ハワイのホノルルでアメリカの太平洋艦隊の情報収集活動をおこなった予備役下士官(実在した吉川猛夫氏がモデル)を中心として、無謀と言える対米開戦を決意せざるを得なかった日本のリーダー達の苦悩と決断、そして挫折を描いたものです。
これを読んで当時の日本が様々な問題を抱え、そして軍部はもちろん、世論やマスコミなどにも煽動され、かなうはずのないアメリカとの戦いを決定せざるをえない状況に追い詰められていく過程と、さらに最後まで開戦を反対していた山本五十六が、どうしてもやるなら「奇襲攻撃で太平洋艦隊を殲滅+アメリカ世論の厭世観を背景に早期講和」しか日本を救う道はないと職を賭けて提案する場面はなんど読んでも胸が熱くなります。
しかし結局はアメリカに宣戦布告書を手渡すのが大きく遅れてしまうことになり、結果、宣戦布告前の不意打ち、だまし討ちという汚名を着せられてしまい、アメリカの国民感情の反日意識を刺激してしまいます。また奇襲攻撃したハワイにはいるはずだった太平洋艦隊主力の空母がなく、それらによって山本五十六が最後の手段と考えていた「早期講和」が消えてなくなり、逆に卑怯な日本をこらしめろ的な世論に火がつき、この戦争の行方は知れたことになってしまいます。
最近きな臭くなってきた、中国との関係において、再び日本でも好戦派が盛り返してきている雰囲気がありますが、正しい歴史を学ばないと、何度でも同じ過ちを繰り返すことにつながりかねません。政治は世論やマスコミの動向を気にして動くもので、後から見れば決して正しい判断をしているとは言い難いこともよくあり、誠意ある国民は常に注視していかなければなりません。
◇著者別読書感想(池上司)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
星の王子さま (集英社文庫)
1943年に発刊された世界で8000万部を超える世界的ベストセラーで、私も小学校の時に学校で習い、その後に1冊をちゃんと読む機会もありましたが、すでにその記憶がほとんどなくなっているのと、米Amazonの「一生のうちに読むべき100冊」にも入っていることからもう一度ちゃんと読んでおこうと思い買ってきました。
ま、その内容についてはあらためて語るのは野暮というものですから特に書きませんが、この本がアメリカで初めて出版された1943年というと日本では太平洋戦争が泥沼化し、山本五十六連合艦隊司令長官が自殺に近い前線視察へと出掛け、米軍の攻撃で亡くなった年です。
アメリカでは、ヨーロッパ戦線と太平洋戦線の両面で財政的にも世論的にも厳しい社会だったにもかかわらず、そのような状況下でもドイツに降伏したフランスから逃げてきたパイロット兼作家(サン=テグジュペリ)の一種ファンタジー小説が出版できる国内状態だったというのはまったく驚きです。その米国と精神論と特攻や玉砕しか戦う方法がなく、内地においても食糧はもちろん燃料や紙までが配給制だった日本が長引く戦争でかなうはずもなく。
サン=テグジュペリは、アメリカでこの本を出版した翌年、自ら志願をしてアメリカ軍の偵察機パイロットとしてアフリカ戦線へ出向き、ドイツ降伏まであと10ヶ月という1944年7月に地中海上空でドイツ空軍に撃墜され死亡します(公式には偵察中未帰還)。撃墜したとされるドイツ軍パイロットは「サン=テグジュペリの著作本のファンだった。もし彼が乗っているとわかっていれば撃墜などしなかった」と後で述べたとか。
【関連リンク】
4月前半の読書 慈雨の音(流転の海 第6部)、天使のナイフ、ある微笑み、ダイスをころがせ
3月後半の読書 戦闘妖精・雪風<改>、グッドラック―戦闘妖精・雪風、春嵐、Facebookというビジネス
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先日「観光後進国日本の現実」というブログを書きました。
ただ「外国人観光客数(外客数)が他国に比べて少ない!なんとかしろ!」と書くのは小学生でもできると言われそうなので、今回はその外国人観光客誘致対策をいくつか考えてみることに。いつものように独断と偏見と薄っぺらな知識を元にしていますので、つっこみどころや批判のしどころは満載ですが気にしません。
外客数を増やすには?と通常お国が考えることと言えば「短期入国ビザ不要」にするとか「入国基準の緩和」や、天下りの外郭団体を使って「ジャパンフェア開催」「国際イベントへの出展」のようなことぐらい。
それらが不要とはいいませんが、もっと多くの人、しかも学者や官僚ではない市井の人を巻き込んで、ベンチャースピリットあふれる小さな施策をいくつも同時並行でやっていく必要があるのではないかと思うわけです。というのは外国旅行する人の目的は人それぞれで、誘致策としてこれが正解という方策なんてものはないのですから。
(1)例えば、国内には外国語を学びたい、学んでいるという日本人が大勢います。そういう人に対しネイティブの友人を作ろうと働きかけ、ボランティアホームスティ制度やボランティア観光ガイド制度を設け、外国の客と一緒に国内を旅行をしたり、自宅に招いてパーティを開いたり、環境が整っている家ではホームスティもできる仕組みを作るとか。
宿泊費や食費を抑えて少しでも長く日本を旅したいと思って安い宿泊所に泊まっている個人観光客には、気軽に日本人宅へホームステイやホームパーティにいけるとなれば、日本の生活を直に体験することもでき、大いに人気が出ると思います。
外国人旅行者が負担するのは一定の食費など実費分だけ。子供はすでに独立し、自宅の部屋がいくつも空いている団塊世代や、シェアハウスだけど今は部屋が空いているという若者にもうってつけのボランティアではないでしょうか。
国や自治体が負担するのは、世界に向けてネットでその仕組みをPRし仲介することと、「我が家へ泊まってください」「一緒に国内旅行へ行きましょう」というボランティアを募集することだけです。
そして双方から体験談をもらい公表することで、柔軟によりうまくいく方法を模索していくのです。初年度は1000人、翌年度は5000人ぐらいの規模で、オリンピックが開かれる6年後には50万人ぐらいの外国人観光客が、ボランティアによってお・も・て・な・し・が可能かも知れません。
(2)例えば、外国人に興味のある大相撲や歌舞伎なども、高い料金を払ってずっと最初から最後まで鑑賞するのは、よほど興味がないと退屈して難しいでしょうけど、外国人体験チケットを作り、30分~45分だけ見られる格安の席を準備し、外国人だけに販売するとか。例え30分でも見たという経験は外国人にとって非常に嬉しいものです。
そういう悔しい思いをしなくてもいいように、日本らしい観光コースをコンパクトにまとめたスピード観光コースをいくつも用意して海外の旅行代理店やネット直販でPRしてもいいのではないでしょうか?はとバスなんかはすでにそうしたコースを持っているようですけどね。
(3)例えば、国内には様々な国の人が仕事や日本人との結婚などで大勢住んでいます。それらの外国人に、自国からの観光客を誘致するためのアイデアを募り、優秀なアイデアには賞金を出し、またそのアイデアを実行するためのビジネスを立ち上げるならそれに投資または無利子で融資、さらには期限を決めて職員を無償で派遣するという仕組みを作るのはどうでしょう。
もちろん在日している外国人だけでなく、仕事で外国に長く住んでいた日本人で、いまは仕事から引退しているような人からもアイデアを出してもらうわけです。そうした引退した人にとっては、長く住んで現地に友人も多い第2の故郷と、再び関われるチャンスでもあり、手を挙げる人は多そうに思えます。
(4)例えば、中国本土には日本に入国する外国人の約6倍の外国人観光客が毎年訪れています。香港を含めると8倍もの外国人が訪れています。その8100万人の約30%は日本人旅行者ですが、残りの約70%、約5600万人(韓国、アメリカ、ロシア、マレーシア、シンガポール、オーストラリアなどからの観光客)が、せっかく日本のすぐ近くの中国まで来ているので、それらをみすみす逃す手はないわけです。
世界中の旅行社に対して東アジアへ行くならお得な「中国&日本セットツアー」をスタンダードとするムード、イメージを作るのです。通常の観光客はもちろん、ビジネスで中国に用事がある人にも、ついでにちょっと日本へも立ち寄ってもらおうという戦略です。中国の格安航空会社をうまく使えば中国-日本間の費用は格安で済むでしょうし、日本のLCCも客さえ増やせれば新たに日中航路を作るでしょう。
アメリカ西海岸を訪れる観光客の多くが、ロサンジェルスへ行ったついでにサンフランシスコやシリコンバレーに寄るという感覚と同じです。ロス-サンフランシスコ間は約1時間半、上海-福岡間は約1時間40分です。「中国だけじゃもったいない。」が世界中の観光客に向けたコピーです。日本語じゃダメですけど。
(5)例えば、2020年に東京でオリンピックが開催されます。開催期間中は世界中からマスコミや観光客が日本に押し寄せるでしょうけど、そうした一過性のもので終わらせてはいけません。
以前ブログにも書きましたが、世界にはまだオリンピックでメダルを獲得したことがない国が数多くあります。東京でおこなわれるこの機会に、アジアの国を中心に、自国の中では能力や素質があっても高度な科学トレーニングや長期的な選手育成が難しいという国に全面協力します。
そうした将来メダルに届きそうな有望な選手を日本の体育大学や選手育成に理解のある企業で預かり、それらの国からメダリスト(=国民の英雄)を出すために開催国・地である東京と国が公費負担をしてでも支援します。
サッカーでもインドネシアの選手を入団させたJリーグのチームの試合には、その国から多くの観光客や応援団が訪れたという例があるように、オリンピックレベルの選手を日本が育てていけば、その国の中で話題となり、公開練習や競技の時には多くのマスコミや自国の応援団が来日してくれるでしょう。
そしてそれらの国で自国の選手が日本で生活する様子がテレビや新聞で取り上げられる回数が増えれば、日本に親しみがわき観光客も増えていくでしょう。
以上、ざっくりと外国人観光客を増やすための5つの方策を考えてみました。
これらのことはすでに実行されていることもあるでしょうけど(あえてググっていません)、少なくとも私の耳や目には入ってきていません。ということはもしすでにおこなわれていてもその規模は限定的で、滅多にニュースにも取り上げられることがない地味な施策ということでしょう。
ぜひ国や自治体が箱ものや利用者の少ない無駄な公共工事を削ってでも、日本とアジアの未来のため、架け橋となってくれる外国人観光客誘致にもっと力を入れてもらいたいものです。
そして日本を訪れ、日本人とふれあい、感動し、満足して帰った外国人は、きっと日本に対する理解を深め、口コミでも拡がり、観光だけでなくその後のビジネスや外交関係などにもよい影響を及ぼすのではないかと考えています。
【関連リンク】
754 東京オリンピックとこれから高まるビジネスチャンス
642 日本はインドともっと深く連携すべき
578 外国人研修制度という名の移民政策
706 高齢化社会の行方
485 マイカーで東京から京都まで旅行する場合 その1
365 ハイパーインフレは来るのか?
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以前、「道の駅は次の段階へ進めるか」というブログを書きました。そして日曜日に私がよく見ている「ザ!鉄腕!DASH!!」というテレビ番組の「0円食堂」というコーナーで各地の「道の駅」がいつも登場するのをみて、再びこの「道の駅」について書いてみようと思いました。
1988年から始まった道の駅の最初の頃はと言うと、広い駐車場とトイレと自販機だけで、誰も人がいなく観光案内のパンフレットが机の上に置かれた寒々としたインフォメーションコーナーぐらいしかなかったものですが、やがて売店やレストランが併設されるところが増え、今ではその地域で摂れる野菜や名産品、お土産を売るスペースがかなり拡がっています。
私が以前書いたブログでは、高齢化で限界集落など寒村化していく地方の町や村の物流拠点として道の駅をうまく活用すれば、少しは過疎化した村や町の延命の役に立つのでは?という趣旨のものですが、番組でもその地域の情報を調べるのに重宝しているようで、道の駅がその地域にある地場産業の見本市、アンテナショップの機能を果たしていることがよくわかります。
いま道の駅は全国に約1000箇所ありますが、クルマに乗って旅行する時に感じるのは、もっと増やせばいいのにという思いがあります。
交通量の多い道では走行している車線の反対側に道の駅があると、そこへ入るのも、そして出る時にも不便なので、道の両側(上り線と下り線)に別々の道の駅があって競い合うのもいいのになと思うぐらいです。
各47都道府県の単純平均では1都道府県当たり21箇所になります。これが仮に倍に増えたとしても、道の駅がある地元の住民や旅行者が困ると言うことはないでしょう。
ただ道の駅は一般的に土地や建物の基盤を市や町が作り、中で営業をおこなうのが民間で家賃を市や町に支払うということで、一部に税金を使っての民業圧迫を言う人も確かにいます。
確かに都会の中や商業エリアに堂々と開設すればそれもわかりますが、ほとんどの道の駅は周囲に店の少ない郊外地域や地方の国道にポツリとありますからそう目くじらをたてなくともいいのではないでしょうか。
それよりも旅行者や職業ドライバーが地域の観光案内を調べたり、気持ちよく休憩し、トイレを安全に借りられるメリットのほうがずっと大きいように思います。
特に過疎地はもちろんのこと、都会の中でも高齢者ばかりになってきた古い団地周辺ではそれまで細々営業していたスーパーや商店が次々と閉店しています。地方都市では大きなショッピングセンターが撤退したケースもよく聞きます。
そうしたスーパー撤退の跡地やバブルの頃の開発が止まったままで余っている土地や建物に、道の駅の認定基準を満たす施設を自治体や市町村が支援して作ることで、遠くのスーパーや商店まで買い物にいかなくても地元住人にも役立つし、もちろん旅行者やクルマを使って働いている人に役立つでしょう。
国交省から道の駅の認定を受けるには、
・24時間利用可能な一定数の駐車スペース
・24時間利用可能で、断水時でも使用可能なトイレ
・24時間利用可能な電話
・情報提供施設を備えた施設
・非常食・飲料水の備蓄
・停電時の非常用電源の確保等
などで、これらの設備や備蓄品は非常時や災害時に役立つことは明白なので、その多くは税金でまかなうことも許されるでしょう。
それに最近流行の共同販売所では、JAに出荷するような専業農家ではなく、少量しか生産していないような兼業農家や高齢の農業従事者でも、自家消費しない野菜や果物、水産物などを地元の道の駅へ持込んで委託販売すれば、農家の新たな収入源となり、そのために新たな地元の雇用が生まれ、行政にとっても商取引が増えれば税収も期待できます。
地元名産品以外でも、例えばフリーマーケットのような委託販売もやろうと思えばすぐに可能です。
あと道の駅の付帯設備や機能としてあったらいいなと思うのは、その地元の名物や名産品が安くて手軽に食べられるファストフード店、ドラッグストア、コンビニ、住民票発行などの公共サービス、金融機関のATM、郵便局(分室でも可)、ガソリンスタンド(災害時に役立つので町営や村営でも可)、宅急便等の共同物流窓口、簡易診療所、銭湯、コインランドリー、ネットカフェ、仮眠室、図書館、レンタルビデオ店、学習塾、公衆Wi-Fi設備、観光・宿泊案内所などでしょうか(一部についてはすでに完備されているところもあり)。
しかもそれらの店の営業時間が10時~17時みたいな昔の公営事業みたいな定形ではなく、早朝から深夜まで開いていると、旅行者だけでなく地元の人達にもすごくありがたいでしょうね。
広い地域にまたがっている場合は、公営バスが各集落と鉄道駅のあいだを結ぶだけでなく、この道の駅にも立ち寄るようにすれば、クルマを持たない地元民の集会所、公民館的な施設の使い方も可能でしょう。
そうすれば地域住民同士の交流の場となり、そこから生まれる地域活性化策につながるかもしれません。
個人的には全国の道の駅をくまなく調べ、もっと活用してもらえる工夫やアイデアを出して、雇用や収入を拡大(税収も拡大する)させて出来高払い(増益した分の何割かを成功報酬としてもらう)の「道の駅コンサルタント」的な仕事が成り立ちそうだなぁと前から思っているぐらいです。国交省や自治体にかけ合ってみるかな。
仕事はしたくないクセに、引退後にはあれもやりたいこれもやってみたいということがいっぱいあって困ります。
【関連リンク】
780 あらためて高齢社会白書を概観してみる
733 高齢者の地方移住はこれからも進むか
719 道の駅は次の段階へ進めるか
715 人口減少と鉄道路線廃止
711 地方が限界集落化していく
706 高齢化社会の行方
583 人口が減るのもいいんじゃない
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