リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~
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以前からよく言われていることですが、プロ野球の試合の時間が長すぎます。
横になってテレビで観戦していても長時間でつらいのに、よく球場まで足を運び、固くて狭い椅子にジッと長時間座っていられるものだと、いつも感心しています。
オリンピック競技から野球が外れた理由のひとつには、試合時間の長さが問題視されており、それならば「オリンピックでは7回を最終回としよう」という乱暴な計画もあったそうですが、それでは解決になっていないような気がします。
通常のプロ野球の試合展開に慣れた目で高校野球を見ていると、その試合運びの速さに驚かされます。同じ9回を戦って1時間以上も試合時間が短いのですから。
もちろんプロ野球はエンタテーメントの一種ですから、選手交代の多さ、試合途中におこなわれるセレモニーや応援歌の合唱、複雑なサイン交換、投手と打者の駆け引き、監督の抗議など、時間のかかる重要な要素はいくつもあります。
試合だけに集中できる高校野球とは違うのもわかりますが、それにしても同じ競技とは思えないぐらい時間が長いのは、ゲームが白熱して長くなってしまうならともかく、毎日忙しい日々をおくっているファンにとっては決して嬉しいことではないでしょう。
先日このような記事が出ていました。
松坂のもう一つの問題=投球間隔「長過ぎ」と米メディア-米大リーグ
『ニューヨーク・タイムズ電子版は「松坂とメッツの長い一日」と見出しを付けた。松坂の投球間隔は平均25.8秒で、メッツ先発陣で最も短いニースより6秒以上長いと指摘した。』
以前はレッドソックス時代の岡島も同じような指摘を受けていたことがありますが、素人の私の目から見ても、日本人投手は、外国人投手と比べ、投球間隔が長めのように見えます。
これは、松坂や岡島だけでなく、全般的に日本人投手の間の取り方が、メジャーと比べて長く、日本では普通と思える投球間隔でも、メジャーにいくと長すぎるとされます。
プロ野球を見ても、自信のない時ほど捕手とのサイン交換、牽制球、セットアップの静止時間が多めとなり、その投球間隔はイライラするほど長い場面をよく見かけます。
松坂も調子のいいときは次々と投げ込んでいけるタイプですが、手術後で調子がイマイチの登板では、おっかなびっくりというところがあったのかもしれません。
日本のプロ野球と、メジャーとで試合時間がどれぐらいかのグラフです。
9回で終わる試合だけで比べるとメジャーのほうが20~30分は短くなっています。同じエンタテーメントの職業野球でも日米でこれだけ大きな差があります。
メジャーとプロ野球、試合時間に影響を与えるところはなにが違うかと言えば、ひとつはストライクゾーンの広さ、次に遅延行為の徹底排除、その次に選手の積極性でしょうか。
ストライクゾーンは、メジャーの場合、プロ野球と比べて外角と低めにホンの少し広いと言われています。
そのため打者は追い込まれて打ちにくい球で勝負される前に、ストライクゾーンに来ればできるだけ早く打とうと心掛けます。
投手もストライクゾーンが多少でも広ければ四球が減り試合の進行が早くなります。四球が連発する試合って投手交代も頻発し、ダラダラと長くなりがちですものね。
遅延行為は最近ではプロ野球でも時間短縮を心掛けはじめ、審判への抗議も5分以内と決められ、それ以上おこなうと退場処分にされるとか努力は見られます。
しかしゲーム中に監督やコーチがタイムをかけてマウンドに向かうときは、なにを格好付けているのか知りませんが、ゆっくりと歩いていいきます。
投手交代の時も、リリーフがのんびりと走る電動カーに途中まで乗り、降りてからマウンドまでものんびりと歩いてやってくる姿はスポーツマンらしくありません。
その間、ジッと耐えて待っている多くのファンがいることを頭に置き、常にキビキビとした行動を求めたいものです。
試合中キャッチャーがタイムをかけ、マウンドへ近寄り投手と話しをするとき、メジャーの審判はキャッチャーのすぐ後を追いかけ一緒にマウンドまでついていき、長くなると「Hurry Up!」とプレー再開を急かします。
それに従わなければ退場です。またリリーフピッチャーは交代が告げられてから、所定時間以内にマウンドにつかないと遅延行為として罰せられることがあります。
なのでメジャーのリリーフはどんなベテランの大投手でも交代が告げられると練習場から急いで走ってマウンドに上がります。
メジャー選手の打者の積極性は言わずもがなでしょう。プロ野球でも外国人選手への初球は要注意と言われていますが、とにかく甘い球は初球から見逃しません。
ましてや四球を狙ってバッターボックスに立つ選手はいませんし、意図的にカットしファールを狙って打つようなせこい選手もいません。
そうしたバッターの積極性と、日本人投手のようにボール球を振らせて三振を取るよりも、「打てるものなら打ってみやがれ」的なストライクのコースでどんどん勝負をしてくるピッチャーが多いため(日本人投手より細かなコントロールが悪いとも言えますが)、試合はどんどん早く進行していきます。
プロ野球の球団(チーム)によっても平均試合時間が違っています。これは球場の広さや、ブルペンの近さなども影響していると思われますが、球団と選手の考え方や体質も関係していると思われます。
つまりチームの監督が高齢だったりベテラン選手が多く、それらの幹部や選手の行動がゆっくりしていると他の選手にもそれが移ります。一方若手選手が主力で監督やコーチもキビキビしていると、選手全体の動きも素早く試合時間も自然と短くなります。
球団別(主催ゲーム)試合時間
9回までの試合では巨人と広島が3時間10分で最短です。この両チームにどういう共通点があるのか詳細なデータはありませんが、例えば先発完投型の投手が多いとか、幹部や選手が若くて動きがいいとかあるのかも知れません。もちろんファンのために試合時間を短縮すべく努力をしているのでしょう。
3位は西武、4位は阪神、5位はロッテの順です。
逆に試合時間の長いワーストのチームは、ソフトバンク、DeNA、ヤクルトの順です。
巨人とソフトバンクで平均12分の差があります。これはいったいどこからくるものでしょうかね?
プロ野球チームで試合時間が一番短い巨人や広島でもメジャーの平均試合時間には20分も及びません。この差はとても大きいです。
世界中で人気の高いスポーツは、長くても2時間以内で終わります。
それがエンタテーメントとして観客がゲームに集中して見ていられる限界なのでしょう。
せめてプロ野球も3時間を切り、願わくば2時間半程度(150分)で終わるようになれば、もっと球場へ足を運んでくれるファンが得られるのではないでしょうか。延長時間は仕方ないとしても。
最後にもう関係者は誰も覚えちゃいないのでしょうけど、2008年にNPB(日本プロ野球機構)が決めた「Speed Up!11カ条」というのを作りました。
01 スピードアップは、プロ野球の価値を大きく高める 02 1球で1秒の短縮は、1試合約5分のスピードアップ 03 攻守交代は、全力疾走 04 投手は、速やかにマウンドへ 05 投手は(無走者時)、捕手からの返球を受けて15秒以内に投球 06 打者は、予備のバットを必ずベンチ内に用意 07 打者紹介のアナウンスは、バッターボックスへの移動 08 バッターボックスは、絶対に外さない 09 むやみにタイムは、要求しない 10 審判員の指示には、素直に従う 11 遅延行為は、ファンに対する侮辱行為 |
う~ん、ここではとてもいいことが書かれていますが、現状では形式上のお題目になっていて、ちゃんと守られているとは思えません。
守れないルールを決めて、そのまま放置していたのでは悪影響しか残りません。NPBは今後どうしていくつもりなのでしょうね。
あと企業経営者レベルの発想だと「1球1秒の短縮なんてせこいことを言っていたのではなにもしていないのと同じ」ぐらいにしか思わないでしょう。
せめて「投球間隔は今の2倍の早回しで」ぐらいのハッパをかけて、ようやく1球当たり1~2秒が縮まる結果になるものだと経営者ならわかっています。
世間知らずな殿様然とし、部下に責任をなすりつけていた感のあるふざけたコミッショナーもようやく辞任しましたので、これを機会に新しいコミッショナーにはメジャーと同程度のスピーディなゲームをぜひ目標に掲げてもらいたいものです。
そうすることで、今後メジャーに渡る日本人投手が野球の本場アメリカで恥ずかしい遅延行為をしなくて済みます。
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自動車販売台数ランキングでは常にハイブリッド車が上位を占めるようになり、2013年4月の新車販売の中でハイブリッド車の割合(乗用車)は27%に達しています。
また一般新築住宅や新築マンションにおいても太陽光発電や燃料電池を利用した従来のエネルギーに頼らないクリーンとエコそれに省エネをうたい文句にした商品が大ブームです。
それらのブームにケチを付ける気は毛頭ありませんが、このように動力などエネルギーとして使うために必要な蓄電池、つまりバッテリーについて関心があるのと同時に大きな心配事があります。
それは1番目に蓄電池のリサイクルと廃物処理、それにかかるエネルギーとコスト、2番目に不法に廃棄されることにより環境悪化を引き起こすリスク、3番目に蓄電技術の進歩の遅さです。
日本でハイブリッド車が誕生して16年が過ぎました。ガソリン車やディーゼル車であれば10年ぐらいで細かな消耗品はともかく動力源(エンジン)そのものを補修する必要はありません。
しかしハイブリッド車の場合、インバーター(電力変換装置)は10~15年ぐらいで、バッテリーは早いもので5年おきの交換が必要となってくると言われています。
その交換コストはインバーター装置で40~50万円、バッテリーで15~20万円ほどが必要となります(一般的なハイブリッド車の場合)。
しかも普通のガソリン乗用車についているバッテリーのように、近所のカーショップで純正バッテリーの半額以下で売られている補修用バッテリーを買ってきて自分で交換するというわけにいきません。
つまり、EV車はもとより、ハイブリッド車の場合、10年を越えてくると車検代や細かな補修部品以外に、数十万円単位で部品交換の出費が必要となってくるわけです。そういうことって買う前にキチンと説明はおこなわれているのでしょうか。
住宅の発電の場合も同様で、大きな蓄電器を備え、「これで停電になっても我が家は安心」と思っていても、数年ごとに数十万円をかけて、バッテリーや付属装置を交換し続けなければ、当初の性能は保証されず、忘れていたりお金が惜しくてメンテを怠っていれば、いざ停電!という時にはとうにバッテリーの寿命が尽きていて役立たずという事態が予想されます。
これらの蓄電池、現在では、鉛蓄電池はもちろんのこと、ハイブリッド車に多く使われているニッケル水素や今後需要が高まるであろうリチウムイオン電池にしても有害物質を多く含み、その処理やリサイクルには技術と手間が必要で、それゆえコストがかさむというやっかいな代物です。そしてリサイクルをしても新品の性能は得られません。
決してなくならない金儲け主義の悪徳業者(正規ディーラーだからと言って油断できません)が「引き取って処理をする」と言って高額な処理料をとっておきながら、蓄電池を山中に投棄したり、造成地の地中に埋めてしまったりすることも考えられます。過去にもその類の事件はよく起きています。
以前、テレビの買い換えの際、大手量販店へ引き取ってもらった古いテレビの家電処理料を支払いましたが、その量販店が集めた廃棄家電を、丸投げしていた処理業者が処理せずに単に捨てていたことが後でわかり、処理料を顧客へ返却するということが起きました。大手だからキチンとやっているだろうと安心はできません。
下記のような事件は日常茶飯事に起きていますので、今後使用済み蓄電池が大量に出てきた際、不法に廃棄される可能性は十分に考えられます。
生コン不法投棄:背景に高い処理費用で下請けを圧迫(毎日新聞)
余った生コンクリートを不法投棄したとして、(中略)廃棄物処理法違反(不法投棄)の疑いで逮捕された事件。背景には、工事現場で余った生コンの処理を巡って、元請けのゼネコンと下請けの生コン業者の間でルールを決めていないケースが多く、処理費用が立場の弱い下請けに押しつけられやすい現状がある。 |
使用済み乾電池2250個路上に廃棄 警備会社元課長ら逮捕(産経ニュース)
業務で使った大量の乾電池を不法投棄したとして、警視庁生活環境課は廃棄物処理法違反容疑で、警備会社「テイケイフォース」(東京都新宿区)北千住支社の元営業課長、××(35)=千葉県市川市東国分=ら2人を逮捕、法人としての同社を書類送検した。同課によると、いずれも容疑を認めている。 |
自治体や販売店で回収運動をおこなっている小型のボタン式電池の回収率は、わずか14%程度、国を挙げて回収に乗り出している携帯電話(電池含む)の回収率も20%程度と言われています。
今後大量に出てくるクルマや住宅用のバッテリーの回収率は数が少ないだけそれらよりずっと高くなるでしょうけど、100%になるとも思えません。下手をすると5~6割程度の回収率で、あとの5割が山や川や海に投棄されたり埋められてしまう可能性があります。
エコや環境問題にシビアになってきている日本でもそうなのですから、そうでない一部の輸出先では、普通に道路や空き地など子供の遊び場にも平気で廃棄され、その中身の有害物質が流れ出る可能性だってあります。
クルマや蓄電池を作る大企業はリサイクルに力を入れると言っていますが、それらを実際に回収し処理をおこなうのは、多くの場合下請けや孫請け会社です。
そしてそれが突然大量且つ急速に出てくると、処理が追いつかず、またリサイクル品の価格も急落し、リサイクルしても採算が取れない状態になる可能性があります。
すでに新車販売台数の30%近くがハイブリッド車となり、新築住宅や共同住宅で蓄電池を備える割合も急速に高まっているのです。
このように古くなった使用済み蓄電池が国内にあふれ出してくると、安い海外メーカーの製品なども含め、結局はそれらの処理に税金が投入されることになり、ハイブリッド車やEV車には今のように低公害車減税ではなく、廃物処理税を特別に課すなんてことが将来起きるかも知れません。
できれば公共の税金ではなく使用者責任と製造者責任の負担でお願いしたいものです。
蓄電池技術の進歩は他の分野の技術と比べるとまるで停止しているかのように遅れています。
将来、技術革新が進み、軽量コンパクトで、携帯電話なら本体の寿命と同じぐらいの5年、クルマ用なら少なくとも20年、住宅用なら30年は無交換で使え、著しい性能劣化は起こらず、爆発や発熱の危険性もなく安全に使用ができ、しかも廃棄やリサイクルしても環境負荷がかからないという優れた製品が出てくることを期待しています。
そういう蓄電技術が登場した時にはじめて、EVカーが世の中で認められ本領が発揮されるのではないでしょうか。
日本には歴史ある世界でもトップクラスの蓄電池メーカーが何社もありますので、過去の遺産に頼ってばかりでなく、新しい技術で世界のトップを走り、明るい未来を作ってもらいたいものです。
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私の男 (文春文庫) 桜庭一樹
タイトルからすれば、「これは恋愛小説に違いない」と当然思い込みます。私もまったく予備知識はなしで読み始めました。これから読む人はそれがいいと思いますし、以下のこの感想も読まない方がいいです。
著者の桜庭一樹氏の小説は今回初めて読みました。しかもこの感想のために調べるまで女性作家とは知りませんでした。
「私の男」は2008年の直木賞受賞作です。が、この方小説以外にもコンピュータゲームのシナリオを書いたり、エッセーや漫画の原作など多才な人です。
若い人に人気のライトノベルなどもたくさんありますので、詳しく知らないのは私のような50過ぎたオヤジだけかも知れません。
さて、この「私の男」、通常の小説のスタイルとは違い、現在から過去へとさかのぼっていきます。
幸せそうだけどなんだかちょっと影のあるヒロインが資産家の男性との結婚が決まり、婚約者と指輪を買い、父親も加わって一緒に食事に出掛けるという人生の中でもっとも幸せで微笑ましいところからスタートします。
しかしそこで明らかになる風変わりなヒロインの父親がタイトルの「私の男」だと信じたくはないものの、それに向かってヒロインと父親の過去が徐々に顕わになっていくという内容です。
ちょっと現実的には考えにくそうですが、あり得ないとも言えなくもなく、読んでいくにつれ暗澹たる気持ちになり、やがてはつらくなっていきました。
この二人にもっと他に方法がなかったのだろうか、なぜ周囲の人達はこうなるまでほったらかしていたのかと、小説と言うことを忘れ、思わず独り言を言いそうになったり。
ま、直木賞受賞作ですから余計なケチや野暮なことは言えないですが、暴力、殺人、不倫、大津波、近親相姦など、衝撃シーンのてんこ盛りで、おそらく映像化するにはもってこいのドラマじゃないかなと思っていたら、すでに映画化が決まっていて、来年2014年に公開されるとのことです。私は見たいとは思わないですけどね。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
恋愛時代 (幻冬舎文庫)(上)(下) 野沢尚
著者の野沢尚氏は元々テレビや映画の脚本家として頭角を現し、その後小説を書き始めた方です。
プロの作家からするとシナリオライターに人の機微を深く掘り下げた本格的な小説が書けるものかといいたいところでしょうけど、当然書けちゃうわけですね。
ただ惜しむらくはこの著者は2004年に自殺してしまい、もう新しい作品を読むことができません。
この「恋愛時代」は1996年に初出の長編小説で、2001年にタイトルに惹かれて読んだ「破線のマリス 」(初出1997年、文庫版は2000年刊)よりも前に書かれた作品です。
ストーリーは、2年前に離婚して別々の生活をおくっている男性と女性の二人の主人公が、心の中に今でも様々な葛藤を抱えつつ、日常の生活の中では一緒に食事をしたり、カラオケに行ったりと仲良くしています。
しかしある時喧嘩になってお互いに再婚相手を探して紹介するということになり、それを互いに実行していくというコミカルな中にも男女間の深い心理状態をうまく描いているなかなかの作品です。
まぁ、互いにムキになり結婚相手を探すという辺りで、最終的に落ち着く先は読めてしまいましたが、主人公以外の登場人物がそれぞれに魅力があり、それが映像として見せるためのドラマ脚本家としての最大の腕の見せ所だったのかなぁと思いつつ、後半へ突入していきます。
小説では主人公二人が交代で語っていくスタイルをとっていますが、互いの心理描写がやや冗長で、どうでもいい部分が長々とあり、中だるみというか途中で退屈する場面もあります。それを救っているのは先にも書いた主人公二人に恋をする脇役達です。
脇役といっても、引退も近い女子プロレスラー、中学時代の同級生、名門ホテルチェーングループ総裁の跡取り息子、離婚協議中の大学教授など、様々なタレントで、これはドラマにすると絵になります。
二人の主人公のように、こんなに周りからモテモテの人生だったらなにも苦労はしないのにと思わなくもないですが、やはり最終的には人気アイドルタレントを使った映像化を視野に入れた作品だったのかも知れません。
しかし現在のところこの作品の映像化は2006年に韓国でテレビシリーズとしてドラマ化されただけで(日本国内でも放送されました)、国内では制作されていません。
あとこの小説の中で男性主人公(書店の店長)が勤める本は、それなりに面白いことを巻末の解説で池上冬樹氏も保証しています。
小説の中で登場してくる小説とは、
マイクルコナリー「ラスト・コヨーテ」
宮本輝「ここに地終わり海始まる」
ロバート・ジェームズ・ウォラー「マディソン郡の橋」
ローレンス・ブロック「八百万の死にざま」
ジョン・ダニング「死の蔵書」
リチャード・ニーリー「心ひき裂かれて」
桐野夏生「ファイアボール・ブルース」
ベン・ホーガン「モダン・ゴルフ」
サガン「ある微笑」
ピート・ハミル「愛しい女」
原田康子「挽歌」
ジャック・フィニイ「ゲイルズバーグの春を愛す」
遠藤周作「わたしが・棄てた・女」
村上春樹「ノルウェイの森」
の14作品で、半数はすでに読んでいますが、あと残りをメモしておいて今後読んでみようと思っています。
こうして今まで食わず嫌いだった新しいジャンルや著者の本を増やしていくのはなかなか効率がいいです。
◇著者別読書感想(野沢尚)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
小説・震災後 (小学館文庫) 福井晴敏
東日本大震災が起きた2011年3月11日の約半年後の10月に単行本が発刊され、その半年後には早くも文庫化されています。
多くの人が大震災と原発事故に茫然自失とし、この先日本の社会、経済、生活がどうなるのだろうと先行きに不安を覚える中で、即座にこれだけの作品を書いて世に出すというのは超人的としか言いようがありません。
著者は言うまでもなく「亡国のイージス」や「終戦のローレライ」などの軍事ものや、「川の深さは」の警察ミステリーもの、「平成関東大震災 いつか来るとは知っていたが今日来るとは思わなかった」のSF近未来小説まで様々なジャンルに秀でた作品を残す作家さんですが、どれもエンタメ的にはたいへん面白いです。
内容は2011年3月11日に起きた東日本大震災とその後に起きた福島第一原子力発電所の事故をそのまま小説で使い、東京都郊外に住む普通の一家がそれぞれに悩み考え、そして行動を起こしていく姿を描いています。
主人公は一家の主でもあるサラリーマンの男性で、同居する父親は元防衛省に勤務というところがちょっとミソ。
震災後に家族で気仙沼方面へボランティアへ出掛けたり、ネットにはまっている中学生の長男が、原発事故を今までそれを無責任に容認してきた父親を含む大人達に対して反発し、やがて大きな事件を起こしていくという姿など、普通にをありえます。
最終章では私も今までまったく知らなかった方法で発電し、世界に打って出るチャンスではないかという「こんな時だけど、そろそろ未来の話しをしようか」で始まる主人公が中学生とその父兄達に向けての演説はなかなか読み応えがあり夢のあるいい語りです。
◇著者別読書感想(福井晴敏)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
通天閣 (ちくま文庫) 西 加奈子
先に読んだ柴崎友香著「その街の今は」と同じ香りがする小説です。著者は2004年にデビューし、16作目の「ふくわらい 」が今年の直木賞候補となったこれからまだまだ有望な若手作家さんです。
この「通天閣」はデビューから4作目、2006年に発刊された小説で(文庫版は2009年刊)、2006年の「その街の今は」に続き、2007年の織田作之助賞を受賞しています。
主人公は大阪の下町にある通天閣のそばに住んでいる、まったく縁もゆかりもない男女二人で、その二人の話を中心にして展開していきます。
ひとりは40才を過ぎても独身のまま、100円ショップに卸す商品を包装している小さな工場勤務の男性。
もうひとりの主人公の女性は同棲していた男性が突然米国に留学することになり、その帰りをひたすら待ちつつも、やがてはふられてしまうことに。
その女性は、生活費を稼ぐため、なんばの怪しげなスナックで働くことになり、そこのオーナーに気に入られて黒服のギャルソンを任されています。
それらの主人公の周りにはこれまたユニークな面々が揃い、日々の生活が淡々と流れていきます。
そして見ず知らずだった男女が、ある日なんばで飛び降り自殺志願者が現れた現場で、すれ違うことになりますが、実はこの二人は、、、ってところで最後のオチというか実際はオチにはなっていませんが、ワケありの二人の関係が、読者だけには知れることとなります。
大阪なのでオチがなくていいのか!という声もありますが、それでいいのです。
◇著者別読書感想(西加奈子)
【関連リンク】
9月後半の読書 脳に悪い7つの習慣、コンダクター、ガセネッタ&シモネッタ、その街の今は
9月前半の読書 緋色の研究、眠れぬ真珠、王国記ブエナ・ビスタ、心に龍をちりばめて
8月後半の読書 遠野物語、傍聞き、九月が永遠に続けば、瑠璃を見たひと
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通勤電車の中でも最近スマホやタブレットで新聞や書籍を熱心に読んでいる人が増えてきました。
数年前までは、スマホや携帯では、せいぜいツイッターやメール、ゲームをやっている人ばかりだったのですが、電子書籍や新聞の電子版が普及してきてその利用者が増えてきています。
私自身はと言うと、旧世代側の人間なので、未だに電子書籍や新聞の電子版には縁遠く、新聞も書籍も「紙でないと嫌だ」派ですが、新聞、雑誌、小説、漫画はもちろんのこと、各種ペーパー類の電子化ブームにのっかって、そのうちトイレットペーパーまでもが電子化されそうな勢いです(なわけない)。
先日ブックオフで柳田国男の「遠野物語」(集英社)を買って読みましたが、この作品のように著作権が切れている書籍は、ネットで探してみるとテキストデータやPDF化された電子書籍が無料で提供されていることがあります。
その代表的なものはインターネット上にある無料の電子書籍を集めた「青空文庫」で、知っている人も多いでしょう。
この「青空文庫」をボランティアで推進してきた富田倫生氏が今年8月に亡くなりましたが、その遺志はきっと引き継がれていくことでしょう。私も数年後無事にリタイアができれば、そういった作業のボランティアに参加したいと思っています。
一般的に小説などの著作物の期限は日本国内では「著作者の死後50年まで」とされていますので、概ね太平洋戦争以前に書かれた作品は、すでに著者が亡くなってから50年以上が経っているケースが多く、今後も相当数の作品が著作権切れとなってきています。
そのような著作権が切れた古い作品は、一部の名作以外は数が出ないため出版社としてはビジネスとして成り立ちにくく、再版をしてくれません。
したがって古書を探して手に入れるか、それとも現状では「青空文庫」のようなボランティアの手による電子書籍を手に入れるかしかありません。
電子書籍の場合、紙の書籍と比べ、印刷して流通・販売するための経費はかからず、大幅に安く済みますから、このような新たに発行されない、あるいは埋もれてしまった書籍を再び世に出すには大いに向いています。
著作権切れではない書籍でも、著者や権利者の了解を取ることができれば、再版するよりは経費がずっと安く上がりますので、リスクも少なくビジネスとしても成り立ちます。
しかし過去の書籍だけの需要では電子書籍の普及は進みません。
やはり最新の情報(ニュース)や、話題作、新作などが紙の本や新聞と同様かそれ以上の早さで読めることが電子書籍の最大のアピールポイントでなければなりません。
そのためには、過去ずっと慣れ親しんだ新聞や書籍の慣れという普及への障害があり、子供の頃からファミコンや携帯電話等で液晶ディスプレーに親しみ抵抗感のない今の40歳以下の人達は問題ないとしても、その年代より上の人達には、今のままでは普及が進まないでしょう。
中高年以上になると視力が弱り、小さな画面のスマホなどでは見づらいという問題も合わせてあります。
先日NHKを見ていると、「高齢者は重い本を買いに出掛けるのもつらく、その点タブレットで読む電子書籍ならネットで購入でき、しかも文字を自分の好みの大きさに拡大して読めるので、電子書籍こそ高齢者向きだ」みたいな話題が出ていました。
その使い方や設定、わからないときにすぐに教えてくれる友人や家族などが周囲にいればそれもアリでしょうけど、年とともに保守的で頑固で偏屈になっていく高齢者が、自ら新しいことにチャレンジしたり、気軽に人に教えを請うたりすることをするかな?と、まだ私はその普及に半信半疑です。
それに価格も紙の書籍と比べてあまり安くない、ほとんど同じという点で年金生活者の高齢者にとってあえて変える意味がないということもあります。
ただし大量消費する紙の原料となる木材、つまり資源・環境問題の観点や、書籍などの印刷、製本、輸送などの大きなコストを考えると、やがては電子書籍や新聞の電子版が今後の常識となるのは必然でしょう。
現在のところ国内の新聞や書籍に関しては著作権法と再販制度に守られて、他の業界とは違い価格競争や外国企業との競争にさらされていませんので、新聞社や出版社は危機感も薄くそれにあぐらをかいてしまっているところです。
携帯からスマホへ切り替わり、iPadなどのタブレット型端末などが一斉に発売され、電子書籍元年と言われたのは2010年で、それからすでに3年が経っていますが、その時から大きく進んだとは少なくとも私の周りでは思えません。
IT関連サービスの普及のスピードとして、電子メール、SNSやゲーム、通販、地図・ナビゲーションなどと比べると、電子書籍の普及速度は極めてゆっくりで遅いと言わざるを得ません。まだブームが爆発しそうな予兆が見えてきたという雰囲気もありません。
私はあと10年間ぐらいは今まで通り紙の書籍や媒体が電子版よりも優先され、電子化はその後という予測をしていますが、いずれは電子化の波は避けられず、しかもそれが一気にやってくる可能性があります。
すでに極めて少数ですが一部では電子版が先にリリースされ、その後に紙の書籍が売られるケースや、電子版で先行発売し、そこで好評を得たものが、紙でも発刊するという新しい流れが始まっています。
紙か電子かという対立軸だけではなく、新聞社や出版社がとる戦略、紙と電子とを組み合わせて販売という、変革時によく現れるハイブリッドを取り入れた優柔不断モデルもそこそこヒットしています。自動車でも一気にEVが普及するのではなく、まずはハイブリッドが主流でしょ。
それに関連して革命児でもあるAmazonがまた新たなことをやってきました。
Amazon、紙版書籍購入者に対して無料(ないし安価)での電子本提供プログラムを開始予定(livedoor NEWS)
Amazonで紙の書籍を購入した利用者に対し、その本のデジタル版を無料ないし2ドル99セントの価格で提供するというものだ。価格は書籍によって決まることになる。本プログラムの対象となるのは、Amazonが書籍販売を開始した1995年から、これまでに購入した本ということなのだそうだ。 |
まずアメリカで始まったサービスですが、Amazonで書籍を購入すれば(過去に購入したものも含め)、電子版が無料か2~3百円で追加購入できるというものです。さすがにうまいやり方です。
紙の書籍購入者にしてみれば、とりあえず電子版は不要だけど、もし欲しくなったときに無料(安価)で電子版が購入できるなら、他の書店や通販会社ではなくAmazonで買おうと考えます。
電子版の書籍が欲しい人も、同時に紙の書籍が無料(安価)で手にはいるなら、それを読むかどうかは別として、あっても困らないという人はそのサービスを優先的に利用するでしょう。手間を惜しまなければ紙の本はすぐに古書店で売ってしまってもいいわけですから。
著作権者からすると、紙でも電子でも買ってもらえれば、その購入者からの印税は入ってくるので、紙と電子の両方だから印税も倍額欲しいとはならないでしょう。紙と電子と関係なく、作品が話題となって多くの人に買って読んでもらうことが著作者にとっては一番いいはずです。
これを新聞に当てはめると、自宅で朝日新聞(Paper)をとっていたら、その新聞電子版が無料でついてくるみたいな感覚です。これって新聞(Paper)購読者にとっては得した気分になれて嬉しいものです。
しかし実際には朝日も日経も紙の新聞とは別に電子版を読みたければ別料金(朝日も日経も+1000円)がとられます。そんなケチくさいことをやっていたら、10年先、20年先に電子書籍大ブレークが起きたとき、紙の読者からは逃げられ、しかも電子版読者は少数というじり貧状態に陥ります。
近い将来のことを考えて、今こそ電子版で紙の読者の囲い込みをするべきでしょう。
他の新聞では読売新聞が+157円/月と極めて安価な設定、産経新聞は購読している否か関係なく420円/月、毎日新聞は現在のところアプリを入れると無料で見ることができます。こうしてみると日経や朝日がどれだけ高飛車かというのがわかります。
考えてみてください。紙の新聞の場合だと、購入者の分だけ印刷や輸送、配送の手間と経費がかかります。しかし電子版は一度それを作れば読者が1千万人でも2千万人でもかかる経費はほとんど変わりません(配信サーバの増強ぐらい)。
それならば従来からの新聞紙購読者には無料で電子版も提供することで、より多くの人に広告も見てもらい、自社メディアのファンを数多く作ることに集中すべきでしょう。もちろん電子版だけを購入したいという人にはそれなりのチャージをすればいいのです。
いずれにしても書籍にしろ新聞にしろ、現在のところ両方でそれぞれ儲けなければダメという頭の固い経営判断がされる場合が多いですが、Amazonが考えているように、やがて紙の書籍や新聞が大きく傾くとき(個人的には十数年後と思われる)、いかに自社サービスのファン(登録会員)を抱え込んでいるかが勝負の分かれ目となります。
書籍の場合は多くの出版社がありますので、メディアの代わりに取次や販売店(Amazonや紀伊国屋書店のような)がその役割を果たすことになるのでしょう。
まとめると電子書籍を普及させ、さらに本格的に電子書籍の時代が到来した時に勝者となるためには、それが電子版だけでなく、従来の紙版とセットで紙版の価格にぶっ込んで販売する。今はこれに尽きると思うのです。
そうすれば私のような「絶対紙派」の人にも、「せっかく電子版がついてくるなら試しにちょっと見てみよう」となり、そういうところから順々に慣らしていき、やがて時が来たら電子版がいろいろ便利だと気づかせていけばいいのです。
そしてタイミングを見て「電子版だけなら紙よりも安くなりますよ」という流れに持っていき、決定打として専用の電子タブレットを新聞社が無料で配布するのです。その専用タブレットでは、新聞以外にも書籍や雑誌、そして食料品や家電といった商品までが簡単に購入でき、それらが新聞社の収益の柱となっていきます。
それがうまくいった新聞社の売上高自体は減るかも知れませんが、その代わり利益は大きく伸びるでしょう。今の時代、企業が売上規模を誇るのは愚の骨頂で、健全な利益が毎年伸びているかが一番重要なのです。
電子書籍ではありませんが、つい先日ネット通販のyahoo!ショッピングが、大きく引き離されたライバルの楽天に対抗するためか、出店料や販売ロイヤリティを廃止し、出店者の数を増やすことで、より商品数を増やし、来場者を増やしていくという作戦に大転換を計りました。
その成否はおそらく2~3年後には出ると思われますが、リスクを恐れて従来からのやり方を踏襲していては、やがてじり貧になってしまうのがこの世界です。
【関連リンク】
743 出版社不況の現状
741 消滅すると言われていた新聞社の近況
709 Amazonにガチ対抗できるのはイオンかセブン&アイか
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7年後に東京でオリンピックが開催されるということは、オリンピックとパラリンピックが終了するまでのあいだ、いままでになく多くの外国人が日本を訪れることになります。
それは選手やコーチだけでなく、多くの大会及び競技の関係者、報道陣、通訳、観光客などで、同時にビジネス的に選手を支援するスポーツ用品メーカー、食品関連、IOC公式スポンサー、今後の誘致を目指す都市や代理店の視察などなど。
また新設したり修繕が必要なオリンピック関連施設や老朽化が目立つインフラなどについても、閉鎖的で遅れていると言われている日本の様々な公共事業の入札に、この開かれたイベントを機会として海外企業が新たに参入してくる可能性が高まるでしょう。
すでに開会式などのメイン会場となる国立霞ヶ丘陸上競技場の立て替えに、イラク生まれの建築家ザハ・ハディッド氏のデザインが見事に最優秀賞を収めましたが、今後はデザインのみならず、工事や建設、設備機器などにおいても、外国資本の企業が入ってくることが想定されます。
それをヨシとしない国内ゼネコンや国交省の抵抗もあるでしょうけど、もう時代は変わってきています。
一方では、日本を訪れる外国人の多くが、日本で独自に進化してきたモノやサービスを体感し、それらが今後外国でも使われ、流行する可能性が十分あります。これが日本企業にとっては一番大きな狙い目ではないでしょうか。
例えば、シャワートイレは日本が世界を完全にリードしていますが、これはカタログなどを見て話を聞くのと、実際に自分が何度か使ってみるのとではその感想は180度変わってきます。数回使ってみるともうこれなしではいられなくなるのがシャワートイレです。
すでに外国のお金持ちの家では普及が始まっていますが、オリンピックやその前の商談などで長期に日本に滞在する普通の外国人にもそのメリットを実感してもらうことで、一気に海外への普及が進むかも知れません。
そのためには公共施設の中だけでなく、街のいたるところにある公衆トイレもすべてシャワートイレに改修しPRするべきでしょう。なにも税金を使わなくても世界に向けてPRしたいというメーカーに協力させればいいのです。
小さなものですが、カッパ橋商店街に並ぶレストランなどの料理見本の蝋細工は、その精巧さとアイデアは簡単に他国に真似できるものではありません。
外国人が料理の内容がわからなくても、それがどういうものかが一目でわかる料理見本は、旅行客が多い場所の外国のレストランでも差別化につながり、ブレークする可能性を秘めています。近い将来は手作りから3Dプリンターに取って代わられるかもしれませんが。
同様にiPadのようなタブレット型端末で料理の写真や説明(各国語対応)を見て、そのタブレットから料理が注文できるシステムはすでに日本の一部のレストランで導入が始まっていますが、これはその国の言葉が話せず、うまく注文できない観光客や、障害のため発声や発音がうまくできない人にとって優しいシステムです。
また注文を聞きに回るウエイター・ウエイトレスも減らせるなど、レストランのメニューがすべて電子タブレットになると、その応用は様々に拡がっていきます。
主に先進国向けですが、日本のコインパーキングに仕組みはすぐにでも海外に持っていけそうです。都市部に残る小さな空き地を無駄にせず、簡単に有料駐車場が設置ができる仕組みはどの国においても便利です。
ただ日本と違って治安が悪い場所では、無人の精算機で現金を収集する仕組みは考慮する必要があるでしょう。
すでにインドなどへの輸出がされていますが、ICカードを利用した地下鉄の駅の改札システムも、交通インフラと一緒に発展途上国へ売り込むチャンスです。
オリンピック期間中、来日した外国人には全員1000円分のパスモカードを進呈するぐらいの大判振る舞いを国と企業が協力しておこなっても、今後それらのPR効果が効いてインフラとシステムが輸出につながればすぐに回収ができそうです。
その他では、JR東海はこのせっかくの機会を利用しようと、リニア新幹線の建設工事を前倒しで急ぎ、世界遺産となった富士山観光を外国人にしてもらうため、東京-山梨間だけでも2020年初頭開通を目指すという噂があります(無理だと社長と国交省が表明しています)し、いい悪いかははともかく、お台場に日本初のカジノを作ろうという機運も高まっているそうです。
確かにディズニーランドなど昼間に遊べる子供向けのレジャー施設は充実していても、大人向けのレジャーと言えばパチンコと居酒屋ぐらいしかなく、しかも夜中に遊べるところはなにもなく、立ち後れていると言われていますね。
よく「オリンピックバブルが終わったあとは廃墟のようになる」と「宴のあと」を心配する声もありますが、それはオリンピックを国威発揚に利用したり、市場を閉鎖し内需ばかりに投資をすることから起こりえることです。
上記のようにオリンピック開催に合わせ、東京や観光地を様々な日本発の壮大な実験場として作り上げ、オリンピック期間中に合わせ、一般の旅行客向けに最先端の医療設備を使った人間ドックや精密検査、B級グルメ、ラーメン博、アニメ・コミックショーなど数多くの見本市なども催し、それを世界中のメディアにも紹介してもらうことで、日本の医療、製品、サービス、システムを世界中に広めることができるのです。
例えば、日本人にはあまり人気がない競技があるとして、しかしその競技に参加している強豪国というのは必ず複数あるわけです。そしてその国と取引をしたい日本企業が、その競技のスポンサーや参加国の支援を買って出て、試合の入場券を優先的に確保し、その国の有力者や取引相手を商談を兼ねてオリンピックに招待するということだって可能でしょう。公務員相手の賄賂はいけませんが、企業同士なら問題はないはずです。
いずれにしても、従来の日本の特徴だった「クルマや家電を大量に安く作って世界中で売る」という仕組みはすでに破綻していますが、まだまだ日本独自のシステムや日本で改良されて進化した素晴らしい仕組みや商品など世界に誇れるものはたくさんあり、それらを世界中に売り込むチャンスが大いに高まりビジネスが活性化されることについては、オリンピック開催に反対する人も文句は付けられないのではないでしょうか。
【関連リンク】
719 道の駅は次の段階へ進めるか
706 高齢化社会の行方
696 五輪競技除外候補とスポーツ競技人口
640 クルマで行く京都観光お勧めコース その1
618 リニア中央新幹線は「新・夢の超特急」か?
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