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毎年警察庁から発表されている交通事故死亡者統計を見て、ここ数十年ものあいだ死亡者総数は大きく減ってきているのはたいへん喜ばしいことですが、高齢者が被害に遭う割合が増えてきています。
高齢者人口が増えているのだから当たり前といえばその通りなのですが、これからの社会においては高齢者が被害者、加害者に陥らないように対策をしていくことが求められています。
例えば標識を大きく見やすくしていくとか、混乱しそうな複雑な標識を整理してシンプルにする、クルマの自動ブレーキ装置や暴走防止装置の促進、自動運転まではいかなくても運転補助装置の装着推進、自転車専用レーンの設置と教育、車いすでも通行できるように狭い歩道の拡張などなど。
交通事故の死亡者とは、事故の発生から24時間以内に死亡が確認された場合だけで、数日後に亡くなったケースは、この統計には含まれません。実際は救急医療が発達してきたこの十数年で、重症患者でも即死を免れるケースが増えていると思われますので、単純に交通事故死亡者数が減ったとはいえ、死亡事故につながる大きな事故件数が減ったということは必ずしも言えません。
交通事故で亡くなる人の数は1970年の16,700人を頂点として、その後様々な交通安全への取り組みや、自動車の安全性技術、そして救命医療の進歩などにより年々減少し、2013年は年間で4,373人(1970年比で26.2%)まで下がりました。これは画期的な成果だと言えます。
国際比較してみると人口10万人当たりの交通事故死の割合は、南アフリカで27.9人、マレーシアの24.6人、アラブ首長国連合の23.5人、ロシア18.4人が上位4カ国で、その他主要国では、韓国12.0人、米国11.0人、イタリア7.0人、フランス・オーストラリア各6.8人、中国・ドイツ各5.1人、日本4.5人、英国3.6人となっていて日本は国際平均よりも下位に属しています。
2003年~2013年 交通事故死者数推移(棒グラフ:左目盛り)
65歳以上高齢者死亡率推移(折れ線グラフ:右目盛り)
年代別に見ると、数の多い団塊世代が65歳前後にいることの影響もあり、65歳以上の死亡者が前年よりも大幅に増えている以外は、概ね横ばいか下がっている傾向にあります。
そして、交通事故死亡者の中で、高齢者(65歳以上)の割合(折れ線グラフ)は年々増加傾向にあり、2013年は52.7%に達しています。
高齢者の死亡事故が増えているのは、高齢者数の急増を考えると自然なこととも言えますので、数に影響されない年齢層ごとの10万人当たり交通事故死亡者数を出してみました。
2003年~2013年 年齢層別人口10万人当たり死亡者率推移
グラフを見ると、前年(2012年)よりも増えている年齢層は、15歳以下、25~29歳、60~64歳、65~74歳と若年層と高齢層とに分かれています。
中でも65~74歳は0.3ポイント上昇していて年齢層の中では最大の増加です。これらの年代では増えているものの、その他の年代で下がっているので、トータルでは下がっています。
やはり高齢者(65歳以上)が交通事故で死亡する率は他の年代と比べると圧倒的に高いですね。
それでは、増えつつある高齢者の死亡事故とはどのような状況で起きているのでしょう。大きく、自動車乗車中、二輪(原付・自動二輪)乗車中、自転車乗車中、歩行中、その他で分けてあります。
2003年~2013年 65歳以上高齢者の死亡者状態推移
死亡状況は歩行中が圧倒的に多く、前年と比較すると、自動車乗車中、自転車乗車中、歩行中の3つで増加しています。
10年前の2003年と比較すると、二輪や自転車に乗車中の死亡は約6割まで減少しているものの、歩行中は約7割、自動車は約8割に留まっています。
高齢者死亡事故の特徴として、歩行中、または自動車乗車中というのがポイントとなってきているようです。
クルマの安全装備が充実し、シートベルトの着用も習慣化され、交通インフラも整ってきている中で、こうした流れはちょっと意外です。
高齢者の死亡事故では自転車が増えているというマスコミの報道が目立ち、そうした漠然とした印象を持っていましたが、実はそうではありません。
次はバイクやクルマを運転中に起きた死亡事故の違反原因が、16~24歳の若い人と、65歳以上の高齢者とでどう違うかを現したグラフが下記です。
原付以上運転中の若年層と高齢層の法令違反別死亡事故件数(2013年)
件数自体は若者と高齢者で人口総数が同じではないので、比較の対象となりませんが、若者と高齢者の割合を比較すると明らかに若者の死亡事故が多いのが「最高速度違反」で、高齢者が多いのは「運転操作不適」や「一時不停止」「安全不確認」などです。
高齢になると、運転操作が緩慢になったり、交差点などでの判断力や集中力が衰えたりすることが原因だろうというのがわかります。
最近よく起きるオートマ車でのブレーキとアクセルの踏み間違いが原因と思われる事故も、ニュースを見ていると、ざっくりですが8~9割は60歳以上の高齢者ドライバーが引き起こしています。これからの安全対策は、ますます高齢ドライバーが増えることもあり、これらの原因を減らしていくための施策が必要でしょう。
次は都道府県別に見た交通事故の発生件数と、死亡者数の上位と下位10都道府県です。
都道府県別交通事故数、死亡者数上位下位10
死亡者数だけで見ると、人口やクルマの保有台数が多いところ、死亡事故につながりやすい高速道路が走っているところが多くなるのはやむを得ませんが、その中でも愛知県、兵庫県、千葉県がワースト3です。
ただし愛知県で起きた事故の原因は愛知県民が引き起こしたということでは必ずしもいえないので県民性云々は決められません。
最後のグラフは65歳以上の高齢者が交通事故で死亡した人の数を、それぞれの都道府県の高齢者人口との対比で出したものです。高齢者千人当たりに換算した2013年の死亡者数です。
都道府県別65歳以上高齢者の人口千人当たり高齢者死亡事故上位下位10
高齢者千人あたりの死亡者数のワースト3は福井県、徳島県、茨城県の順となり、福井県では高齢者1000人中、約16人が交通事故で亡くなったという計算になります。これは東京の6倍以上、沖縄の3倍以上となっていて、異常に多いように思えます。
一方、大都市を抱える都道府県は人口千人あたりの死亡事故ワースト10位以内には入らず、逆に死亡者数が少ない都道府県に、東京、大阪、神奈川といった人口の多い大都市が入ります。
ちょっと意外な感じがしますが、地方は都会よりも人口密度が低い分、クルマやバイクの平均速度が高く、一度事故が起きるとそれが死亡事故に直結するためなのか、あるいは都市部のほうが大きな事故が起きても、すぐ近くに病院があったり、救命医療体制が進んでいて生き延びる可能性が高いためか、そのあたりは不明です。
最後に、新聞記事にもなっていましたが、自転車乗車中の死亡者のうち高齢者は63%を占め、その死亡した高齢者の中の70%以上が原付以上の免許を持っていないというデータがあります。
つまりそれは、自転車乗車中の事故で死亡する人で多いのは、「高齢者+運転免許なし」ということになります。
免許がないということは交通法規やマナーの知識が希薄だと考えられ、一時停止や無灯火、左側通行など車両(自転車も立派な車両)が当然遵守すべき法令の重大な違反の結果、大きな事故が起きていると考えられます。
【関連リンク】
751 自動車事故と車種や装備の関係
733 高齢者の地方移住はこれからも進むか
719 道の駅は次の段階へ進めるか
658 自転車のマナー違反が特にひどい
518 7月11日の高齢者の交通事故
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恥ずかしげもなく、まだほとんど実績をあげてもいない個人の名を冠したアベノミクスという成長戦略は、高度成長期やバブル時代を経験してきた(中年以上の)国民に、夢よもう一度と期待を持たせるのには効果がありますが、実のところ日本はそのような夢を追い求められる状況でないことは、少し経済や日本が置かれた立場に明るければわかりそうなものです。
以前にも「成長することの是非」を書いたことがありますが、今の日本の国力として長い目でみて経済成長させられるだけのパワーも資源も環境もありません。
ある特定の個人や業種や地域がほんの一時的に成長することはあっても、日本全体で見ればマイナス成長しかありません。
その主原因はもちろん少子化による労働者や消費者の減少と、高齢化による社会福祉や医療のコスト増大、そして財政赤字の三重苦からくるものですが、それ以外にも、戦後からずっと規制や保護策で守られ、従来は国内市場だけに目を向けていればよかった多くの国内企業の国際競争力のなさ、国民全体のグローバル教育の遅れなども影響しています。
人口減に対しては移民を受け入れて歯止めをかけると言う人がいますが、移民の受け入れに積極的だったヨーロッパ諸国を見ると、功罪それぞれあり、特に不況時には移民へのバッシングや弾圧というものがはびこり、それがテロや暴動の引き金になるケースもあり、予断は許せません。
また移民を受け入れると言うことは労働力と国内購買力の拡大を目指すわけですが、現在でも労働力は一部の業種を除き余り気味で、移民(労働者)を数多く受け入れることでさらに失業率が上がってしまうことや、それにともなう犯罪増加が懸念されるところです。
国内消費は移民が増えたとしてもその多くは本国への送金に使われるので、国内消費が大きく増えるわけではありません。
自動車や家電業界を見ても、すでに国内向け販売はどこも苦戦をしていて、利益の大半は海外で得られたものとなってきています。
つまり国内でビジネスが成り立つのはすき間や特定ニーズを狙う零細企業が受け持つエリアとなり、大企業が今後に渡って利益を得ていくためには移民労働者を安く国内で使うのではなく、直接海外へ出て行くしか方策はありません。
かと言って、国内のすべての内需が消え去ったわけではありません。
若返り術や難病克服など医療・バイオ分野、高齢者介護分野、健康食品や医薬品分野などは当然のこととして、その他にも高度成長時代に建設され老朽化した公共・民間施設やインフラの補修、団塊世代が70年代80年代に競って買いあさった一般住宅やマンションの修繕と建て替えなどは今後まさに成長分野でしょう。
しかしこれらの内需は中小零細企業の業績や個人の収入を改善させられるものではなく、逆に国や自治体が増税をして、勤労者が占める割合からすればわずか1%にも満たない大企業にその金をばらまくという構造のもので、それが国の成長の糧になるともとても思えません。
中にはバイオ技術でベンチャー企業を起こしたり、小さな地方の工務店から全国規模のリフォーム専業建設会社になっていくところが稀にあるにしても。
そしてもっとも国内の経済に影響を及ぼしてきた団塊世代が、ここ数年で順次年金生活に入ってきていて、今後中長期的に見ると間違いなく内需全体が一気にしぼんでいくことになります。
今はまだ団塊世代の多くは、退職金や雇用延長で得られた潤沢な個人資金が懐にあり、やれ高級車だ、海外旅行だ、世界一周クルーズだ、高級一眼レフカメラだ、韓流スターの追っかけだ、高級レストランだ、コンサートだ、フィットネスジムだ、市民大学で勉強だと元気いっぱいですが、あと数年もすれば、今までの消費生活から一転し、慎ましい生活を余儀なくされてくるはずです。それに高齢が進めば、購買欲は自然と衰えてくるものです。
本来なら、20代から30代の世代が、勉強、留学、バイクやクルマの趣味、旅行、スポーツ、恋愛、結婚、出産、引っ越し、マイホームと人生でもっともお金を使ってくれる年代なのですが、バブルの経験もなく、ずっと低成長下の環境で過ごしてきたこれらの人達の考えはいたって保守的かつ禁欲的です。もちろん所得が伸びないからという事情もあります。
それが結婚しない男女の増加や、結婚しても子供は作らない夫婦、多額のローンを敬遠してマイホームは持たず借家やシェアハウス住まい、趣味はネットや手軽な健康的なスポーツ、外食はファストフードや居酒屋、旅行も近場の日帰りなどで、趣味や恋愛にもお金はかけないというパターンが増えてきています。
そしてもうひとつ今の若い人には、高齢で身体が弱ってきた両親の介護の問題があります。親が認知症などに罹り、仕事を辞めたり残業のない非正規に変わり親の介護をしなければという人もこれからたくさん出てきます。しかしこれにはもうひとつの可能性があります。
それは少子化で一人っ子が多くなっていますが、その子供同士世代が結婚し、やがてその両親が亡くなると夫と妻のそれぞれの両親から遺産を受け取るという人も少なくないはずです。
どういう意味かと言えば、今の高齢者世帯の持ち家率は85%を超えており、将来その不動産と遺産がダブルで入ってくる可能性が高いと言うことです。そうした子供は自分で汗水垂らして働かなくても住む家はあり、おまけに人に貸せる家まであるという資産家になれます。これは今以上の格差社会を生み出すことになるでしょうね。
そうした社会環境の中で、増税で大きな権力を持つことになる役所や、既得権益をしっかり握ってさえいれば安心な天下り団体などは別として、国家全体で経済成長を目指すというのは、とてもじゃないですが、信じることはできません。
つまり今の政治や経済の中で「成長」と言うのは、単なる耳に心地いい、まやかしに過ぎず、それを軽々しくなんの根拠もなく言葉にする人は信じてはいけません。
個人が努力して成長したり、ごく一部の企業や業界が特需や先見性で成長することはあっても、日本経済全体が成長することはどう考えてもあり得ないのです。
日本がこのまま財政破綻してIMFが介入し、過去の一等国としての栄光は儚く消滅してしまうかと言えば、それも日本人の真面目さ、勤勉さからすると現実的ではなく、西洋列強国に周辺を脅かされながらも独立国家として明治維新をなしとげたがごとく、今度は「成長なき成熟国家」としてまったく新しい国のあり方を創り出せるのではないかと期待してます。
国民皆保険、新しい年金制度、失業者セーフティネット、起業家支援、規制撤廃、教育など世界の中でも高度な社会制度・福祉・医療と古い慣例や規制の完全撤廃などとともに、税金徴収の新しい仕組みを作り、それの使われ方を国民が監視できるシステムをワンセットとして考えます。
そして先進国はもとより、日本の文化、技術などに興味を持つ発展途上国からも日本への投資を呼び込むために、外国資本が進出したくなるような魅力ある環境整備、教育機関、研究設備、滞留資格緩和、タックスフリーエリアなどを作り、今後世界中で高齢化社会を迎える多くの国々に対し、見本となる国家システムを作り上げて、魅力ある国へと変貌させていけるものと信じています。
【関連リンク】
780 あらためて高齢社会白書を概観してみる
724 離婚の多さと結婚という形式
711 地方が限界集落化していく
666 子供の教育費の負担を覚悟しているか
498 失業率推移ではなく失業者数推移でみると
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世間では毎月のように乗用車の販売台数が増えただの減っただのが景気指標としてよく使われるのでニュースなどにもよく登場しますが、二輪についての販売台数は業界の人ぐらいしかあまり関心がなく、表面には出てくることもほとんどありません。
私は16歳の時に、原付すらほとんど乗ったことがない状態で、いきなり運転免許試験所へ行き、(当時の)小型二輪(125ccまでの原付二種)の試験を受けにいき、学科は一発合格したものの、その後の実技は2回落ちて、3回目でようやく合格。その後初めて買った中古のダックスから、ずっと原付二輪に乗り続けてきました。
学生時代に自動車教習所でアルバイトをしていた頃、400ccの中型二輪(当時)を(教習所の中で)自由に乗り回していましたので、中型二輪や大型二輪免許を取ろうかと思ったこともありましたが、なかなかチャンスがなく、現在にいたるです。
今までに原付一種を2台、二種を2台(内1台は中古)の計4台を自分で購入しました。原付免許を取得してから今までおよそ40年が経ちますので、単純平均して1台あたり10年ずつ乗ってきたことになります。
学生の頃は学校まで、社会人になってからは最寄り駅までがメインの利用で、過去に2度盗難に遭いましたが、いずれもすぐに無事に発見され、意外と長持ちさせてきました。
さて、昨今の国内の二輪市場はどうなっているのか?ということをちょっと調べてみました。出典は「一般社団法人日本自動車工業会」のデータや調査からです。
まず、統計資料を見る前は、自分の想像だけで言うと、「普通自動車免許で乗れ、若者から年配者まで利用者が多い原付一種は横ばいの推移が続き、中型バイク以上(126cc以上)は不景気ということもあって減少している」のかなと思っていました。ところがところがです。
原付一種と原付二種以上の二輪車 販売・出荷台数推移グラフ(1993年~2013年)
なんと原付一種の販売台数は約20年前の1993年には85万台あったものが、2013年には24万台へと、20年でわずか28%まで落ち込んでいます。
原付二種以上のバイクはと言えばこちらも40万台から18万台へと約半減しています。こちらのデータは販売・集荷ですので、最近急増している海外生産されて国内販売されているバイクの数も含まれていると思われます。
まったく知りませんでしたが、バイクはこれほどまでに需要が減っていたのですね。
もう少し細かく分けてみました。
二輪車の販売・出荷台数推移グラフ(1993年~2013年)
こちらは251cc以上の二輪車、126cc~250ccの軽二輪車、51cc~125ccの原付二種、50cc以下の原付一種の4つの区分で分けています。いずれも販売・出荷データなので海外生産分も含みます。
台数的にはまだ50cc以下の原付一種(折れ線青、右目盛り)の数が一番多く、2013年でまだ24万台ありますが、この20年間の落ち込み角度はもっとも激しいものとなってます。
原付二種(棒グラフ紺色、左目盛り)は2005年以降は、2009年を除いてほぼ10万台ペースで横ばいですから、このままいくと近い将来、原付一種と販売数で逆転する可能性もあります。信じられないですが、、、
いや、このような状況になっているとは驚きました。確かに毎日バイクで駅まで快走していると、前後を走るバイクが、10年以上前と比べ、ピンク色のナンバーの原付二種が多いなとは感じていました。そういう状況だったんですね。
2013年のメーカー別生産台数のシェアを比較してみました。国内販売台数ではないので、実感とは少し違っているかも知れません。
メーカー別国内生産台数グラフ(2013年)
実感としては若い頃のイメージで、まだまだホンダ製のバイクが一番多いと思っていましたが、スズキやヤマハに総台数で負けています。これもまた意外な感じです。
日本自動車工業会では二輪ユーザーへのアンケート調査もおこなっていて、そこから一部を抜粋してみます。
【二輪車離れについて】
二輪離れの要因としては、排気量別で見ると、原付第一種(50cc以下)は「利用用途がなくなった(通勤・通学など)」「退職した・仕事をやめた」「就職・転職した」、原付第二種(51~125cc)は「出先の駐車場で困った」「自宅の駐車場で困った」「二輪車が盗難にあった」、軽二輪車(126~250cc)は「自宅の駐車場で困った」「体力に自信がなくなった」「一緒に出かける友人や仲間が少なくなった」、小型二輪車(251~400cc)は「仕事が忙しく二輪車に乗る時間がなくなった」「生活が忙しく二輪車に乗る時間がなくなった」、小型二輪車(401cc~)は「子どもができた」「二輪車の維持費」「仕事が忙しく二輪車に乗る時間がなくなった」とあります。
通勤などで使う人が多い原付など小排気量車は「利用用途がなくなった」、「駐輪場がない」、趣味で乗る人が多い中排気量車以上は「趣味としての興味を失った」、「仕事や家庭に追われて」というのが多そうです。
確かに出掛けても駐輪場がなくて苦労する時が最近ままあります。そこらの道ばたに停めておくと交通監視員がシメシメとばかりにすぐにやってきて小銭稼ぎをしてくれます。ま、道に停める方が悪いのですが、それならもっとちゃんと駐輪場を作れって言うの。
年齢別に見ると10代・20代は「就職・転職した」「自動車の購入」「軽自動車の購入」「旅行費」「AV機器の購入」、30代「結婚した」「引っ越しをした」「不動産の購入」「二輪車の維持費」「家賃・地代」、40代は「仕事が忙しく二輪車に乗る時間がなくなった」「生活が忙しく二輪車に乗る時間がなくなった」「二輪車の維持費」、50代以上「体力に自信がなくなった」「電動アシスト自転車の購入」「退職した・仕事をやめた」となっていて、それぞれの年代で二輪離れのの違いがよく現れています。
若い人は他の趣味ができたので節約するためか、あるいは4輪のクルマを買ったためにバイクを手放す傾向があり、30代は結婚や引っ越しなどで費用がかさみその節約、40代は仕事や生活で手一杯で趣味の時間がない、50代は体力や仕事の有無との関係など、ここで言うところの二輪離れは、二輪を趣味の対象としていた人が多そうです。
私のように毎日通勤で使っていると、他の趣味とバッティングしたり、仕事や生活が忙しいからという理由で手放すことはないので、「二輪離れの理由」を回答する人は、趣味として使っていた人や、退職して通勤が不要になった人に限定されるのでしょう。
【二輪車の使用年数】
直前に使用していたバイクの使用年数をみると「平均6.1年」となっています。タイプ・排気量別にみると、平均使用年数が最も長いのは、ビジネス50cc以下の「平均7.1年」で、最も短いのはオンロード251~400ccの「平均3.4年」となっていますが、ちょっと違和感があります。
これは統計の取り方に問題があるのかも知れません。調査グラフを見ると原付一種の場合「10年以上使用」という回答が最も多く、10年以上の実際の使用年数をすべて把握できているのか疑問です。
しかし通勤ではなく趣味のバイクを対象と考えると、買い換えや売却のタイミングは早いかも知れません。趣味でなく実用であれば動作不良が多くなる8~10年ぐらいは普通に使っていそうです。
【二輪車の用途】
主な用途をタイプ別にみると、スクーターは「通勤・通学」「買い物・用足し」、ビジネスは「通勤・通学」「買い物・用足し」 「商用・仕事」、オンロードおよびオフロードは「通勤・通学」「ツーリング」が主な用途となります。これは実感と齟齬がありません。
排気量別にみると、125cc以下は「通勤・通学」「買い物・用足し」で8割を占め、251cc以上では「ツーリング」が5~7割となります。
特に751cc以上では「ツーリング」が73%を占めます。確かにナナハンで通勤・通学というのは、公共交通が不便な場所にある工場や大学の駐輪場ではよく見かけますが、それを主目的で使うというのはレアな部類でしょう。また原付で日本一周をする強者もいてなかなか興味深いです。
この記録はとてもよくできていて面白いです。
原付で日本一周してきたから写真とかうpしてく その1
都市部の駅に備わっているバイクの駐輪場は、有料無料ともたいていが125cc以内に限定されていて、それ以上の排気量のバイクは、数少ないそれ用に特設されているところ以外には置けなかったり、あっても駐輪料金がクルマ並みに高額だったりして、駅まで毎日利用する通勤用途には向きません。それに高価なバイクを1日中外に置いておくと盗難やいたずらも気になりますしね。
私がバイクの最大の利点と考えるのは、2011年の震災が起きた時のように、ガソリンスタンドが軒並み休業し、給油ができないときでも、わずかなガソリンがあれば遠くの店へ買い物にいけるエコさと、渋滞した混雑した道でもスイスイ走れる機動性能です。
最近の新しいバイクには携帯電話などの充電プラグが最初から装備されていたりオプション設定されているので、そうした非常時には大いに役立つでしょう。震災被災地においても、バイクの機動性は山崩れでクルマが通れない道なき道を走って救援に駆けつけたり、食料や水、医薬品を運んだり活躍したと聞きます。
万が一のためにバイクを買えと言うのではなく、バイクが1台あると、四輪車よりもずっとエコなうえ、車庫証明も不要、税金も安く、自転車より圧倒的に行動半径が拡がり、私のような足の悪い人でも気軽に遠出することができ、メリットは多いと思うのです。
しかし長期的な統計を見る限り、国内ではバイクの需要はずっと減り続け、さらに今後の少子化+高齢化ゆえに、この流れが回復することはなさそうです。
そうした二輪離れの歯止め策というか販売振興策を業界は考えていないわけではなく、
・125ccまでの原付二種を一種と同様に普通車免許で許可する
・普通免許で運転可能な国産三輪バイク(トライク)の登場
・エコで静かな電動バイクの普及
などに期待を寄せています。
中でもトライクはすでに外国製のいくつかが輸入され、走っているのを時々見かけますが、軽自動車よりも安くなり、そして取り付け取り外しが容易な屋根とフロントシールドがつくようになれば、雨の日や冬の寒い日も走れ、趣味と言うよりは仕事や買い物など近距離の移動手段などに重宝しそうです。
しかし冬でも暖かく夏は涼しく雨や雪でも安心して乗れる究極のミニカー、日本が誇る軽自動車とどのような差別化を図るのか?という悩ましい問題もあり、トライクならではの新しい便利な使い方の提案が必要でしょうけど。
とにかく高品質な量産バイクメーカーを4社も擁する世界唯一の国として、国を挙げてもっと二輪文化を手厚く、そして積極的に育てていってもらいたいものです。
【関連リンク】
757 蓄電池技術は他の産業の進化に追いついていない
661 乗用車の平均車齢と平均使用年数
658 自転車のマナー違反が特にひどい
640 クルマで行く京都観光お勧めコース その1
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神様のカルテ 3 (小学館文庫)
松本市に実在している365日24時間オープンの地域基幹病院をモデルとし、そこの病院に勤務する若い内科医が主人公の小説です。
前作「神様のカルテ
この小説のいいところは、人間関係や医療の話しだけでなく、実在する美しい信州の名所旧跡がところどころに登場し、紀行もの小説としても読めることにあります。それと今回は長野産のリンゴの品種もいろいろと出てきたりします。そのうち著者は長野県から表彰されるかも知れません。
原作は映画化もされ第1作目は櫻井翔、宮崎あおい主演で2011年に公開、第2作目は今月21日から公開されますが、上記の美しい自然や名所がうまく物語のアクセントになっていることを期待しています。
ただこの3作目はまだ映画化されるかどうかわかりませんが、もしされるとなると心配なことがひとつあります。
主人公の妻役でプロ写真家という設定の宮崎あおい。彼女はオリンパスのカメラのCMに出ていて映画の中でも1作目ではオリンパスの(当時の)最高峰モデルカメラOM-4を使っていましたが、この原作3作目では主人公が妻にドイツ製の高級カメラ「ライカM9-P」をプレゼントされ、大喜びするというシーンがあります。
果たしてそのスポンサー(映画にスポンサードしているかは不明)に背を向ける場面は使えるのでしょうか?しかしM9-Pってすでに生産終了していますが、当時定価81万9千円ですって、めちゃ高なんですねぇ。
宮崎あおいを全面的にイメージガールとして使っているオリンパスとしては困るでしょうねぇ。ここでスポンサーや映画監督の太っ腹なところを見せられるか、著者がオリンパスと脚本家、映画監督に放った意地悪な矢のような気もします。
物語はさすがに3作目となるとちょっとマンネリ気味になってきましたが、地域医療に尽くす医者や看護師達、松本に暮らす人々、前編で亡くなった内科医の代わりにやってきた風変わりなベテラン女医、同期で仲のいい外科医が大学病院へ異動、主人公が住む昔は旅館だったシェアハウス「御嶽荘」の面々との変わらぬやりとりなど、主人公の周りで起きる日々の出来事が綴られています。
今回の3では、真夏の7月におこなわれる「深志神社の天神祭」、12月下旬から2月にかけておこなわれる松本市の隣の上田市鹿教湯温泉の「氷灯ろう夢祈願」、同じく寒い冬におこなわれる「国宝松本城 氷彫フェスティバル」、風光明媚な場所にあり由緒のある長野県大町市の「国宝 仁科神明宮」などが登場します。どこも一度は実際に足を運んで見に行きたいなと思わせるものです。
そして第1作目で悲しい別れをした「御嶽荘」に住む通称「学士殿」がこの3作目で、本当の学士殿となって再び御嶽荘に戻ってきたのは、唐突でもあり、最後に心が温まるという設定です。
◇著者別読書感想(夏川草介)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
卵をめぐる祖父の戦争 (ハヤカワ文庫NV)
2010年に単行本、2011年に文庫化され、Twitterで評判の高かった作品として名前が挙がっていた作品です。この著者はデビュー作「25時
物語は風変わりなタイトル通りの内容で、主人公の祖父がソ連に住んでいた時に、ドイツ人を二人殺したことがあると知り、その時の話しを聞かせてくれと頼み、祖父が今まで決して明かさなかった過去を孫に聞かせるというものです。
主人公の祖父はソ連の第二の都市レニングラード(現サンクトペテルブルク)出身で、少年時代に第二次世界大戦が始まり、街はドイツ軍から攻撃を受けて包囲されました。
これが後に有名となる「レニングラード包囲戦」で、およそ900日(2年4ヶ月)の間、食料など支援物資が届かない窮乏の中、餓死者など100万人とも言われる多くの犠牲を払いながらも堪え忍びました。
そこで来襲するドイツの爆撃機などの監視をしていた少年時代の祖父は、同じ少年少女の仲間達とパラシュートで降下してくるすでに事切れたドイツ兵を見つけ、そのドイツ兵が持っていた装備を略奪していたところ、運悪く警備中の兵士に見つかり、少年だけが逃げ遅れて捕まり、残忍非道で有名なソビエトの秘密警察へ連行されます。
そこで少年は所属している連隊から離れ、女の家に遊びに行っていたところを捕まり、少年と同じように秘密警察へ連行された若いソ連兵と出会います。
略奪行為と軍からの脱走ですので、通常ならばすぐに銃殺されてもおかしくないところ、二人とも秘密警察の大佐から呼び出され「来週、娘の結婚式に豪華なケーキを作りたいのだが卵がないのでそれを調達してくれば許してやる」という話しになり、独ソが互いににらみ合っているさなか二人は卵探しの旅に出るというストーリーです。
前述のように街はドイツ軍に包囲されていて、まともな食料がない中で、二人の卵探しは難航します。食料は配給制となっていて、闇でなんの肉かわからないようなものが売られている状態です。人肉喰いはいても卵などはどこにもなく、二人は仕方なく戦前までは養鶏場があったドイツ軍の占領地域へと入っていきます。
そしてドイツ軍が接収した農家に若い女性が囲われる売春宿があり、そこで起きた脱走を試みた女性の無惨な最期の話しを聞いて、怒りに燃えた二人は無謀にも拳銃一丁でドイツ兵と戦おうと待ちかまえていたところ、ドイツ軍に抵抗するパルチザンの狙撃兵が売春宿にやってきたドイツ兵を先に射殺します。
そのパルチザンと一緒にドイツ軍の追っ手から逃げようとしますが、やがて追い詰められ、ドイツ軍の捕虜となり、さらに卵は無事に手にはいるのか!?っていうのが最大の見せ場で、まぁ祖父は生き延びているわけですから、結果は見えているものの、その過程を十分に楽しめる話しです。
そして物語の最初からつながっている一番最後のオチにグッときます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
シューカツ! (文春文庫)
2008年に単行本、2011年に文庫化されたタイトル通り大学生の就職活動にまつわる真面目なライトノベルです。
早稲田大学と思われる大学の3年生6人が、人気が高く競争率の高いマスコミ企業へ入社するため就活チームを組んで、様々なノウハウを提供しながら取り組む姿を描いています。
大学生がこれを読んだからといって、就職活動がうまくいくというものではないでしょうけど、おそらくこれはもう就職活動が終わった人に対しては、「現在の就職活動ってこんな感じになっているんだ」と学生の苦悩を伝え、これから就職活動をする人には、「みんなが不安に押しつぶされそうになりながら必死にもがいている。
あなただけが苦しんでいるわけではないよ」と気持ちを楽にさせる意味合いがあるのかなぁと。
ただこの小説に登場してくるのは、私立でも一流といわれる大学で、しかも友人達にも恵まれ、部活やアルバイトなど青春を明るく謳歌している人達ばかりで、目指す目標も一段と高く、そうではない多くの一般の人には、読んでいると頭に来たり、あきらめが先に立ったりしてあまり参考にはならないかなぁと。
しかしこれに出てくる優秀な学生達が目指すのが、今や凋落激しいマスコミ業界(テレビ局や出版社、新聞社)っていうのは、なんだか違和感がありありなのですが、それでもなぜか学生には今(書かれた2008年当時)も大人気なんですね。
入社できたとしても、一番自由に本領が発揮できる二十年後に、それらの業界がどうなっているかを考えたことがあるのか?ってマスコミを目指す人に聞いてみたい気がします。
もちろん卒業後最初に就職するのは大企業に越したことはありませんが、この小説を二十年後にブックオフで見つけて読んだ若い人から、「へぇ、あの頃の学生って出版社やテレビ局にあこがれていたんだ。笑えるね」って言われている可能性が高いように思います。
いまから30年ぐらい前には就職人気企業で常にトップクラスだった航空会社や家電メーカーが、やがて倒産したり、何度も繰り返して社員を退職させる大リストラをおこなっているように、企業は栄枯盛衰していくものです。
せめてひとりぐらいは、現在の不人気業界ながら、自分が一番活躍できる30年後のことを考えると、この業界に入っておくのがベストという気骨のあるギャンブラーキャラがいてもよさそうに思いながら読んでいたら、最後の最後で、就活メンバーの中で一番有能な男性が大手新聞社の内定を蹴って、いきなりフリーで仕事をしていこうと決断するのは、いかにも早稲田の学生らしいなぁとちょっと見直しました。やっぱそうでなくっちゃね。
◇著者別読書感想(石田衣良)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
迷惑メールやって良いこと悪いこと
パソコンやスマホでは欠かせない電子メールですが、その送られてくるメールには数多くのスパム(迷惑メール)が含まれています。そしてそれにはいくつもの罠や仕掛けが施されているというごく当たり前のリテラシー教育本です。
ネットの初心者にとっては決して当たり前ではないのかもしれませんのでこういう解説書も必要なのでしょう。とは言え、本の中身はネット中級者以上向けの言葉で書かれていますので、内容と文章表現がちょっとアンバランスな気もします。
騙されちゃいけないと頭ではわかっていながらも、それでも騙される人が後を絶たないオレオレ詐欺の例を見るまでもなく、「怪しいメールに返事を出さない」ということがわかっていても、知人の名前や有名芸能人の名前でメールが送られてくると、すっかり信用してしまうような人がいるわけで、騙す方と騙されないようにする側との知恵比べはいたちごっこで、今後も永遠に続いていくのでしょう。
ある程度のIT知識を持っている人ならあえて読む必要はないぐらいの話しですが、現在よくある騙しのテクニックがいくつも書かれているので、どういう人が騙されやすいのか、自分の親や子供にどう注意をしておけばいいのかなど参考にはなります。
迷惑メールがなくならないのは、それに引っかかる人が確実にいるからで、あとはその引っかけ率を高めていくというのがオレオレ詐欺が巧妙化していくのと同様、迷惑メール送信者が知恵を絞って考えることです。それをもっと善良なことで社会のためになることに使ってくれるといいのですが。
その内容には、なにかに当選したというような「美味しい話し」だけでなく、「生まれたばかりの子供に心臓移植が必要で助けて欲しい」というような人の同情や社会貢献につけ込むようなものまであるようです。
あとメールアドレスだけでなく、趣味や年齢、性別などの個人情報を入手すれば、より適確なスパムを送ることが出来、そのためには、豪華賞品が当たる懸賞などを利用して、そこに様々な個人情報を入力をさせるケースが多いと言うことです。
まるで大手企業が新商品紹介のためにやっているかのように見せかけたプレゼントやモニター企画にはこの不況時にはつい引っかかってしまいそうです。
有名企業が運営する懸賞だと安心していたら、そこに入力した個人情報は、別の企業へ提供することが小さく書かれていたなど、よくあるパターンです。そして賞品が当たらないというのも、先日懸賞品の水増しが明らかになった有名中堅出版社の例があるように決して珍しくはありません。
とにかく、怪しいメールは開かない、知らないサイトには登録しない、必要に応じてメールアドレスを使い分ける(フリーのメールアドレスを取っておき、重要なところ以外はそれを使い、迷惑メールが増えたらメールごと削除してしまうとか)など、初心者向けのポイントがわかりやすく書かれていました。
【関連リンク】
2月前半の読書 北帰行、天地明察(上)(下)、微笑む人、ジェノサイド(上)(下)
1月後半の読書 二人静、ザビエルの首、真夜中の男、殺し屋 最後の仕事
1月前半の読書 冷血、クリフトン年代記 第2部(上)(下)、八つ花ごよみ
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貧困率やワーキングプアという社会問題があちこちで取り上げられるようになりましたが、実はこの貧困率にしてもワーキングプアにしても、その統計数値の根拠がまちまちだったり、定義が曖昧なままでの数値だったりしていてどうもすっきりしません。
とにかくイメージ先行のやはり言葉で「年越し派遣村」のように根拠がないものとなってきています。
というのも、貧困率の根拠となる貧困層とは、一般的に収入が全国民平均の半分以下の層、または各地の最低生活費を下回る収入しかない層を指しますが、前者の場合だと、同じ地域の中でも賃貸住宅費用に倍以上の差があることも珍しくなく、それぞれの地域で必要とされる生活費に大きく差があるわけで、全国あるいは地域一律では比べられないということがあります。
同じ東京都でも千代田区と小笠原村に住むのでは最低生活費って大きく違いますよね。
例えば巨額の貯金と投資用の不動産など資産をいくつも持っていながら、節税対策でそこから得られる収入は発生する経費と相殺し、ほとんど収入を得ていないようにすれば、その人は貧困層とカウントされるケースも出てきますが、保有資産が数億円という人が本当に貧困層か?と思ってしまいます。
また農家で、自分で作った米や作物を市場に出荷すれば1千万円の年収になるところを、自家消費したり、近所の牧畜業や水産業を営む家と物々交換で食品を得て収入は少ないとみなされば、毎日ステーキや伊勢エビ、新鮮取れたて自家栽培の無農薬野菜に新米コシヒカリを食べていても統計上は貧困層となります。同様に個人事業主の場合、本当の収入はなかなか捕捉しづらいですよね。
私の近所に住む年金生活の大地主さんは、所有している広い土地にでっかいマンションを建て、息子(小さな不動産会社を経営)に管理してもらっているという名目でタダ同然で貸し与え、そこであがる収益は息子の会社が丸々得るという親子で節税&相続対策をおこなっていますが、その大地主さんはもしかすると統計上は貧困層にカウントされているのかも知れません。
正規社員と同様にフルタイムで働いているにかかわらず、その収入が貧困層に該当する生活最低限以下の場合、ワーキングプアということになります。勤務は正規・非正規は問いませんが、時間が短いパート労働者は該当しません。
しかし上記のワーキングプアに当てはまる人でも、同居する親がいて、本来支出の中で多くを占める家賃、食費、光熱費、通信費などは親が負担してくれているならば、生活最低限の収入しかなくてもそれが全部自分の小遣いとして使えるならば貧困とは言えないケースもあるでしょう。
本来のワーキングプアと言えるのは、単独で生計を立てている単身世帯か、または働き手にはならない小さな子供や資産のない高齢者を抱えた世帯主で、親や兄弟などからの仕送りなど支援がない場合に限られるでしょう。
もちろん家庭が複雑だったり事情があって、希望しても親や兄弟と同居ができずに単身で生活をせざるを得ない人もいるでしょう。でもテレビの取材などに登場してくるワーキングプアを見ていると、その辺りの事情が見えてこず、単に自分のわがままで両親の家を出て、仕事がうまくいかずに転職を繰り返し、非正規でしか働けなくなりワーキングプアに陥っているのではないかと思われるケースが多いように見えます。
なぜそこまで貧しい思いをして、都会の真ん中で単身生活をする必要があるのか?って思わなくもありません。
そうした統計上の問題があることを承知した上で、貧困率やワーキングプアの実態を見ていきましょう。
まず、貧困率ですが、全国平均で見ると、1992年9.2%、1997年10.1%、2002年14.6%、2007年14.4%となっていて、特に1997年から2002年の5年間で一気に高まりました。
なにが原因かと聞かれると、推測ですが、1997年を象徴する漢字が「倒」という世相が象徴するように、大企業の破綻(日産生命、三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券)などがあり、この年の前後から経済的に行き詰まっていく企業や個人が特に増えてきたのと、もうひとつは高齢化が進み、仕事を引退した人が増えてきたためでしょう。
高齢化が進み仕事に就けなくなると収入は年金だけという人や、年金がもらえない(現役時代に払っていなかった)人が浮上してきます。
国民年金しかないと地域にもよりますが生活保護費よりも少ないという人が出てくるのです。年金生活でも十分な貯蓄があれば楽な生活ができますが、貧困率にカウントされるのは収入においてですから、前述のように資産家が貧困層に入ることもあります。
次にこの貧困率は前述の通り地域によって違ってきます。
貧困率の都道府県別格差上位下位10位(2007年)をみると、もっとも貧困率の高い沖縄は29.3%、対してもっとも低い静岡は9.4%とおよそ率で3倍の開きがあります。
それにしても沖縄県ではおよそ3世帯に1世帯が貧困層というのは衝撃をうけました。もっとも家賃や食料費など生活関連費に本州の都市部とではかなり差があるということでもあるでしょう。
次に貧困層世帯は生活保護で支給される最低限度の金額に収入が満たない場合、生活保護を受給するという選択肢があります。
もちろん生活保護の場合は資産状況もチェックされますから、いま収入がないというだけでは受給できません。貧困層にはそうした一部の富裕層も含みますが、生活保護受給世帯数は時々発覚する不正受給がないとすれば本当の意味での貧困層=生活困窮世帯ということになります。
生活保護を受けている世帯の率が高いのは大阪、高知、北海道、青森、福岡の順です。逆に少ないのは、山梨、岐阜、長野、福井、富山で、大阪と富山を比べると、受給率で6倍以上もの開きがあります。
貧困率が一番高い沖縄は、生活保護受給率では全国で7番目で、次に貧困層の割合が多い高知は生活保護受給率でも2番目とこちらはほぼ一致していますが、貧困率3番目の鹿児島、5番目の宮崎は生活保護では13位と20位と中位にあり、必ずしも貧困率と生活保護受給率とが一致しないようです。
しかし一般的に貧困率が高いと、生活保護を受けている率も高いのではないかと言うことで、貧困世帯に占める生活保護世帯の割合を地域別で上位と下位をみたのが下記のグラフです。これは貧困世帯がちゃんと生活保護を受けられているか?という貧困補足率として見ることができます。
貧困世帯の中で生活保護を受けている率が高い上位は北海道、大阪、東京、神奈川、福岡の順となっています。しかしもっとも高い北海道でも生活保護が受けられているのは貧困世帯の21%程度です。
逆に貧困世帯でも生活保護を受給している割合が少ない地域は、福井、富山、山梨、長野、群馬の順となっています。最低の福井県は貧困世帯のわずか5%しか生活保護を受けていないという少なさです。これはどう考えればいいのでしょうか。
地域によって福祉事務所の生活保護相談窓口の対応に差があるとか、前述の通り、収入は少ないけれども資産家が多いとか、農家や個人事業主などをやっていて、収入は少なくても親と同居していれば食っていけるという人が多いとか。
最後にワーキングプアの統計です。前述の通りワーキングプアとは「生活に最低限必要とされる収入が得られていない(概ね)フルタイム勤労労働者」のことを指しますが、全勤労者数の中で占める割合がどのようになっているかを見ました。
参考にしたのは山形大学戸村準教授のレポート「年における都道府県別貧困率の推移について ワーキングプアを中心に」からです。
まず全国平均で見ると1992年に全勤労者の中でワーキングプア率は4.0%だったのが1997年4.2%、2002年には6.9%と急増、2007年には6.7%と少し落ち着きました※。
この6%という数字が一般的に見て高いのか、低いのか?という問題はありますが、フルタイムで働いても最低限の生活さえできないということは、先進国としてはあってはならないことでしょう。
※Wikipediaではワーキングプア率は1997年12.8%、2002年18.7%、2007年19.0%と上記と大きく開きがあります。これはどちらも「就業構造基本調査」を元に試算していますが、「世帯の収入の種類」の選択範囲の違いによるものと思われます。それだけ定義が曖昧と言うことです。
ワーキングプア率が最も高いのは、貧困率でも高かった沖縄で20.5%。その次が大阪、高知、京都、長崎となっていて、これは貧困率の高い地域とほぼ重なっています。逆に低いのは静岡、福井、富山で、福井以外は貧困率の低いところです。
概ね、その地域の貧困率とワーキングプア率は一致することがわかります。
ただ貧困世帯が多いからと言って、必ずしも生活保護受給率が高いかというと、前述したように、農業や水産業のようにある程度食料品に自家消費ができる環境にいるとか、あるいは生活保護が受給しやすい環境にあるかなども地域差があるようです。
【関連リンク】
733 高齢者の地方移住はこれからも進むか
711 地方が限界集落化していく
608 あちらを立てるとこちらが立たず
570 資産家も貧困者?統計で見る貧困率
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