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昨年8月に国会で成立し、この4月1日より新しく18条~20条が追加された改正労働契約法がスタートしました。
改正のポイントは、
(1)有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換
(2)雇止め法理の法定化
(3)期間の定めのあることによる不合理な労働条件の禁止
です。
わかりやすく言うと、
(1)は、期間を決めた雇用契約(パートや契約社員、派遣社員などの有期労働契約)が更新を繰り返して通算で5年を超えた場合、正社員と同様の期間の定めがない雇用(無期労働契約)に切り替えられる「無期転換権」を得るということです。
「正社員と同様」と書きましたが、雇用条件は一般的には正社員とは違っているはずなので、雇用期間だけが正社員と同様という意味ですが、パートや契約社員用の就業規則が整備されていないと、後々問題になる可能性があります。
具体的には今年4月1日に1年間の有期労働契約を交わして契約社員となり、それが毎年更新され5年後2018年4月1日を超えた時に「無期転換権」が取得でき、その契約社員が希望すれば、それまでの有期労働契約から無期労働契約に変更ができます。
しかし、有期労働契約を結ぶ人の多くは、様々な理由によりパートや契約社員を選択している人が多く、たまたま結果的に5年を超えたから無期労働契約に変更したいかというと、案外それは少数のような気がします。
また無期労働契約だからといって、リストラなど解雇は企業規模に限らず普通に起きていますので、無期労働契約の人が解雇されないわけではありません。
もし本当は正社員を希望しているのに、会社都合で契約社員にしかなれないといった場合「5年間繰り返して働けば、正社員になれる」と思ったら大きな間違いで、上記にも書いたように雇用期間は正社員と同様の無期でも、仕事内容や給料、昇進、昇格などは違いますので注意が必要です。
会社の中にはパートや契約社員から正社員登用制を敷いているところもありますが、まだ少数のうえ、上記の「無期転換権」とは直接関係がありません。
ただ無期労働契約を交わしておくと、ある日突然「今度の契約期間の終了をもって終了してください」という契約期間を理由にした雇用契約終了(雇い止め)がなくなるので、比較的安定した勤務ができるというメリットはあります。
また職場の閉鎖や業務縮小などにより企業都合で解雇される場合は、正社員と同様に、なにかしらの補償が受けられるとか、解雇が合理的な理由でないと判断されると解雇無効となるケースもあります。
派遣会社に登録し、3ヶ月、6ヶ月単位で契約を繰り返して派遣される場合がよくあります。
その場合、ひとつの会社に通算で5年以上派遣されていなくとも、派遣期間がほぼ連続し通算で5年以上派遣され、その間に派遣されていない空白期間が6ヶ月以上なければ、派遣会社に対してこの「無期転換権」が得られます。決して派遣先の会社へ正社員待遇で入れるという意味ではありません。
ただ派遣会社によっては、派遣社員に「無期転換権」を与えたくないと判断すれば、わざと6ヶ月以上の空白期間(当然無給)を置くようなところが出てくる可能性があります。
というのも派遣会社で特定の人を派遣し続けるというのは結構難しく「無期転換権」で派遣先がないのに雇い続けなければならない(≒給料保証)のを恐れてのことです。
この法律に対処するため、例えば「パートや契約社員は最大4年間までで、それ以降の延長はおこなわない」ような内規を作る会社も出てきそうです。
また派遣会社は、派遣社員を例えずっと継続する仕事があっても、6ヶ月以上仕事を依頼しないような社内ルールを作るところも出てきそうで、本当に労働者のためになるのか?とも思えてきます。
(2)は、(1)と関連していますが、パートなど有期雇用契約を繰り返していると、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない限り、契約は更新がされたとみなされ、なんの補償もなく契約期間終了(雇い止め)ができなくなるということで、もし労働争議が起きた場合には労働者側に有利に働きそうです。
ただ一部の大企業が実施しているように「非正規雇用は二年以内で再契約は1回限り」とか「二年以上継続する場合は派遣で」とかルールを決めて対応する会社が多くなりそうです。
あと、冗談みたいな話しですが、現行の就業規則のままだと、60歳定年になった人を65歳まで再雇用しなければならなくなった高年齢者雇用安定法の改正、いわゆる「継続雇用制度」に則り、1年ごと嘱託で契約を交わすと、5年後にその嘱託の人には「無期転換権」が発生してしまい、それが行使されると、企業はその人が死ぬか勤務に耐えられなくなるまで雇い続けなければならなくなります。
就業規則には60歳定年は規定されていても、65歳以上の人には定年の定めがないのが普通です。
(3)は、パートなど有期雇用契約の人と、正社員など無期雇用契約の人とで、不合理な労働条件差別をしてはいけないよということです。この「不合理な労働条件」とはなにかと言うとまだ判例が少なく、ハッキリした線が引かれているわけではありません。
不合理な労働条件のわかりやすい例として「通勤手当」「食堂の利用」「安全管理」「福利厚生」「教育訓練」などは合理的な理由なしに正社員と差別してはいけないということでしょう。
現状では正社員は通勤手当を支給し、健康診断の受診補助があるものの、同じ仕事をしているアルバイトや契約社員にはないというところも多いでしょうが、そういうのは是正されていくでしょう。
ただし通勤手当の場合、どこの事業所や店に配転されるかわからない正社員だけ通勤手当を支給し、ある特定の事業所や店に勤務するパートやアルバイトには通勤手当はないという合理的な理由があれば問題はないということです。
以上のことから、今回の改正で労働者側にとって注意が必要なのは、
1)5年経ったからと言ってパートやアルバイト、契約社員から正社員になれるわけではないということ
2)逆に5年以上継続できるはずだった非正規雇用の仕事から5年未満で強制的に追い出される可能性が高まったこと
でしょう。
通常正社員としての就労を強く望んでいる人なら、一時しのぎでパートやアルバイトをしていても、並行して正社員の仕事を探すはずです。
5年間もパートやアルバイト、契約社員、派遣社員で働き続ける人は、正社員になることをそれほど強くは望んでいないと解釈されても不思議ではありません。
つまりこの改正では非正規雇用を受け入れている人に対して正社員の一部の利点である無期雇用や労働条件という権利を与えたに過ぎず、それで非正規雇用の問題がなくなるわけではありません。
今後はユニクロが導入を始めた「地域限定社員」のように、正社員はすべて一律同条件というものではなく、それぞれの条件に応じた雇用と条件が設定できるような仕組み作りで、企業が非正規雇用を優先して採用しなくても済む枠組みができればいいですね。
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702
ネット通販を利用した人の多くが使ったことがあると思われる楽天とAmazonですが、国内ではネット通販の2強と言われています。
しかし同じネット通販でも両社のビジネスモデルは大きく違っていて、楽天はネット上の仮想空間に市場を作り上げ、そのインフラを小売店に提供し、家賃や成功報酬を大家に支払ってもらう楽天モデルに対し、Amazonは一部小売業者に軒下貸しもおこなっていますが、基本は自社が直販するネット直販モデルです。その両社の決定的な違いが物流において出てきます。
楽天で商品を買うと、販売した店舗(小売業者)から商品が届けられます。つまり売買契約がおこなわれると、あとは店舗と購入者の関係で、販売代金の決済こそ楽天のシステムを使いますが、物流や配送は各店舗ごとに異なります。
Amazonは国内に11カ所の物流拠点(でっかいハイテク倉庫でAmazonでは「フルフィルメントセンター」という名称)を自社で持ち、大量の在庫を抱えておき、注文が入ると即座に出庫し、まとめて運送業者に委託して配送を行います。
よく考えるとこの仕組みは日本でも巨大な卸売業者が全国にある小売店へ商品を卸していた仕組みなのですが、Amazonはそれを小売店相手の卸売りではなく、ネットを利用して個人や法人へ直接販売する仕組みを構築したわけです。
最近は楽天もその弱点を補うため、Amazonと同様、巨大な物流倉庫を建設し、共同配送の仕組みを作ろうとしていますが、多くの小売店とパートナー契約を結ぶ楽天モデルがどこまでAmazonの流通革命に迫れるのかはわかりません。
そう考えると古くからやっているテレビ通販の最大手「ジャパネットたかた」はAmazonと共通する直販モデルで、旧来からの電話やFAXで注文を受けるか(現在はネットでも注文がうけられる)、ネットだけで受けるかの違いです。
でもジャパネットの場合は、テレビや新聞チラシに巨額の宣伝広告費を使い、24時間態勢で人が電話で対応し、代金も配送者が現金を受け取ることができる旧式の非効率な仕組みで、Amazonのように宣伝広告費はほとんど使わず、受注も代金決済も購入者がすべて必要な情報を入力してくれて、クレジットカードで引き落としされ(代金決済方法は他にも様々な選択ができます)、その顧客が入力したデータが在庫確認~出荷指示~配送まで一気に利用できてしまうシステムとでは販売コストが相当違ってくるでしょう。
その販売コストは当然商品に乗っかってきますので、両社の値引率や利益率はまったく勝負にはなりません。
もちろんネットが使えない、使いたくないという層(主として高齢者)や、設置から配線、初期設定まで含めたトータルサポートを希望する人には、ジャパネットスタイルは有効で、購買心理は値引率の大きさだけで決まるわけではありません。
そしてジャパネットの売り方を見ていて気がつくのは、商品単体ではなく、複数の商品をいくつも組み合わせたセット価格で値段がつけられていることです。
これは商品個々の値引額を表面化させないようメーカーに配慮したものであると同時に、商品単品で値段の比較をされると勝負にならないからでしょう。
しかし上記のように設置・配線など様々な人件費がかかるサポートを含めての料金差と考えると驚異的な安さだという人もいますから、今のところは十分にそれで差別化ができています。
しかし人件費も賃借料も安い地方だったのが、コスト増につながる東京の真ん中に大きなコールセンターやスタジオまで作り、それを嬉しそうに芸能人とテレビCMで自慢しているようでは、これから先のビジネスはちょっと?と言わざるを得ません。
見るからに余計なコストが増え、それが販売価格に上乗せされると見えてしまいます。
Amazonは配送においても他の通販会社を圧倒しています。運送業者と提携し、おそらく膨大な数の年間配送個数を複数の業者にコミットし、集荷の負担をAmazonのオートメ化された巨大な物流拠点で効率よくおこなう代わりに、配送料金の大幅値引を引き出すことによって、Amazon直販商品のほとんどは配送料が無料としました。
数百円の商品ですら配送料を無料にすることは国内の通販会社ではどこもできなかった新しいビジネスモデルで、当然ながら配送料を考えると赤字になる商品もあるはずですが、全体で損を出さないモデルを作り上げてきたことが偉大です(2013年3月現在、一部の低価格商品は「あわせ買い」により2,500円以上で無料)。
そのAmazonですが、今まで日本国内での売上は公表してこなかったのですが、昨年2012年の売上を初めて公表しました。
その額は7300億円です。仮に20歳以上の人口が1億人とすると、20歳以上の日本人全員が7,300円分をAmazonから購入したという規模感です。さらに2011年のネット普及率は79%、その中で商品・サービス購入経験者は60%とされていますのでネット通販利用者数は約6千万人(1億27千万人×0.79×0.6)です。
法人での購入は無視すると、ネット通販利用者1名平均で約1万2千円の買い物をAmazonでしたことになります。
ネット上の仮想店舗のインフラを提供する楽天は日本の制度で言うと「サービス業」のくくりになっていますが、Amazonの場合どちらかと言えば「サービス業」に近い「小売り業」の範疇に入るのではと思われます。
実際小売業とサービス業のどちらにはいるのか不明なので両方に当てはめ、Amazon(日本国内分)が日本の上場企業の売上高と比べてどのぐらいの位置にいるかというランキングが下記の表です。
驚くべきことに小売業としては合併・統合を繰り返し巨大化してきたスーパー、デパート、量販店と渡り合い11位です。
楽天と同じようにサービス業としてみると楽天が6位、ヤフーが15位に入っている中で、電通、博報堂の広告代理店に次いで堂々3位というポジションです。
ただし楽天は上記にも書いたようにAmazonとは違い小売店からの出店料が売上の大半ですから、もしその楽天に出店している小売店の販売総額を足した流通総額で比較すると1兆4千億円となり、Amazonジャパンの販売総額(≒流通総額)の約二倍となる規模です。
小売業の売上トップはイオンで、その後をセブン&アイが追っています。これが国内小売業の2強。あとは大差なくヤマダ電機、三越伊勢丹、ユニーと続きます。
どちらかといえば落ち目になってきているデパート、スーパーの中にあって、Amazonがツートップの2社はともかくその他上位の小売店に追いつき追い越す日もそう遠くなさそうです。
参考までに非上場のヨドバシカメラの売上高は約6700億円ですので、すでに追い抜き、同じく非上場のジャパネットタカタは約1531億円なのですでに大差がついています。
上記のことから国内小売店勢がAmazonを目の敵にするのもわかります。
「Kindle店頭販売、なぜヤマダはダメでビックはOK?」
「…一部の量販店が、特にAmazonを名指しして抵抗し始めた。その急先鋒がヤマダ電機だ。まず飛び出したのは、Amazonの電子書籍リーダー「Kindle」シリーズを一部量販店が取り扱わないと表明したというニュースだった。」「もう1つ、20日付で入ってきたのが、「Amazon価格」に対し、量販店業界側から苦情が出ているというニュースだった。」
「打倒アマゾン!ヤマダ電機、気迫のO2O」
「ヤマダ電機は、ネットとリアル店舗の融合、O2O(オンライン・ツー・オフライン)に向けて、本格的にアクセルを踏み込んだ。目的はただひとつ。ネット通販企業に勝つためにほかならない。」
「ヨドバシカメラが書籍を当日無料配送 来年2月から、アマゾンに対抗」
家電量販大手のヨドバシカメラは来年2月から、インターネットで注文を受けた書籍の当日無料配送サービスを始める。取り扱う書籍数は大型書店並みの70万タイトルで、ネット通販最大手の米アマゾン・ドット・コムに対抗する。
と、主として顧客が奪われていることを実感している家電量販店からAmazonは敵視されています。しかしAmazonで販売されているのは家電ばかりではなく、当初は書籍がメインでしたが、現在は化粧品からファッション、日用品、家具、食品までかなり幅広く、言ってみれば大型書店と古書店、スーパー、家電量販店、ホームセンター、家具店、ファッション専門店などがワンフロアに入っているようなものです。
なのでネットを使うユーザーにとってはこの上なく便利ですが、量販店を含み様々な業種の小売店にとっては大きな驚異となっているハズです。
そしてこのアマゾンジャパンで取り扱われている商品のほとんどは、生産国はともかく、販売会社は国内ブランドのものです。
そこで思うのは「なぜこのビジネスが日本の資本で先にできなかったのか?」です。それがいま一番日本経済や企業の根深い問題です。
おそらく日本の商習慣に前例がないこと、様々な規制やルールの縛り、卸売り業者との軋轢、同業社とのしがらみ、巨額の先行投資、取り扱いメーカーからの圧力などできない要因があったのでしょう。
それよりもそれら多くの困難に勇敢に立ち向かおうとするビジネスリーダーがいなかったことが最大の要因かもしれません。
過去には日本へ外資系のデパートやスーパーが何度もやってきましたが、その多くは失敗しています。大型店舗の小売業で成功しているのは店舗数は少ないですが、トイザラス、コストコ、IKEAぐらいじゃないでしょうか。
Amazonが日本進出後まもない頃は、それら外資系小売店と同じように、日本の消費者には受け入れられず、すぐに尻尾巻いて撤退するのではと関係者の多くは高をくくっていたのではないでしょうか。
それとも最初は書籍やCDの通販がメインだったので、小売業はまるで相手にしていなかったのかもしれません。
しかしAmazonは書籍から日用品やファッション、家電、食品と次々扱いを増やしていき、容赦なく国内の各小売業者を粉砕していきます。
まもなく国内小売りのトップ10入りするところまできています。果たして日本の小売業界の多くは、法人税を日本には納税しない米国企業Amazonの軍門に下ってしまうのか心配なところです。
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著者別読書感想INDEX
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弁護側の証人 (集英社文庫) 小泉喜美子
1963年というから今から50年も前に書かれた小説で、著者は1985年に亡くなっています。
この著者の作品を読むのは初めてで、全然知らなかったのですが、私の好きなハードボイルド作家生島治郎氏の最初の妻だった方です。
読んでいると、なんの違和感もなくとても50年も前の小説には思えない新鮮さがあります。つまり法廷ドラマというのは何十年経っても進歩がないということなのでしょう。
そう言えば法廷サスペンス映画「十二人の怒れる男」は1957年制作ですが、モノクロ映画ということと、登場人物の服装がみな年代物という以外、ストーリーには古臭さは感じられず、見応えのあるものでした。
主人公は身寄りがなくストリッパーで生計を立てていた女性で、ふとしたきっかけで名門の大企業のオーナー会長家の跡継ぎとされる男性から求婚され、身分の違いを超えて男性の家族の反対を押し切り結婚したものの、当然その男性の家族、親戚、雇われ人からは白い眼で見られています。
そのような中、夫の父親で大企業の会長を務める父親が自宅で何者かに殺されてしまいます。あとはびっくり仰天な仕掛けがあったりしますので詳しくは書けませんが、途中であれれ?と、一番最初に戻って読み返してみたりと、してやられたぁって感じです。
最後はもう少し身寄りも財産もない主人公にとって、ハッピーエンドで終われるとよかったなぁと感じた物語です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
十三の冥府 (光文社文庫) 内田康夫
いったい何作品あるのかわからないほど数多くある浅見光彦シリーズのひとつで、この作品もすでに2008年にテレビドラマ化がされています。
この浅見光彦シリーズの楽しみは、紀行もの小説の体をとっていますが、ちょっと切り口を変えて日本各地の歴史や伝承に絡めたミステリーが楽しめるということです。
その多くは有名な誰でも知っている観光地ばかりではなく、日本地図でしか知らないようなところもあり、読んでいるといつかは行ってみたいなと思わせるものです。
今回は青森が舞台です。青森といえば、私はまだ未踏の地で、ありきたりに、いつかは奥入瀬渓流、恐山、竜飛岬などに行ってみたいなとぼんやりと思っていましたが、この「十三の冥府」を読み、面白そうなところがいっぱいあるので、もっとジックリと各地を回ってみたいなという気になりました。
例えばシジミ料理が美味しい十三湖、ウミネコ繁殖地で有名な蕪島、ちょっとマニアックな戸来(へらい)のキリストの墓などなど。主人公も食べる十三湖のシジミラーメンはぜひ食べたいものです。
それはさておき、旅行ルポライター浅見光彦が行く先には不可解な死や殺人が起こり、傲慢無礼な刑事が登場しと水戸黄門のようなワンパターンですが、それでもはまってしまうとなかなか抜け出せないのもやっぱり黄門様と同じです。
こうした紀行ものとミステリーがうまくマッチした小説がテレビ2時間ドラマ(実質90分)には最適なのでしょう。見る方も読むだけではわからない当地の美しい風景も楽しめます。
今回のミステリーの謎は、細かなところでは違っていましたが、なんとなく中盤でわかってしまいました。ただ年齢も近く、顔もそっくりよく似た人同士が偶然知り合い、それを使ったアリバイのトリックというのは、ちょっと無理があるなぁって思わなくもない。
それなら時々見かけますがまだそっくりな双子が身代わりになるトリックのほうが現実的でしょう。
タイトルの「十三の冥府」はこの事件に関連して亡くなった人の数や、事件の鍵となる人が住む十三湖、そして忌み数である13をうまくかけたようです。
◇著者別読書感想(内田康夫)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ハルカ・エイティ 姫野カオルコ
私とほぼ同学年(1歳違い)の姫野カオルコ氏の作品は意外にも今回初めて読みます。この「ハルカ・エイティ」(2005年初出)は直木賞候補にあがったものの、残念ながら受賞には至りませんでした。
主人公は大正9年(1920年)生まれの持丸遙、本書発刊当時の2005年時点では85歳になる女性の、ほぼ一生を描いた大河小説で、そのモデルは著者の伯母とのことです。
嘘か誠かNHK朝の連続ドラマを狙っているという通り、過去の朝ドラのパターンが踏襲されています。
現代に生きる老女が過去を振り返るパターン(これは姪の作家聞いたことを書くパターン)で、その主人公は学生時代には品がよく仲のよい友達が多くのびのびと育ち、やがて太平洋戦争中のどさくさで見合い結婚し、夫はすぐに出征、残された夫の両親と厳しい時代を乗り越える。
戦争が終わり、夫は無事に帰ってきたものの、仕事がなかなか安定せず、当時としてはまだ珍しいキャリアウーマンになるべく偶然見掛けた幼稚園園長の仕事に応募し見事に就職。やがては教育委員会へと順調に出世していきます。
惜しいかなNHKが朝の番組で取り上げるには、仕事もうまくいかないのに次々と外で女に手を出す女癖の悪い夫や、30半ばにして女に目覚めて浮気を繰り返す主人公、そのような両親を見ていて距離を置こうとする一人娘と、あまりにも現実的すぎるかもしれません。
しかしこのような戦前から戦中を描いた作品を読むといつも思うのですが、吉村昭氏や井上ひさし氏ならいざ知らず、この姫野氏や浅田次郎氏や柳広司氏、北村薫氏など、戦後生まれにも関わらず、まるで見てきたようにその時代の風景をうまく描写します。
「小説家は読者を騙すのが仕事だ」と誰か作家先生が書いていましたが、「騙す」というのが違っているとしても、聞いたり読んだりしたものを自分なりに想像して表現することに長けているということなのですね。
戦国時代や江戸時代のことなら、例え事実に大きく反することを書いたとしても、小説なら許され、そしてそれが事実に反するということは誰にも証明ができないのですが、太平洋戦争前後のことならば今でもよく知っている100歳前後の人がまだ多く読者にいるはずです。
あとがきにも書かれていましたが、それに文句を付ける人も少なからず出てくるのでしょう。
◇著者別読書感想(姫野カオルコ)
【関連リンク】
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2012年に読んだ本のベストを発表
3月前半の読書 アリアドネの弾丸、パルテノン、ニライカナイの語り部、そして、警官は奔る
2月後半の読書 対岸の彼女、発火点、泥棒は詩を口ずさむ
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700【ネ兄 700回】
4月1日は多くの企業で入社式がおこなわれました。ターミナル駅では、入社式の会場や研修場所へと向かう道案内に不慣れな新入社員達が、地図を片手に右往左往する姿も恒例行事となっています。
そういう姿を東名阪で30数回見てきましたが、まだ着こなせているとはお世辞にも言えない紺色のリクルートスーツに身を固めた集団が、夢と希望に満ちあふれ元気いっぱいに社会に出て行く姿は、少々騒がしくはありますが、いつみても微笑ましいものです。
30数年前、自分もその中のひとりでしたが、4月1日の入社式より、その前に研修という名目で1月からアルバイトとして東京で実質勤務を始めていましたので、その時に上京したことのほうが思い出深いです。
会社説明会や入社試験はすべて大阪で行われたので、東京のオフィスへ出向くのは初めてでした。上京したのは日曜日だったこともあり、また会社の寮がわかりにくい場所にあるとのことで、東京駅まで先輩社員が迎えに来てくれました。そして、そのまま寮へ向かうと思っていたら、日曜日なのになんと会社へ出社。
会社では役員始め数名の社員が当たり前のように仕事をしていて、ちょっとビビりました。挨拶をしたあと、頼まれて少し仕事を手伝い、その後みんなでランチを食べにいき、その後やっと寮へ案内されました。
寮と言っても今のように個室の部屋ではなく、新入社員同士の相部屋の畳部屋で、布団はもう何年も干したことがないような、水分をたっぷり含んだ重くぺったんこになったもの。
事前に「寮に生活用品はすべてあるから、なにも持ってくる必要はない」と言われて喜んでいましたが、やはり世間はそう甘くありませんでした。
そのようなプライバシーもなにもない相部屋でたいへんだったかというと、その当時の中小企業に入った新人の日常を知ればまぁ納得できます。
まず、勤務時間はサービス残業を含めて朝8時から22時で、土曜日もフルタイムで全部出勤、休みは日曜日と祝日だけです。
しかも夜10時過ぎに仕事が終わると、週のうちの半分は先輩から飲みに誘われ、寮に戻るのは1時とか2時。つまり寮へ帰ると疲れ果ててバタンと寝るだけの場所だったのです。
日曜日も普段の寝不足を補うため、おおよそ昼過ぎまで死んだように眠っていて、午後はたまった洗濯をして、さらに日用品や衣料などを買いに出掛け、帰りには外食してくるという生活で、ほとんど寝ている時間以外部屋に留まっている時間はありません。そう言えば夜は麻雀部屋となっていたような気がします。
しかしその相部屋生活も2~3ヶ月後には先輩社員達が、アパートを借りたり、結婚するからと次々と寮を出ていったため、空いた個室に新入社員が随時移ることができました。
個室へ移ることで必要になったのが、まずベッドと布団一式、そしてテレビ、ライティングデスク、扇風機(エアコンはなし)、ストーブなどです。休日を利用して、近くの何でも揃うダイエー碑文谷店へ行き、次々と作ったばかりのクレジットカードで購入していきましたが、新入社員の薄給の身、その後しばらくはお金がなくてたいへんな思いをしました。
クレジットカードのカードローンで、毎月返しては借りる自転車操業をやっていたのはこの頃だけです。
4月1日には、社長以下役員が全員集まり、入社式が執り行われましたが、その時の記憶はほとんどありません。
入社式の翌日には、40年前から現在まで毎年続けられている日本生産性本部主催の新入社員合宿研修というのに入れられました。
これは大企業のように自社で研修をするのではなく、中小企業相手に各社から数名ずつの新入社員を集め、2泊3日の研修をおこなうものです。
その研修がおこなわれたのが、今はすっかり建て替えられてその面影はなくなっている代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで、1964年の東京オリンピックの際、選手村として使われた施設です。
研修の内容よりも記憶に残っているのは、選手村で使われていたベッドや洗面所、シャワー、トイレなどが建設当時そのままの状態なので、そのサイズが当時の日本標準よりもすべてにおいて一回りも二回りも大きくて驚きました。
世界の一流アスリート達が使うものですから、そりゃ天井の高さもベッドのサイズもトイレの個室の広さも日本の標準サイズでは全然不足でしょう。ただ建設後20年近く経っていますので、あちこちが壊れていたりして古さも感じました。
この時、宿泊する部屋は、1部屋にギッシリとベッドを詰め込んだ6人か8人ぐらいの相部屋で、今の若い人にはきっと耐えられず脱走者が続出するでしょう。
研修は外のグラウンドを使った運動の他、座学が多く、最近のようなビジネスゲームや高いコミュニケーションスキルを身につける練習などはなく、当時としてはそれが普通だったのでしょうが、偉い人の話を聞くだけのあまり役立ちそうもないものでした。
ただ私はこの研修以前から仕事でハードな日々を送っていたので、この研修期間中はたっぷりと睡眠時間もあり、心身ともに非常に楽でリフレッシュができました。
一緒にこの研修を受けている他社の新入社員と話しをすると、みな一様に「つらい」「きつい」と愚痴を言っていましたが、その理由がわからず彼らとの間になにか深い溝があることに気がつきました。
国立オリンピック記念青少年総合センターは、その後1990年代まで中国残留孤児達が肉親を捜しに来日した際、その宿泊所や面会場所として使われていましたが、2000年代にほとんどが立て替えられ、いまは近代的な建物となっています。
2020年にもしオリンピックが招致できたとしても、この施設は再利用はされず、選手村は新たに湾岸地域に作られるようです。
いわゆる新入社員研修を受けたのはこの3日間だけで、あとは実地で先輩についてOJTでした。それでも私たちより1年前に入った先輩は、このような合宿研修もなく、アルバイトから正社員と変わっただけということで、先輩からはどんな研修でも受けられただけマシと羨ましがられました。
その数年後からは、新入社員研修は外部の研修へ委託するのではなく、自前で研修をおこなうようになり、その新入社員教育の一部のパートを担当することが多くなりました。
そこでは合宿研修では役に立たなかったことや、強く記憶に残っていることなどの自らの体験が役立ち、多くの新入社員を育てる一助になったものと自負しています。
10数年後には、もう私の知識や経験は通用しなくなり、役立たずになりましたけどね。老兵は早々に立ち去るがいいに決まっています。
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694 履歴書の中の嘘はすぐバレる
691 就活では大企業を目指すべき3つの理由
645 面白い入社試験
636 昨今の新入社員は終身雇用制を支持している
578 外国人研修制度という名の移民政策
572 転職のキモは履歴書だ
566 理想の国家のあり方
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699
テレビの情報番組で大学生の奨学金について、様々な問題が起きていると特集が組まれていました。
元々奨学金制度はそれぞれの大学独自におこなわれているものと、独立行政法人日本学生支援機構(旧 財団法人日本育英会)らが国の支援を受けておこなっているものがあります。ここでは主に日本学生支援機構で借りる奨学金をイメージしています。
一言で奨学金と言っても、返還義務がない「給付型」と、卒業後に返還する「貸与型」の2種類があり、全体の約9割が「貸与型」となっています。また「貸与型」の多くは無利子ではなく、有利子で借りる奨学金(いわゆる学資ローン)と言うことです。
大学の入学金、授業料、教材費の他にも、大学への通学を考えて家を出ると、アパートや寮住まいの費用、食費、生活費などで多額の費用が必要となり、それらをすべて親が負担できる家庭が少なくなってきています。
アメリカでは既に奨学金制度を使い大学へ進学するのは普通になっていて、現在52歳のオバマ大統領も、実家がそれほど裕福でなかったためかどうかは知りませんが、大学時代は奨学金をもらい、最近まで教育ローンを返済していたという話しは有名ですが、国内でも学生自身が奨学金を借り、卒業後に返済をしていく学生が、なんと全体の半数近くに増えてきているそうです。
もうここまでくれば奨学金というより、官製教育ローンビジネス(国や政府から毎年数百億円の交付金や補助金が出ていて、当然のように文科省の役人が数多く天下っている)と言ってもいいでしょう。
そしてこの有利子奨学金でどうのような問題が起きているかというと、
1)近年学費が高騰していて借りる金額も高額となってきている
2)大学生の親は中高年者が多く、不況のため給与減やリストラの対象となっている
3)返済義務のない、または無利子の奨学金が年々減少し、有利子で借りざるを得ない
4)卒業後安定した就職先が決まらない学生にも返済期限がすぐにせまる
5)社会に出てゼロからのスタートではなくマイナスからのスタートというハンデを背負う
6)結婚したくとも、借金返済が障害になってできない
というもの。
「甘い考えで大学など行くから」と言ってしまえばそれまでなのかも知れませんが、大学全入時代(お金があり希望さえすればどこかの大学に全員が入れる時代)と言われている昨今、勉強が特に嫌いでなければ、就職や将来のことを考えると大学は出ておきたいと考えるのも自然なことです。
そして一人っ子の場合だと、親がやりくりをして学費から生活費まですべて面倒をみてくれるでしょうが、これが二人三人となると、今のご時世では普通のサラリーマン世帯では相当苦しいでしょう。
実感として「子供の教育費は親の責任」と、親がすべてをまかなえるのは私立の場合だとせいぜい一人までで、二人、三人となると高校も大学も国公立以外は難しくなるでしょう。
子供の教育費の負担を覚悟しているか
まず大学の授業料ですが、世の中のインフレ率とはまったくリンクせず、学費はここ何十年間ずっと右肩上がりです。学費というのは初年度に入学金と授業料を支払うと、卒業するまで変更ありませんが、デフレや不況だからと言って牛丼や地価のように安くなることもありません。
私立大学4年間の授業料と入学金全国平均推移と2010年を100とした時の消費者物価指数推移(出典は文科省及び総務省統計局データから作成)
デフレのおかげで学校運営費が大幅に削減でき、教職員の給料も民間企業並みにカットし、その結果授業料も下げますと言う大学があってもよさそうですが、そのようなことは行われず、逆に施設や教員の充実、情報化の促進などというわけのわからない理由で、ずっと上げ続けてきました。
また授業料以外に「教育充実費」「施設費」「在籍基本料」「教育活動料」などの名目で年間数万円から数十万円余分に支払わなければなりません(青山学院大学2013年入学の場合、授業料以外に毎年約23万4千円が必要)。
少子化で子供の数は大きく減っているものの、その代わりに進学率が高まり、そして国の制度に守られ、教育界の常識は世間の非常識となり、いつまでも自分たちの言い分が通用する聖域とでも思っているのでしょう。
私立高校・大学の場合、一部の名門校や特殊な教育をおこなっているところを除き、これからは少子化と不景気に合わせ、学校の合併、企業からの出資・提携の他、不要な土地を売却・賃貸をしたり、別の新たな事業を起こし、事務員た教職員は臨時パート雇いにし、教育機材はメーカーとタイアップして安く借り上げ、授業料の格安化を実現したところだけしか生き残れなくなるでしょう。
私のイメージでは授業料とその他費用の年間合計は私立高校で30万円以下、大学で50万円以下が適当と見積もっています。
奨学金を得ながら進学するというのは、私の世代ではあまり実感としてありませんでした。
それは親が負担できないなら進学しないという選択肢が普通にあったのと、授業料が国公立大学とさほど変わらない安価な私立大学がいくつもあったためです。
30数年前に私が入学した私立大学は年間授業料が年間14万円で現在のおよそ1/6、当時大学卒初任給が12万円ぐらいでしたから物価は現在の半分だったとしてもその安さは際だってます。
もちろんその頃でも、おぼちゃま大学と言われているような著名な私大だと平気で50万円以上の学費のところもありました。しかし最近はどこの大学の学費もほぼ似たり寄ったりで大きな差はありません。
そのせいで周囲を見ると「数百万円の授業料は全額自分で出した」「親がリストラに遭って途中で仕送りが途絶え余儀なく退学した」などの話しは結構あり、私も数年前親戚の子供が大学に入学する際、奨学金を借りたいのでその保証人になってほしいと頼まれ、断れずサインしました。来年は卒業予定なので、ちゃんと就職してくれることを願うばかりです。
例えば大学文系入学金+4年間の授業料・教育充実費合計約420万円(例として2011年度法政大学文系学部)をローン(固定利子3%)で借りた場合、卒業後から20年間毎月約2万5千円ずつ返済することになります。
授業料以外に生活費として月8万円の奨学金を得ていれば、4年間で384万円、授業料など含め合計804万円の借金となり、返済は月々4万8千円近くになります。
新入社員で年収が手取り300万円があったとしても、そのうちの約20%(58万円)がローン返済で消えることになるのです。これは特に入社後数年間の低収入の間はとてもつらいと思います。
そして奨学金が完済するのは卒業して20年後、もう結婚して子供ができて、その子供が中学校に入っていても不思議ではない42歳です。
しかし「愛はお金を超越する」とドラマのような展開ならともかく、数百万円の借金というハンデを抱えたまま、相手や相手の両親を説得して結婚できるという保証はありません。
果たしてそれだけの教育投資をして投資効果があるのかという疑問に対しては、実力主義、成果主義の導入にともない、近年急速に差は縮まっていますが、高卒と大卒の平均では生涯賃金の差が現在でもおよそ3~4000万円あると言われています。
それを見る限り少々無理をしても大学へ進学したいと思うのは無理ならぬことです。
もし親が年金生活や失業中などで、一切の援助が得られなければ、食費や生活費の一部はアルバイトをして稼ぐとしても、学校へ納める400万円+教材+通学費は借りるしかありません。
テレビの特集でも月8万円の生活費を得るため、夜と休日の二つのバイトを掛け持ちし、睡眠時間は3時間、通学にバスを使うのがもったいないと、最寄り駅から片道30分を歩いて通学している女子学生がテレビに出ていました。
一人っ子でぬくぬくと親に頼り切って学生生活をエンジョイしている人がいる一方で、衝撃的でもあります。
次に卒業後に安定した職場へ就職できればいいのですが、大学生でも正社員としての就職内定率は決して高くありません。
テレビでは卒業時に就職が決まらず、とりあえず工場のパートで働き、まずはお金を貯めてから就職活動をすると語っている若者が出ていました。
しかし厳しいことを言うようですが、卒業して1年以上コンビニ弁当を作る工場のパートをしている既卒者(≒中途採用)を積極的に採りたいと思うまともな会社があるとは思えません。
そういう社会の常識や仕組みをちゃんとアドバイスする親や知人が周りにいないのがこの人の不幸です。
またせっかく就職できてもおよそ3割が3年以内に辞めてしまうという現実があります。
もちろん若者にも辞める理由があり、その後すぐに第2新卒としてうまく着地できる人もいるでしょうけど、辞めた後、とりあえずと始めたフリーター生活が妙に心地よく、すぐに就職しないまま安住していると、すぐに30歳を過ぎてしまい、もうそうなるとまともな企業へ正社員として入社することができなくなってしまいます。
決して現実の社会では、何年も続けたいい加減なフリーター生活から立ち直り、正社員になって両親のために家まで買っちゃう小説「フリーター、家を買う 」の主人公のようにはいかないのです。
【関連リンク】
666 子供の教育費の負担を覚悟しているか
563 国立大学、私立大学の国庫負担比較
560 若者の大企業志向を非難する前に
427 学校ビジネスの暗く長い闇
272 子供の教育費というものは
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