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1694
ボートの三人男(中公文庫) ジェローム・K・ジェローム

内容は知らず、タイトル買いです。著者は19世紀後半と20世紀初旬に活躍した英国の作家さんです。

原題は「Three Men in a Boat, To Say Nothing of the Dog!」で、基本翻訳のタイトルと同じですが「犬は除く」が付いています。

英国ロンドンに流れるテムズ川はよく知られていますが、19世紀後半においてもその川の流れと周辺の街並みはあまり変わっておらず、貸しボートを借りて仲間と遊んだり旅行をすることがそこそこ人気だったようです。

しかし読んでいても地名だけではいまいちピンとこず、せっかくなので地図とルート、作品に出てくる町や川の堰の名前を一覧化しておきました。ロンドンやオックスフォードにいた人ならなんとなくイメージが湧いてくるでしょう。

3menmap1

◆テムズ川をさかのぼるボートの航路◆
Jとハリーと犬のモンモランシーがロンドンからキングストンまで機関車で移動
キングストン(Kingston) 2人と1匹が貸しボートに乗船
ハンプトン・コート(Hampton Court)
モールジー(Molesey)
ウォルトン橋(Walton Bridge)
ハリフォード(Halliford)
シェパートン(Shepperton)
ウェーブリッジ(Weybridge) ジョージがバンジョーを抱えて合流乗船
ステーンズ(Staines)
ベルウィアーロック(Bell Weir Lock)
ボヴェニー閘門(Boveney Lock)
クッカム閘門(Cookham Lock)
マーロー(Marlow)
ソニング閘門(Sonning Lock)
ハーリー堰(Hurley Lock)
メドメナム(Medmenham)
ハンブルデン閘門(Hambleden)
ワーグレーブ(Wargrave)
シップレイク(Shiplake)
ソニング閘門(Sonning Lock)
レディング(Reading) ストリートリー手前までスチームランチに曳いてもらう
メイプルダーラム閘門(Mapledurham Lock)
ゴーリング閘門(Goring Lock)
ストリートリー(Streatley)
ウォリンフォード(Wallingford)
ドーチェスター(Dorchester)
アビンドン閘門(Abingdon Lock)
スンドフォード閘門(Sandford Lock)
イフリー閘門(Iffley Lock)
オックスフォード(Oxford)

帰りは流れにまかせてパンボーン(Pangbourne)まで下り、そこでボートを置いて機関車でロンドンへ

当初は、真面目な旅行案内書的な内容をかくつもりだったのですが、本題から大きく外れたユーモアがメインの小説になっています。

ただユーモアと言っても、100年前のユーモアで、現在もそれで笑えるか?ということもありますが、素直に苦笑するしかありません。

とにかく話しの行方がどこへいくのかわからないほどあっちこっちへと飛び、今のことなのか、過去のことなのか時々わからなくなったりします。しかしテムズ川上流の優雅な情景が目に浮かぶようなうまい表現が多く、読んでいてリゾート気分になります。

翻訳者が小説家でもある丸谷才一氏で、おそらくその丸谷氏が努力されて、これでも読みやすくなっているのだろうと思います。

面白かったかって?

う~ん、名作らしいのですが、いまいち「なにが言いたい?」「なにが教訓?」「どれがユーモア?」と混乱するところは私の読解力か感受性のなさか、いまいち満足するには至りませんでした。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

叫びと祈り(創元推理文庫) 梓崎優

著者の作品を読むのは今回が初めてです。1983年東京都生まれで兼業作家さんということですから勤め人でもあるのでしょうか。

この作品は実質的なデビュー作で、2010年に出版、2013年に文庫化された連作短篇集で、解説を読むと、当初は最初の短編だけを発表したところ好評で、プラス4作を書いて合計5作品の連作としてまとめたものだということです。

その5作品のタイトルは、「砂漠を走る船の道」「白い巨人」「凍れるルーシー」「叫び」「祈り」です。

最後の「祈り」以外の舞台は外国で、「砂漠を走る船の道」は西アフリカのマリ付近の砂漠地帯、「白い巨人」はスペインのラ・マンチャ地方、「凍れるルーシー」は南ロシア、「叫び」はブラジルのアマゾン流域です。

そうした外国で、不可解な事件が起き、その謎解きをするのが、日本の出版社に勤務する7カ国語を操る日本人青年です。

少し前に読んだ、「アイルランドの薔薇」(石持浅海著)も、こちらは長編小説でしたが似たような感じです。

連作短編と書きましたが、それぞれ5つの作品は完全に独立していて、主人公の日本人青年だけが共通しています。しかも最後の「祈り」はその大活躍した日本人青年が、記憶喪失に陥っていてサナトリウムのような場所に入院しています。

いずれも話がぶっ飛んでいて、その中身にリアリティはありませんが、デビュー作で創作した作品と考えると末恐ろしい新人作家の登場!という感じでしょうか。これからが楽しみな作家さんです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

帰れないヨッパライたちへ 生きるための深層心理学(NHK出版新書) きたやまおさむ

医学生時代には加藤和彦らとザ・フォーク・クルセダーズで一世を風靡したミュージシャンであり、多くのヒット曲の作詞家でもある著者ですが、現在は東京で精神科医として活動されています。

著者の作品は過去に「さすらいびとの子守歌」「戦争を知らない子供たち」「止まらない回転木馬」「人形遊び」の4作を読んでいます。いずれも1970年代のことで今から50年近く前のことです。

たまたま懐かしい名前を新書コーナーで見つけたので買って読みましたが、以前の著作とはまったく違い、精神分析医療に関わる話しが中心で、あまり馴染みがないこともあり意味不明でした。

こうした実際に経験してきた治療に関しての話しは、医学的なレポートや論文ならともかく、こうした新書で書くには例え匿名にしたとしても書くのは難しそうです。

なので、自分が経験した芸能界からの逃避や、英国で師事した専門家の話、その他精神医学でよく言われていることなどの話しが中心となります。

それならそれで、おそらく出版社の人から強く勧められたのだと思いますが、「昔のふざけたコミカルソング」を彷彿とさせる「帰れないヨッパライ」などタイトルに使わなければ良いのにと思ってしまいます。

専門書ともエッセイとも違うちょっと中途半端なものになってしまったのは残念です。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

親鸞 完結篇(上)(下)(講談社文庫) 五木寛之

2010年に「親鸞」、2012年に「親鸞 激動篇」が出版され、三部作最後のこの作品が2014年(文庫は2016年)に発刊されました。元々は東京新聞や中日新聞、京都新聞など多くの地方紙で連載されてきた小説です。

過去に前2作は読んでいます。

2014年5月前半の読書と感想、書評(親鸞)
2014年12月前半の読書と感想、書評(親鸞 激動篇)

浄土真宗の宗祖、親鸞聖人が主役の小説で、これは伝記ではなく小説なのでエンタメ性がかなり盛られているようですが、大きな流れとしては判明している限りにおいて人生をなぞってはいるようです。

この完結編の時代背景は13世紀中盤、鎌倉時代の京都で、前作の激動篇では、誰でも念仏を唱えれば浄土へいけるという専修念仏に対し、比叡山や奈良の古寺勢力からの反発があり、民衆を惑わすと後鳥羽上皇から法然らとともに地方へ流罪となり、越後、そして東国(茨城)へと地元の名士達の協力を得ながら布教を継続していきます。

この完結篇では、60才を超えた親鸞が、東国から再び京都へと戻ってきます。そして90才で入滅するまでの様々な出来事が描かれています。

親鸞がまだ若い時に京都で知り合った多くの人達が再登場します。親鸞を慕うものもあれば、敵視するものもあり、様々な思惑が交錯し、さらに身内の長男までもが反発して東国へと旅立ってしまいます。

しかしこの時代に90才まで生きるというのは、もうそれだけで常人ではなく奇蹟の人でしょう。鎌倉時代の平均寿命は24才ということで、これは出産時や子供の頃に亡くなる子が多かったことからそうなりますが、それでも70才を超えて健在なのは極めて珍しいことでしょう。

昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出てきた源頼朝は51才、主人公の2代目執権北条義時は61才、その息子3代目北条泰時は59才、姉の北条政子は68才で亡くなっています。

過去には親鸞を主人公にした小説やそれを原作とした映画がいくつか作られています。この五木親鸞もいつかは映画化されるかも知れません。

★★☆

著者別読書感想(五木寛之)

【関連リンク】
 1月前半の読書 志賀越みち、ファーストラヴ、一八八八切り裂きジャック、帰郷
 12月後半の読書 鬼棲む国、出雲 古事記異聞、A、厭な物語、君たちはどう生きるか
 12月前半の読書 レンブラントをとり返せ、カササギたちの四季、仔羊の巣、異常快楽殺人

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1693
ガソリン税とは、ガソリンに課される「揮発油税及び地方揮発油税」の総称で、ガソリン1リッター当たり53.8円の税金が賦課されています。さらに石油石炭税、石油製品関税としてリッターあたり2.54円が加わります。

ガソリンリッター160円(ガソリン税含む、消費税別)の店で40リットルを給油すれば、合計金額6,400円に消費税10%(640円)が加わり総計7,040円です。

その合計6,400円のうち、(53.8円+2.54円)×40リッター=2,254円がガソリン税+石油諸税分で、合計に対する割合はおよそ35%になります。

そしてその税金が35%を占めるガソリン代にさらに消費税をかけるのは税金の二重課税ではないかという議論もありますが、それはさておき、いずれにしても、消費者が負担するのはガソリン税等が35%と消費税が10%で、ガソリンの購入価格の中身はざっくり45%が税金ということになります。

この税率ですが、比較的税率が高いアルコール飲料のビールで30%程度ですからそれよりも税率は高いということになります。逆に身近にある税金でもっと税率が高いのはタバコ税で、およそ62%です。さらに防衛費を倍増するための一部として近々税率アップが予定されています。

もうタバコを吸うというのは現金のお札を丸めて吸っているのと同じと言う感覚になります。一般的に喫煙者は非喫煙者よりも税金をずっと多く支払っているわけですから、喫煙者は社会においてもっと大事にされ優遇されてよいかも知れません。とか書くと「副流煙で迷惑かけてるくせに!」とか、「肺がんなどのリスクが高まり医療費を多く使うだろ?」とかいっぱい反論されそうですが。

そのガソリン税ですが、クルマの保有台数は今でも増えているものの、燃費が大きく改善されてきたためか、ここ10数年は減少傾向にあります。

揮発油税(ガソリン税)推移
ガソリン税推移グラフ

ガソリン税の税収が過去最高だったのは2005年の3兆2181億円で、それ以降は漸減しています。そのピークから15年経った2020年は2兆2294億円で、2005年から9884億円、約1兆円の減収です。

EVが増えてきたからじゃないのか?って言われそうですが、EV普及率は2021年実績で新車販売台数約240万台のうちEV(電気自動車)は2万台強で全体の0.9%という少なさで、保有台数全体からすればまだ誤差の範囲です。したがってまだガソリン税に大きな影響を及ぼすようなものではありません。

ちなみに2021年のEV普及率はヨーロッパ主要18カ国平均は11%、中国が13%、日本と同様に比較的EV化に消極的なアメリカで2.9%、となっています。日本は一気にEVではなく、その中間的なハイブリッドエンジンが多くを占めるようになった特異な国と言えるでしょう。

さて本題ですが、ガソリン税は、2009年までは主に道路整備の財源に使用される目的(道路特定財源)でしたが、現在は一般財源となっています。

「それじゃあ老朽化してきた道路や橋などインフラ整備費用はどうするんだ!」という疑問ですが、高度成長期と違い、今は新規に整備する道路はかなり少なくなっているでしょうから、自動車取得税、軽油引取税、自動車重量税が今でも道路特定財源としてあるから大丈夫なのでしょう。

ただ役人も、役人好かれたい政治家も、減る税収はなんとしても取り戻したいと思っていているわけで、そこでガソリン税の代わりか、新たに追加するのかはともかく、新しく「走行距離税」という税収案が出てきました。

昔(1970年代)のクルマのアナログ式走行距離メーターは、素人でも簡単にいじれましたが、現在のデジタル式メーターをいじるのはかなり難易度があがります。

その走行距離に応じて車検ごとに税金を徴収しようというのが狙いのようです。

私や都会に住むサンデードライバーなら年間5千キロも走らない人が多いでしょうけど、地方に住み、通勤や買い物にはクルマが必要という人は年間数万キロ走行するという人は少なくないでしょう。

また商用車や長距離トラック、タクシー、バスなどは、走ってナンボのクルマですから年間で数万~十数万キロを走るのは普通です。

ま、それだけ距離を多く走るクルマの持ち主から「道路のメンテナンス費用」という名目で税金を多く徴収するのは「利用者負担」の原則からすれば不合理ではありませんが、もし道路特定財源でないのならそういう理由付けはできません。

自動車関係のネット記事でも様々な提言がなされています。

完全無欠の税なんてありえない!?走行距離税の是非より前にニッポンが考えるべきこと(webCG)
今年は、軽規格の新型電気自動車(BEV)「日産サクラ」と「三菱eKクロスEV」の人気も話題になりました。世界の状況に照らせば、そろそろBEVからどうやって継続的にお金を頂戴するかの算段はつけておいたほうがいい。先日ニュースになった「走行距離税」の話は、そんななかで上げられた観測気球かという気もしますが、財務相自らが予算委員会のなかで発言したという経緯を考えると、もう少し現実感のある話としてみておいたほうがいいのかもしれません。


EV乗りからの徴税を目的とする「走行距離税」案!エンジン車乗りにとっても物流にとっても「増税」の可能性あり(WEB CARTOP)
電気自動車にはエンジン排気量という概念がないため、自動車税はリッターカーと同じとなっているし、事実上の走行税といえるガソリン諸税も免れている。現在の普及レベルであれば無視できる範囲といえるが、将来的にエンジン車が消えてしまうとすれば、事実上の走行税(走ったぶんだけ納税額が増える)として機能していた燃料への課税に変わる何かを考えなければならないというのは、徴税側からすれば予想できる話だからだ。

EVに対する税金のかけ方は、おそらくEV先進国の状況を見てからということになるのでしょうけど、走行距離課税以外に、公平性が保たれ、ガソリン税に変わる規模(相当額)が得られるものを生み出すのはなかなか難しそうです。

【関連リンク】
1664 EVの出先での充電について
1617 2021年の車種名別販売ランキングとEV化
1505 日本のEVシフトは環境問題ではなく経済問題


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1692
読書をして個人的な趣味趣向でそれぞれランクづけをしていますが、その中から毎年年間ベスト(大賞)を選んでいます。

内容によって「新書/ビジネス/ノンフィクション」「海外翻訳小説」「日本国内小説」の3部門に分けて独善的に評価をしています。

そしてその書籍というのは、数多くの賞と違って、私が前年に読んだ本から選びますので、新刊本はほとんどなく、小説に至ってはほぼ文庫しか読まないので、中には古典に分類されるような本もあります。

  ◇   ◇   ◇

2022年の1年間で読んだ本の合計は作品数が99作品、上下巻を2冊とカウントする冊数では107冊となりました。一昨年の2021年と比較すると作品数で+6作品と増加しましたが、冊数では▲5冊と減少しました。

2013年から10年間の冊数と作品数の推移は下記の表の通りです。年間の読書した冊数は98~117冊で、平均すると年間108冊、1ヶ月当たり9冊平均で読んだことになります。

新書
ノンフィク
冊数 海外小説 冊数 日本小説 冊数 作品数計 冊数計 月間平均
冊数
2022年 11 11 15 16 73 80 99 107 8.9
2021年 22 22 13 21 58 69 93 112 9.3
2020年 29 30 14 19 51 56 94 105 8.8
2019年 29 29 8 9 71 77 108 115 9.6
2018年 26 26 9 13 64 71 99 110 9.2
2017年 26 26 16 21 62 70 104 117 9.8
2016年 14 14 12 16 65 79 91 109 9.1
2015年 17 - 12 - 65 - 94 107 8.9
2014年 26 26 17 13 70 62 113 101 8.4
2013年 - - - - - - 86 98 8.2

2020年に仕事から引退しましたが、その前と後で読書した冊数に大きな差はありません。おかしいな?暇な時間が増えたはずなのに、、、

  ◇   ◇   ◇

それでは、まず「新書/ビジネス/ノンフィクション部門」です。

2022年は11作品(冊数)と例年の半分以下という少なさでした。やはりビジネス界から身を引くと、新書やビジネス書への興味は失われていきます。

そして今回のこの部門では残念ながら「たいへん面白かった(役に立った)」という★3つをとった作品がなく、「宇宙を読む」「無人島に生きる十六人」「生きて帰ってきた男」など優秀な作品が多かった当たり年の昨年とは大きく変わってしまいました。

しかし受賞なしというのも寂しいので、今回は「新・日本の階級社会」(橋本健二)、「戦国時代の大誤解」(鈴木眞哉)、「老いた家 衰えぬ街」(野澤千絵)、「異常快楽殺人」(平山夢明)の4候補の中から、、、

戦国時代の大誤解」(鈴木眞哉著)が大賞を受賞しました!

パチパチパチ

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著者はかつて戦国時代に活躍した和歌山の傭兵集団雑賀衆の子孫の方で、2007年に発刊された新書です。

感想は、「5月前半の読書と感想、書評(戦国時代の大誤解)」に書いています。


  ◇   ◇   ◇

「海外小説」は、15作品で16冊を読みました。ー昨年2021年と比較すると作品数は2作品増えましたが、冊数としては5冊減りました。

その15作品の中から候補は「解錠師」(スティーヴ・ハミルトン)、「ペスト」(カミュ)、「追撃の森」(ジェフリー・ディーヴァー)、「IQ」(ジョー・イデ)の4作品の候補から、、、

今回は甲乙つけがたく2作品、「ペスト」カミュ著と、「追撃の森」ジェフリー・ディーヴァー著に決定しました!

パチパチパチ

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「ペスト」の感想は、「10月前半の読書と感想、書評(ペスト)

「追撃の森」の感想は、「8月後半の読書と感想、書評(追撃の森

「ペスト」は、古い小説ですが、コロナ禍に読むと、目には見えない未知のウイルスとの壮絶でむなしい戦いが身近に感じられます。

また「追撃の森」は、広大な自然公園の中で、殺し屋と女性保安官とが知力を絞った一昼夜の息詰まる攻防戦を描いていますが、物語にグイグイと引き込まれていき、最後のどんでん返しなど、なかなか楽しめる小説でした。

  ◇   ◇   ◇

「国内小説」は、最も多い73作品、80冊を2022年の1年間に読みました。前年から15作品、11冊増加しています。

その73作品の中から、印象深い「サラバ(上)(中)(下)」(西加奈子)、「ヒトラーの試写室」(松岡圭祐)、「蜜蜂と遠雷(上)(下)」(恩田陸)、「カズサビーチ」(山本一力)、「追想五断章」(米澤穂信)、「ツリーハウス」(角田光代)の6作品が大賞候補となります。

その中から、、、迷いつつ、、、

カズサビーチ」山本一力著に決定しました!

パチパチパチ・・・

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読書感想はこちらです。
2022年10月後半の読書と感想、書評(カズサビーチ)

タイトルからイメージしていた内容とまったく違う展開で、鎖国が続く幕末時代を背景に、アメリカの捕鯨船を中心に、遭難した日本人漁民を救助し、日本へ送り届けようとするアメリカ船と、前例がない江戸近くへの外国船入港を許すかどうかというストーリーです。

こうした実際に起きた出来事を下敷きにした歴史小説はとてもリアリティがあり、個人的にはとても好きです。

そう言えば、著者の山本一力氏は、ちょうど10年前、「2012年に読んだ本のベスト」で、時代小説の「あかね空」が大賞を受賞しています。


そして僅差の次点には「蜜蜂と遠雷(上)(下)」恩田陸著を選びました。

パチパチパチ・・・

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読書感想はこちら
2022年4月前半の読書と感想、書評(蜜蜂と遠雷(上)(下))

こちらは直木賞を受賞した作品ですが、私的にはまったく馴染みのなかった国際ピアノコンクールの舞台裏や、人生をかけた参加者達のピリピリした様子など、読んでいて迫力があり、感情移入もしやすく良い小説だと思いました。

その他の「サラバ」や「ツリーハウス」「追想五断章」「ヒトラーの試写室」も、決してなにかが劣っているわけではなく、十分に楽しめる面白い作品でした。あくまで個人的な趣味趣向で選んでいるだけです。

【関連リンク】
1601 リス天管理人が2021年に読んだベスト書籍
1500 リス天管理人が2020年に読んだベスト書籍
1401 2019年に読んだベスト書籍

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1691
ドキュメント72時間毎回欠かさず録画して見ているテレビ番組のひとつにNHKで放送されている「ドキュメント72時間」があります。

番組を見たことのある人も多いと思いますが、一箇所に72時間ものあいだカメラを据え(持ち込み)、そこへ集まってくる様々な人にインタビューするというそれだけで、芸能人や識者と言われる人へのギャラも必要なく、大がかりなセットもTPOに応じた小道具も必要がない、極めて安価に作れる素人のみ参加の番組です。

しかし、そこへ来た人の思いや、深い歴史、過去と未来など、作り物ではできない人生の喜怒哀楽がそこに展開されます。

もちろん数多くインタビューした中から「これは面白い!」というホンの一部だけを厳選し編集して放映しているのでしょう。生中継でなければ、9割以上が捨てられるのはテレビの素人出演番組では常識です。

昨年2022年8月と年末(再放送)には10周年記念として、過去321回分から視聴者投票でベスト10を放送していました。また毎年年末にはその年のベスト10がまとめて再放送されています。

そうした視聴者ベスト10というのはおしなべて話題性のあるもの、刺激的だったものに落ち着いてしまいますが、本当のところはそれぞれ個人が面白かったと思うのは、その人の人生に関係した場所だったり、共感できる人が出ていたりするので、こうしたベストには上がってこないでしょう。

私もこの321回すべてを見たわけではありませんが、ベストに上がってはこない作品に思いが強く残っているものが多数あります。

それはともかく、この番組を見て、「いつかここに行ってみたい!」と思った場所がいくつかあります。

その中から放送後に計画的に訪問が実現した場所が下記です。順番は不同です。

ドキュメント72時間「大空に飛行機を見上げて」2018年4月6日放送
さくらの山公園


ドキュメント72時間「ゆらゆら くらげに誘われて」2017年6月16日放送
加茂水族館


ドキュメント72時間「長野 天空の絶景を眺めて」2019年12月13日放送
ヘブンスそのはら

また、番組が放送される前にすでに訪問した場所がいくつかあります。その回は、思い出しながら懐かしく見ました。

ドキュメント72時間「恐山 死者たちの場所 」2014年6月6日放送
恐山


ドキュメント72時間「石川 なぎさドライブウェイ 思い出の砂浜で」2020年9月4日放送


ドキュメント72時間「“どろんこパーク” 雨を走る子どもたち」2022年9月2日放送
子供夢パーク


ドキュメント72時間「東北 春を探して 国道45号線を行く」2018年4月20日放送
国道45号線


ドキュメント72時間「横須賀 軍艦の見える公園で」2017年2月17日放送
ヴェルニー公園


ドキュメント72時間「東京湾 真夏の海釣り公園」2020年8月12日放送
東扇島西公園


ドキュメント72時間「巨大団地 中古ショップでハロー・グッバイ」2021年6月4日放送

など。

その他にもいくつかかつて生活圏にあって馴染みがある場所(鴨川デルタや国道16号線、紀伊國屋書店など)の回がありました。

調べていたら「ドキュメント72時間で放送された所」というGoogleマップ上で取材がおこなわれた場所にピンを打ってあるサイトがありました。

こうしたドキュメントを見て、「その場所面白そう!行ってみたい!」という旅行も楽しいんじゃないでしょうか。

【関連リンク】
1517 100年前の日本とは? 2021/3/10(水)
895 「ドキュメント72時間」を見て日本経済を考えた 2015/2/11(水)



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1690
志賀越みち(光文社文庫) 伊集院静

2010年に単行本が発刊されてずっと文庫化されるのを首を長くして待っていたら、ようやく昨年末(2022年12月)に文庫版が発刊されました。単行本から文庫になるまで12年もかかるのって珍しくないですか?なにか事情でもあったのでしょうかね。

それはともかく、ベタベタな恋愛小説のこの著作は、私も何度もクルマで走ったことがある志賀越みち(=山中越え)が最初と最後に出てくる小説で、志賀と言っても信州の志賀高原ではなく、滋賀県にかつてあって現在は大津市に吸収されている志賀町から、比叡山の中腹を通って京都の白川へ通じている険しい山道のことを指しています。

時代は昭和30年代、主人公は東京の大学生で、大学で知り合った京都祇園の芸者置屋の息子に誘われ京都へやってきます。

そして朝の散歩中に建仁寺で熱心にお参りする女性に一目惚れし、その女性が祇園でも有名な舞子さん(芸者さんの卵)で、、、という禁断の恋が始まって、、、。わかりやすいドラマです。

祇園の掟というか、当時は現在と比べてもより保守的で男尊女卑な世界がまだ残っている中での恋愛物語は読んでいても新鮮な感じがします。

様々な祇園の行事や、見習いからスタートし、舞子、芸者へと上に登っていく色町の世界、踊りや所作の厳しさ、上客との関係など、様々なしきたりや風俗が垣間見られてなにか行った気になれて楽しめます。

今でこそ、舞子や芸者の世界に飛び込むのは、第一に本人の希望があってのことですが、昭和30年代と言うとまだ、悪い言葉で言えば口入れ屋を通して10代初めの娘をお金で売ってしまうというようなことがおこなわれていた時代です。

そうした不幸を背負いながらも一所懸命に日本有数の花街・祇園で生きていこうとする女性と、裕福な家庭の大学生で、長期間学校を休んで親の金で京都や金沢でブラブラ遊んでいる男との恋愛ですから、これはもう女性を泣かす悲恋に終わるだろうと思うのは火を見るまでもなく明らかです。

京都にはあまり縁がないと思っていた著者ですが、よく調べて書いてあり、本当にしばらくそこに住んでいたのだろうか?と思うような祇園の風景描写が素晴らしいです。

★★★

著者別読書感想(伊集院静)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ファーストラヴ(文春文庫) 島本理生

2018年に単行本、2020年に文庫化され、2018年の直木賞を受賞したミステリー小説です。

また2020年にはテレビドラマ、2021年には、堤幸彦監督、北川景子、中村倫也などの出演で映画が製作されています。

内容はまったく知らずに読み始めましたが、タイトルから「中高生の甘ったるい青春恋愛もの?」と思ってましたが大きく外れてしまいました。

女子大生でアナウンサー志望の女性が、入社試験を途中で離脱して画家で美術学校の講師を勤める父親の職場へ行き、そこで父親を刺殺して逃げるという事件が起きます。女性はまもなく逮捕され、犯行を自白します。

主人公は有名になりたいという野心をもった臨床心理士の既婚女性で、その主人公の夫の弟が上記加害者の弁護人となり、二人でどうしてこの事件が起きたのかを調べて行きます。

殺された父親の言いなりだった母親、加害者の幼馴染みの親友、父親の同僚、父親が自宅でおこなっていた絵画教室の参加者、加害者の元恋人など多くの人物から話しを聞きますが、謎はなかなか解けません。

様々なところに伏線は引かれていますが、結局はその根っこは思わぬところにあって意外性に驚かされるというか、これでは謎解きは無理という話です。

こうした小説では、熱血弁護士や弁護士から調査を依頼された探偵が主役で活躍するというストーリーが多いですが、臨床心理士を主役にしたのはうまいやり方でしょう。

ただ現実的には、警察や弁護士、医師ならともかく、臨床心理士に心開いて正直にプライベートな話しをしてくれる人はそうはいないだろうと思いますが。

これが直木賞?と、ちょっと意外な感じもしましたが、主人公の女性や担当弁護士もそれぞれ子供の頃に家庭的な問題を引きずっていて、そうした中で、加害者女性の家庭問題に深く関わっていくという多重的な内容が評価されたのかも知れません。

★★☆

著者別読書感想(島本理生)

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一八八八切り裂きジャック(角川文庫) 服部まゆみ

1996年に単行本、2002年に文庫化された長編ミステリー小説で、タイトル通り19世紀末1888年に英国ロンドンで起きた6件(5件という説もある)の連続殺人事件「切り裂きジャック(Jack the Ripper)」事件をモチーフにしています。

著者の小説は過去に読んだことがあると思っていましたが、調べると今回が初めてだというのに気がつきました。著者は1948年東京都生まれで2007年に52歳の若さで亡くなられています。

切り裂きジャックがロンドンの貧民が多く住む地域で娼婦ばかりを狙って次々と殺害し、同時に短時間で全身を解剖するかのように内臓を取り出し切り刻むという手口は、そこの住民だけでなく英国中を震撼させました。

結果的に犯人は捕まることはなく、同様の殺害はなぜか収束しましたが、当時から現在まで130年以上様々な憶測や推理がされ続けています。

本著では、その事件に偶然立ち会うことになった二人の日本人留学生(ひとりはロンドン警察、ひとりはロンドン病院勤務)が、この小説では主人公として活躍します。

こうした実際の歴史をベースにしたシチュエーションは、小説では時々ありますが、個人的には背景などがわかりやすく好きです。ただリアルとフィクションが混ざりますが、結果としての歴史は変わらないので結末に大きな衝撃はありません。

最近読んで面白かったのは、松岡圭祐著の「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」「ヒトラーの試写室」などです。

切り裂きジャックが跋扈した当時、日本は明治維新(1868年)後に西洋文明に早く追いつこうと、法律、政治、医療、軍事など様々な分野で欧米に留学生を送っていたことから、小説では国を背負って医学や警察の研修を受ける公費留学生達に主人公を仕立て上げています。

同じく同時期にドイツへ留学していた?若い頃の森鴎外(森林太郎)や北里柴三郎も登場します。

また切り裂きジャック事件とは別に、その事件が起きた地区にはロンドン病院があり、当時その病院の地下には「エレファントマン」という名前で有名になった病気で極度の奇形となったジョゼフ・ケアリー・メリックが見世物小屋から保護され暮らしていたことから、それとの関係性に気がついて事件と関わりがあることを突き止めていくことになります。

その他にも、18世紀後半に蝋で精密に作られた人体解剖モデル、「解体されたヴィーナス」で有名なクレメンテ・スシーニの作品が出てきて一気に怪奇ムードが増幅されます。

殺害された人物や王室、警察関係者、病院関係者などは実名で登場しますので、関連記事や歴史書と比較して読むとその時の緊迫した模様がヒシヒシと伝わってきます。

ただ、この手の小説としては、文庫本で769ページと長く、いろいろ詰め込みすぎって気もします。

★★★

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帰郷(集英社文庫) 浅田次郎

2016年単行本、2019年に文庫化された短篇集です。長編小説も素晴らしいけど、短編小説の名手でもあります。現在活躍中の日本人の作家さんでは、著者と奥田英朗の二人が突出している気がします。

収録されているのは「歸鄕」「鉄の沈黙」「夜の遊園地」「不寝番」「金鵄のもとに」「無言歌」の6篇です。

いずれも太平洋戦争時の下級兵士または元兵士を取り上げていて、南方の総員玉砕の激戦地から奇跡的に帰還してきたものの帰る場所がない男や、本来は後方で兵器の修理をする技術者が最前線に送り込まれ、逃れようがない立場に陥る話しなど、「泣かせの浅田」の本領発揮、すべての物語に悲哀がつきまといます。

その中でも唯一ホラーとファンタジーの中間的な「不寝番」は、著者自身が陸上自衛隊で経験したことがあると思われる当番制で夜間の見張りに立つ不寝番で、なぜか旧陸軍の兵士へ不寝番を変わることになってしまう話し。

陸上自衛隊の富士の隊舎は旧陸軍時代からそのまま使われていますが、そこで不寝番をしていた隊員(士長)が時間が来たので次の当番を起こしにいきます。そして起きてきた当番の上等兵(旧陸軍の階級)に不寝番の申し送りをしますが、お互いちょっと違和感を感じてしばらく話しをすることになります。

最後の「無言歌」に至っては、仲の良い二人の兵士が夢で見たことを互いに話し合うストーリーですが、それは実は特殊潜航艇の中で、しかも故障して海底に着底してしまい、まもなく酸素も尽きようかという涙なしでは読めません。

★★★

著者別読書感想(浅田次郎)

【関連リンク】
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 12月前半 レンブラントをとり返せ、カササギたちの四季、仔羊の巣、異常快楽殺人
 11月後半 民王、震災列島、神と罌粟、ブラフマンの埋葬


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