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1674
友罪(集英社文庫) 薬丸岳

2013年に単行本、2015年に文庫が出版されたミステリー長編小説です。また2018年にはこの小説を原作として、生田斗真と瑛太のW主演の映画が公開されています。

主人公のひとりには神戸連続児童殺傷事件の加害者「少年A」をモチーフにし、医療少年院を出所後、作られた別名とニセの履歴をもって寮がある埼玉の鉄工所に就職します。

もうひとりの主人公は、大卒でマスコミ志望でしたがうまくいかず、アルバイトをしていた週刊誌のフリーライターの仕事と住まいを失い、とりあえず住むところを確保しようと寮がある同じ鉄工所に就職し、二人は同日に採用され働き始めます。

同時に入社した同い年の男性は、寮では薄い壁を挟んで隣ですが、毎晩悪夢に襲われてうなされていることを不審に思います。

文庫で593ページのそこそこ長尺ですが、時間の流れはゆっくりしていて、せいぜい1~2年の話です。それだけに二人の関係が濃密で、二人を中心としながらも周囲の人達が巻き込まれたり、関わってくることで様々なことが起きるというパターンです。

果たして自分の友人、仲間だと思っていた人が、実は何の罪もない子供を殺し、さらに異常者としか思えないような残虐な死体損壊をしたと知ったら果たしてそれまでと同じように付き合えるか?という問いかけをしています。

ドキュメンタリー番組などで、過去に犯罪を犯した前科者が退所後に身元を引き受けて仕事を与え更生の手助けをする人(社長)が出てきますが、なかなか難しいというのが実態です。どうしても周囲は色眼鏡で見てしまいます。

ましてや、殺人、しかも無抵抗な子供殺しで、少年法に守られ罪に問われず出所してきた人にどこまで心を許せるのか?という重苦しい問題を考えさせられます。

また同時に悪い男に騙されアダルトビデオに出演し、騙されたとわかって男の元から逃げ出したあとも男から過去の映像を職場などにばらまかれるという女性が出てきます。こちらは犯罪者ではないものの、過去の行いによって真っ当に生きようとしても人生を狂わせられてしまう破滅的な話が出てきます。

そうした心苦しい重い話ですが、最後は少しは救われるような形で終わっているのが救われます。

★★☆

著者別読書感想(薬丸岳)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

カズサビーチ(新潮文庫) 山本一力

2016年に単行本、2019年に文庫化された歴史長編小説です。最初はタイトルを見てどこか南のリゾート地の話かと勝手に想像しましたが、全然違っていました。

タイトルのカズサとは上総(かずさ)のことで、現在の千葉県の大部分で九十九里浜などを含むエリアの総称です。

著者の作品は、歴史時代小説をメインとして7作品を読んでいますが、代表的な作品で鎖国中の江戸時代に難破した後救助されアメリカへ渡って教育を受けた中濱万次郎を描いた「ジョン・マン」シリーズはまだ読んでいませんでした。

そのジョン万次郎と同じように、日本の漁船が難破して、アメリカの大型捕鯨船などに救助されたことは幾度とあったようです。

この作品では二隻の漁船、12名もの漁師を救ったものの、時はまだペリー来航の前で、ガチガチの鎖国真っ只中の日本の陸地に近づくだけで無警告で砲撃されるという状況です。

どうやって漁師達を安全に引き渡し、また多くの漁師を救ったためにその先の航海で不足することとなった食糧や燃料などを日本で積み込めるかという難題に取り組んだアメリカの船長が主人公です。

今は引退状態でロングアイランドのサグハーバーに住む船長に会いたいとやってきたのが、江戸幕府と開国交渉をおこなおうとするペリー提督の要請を受けた富豪です。

その富豪に対して、幕府との交渉の仕方や日本人気質など、船長が長い時間をかけて語るというストーリーです。

日本の江戸幕府と交渉するために、上総沖に停泊し、救助した漁師の一部を交渉役として上陸させますが、前例のないことで幕府の中でも鎖国を堅持すべしの攘夷派と、領民の命を救ってくれた恩人に報いるべきとの人権派のあいだで混乱します。

鎖国中と言うこともあり、幕府にはわずかに長崎出島にいるオランダ人から教わった英語を学んだ役人はいますが、救われた漁師に英語を理解する者はおらず、言葉でのやりとりができず、絵を描いたり仕草で伝え合ったりと想像を絶する交渉で、その苦労が偲ばれます。

実話を元にしたこうした小説はリアリティがあってグイグイと物語に引き込まれます。とても面白かったので、関連する小説「ジョン・マン」シリーズも読んでみたくなりました。

★★★

著者別読書感想(山本一力)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

コロナ倒産の真相(日経プレミアシリーズ) 帝国データバンク情報部

2021年5月発刊の新書ですので、まだコロナ禍の真っ只中で中間報告的な内容となっています。

意外だったのは、一般的にコロナ倒産第1号は、北海道にあるコロッケ製造販売業者が2020年2月に自己破産を申請したということです。

帝国データバンクがコロナ関連倒産と認定した定義は、「新型コロナが倒産の一因となったことが当事者が認めた場合、または取引先への通知にその記載があること」だそうです。

その後コロナ倒産は増え、2021年3月末時点で1237件、負債総額は4409億円にのぼっています。

しかし実際には2020年は前年から6.5%も倒産件数が減り、20年ぶりの少なさという、倒産件数が大幅に減っている変な現象が起きていました。つまりリーマンショックの時のように「不景気になったから倒産件数が増える」という図式が当てはまらないということです。

それには国や自治体からの様々な補助金や無利子融資など支援があったことが一番の要因ですが、その他にも本書では触れられていませんが、コロナ禍が起きるまで社会から批判の的となっていた企業の「内部留保」のおかげというのも大きかったのではないかなと思います。

様々な業種別の倒産例をあげて解説されていますが、要はコロナが致命傷となったものの、コロナ禍がなくとも経営状態は相当悪かった、あるいは相当無理をしていたというのが倒産した企業の実態というのがよくわかります。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

解錠師(ハヤカワ・ミステリ文庫) スティーヴ・ハミルトン

文庫で560ページという長編で、もし難解な内容だと読むのに時間がかかりそうと思っていましたが、まったくそうした心配はなく、サクッと読めちゃいました。

著者は探偵になりたくなかった探偵「アレックス・マクナイト (Alex McKnight) シリーズ」で有名になった作家さんですが、これはそのシリーズではなく2009年(翻訳版は2011年)に発刊された単独小説で、原題は「The Lock Artist」です。

もし原題のタイトルのままを翻訳版で使うと、英語では「Lock」と「Rock」の違いがわかりやすいけど日本語のカタカナだと「ロックミュージックのアーチスト」と勘違いされそうで、あえてわかりやすい漢字表現のタイトルになったと想像します。

主人公は17歳の高校生で、幼い8歳の時に悲劇が起きてそれ以来ずっと喋ることができなくなっています。

その主人公の一人称で物語は進んでいきますが、過去(高校生時代)と、高校を卒業後に様々な因縁の後にプロとして金庫破りをすることになった時代とが交互に語られていきます。現在(プロローグ)は刑務所の中です。

物語は、なぜ喋れなくなったのか?、なぜ刑務所にいるのか?、金庫破りの技術を教わった師匠ゴーストとは?、一目惚れした相手との恋の行方は?など様々な?が出てきてはその話が語られしていきます。

完全犯罪ものや悪人が活躍するピカレスクものでもなく、趣味で覚えた錠前破りを周囲の悪い人間が次々と利用して引くに引けなくなってしまい、やがては罪の意識もなく金庫破りを仕事としていくようになります。

しかし時には心の葛藤から、犯罪者からお呼びがかかるポケベル(時代は携帯電話がようやく普及し初めた頃)を捨ててしまおうとなんども逡巡するシーンが出てきます。

喋れないという障害を持ちながら、それが障害とはならない解錠師というスペシャルな仕事にのめり込んでいく姿はその成功したときの爽快感とともに気持ちが感情移入していきます。

最後はちょっと単純であっけない終わり方でしたが、たいへん面白かったです。

★★★

【関連リンク】
 10月前半 サラバ(上)(中)(下)、ペスト、団塊の秋
 9月後半 燃える部屋、朝日新聞がなくなる日、傀儡に非ず、残り全部バケーション
 9月前半 メタボラ(上)(下)、そこへ行くな、砂の街路図、ヒトラーの試写室


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1673
2016年と2017年にそれぞれ片方ずつ人工股関節置換手術をおこないましたが、その後毎年1回はその点検のためにX線撮影と医者の問診を受けています。

もう6回目ともなるとおこなうことに代わり映えがないので飽きてきましたが、施術してもらった医師がまだこの病院で頑張っているとかどうかの確認作業と思って通っています。



この人工股関節のレントゲン写真は、毎回見せてもらってますが、代わり映えしないので、ここ3年ほどは撮影していませんでしたが、今回は久しぶりに写真を撮ってきました。

2022年の画像では骨頭(丸いボールのような部分)とインサート(ライナー)の部分に少し隙間があるように見えますが、撮影の感度の問題と思われ特に以前と変わりはないようです。

術後はとても順調!と言いたいところですが、実は2017年におこなった左足の手術直後から股関節ではなくその周辺の神経にピリッとした痛みがあり、それは5年経った今でも特定の動きをしたときに痛みます。

医者が言うにはレントゲン写真を見る限り異常は認められないとのことで、人工股関節自体は正常に入っていて問題はなさそうです。私の想像ですが、手術の時にどこか足の神経か筋を傷つけてしまったのかも知れません。そういうことは医者は認めることはないですが。

具体的に言うと、左足の腿上げをするとひどく痛みます。私はバイク(スクーター)に乗りますが、足を着いて停まっている時から動き出した時に、両足を引き上げてステップの上に置く際、右足はなんの違和感もないですが、左足を引き上げるのがとても痛んでツライということです。

もうそれを5年も続けているので慣れたとも言えますが、ウォーキング中にやや速歩で歩くときに意識をしてないと痛みのない右足は強く蹴り出せますが、痛む左足の蹴る力は弱いとなってチグハグな歩き方になります。できるだけ意識をして両方バランス良く歩くように努めてはいますが。

今回医者と話しをしましたが「一般的に手術後に鼠径部が痛む人は時々いるけど、(私のような)太モモの外側(身体の横側)が痛むというのは聞かない」とのことで、触診して「やや左側の太モモの筋肉が右側よりも小さい」と言われ、足上げとかで左側の筋肉を鍛えるように言われました。

う~む、筋肉の強弱という問題ではなく、伸びたときにピリッと痛む交感神経系の痛みなんですけどねぇ、、

ま、変形性股関節症で人工股関節を入れる前は、なにもしなくても寝ていて寝返るだけでもひどく痛み、もちろん歩くこと自体がつらかったことを考えると、今の痛みは1/10ほどの感覚なので、手術は受けて良かったと心から思っています

あと、この痛みのあるところに直接貼るわけではないですが、足のふくらはぎの部分がよくこるので、いつものようにロキソプロフェンNaテープを処方してもらいました。

【関連リンク】
1630 人工股関節置換手術のリアル
1582 人工股関節置換 右側5年 左側4年定期検査
1033 変形性股関節症の人工股関節全置換手術(1)



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1672
「これを食べると健康になる!」というのは、ワイドショー番組やテレビショッピングなどでは常道のネタですが、現実的には何事もほどほどに、偏らず、季節に応じたいろいろな種類の食べ物(栄養)を摂るというのがもっとも正しいことでしょう。

「孫は優しい(まごわやさしい)」という合い言葉?は、ま:豆、ご:胡麻、わ:ワカメ、や:野菜、さ:魚、し:椎茸、い:芋類を適度に食べると健康的で身体に良いということですが、もちろんそれ以外にも、「長寿の人はみな肉をよく食べる」とか、卵や玄米、牛乳など乳製品が良いという話もよく耳にします。

そして私が一番楽しみにして毎日欠かさず食べているのが果物です。

先月、たまたまこういう記事を見つけました。

野菜・果物多く食べると死亡リスク低下、国内の大規模調査で初めて裏付け(讀賣新聞2022/9/8)
野菜や果物を多く食べる人は、そうでない人と比べ、20年以内に死亡するリスクが7~8%低かったとの研究結果を国立がん研究センターと横浜市立大のチームがまとめた。ビタミンや食物繊維を豊富に含む野菜や果物の摂取は健康のために重要とされるが、国内の大規模調査で裏付けされたのは今回が初めてという。

また、1年前の記事ですが、こういうエビデンスもあります。

カラフルな「果物」を食べると肥満やメタボのリスクが減少 認知機能の低下も抑制(日本医療・健康情報研究所/創新社)
ブルーベリー、オレンジ、ブドウ、リンゴなどカラフルな果物を食べていると、肥満やメタボのリスクが低下するという研究が発表された。果物を毎日食べていると、認知機能が低下するリスクが20%減少するという研究も報告されている。

こうした記事を読んでから急に食べ始めたわけではなく、もう10年以上前から、夕食の量を思い切って減らして、その代わりに果物(果実的野菜含む)を食べる習慣をつけています。

但し、糖質を多く含む果実(バナナ、ブドウ、柿など)については、お米や小麦粉を摂るのと同様、食べ過ぎには注意が必要です。

スーパー果物売り場 春:イチゴ、メロン、枇杷、グレープフルーツ
夏:スイカ、桃、梨
秋:梨、葡萄、柿、イチジク、リンゴ、洋梨
冬:みかん、イチゴ、リンゴ、キウイ
年中:パイナップル、バナナ

これらを季節に応じて2~3種類、夕食で減らした分を補うように食べています。

元々、子供の頃からフルーツは大好きで、生まれが農家だった母親もジャンクなおやつの代わりや、夕食後の小腹が空きそうな頃によく季節のフルーツを出してくれました。

それが親元を離れてからはフルーツを摂ることはあまりなかったのですが、10年以上前に中年太りになりそうで、ダイエットをしようと思い立ち、夕食、特に米飯を大きく減らし(徐々に減らして今はほとんど食べない)、代わりに水っぽいフルーツを食べる習慣ができたという次第です。

元々好きなフルーツですから、面倒くさく嫌々やる運動やジム通い、コストがバカにならないサプリメント錠剤の摂取ではなく、毎日楽しみが増えてずっと続けられます。それに旬のフルーツだと安く買えます。

上記の記事などで健康のお墨付きももらい、この習慣はきっと死ぬまで、あるいは口から栄養が摂れなくなるまで続けるでしょう。

香港八百屋

本当なら香港にいたときに八百屋さんに並んでいたマンゴーやマンゴスチン、ライチ、ドラゴンフルーツ、スターフルーツなど、トロピカルなフルーツも食べてみたいと思っていますが、香港と違って輸入モノってバナナやパイナップルは別として結構高くて敷居が高いので、上記のような日本の季節に合わせた果物や安い輸入の果実で今のところは満足しています。

【関連リンク】
1176 フルーツと糖質制限
1039 減り続ける米需要
759 糖質ダイエットについての備忘録その1




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1671
ヨーロッパの都市部と日本の都市部の風景を見比べると明らかな違いを感じるのが、日本の道路という道路に張り巡らされている電柱と電線です。

以前から、皇居周辺の道を歩くと、なにか外国に来たかのような錯覚に陥るのも、あのあたりには電柱や電線がなく、普段見慣れない風景に出会うからです。

その電柱の地中化ですが、以前から政治家が国民や市民に対して人気を得るために時々公約に入れたりしますが、どうにも遅々として進んでいません。

ロンドンやパリ、香港やシンガポールでは電線地中化はほぼ100%が完了しており、台湾の台北は96%、韓国ソウルも約50%が電線地中化がされていますが、世界に冠たると思っていた東京都は23区に限ってもたった8%、大阪市も6%です。(2022年国土交通省調べ)



高級住宅地で有名な成城学園にあるお屋敷の周囲もこういう感じです。数十億円のお屋敷も台無しですね。



上の成城学園の高級住宅地でもわかる通り、日本の道路は狭く、その狭い道路の下にはすでに上下水道やガス管などが埋設されていて、さらに電線や通信線(電話回線やCATVなど)も埋めようとすると、かなり難易度が高そうです。

なぜ電線の地中化を推進するのか?というと、

1.防災
2.交通安全、円滑
3.景観・観光

と言うことです。

1.防災は、台風や竜巻など暴風で電柱が倒れてしまう映像が毎年のように報道されます。そうなるとその地域は長く停電し、復旧が遅れることになります。

また大きな地震発生時にも、地下に埋設されたケーブルの被害は地上にある電柱電線よりはずっと安全で被害も少ないと言われています。



2.の交通安全、円滑は、歩行者にしてもドライバーにしても、電柱が邪魔に思えたことは何度もあるでしょう。うちの近所にある道路からピョコンと飛び出ている電柱は、何度もクルマに接触された跡が残っています(上の写真左)。

また、狭い歩道の真ん中に電柱が立っていて、車椅子はもちろん、普通の歩行者ですら一度車道に出ないと通れないというバカげたところもあります(上の写真右)。

3.の景観・観光は言うまでもないことでしょう。見事な文化遺産や自然遺産があっても、その周囲には複雑に絡み合った電線や、張り紙だらけの電柱があるとそれだけで興ざめです。せめて観光客の多いところはみっともないので早急に地中化してもらいたいものです。


写真:一般社団法人無電柱化民間プロジェクト実行委員会

地中化を加速するには行政だけでなく民間の力も必要です。民間企業がそれに乗るのは、「地中化するほうが経済効率が良い」とならなければ動きません。

最近、近所で農地だった場所に大規模な住宅開発がおこなわれているのを見ましたが、不動産デベロッパーは、まず広大な土地に土を盛って均し、私道を通して住宅の区割りをします。その次になにをしたかというと、道のあちこちに巨大な電柱を何本も立てました。つまり現在のところ住宅地にはまず電柱ありきということです。

電柱の地中化は公共事業だとしても史上最高の財政赤字が積み上がっている現在、そうしたインフラ投資に果たしてどこまで予算を回せるか?という点が気になります。

老朽化して通行止めになっている橋や、削れてボコボコになっているアスファルトの道路ですら「予算がない」ということで補修されなくなってきているのにです。

東日本大震災の復興税では、「荒川税務署の改修」「南極でのシーシェパード対策費」「国立大学の改修」「国会議事堂のシャンデリアのLED取替え」などに使われていたとか、コロナ交付金でも「役所の給茶器」とか「モニュメントの鐘」など、同様に便乗した無駄遣いが報告されています。

本来はこうした未来につながるインフラ投資こそ、税金の無駄遣いとは言わせない有効な使い方のような気がしますがどうなのでしょう。

【関連リンク】
1411 水道インフラ老朽化の心配と水道料金上昇
814 日本に外国人観光客を呼ぶ
802 観光後進国日本の現実



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1670
サラバ(上)(中)(下)(小学館文庫) 西加奈子

2014年に単行本、2017年に文庫化された長編小説で、2015年に直木賞を受賞した作品です。

主人公の男性が一人称で子供の頃から大人になるまでの複雑な家庭の事情と、自身の交友関係を中心に語っていきます。

父親の仕事の関係でイランで生まれ、一度は母親の実家がある大阪へ帰国するものの、小学生の頃にはやはり父親について家族でエジプトへ引っ越します。

これは著者自身の実体験が元となっているようで、現地の風俗や日本人学校の様子など、リアリティがあり読んでいても引き込まれます。

この子供時代に外国で生活している時代が、80年代後半頃でちょうど日本がバブルの真っ只中、日本人全体が自信にあふれていて生き生きとしているのがよくわかります。

そんな中でも主人公の家族にはちょっと変わった母親と、かなり変わった姉がいて、幼いながら主人公はそれらにできるだけそれには関わらないように苦心しています。

エジプトでは同年齢の現地エジプト人の友人ができ、アラビア語で「さようなら」のことを「マッサラーマ」と発音することから、それと日本語の「サラバ」を重ねて二人の合い言葉にして、いつも「サラバ!」と声を掛け合うことになります。それがこの小説のタイトルとなっています。

この小説の主人公は、身長が高く綺麗な顔立ちをしたモテモテの男性ですが、どこまで女性の著者の願望と体験がリンクしているのか気になるところです。

主人公の母親の母親(主人公の祖母)や姉(叔母)、以前住んでいたアパートの大家さんで背中に菩薩の刺青があり、やがては周囲から教祖様に持ち上げられていく女性など、魅力ある人達が次々と登場してきますが、これもまた著者の親族からなにかしらのモチーフを得ているのでしょうか。

そして大学生活や、アルバイトを続けながら、ライターの仕事も請け負い、そしてやがては家族と友情を描いた小説を書くという主人公と著者が重なっていくところが面白かったです。

★★★

著者別読書感想(西加奈子)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ペスト(新潮文庫) カミュ

原題は「La Peste」で、1947年に発刊された長編小説です。新型コロナウイルスが流行したことで、この作品が一躍見直されて有名にもなっています。

映画「ベニスに死す」は1911年に南欧でコレラが大流行した時の模様が描かれていましたが、こちらはタイトル通りペストの流行で、1940年代はフランス領だった北アフリカのアルジェリアの港町オランが長期にわたり封鎖され、治療薬もなく絶望的な中、医者達の奮闘の模様がまるで見てきたようにリアルに描かれています。

もちろんこれはフィクションの小説ですから、実在する町オランでそのようなことが起きたという事実はありません。

不条理文学と言われるカミュが、ペストがひとつの町を襲い、大人も子供も、献身的な人も、敬虔な信者も誰もかもペストに罹ると不条理な死を迎えるという、ある意味では、新型コロナウイルスなど、常に脅威の細菌やウイルスが流行してバタバタと亡くなっていく自然節理をシュミレートしているものです。

登場人物が何人も出てきますが、それがなかなか覚えられず、読み進めていくと時々混乱してしまいます。

そこで登場人物一覧を作ってみました。海外小説では巻頭に登場人物一覧があるのが通例ですが、これにはありません。この登場人物一覧を印刷し、しおりの代わりに使うと便利です。

登場人物一覧
ベルナール・リウー 主人公、医者
リウー夫人 リウーの妻と母、母とリウーは同居、妻は病気で離れた療養所にいる
ミシェル リウーの住むマンションの門番、ペストに罹って死亡
ジャン・タルー ホテルに住む謎の人物、ペスト患者対応でリウーに協力、日記を記す
リシャール 医師会会長、医師
カステル 老医師、免疫血清を研究
オトン 法廷判事、子供をペストで亡くす
レイモン・ランベール 新聞記者、仕事でこの町に来ていたところ封鎖されて出られなくなる
ジョセフ・グラン 市の臨時の下級役人
ジャーヌ・グラン ジョセフの妻
バヌルー 神父、ペストに感染するも主義から医者の治療を拒む
コタール 犯罪者、自殺未遂をリウーに助けられる小男
ゴンザレス 町から脱出したいランベールに頼まれラウルを紹介する密輸商
ラウル 町から脱出を請け負う男
マルセル 町から脱出の手伝いをしている高校生
ルイ 同上、マルセルの兄弟

なお、朱戸アオ作のコミック「リウーを待ちながら」(2018年)は、日本でパンデミックが発生するパニックを描いた医療サスペンスですが、タイトルのリウーはこの作品の主人公をインスパイアしたものということです。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

団塊の秋(祥伝社文庫) 堺屋太一

単行本が2013年に発刊され、2019年に亡くなられた著者の小説としてはおそらく最後の作品です。文庫は2019年に発刊されています。

「団塊の世代」が発刊されたのが1976年、団塊世代が30歳前後になった頃で、社会的に大きな影響を及ぼしてきました。そしてこの本が発刊された2013年頃は団塊世代が完全に定年を迎える65歳ぐらいに差し掛かる頃です。

65歳なら人生で言えばもう「冬」ではないの?ということですが、巻頭に「人生は、玄(くろ)い冬にはじまり、青い春と朱(あか)い夏を経て、白い秋に至る。暗い冬で終わるのではない。」とあります。

しかしこの小説に登場するのは、学生時代の1971年に、学割の海外ツアーで出会った人達が、その後も仕事や思想は様々ですが、度々集まって老年に入っても会食を共にしていきます。

その人達とは、東大出の厚生省官僚、大手都市銀行勤務、弁護士で野党の国会議員、朝日新聞社がモデルと思われる大手新聞社勤務、三洋電機がモデルと思われる大手家電メーカー勤務、高校教師で夫婦とも公務員で定年まで勤務、大手商社勤務を辞めて実家の建設業を継いだ男性と、それぞれ誰もがうらやむ?キャリアを歩んでいきます。

読んでいても、年金が夫婦で50万円とか、退職金が6千万円とか、思いっきりひがんでしまいます。

例えば厚労省官僚として、あるいは大手都市銀行や大手新聞社で定年を迎えた男は、定年後の天下り先には事欠かず、最後まで仕事や収入に恵まれています。

高校教師だった女性は定年まで働き、結婚した相手も公務員で、バブル時に家を買い、高金利のローン返済に汲々としますが、二人して満額の年金をもらうことで余裕の老後生活です。

この登場人物で、一番たいへんだったのは、三洋電機がモデルの大手家電メーカーへ就職した男性が、やがて松下電器?に吸収されて閑職へ出され、その後は配送センターやタクシー運転手へと仕事が変わっていく人と、大手商社を辞めて実家の建設業の跡継ぎとして社長になりますが、バブルが弾けた途端に破産してしまい、財産も家も失ってしまい嫁の実家に転がり込むことになる男性。

しかしいずれの登場人物もそれなりに幸せをつかみ、最後は2028年に集まろうとレターを出して、現状がそれぞれ報告されるところで終わります。

未来予測小説でもありますが、実際のその後の世界は新型コロナで世界中がパンデミックに襲われるとか、ロシアがウクライナに侵略し、制裁措置で世界が真っ二つに分かれてしまい、石油や天然ガス、食料品などが不足するなど思いもよらないことが起きています。

小説に何度か出てくる、日本の戦争犯罪を何度も持ち出されて糾弾されるのも困りますが、これ以上、キナ臭いことが起きないことを願うばかりです。

団塊の世代で華々しくデビューした著者の最後の作品としては、こちらもやや楽観的過ぎ、独善的とは思いますが、同じ時代をおくってきた団塊世代には共感するところが多いでしょう。

★★☆

著者別読書感想(堺屋太一)

【関連リンク】
 9月後半 燃える部屋、朝日新聞がなくなる日、傀儡に非ず、残り全部バケーション
 9月前半 メタボラ(上)(下)、そこへ行くな、砂の街路図、ヒトラーの試写室
 8月後半 R帝国、レインツリーの国、冷蔵庫を抱きしめて、追撃の森


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