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1592
海の見える理髪店 (集英社文庫) 荻原浩

2016年に単行本、2019年に文庫化された短篇集で、2016年の直木三十五賞を受賞した作品です。1997年に「オロロ畑でつかまえて」でデビューしてから22年目での受賞となりました。

私はそのデビュー作含め過去に23作品を読んでいますが、もっと早く受賞していても全然おかしくはない活躍ぶりです。

この短篇集は、それぞれ独自の「海の見える理髪店」、「いつか来た道」、「遠くから来た手紙」、「空は今日もスカイ」、「時のない時計」、「成人式」の6篇が収録されています。

共通するテーマはハッキリとは書かれてはいませんが「家族」とか「血縁」というところでしょうか。

中でも本のタイトルにもなっている「海の見える理髪店」は短篇ながら2世代の濃い人生が語られ、読者もあれこれと想像を膨らませる展開で、最後に感動と涙を誘う展開へ向かいます。これは素晴らしい。

著者の長編小説にも素晴らしいものがたくさんありますが、それと比べると短篇にはコミカルな妖怪モノなどちょっと息抜き?って感じで印象深いものはあまりなかったのですが、これは大人の深い小説で確かに一級品です。

「海の見える理髪店」が男同士の関係なら、「いつか来た道」は同じテーマでの女同士の関係を描いています。この二つはペアと言っても良いかも知れません。

★★★

著者別読書感想(荻原浩)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ダナエ (文春文庫) 藤原伊織

ちょっと古い2007年単行本、2009年文庫化された短・中篇小説集で、「ダナエ」、「まぼろしの虹」、「水母(くらげ)」の3篇の構成です。

本のタイトルになっている「ダナエ」とは私は知らなかったのですが、オランダの画家レンブラントがギリシャ神話をテーマにして1636年に描いた大きな裸婦(ダナエ)の絵画のことです。(レンブラント以外にも多くの著名画家がダナエをテーマに絵画を描いています)

そしてこの絵画は1985年にリトアニア人の青年に硫酸を浴びせかけられ、さらに刃物で切りつけられたという過去があります。

それになぞった形で、そこそこ著名になった主人公の画家が描いた妻の父親で大企業のオーナーの肖像画を展示中、硫酸をかけてナイフで傷つけられるという事件が起きます。

神話では美しいダナエは権力者の父親に軟禁されていましたが、全知全能の神ゼウスの子を産むことになり、その子がダナエの父親を殺すというストーリーに沿った形で、絵のモデルとなった主人公の義理の父親の元へ殺人予告メールが届きます。

絵画の世界に詳しくないとさっぱり理解できないところですが、小説の中でそうした説明がちゃんとされますので安心して読めます。ギリシャ神話って深いですからね。

惜しむらくは中篇なので、事件やギリシャ神話の解説などでバタバタとしているうちにアッという間にクライマックスに入ってしまい、「起ーーーー承ーー転/結」って感じ。尻切れトンボじゃないですが、終わり方が慌ただしくてちょっと残念な感じです。

あとの2篇は印象の薄い短篇で、ちょっと迫力に欠けてしまっています。

★★☆

著者別読書感想(藤原伊織)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

それまでの明日 (早川書房) 原りょう

そして夜は甦る」(1988年)、「私が殺した少女」(1989年)、「さらば長き眠り」(1995年)、「愚か者死すべし」(2004年)に続く5作目の長編小説です。過去の作品はいずれも文庫化されてまもなく買って読んでいます。

もちろんこれも前作に続きレイモンド・チャンドラーに影響を受けて創造した「私立探偵沢崎シリーズ」で、2018年に単行本、2020年に文庫化されました。

東野圭吾氏や貫井徳郎氏のように1年に何冊もの長編小説を書く作家さんも多い中、30年で5作品だけです。

しかもこの「それまでの明日」が出たのはその前の「愚か者死すべし」が出てから14年が経っていました。


これでちゃんとプロの作家として生活ができているのかは大きなお世話ですが心配になります。

それはそうと、この作品も過去の作品同様たいへん面白く読めました。ちょっと冗長な感じはしましたが。

シリアスな場面とコミカルな思いがうまくマッチしていて、読むのに疲れません。ただ登場人物の半分が過去のシリーズに出てきた人なので、それらを読んでいないとどういう関係なのかわかりにくいかも知れません。

ストーリーは、赤坂にある老舗の料亭への融資に関連してそこの女将を調べて欲しいと、ある消費者金融会社の支店長に頼まれたものの、調べるとその女将はすでに亡くなっていてそれ以上調査するのかどうかを依頼人に聞くため勤務場所へ行くと、そこで二人組の武装強盗に遭ってしまいます。

そこから話しはややこしくなってくるのですが、暴力団の抗争と裏金の隠し資金、強盗事件で一緒に人質になった謎の若いベンチャー企業経営者の関わり、依頼人の支店長の失踪、腐れ縁の新宿警察署警部補との丁々発止、探偵事務所のビル取り壊しによる移転交渉と連絡先不明の隣部屋の写真家などなど。

マーローと同様、一人称で語られていくストーリーなので、登場人物が多くても会って話しを聞いているのは常に誰か一人だけですので、混乱することがなく次々とやっかいごとが降りかかってきても順序よくこなれていきます。

そして最後には、次作へつながりそうな終わり方をしていますので、また十数年後になるのかも知れませんが、楽しみに待つことにします。

いや~マーローは消え、スペンサーもいなくなり、スカダーは時の流れと共にすっかり老人になってしまい、頼みはこの探偵沢崎だけです。

そう言えば、文庫あとがきに、著者はギャビン・ライアル著の「ハリイ・マクシム少佐シリーズ」が気に入っているということが書かれていたので、今後はそちらも読んでみようと思っています。その文庫帯の推薦文を著者が書いていたりしています。ライアルの作品では有名な「深夜プラス1」だけは25年前に読んでいますから懐かしいです。

★★★

著者別読書感想(原尞)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

死の接吻 (ハヤカワ・ミステリ文庫 20-1) アイラ・レヴィン

著者はアメリカの作家で、今回の「死の接吻(原題:A Kiss Before Dying、1953年)の他にも有名な「ローズマリーの赤ちゃん(1967年)」や「ブラジルから来た少年(1976年)」など大ヒット作を残した方で、いずれも原作を元に映画化されています。

著者の作品を読むのは今回が初めてですが、昨年、映画の「ブラジルから来た少年」を見ました。そちらもとても面白かったです。

この作品は今から68年も前に書かれたサスペンススリラー小説ですが、まったく古くささは感じられません。

貧しい出ながら容姿に恵まれた男性が、大企業オーナーで富豪の三女に狙いを付けてうまく関係を持ちますが、予想外の妊娠が発覚します。

まだお互い大学生同士ということもあり、このままデキちゃった結婚をすると、風紀に厳しい父親から絶縁されかねないと判断し、殺人に手を染め、さらにその上の姉の次女に乗り換え、さらにはその上の長女へと、、、

うーこれ以上は書けません。

とにかく、発刊の時期や時代背景はなにも知らずに読んでいたので、現代の小説か?ぐらいに思っていました。それほど新鮮で素晴らしい内容です。

その中で、その主人公とも言える犯人の男性が、大学に入る前に陸軍に所属していた時、太平洋戦争で日本軍兵士を目の前で殺した回想シーンが出てきますので、「あ、これは70年も前の物語なんだ」と感じた次第です。

著者にとってはこの作品がデビューの長編小説で、いきなり著名なエドガー賞処女長編賞を受賞します。

その後の活躍は上記に書いたとおりで作品数は少ないものの、出せば世界的なベストセラーという才能のある方で、今後他の作品も読みたいと思います。

★★★


【関連リンク】
 11月前半 風に舞いあがるビニールシート、探偵刑事、桶川ストーカー殺人事件、白い声
 10月後半の読書 沖で待つ、瑕疵借り、熊野古道殺人事件、東京消滅、最後の命
 10月前半の読書 後巷説百物語、すべては死にゆく、シルエット、ニュータウンは黄昏れて、60歳からの生き方再設計

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1591
2年間続くコロナ禍の中で、比較的密にならずにできるスポーツとしてゴルフが見直されているそうです。

下記の記事は、ゴルフ練習場の話しですが、練習場では若年層の利用が増えてきているそうです。リモートワークワークで自宅にいる機会が多いことも関係してそうです。

コロナ禍で若年層中心にゴルフ人口拡大(綜合ユニコム)
ゴルフマーケットはコロナ禍においても大きな影響を受けなかった数少ない産業の一つといえる。特に2020年のゴルフ練習場の売上げは116%(経済産業省特定サービス産業動態統計調査調べ)と前年を上回った。(中略)
図らずもコロナ禍によって一気に60万人もの若年層ゴルファー(矢野経済研究所「コロナ参入・リタイアゴルファー実態調査2021」より)を新たにつくり出してしまった

練習場とは言え、若い層がゴルフを始めているというのは業界関係者にとっては喜ばしいことでしょう。

ただ、そうした中で、ゴルフ(コース参加)人口の推移はというと、昨年2020年も2019年に続き減少しています。元データは、日本生産性本部「レジャー白書2020」です。

ゴルフ参加人口の推移(万人) 出典:公益財団法人・日本生産性本部(レジャー白書)
2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年
1340 1040 1080 1030 1080 890 830 950 960 810
-29% 4% -5% 5% -21% -7% 13% 1% -19%
2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
800 790 860 720 760 550 670 670 580 520
-1% -1% 8% -19% 5% -38% 18% 0% -16% -12%

2001年の1340万人から2020年の520万人へと20年間でなんと約6割減です。

スキー人口は1998年のピーク時から1/3以下へとゴルフ人口以上に大幅に減っていますが、それと似たような傾向が見られます。

しかしスキーと違ってゴルフは割と気軽にできるので、上記のように、2020年に練習場デビューした60万人と言われる若年層の一部が、今年以降にコースデビューするでしょうから、2021年のゴルフ人口は少し戻りそうな気がします。

では、ゴルフ(コース)業界の未来は明るいか?というと、もちろんそうではないでしょう。

先日、新聞に、年齢層別ゴルフ人口数が掲載されていたのをみて驚きました。

というのも、10代~70代までの10年毎の年齢層でゴルフ人口(コースでプレイ)が一番多いのが、圧倒的に70代と言うことです。

50代でもなく、60代でもなく、少し前だったら寿命が尽きる直前でヨボヨボの老人というイメージだった70代がゴルフというスポーツで全世代中でトップなのです。しつこいですがゲートボールではなくゴルフの人口です。

新聞に掲載されていたデータからの抜粋ですが、こちらも元データは、日本生産性本部「レジャー白書2020」です。



コースに出てゴルフをプレイしている人は、1/3以上(35%)が70代です。60歳以上とすると56%の過半数を占めます。まるでゴルフコースは老人クラブのようです。

その理由を考えてみると、青木、尾崎、中嶋など人気プレーヤーが活躍してゴルフ人気が沸騰した1970年代~80年代の高度成長期にゴルフを始めた元々人口が突出して多い団塊世代のゴルフ人口(経験者)が多いこと。

その人達がすでに70歳を過ぎ、仕事からリタイアして暇になり、平日でもいつでもプレイできるようになったというこの2点でしょう。

では10年後、20年後はどうなるでしょう?

いくら元気な団塊世代も、80代、90代になってゴルフに行く人は少数になっていくのではないでしょうか?男性の平均寿命は、2020年で81.64歳です。

自分が元気でも、いつも一緒に行っていた仲間が病気だったり亡くなったりすれば行く気も薄れるでしょう。

好きな人はひとりでも行くでしょうけど、送迎のクルマの相乗りとか含め、基本は3~4人でするスポーツですから。

ということは、ゴルフ業界としては現在40代~50代のやはり人口層が多い団塊世代ジュニア達に期待したところですが、バブル時代の経験がないこの世代にはゴルフは贅沢で時間とお金のかかる面倒なスポーツで、他にも選択肢が数多くあるスポーツの中では決して多数派ではないでしょう。

最後に、球技スポーツ用品の売上シェアは下記の通りです。データ出典は上記と同じです。

球技スポーツ用品市場シェア(2020年)
ゴルフ   63%   3170億円
野球・ソフトボール  18% 920億円
テニス 9% 440億円
卓球・バトミントン 6% 310億円
その他 4% 180億円



球技の中では突出してゴルフ用品の売上額が多く、ゴルフ用品(クラブやウエア、シューズ、ボールなど)は今まで比較的裕福で派手好きな団塊世代の購買力の恩恵を受けていたわけですが、今後10数年のあいだにそうした需要は一気に萎んでしまう可能性があります。

スポーツ用品、特にゴルフ用品に力を入れていた会社はお先真っ暗って感じがします。

そう言えば数年前に、ナイキやアディダスが先を見越してかゴルフ用品から撤退というニュースが流れていました。

昨年には10数年ぶりにゴルフコースにも出ましたが、平日と言うこともありやはりほとんどは60代、70代と思える人ばかりでした。

また女性のプレーヤーが増えているような話しも聞いてましたが、見たところ10人に1名ぐらいの割合で、増えたという感じはしませんでした。

で、私の今年は、コロナ自粛もあり、出不精になってしまってとうとう1年近く開いてしまいました。練習にも行ってないので、コースに出ても楽しむと言うよりあっちこっち走り回ることになりますけどね。

【関連リンク】
1451 再びゴルフ場とゴルフ人口の推移
1135 ゴルフクラブについて
973 ゴルフ場と利用者の推移
696 五輪競技除外候補とスポーツ競技人口



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1590
現役時代、人材ビジネス業界に長くいたので、多いときは1日10名以上の面接を毎日する機会があり、さらに慣れていると言うことで人事部に頼まれ、新卒や中途採用の正社員や契約社員の面接をする機会が多くありました。

さらにこれは面接とは違いますが、年2回、社員の人事考課で多くの社員面談をする機会もあり、人との面接、面談をこなしてきた数は国内有数かも知れません。

おかげで人を見る能力は鍛えられました。

そうした面接の中でも社員採用の場合は、あまり履歴書は見ないで、軽い世間話をしながら人となりを見ることに重きを置いていました。

新卒の場合は、一般的によく言われる「地頭」重視ではなく、「やる気」「本気度」「可能性」「誠実性」「礼儀やマナー」などを、中途採用の場合は「誠実性」「過去職の退職理由」「理想の生き方」「やりたい仕事」などをメインに聞いていました。

そして、その中で世間話の一環でよく聞いたのが「最近どういう本を読みましたか?」という質問。

どういう志向の人なのか、なにに興味を持っているのかをサラリと聞くためでもあります。

この質問にすぐに答えられる人は意外と少なく、しばらくジッと考えたすえ「少年ジャンプです」とマジ顔で答えた新卒で就活中の最高学府の学生さんもいました。

よくある無難な答えとして「村上春樹をよく読みます」とか「宮部みゆきの火車です」と、軽めの小説をひねり出してくる人が多かったです。

残念ながら「イワン・ツルゲーネフです」とか「ジェフリー・チョーサーです。チョーサーの作品はは長編も好きですが、詩がとても素敵だと思います」などと即座に答えてくれる人は、数百名の中でひとりもいませんでした。

読書好きな人なら答えはすぐに出てくるでしょうけど、採用面接ともなれば「思想や宗教本ではなく無難なモノを選んで答えた方が良さそうだな」と、読書家ではない人は、「ハテ、前に本を読んだのはいつだっけ?大学の教科書じゃダメだろうな?うーんどうしよう」という感じですぐには返答が返ってきません。

しかし、この「愛読書は?」的な質問は、昨今では採用面接ではダメなんですってね。知りませんでした。

少なくとも私がその手の質問をしていたのは、15年以上前のことですから許してもらえるでしょう。

採用面接でNG質問「愛読書は?」急増、巣ごもりで「読書が趣味」の高校生増え(読売新聞)
「愛読書は?」。企業の採用選考の面接では、能力や適性に関係がない質問だとして「NG」とされるが、滋賀県教育委員会の高校生対象の独自調査で、愛読書を尋ねた事例が昨年度は前年度の3倍近くに増えたことがわかった。
中略
採用側が能力や適性に関係ない事柄を質問することは就職差別につながる恐れがある。厚生労働省はホームページで、両親の仕事などの「家族」、愛読書や尊敬する人物などの「思想信条」に関することを不適切な質問として例示

ということらしいです。

「愛読書」は「思想信条」に影響するらしいけど「最近読んだ本」はどうなのでしょう?やっぱり返答によっては「思想信条」に関わったり、「能力や適性に関係がない質問」とされるのでしょうか。

私は、履歴書に書いてあることに関連した質問をしても、あらかじめ無難でお利口さんの返答を用意しているのはわかりきっているので、それとは関係がない「最近読んだ本」を世間話的に聞くことで、「予期しないことへの対応力」や「軽い雑談的な話しをして緊張を解いてあげよう」というつもりなんですが、返答次第では「愛読書」と同様「思想信条」に関することになるのかも知れません。

しかし、特に履歴書の中に「趣味:読書」と書いてあれば、どういう分野(人文科学とか外国語とか歴史とかビジネス書とか古典小説とか)が好きなのかを面接官が知りたいと思うのは普通のことだと思います。しかし厳密に言うとそれすら「能力や適性に関係がない質問」としてダメなんでしょうね。

なにかそれは違うような気がしますけど、最近読んだ書籍によって、「彼の思想は危険かも」「彼女の趣向はやっかいそう」という判断につながりかねないとも言えませんから難しいものです。一般的に人事部って企業の中でも一番保守的な考えをする人が多いセクションですから。

【関連リンク】
1441 コロナ後の日本の行くべき道は
1144 面接の達人?
1113 ありきたりだが新入社員へ贈る言葉



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1589
国際社会では環境問題のひとつとして「Co2排出量の削減」が大きなテーマとなっています。

しかしこれって一般的な社会生活の中では、環境問題が地球規模という大きさと、各国の政策(発電方法や産業構造)と深く関わっているだけに、あまり日常的に身近ではないことがわかりにくい理由です。

当初は、Co2を多く出す企業、例えば発電をおこなう電力会社や、大規模な製造業、運輸輸送業に対して対策をすればいいんじゃない?ぐらいに思ってしまいますが、それだけに責任と対応を押しつけるだけではダメという状況になってきました。

特に製造業で飯を食っている日本やドイツ、中国などは、当然Co2排出量は多くなり、国際社会から狙われやすいということもあります。

具体的に、一般生活にどういう影響があるかというと、ホンの一例ですが、1885年にダイムラーとベンツが内燃機関エンジンを積んだ自動車を販売して以来130数年以上続いてきたガソリン車が早ければ10数年後には消えていきそうです。

ガソリン車廃止、24カ国が合意 2040年まで、日米中独は不参加―COP26(時事通信)
国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)で、2040年までにガソリン車の新車販売を停止し、全てゼロエミッション(排出ゼロ)車とすることに24カ国が合意した。

もちろん、耐久性からみて新車販売がなくなってもその後20年ぐらいはガソリン車も併用して使われることになるでしょうけど、問題はEVばかりになればガソリンスタンドが生き残れません。

給油をするためにわざわざ遠くにあるスタンドまで行かなければならなかったり、遠出をするときには今のEVに乗っている人が充電設備がある場所を調べておくのと同様、あらかじめ給油できる場所を調べておくということになりそうです。

最近は80年代から90年代に製造された国産車が旧車ブームに乗って人気です。当時と燃料は同じですから使用に差し支えありませんが、もしガソリンスタンドが次々と消えてしまえば、10数年後には旧車ブームは一部の裕福なマニア以外、跡形もなくなるでしょう。

では、どれだけのCo2削減を目標としているのかというと、日本は2013年と比較して9年後の2030年までに26%削減(義務)、29年後の2050年までに80%削減(努力義務)するということです。その他の国と比べると下記の通りです。


引用:四国電力

しかしこうした2013年から2030年までに26%削減、2050年までに8割削減と言われても一般人にはよくわかりません。

少しわかりやすくするために、現在およそ8割を占める化石燃料を使う火力発電を2030年までに約5割以下まで引き下げなければなりません。今回開催されたCOP21でも化石燃料の利用を削減する目標が検討されました。

日本は中国やインドほどではないにしろ、未だ石炭で火力発電をしている割合が高く、反発するNGO団体から不名誉な「化石賞」を受賞するなど評判は良くありません。

改善するには本来ならグローバルスタンダードになりつつある再生可能エネルギー(水力、太陽光、風力、地熱、バイオマスなど)を増やしていかないといけないわけですが、政府案の電源構成計画はこれだけ痛い目に遭っていても原子力発電に頼っていて下記のグラフの通りです。


引用:四国電力

発電事業でこれほど非現実的な計画ですから、発電事業計画の未達分をその他の産業、製造業や運輸業など、さらには国民に対して様々な環境規制をかけしわ寄せしてくるのは必至でしょう。

それは産業界だけでなく、一般家庭においても、「省電力家電」「省エネ住宅」「大規模集合住宅の太陽光パネル設置義務化」「環境エコ教育」などに様々な形で補助金が出てきそうです。

私の場合、クルマに乗るのはあと10年ぐらいでしょうから、いまさらEVに転向する気はありませんが、ガソリンスタンドが近所からなくなってしまうと考えなければならないかも。

あと、環境問題で対策が急がれている住宅の断熱と省エネ家電への入れ替えですが、今の自宅は、30年前に建てられたものですから現在の環境基準からするとまったくひどいものです。

家電の多くは10~20年ぐらいは使っているものが多く、省エネとは言えないものが多そうです。

エアコンや冷蔵庫など家電の買い換えや、断熱リフォームなどに大きな補助金が出るのなら、使ってみたい気はありますけど、どうなりますかね。

【関連リンク】
1505 日本のEVシフトは環境問題ではなく経済問題
600 地熱発電大国への第一歩を踏み出したか?
503 再生可能エネルギーについて

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1588
風に舞いあがるビニールシート (文春文庫) 森絵都

2006年上半期の直木賞を受賞した短篇小説集です。短篇のタイトルは「器を探して」「 犬の散歩」「守護神」「鐘の音」「ジェネレーションX」「風に舞いあがるビニールシート」の6篇です。

著者の作品は過去に「カラフル」(1998年)と「永遠の出口」(2003年)の2作を読んでいます。

さすが賞を得るだけあってどれもおもしろく良い短篇小説でした。

その中でも個人的に一番気に入ったのは4つめの「鐘の音」で、これは仏像を彫る仏師になろうと美大までいき、そこでの評価も高かったのにかかわらず、自己葛藤で満足ができず、悩んだ結果、古い仏像を修復する仏像修復師に弟子入りした男が主人公です。

こうした仏師や仏像修復師の仕事って一般的には馴染みがない世界で、こうした小説の世界で初めて知ることができ、興味をそそられます。

師匠の元で仏像修復を続けていると、あるとき、珍しい不空羂索(ふくうけんじゃく)観音像の修復をすることになります。

こうした仏像にも様々な宗派や形態があることすらあまり知りませんでした。

主人公が修復することになった古い仏像にはなにか違和感がつきまといますが、なぜか強く引き寄せられるものがあり、それが結果的には全国の寺社を渡り歩く修復師を辞め、つきあっていた女性の元へ帰る結果となります。

人を寄せ付けず世渡りが下手な芸術家として苦悩する主人公と、「あらゆる衆生をもれなく救済する観音」の不空羂索観音との関係はとてもわかりやすくて良かったです。

★★★

著者別読書感想(森絵都)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

探偵刑事 (実業之日本社文庫) 南英男

作品中に、ネット検索なども出てきて、若い作家さんかと思っていたら、今年77歳のベテラン作家さんでした。今回初めて著作を手に取ったもので、失礼しました。

この作品は、2018年文庫書き下ろし作品で、タイトル通り、主人公は警視庁捜査1課の刑事でありながらも、昔お世話になった先輩刑事がリタイア後にやっていた探偵事務所の仕事を手伝っています。

厳密に言えば公務員法違反になりますが、探偵の方は一切報酬を受け取らず、休日や業務時間後におこなっています。

よく私立探偵の小説では、警察官のフリをして、相手に喋らせる手法や場面が出てきますが、こちらは現職の刑事だけあって、探偵としての聞き込みでも、ヤクザや反社組織に対して容赦なく、そりゃーずるい!て思わなくもなく。

警察庁の監察官は、警察官の不正がないかを調べますが、意外なことに、主任監察官が部下の監察官に対し疑いを持ち、その証拠を主人公に密かにつかんで欲しいと頼まれます。

しかし、その疑惑の対象となった監察官は、主人公の目の前で鮮やかに拉致されてしまい、その後他殺体として発見されます。

同時に、元々パートナーと共に担当している4年前の未解決事件、ジャーナリストが殺害された捜査をしつつ、探偵の仕事として売春組織に軟禁されている女子大生を事件化せずに救出と、読んでいても、話題があちこちに飛んでいき追うのがたいへんです。

でも、あまり危機というか、こうした小説ではつきものの主人公が奈落に落とされるようなことはなく、理解ある上司やコンビを組むパートナーにも恵まれ、八面六臂の活躍は読んでいてスカッとします。

一箇所、明らかなミスを発見。プロの校正者に出していないの丸わかりです。

86ページ「溝口が数人のホステスに見送られて」と「溝口が気に入ったホステスを」はいずれも「手島が・・」の誤り。溝口はの前のページでその1時間前にひとりで店を後にしています。

こうした安易なミスは、通常の雑誌掲載→単行本→文庫では、多くのプロの目がチェックしているのでまず起きませんが、書き下ろしの場合は経費削減?のためか、校正が不十分で起きるのでしょう。編集者の力量がなかったとも言えます。

それはさておき、ちょっとうまくいき過ぎてスリルはないものの、おもしろく読めましたので、著者の他の小説も読んでみようと思いました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

桶川ストーカー殺人事件―遺言―(新潮文庫) 清水潔

前に読んだ「足利事件」を追ったノンフィクション「殺人犯はそこにいる―隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件―」を読んで、事件記者としての厳しさと醍醐味を味わえたので、こちらのノンフィクションも読んでみました。

202年12月前半の読書と感想(殺人犯はそこにいる)

多くの人が衝撃を受けた「桶川ストーカー事件」ですが、私も当時の新聞やテレビで、「オミズ商売していた綺麗な女子大生がストーカーに襲われた」ぐらいにしか記憶は残っていませんでした。

事件が起きたのは今から22年前の1999年で、埼玉の桶川市で起きました。

ややこしかったのは、ストーカーとして疑われていた男性と、駅前で女性を刺した犯人の特徴がまったく一致せず、警察内部でも混乱していた様子がうかがえました。

しかし、この本でわかったのは、事前にストーカー相談をし、告訴状まで出していたに関わらず、警察はまったく相手にせず、告訴状も面倒なので、警察内部で勝手に被害届に偽造していたことが判明します。

そうすると警察としては、必死にそうした怠慢を隠蔽するため、被害者の女性を風俗で働く派手好き女性というイメージを拡げていきます。

実際は友人に頼まれ2週間だけスナックでアルバイトをしたことがあるだけで、事件当日身につけていたものに大事に使い古された腕時計やバッグがブランド物だったというだけでした。

また告訴状に書かれていたストーカー男性を検挙すると、それまでの警察の対応が間違っていたことになるので、そのストーカーを探すことはせず、また殺人犯に対する捜査にも消極的な姿勢が見られました。

そうした中で、当時写真週刊誌「FOCUS」の記者だった著者が、被害者の友人や家族などに接触し、信頼を得て犯人捜しを始めますが、警察権力なしで事件を追いかける難しさ、根気と熱意、編集部との関係など、今さらながらドキドキしてしまいます。

しかしこの本を読んで何度もしつこいほど繰り返して書かれていたことが、「ここまで警察組織は腐っている!?」ということです。

今でも殺人事件の記者会見の場で、亡くなった被害者の方への哀悼や尊厳もなく、捜査本部の警察官がニヤニヤしながら集まった記者に対して「厳しい質問のないようによろしく」とわけのわからないことを最初に言い、被害者が刺された場所を記者に聞かれて、「脇腹かな」と満面の笑みで答える捜査1課長代理や上尾署長(いずれも当時)の動画がyoutubeに残っていますが、元々精神的におかしい人達なのか、別世界の人としか思えません。あるいは警察組織に長くいるとこういう性格になってしまうのでしょうか。

ともかく、こうした警察権力の闇、もしかすると加害者側となんらかの関係があって隠し通したかった反社会勢力と警察との関係をあぶり出そうとする命知らず?のジャーナリストがいて、それを警察発表しか載せられない御用記者クラブのしがらみがない雑誌社がまだあった(FOCUSは休刊しましたが)ということは少し救われた思いです。

そしてこうした警察の怠慢や不祥事を国会で野党議員が取り上げ、この事件の反省から、ストーカー規制法ができたのは有名です。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

白い声〈上〉〈下〉 (新潮文庫) 伊集院静

2002年に単行本、2005年に文庫化された恋愛長編小説です。

ただ先に言っておくと恋愛と言うにはあまりにも身勝手で節操のない色情ダメ男と、幼いときから規律正しいクリスチャンとして育てられた若い女性との一方的な恋愛ですので、あまり気分が良い恋愛物ではありません。

小説の舞台となるのは、金沢の街と、スペイン北部のバルセロナからサンティアゴ巡礼の道などで、スペイン大好きな人には恋愛部分はすっ飛ばし、紀行小説としても楽しめるかもしれません。

主人公は、父親の仕事の関係で中学生の頃までスペインで過ごした後、訳あって叔母が住む金沢で高校生活を送っている女性。

もうひとりの主人公は、能登半島で極貧生活を送ったあと、20歳でベストセラー小説を書いて一躍作家になったものの、様々な鬱積にまみれ、その後20年間次作が書けず、ジゴロというか女のヒモの生活を続けている男性。

暴力と血にまみれ、女にだらしなく、口だけは巧いこういうワル男はモテるのだ!と言ってしまえばそうなのかもしれませんが、その男のことを知る人は皆「あの男には近づかない方が良い」と言っても、「あの人はそんな人ではありません」と繰り返し、なすがままにされ、それで満足を得る聖女のような主人公もちょっとあり得そうもない感じです。

著者らしい小説と言えばそうなのかも知れませんが、個人的には花村萬月氏の小説と、白川道氏の小説と、宮本輝氏の小説を足して3で割ったような、なにか中途半端な感じがしました。

軟弱でモテない男性にとっては夢のような物語でしょうが、恋愛部分はただただ男の願望だけが詰め込まれていてつまらないものでした。

なお、この小説は2011年にも一度読んで感想も書いていました。10年前とは言え、後になって気がつくとは、歳のせいにしたくないけど、毎度のことながらことながらトホホです。

★☆☆

著者別読書感想(伊集院静)

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