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1433
レイトショー (講談社文庫)(上)(下) マイクル・コナリー

原題は「The Late Show」のこの作品は、アメリカで2017年に刊行され、翻訳版は今年2020年に文庫として発刊されました。

その「The Late Show」」は通常テレビの深夜番組を指すことが多いのですが、ここでは、夜の11時から勤務が始まる深夜専門の刑事のことを指しています。

コナリーの作品は1992年の「ナイトホークス」から始まる有名な「ハリー・ボッシュシリーズ」や、「リンカーン弁護士」の「ミッキー・ハラーシリーズ」など複数の主人公がいますが、今回の「レイトショー」では新たにレネイ・バラードという女性刑事が主人公となっています。

著者は、私と1歳違いの64歳になってからも、新たなシリーズをスタートさせるというモチベーションの高さで尊敬します。私なんか、別に財産はないけれど、もう完全リタイアを画策しているというのに、、、

さて、ストーリーは、元のセクハラ上司とぶつかったことで、誰もがやりたがらない深夜番専門の勤務へ飛ばされて、クレジットカード詐欺やら、暴行事件など細々した仕事を淡々とこなしています。

偶然、暴行被害者の聴取で病院を訪れていたとき、ナイトクラブで発砲事件が起きて、その被害者のひとりがその病院へ運ばれてきたことから、その事件に関わっていくことになります。

というのは、通常深夜勤務の刑事は、夜に起きた重大事件でも、刑事として立ち会いますが、そこで調べたことは、朝になれば通常の昼間勤務の刑事にすべて渡し、それ以降は関わらないのが普通となっています。

それゆえに、自分が最初に関わった事件がその後どうなったかもわからず、ひとつの事件を解決していくという仕事の醍醐味がありません。

そうした慣習をうまくくぐり抜け、夜の勤務をしながらも昼間の間に寝ないでナイトクラブで起きた事件について調べて行き、真相に近づいていくことに。

ま、著者が同じというバイアスがかかっていることもあり、ボッシュ刑事の女性版という感じです。ボッシュと同様に若い頃に両親についてのトラウマなどを抱えていることも似ています。

舞台がロサンジェルスということもあり、今回の主人公は白人ではなくハワイ出身で、ダイバシティに配慮しているのか、マイノリティを主人公に持ってきています。

また独身ということで、保護観察官、海のライフガードと浮名を流し、最後の方では助けてもらった刑事弁護士に迫られたりと、あまり著者が得意ではないお色気?なシーンもあったりします。

まだ翻訳版は未刊ですが、ボッシュとこのバラードが絡む「Dark Sacred Night」(2018年)がアメリカでは発刊されているので、今後が楽しみです。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

クラウド・ナイン (講談社文庫) 服部真澄

2015年単行本、2018年に文庫化された長編インテリジェンス小説です。著者の小説は好きで、「龍の契り」(1995年刊)、「鷲の驕り」(1996年刊)、「ディール・メイカー」(1998年刊)、「バカラ」、「KATANA」(2010年刊)、「天の方舟」(2011年刊)と読んできました。

お得意の国際謀略とインテリジェンス(諜報)と経済などをうまく組み合わせた規模が大きい小説が多いようです。

この作品のタイトル「クラウド・ナイン」は通常は「意気揚々」という意味ですが、この小説ではバックミンスター・フラーが名付けた浮遊都市をイメージしているような感じです。

某巨大検索エンジン会社を思わせる米国大手IT企業の社長が私費を投じて巨大データセンターの電力を自力でまかなえるよう人工衛星を利用した宇宙発電を研究していたことがわかります。そのためのロケットが何の予告もなく公海上から打ち上げられ、世界が驚愕します。

しかしその社長は脳腫瘍のため手術をし、意識が戻っていない状態で、いったいどういうことが起きている?ということを同社に勤務している日本人エンジニアが副社長に命じられて調べて行くという物語です。

また同時進行として輸血用血液の不足をバイオテクノロジーで解決する新たな血清が発明され、それが様々な思惑と巨大ビジネスとして成長していきます。

その二つがどう結びつくのか、ハラハラドキドキの展開でたいへん面白く読めました。

ただ、どうしても日本人が書く国際謀略ミステリーや経済小説というのは、どうもリアリティに欠け、ありえねぇと思うほど都合良く展開していくのは、日本人にはそうしたことに似合っていないのかなぁと思うばかりです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

メゾン・ド・ポリス 退職刑事のシェアハウス (角川文庫) 加藤実秋

2018年に文庫で発刊された小説です。コミカルな1話完結型の連作短編で、有川浩著「三匹のおっさん」と似たようなパターンです。

著者の作品は2015年に「モップガール」を読んでいます。

2015年2月前半の読書と感想、書評(モップガール)

タイトルからも想像出来るように、警察官が住むメゾン、つまりシェアハウスが舞台となっています。昨年2019年には、高畑充希、西島秀俊、野口五郎などの出演でTBS系のドラマが制作・放送されました。見ていないけど。

警察官と言っても、すでに退職した中高年ばかりの男やもめ達が集団で住んでいる一軒家です。

そこに新人の女性刑事が事件について相談に行くと、待ってました!とばかりに引退した元刑事達が事件の解決に一役買ってくれるという流れです。

もうひとつ大きな流れとして、女性刑事の父親がある日失踪してしまい、それが巨大建設会社の不正を知ったことで、家族に被害が及ばないよう、なにも言わずに消えたと言うことが徐々に明らかになっていきます。

おそらく続編では、その先が書かれるのではないかと思います。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

まほろ駅前狂騒曲 (文春文庫) 三浦しをん

まほろ駅前多田便利軒」(2006年単行本/2009年文庫)、「まほろ駅前番外地」(2009年単行本/2012年文庫)のシリーズ第3弾がこの「まほろ駅前狂騒曲」(2013年単行本/2017年文庫)です。

2019年2月前半の読書と感想、書評(まほろ駅前番外地)

瑛太と松田龍平コンビのテレビドラマや映画でもおなじみです。前に映画を見たので、小説を読んでいても、主人公が瑛太と松田龍平のイメージが強烈すぎて、なかなか小説の主人公に集中ができなくなりました。

こうしたイケメン男優二人を主人公とした物語には映画やドラマがよく似合い、古くは「俺たちの勲章」や、最近では「あぶない刑事」など数多くのドラマや映画が作られています。

主人公は子供を亡くし離婚したあと実家のある東京都の町田市をモデルにした街で、ひとりで便利屋を始めますが、そこに高校の同級生だった男が転がりこんできて、男二人の生活となります。

その同級生(松田龍平)は、子供の頃に親から受けた精神的な虐待でトラウマをもっていて、かなり変人というところがミソです。だんだんと父親の松田優作の演技と似てきています。

今回の作品で一応シリーズは終了とのことですが、おそらく何年か後にはまた出てくるか、あるいはスピンオフものが作られそうな気がします。

ストーリーは、まほろ市で無農薬野菜をうたった健康食品を販売する謎の団体が勢力を拡大してきて、それに危機感を感じる街の裏の顔役や、助けを求められた便利屋が、活躍するというもので、内容的にはつまらない話しです。

貧乏で、幼子を亡くしたトラウマを抱えていた主人公に、ようやく春が訪れたというのがこの回で一番救われます。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

孤独のチカラ (新潮文庫) 齋藤 孝

2005年に単行本として発刊後、2010年に文庫が発刊されました。内容的には経験から来る持論をとうとうと述べるエッセイ的なもので、新書にすべきでは?って気もします。

最近流行りのコミュニケーション力全盛に反し、実は孤独によってこそ成長していくのだという自身の経験を元にしています。

確かに勉強するのは個人の努力が最大で、その勉強は仲間同士でワイワイするものではなく、本を熟読したり、考えたりと孤独の中で培われていくものだという論理には一理ありそうです。

ただそれは著者や私のような旧世代が一番勉強をしてきた昭和時代と違い、現在の令和時代にはまた別の論理も加わってくるのかも知れません。

それは過去の人よりも現在の人達が作っていくものなので、旧世代が「こうするべきだ!」というのは大きなお世話でしょう。世俗には疎く、プライドの高い教育者ならそれは認めたくない現実でしょうけど。

初出が2005年(平成17年)で、まだ昭和以前の価値観や慣習が色濃く残っている時代だったでしょうから、仕方はありませんが、今の十代が読むと、「これは幕末か明治時代に書かれたもの?」っていう感じかも知れません。

それは著者が好きな古典から大きな影響を受けているせいかも知れません。今の時代感覚に合っているかな~というのが率直な感想です。

★☆☆


【関連リンク】
 4月後半の読書 火刑法廷、老後の資金がありません、聞く力 心をひらく35のヒント、仮面病棟
 4月前半の読書 墓標なき街、裁判官の爆笑お言葉集、かたみ歌、おとなの教養
 3月後半の読書 最後の恋―つまり、自分史上最高の恋。 、よろずのことに気をつけよ、嘘ばっかり、人生に生きる価値はない

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1432
小学生~中学生の頃には、夏休みの宿題とか、なにかにつけて読書感想文というのを書かされます。また、高校生や大学生(就活とかで)になっても、読書感想文というのでなくても、与えられたテーマで作文や論文を書くという機会も多いと思います。

ここでは単なる読書感想文の書き方について、私の持論を書いておきます。あまり参考にならないかも。

実は中学生時代、そこそこ読書量があったので、夏休みの読書感想文を書いてくるという宿題が得意でした。

つまり数を読んでいると、感想文の書きやすい本と、書きにくい本の区別がわかっています。

書きやすいかどうかは誰にでも共通するかというとそういうわけではなく、読んでみて、面白くワクワクした小説などは書きやすく、そのワクワクしたポイントを抜き出してポジティブな感想とともに書けば良いわけです。

なにか使命感で嫌々読んでも、ポジティブな感想文なんて書けませんからね。

あと、単に書かれてたことだけで終始するのではなく、そこで得られた知見を、自分の生活や考え方などに結びつけ、書籍から発展して書くことがウケの良い感想文なのです。

例えば、小説の中に出てきた主人公の行動について、「自分ならこう考えただろう」とか、「主人公の失敗は誰にでも起きることで、自分も・・・」という具合に。

その中の「自分の考え」や「自分の失敗」はなにも事実起きたことを書く必要はなく、想像(創造?)で書けば良いのです。別にたかが感想文で、誰も「それを証明しろ!」と言いませんから。

新卒時の就職試験で、「○○について、自分の意見を2千字程度で書け」みたいな論文試験がありました。

論文試験用にと、事前にいくつかのあまり知られていなそうな名言を暗記しておき、テーマと全然関係がなくても、無理矢理にその名言を出せるように文章を書き、格調高い?文章に仕上げたところ、第二次試験の面接で言われましたが、それが絶賛されていたとか(笑)

「その割には、このブログの文章は全然格調高くないね!」って言われそうですが、ブログは採点される宿題でもなければ、将来を決めるかも知れない就職試験でもありませんからね。(言い訳です)

なんでも最近は夏休みの宿題(読書感想文とか工作とか)を簡単にネットで購入出来るそうですが、そうしたものは見る人が見れば、本人が書いたり作ったりしたものかどうかなんて、プロにかかれば簡単に見破られます。

それなら、例え自分の創作が加味されていても、自分の言葉や癖を盛り込んで作った方が、将来、そうしたインチキができない立場や状況下で、きっと役立ってくれるでしょうし、少なくともまともな教養が身につけられそうです。

一応、中学生や高校生の読者感想文に向いた(ページが少ない)書籍を書いておくと、

老人と海」ヘミングウェイ 170ページ
変身」フランツ カフカ 223ページ
異邦人」カミュ 143ページ
悲しみよこんにちは」フランソワーズ・サガン 197ページ
車輪の下」ヘルマン・ヘッセ 234ページ
アルケミスト 夢を旅した少年」パウロ・コエーリョ 208ページ
華麗なるギャツビー」フィツジェラルド 251ページ

人間失格」太宰治 192ページ
雪国」川端康成 208ページ
潮騒」三島由紀夫 224ページ
春琴抄」谷崎潤一郎 126ページ
蜘蛛の糸・地獄変」芥川龍之介 213ページ
銀の匙」中勘助 222ページ
李陵・山月記」中島 敦 224ページ
風立ちぬ」堀 辰雄 152ページ

これらの小説の特徴は、読み継がれてきた名作で中身が濃い割には短い小説で、読みやすいからです。ちゃんとした感想文を書くのなら、できれば最低2回はサクッと読みたいところです。


【関連リンク】
1203 目がつらい高齢者にオーディオブックの恩恵はあるか
1401 2019年に読んだベスト書籍
1295 リス天管理人が2018年に読んだベスト書籍
1191 リス天管理人が2017年に読んだベスト書籍

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1431
コロナのせいにして、あまり外出もなく、インプットもアウトプットもしてない自堕落な日々をおくっていることで、ネタ不足に陥っています。

そう言う時は迷わず「リス天ブログの過去人気?記事特集」でお茶を濁します。

ま、テレビでも再放送や過去の名場面集など、手抜きの番組が多いので許されるでし・・(o・_・)=○)*_*)バキッ

リストラ天国は、現在本サイトhttps://restrer.sakura.ne.jp/ )と、ブログ「おやじの主張・日記」( https://restrer.atgj.net/ )の二本立てですが、日々の更新はブログだけです。

したがって、検索で引っかかるのも基本ブログのほうで、ページビューや訪問数もブログがほとんどです。

その前に、ブログに書いているのは、検索エンジンに相性が良い「最新ニュース記事などフロー系コンテンツ」ではなく、検索エンジンからは無視されがち?な、長く(古くなっても)読んでもらえることを考えた「ストック型コンテンツ」を目指しています。

2019年5月~2020年4月までの1年間のデータを簡単にまとめておきます。あ、PVや訪問数というのは恥ずかしい限りの少なさなので、書きません(笑)

まずは、ダイレクト(お気に入りなど)でやってくる人以外で、検索等のリンクからたどってリス天ブログへやってくるかという順位です。

参照元/メディア
1.google / organic
2.yahoo / organic
3.matome.naver.jp / referral
4.Twitter
5.www2.ezbbs.net / referral
6.bing / organic
7.baidu.com / referral

やはりGoogle先生強しです。

3.のmatome.naver.jp は特になにも関係(登録とかしてない)していませんが、誰かがリンクを貼ってくれたりしているのでしょうかね。

4.のTwitterは記事をあげたあと条件反射でツイートしているので、そのおかげです。

7.のbaidu.comというのは中国の有名な検索エンジンですが、ちゃんとクロールしてくれているのですね。中国の悪口は書いていない(たぶん)ので、チャイナマフィアに襲われる心配はないと思いますが。

次に、この1年間によく読まれたブログ記事20位までです。

まずは11位~20位まで

11.書店数や出版業界売上減と未来 2015/9/9

12.出版社不況の現状 2013/9/1

13.火事と高齢化社会の因果関係 2015/1/17

14.地方が限界集落化していく 2013/5/11

15.元アル中探偵マット・スカダーに惚れる 2017/5/20

16.客員教授と非常勤講師ってなんだ? 2013/11/6

17.労働人口と非労働人口推移と完全失業率 2013/4/9

18.大卒初任給の推移 2016/12/17

19.五輪競技除外候補とスポーツ競技人口 2013/3/20

20.驚くことに日本の労働力人口は今でも増えている 2018/9/5

7年前の2013年の記事が5つも入っています。その次が5年前の2015年の記事が2つ。

上記にも書きましたが長く読まれるストック型記事の特徴が出ている!というか最近の記事に勢いが感じられないとも言えます(笑)

さて2019年5月~2020年4月の1年間に読まれたベスト10です。

1.ロバート・B・パーカー「スペンサーシリーズ」全巻まとめ 2014/4/12

2.マイカーで東京から京都まで旅行する場合 その2 2011/4/9

3.スペンサーシリーズの読み方(初級者編) 2010/1/24

4.洗面化粧台をDIYで交換 その2工事編 2011/6/21

5.少年犯罪は増加、凶悪化しているのか? 2014/9/6

6.大きく変化していく農業従事者 2015/12/12

7.交通違反の反則金の行方を知っているか? 2018/5/12

8.運転免許証取得者は意外にも増えている 2018/6/9

9.失業率推移ではなく失業者数推移でみると 2011/5/18

10.生活保護世帯の増加は高齢者増加だけが原因なのか? 2015/11/3

スペンサー強し!ベスト10に二つも関連記事が入りました。

あと特徴としてベスト11~20位でもそうでしたが、ベスト10ではなんと9年も前の2011年の記事が3つも入っています。長く読まれていて嬉しいですね~

比較的最近の2018年の二つの記事は交通違反と運転免許証という自動車関係の記事でした。また2位のマイカーで京都の記事もクルマ関係ですから、このネタは鉄板になりつつあります。

一方では、個人的にはよく書いている高齢者関連の記事は20位中、3つといまいちウケは良くないようです。

若い人は高齢者ネタには興味はないし、高齢者は知らないあかの他人のブログなんか読まないかな、、、

ま、それはともかく、これからも、長く読み続けられる記事を書くことを最優先にやっていきたいと思います。


【関連リンク】
1395 日記で振り返る2019年
1290 日記で振り返る2018年
1188 日記で振り返る2017年



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1430
翔んで埼玉 2019年 映画「翔んで埼玉」製作委員会制作 配給東映
監督 武内英樹 出演者 二階堂ふみ、GACKT、伊勢谷友介、ブラザートム

魔夜峰央氏の漫画を原作としたコミカルな実写映画で、とにかく自虐的、奇想天外、アホらしさ満載の映画です。よくぞ実写化までこぎ着けたものだと感心します。でも出演者達の、そのバカバカしさに真剣に取り組んでいる姿が感動ものです。

内容はともかく、埼玉県人や千葉県人が心の奥深いところで感じている東京への劣等感をためらうことなくあぶり出し、自らを茶化すことで、真の郷土愛に目覚めていくという感じでしょうか。関西出身でにわか神奈川県民の私にはよくわかりません。

主演の二人、二階堂ふみとGACKTはともに沖縄出身者ですが、この映画では、東京と埼玉出身者という設定になっています。

そう言えば「図書館戦争」や「テルマエ・ロマエ」などとも、なにか共通するバカバカしさがあって、それなりに楽しめました。

でも日本映画界、悪いとは言わないまでも、映画そのものや、原作をアニメや漫画ばかりに頼り切っていて、これでいいのか?

★☆☆

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影の軍隊 原題:L' ARMEE DES OMBRES 1969年 フランス
監督 ジャン=ピエール・メルヴィル 出演者 リノ・ヴァンチュラ、ジャン=ピエール・カッセル、シモーヌ・シニョレ

第二次世界大戦中、ドイツ軍に占領されたフランスで、地下に潜ってドイツに抵抗し続けたレジスタンス達の物語です。原作はフランスの作家ジョゼフ・ケッセルの同名小説で、著者の代表作には映画にもなった「昼顔」(1929年)などがあります。

とにかく場面の展開が急で、集中して見ていないと、誰がどうなった?がわからなくなりそうでした。主要な登場人物も多いです。

ストーリーは簡単に書けるシンプルなのものではなく、極めて簡単に言えば、フランスに進駐してきたナチスに対し、主人公のレジスタンス達が様々な反抗活動をおこない、時には裏切った仲間を殺し、やがてはみんな捕まって死んでいくという空しいもの。

日本人からすると、ドイツとフランスの関係は、日本と朝鮮半島の関係と同じ?と思いがちですが、その関係性は、現在の双方両国の関係を比較すると大いに違うなと思います。

映画でも、フランスの敵は、ナチス(あるいはゲシュタポ)であって、ドイツ全体を敵や悪とはみなしていないかなと。その点、朝鮮半島は、敵は日本の軍部(当時の帝国陸軍など)ではなく、天皇制を含めた日本全体を敵や悪と定めているような感じです。それが良好な仏独関係と、未だに改善しない日韓関係、日朝関係との大きな差のような気がします。

いずれにしても、地下に潜って抵抗活動を続けるメンバーが、捕らえられ、拷問の末に仲間を売り、悲惨な死を遂げていくシーンは目を背けたくなります。

自分への拷問だけなら、口を割らなくても、家族への蹂躙を示唆されると口を割らざるを得ないとか、敵も次々と弱点を突いてきます。その根比べです。

他国の軍隊に支配されるというのはどういうことか、そして平和のありがたさと素晴らしさを感じさせる映画です。

★★☆

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タバコロード(Tobacco Road) 1941年 米(日本公開1988年)
監督:ジョン・フォード 出演:ダナ・アンドリュース、チャールズ・グレープウィン、ジーン・ティアニー

アメリカの小説家アースキン・コールドウェルの同名小説(1932年)が原作です。その著書がデビュー作で、著者の実質代表作となっています。

公開された1941年というと、日米開戦の年で、日本国内ではこうしたエンタメ映画を作って見る余裕はなかったでしょうけど、まだアメリカでは同年に公開された「市民ケーン」や「マルタの鷹」など娯楽作品が普通に上映されていました。

ストーリーは、アメリカ南部ジョージア州のタバコ葉の製造地帯を舞台に、貧しい農民、プア・ホワイトとよばれる人達の日常と生活を面白おかしく描いています。

この映画のもっともウリは映画界の匠、西部劇や戦争物などアクション活劇が多く、また派手な演出が好きそうな監督のジョン・フォードですが、どういう成り行きで、このような地味で動きの少ない映画の監督を引き受けたのかは不明です。

元々は演劇(戯曲)で上演されていたそうで、確かに映画を見ていても場面は固定された限定的、その中で役者が大げさに動き回っているだけという感じです。それもなかなか味はありますが、ジョン・フォード監督らしさを感じるのは、当時の壊れそうなクルマでのカースタントぐらいです。

当時、世界的に世相が暗くなっていた時代、これだけの貧乏農民を見て笑っていると、憂さ晴らしになったのか、それとも「あの人たちよりずっとマシな生活がおくれている」とか思ったのでしょうか。

とにかく、日々食べるものが買えないほど貧乏で、しかし明るく、前向きで、しかしズルく、悪賢く、怠惰でとよくわからない内容でした。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

デューン/砂の惑星1984年 米
監督 デヴィッド・リンチ 出演者 カイル・マクラクラン、ショーン・ヤング

原作はフランク・ハーバートのSF大河小説で、日本では1985年に公開された映画です。デヴィッド・リンチ監督の映画なら間違いないかな?と思って楽しみにみたところ、、、残念な映画でした。

もっとも36年も前の映画ですから、先日見た火星が舞台の「オデッセイ」(2015年)や、宇宙ステーションから脱出する「ゼロ・グラビティ」(2013年)などの素晴らしいCG技術を駆使した映像と比べるのはよくないですが、あまりにも作りが陳腐すぎて、まだ巨額を投じただけあってか「2001年宇宙の旅」(1968年)のほうがずっと見応えがあります。

やっぱこの監督には奇想天外なSF映画よりは、リアルな愛憎ひしめく人間ドラマが向いているような気がします。

しかも原作は3冊に及ぶ長いドラマだけに、140分の映画に収めるのは、めまぐるしく展開する内容の薄いものになってしまうのは仕方がないのかも知れません。

同時期にテレビシリーズとしても制作されたそうで、NHKの大河ドラマ同様、1年ぐらいをかけて映像化するのに向いていそうです。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

海よりもまだ深く 2016年 フジテレビ、バンダイビジュアル他
監督 是枝裕和 出演者 阿部寛、真木よう子、小林聡美

是枝監督と阿部寛主演とくるともう楽しみしかない感じで、さらに元気な頃の樹木希林までたっぷりと出てくる映画です。

原作は監督自らが考えたそうで、最近よくあるベストセラー小説やアニメを元にしたものではありません。

主人公は、売れない作家で、アルバイトに探偵事務所で勤務、お金が入ればギャンブルにすぐ使ってしまい、母親や姉にいつも無心しています。

さらに、離婚した妻と子供に養育費の支払いも滞り、浮気調査で、相手から調査結果を書き換えることで金を得ようとする小悪人でダメ男です。

別れた元妻に未練たっぷりで、母親もなんとか復縁出来ないかと協力してくれますが、「あの人は家庭には向かない」とバッサリです。

映画では主人公が立ち直る姿が見られるのか?と思いましたが、最後に父親が残した上等な硯を母親の部屋から勝手に持ち出し、質屋で見てもらったところ、思わぬ高額の値段がつき、売り払うのか?と思ったところ、その後のシーンで大切に持っていたのが救いということか。

主演の阿部寛は、その他の役では、割とコミカルではあるけれど、スーツをビシッと着て律儀で真面目なものが多く、こうした無精髭のダメダメ男にはちょっと向いてないかなという気がします。

母親役の樹木希林は最高の出来で、それに救われています。別れた元妻役の真木よう子はバツ1子持ち役にはもったいないぐらいホント若々しくて綺麗です。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ベニスに死す 原題(英語):Death in Venice 1971年 イタリア・フランス合作
監督:ルキノ・ヴィスコンティ 出演者:ダーク・ボガード、ビョルン・アンドレセン

トーマス・マン原作の小説を、1963年に「山猫」でカンヌのパルム・ドールを受賞したイタリアの監督ヴィスコンティが映画化したものです。

タイトルだけは有名ですので、知っていましたが、内容はまったく知らずに見ました。死が恋人を分かつ大人の恋愛映画だろう?ぐらいに思っていましたが、全然違いました。

主人公は、希代の作曲家マーラーをモチーフにした男性で、現実のマーラーの人生とはまったく違っていますが、映画の中で使われる音楽はマーラー作曲のクラシックが使われ、映画だけを見ていると、マーラーの自伝かと思ってしまいそうです。なお原作の小説では主人公は小説家となっているそうです。

内容は1911年、ドイツの作曲家である初老の主人公が、不評だった仕事を忘れるためにイタリアのベニスの避暑地へひとりでやってきます。

そこで出会った同じく避暑に来ていた上流階級の14歳のポーランド人美少年に気持ちを入れあげてしまい、葛藤の中で悶々とする中、ベニスの街にコレラが流行してきますが、ホテルも行政も観光で潤っているだけにひた隠しにしてやがては街中に死の影を落としていきます。

手っ取り早く言えば、中年男が美少年に対するプラトニックラブが燃え上がり、彼の姿を探し求めて街をさまよい、やがてコレラに冒されって、、、感じでしょうか。

う~ん、そうした趣味はないので理解は不能ですが、一部の人達の間では感情移入して盛り上がったのでしょうかね。

ついでに指揮者であり作曲家として有名なグスタフ・マーラー(1860年~1911年)について少し触れておくと、交響曲第1番ニ長調(副題:巨人)、交響曲第2番ハ短調(副題:復活)、交響曲第6番イ短調(副題:悲劇的)など多くの交響曲を作っているオーストリア人です。映画のようにコレラに感染して亡くなったのでも、外国旅行中に亡くなったわけでもありません。

★★☆


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だいぶんと前になりますが、NHKの番組で入れ歯の話題が出ていました。ぼんやりとながらで見ていたのですが、驚いたのは60代では歯を何本か失っている人が多いと言うことです。

良い入れ歯と出会うコツ!「歯科医師と患者の対話」(NHK)
60歳になると上下合わせて平均で約4本、歯を失っているといいます。そのため、入れ歯を使っている人も多く、65歳以上の4割近くの方が、“部分入れ歯”を使っているというデータもあります。

本来歯は、子供の頃に乳歯から永久歯に生え替わり、親知らずをカウントせず全部で28本あり、その後、歯茎が弱って抜けてしまったり、虫歯がひどく抜いてしまったりして徐々に減っていきます。

またその他にも事故や怪我で歯が折れてしまったり、アスリートに多いですが、常に歯を強く食いしばるあまり、割れたり抜けたりするという話しもよく聞きます。

平成元年に始まった「8020運動」は、厚生労働省と日本歯科医師会が、80歳になっても20本以上の自分の歯を残そうという運動で、歯が20本以上あれば、食べ物を普通に噛み砕くことができ、食生活において健康的な生活がおくれるということです。その運動の成果もあり、ここ十数年で大きな改善が進んでいます。

2016年(平成28年)のデータ(厚生労働省「歯科疾患実態調査」)を見ると、20本以上の歯が残っている人の年代別割合は、
45~54歳 97%
55~64歳 88%
65~74歳 69%
75~84歳 51%
85~以上 26%

となっていて、私が含まれる55~64歳の人は、12%の人が本来28本ある歯が20本未満(失った歯は9本以上)ということです。もっとも23年前の1993年は同年齢で41%の人が20本未満でしたから、それから大きく改善はしてきています。

同じデータから、年代別の現在歯本数(健康な歯や、かぶせ、詰め物した歯含む)を見ると

合計 男性 女性
50代前半 26.4 25.8 26.8
50代後半 25.3 24.5 25.9
60代前半 23.9 23.7 24.0
60代後半 21.6 21.5 21.7
70代前半 19.7 18.6 20.7
70代後半 18.0 18.5 17.6
80代前半 15.3 15.1 15.5
80代後半以降 10.7 12.0 9.5

私を含む60歳代前半の人では、平均で男性は4.3本、女性は4本を既に失っているということです。

写真はイメージ
つまり、60代にもなれば、4~5本の歯が抜けたあとに、お金持ちならインプラント処置を施したり、入れ歯を使っているのが普通ということになります。中には無処置(抜けたまま)の人もいるでしょうけど、これは意外でした。

私の場合、自慢でも何でもないですが、親知らずの両側を抜いたことがあり、また奥歯の数本を虫歯治療をして金属で埋めてはいますが、永久歯を抜いたことはなく、28本が今はなんとか健在です。

昨年、歯科検診を受けたときには、1本だけ要観察の虫歯になりかけの奥歯があるという診断で、あとの27本は特に問題ありませんでした。

あまり自分では熱心に歯や歯茎の手入れをしてきたわけではなく、社会人になってからは、朝と寝る前に歯磨き(丁寧ではなくいい加減ではあったけど)を欠かさなかったのと、特に50代以降はボトルタイプのキシリトールガムを身近なところに置いて、歯の掃除と噛む力の訓練を兼ねて噛んでいたのがほどほどに良かったのかも知れません。

最近歯医者へ行ったのは、15年前に親知らずを抜き、10年ほど前に奥歯の金属製詰め物が取れてしまい、詰め直しに行ったぐらいです。

歯医者についてちょっと書いておくと、歯医者で一番儲かるのはインプラント手術で、これは健康保険が適用にならないので、高額負担になります。

したがって、患者のことよりも、自分が稼ぎたい歯科医はすぐにインプラントを勧めますし、広告を見てもインプラント治療というのが目立ちます。

同様に虫歯治療の詰め物に、やたらと金(Gold)を勧めてくる歯医者も金亡者と思って良いでしょう。柔軟性や腐食性など金には優れたメリットがあることはわかりますが、詰め物は一生ものとは限らないので、通常は保険適用となる金銀パラジウム合金で十分だと思っています。

銀歯が目立つのが嫌だという場合は、やはり保険適用外ですが、金よりは安く、周囲の歯と同色のセラミックを使うという手があります。

住宅地で開業している歯科医は、近所の口コミや評判を気にしますから、技術はともかく、上記のように金儲け主義には走らず、家族ぐるみで長く付き合ってもらえる歯医者を目指すことが多そうです。

一方、繁華街やビジネス街、特に大きなビルの中に入っている大きな歯医者さんは、金儲け主義が蔓延しています。家賃が高い高級なビルに入り、ホテルのロビーのような豪華な待合室などお金がすごくかかるというのもわかります。

またそういうところで働く歯科医の多くは雇われ医師(サラリーマン医師)で、自分がどれだけ稼いだかで自分の給料が変わってくるせいか、やたらと患者にインプラントなど高額治療を勧める傾向にあります。

すべてがすべてそうではないでしょうけど、長年各地で様々な歯科医と付き合ってきた中でそう感じました。

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