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1408
家霊 (角川文庫) 岡本かの子

著者は、かの日本を代表するアーティスト岡本太郎氏(1996年逝去)の母親で、そのやんちゃな頃の太郎を柱に縛り付けておいて小説を書いていたという逸話が残っています。

またその生き方もぶっ飛んでいて、放蕩家だった漫画家の夫とは別に、愛人として自分の作品のファンという若い学生を自宅に住まわせるという、実質三人婚という奇妙な関係だったそうな。

時代は太平洋戦争前の昭和初期のことですから、そうした女性の生き方は様々言われたことでしょうけど、そうした突き抜けた精神は、ちゃんと息子の太郎に引き継がれていました。

普段よく通る川崎市内の多摩川沿いには、岡本太郎氏作の「岡本かの子文学碑」が建っていて、著者の名前は知っていたのですが、本を読むのは今回が初めてです。

本作品は短編集で、「老妓抄」「鮨」「家霊」「娘」の4編が収録されています。すでに著作権が切れて青空文庫でも読めますが、今回は2011年に発刊された文庫本で読みました。作品の初出はいずれも1930年代のものです。

軽い話しが多いのですが、当時(昭和初期)の社会がよくわかる興味深いものでした。

別に凄い人が出てくるわけでもなければ、ハッピーエンドでもないですが、庶民が日々の暮らしを淡々と過ごしていく中で、少しの波風が立って、、、という感じでしょうか。

なにか背筋に1本心棒が入っているかのような格調高い文章から、人の考えを類推するなど、学校の教材として使用されたりするのもなんとなく理解できます。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

転生 (角川文庫) 鏑木蓮

2014年に「殺意の産声」というタイトルで単行本が発刊された長編警察小説で、2015年に「転生」と改題されて文庫化されています。

京都(著者の出身地)府警に異動となってやってきた元警視庁の女性準キャリア警部(刑事)が、20年前にレイプ被害者としての過去を持つ40代の女性が、何者かに絞殺された事件に関わります。

なかなか、話しはこみ入っていて(でも登場人物が少なく、ややこしくはありません)、20年前の事件のことや、パラレルで語られる、もうひとり(二人?)の別のストーリーがあり、その平行線が最後で交差していくという、ミステリー小説に多く使われているパターンです。

謎解きというミステリーではなく、人が背負った運命というか宿命というか、そうしたことをひとりの刑事が、ひとつひとつはがしていき、露わにしていくという、読み進めると段々胸が重苦しくなっていく内容です。

ところで、調べても不明なのですが、著者(ペンネーム鏑木蓮)は男性?女性?よくわかりません。

過去には「白砂」「エンドロール」の2作品を読んでいますが、女性を主人公とする小説が多そうで、今回も男性はすべて脇役か悪人というイメージ。しかも女性の心理描写が細かくて丁寧です。

そうしたことから推測すると、女性作家さんという特徴を示しているのですが、ペンネームからすればどちらでも取れそうな名前ですね。

★★☆

著者別読書感想(鏑木蓮)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書) 吉川洋

著者は東大名誉教授の経済学者さんで、この新書は2016年に発刊されたものです。

実はこうしたタイトルから、もう言い古されてきた「少子高齢化により人口減少が続き、日本経済は確実に縮小していく」という話しだと思っていました。

それがまるで違っていて、「過去の歴史からみても人口減少と経済縮小とは関係がない」「先進国の経済成長は、人の数で決まるものではなく、イノベーションによって引き起こされる」という話しがメインで、目からうろこ状態でした。

ここで言うイノベーションというのは、要約すれば、労働生産性を格段に向上さえすれば、GDPは上がるということです。

もっとわかりやすく言えば、人力でツルハシとスコップで道路を作っていたのを、ブルドーザーやショベルカーを使えば労働生産性は間違いなく大きく向上します。そのブルドーザーやショベルカーが(過去に起きた)イノベーションです。

そうしたイノベーションをこれからの日本で起こすことができれば、人口や労働人口が大きく減ってもGDPを上げることは十分に可能だということ。ただそれが一番難しく、世界中のビジネスがそれを狙っているのですけどね。

また、人口減少について、ある引用文が書かれています。

「現在では子供のない者が多く、また総じて人口減少がみられる。そのため都市は荒廃し、土地の生産も減退した。しかも我々の間で長期の戦争や疫病があったということでもないのである。・・人口減少のわけは人間が見栄を張り、貪欲と怠慢に陥った結果、結婚を欲せず、結婚しても生まれた子供を育てようとせず、子供を裕福にして残し、また放縦に育てるために、一般にせいぜいひとりか二人きり育てぬことにあり、この弊害は知らぬ間に増大したのである」

さて、これっていつのどこの国のことと思いますか?

この文章は、紀元前2世紀半ば頃、古代ギリシアの歴史家ポリビオスがギリシアのことを書いた文章なのです。

その古代ギリシアは、紀元前2世紀頃にローマに征服されるまでは、世界の一等国で、軍事、経済、文化、芸能、スポーツなど世界の中心地でした。オリンピックもその時から始まりました。

残念ながら、ギリシアはその後イノベーションを起こすことができず、またローマ帝国に支配され、衰退していきますが、日本は、こうした歴史を繰り返すことになるのか、それとも救世主や優れたリーダーが現れ、産業革命やインターネット以上のイノベーションを起こすことができるのか、考えさせられる本でした。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

カエルの楽園 (新潮文庫) 百田尚樹

2016年に単行本、2017年に文庫本が発刊された小説です。著者は、ジョージ・オーウェル著「一九八四年」をモチーフとした作品のような感じですが、著者の政治的スタンスを強く取り入れた、日本と憲法9条、日米同盟、自衛隊、朝日新聞などを寓話で揶揄した物語となっていて、従来の名著「永遠の0」のような感動小説を期待していては大きく裏切られます。

アマガエルはカエルの中でも小さく弱いので、周囲には様々な敵が多く、ある日、二匹のアマガエルが地域を跳びだし楽園の地を探しに旅に出ます。

そして、様々な辛苦を乗り越え、楽園と思われる地域にたどり着いたのですが、そこは昔激しく戦ったことがある鷲と協定を結び、他の外敵から守ってもらっている住民全部が平和ボケした地域でした。

しかし、鷲は年老いてしまい、「今までのように1羽だけで外敵から守ってやることはできない、もし守って欲しいのなら一緒に外的と戦え」と求めてきます。

その地域では、不戦の誓いがあり、戦うことが禁じられているので、鷲の提案を断り、やがては、近くの池から大きなウシガエルが、天敵の鷲がいなくなった地域へと迫ってきます。

ま、読者がどういう感想を持つかは、それぞれの立ち位置や考え方、思想によって違うでしょうが、少し極端とも思いますが、こうしたところから議論が始まるのも悪くはないかなと思います。

ここで特に強調されていることは、ポピュリズムというか、「不幸なことなど決して起きない」という、根拠のない自信を民衆に植え付けると、それがやがては民衆の中で熱狂となり、冷静な正しい判断など置き忘れ、もう引き返すことが容易でなくなるということ。

過去の歴史を見てもそういうことは何度も起きているだけに、今後そうはならないと言い切れません。

読んでいて、この小説は感動もなければ、決して気持ちよくはなれませんが、平和社会の中においても、心の片隅にこうした悲劇を持っておくことは無意味ではないでしょう。

★★☆

著者別読書感想(百田尚樹)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫) ディーン・R.・クーンツ

1983年に単行本として、1996年に文庫本がそれぞれ邦訳版が出版されています。

いえ、別に私が小説を書いて、「夢の印税生活!」とか無謀なプランを立てているわけではなく、最近読んだ新書で、この書籍が「文章を書くのに役立つ」と評価されており、このブログを含め、文章を書くことが多いので、参考書代わりと思って買ってきました。

まずこの著者が書いた小説は、古くからの付き合いで、最初に出会ったのが、29年前、1991年に「ライトニング」を読んだのが最初です。SFミステリー小説でしたが衝撃的でした。

それ以来、すっかりはまってしまい、1990年代から2000年代にかけて22作品(32冊)を読んできましたが、ここ10年ぐらいは、飽きてきたのと、読む本の著者があまり片寄ってはいけないと思い、ご無沙汰していました。

そうした中で、上記のように突然新書で懐かしい名前が出てきたので、これは読まなくっちゃと古い本ですが探してきたわけです。

なるほど、小説を書いているけど、いまいち売れない、あるいは作品コンテストに応募しても入選できない、出版社へ持ち込んでも相手にされないという作家の卵たちに向けて書かれた指南書という体です。

具体的なテクニックや、テーマの選び方、プロットの作り方など、かなり細かく分けて書かれているのと、参考にすべき小説も紹介されていますので、その筋の真面目で素直な人には役立ちそうです(作家を目指す人に真面目で素直な人がいるかどうかはともかく)。

著者が特に力説しているのは、プロットの大切さと緻密さ、背景描写、登場人物の性格描写などに注意すべきという点や、書き出し部分で一気にワクワクさせる方法とか。

また作家になりたい人は、特定のジャンル小説ではなく一般大衆小説を書くべきと言っていますが、SF小説に特に偏って紹介がされているのが、なにか著者らしいところです。著者は1読者としてはSF小説が好きなんでしょう。

で、小説など書く才能もないし、もちろん書く気もない私にとってこの本は、役に立つか?と聞かれたら、それはほとんど役立ちません。

しかし一読者として様々な小説を読む上で、この著者はおそらくこういう考えでこのシーンを描いているのだろうな~とか、小悦の中で会話と説明のバランスがうまく配分されているな~とか、作家が苦労しながら創造していくバックヤードの一面が見られてそれはそれで良かったかな。

ただ、1983年刊の書籍だけに、ここで紹介されている「参考にすべき小説」は、当然にそれ以前のものばかりで、普遍的な良い作品が多いとは言え、すでに廃刊になっているものも多く、また40年近く前と今では読者の好みも変わっているでしょうから、実質的にどこまで役に立つものかはわかりません。

★★☆

著者別読書感想(ディーン・R・クーンツ)

【関連リンク】
 1月後半の読書 新編 銀河鉄道の夜、この世でいちばん大事な「カネ」の話、蒼猫のいる家、教養としてのテクノロジー
 1月前半の読書 光圀伝、たんぽぽ団地のひみつ、涙香迷宮、高熱隧道
 12月後半の読書 定年ですよ、ユートピア、舞い降りた天皇 初代天皇「X」は、どこから来たのか、堕落論

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1407
利益を上げている企業でも、リストラや早期退職が急速に進みつつある状況の中で「早期退職はありかなしか」という記事を1月に書きました。

そうした早期退職やリストラに関連して、先日も、このような記事がありました。

早期退職や希望退職募った企業急増 黒字企業も人員削減の動き(NHK)
民間の信用調査会社、東京商工リサーチによりますと、去年1年間に定年前に退職する社員を募る、早期退職や希望退職を行った企業の数は、前の年の倍にあたる36社に増えました。その対象者は1万1351人に上り、6年ぶりに1万人を超えました。

記事では「業績が比較的好調な企業が人員削減に踏み切る動き」と、従来の赤字で建て直しのためにリストラをするのではなく、黒字の今、体力があるうちにリストラをやってしまおうという動きがあります。

拡大する「黒字リストラ」対象は誰?「働かないおじさん」以外も安泰じゃない(Yahoo!ニュース)
製薬会社、金融機関、大手電機メーカー以外にも、「黒字リストラ」を打ち出す上場企業が増えている。(中略)たとえ上場企業であろうと、人を増やし続けたいと思うことはない。今後は効率的に人員の新陳代謝を推し進めるだろうから、「入れ替えられる人材」にならぬよう、年齢にかかわらず、日ごろからの自己研鑽が重要だ。

こちらの記事では、もうリストラは中高年だけが対象ではなく、年齢とは関係なく仕事に主体性がもてるかどうかの意識の差で選別されていくということが書かれています。

もっとも仕事に対する意識は年齢を重ねるにつれ、慣れや飽きも手伝って、徐々にその情熱は失われていくものですが、そうならない人も大勢いるのでしょう。私は30代までに燃え尽き、40代の頃から失いつつありました。

抜け目のない、いや先見性のある企業は、新型ウイルスショックばかりではなく、五輪以降の経済情勢が不透明なこと、人口減少による長期的景気悪化、米中貿易摩擦、中東情勢の不安定化、英国のEU離脱などをみて、早々と対策を考えているようです。

さらに、来年からは、今でも企業側に負担感が大きい65歳の雇用延長だけは済まなくなる70歳までの雇用延長が実質スタートします。

70歳就業、来年4月から 企業に努力義務―厚労省(時事通信社)
2021年4月から企業に対し、70歳までの就業確保に努めることを求めるほか、従業員301人以上の大企業には、採用者に占める中途比率の公表を義務付ける。同省は20日に召集予定の通常国会に改正法案を提出する方針。

株主に対する責任を持つ民間企業はこうした未来に起きることを企業は当然考えた上で、他社よりも有利に立ち、生き残っていくために次々と手を打っていくものです。

オフィスの中がイマイチやる気のない50歳から70歳の中高年社員ばかりとなった姿を想像してみてください。

そういうところに若くて優秀な新卒社員が入りたいと思うでしょうか?例えそれが偏見だと言われても、考え方が古く保守的で、柔軟性やスピード感がない高齢の上司の下で、働きたいと思う若い人は少なそうです。

今のうちから、数年後に60歳になりそうな、つまり定年後も当然の権利として継続雇用で働く人員を順次減らしていくのは、企業側の論理と思惑からは真っ当なことです(雇用者側からすると困りますが)。

そして、男性ばかりではなく、女性もリストラの対象となっていきます。

それは今でも、若い女性の一部には、「結婚したら専業主婦、働くとしてもパートや派遣で」と言う人が少なからずいます。

そういう腰掛け上等という人の中でも、仕事より男探しに来ているような女性は、労働生産性が問われる中にあってマイナスでしかなく(独身男性が良いところを見せようと張り切るという面はありますが)、リストラの対象となっていきます。だって、「専業主婦に~」なんて気構えでは、今時なかなか結婚できるはずもなく、やがては不満ばかり募ったお局さんになっていくだけですから。

すでに今の社会は、結婚後も男女とも正社員でガッツリと働き、万が一、片方が病気やリストラに遭っても(その可能性は年々高まる傾向にある)、再起するまで片方が生活を支えるという運命共同体が望ましい形になってきています。

また子供ができた時には、男女の性差なく、給料が低い側が育児休業をとるなど、実利的な観点と戦略で決めるのもお勧めです。

とは言っても、昭和の時代から長く続いてきた男女の役割分担(の精神)は、そうたやすく壊れないでしょうけど、そうでもしないと、これからの厳しい社会において、生き残っていけないのは企業も個人も同じかも知れません。


【関連リンク】
1092 2016年大量のリストラ人員削減した企業
1031 最近のリストラ状況
947 不法解雇や退職勧奨を強要された時に打つ手
782 転職適齢期というのがあるとすれば



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1406
昨年平成も時代が終わり、一区切りついたという感じですが、私にとって、この平成の31年間は、会社員として脂がのった中盤から、天国から地獄、そして穏やかな生活へと浮き沈みが激しい後半戦でした。

自分の備忘録ということでもないですが、、、いえ、やっぱり備忘録として、平成31年を振り返っておきます。備忘録ですから、言うまでもなく、私以外の誰の役にも立つものではありません。ごめんなさい、先に謝っておきます。

新卒で入社したのは1980年(昭和55年)4月です。

その後、昭和64年1月に平成と元号が変わるまでの9年間はひたすら仕事を身体で覚え、2年目からはひとつのチームを任されるという闇雲に突っ走っ時期で、平成に入ってからしばらくは、比較的落ち着いて働くことができたように思います。

関係者のあいだではXディと言われていた昭和天皇が崩御された日の夜は、テレビ番組はすべて変更となり、すべてのテレビ放送が風景映像と厳かなクラッシック音楽がただ流れているだけでした。

日本中が喪に服するということもあり、街の中も静まりかえりましたが、「こういう日は空いている?」と思って、いつもならメチャクチャ混んでいる夕方から夜中にかけてガラガラの首都高をグルリと一周気持ちよく走ってきたことを思い出します。

自分に起きたこと 社会に起きたこと
平成元年 1989年 32歳 勤務先で週休二日制開始 昭和天皇崩御、新元号平成
平成2年 1990年 33歳 子会社の役員就任 大阪花の万博/東西ドイツ統一
平成3年 1991年 34歳 第2子長女誕生 湾岸戦争
平成4年 1992年 35歳 中古マンションを売って一戸建て住宅購入 就職氷河期/バルセロナ五輪/アルベールビル冬季五輪
平成5年 1993年 36歳 マイカー買い換え(ワゴン) 新生党連立政権/Jリーグ開幕
平成6年 1994年 37歳 初のCOMPAQ PC購入 松本サリン事件/プレステ発売/リレハンメル冬季五輪
平成7年 1995年 38歳 健康診断で十二指腸潰瘍指摘 阪神淡路大震災/地下鉄サリン事件
平成8年 1996年 39歳 第3子次男誕生 O-157流行/アトランタ五輪
平成9年 1997年 40歳 GATEWAY2000 PC購入 消費税3→5%/香港返還
平成10年 1998年 41歳 マイカー(ワゴン)買い換え 長野冬季五輪/W杯フランス大会
平成11年 1999年 42歳 ジャスダック上場 ドコモiモード開始
平成12年 2000年 43歳 転職その1/執行役員就任 シドニー五輪
平成13年 2001年 44歳 初デジカメ購入 アメリカ同時多発テロ
平成14年 2002年 45歳 転職その2/転職その3/長男高校入学/リストラ天国開設 W杯日韓大会/ソルトレークシティ冬季五輪
平成15年 2003年 46歳 父親逝去 イラク戦争/郵政民営化
平成16年 2004年 47歳 右足痛で初受診(原因不明) アテネ五輪
平成17年 2005年 48歳 勤務先合併/長男大学入学 愛知万博
平成18年 2006年 49歳 営業部マネージャー職 ライブドア事件/Wiiブーム/トリノ冬季五輪/W杯ドイツ大会
平成19年 2007年 50歳 東証マザーズ上場/長女高校入学 年金記録問題
平成20年 2008年 51歳 十二指腸潰瘍で入院/マイカー買い換え(セダン) リーマンショック/北京五輪
平成21年 2009年 52歳 営業から内勤へ異動/長男大学卒業 民主党政権交代/オバマ大統領就任
平成22年 2010年 53歳 長女大学入学/Twitter開始 バンクーバー冬季五輪/尖閣諸島漁船衝突/W杯南ア大会
平成23年 2011年 54歳 次男高専入学/洗面台DIY交換 東日本大震災/地上波デジタル開始
平成24年 2012年 55歳 変形性股関節症初診断 自民党政権復帰/ロンドン五輪
平成25年 2013年 56歳 初の東北ツアー(岩手・宮城・福島) オバマ大統領再選
平成26年 2014年 57歳 役員就任/長女大学卒業/マイカー(軽)買い換え 消費税5→8%/ソチ冬季五輪/W杯ブラジル大会
平成27年 2015年 58歳 義母逝去 イスラム原理主義者IS活発化
平成28年 2016年 59歳 右側人工股関節手術/次男高専卒業 伊勢志摩サミット/リオ五輪
平成29年 2017年 60歳 左側人工股関節手術/マイカー中古車へ買い換え トランプ大統領就任
平成30年 2018年 61歳 W杯ロシア大会/平昌冬季五輪
平成31年 2019年 62歳 平成天皇退位、新元号令和/消費税8→10%

こうしてみると、30代は10人に満たない小さな子会社の役員となり、それなりに第一線に立ちつつ重責を果たし、家庭では第2子、第3子が生まれ、手狭になった中古マンションから建売一戸建て住宅を購入と、公私とももっとも充実し、忙しかった10年間でした。

そして、次の40代で役員を務めていた会社をIPOさせることができ、これで親会社や部下に対する一応の責任は果たせたという思いと、やや仕事に疲れたので役員から退き、以前から声をかけてくれていた企業へ、心機一転、新しい環境へ転職をしたところ、これが見事に不発というか失敗に終わります。ハハハ、ツキのなさというか実力不足でしょう。

その失敗がこの日記をスタートするきっかけとなったリストラ退職で、その後の再就職活動でも苦しみました。

転職1社目は焦りもありよく考えずに決めたため3ヶ月で退職、2社目でようやく現在も続いている会社で落ち着くことができました。

ところが、好事魔多し、51歳の時、リーマンショックの煽りを受け、仕事上で無理とストレスが祟り、会社や自宅で思いっきり吐血し、出血性十二指腸潰瘍の診断で1週間入院する羽目となります。

退院後は、会社の計らいもあり、厳しい売上ノルマに追われる営業管理職から離れ、比較的余裕のある内勤の事務部門へ異動(左遷とも言う)、数年間地道にその仕事を積み重ねていくうち、やがてツキにも恵まれて役員に就任(左遷からの復活とも言う)、現在に至ります。

こうしてみると、ジェットコースターのごとく、紆余曲折、二転三転、多事多難はあったものの、結果オーライ?の恵まれた平成31年間だったと言えます。これはもう、家族含めて、周囲のすべての方々に感謝しかありません。

今年、令和2年は現在の役職をすべて退任し、延べ42年間かかわってきたビジネス界からようやくおさらばします。20代の頃、「55歳での早期引退」を目標としていましたので、それから遅れること8年です。

【関連リンク】
1347 雇用と働き方が変化したこの30年
1291 平成最後の○○
1277 世界は広いぞ!もっと見てみたい
1258 驚くことに日本の労働力人口は今でも増えている
1215 定年退職後の再就職はどうする
1193 引退後は健康年齢までの期間が重要



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1405
昨年ぐらいから主として人手不足などの影響から、年中無休24時間営業が当たり前と思っていたコンビニの営業時間を短縮したり休業日を設けたり、様々な働き方改革が議論されています。また、新規出店も抑制され始めていて、今まで最強だったビジネスモデルにも曲がり角に来ています。

コンビニ24時間営業や休日「一律対応見直しを」有識者検討会(NHK)
コンビニが直面する課題を議論する国の有識者検討会が報告書の骨子をまとめました。24時間営業や休日について店側に一律に対応させることは見直し、店の事情に応じて柔軟に認めるよう各社に促しています。

コンビニ店舗数、初の減少…大手は新規出店抑制に(読売新聞)
2019年12月末の全国のコンビニエンスストア店舗数が速報値で5万5620店だったと発表した。前年末の5万5743店に比べ、123店(0.2%)減少した。比較可能な05年以降、年末の店舗数が減少に転じるのは初めてだ。

ファミリーマート 6月から「時短営業」へ(NHK)
ファミリーマートは、営業時間を短縮する「時短営業」を行う際のガイドラインを公表しました。午後11時から午前7時の間に閉店と開店の時間を30分ごとに設定できるようにし、ことし(2020年)6月から順次、時短営業が始まります。

日本でコンビニエンスストアと呼ばれる形態の店が初めてオープンしたのは、今から58年前の1962年(昭和37年)に国鉄鉄道弘済会(今で言うKIOSK)と言われています。

全国展開する大手コンビニでは、49年前の1971年(昭和46年)にファミリーマートが実験店を狭山に開店。その3年後の1974年(昭和49年)にはセブンイレブンが第1号店を東京にオープンしました。ローソンは1975年に大阪で開店します。

私が小学生だった頃、今から40年ぐらい前に、地方の都市にもコンビニがポツポツできてきた時代には、セブンイレブンの社名の由来となった朝7時開店、夜11時に閉店という、これでも当時としては画期的な長時間営業で、休日には閉店していた店もあったように記憶しています。

が、いつの間にか年中無休24時間営業が当たり前の形態へと変わっていきました。

セブンイレブンの一部店舗で24時間営業が始まったのは1975年で、ローソンが1977年、ファミマは1978年ということなので、初期の頃から24時間営業の形態が考えられていたようです。ただ、それぞれ全店で24時間営業が実施(FC契約書等に明記)されるようになったのがいつからかは定かではありません。

私個人的には平日は1日に1~2回コンビニへ行きますが、その目的は150円でそこそこ美味いコーヒーが買えるのと、最近は銀行の支店(直営ATM)が減ってきたため、現金をおろすため、あとは時々コンビニ弁当や日用品を買いに行くぐらいです。

仕事をリタイアして、いつでも自宅で美味しいコーヒーを入れられるのなら、もうコンビニへ行く理由はほとんどなくなりそうです。仕事で外に出なければ現金もそうそう必要ありません。

コンビニの店舗を見ていると、無人レジが当たり前にあり、在庫商品を扱うだけでなく、ATMやチケット発行、宅急便配送、税金や公共料金支払いなど、その業務は多様化しています。確かに便利で使い勝手がよいのは確かです。

夜に働く人のことを考えると、深夜でも軽食が買え、ATMが使え、宅配便を受け取ったり送ったりでき、書類のコピーがとれるコンビニはありがたいでしょうけど、高齢化していく社会のどの地域においても24時間営業が必要か?というと、否でしょう。

例えば夜間のコンビニ需要が高い場所というのもあるでしょう。夜間診療をおこなっている病院の近くとか、飲み屋街の周辺とか、深夜にトラックが行き交う高速道路のインターチェンジ付近とか、夜間でも交通量の多い幹線の主要国道沿いとか。

私は深夜に高速道路を走ることが時々ありますが、休憩するためパーキングやサービスエリアに立ち寄った際、ほとんどの店が閉まっていて自販機しか使えないことがよくあります。そんな中に24時間営業のコンビニが入っていると、めちゃ嬉しくなります。

そういう特殊な場所で年中無休24時間営業をおこなうのは理にかなっています。しかし、住宅地や、オフィス街、駅前で、人通りがない時間帯や電車が走っていない時間まで店を開けておく必要性はありません。

営業時間以外にも、例えば環境問題、トラックで数時間ごとの配送(商品の納品だけで1日に6~7回も配送トラックがやってきます)や、期限切れ食品等の廃棄問題(期限切れが近づいても勝手に値引き販売できない)、夜間にコンビニ駐車場に集まる迷惑集団、深夜のワンオペ時を狙うコンビニ強盗など、コンビニは他にいくつも問題を抱えています。

高度成長期に生まれ、バブル期に大きく成長してきたコンビニも、これからの時代、その姿、ビジネスモデルを変化させていく必要が迫られていそうです。

【関連リンク】
1263 道の駅の活用法
856 コンビニの活用はどこまで進むのか
813 地域活性化は道の駅で
719 道の駅は次の段階へ進めるか
653 小売ビジネスはどこへいくのか



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1404
新編 銀河鉄道の夜 (新潮文庫) 宮沢賢治

著者の死後、1935年に発刊された童話です。小学生の頃に、一度読んだ記憶はあるのですが、もう50年前ということもあり、もう一度読んでみたくなり買ってきました。著作権は切れているので青空文庫にもありましたけどね。今回購入した文庫の新編は1989年(平成元年)発刊ですが、現在は改版が2012年に出ています。

この童話作品にインスピレーションを受けて数多くの音楽やアニメ、ドラマなどが作られています。代表的なものとして松本零士作の「銀河鉄道999」や、内田康夫著「イーハトーブの幽霊(浅見光彦シリーズ)」、高橋源一郎著「銀河鉄道の彼方に」、映画「ジョバンニの島」、中島みゆきの「夜会(VOL.13 24時着 0時発)」、冨田勲作曲「イーハトーヴ交響曲」など。

これほど様々なアーティストや文化人、音楽家など多くの人に影響を与えた童話は他にはほとんどありません。

14編のそれぞれのタイトルは、「双子の星」、「よだかの星」、「カイロ団長」、「黄いろのトマト」、「ひのきとひなげし」、「シグナルとシグナレス」、「マリヴロンと少女」、「オツベルと象」、「猫の事務所」、「北守将軍と三人兄弟の医者」、「銀河鉄道の夜」、「セロ弾きのゴーシュ」、「饑餓陣営」、「ビジテリアン大祭」です。

これら短編童話(小説)の中でも、「銀河鉄道の夜」と「セロ弾きのゴーシュ」は特に有名で、私も子供の頃に読みましたが、すっかり中身についてはすっかり抜け落ちていて、今読むと新鮮な気持ちで読めました。

ただ、本当に、これが童話?って思うほどに難解なところも多く、昔の子供達の感性というか理解力は凄かったんだなぁと変に感心したり。

今回読んで、1番面白いなと思ったのが、最後の「ビジテリアン大祭」で、カナダに今で言うところの世界中のベジタリアンが集まって様々な議論をするのですが、その中には反ベジタリアンや、食肉協会の人達、混食を勧める生物学者なども発言が許されます。

そして肉食するのは当然とか、宗教上や生物学上からなど様々な意見でベジタリアンを非難するのですが、その都度、科学的に、または感情に訴えるなど反論し、ベジタリアンの擁護をしていきます。

そうしていくうちに、肉食容認派だった人達が、なぜかベジタリアンに宗旨替えしていくという不思議な話しです。

この文庫は1989年発刊の文庫でしたが、文字が小さく老眼の目にはつらく、旧仮名遣いなどもあって、読みづらく、結構大変でした。読み始めるとすぐに睡魔が襲ってくると言うのはビジネスホテルの部屋に備わっている聖書と似たような感じです。

苦労はしましたが、ま、どうにか全部読み終わることができて、良かったです。

★★☆

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この世でいちばん大事な「カネ」の話 (角川文庫) 西原理恵子

2008年に初出の自伝的エッセイ集で、2011年に文庫化されました。著者の書籍では昨年「生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント」を読んでいます。こちらもなかなかのユニークさで面白かったです。

2019年10月後半の読書の感想、書評(生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント)

今回のエッセイはお金にまつわる話しがメインですが、お金そのものというより、著者が子供の頃から味わってきたお金に関わる様々な思いをぶちまけたという感じでしょうか。

子供の頃はかなり悲惨な家庭で過ごし、野心がある地方に住む多くの女性と同様、東京に出てきて、もがきながらも苦労して今の地位を得るまでの話しです。

著者は漫画家として成功しましたが、こうした手に職がある人は強いですね。それが最初は一流でなくても、長く続けていくことで、人に認められていきます。エロマンガでも需要のあるところにはあるものです。

いろいろ役立つ言葉がありますが、中でも世の中の女性達へ「男に頼らず、自分で働いて自由になれ」ということが、この時代にはもっとも刺さっているかなと思います。

正直、この方の漫画はほとんど見たことはありませんが、背負ったものが多い方が書くこうしたエッセイもなかなか優れたものだと感心しました。

★★☆

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蒼猫のいる家 (新潮文庫) 篠田節子

2015年に「となりのセレブたち」というタイトルで単行本、2018年に改題して文庫化された短編小説集です。収録作品は、「トマトマジック」「蒼猫のいる家」「ヒーラー」「人格再編」「クラウディア」の5編です。

セレブな奥様を皮肉的に書かれたものや、恋愛もの、そして驚いたことにSFまでが含まれています。

正直、女性が書くSF小説というのはほとんど知りません。あれは男性特有の創造と空想のたまもので、あまりにも現実的な女性が書くのは無理と思っていましたが、それが単なる偏見だったことをこの短編SFで教えられました。

もっとも数あるSF短編小説からすると、ちょっとひねりがまだ少ないかなぁって気もしますけど。
著者の作品は過去に7作読んでいますが、いずれも長編または中編小説です。

一番最近読んだのが2017年に読んだ中編「長女たち」(2014年刊)で、女性視点の話しだけに男性にはなかなか理解しがたい面がありましたが、面白く読めました。

2017年8月前半の読書と感想、書評「長女たち」

何人か、内容はともかく、「この著者なら安心」ということで、目に付いたら買ってしまう本がありますが、私的にはその中のひとりがこの著者さんです。

★★☆

著者別読書感想(篠田節子)

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教養としてのテクノロジー―AI、仮想通貨、ブロックチェーン (NHK出版新書 545) 伊藤穣一

2018年に発刊された新書で、著者はデジタルガレージの創業メンバーで現在取締役等で活躍する方です。

この方のwikipediaを見ると、いかにも自分自身で微に入り細に入り、よく見えるように編集したなというのがみえみえで、かなり顕示欲が旺盛で、自慢たらしく、極度のナルシストなんだなぁというのがうかがえます。意識高い系のトップランナーということなのでしょう。

本書でも「自分はWikipediaで600数十回の編集実績があり・・・」と書いていますが、その半分はきっとご自身のところの編集ではないかと思えるぐらいにしっかりと(良いことばかり)書き込まれています。

冒頭から、その意識高い系な人が好んで使う「そもそも・・」が満載で、もうそれだけで、私が最も嫌う「下層民にオレ様が教えてやる」的な横柄な人柄が偲ばれます。中程には各種「そもそも論」まで出てきて呆れるばかりです。

さらには、子供の頃からトップの優秀な成績で誰もがうらやむ学校に入ったと、自慢たらしく自ら書いてもいますし、自分はお金のためではなく社会に貢献しているのだという思い込みがあふれています。周囲にいる取り巻き以外、誰もそんなこと思っちゃいないでしょうけど。

とは言え、せっかく買ったので、全部読みましたよ。つらかったです。痛かったです。

中身はタイトルとはほど遠い、ただただ、自慢話と、どうでもよい著者がはまったというゲームの話しとかが多く、内容は理解しがたい独自の偏った見解が多く、メチャクチャ、意味不明です(個人的な感想です)。

新書って、その多くは自分や自分の会社のPR本というのはわかっているつもりで、話半分なのですが、ここまで恥ずかしげもなく徹底的にやる?逆効果じゃないの?ってところが、自分中心で世界が回っている意識高い系を昇華させて見事具現化している方だからできるのでしょう。

残念ながら、この著者が謙虚で誠実な気持ちで読者の役に立つことを発信することは、恐らくないのでしょう。いやまったく今回ばかりは恐れ入りました。

☆☆☆(初の無星)

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