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1540
ザ・チーム 日本の一番大きな問題を解く 齋藤ウィリアム浩幸

1971年にロサンジェルスで生まれた日系2世で、アントレプレナーの著者が、閉塞感で停滞する日本の企業人に様々な提言をするという体のビジネス書で、2012年に発刊されています。

日本の企業や役所には、グループはあっても、目的を達成するためのチームがないというのが著者がもっとも言いたいことです。

「そんなことない!チームFUKUSIMAや、ラグビーのワンチームなどいくらでもあるぞ!」って反論も聞こえてきそうですが、確かにいくつかの企業に勤めた経験からすると、チームを大事に育てようとする企業もあれば、個人主義に徹する企業、柔軟性がある緩やかなグループで関わり合っていく企業など様々です。

ただ、日本人の特性として、「お上の言うとおりにしておけば間違いない」という洗脳に近い教育や社会制度、慣習が何百年と長く続いてきた歴史があるので、なかなかその都度、目標を一にする合理的で強力なチームが作られることがなく、またそのチームを率いるリーダーが育っていないという事情もあります。

官僚組織なんて、縦割り行政のもっとも最たるもので、それぞれの省庁や担当分野で利権を守ることが最大の功績で、それを崩して担当分野を横串に貫いたチームを作るなんてもっともやりたくないでしょう。

なーんて言い訳ばかり考えてしまうのが、劣化したオヤジの悪い癖でもあるわけです。

ただこの本は、経営や組織に関係する話しですから、実力のある管理職レベル以上の人が読んで、納得し、動かないと、なんの権限もない若い人が読んで「そうだ!そうだ!」と盛り上がるだけではきっとなにも変わらないでしょう。

あと、この著者は、講演で語っていたことや、本書の中で書いている自分の経歴について、一部の経歴がよく見えるように盛り盛りで詐称していたことが2017年に発覚し、多くの信用を失っています。

ま、アントレプレナーなんて、元々口八丁手八丁が普通なので、別に経歴詐称なんか特に不思議でもありませんが、それにすっかり騙されて内閣府や経済産業省で参与を務め、果ては文化勲章まで授与されているというところに、日本人の人の良さというか、ハッキリと物事を主張するエリート(っぽい)外国人に弱い役人や政治家というのが露呈しました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

緋色の記憶 (文春文庫) トマス・H・クック

死の記憶」「夏草の記憶」「緋色の記憶」「夜の記憶」「沼地の記憶」と続くミステリー「記憶シリーズ」の3作目で、作品オリジナルは1996年に発刊、日本語翻訳版は1998年に出版されています。

この作品はアメリカでも著名なエドガー賞を受賞した作品で、著者を一気に有名にした作品です。

シリーズと言っても、日本語の翻訳版だけの話しで、原題にはそれにあたる言葉やつながりはありません。

原題は「The Chatham School Affair」で、直訳すれば「チャタム校事件」ということになります。

著者の作品は好きで、過去には「死の記憶」「夏草の記憶」「沼地の記憶」など9作品を読んでいますが、1990年代から2000年代初頭の比較的昔に読んだので、ブログで感想を書いたのは2011年に読んだ下記だけです。

2011年9月前半の読書(沼地の記憶)

ストーリーは、ボストンから130kmほどに位置する実在するチャタムという港町にある私立学校に通う主人公はそこの学校長の息子です。

その学校にアフリカへ家族と移住していた若い女性が新しく美術教員としてやってきて、学校長の父親と共に、新しい生活の支援をすることで仲良くなっていきます。

小説のスタイルが、過去に起きた出来事の主題にはなかなか触れず、どうもこの女性教師に関連してなにか大きな事件が起きたようだけど、小出しで少しづつしか話題に出てこず、「いったいなにが起きた?」という疑問符だらけになっていきます。

謎は読んだ人だけのお楽しみですが、長く陰湿な話しが延々と続きますので、今のような軽くてスピード感あふれるライトなものが好かれる時代には決して合った作品ではありません。

以前読んだ記憶シリーズについてはあまり覚えてませんが、こうしたローカルな地域の話しで過去の出来事を振り返るという形が多いです。

私のような引退して時間がいっぱいできてからジックリ読むことをお薦めします。

★★☆

著者別読書感想(トマス・H・クック)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ビット・トレーダー (幻冬舎文庫) 樹林伸

2007年に単行本、2010年に文庫版が発刊された長編小説です。著者はいくつものペンネームで漫画の原作や小説、脚本、作詞などを書いている多才な方です。名前の読み方は「きばやし しん」とのことです。

タイトル通り、株式の売買が主要なストーリーとなりますが、組織や会社が舞台ではなく、主人公個人が交通事故で亡くした息子の賠償金を元に副業で始めた株式の売買が成功を収め、家庭とは別に愛人と高級マンションを持ち、そこでサラリーマンの本業とは別にトレーディングで巨額マネーを動かしています。

しかし、あるときに、まもなく倒産するので空売りをして数億円の利益が得られるとの確かな情報を得て、他人から預かっているお金を含めすべてをつぎ込んだところ、倒産するはずの会社に大きなファンドが買収を持ちかけたため、逆に高騰してしまいすべてを失う危機に陥ります。

そうしたトレーディングの切った張ったの世界を素人にもわかりやすく展開していきますが、本来ならば、息子を亡くして同情してもよさそうなこの主人公が好きになれず(モデルの愛人と高級外車やマンションなどを持っているのでひがみもある)、逆に「破滅しちゃえ!」とも思ってしまいます。

ま、小説ですから、結果的には落ち着くところに落ち着くわけですが、ちょっと薄っぺらで、内容に乏しい気がしました。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

王妃マリーアントワネット(上)(下) (新潮文庫) 遠藤周作

マリー・アントワネットを元にした小説という体裁ですが、先般読んだ有名なシュテファン・ツヴァイク著の伝記「マリー・アントアネット」(1932年)等を参考にした作品となっています。

1979年~1980年に単行本、1985年に文庫版が発刊されました。

内容は、オーストリア王家の娘として育ったマリーが、フランス国王の息子(王子)に14歳で嫁ぎ、周囲の言いなりになって自由を謳歌して散在を続け、やがては「国民から愛されている」と思っていたのが違っていたと言うことに気づき、生き抜く気力も亡くしていくという流れは伝記と変わりありません。

登場人物の多くは、伝記と基本的には変わりませんが、伝記ではなく小説のため、フランスの市井の人々など架空の人物も多く出てきます。

また、伝記ではほとんど出てこないものの、実在の人物で、マリーと同世代に生きたサド侯爵やモーツアルトなども出てきます。そうすることで、イメージがより深く広がっていきます。

その辺りの登場人物は、先日「マリー・アントワネットの時代 2021/5/12(水)」に書いています。

エンタメの小説だけあって、事実を淡々と並べていく伝記と比べると、感情の動きがより細やかでウエットで読みやすく、マリー含め登場人物の性格やら印象もまた違ったように感じます。

もちろんカトリック信者であり、その知識も詳しい著者ですから、それとうまく合っているようです。

★★★

著者別読書感想(遠藤周作)

【関連リンク】
 5月前半の読書 「食糧危機」をあおってはいけない、泥棒はクロゼットのなか、愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない、屍人荘の殺人
 4月後半の読書 ふりだしに戻る(上)(下)、極上の孤独、ゼロの迎撃、チェーン・ポイズン
 4月前半の読書 獄中記 煉獄篇、さよなら、ニルヴァーナ、邪馬台国殺人紀行、眠りの森

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1536
「食糧危機」をあおってはいけない (Bunshun Paperbacks) 川島博之

2009年に発刊された元東京大学大学院農学生命科学研究科准教授の著者が書いた科学分野の単行本です。

様々なデータを駆使し、以前から言われてきた食糧危機の誤りを正していきます。

例えば、「世界一の人口の中国が裕福になり世界中から食糧を買い集めて食糧不足に陥る」や、「温暖化によって作物が作れなくなる」、「穀物がバイオ燃料に転嫁されていくと食用がなくなる」などなど。

読んでみると、世界中でおこなわれている生産調整、日本で言えば減反ですが、これが相当な面積だそうです。

アメリカでもトウモロコシなどそうした減反のために農家に対して多額の補助金を出しているようで、そういうことを考えると、もっと需要があれば(お金になるならば)まだまだ供給はできます。

さらに温暖化の影響で、作物が作れなくなる地域ができる一方で、例えば今まで作物が作れなかった例えばシベリアなどの地域で新たに農業ができる可能性などにも触れています。

北海道でも何十年前なら米を作るのは無理と言われていましたが、品種改良と気候変動で、今では広大な農場で美味しいお米が作れています。

1970年代に、「あと数年で石油がなくなる!」と騒いで、世界中で何度か石油ショックが起きましたが、それから50年経った今、「石油がなくなる!」という人はいません。逆にいまは環境問題から石油に代わるエネルギーを模索しています。それと似たようなことが起きているということです。

ただ、机上の計算と実際の現場とでは食い違ったりすることがありますので、そこのところの実証ができているものではないことを付け加えておきます。

例えば、減反で休耕して何年も経った農地で、急に作付けをおこなおうとしてもできず、従来の生産高に戻るまで10数年かかったりすることもあるようです。そうした現場の話しは、ジャーナリストではないので、ほとんどありません。

とは言え、知らなかったことが豊富に書かれているので、食糧問題に危機感を持っている人は、一度読むことをお薦めします。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

泥棒はクロゼットのなか (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 146-5)) ローレンス・ブロック

原題は「The Burglar in the Closet」で、1978年に発表された作品です(翻訳版文庫は1993年発刊)。「泥棒バーニイ・シリーズ」の第2作目となります。

過去にはシリーズ3作目の「泥棒は詩を口ずさむ」と、6作目の「泥棒は野球カードを集める」を読んでいます。

2013年2月の後半の読書(泥棒は詩を口ずさむ)

ブロックと言えばハードボイルド探偵小説「マット・スカダー・シリーズ」が特に有名ですが、スカダーの長編が17作品に対し、このバーニイの長編は11作品と、それに次いで多いシリーズ作品となっています。

私のマット・スカダー好きは下記に書いてます。

元アル中探偵マット・スカダーに惚れる 2017/5/20(土)

馴染みの歯科医に離婚した妻の住まいに侵入して結婚中に買ってやった宝石類を盗んで欲しいと頼まれた主人公は、軽い仕事と思って請け負います。

セキュリティの厳しいアパートに侵入し、宝石を物色していたところ、思わぬ速さで住人が帰って来てクローゼットの中に閉じ込められることになります。

シャワーにでも入ればその間に抜け出せると思っていたら、案の定というか、その女性は一緒にいた男性に刺されて殺されてしまいます。しかも、集めた宝石を入れたバッグも持ち去られてしまいます。

このままだと、離婚した旦那に調べが入り、アパートに侵入することを知っている自分が最大の容疑者となるのも時間の問題?ということで、警察から逃げながら犯人捜しを始めます。

なかなか手の込んだ複雑な人間模様で登場人物も多く疲れますが、決してスーパーマンではなく、人間味あふれる泥棒が主人公で気楽に楽しめます。

★★☆

著者別読書感想(ローレンス・ブロック)

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愚者よ、お前がいなくなって淋しくてたまらない (集英社文庫) 伊集院静

2014年に単行本、2017年に文庫化された自伝的長編小説です。

と、言うことは、亡くなった前妻夏目雅子さんのことを「愚者」とは何事!とちょっと不審に思いながら読み始めました。

著者の自伝的小説と言えば、私も読みましたが「海峡」、「春雷(海峡 少年篇)」、「岬へ(海峡・青春篇)」の三部作が有名です。

タイトルにある愚者とは、もちろん若くして亡くなった前妻のことではなく、気の合った友人、スポーツ紙の競馬担当記者、弱小芸能プロダクションの社長、小説を書くように執拗に迫る出版社の編集者の三人のことを指しています。

妻の死で、酒とギャンブルに溺れていた主人公が、それら3人の友人と深く関わっていくことで、再生していく姿を描いています。

この著者の自伝的な話しを読んでいると、なんとこの人のごく近い周囲には死が満ちあふれているのだろうと思ってしまいます。もちろん本人の責任ではないのですけど、、、

最初は子供の頃、一緒にいた幼い弟が海で溺れて亡くなり、周囲の猛反対を押し切って結婚した夏目雅子、この小説に登場する上記の3人(生死がわからない人含む)や、応援していた年配の競輪選手、小説を書くきっかけとなった阿佐田哲也(色川武大)との出会いと死など、常に死がつきまとっています。

暗く重い内容が続きますが、今の著者を知っていれば、そうしたモヤモヤも我慢して読めます。

著者は昨年2020年にくも膜下出血で手術を受けましたが、予後は良さそうで、また「ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石」(2013年)のような、明るく面白い小説を期待したいところです。

2019年10月前半の読書(ノボさん 小説正岡子規と夏目漱石)

★★☆

著者別読書感想(伊集院静)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

屍人荘の殺人 屍人荘の殺人シリーズ (創元推理文庫) 今村昌弘

2017年に単行本、2019年に文庫化された長編ミステリー小説です。著者の本は今回初めて読みますが、名前の印象から50~60代のベテラン作家さん?と思っていたら、まだ30代の新進気鋭?な作家さんでした。

この作品を原作として2019年に木村ひさし監督、神木隆之介、浜辺美波、中村倫也など出演で映画が、また同年に少年ジャンプ+で漫画が連載されています。

ミステリーの常道とも言える、隔離された山の中の旅館で合宿中だった学生たちの中で起きる連続殺人と、それだけに飽き足らず、テロ集団による野外イベントでの化学汚染で大量のゾンビが発生し、生き残った学生たちが追いつめられていくという荒唐無稽な内容です。

う~ん、鮎川哲也賞受賞や、本格ミステリ大賞受賞など、最近はこうした突拍子もない破天荒なストーリーがウケているのか!?って気もします。

確かについつい先を読ませる内容ですが、別にドキドキもしないし、感情移入などほど遠いし、人里離れた旅館とは言え、取引業者や通行人なども多いはずなのが完全に孤立していたりします。

さらに、なぜここにゾンビ、、、って、最近読んだ山口雅也著「生ける屍の死」や、スティーヴン・キング著「呪われた町」の中にもゾンビがゾロゾロ登場しています。鬼滅の刃に出てくる鬼に噛まれて鬼になるのもゾンビと似たようなものですね。

個人的には小説の中に、タイムスリップ(この小説には出てきません)とゾンビは飽きたから「もういいや~」って感じです。

最後の犯人捜しの謎解きがなかなか面白かったのが救いです。

★★☆

【関連リンク】
 4月後半の読書 ふりだしに戻る(上)(下)、極上の孤独、ゼロの迎撃、チェーン・ポイズン
 4月前半の読書 獄中記 煉獄篇、さよなら、ニルヴァーナ、邪馬台国殺人紀行、眠りの森
 3月後半の読書 証言拒否 リンカーン弁護士、コンビニ人間、官報複合体、レプリカたちの夜

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1532
6年前に書店数の推移を書きましたが、その後も着実に減り続けています。

書店数や出版業界売上減と未来 2015/9/9(水)

また、同じく衰退が顕著な喫茶店と比較した長期的な書店数推移を2年前に書いています。

絶滅危惧種の喫茶店と書店数推移 2019/10/26(土)

私自身も、近所にあった大きめの書店が5年ほど前に閉店してから、新刊本を販売する書店へ行くことはめっきりと減りました。

古書を扱うブックオフにはよく行きますが、どうしても新刊本を買いたい場合は、通販で買ってしまうことが多くなっています。そういう人が増えていくことを考えると、リアルな新刊本中心の書店が減るはずです。

2019年までの全国書店数推移(出典:アルメディア)です。グラフは単なる右下がりで、気持ちが暗くなるので今回はなしです。

全国書店数推移(出典:アルメディア)
書店数 減少数
1999年 22,296
2000年 21,495 -801
2001年 20,939 -556
2002年 19,946 -993
2003年 19,179 -767
2004年 18,156 -1,023
2005年 17,839 -317
2006年 17,582 -257
2007年 17,098 -484
2008年 16,342 -756
2009年 15,765 -577
2010年 15,314 -451
2011年 15,061 -253
2012年 14,696 -365
2013年 14,241 -455
2014年 13,943 -298
2015年 13,488 -455
2016年 12,526 -962
2017年 12,026 -500
2018年 11,446 -580
2019年 11,024 -422
20年間減少数 -11,272

この20年間で、1万店以上が減り、書店の数はちょうど半分になっています。そこで働いていた何万人という人達はどこへ行ったのか気になるところです。

この調査では2019年の書店数は11,024店ですが、別のデータ、日販の「出版物販売額の実態」の書店数は2019年度で9,242店となっています。

書店というのは文具店や雑貨店などと兼業されていたり、新刊書がメイン(書店)か古書がメイン(古書店)かなどの区分が難しいのでしょう。

もっと言えば、雑誌や人気本を置いているコンビニやキオスクなども厳密に言えば書店的な機能を持っているとも言えますから、書店の判断で調査会社ごとに多少の違いは出てきます。

それはともかく、リアルな書店の良いところは、特に新刊本や雑誌を手に取って、パラパラと中身を少し見たり、文庫ならカバー裏面のあらすじを読んで、買うかどうかを決めることができます。

外勤の仕事をやっていたときには、大雨が降っているときや、いまいち仕事に乗り気がしないときの避難先として大型書店はたいへん重宝しました。

先月ですが、朝日新聞を読んでいたら、こういう記事がありました。

講談社、文庫本をフィルム包装 もう立ち読みできない?(朝日新聞)
出版大手・講談社(東京都文京区)が小説などの文庫本のフィルム包装を始めた。同社は「消費税を含んだ総額表示に対応するため」と説明する。書店や消費者からは「立ち読みを通じた本との出会いの機会が減ってしまう」などと残念がる声も出ている。文庫本は立ち読みできない時代が来るのか。

すでに立ち読みが慢性化していた漫画本や週刊誌のフィルム包装はすっかりお馴染みの光景でしたが、これからは一般書籍にも波及していきそうです。

透明フィルムなので、文庫裏面のあらすじを見るのには不都合はなさそうですが、中身については通販と同じで、文字の大きさ(これは高齢者にとって大事)や、章立てなどザックリした内容などわからないままでの購入となります。

ただ昨今のなんでもかんでも消毒ブームからすれば、不特定多数の他人が触った書籍ではない清潔な本を買えるというメリットはあるのでしょう。ひどいオヤジは指に唾をつけてページをめくったりしていますからね。

ま、包装するしないどちらにも理由や必然性があるわけで、長々と立ち読みする人は昔から書店の敵でもあるわけなので仕方がない気もします。

とすると、これからのリアルな書店は、時間(通販ではなく書店へ行く時間的余裕がある)と、お金(古書や新古書ではなく手の垢が付いていない書籍)がある、いわゆるお金も時間もある富裕層向け対象と言うことになっていきそうです。

さらに高じて、デパートの外商のように、そうした富裕層向けに定期的に自宅まで新刊書を持って販売しにきてくれる書店や、高級ソファーに座って、ゆっくり選ぶことができる会員制書店のような形態(すでに聞いたことがある)が出てくるのかも知れません。

【関連リンク】
1512 2021年版出版社不況
1377 絶滅危惧種の喫茶店と書店数推移
1097 出版不況と電子出版の行方
954 書店数や出版業界売上減と未来

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1531
ふりだしに戻る (角川文庫)(上)(下) ジャック・フィニイ

昭和48年というから1973年に日本で単行本が発刊され、平成3年、1991年に文庫化された長編小説です。原題は「TIME AND AGAIN」で、直訳すると「何回も」で、翻訳本のタイトルは意訳でしょう。

著者の小説は、2015年に、短編集「ゲイルズバーグの春を愛す」(1960年)を読んでいます。

6月前半の読書と感想、書評(ゲイルズバーグの春を愛す) 2015/6/17(水)

今回の長編小説は、SFともファンタジーともミステリーとも言える、いろんな要素を含んだ歴史タイムスリップ小説です。タイトルをみた時は、なにかコミカルな小説かな?と想像していましたが、そうではありませんでした。

つい先月、「100年前の日本とは? 2021/3/10(水)」というのを書きましたが、この小説では、ほぼ100年前のニューヨークへタイムスリップします。

よくあるタイムトラベル小説と違い、そのタイムスリップが主要な話しではなく、ニューヨークという街が、100年前からどのように変わってきたのか?という街の変遷や、実際に当時起きた事件や出来事を現在と結びつけていたりすることが特徴的です。

ニューヨークの街がどう変わった、現在ある建物が建築当時どうだったか?なんて多くの日本人にはわからないし興味もわかないでしょうけど、そこは当時の写真やイラストレーターの主人公が描く絵で誰でもその変化がわかるようにできています。

例えばジョン・レノンが住んでいてその前で殺された「ダコタ・ハウス」は1884年築の高級マンションで、主人公はその現在の「ダコタ・ハウス」から、建築されて間もない、周囲にはほとんどなにもない「ダコタ・ハウス」へ時空を超えてたどり着きます。

この小説が書かれた1970年にはまだジョン・レノン殺害前で、現在ほどは有名ではありませんが、歴史ある高級マンションであることに変わりありません。

「ダコタ・ハウス」の名称の由来は、この小説では「当時の田舎町の象徴みたいなダコタ準州のように周囲になにもない閑散とした場所にある建物」という意味から名付けられたと書かれています(諸説あり)。

結構な長編作で、ちょっとかったるいところもありますが、今から50年前に書かれた小説にしてはまったく古びたところはなく(過去へ行くので当然ですが)、面白く読めました。

★★☆ 

著者別読書感想(ジャック・フィニイ)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

極上の孤独 (幻冬舎新書) 下重暁子

2018年に発刊された書き下ろしエッセイの新書です。著者の作品は過去に「家族という病」(2015年)を読んでいます。残念ながらあまり面白かった印象はありません。

2015年10月後半の読書と感想、書評(家族という病)

本文に何度か出てきますが、著者は2017年に亡くなった野際陽子さんとNHKアナウンサーとして1年後輩ということは驚きというか、同年代の方だったのですね。今年85歳になられます。

今回のテーマは、「人間、誰も孤独であり、群れずにその孤独に耐えうる感性を身につけよ!」という感じでしょうか。

でもさ、考えたけど、人によっては、一生孤独を感じず、友人や家族、親戚などといつも周囲には人がいて、それが楽しいという人も多いんじゃないかなと。

いえ、私自身は孤独が好きで、できるだけ旅行もひとりで、部屋も個室(書斎)で、もう辞めたけど仕事もひとりでする仕事が好きだったので、孤独の魅力やありがたさはよくわかっていますけど、それは私だからであって、人それぞれなんだろうなぁーってずっと思っています。

特に、今も昔も他人に頼りたがる人って多いでしょう。「親方日の丸」みたいな慣習も、結局は国がなにかしてくれる、考えてやってくれるから、自分では考えなくても良いみたいな風土が日本人に染みついています。

国や政府は、そうした「お上意識」が国民に強く根付いていることが最善で、一番統治しやすく与しやすいことを知っています。

一方の国民も、そのほうがなんたって楽だし、なにか問題が起きれば、責任は国にあると言えるし、多少理不尽なことも粛々と受け入れているところがあります。

孤独な人生をおくるより、群れていつも誰かに命令されたり指示されることが人の習性なのかも知れません。それゆえに、孤独を愛する人っていうのは言うほどには世間ウケない気がします。

★★☆

著者別読書感想(下重暁子)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ゼロの迎撃 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) 安生正

「このミステリーがすごい!」の2012年大賞を受賞した「生存者ゼロ」(2013年)から続く「ゼロシリーズ」の第二作目として、2014年に単行本、2015年に文庫版が出版された長編小説です。

主人公は、自衛隊(防衛庁)情報本部統合情報部三等陸佐で情報分析官です。

巨大な台風が日本に上陸しようとしている時、最新兵器で武装した謎の集団が東京各地でテロ活動を展開し、東京を大混乱に陥れます。

誰が何の目的で?というのがわからないまま、警察では対抗できない激しい市街戦のため、政府は自衛隊へ出動命令を出すために右往左往します。

元々、自衛隊は外敵から日本を守るシステムを構築していますが、すでに国内に入り込んだゲリラ部隊を排除するため、国民の生命や財産を巻き込みながら戦う想定がなく、様々な法的根拠が議論されていきます。

主人公はそうした政治的な圧力や法律との狭間に悩みつつ、テロのリーダーの目的や思惑を考えて主導的に手を打っていきます。

実際に、原発や皇居、首相官邸、自衛隊基地を狙うような重要拠点への集中攻撃テロよりも、人口密集地帯にゲリラ的に紛れ込み、様々なところで火の手が上がるテロ集団の方が、迎撃する側からするとやっかいなことでしょう。

ま、ちょっとリアリティがない展開になっていきますが、大都市の中で大きな組織的なテロが起きた場合、警察の頭ごなしに自衛隊がどこまで手を出せるか、その能力は?という想定には、考えさせられる面白い展開かも知れません。

テロの最後の終わり方、そのテロの最終目的は、ちょっと不完全燃焼で残念な感じです。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

チェーン・ポイズン (講談社文庫) 本多孝好

直訳すると「毒の連鎖」という2008年に書き下ろし単行本、2012年に文庫化された長編ミステリー小説です。

著者の作品は、いずれも短編小説集ですが「FINE DAYS」(2006年文庫刊)を2006年に、「MOMENT」(2005年文庫刊)を2013年に読んでいます。こういっちゃなんですが、やや暗めの内容が多そうな作家さんです。イヤミスってことではないです。

2013年8月前半の読書と感想、書評(MOMENT)

自殺を考えている人に「1年待てば眠るように楽に死ねる薬をあげましょう」という謎のメッセージを伝えていることがわかり、週刊誌記者が調べ始めますが、話しは単純でややガッカリものでした。

あまりにも登場人物のバックグラウンドがなさすぎて、推理する楽しみもないし、後で都合良く出てくる事実がすべてで、なにか騙されたような気分です。

30代で職場で浮いていて退職した女性、脚光を浴びた一流のバイオリニストでありながらも難聴に罹った若い男性、妻子を交通事故で亡くして生きる気力をなくした男性、それぞれに自殺する原因はあるものの、知らない人から楽に死ねるクスリを提供すると言われて、それを真に受けるのかどうか、どうもリアリティさに欠けるような気がします。

世界の中でも自殺者が多い日本ならではのテーマでもありますが、自殺が多いのは40歳以上の中高年であって、20代や30代はそれほど多くはないのですけどね。

★☆☆

著者別読書感想(本多孝好)

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お薦め小説 2021年版(国内小説)」や「お薦め小説 2021年版(海外小説)」を以前書きましたが、今回は、お勧めの新書やエッセイ、ノンフィクション、ビジネス書から選んでみます。

新書やエッセイ、ノンフィクション、ビジネス書の蔵書は全部で約200冊あります。しかしあいにく日記で読書感想を書き始めたのが2012年頃からで、それ以前に読んだ中にもお勧めのものは数多くありますが、今回は感想を書いた2012年以降、2020年までに読んだ中から20冊を選びました。

書籍タイトルのリンク先は私が過去に書いた複数書籍の感想記事へ飛びますが、記事の下の方にある場合は下へスクロールをして見てください。

大往生したけりゃ医療とかかわるな
誰しもいつかは迎えることになる往生。その死への旅をどうすれば人間らしく尊厳をもって向かえることができるかを老人ホームの医師でもあり、市民グループ「自分の死を考える集い」を主宰する中村仁一氏が現場で経験したことから書いたものです。
タイトルが刺激的で、当然他の医者や医師会などからは反発を招き、様々な反論や批判を浴びることになるというのも本人は承知の上です。
基本的にこの本では高齢者の老衰死を扱っているので、まだ若い人へのメッセージではありません。…
中村仁一
累犯障害者
著者の山本譲司氏は、演歌歌手山本譲二氏とは違い、民主党の衆議院議員でありながら、2001年に秘書給与流用の詐欺容疑で実刑判決を受けた方です。
秘書給与として支給されたお金を事務所の運営費などに充てていたわけで、もちろん犯罪行為にあたりますが、自分か親が金持ちでない若手議員は、そうしてやりくりでもしないと、まともな議員活動ができないという実態もあるのでしょう。
当時は辻元清美衆議院議員など何人かの議員に同様な公費流用が指摘されていたに関わらず、現職の議員で実刑を受けたのはこの山本氏だけで(辻元氏は執行猶予付き)、一種みせしめ的な逮捕・起訴・実刑判決だったようにも思えます。…
山本譲司
人間の土地
1939年と言いますから今から75年も前に出版されたサン=テグジュペリのエッセイ集で、主として第二次大戦前の民間航空機のパイロット時代の話しがメインです。
小説ではないので、特に物語があるわけではなく、パイロットという仕事を通して、世界中で見てきたもの、感じたこと、友情やアフリカの奴隷制度など、幅広い話題で淡々と書かれています。
特に「砂漠のまん中で 」では、サハラ砂漠の上空で砂嵐に巻き込まれ前後不明となり、砂漠に不時着したときのことが書かれていますが、この死をもっとも身近に感じた時にあの名作「星の王子さま」の着想を得たと言われています。…
サン=テグジュペリ
冷血
1958年に発刊された「ティファニーで朝食を」が映画化されそれで一躍有名になったアメリカの作家さんですが、19歳の時に始めて作品を世に出し、60歳の時に心臓発作で亡くなるまで40年あったわりには作品数は少なく、短編集を含めて12作品だけです。
この作品は1966年に書かれたカポーティの最後の長編作品で、1959年に実際にアメリカで起きた一家殺人事件が元となっています。…
カーポティ
旅をする木
著者は1952年生まれで、慶応大学生時代に写真で見たアラスカの動物や自然に魅了され、ついにはアラスカ大学野生動物管理学部に入学(中退)するほどのアラスカやその自然が好きな写真家、冒険家です。
しかし1996年にテレビ番組の取材で滞在していたロシアのカムチャツカ半島南部のクリル湖畔でヒグマに襲われ死亡されています(享年44歳)。…
星野道夫
日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率
著者の浅川氏は1974年生まれの雑誌「農業経営者」の副編集長で、株式会社農業技術通信社の専務取締役です。
いわゆる農業ジャーナリストといったところでしょうか。この本は2010年に発刊されていますが、その後もこの手の本を出しておられ、2012年には続編とも言える「TPPで日本は世界一の農業大国になる」が発刊されています。…
浅川芳裕
20歳からの社会科
すでにあちこちで語られていて多くの人は知っていながらも、政治家含めどうすることもできずにただあきらめているという感がある、日本の高齢化社会、格差社会、外交、未来の課題に真正面から向き合い、様々な学者や識者と言われる人が、わかりやすく解説しています。内容は、第1章 高齢者の意見が通りやすい国 第2章 どうすれば若者が社会を動かせるのか 第3章 今の若者が担う外交で日本は生き残れるか 第4章 年金や医療費を誰が支えるのか 第5章 人が減り、教育に熱心でなくなった国 第6章 未来の地球に何を贈るのか…
明治大学世代間政策研究所
里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く
2010年に出版されて大ベストセラーになった「デフレの正体」の筆者とNHK広島取材班がタッグを組んだ作品です。
里山と言えば、少し前ならTOKIOのダッシュ村をふと思い出したりしますが、あのような山間に囲まれた地で農業を中心に半自給自足をおくっている昔ながらの風景です。
アメリカを中心とする「マネー資本主義」に対応した「里山資本主義」という造語を新たに作り、今後経済が縮小していく日本において、ある一定の人口を支える基礎的な生活パターンとして、里山で暮らすという選択肢を提案しています。…
藻谷浩介・NHK広島取材班
日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか
同じ医師でありながら作家として二足のわらじをはく恵まれた才能を持つ人は多いのですが、その医師の中でも大病院や大学病院の中で働く医師とは違い、在宅医療の医師であることが特徴的です。
在宅医療の本質は、終末医療に大きく関わっています。またグループホームや軽費老人ホームなど、医師が常駐しないホームへ訪問医師として関わることも多く、患者はおしなべて高齢者で、様々な健康問題を抱え、特に認知症患者と関わるケースも多そうです。…
久坂部羊
福翁自伝
ネット上のお勧め本のリストを見て購入してはみたものの、約2年半ほど読まずに本棚の肥やしとなっていましたが、別のところで「この本はめちゃ面白い!諭吉ってファンキーで生き方がロックだ!」という絶賛?する評判を聞きおよび、暮れの忙しいときに読み始めました。
この本のことはWikipediaには「1898年(明治31年)7月1日から1899年(明治32年)2月16日まで計67回にわたって「時事新報」に掲載され、単行本は1899年(明治32年)6月15日に刊行。今日でも慶應義塾大学では毎年、新入生に配布されている」と書いてあります。…
福沢諭吉
戦艦大和
この戦記は、戦後まもなく吉川英治の勧めで執筆され、1946年に雑誌に掲載される予定だったのが、GHQの検閲で出版ができず、1951年のサンフランシスコ講和条約後の1952年になってようやく出版ができたという「戦艦大和ノ最期」を元としています。
当初はノンフィクションだと思っていましたが、生き残った他人に聞いた話や、著者の推測や想像で書かれた部分も混じっているようで、公式にはノンフィクションではなく戦記文学のジャンルに入るようです。…
吉田満
定年後のリアル
多くの新書を中心とする著書を書いている著者の2010年単行本、2013年に文庫版が発刊されている新書的な文庫本です。その後、この本の売れ行きがよかったのか、二匹目のドジョウ的に「定年後7年目のリアル」(2014年)、「さらなる定年後のリアル」(2015年)と次々定年本が出ています。自分のことを、そのまま書くわけですから割と楽にかけそうですね。…
勢古浩爾
フェルマーの最終定理
17世紀に数学者フェルマーが残した「3以上の自然数nについて、xn(xのn乗)+yn(yのn乗)=zn(zのn乗となる自然数の組(x,y,z)は存在しない」という定理について、フェルマーが「証明できるけど余白がないので書かない」とした証明を、360年後にやってのけた数学者アンドリュー・ワイルズのノンフィクションドラマです。
なにか難しそうで最初はためらわれましたが、多くの先駆者達のお勧め本に上がっていましたので、思い切って買ってきて読んでみました。…
サイモン・シン
「子供を殺してください」という親たち
著者は精神障害者移送サービスを営み、精神に異常を来した人と直接に接してきた方で、このノンフィクションは、2015年に文庫が刊行されています。
まずタイトルに驚かされますが、当初はどうせ引きの良い派手なタイトルだろうぐらいに思っていましたが、あに図らんや、どうしてどうして、精神的におかしくなった人とその家族の葛藤が、現場からの緊迫感、臨場感、悲壮感が漂うドキュメンタリーとして展開され、読みながらその話しに息をのんでしまいます。…
押川剛
言ってはいけない 残酷すぎる真実
宝島30の元編集長だった著者は、名前を見ると女性ジャーナリストだと思っていましたが男性です。小説もいくつか書いておられますが、著書を読むのはこれが初めてです。
タイトルだけ見ると「大げさな~」と思っていましたが、中身はもっと過激、こんなこと書いて良いの?というようなことがズバズバ出てきます。炎上商法も真っ青な感じで、恥ずかしながら衝撃を受けてしまいました。…
橘玲
バッタを倒しにアフリカへ
著者は芸能人ではなく、日本の農学者であり昆虫学者の方で、1980年生まれと言うから今年で不惑の40歳、研究者としては若い方です。実は、表紙(カバー)に載っているバッタのかぶり物をした著者らしい人物から、売れないお笑い芸能人が、ネタとして本を書いたぐらいにしか思ってませんでした。本書は、2017年に出版され、中央公論・新書大賞などいくつもの賞をとった作品です。…
前野ウルド浩太郎
陰翳礼讃
難しい旧漢字のタイトルは「いんえいらいさん」と読みます。今の漢字で書くと陰影礼賛となります。
1933年から雑誌に連載され、1939年に単行本として発刊された随筆(エッセイ)です。今回読んだ文庫は1975年初版、2008年改版の中央公論新社版です。
実はこの本は、2015年2月に購入したまま、5年半も塩漬けにしていました。特に理由はないのですが、タイトルをみただけではやや重々しい感じがしていました。…
谷崎潤一郎
無私の日本人
映画で有名になった「武士の家計簿」などの著書がある磯田氏は、今やテレビの歴史番組の解説者として欠かせないキャラクターとなっているユニークな学者先生です。
私も毎週欠かさずNHK BSの「英雄たちの選択」を録画して楽しく見ています。それにしても、古代天皇から、昭和時代まで、どうしてそんなに詳しいの?と思えるぐらい博学で、しかもテレビに向いた雄弁な方です。…
磯田道史
おとなの教養 私たちはどこから来て、どこへ行くのか?
2014年に発刊された新書ですが、ベストセラーとしてよく知られています。なにかありふれたタイトルですが、書かれているテーマは(1)宗教、(2)宇宙、(3)人類の旅路、(4)人間と病気、(5)経済学、(6)歴史、(7)日本と日本人と7章立てです。
ジャーナリストの著者ですが、2012年から理系のエリートが集う東京工業大で教鞭をとることになり、そこのリベラルアーツ(現代の教養)センターに属し、学生に理系バカにならないよう、理系以外の教養を身につけてもらおうとしています。…
池上彰
日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実
2018年に「アジア・太平洋賞特別賞」や、2019年の「新書大賞」1位の本書は、2017年に発刊された硬派な新書です。
新書というと、著者の自己満足的な自慢話しと事業の宣伝に終始しているものが多く、うんざりしているのですが、最近読んだ「バッタを倒しにアフリカへ」、「人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長」、「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」など、良いものも時々混じっているので、欠かせません。…
吉田裕


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