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人斬り以蔵 (新潮文庫)
1964年頃に書かれた短編小説を、その後1969年に8作品をまとめて文庫化した短編時代小説集です。実在する人物と、しない人物が混ざり合わさっていて、どこまでが実際に起きた事象や行動か、あるいはまったくの創造の産物かなどわかりにくいです。
「鬼謀の人」は幕末の写真に残っている異様な顔(巨大なおでこ)をした有名な兵学者大村益次郎と、明治維新の立役者桂小五郎(木戸孝允)との関わり合いが面白い内容でした。
表題になっている「人斬り以蔵」は、土佐藩郷氏出身で剣の達人岡田以蔵と、同じ土佐藩出身の武市半平太が過激な尊皇攘夷を目指す土佐勤王党で一緒になり、以蔵は自分を取り上げてくれた武市のためとして攘夷に邪魔な相手を斬りまくりますが、出身が足軽という家系で軽く見られることに反発し、そしてなんにでも首を突っ込みたい性格を周囲にやがては疎まれ、別々の道へ進む姿を描いています。
「割って、城を」は戦国時代から安土桃山時代にかけての武将鎌田善十(鎌田刑部左衛門)と古田織部正重然が、それまでの戦国時代の武士が、命を賭けて戦うという姿から、お茶をたしなみ芸術を愛でるという姿へ変化していく様が書かれています。
「おお、大砲」は、徳川家康が大坂城を攻略した後に、不要となった大筒(大砲)をもらい受け、大切に何代にもわたり幕末まで保管してきた奈良の弱小藩を描いた作品。
「言い触らし団右衛門」は、戦国時代から江戸時代初期にかけての武将塙団右衛門が、自分の名前を世の中に売り込むため、様々な方法を使うことが、現在の売名行為に炎上商法を使うこととダブっていて面白いところ。
「大夫殿坂」は岡山の津山藩から、商業の街、大坂の出先機関、大坂蔵屋敷へやってきた井沢斧八郎が、その大坂で兄が新撰組の隊士に殺されたことを突き止め、その復讐をする物語です。
最後の決闘シーンは、たった2行ですけど映画「用心棒」のクライマックスシーンを彷彿とさせます。
「美濃浪人」は美濃で養子に入った先の義父が医者だったことから、緒方洪庵に学び、医者として活躍する所郁太郎と、長州藩の武士で後に政治家になった井上馨が刺客に襲われ時に命を救った話し。
「売ろう物語」は安土桃山時代から江戸時代初期の武将後藤又兵衛の物語を抽出したものです。
又兵衛は名高い武将ということもあり、黒田官兵衛→仙石秀久→黒田官兵衛→黒田長政→池田忠継→豊臣秀頼と請われるままに主君を変えてきたことでも有名です。一説には報酬に不満があったとか。
上の「言い触らし団右衛門」にもありましたが、世継ぎではない、貧しい中からのし上がってきた武将は手柄を立てて名を馳せ、それに見合う石高を得るというのが理想だったのでしょう。
でも最後は、負けるのを覚悟して大坂城へ入り、大坂夏の陣で討ち死にします。
こうした主人公にはならない脇役の人達を取り上げた小説というのも、なかなか面白みがあって良いものです。
★★☆
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晴れた日は図書館へいこう (ポプラ文庫ピュアフル)
現在では怪談や霊感など多くの推理小説を手掛ける著者の長編デビュー作品が、この2003年にマイナー出版社から単行本(2013年文庫化)として出版された児童文学作品という異例の作家さんです。
著者としては児童文学に重きを置いているわけではなく、本来書きたいのは、世の中の不思議などをテーマとした推理ものなのでしょう。しかし児童文学作家として名声を浴び、戸惑いもあるのかも知れません。
それはさておき、60過ぎたオッサンが、児童文学?という気もしますが、なかなかどうして、面白く読ませていただきました。
この小説は、「わたしの本」「長い旅」「ゆれた本のなぞ」「消えた本のなぞ」「エピローグはプロローグ」の短編連作の5作品からなっています。
時には甘ったるいファンタジー小説も読みますが、こうした小学生が主人公のちょっとした疑問や謎解きの話しは肩も凝らないし、あまり考え込むこともなく、サラッと読めて気分転換にちょうど良いです。
★★☆
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パワハラ防止のための アンガーマネジメント入門: 怒り、イライラのコントロールで、職場は変わる! 成果が上がる!
著者は特定社会保険労務士で行政書士など資格を持つ日本アンガーマネジメント協会認定ファシリテーターで、この著書は2014年に発刊されています。
若いときから割と怒りっぽいタイプと言われていましたが(自覚はなし)、50を過ぎてから丸くなってくるのかと思いきや、どうにも怒りがムクムクと湧いてくるシーンが度々あり、自分では怒りっぽくなったなぁと自覚するようになりました。
例えばお店でちょっとした店員さんのミスでも怒りが湧いてくると言うような感じで、このままキレやすいオヤジになるのも困ったことになりそうで、以前、日本アンガーマネジメント協会が主催している入門講座を受講しようと申込みまでしたのですが、別の用事が入りキャンセルしたという過去があります。
とりあえず、本でも読んでおこうかと思って、お約束の協会代表理事安藤俊介氏の本を探していたのですが、なかなか見つけられず、先にこちらの本を見つけて購入した次第です。
買ってから気がついたのですが、タイトルの上に「パワハラ防止のための」という副題?が入っていて、これは部下を持つ上司に向けた本であることがわかります。
なので、ちょっと目的とするキレない高齢者というのにはあまりマッチしていませんが、これからはその方が需要がありそうだから、そのうち出てくるかな。
本文で紹介されていますが、キレる原因となる個人の「強いこだわり」「譲れない価値観」の種類には、(1)道徳心(2)利己心(3)自尊心(4)執着心(5)警戒心(6)自立心があり、それらの強さが度を超すと怒りに変わるということです。
例えば最近よくあるあおり運転による暴力は、利己心が度を超し、自分の走行の邪魔をしたというところで怒りが満ちているのでしょう。
また自尊心が高いと、ちょっとした注意をされたことでプライドを傷つけられたと怒りが沸点に達し、満員電車内で喧嘩沙汰がおきたりします。
あとは、自分ではどうしようもない(変えられない)ことに対して怒っても生産的ではなく、健康上もよくないというのはよく理解出来ます。例えば、日本経済の行方について心配したり、もっと身近なところでは隣人の攻撃的な性格を変えることは個人の力ではどうしようもないとか。
そうした論理的な怒りの質や、それらの対処法をなどを学ぶことで、温和な生活に、、、というのが理想ですけど、なかなか思うようにいきません。
でも何かあったときに、それを思い出せるように繰り返して学んでおくことが必要でしょう。
★★☆
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幕末時そば伝 (実業之日本社文庫)
2007年に「異譚・千早振る」として出版され、その後2011年に「幕末時そば伝」と改題されて文庫版が出ました。
この著者の作品はいくつか読みましたが、古代史ミステリーの解釈などでは目からうろこで、専門家ウケは悪そうですけど、素人に対してはそれなりに説得力があって楽しく読めます。
2011年8月前半の読書「邪馬台国はどこですか?」邪馬台国は岩手の山中に!?
2012年2月前半の読書「九つの殺人メルヘン」グリム童話の残酷さ!?
2013年3月前半の読書「ニライカナイの語り部」作家六波羅一輝シリーズ第2作目!
2013年10月後半の読書「新・世界の七不思議」早乙女静香シリーズ!ノアの箱船と桃太郎!?
2015年10月前半の読書「努力しないで作家になる方法」著者の作家デビューに至るまでの奮闘記?
2016年4月前半の読書「新・日本の七不思議」皆既日食が起きて卑弥呼が死んだ?
守備範囲も相当に広く、日本史だけではなく世界史ミステリーもあり、そうしたネタ探しはどうやっているのか、次はなにが出てくるのかと興味津々です。
今回のは少し前に書かれた作品ですが、有名な古典落語をベースにして、「もし、こうだったら」「あの真実はこうだった」など、コミカル路線で時代の新解釈の内容となっています。
そのためには、元の落語を多少なり知ってないと、面白くないかも知れません。それだけに、興味をひいてこの作品を読むのは古典落語に馴染みのあるかなり年配に限る?という気もします。
出てくる落語は、いずれも有名な古典落語、「粗忽長屋」、「千早振る」、「湯屋番」、「長屋の花見」、「まんじゅう怖い」、「道具屋」、「目黒のさんま」、「時そば」です。
最近は古典落語をテレビで見ることもすっかり減ってしまい、週に1回ある「NHK日本の話芸」の中に時々古典落語が登場するぐらいです。
若い人には、うるさいだけのドタバタコント芸のほうがウケが良いらしく、若い落語家も古典よりも新作落語で動きの激しいコント的な落語をするようになり、静かにしっとりと聞かせる古典落語はもう高齢者にしか需要はなさそうなのが残念です。
★★☆
【関連リンク】
10月後半の読書 ものすごくうるさくて、ありえないほど近い、オネスティ、生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント、敦煌
10月前半の読書 その女アレックス、レオナルドの扉、「やりがいのある仕事」という幻想、ノボさん
9月後半の読書 赤ひげ診療譚、非属の才能、笑うハーレキン、土の中の子供、あこがれ
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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
著者は1977年生まれのアメリカの小説家で、2002年に作家デビュー、この作品は長編としては第2作目の2005年の作品で、日本語版は2011年に出版されています。
またこの小説を原作とした映画が2011年に制作公開されていて日本では2012年に公開されています(見ていないけど)。
日本語のタイトル名はえらく長ったらしく変わっていますが、直訳すればほぼ原題通りの意味です。
ストーリーは、2009年のアメリカ同時多発テロで貿易センタービルにいた父親を失った、ちょっと変わり者の9歳の少年を主人公として、その父親が残した鍵の秘密を解こうとニューヨーク中を駆け回ります。
貿易センタービルへの航空機衝突テロはアメリカが他国から一方的に攻撃されたという論調が一般的ですが、この小説では、アメリカのドイツドレスデンへの無差別空襲や、広島への原爆投下で同様に多くの市民が亡くなったことなど、戦争でアメリカがおこなってきた様々な大量殺人についても触れられています。
主人公の少年も、そのドイツへの空襲で多くの家族や友人を亡くし、その後アメリカへ移民としてやってきた祖母がいますが、祖父は父親が生まれる前に出奔しています。
そうした中で、突然父親をテロで亡くし、情緒不安定になりながらも、周囲の見知らぬ人を巻き込みながら、父親の姿を追い求め、鍵の秘密を探し回る勇気とその行動力は目を見張ります。そんな9歳がいるわけねぇ!って言ってしまえばその通りですが、、、
鍵と一緒にブラックと書かれたメモが残されていて、電話帳で調べるとニューヨーク市の5区に472名のブラック姓があり、それを一軒一軒訪ねていっては自分の父親と関係がないかを訪ね歩きます。
本の体裁は少し変わっていて、1行しか書かれていないページや、少年が父親に買ってもらったカメラで撮影した写真、祖母の古い手紙などがあちこちに挟み込まれていて、なかなか読み解くのがたいへんでした。こういうのが、最近の流行なんでしょうかね。
ともかく、今までにはない、新鮮な気持ちで新種の小説を読んだ気分になれました。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
オネスティ (集英社文庫)
2015年に単行本、2017年に文庫化された長編小説です。
著者の作品は、過去に「うつくしい子ども」(1999年)、「エンジェル」(1999年)、「眠れぬ真珠」(2006年)、「40翼ふたたび」(2006年)、「美丘」(2006年)、「シューカツ!」(2008年)を読んでいます。
2011年3月後半の読書「美丘」
2013年7月前半の読書「40翼ふたたび」
2013年9月前半の読書「眠れぬ真珠」
2013年11月後半の読書「うつくしい子ども」
2014年2月後半の読書「シューカツ!」
シリーズ物やエッセイなど多作の作家さんですので、読んだのはごくごく一部ですが、久しぶりに読んだって気分になりました。テレビでは時々バラエティや情報番組に出ていて拝見するのですが。
さて中身ですが、恋愛小説と言うにはちょっとアレ過ぎて、なんとも言えませんが、幼稚園時代に隣同士になった同い年の男女が、中学生時代に「お互い恋愛抜きで何もかも話せる親友で居続けよう」と二人で取り決め、それぞれの道を歩んでいくというそれだけです。
ま、内容は結構過激な描写というか、お互いの性体験を話し合うというのが延々と続きますので、エロ系小説が苦手な人にはお勧めできないかも。
そしてそうした二人の関係性に周囲の人達が疑心暗鬼に巻き込まれ、結局は二人だけの世界にどっぷりつかった「迷惑な人達」という流れです。
★☆☆
◇著者別読書感想(石田衣良)
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生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)
著者はマンガ「毎日かあさん」などの作品がある漫画家さんです。その代表作「毎日かあさん」は毎日新聞で15年間の長きにわたり週1回連載されていました。
「仕事編」「家庭編」「男と女編」「性格編」「トラブル編」と別れていて、合計60の質問と、それぞれに明快な回答(ちゃんと内容はあります)が書かれています。
60の質問以外のおまけに有名作家さんや漫画家さんからの質問にも回答しているのが笑えます。業界?内で顔が広いのでしょうね。
ちょっとその中から、質問と回答の最後のひと言(実際は丁寧に回答されています)でまとめた文章を書いておきます。ぶっ飛んでいる回答も多くあって楽しいですよ。
「仕事編」では『「ミスは人のせい、手柄は自分のもの」という上司を改心させる方法は?』
→相手の悪事をみんなに晒せ。
「家庭編」では「息子の部屋からロリコンマンガが出てきました」
→「君臨すれども統治せず」で。
「男と女編」では「30歳過ぎて、いまだに童貞です」
→ソープに行け!(北方りえぞう)
「国際結婚に親が反対しています」
→無視してさっさと結婚して、さっさと孫を産むが吉。
「トラブル編」では「別れた彼女の部屋に置いてあったものを捨てられた」
→傷は浅いぞ、よかったよかった。
など、本人はいたって真面目に答えていますが、その回答が的を射ているのは当然としても笑っちゃうものもあり、楽しめます。
回答に共通しているのは、結構女性に対して厳しく、「女性も必死に働いて稼げ!」という考え方。
今でこそ専業主婦が減り共働き夫婦が増えてきていますが、著者が言う女性の働き方は、男になにかあっても自分が養う覚悟でガンガン働けという思想です。またそれで初めて男女が対等な立場に立てるということ。
これは、著者が結婚していたカメラマンの夫(その後離婚)を病気で亡くした壮絶な経験と、自身のギャンブルで大きな借金を背負った過去と教訓からきているものと思います。
★★☆
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
敦煌 (新潮文庫)
この小説は、1959年に初出、その後文庫本が発刊されましたが、「楼蘭」(1958年)、「天平の甍」(1957年)、「蒼き狼」(1959年)など著者の中国西域ものの代表作と言われています。1988年には佐藤純彌監督、西田敏行、佐藤浩市などが出演した映画が公開されました。
実はこの映画、見たかったけどまだ見ていないので、日テレさん!ぜひ映画の全編ノーカット放送をお願いします。
物語は、北宋(960年~1127年)の時代、科挙(エリート官僚)の試験を受けに来た小説の主人公趙行徳は、試験中に居眠りをしてしまい失敗してしまいますが、その帰り道で殺されかけていた隣国西夏の女を救ったことで、西夏文字で書かれた布きれをもらい、その書かれている内容を知りたいと、北宋と敵対している西夏へ向かいます。
西夏が支配する地域に入ると、兵隊に捕まり捕虜となり、そのまま西夏の兵隊として徴兵されることになりますが、文字を読むことができ、様々な知識が豊富なことで、武勇優れる隊長の参謀となり、勢力急拡大中の西夏の中枢へと入っていきます。
元々は漢民族が支配していた地域に多くの仏典や経典があり、それらを西夏文字に翻訳する仕事を自ら進んでおこなうことになります。しかし漢民族の隊長が西夏に反旗を翻したことで、隊長の腹心だった主人公の運命も大きく変わっていきます。
やがて西夏の軍隊に追い詰められ、敦煌へ逃げ延びますが、そこにもやがて西夏の大軍が押し寄せ、せっかく見つけた仏教経典など古い資料が焼かれてしまうことをどうにか阻止しようと画策します。
現実の歴史では、その隠されていた多くの仏教資料が1900年代に入ってから海外の研究者により次々と発見されました。千年前の隠されたそれらの文化遺産が、どうやって隠され残ったかという疑問をモチーフにしています。
★★☆
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その女アレックス (文春文庫)
カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ第1作目の「悲しみのイレーヌ」(2006年刊、日本語版は2015年刊)は今年2月に読んでいますが、この作品がシリーズとしては2作目(2011年刊、日本語翻訳版2014年刊)となります。
2019年2月後半の読書と感想、書評「悲しみのイレーヌ」
この作品は日本でも「このミステリーがすごい!2015 海外部門で1位」、「本屋大賞翻訳小説部門で1位」などに輝きましたが、世界的にも大ベストセラーとなっています。
このシリーズは、「わが母なるロージー」(2011年、翻訳版2019年)、「傷だらけのカミーユ」(2012年、翻訳版2016年)がすでに既刊です。
ストーリーですが、ミステリー小説ゆえ、深い内容には触れませんが、主人公は夜道を歩いていたとき、突然誘拐される女性(アレックス)と、フランス警察のカミーユ警部。
女性が誘拐されたのを目撃したとの通報で、警部が担当することになりますが、まったくその足取りや被害者が特定できず、捜査は難航します。
この警部は、過去に自分の妻が誘拐されて惨殺されてしまうと言う経験(前作「悲しみのイレーヌ」 )があり、本来は精神的にもこうした誘拐事件の捜査にはふさわしくないのですが、周囲の仲間から過去を早く吹っ切るためにも事件を担当させられます。
ただし、普通の犯罪小説と違うのが、その誘拐事件は本作品の1/3ぐらいの部分を占めるに過ぎず、その女性の本性や過去に起きた凄惨な出来事が次第に明らかになっていくというものです。
ま、最後のトリックとクライマックスについては、少々どころかかなり無理な感じもしますが、それが小説だ!ということなのでしょう。
長い作品ですが、テンポもよくサクッと読めてしまいます。できればシリーズ1作目の「悲しみのイレーヌ」を先に読んでおくと、主人公の警部の苦悩やレギュラー陣のこともよくわかって良いかも知れません。
★★★
◇著者別読書感想(ピエール・ルメートル)
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レオナルドの扉 (角川文庫)
2015年に単行本、2017年に文庫化された長編歴史小説です。タイトルにあるようにレオナルド・ダ・ヴィンチ(1452年~1519年)にまつわる話しがテーマになっていて、小説の舞台となっているのは、ダ・ヴィンチの死後300年のイタリアとフランスで、ナポレオン(1769年~1821年)が皇帝となり武力で支配している地域です。
前からずっと不思議に思っていたことがあり、それが本書にも出てきますが、フランス革命(1789年~1799年)では圧政と堕落した王政に対し民衆が立ち上がり、革命を起こして王政と旧体制を壊したわけですが、その後すぐに軍人であり元貴族ののナポレオンが登場し、革命終結後わずか数年で自らが皇帝になるとというのはどうにも理解できませんでした。
もう王政はこりごりと国民は思って革命を起こしたはずなのに、そうした不可思議な事情は本書の主人公の言葉で出てきますが、その理由は書かれていません。
本書のストーリーは、元ダ・ヴィンチ村に住んでいた祖父とともに、流れ着いたイタリアの小さな村で時計屋を営んでいる若い孫の男の子を主人公として、レオナルドが300年前に書き遺した新兵器などのアイデアを書いたノートのありかをナポレオンが率いるフランス軍よりも早く見つけ出そうとします。
途中、同じくそのノートを手に入れようと、レオナルドの良きライバルでもあったミケランジェロの末裔とも一悶着が起きますが、和解ができて、協力し合い、少年がレオナルドのノートに書かれた新兵器を次々と実現化して、イタリア全土を支配するナポレオンの軍隊を圧倒するなどというエンタメ感満載のストーリーです。
さすがに波瀾万丈、快刀乱麻、よほどの予算がなければ実写映画化は難しいでしょうけど、せめてアニメ映画化しても不思議ではないかなと思います。そのうちできるかも知れませんね。
★★☆
◇著者別読書感想(真保裕一)
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「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書)
普段新書を買うときは、いわゆるジャケ買いで、タイトルを見て面白そうなものを買ってきます。つまり著者は誰でも構わないし知らないケースが多いのです。そのあたりは必ず著者名を見て買う小説と違う点です。
この新書もタイトルを見ただけで買ったので、実際に読むだすまでは誰が書いた作品かは知りませんでした。
で、読む前に、著者名を見ると、おっ!なんと、「スカイ・クロラ」などの作品で有名な作家さんじゃない!ということを知りました。
この著者は数多くの作品を出されていますが、過去にその中の「すべてがFになる」と「ZOKU」という小説を読んでいます。「スカイ・クロラ」はアニメ映画で見ました。
この著者とはまったく同世代で、誕生日が数日違うだけという、なにか不思議な親近感があります。
きっと小学生の頃にはツイスターや人生ゲームで遊び、中学生の頃には好きなアーチストのレコードを買い求め、高校生の頃には深夜ラジオとアーケードゲームのブロック崩しを楽しみ、大学生になってからインベーダーゲームに夢中となったのではないでしょうか。著者は国立大に入った秀才なので、子供時代とは言え、凡人の私と比べるのもなんですけど。
内容はタイトルにあるとおり、最近の若者がよく言う「やりがいのある仕事がしたい」に、著者なりの反論というか考え方を述べたものです。著者は大学で教鞭をとっていたこともあり、学生やOBから就職などについてよく質問や相談があったそうで、そうした経験からです。
一度も民間企業の会社員になったことがない著者にしては、世の会社の道理をよくご存じで、机上の空論ばかりを述べる学者先生や、自身が有名大学&大企業出身であることをベースにして上から目線でモノ言う有識者と違い、若い人にはなかなか役立ちそうな話しが満載です。
舌鋒鋭く、少し突き放した冷淡な感じもしますが、会社に入ってから「思っていたのと違う」と嘆くより、こうした器用で名をなした人の話を聞いてみるのも悪くはないでしょう。もっとも著者と同レベルに生きられるか?というものとは違いますが。
★★☆
◇著者別読書感想(森博嗣)
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
ノボさん(上) 小説 正岡子規と夏目漱石 (講談社文庫)
2013年に単行本、2016年に文庫化された小説で、若い頃からの正岡子規と夏目漱石の友情と、正岡子規が後世に残した偉大な文化などの話しが中心となっています。
正岡子規(1867年~1902年)というと、真横から撮影されたはげ頭の頭部が異常にでかい?写真がすぐ思い浮かび、ちょっととっつきにくそうな感じがしますが、四国松山から上京し、東大へ通っていた頃は誰もから好かれる好男子だったのですね。
それとその横顔でひげを生やした写真からは、お爺さん?って感じを受けていましたが、35歳という若さで亡くなっていますから、やや老け顔だったのでしょう。
その正岡子規、ほぼ同世代に夏目漱石や同じく松山出身で日露戦争で活躍する秋山真之、俳句で知り合った森鴎外も懇意で、その他にも歴史的人物が子規の周囲に次々と登場してくるのは驚きです。
特に東京大学入学後からの夏目漱石との仲は深く、お互いにその才能を尊敬し合い、行く道は違っていてもその友情はずっと変わりませんでした。
また正岡子規は野球が日本に入ってきてまもなくプレーヤーとして日本での普及に大きな影響をもたらし、ベースボールをもじって野球、バッターを打者、ランナーを走者、四球をファーボールなど訳した最初の人でもあり、野球に対して一家言ある著者(伊集院静)にとっては、この正岡子規を取り上げなければならない運命だったのかも知れません。
松山から希望が叶って上京し、予備門から東京帝国大学へ入学、その間にも俳句や短歌、随筆、浄瑠璃などを書き、自分には小説が向いているのではと創作活動を続けます。
タイトルは、正岡子規の幼名正岡升(のぼる)から、松山時代の友人達から「ノボさん」と親しみを込めて呼ばれていたことからです。
そのハチャメチャで貧しく短い人生ですが、多くの人に影響を及ぼし、明治という時代を駆け抜けていった一人の人間正岡子規を魅力ある人物として描いた小説として秀逸です。
★★★
◇著者別読書感想(伊集院静)
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赤ひげ診療譚 (新潮文庫)
小説の初出は1958年に雑誌にて連載され、1959年に単行本が発刊されました。今からなんと60年前のことです。
この時代小説は、連作の短編集で、「狂女の話」「駆込み訴え」「むじな長屋」「三度目の正直」「徒労に賭ける」「鶯ばか」「おくめ殺し」「氷の下の芽」の8編が収録されています。
「赤ひげ」はこの小説を原作として1965年に公開された黒澤明監督、三船敏郎主演の映画として有名です。
その映画のイメージを利用して、サントリー胡麻麦茶のCMで使われています。
「赤ひげ」は、映画の他にもテレビドラマとして7回も制作されていたとか(wikipedia)で、団塊世代以上にとっては知らない人はいない懐かしさ満点でしょう。胡麻麦茶も、世代人口が多く、健康志向が強そうなその世代に向けて一番PRしたいのでしょうね。
さて小説の中身ですが、実在していた江戸時代中期の町医者で漢方医の小川笙船をモデルとした「赤ひげ」こと新出去定が、自ら奉行所に提案して作った貧しい人でも無料で医者にかかるようにした小石川養生所での出来事が、もうひとりの主人公で、長崎で西洋医学を学んだきた保本登とともに描かれています。
保本登は長崎留学のあとはエリートコースの幕府の御目見医になるつもりで意気揚々と江戸に帰ってきたものの、許嫁には裏切られ、しがない貧乏町民が集まる養生所で働くよう指示され、やる気をなくします。
しかし養生所の赤ひげや仲間と一緒に過ごすうちに、医学に対する自分の考えが違っていたことや、生き方に変化が現れてきます。
その辺りの心境の変化などが連作短編の中で順々にうまく表現されていて、途中から読むとうまく理解出来ないかもしれません。
やっぱこうした長く読み継がれている小説というのはたいへん良いものです。
★★★
∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟
非属の才能 (光文社新書)
著者は1966年生まれの漫画家さんですが、一般書籍も数多く出版されています。この著作は2007年に発刊された新書で、2011年の本屋大賞、特別企画「中2男子に読ませたい!中2賞」というのを北尾トロ著「キミは他人に鼻毛が出てますよと言えるかデラックス」とともに受賞されています。なんじゃそれ?って気もしますが。
日本人に対してよく言われる、同一性、同調圧力、協調性などは今の時代には役に立たず、孤立化を恐れず人と違うことをやろうという逆張り指南本です。
確かに、他人に同調さえしていればそこそこ楽に生きられます。でもそこから先へは行けないでしょ?というのが主論なわけですが、同時に、発達障害や不登校などでも悩むことはなく、人と違った才能なんだという励ましになっています。
引きこもり、大いに結構ではないかという流れですが、親の年金だけが頼りで、親が亡くなっても届け出ず、不正に年金を受給していたり、なにも守るべきものがない無敵の人となって、子供や弱者を狙って刃物を振り回す一部の中高年引きこもりのことを考えると果たしてそう無責任なことを言っていて良いのかどうか、、、
こうした新書では「常識とは違うぞ!」というのを全面に出さないと売れないし、話題性にもならないので、そういうものばかりという気もしますが、割と感化されやすい中高年者の私や無垢な少年だと「なるほど!」とその時は首肯するかもです。
たびたび書かれていますが、一流アスリートや世界的な有名人はそうした同調しない非属の才能が突出しているというのも理解出来ます。
が、若い人向けに書かれた?という内容の浅さで、想定読者外?の中高年者が読むにはちょっと物足りない感じです。
★★☆
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笑うハーレキン (中公文庫)
著者の作品の中では過去に「骸の爪」(2006年)、「片眼の猿」(2007年)、「ソロモンの犬」(2007年)、「光媒の花」(2010年)、「月と蟹」(2010年・直木賞受賞)、「獏の檻」(2014年)の6作品を読んでいますが、この作品は、2013年単行本、2016年文庫化された長編小説です。
読むまでは「ハーレキン」の意味すら知りませんでしたが、いわゆる道化師のことです。ピエロと道化師は同じと思っていましたが、本著にも出てくるとおり、ピエロには顔の化粧に涙を描くのが通例で、道化師(ハーレキン)の顔に涙を描けばピエロになるということです。
ちなみにマクドナルドの広告等で出てくる道化師には涙マークはないのでハーレキンです。
ストーリーにピエロや道化師は直接出てきませんが、腕の良い家具職人でありながら、幼い子供を失い、事業に失敗したことからホームレスとなり、精神的に不安定で、自虐的な生活を送る主人公のことを遠回しに表現しているようです。
大人は、ピエロや道化師を見ると、その化粧で笑っていると判断しますが、子供はその表層的な笑顔の中に、実際の顔は笑っていないことに気づき、見ると泣き出す子もいるのではという仮説が出てきます。
私自身も子供の頃は、ピエロや道化師(区別は付きませんでしたが)を見ると、なにかとっても嫌な気分にさせられましたが、それがなにかは判然としません。
おそらく化粧の下の顔が怒っているようで怖かったような気がします。実際は怒っているのではなく、一生懸命に演技をするあまり、無表情で真剣な顔つきになっていたのではないかなと思います。
少しミステリー仕立ての小説の内容には触れませんが、主人公の家具職人のことを考えると、ずっと普通のサラリーマンをやってきて、なにも手に職がないまま老齢期に入る自分の人生と比べると、どうしてこういう道を選ばなかったかな~と今さらながら残念に思います。
小・中学生の頃から、図工や工作、機械いじりが好きで、細かな手作業が得意で、もしそうした職人の道へ入っていたなら、今とは違う、自分にとっては有意義なもっと別の世界を見られたのにと残念に思います。
★★☆
◇著者別読書感想(道尾秀介)
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土の中の子供 (新潮文庫)
2005年に単行本が、2008年に文庫化された中短編小説で、2005年に「土の中の子供」で芥川賞を受賞されています。同書にはもうひとつ短編「蜘蛛の声」が収録されています。
著者の作品の中では今年3月に「教団X」(2014年)を読んでいます。
2019年3月後半の読書と感想、書評「教団X」
この小説の主人公は、親からの激しいDVを受け、トラウマが消えていない男性です。
子供の頃には、土の中に埋められて殺されかけた後に、施設で育てられ、現在はタクシー運転手をしながら生計を立てています。
自ら公園にたむろしている暴走族に対し喧嘩を売り、こっぴどく痛めつけられたりと、自傷や被暴力に対してコンプレックスを抱えているという暗く重苦しい精神が全体に流れています。
この小説が出た2005年にはこうした家庭内DVや、それららがトラウマになったまま生きていく人達のことはすでに社会問題化していましたが、2019年の今になっても、子供が親から殺され、虐待される事件はなくなりません。
最後の最後で、ひどい目に遭わせた父親との訣別を決意し、トラウマから脱する可能性をわずかに示した主人公に、明るい未来を感じることができる良い小説でした。
★★☆
◇著者別読書感想(中村文則)
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あこがれ (新潮文庫)
2008年に「乳と卵」で芥川賞を受賞した著者の作品は過去に「ヘヴン」(2009年)と「すべて真夜中の恋人たち」(2011年)の2作品を読んでいて、今回が三作目です。
この作品は「ミス・アイスサンドイッチ」と「苺ジャムから苺をひけば」の2つの連作短編小説が収録されています。
主人公が小学生という私のもっとも苦手とする小説で、最近の小学生って、こんなに気が利いて、頭が良くって、物知りで、想像力豊かで、語彙が豊富だったっけ?と思うぐらいに、小賢しい限りです。
もっとも、大人、しかも才能のある作家さんが、想像の中から創り出す小学生ですから、何でもありって言えばその通りで、楽しければそれで良いという軽い読者には十分なのかも知れません。
テレビを見ていても、そこに登場してくる子供(子役?)達は、大人顔負けの知性と将来への固い決意、そして無垢な純粋な心を合わせもち、だらしない大人を煙に巻くというのがだいたいの流れとなっていますので、小説においても、ま、そういうことになりますか。
いや、自分の小学生の頃と比べると、そのあまりの落差で、フィクションとは言えなにか恥ずかしくなってくるだけに、小中学生が理路整然と難しいうんちくを語り、高度な知性を発揮する小説というのはとても苦手です。
この小説には出てきませんが、同様に、最近の映画には欠かせない、政府機関などどこにでもハッキングができて、主役にいたく協力的な天才ハッカーの存在も、もういい加減に飽き飽きしています。
ま、そういうことで、ストーリーは、洗練された大人の頭脳?を持った普通の小学生の日常を淡々と描いたもので、なにかとりたてて、魅力的なものではありません。
★☆☆
◇著者別読書感想(川上未映子)
【関連リンク】
9月前半の読書 田園発港行き自転車、大人の流儀6 不運と思うな。、日本農業への正しい絶望法、お引っ越し
8月後半の読書 美学への招待、中年だって生きている、すべて真夜中の恋人たち、孤独の歌声
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田園発 港行き自転車 (集英社文庫)
2015年に単行本、2018年に文庫化された長編小説です。元々は富山市に本社を置く北日本新聞に2012年から約3年間にわたり連載されていた小説です。
そうしたこともあり、富山県各地の自然の美しさ、様々な交通機関、美味しい料理などがふんだんに取り上げられていて、私が名付けた「うんちく小説」という著者の作品群にバッチリ当てはまっています。
私は若い頃に、富山には行ったことがありますが、その時は、黒部ダムを見に行くのが主目的で、その他はほとんど素通りでしたので、あらためてこの小説を読むと、富山の海岸沿いへ行きたくなりました。
登場人物の相関関係はややこしく、これは著者自身の自伝的小説「流転の海」ほどではないにしろ、ややこしい限りです。
主人公は、宮崎へ出張と言いながら、なぜか富山で急死した自転車会社社長の娘、そして京都の花街の中で親の代から茶屋を営む女将さん、さらに、東京の企業に勤める中年男性、その3人の視点で物語は進んでいきます。
それらに加え、富山で美容院を営む亡くなった社長の愛人とその息子、昔は祇園で浮名を流していたが事業に失敗し、その後富山で警備会社を経営する男性、祇園の芸者置屋の女将、自転車会社社長と仲が良かった若くして亡くなった伝説の芸子、京都の出版社勤務の編集者、亡くなった自転車会社の社長の右腕だった老齢男性などなどが絡んできます。
舞台が、京都の祇園や地方都市の富山でしかも滑川という場所だけに、小説自体もなにか時がゆっくりと流れている昭和の香りがします。
タイトルだけ見たときには著者の初期の作品「青が散る」のような青春小説かな?と思いましたが、全然違って、複雑な人間模様と、時代に翻弄されたそれぞれの人生を描いたなかなか奥の深い小説でした。
★★★
◇著者別読書感想(宮本輝)
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不運と思うな。大人の流儀6 a genuine way of life
「大人の流儀」シリーズの第6弾で、2016年刊の新書です。確か週刊現代に連載されているエッセイをまとめたものだと思います。
帯に「生きる勇気が湧いてくる。感動の1冊」と大げさに書いてあったので、60過ぎのオッサンに生きる勇気を持たせてくれるのかと、わくわくしながら読みましたが、肩すかしも良いところです。
著者の小説やエッセイは好きで、過去に16作品(19冊)を読んでいますが、著者の作風が変わったのか?それとも読み手の私が年齢とともに感性が変わったのか?その両方かもしれませんけど、これはいただけません。
とにかく、同じ事を何度も書く、しつこく書く、中には自慢たらしく思えるようなことを自慢げに書く、過去の美しい想い出を何度も書く、あまり考えずに単なる思いつきだけで書いている?と思う箇所など、これはいずれも高齢者の多くに見られる現象のような気もします。著者は今年で69歳、いつまでも若くはないですね。
好きな作家さんだけに、こうした症状が垣間見えるのは、ちょっと残念です。
もっとも、若い人にとっては、こうした波瀾万丈の生き方をしてきた人の経験を垣間見ることで、いろいろと考えることもできるでしょうから、すべて悪いと言うつもりはありません。
要は読み手がどう思うかですから、私も個人的な感想を述べているだけで、それを誰かに批判されても困ります。
★☆☆
◇著者別読書感想(伊集院静)
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日本農業への正しい絶望法 (新潮新書)
2012年刊の新書で、日本の農業の実態と、その周囲に群がる政治家、官僚、マスコミなどを赤裸々に告発しています。
著者が言うように、一度も現場に足を向けないような、役人や識者と呼ばれる学者、ジャーナリスト、マスコミの記者などが、日本の農業は素晴らしいという情緒的なイメージを作っているというのはなんとなくわかります。
また効率化を図って世界と戦える大規模農業こそが、生き残る道だという主張や世論にも警鐘を鳴らしています。
私自身は農業とは縁遠い世界にいるだけに、いったいなにを信用すれば良いのかはわかりませんが、様々な主張をこうして読むことで、一方的な考え方になるのだけは防ごうと思っています。
この本の中でも、へぇーと思ったのは、「農家は一般的なサラリーマンよりも収入面で恵まれている」という部分。
なにかイメージ的には「農家は収入が低いけど、ある程度自給自足ができるので食っていける」というものがありますが、実態としては、農家は平均的に年収も高く、しかも家や土地があり、優遇された税制や補助金まであるということ。
テレビで見る農家は「台風で水浸しになって困惑する姿」や、「高齢化した夫婦が毎日畑に出掛ける姿」などで、「農家ってたいへんだなぁ」というイメージしかありません。
この本を読むと、農地として税制優遇を受けておきながら、駐車場に変えて利益をあげていたり、息子に分家するという名目で税制優遇された土地を譲り、その土地に家を建て、その家を第三者に転売するなど、様々な農家の錬金術が書かれていて、上記のようなほのぼのとした農家のイメージは崩れてしまいます。
若い人が地方へ行き、新たに就農することでも、農家は荒れて使えない土地しか貸してはくれず、何年かかけて苦労して土地を改良し使えるようにしたら、貸し出し期間の延長はしないとか、やりたい放題な農家もあるとか。
ただ、日本の農業の未来について著者が言うような「農業技能を高め、質の高い生産物を作る」というのも、そういう高くても良いものを求める著者のような人も中にはいるでしょうけど、安くてそこそこな野菜や米などがあれば十分という需要が国民の大部分を占めている現状があるわけで、そうしたことを真っ先に考えるべきではないかと思います。
★★☆
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お引っ越し (角川文庫)
ホラーじみた連作の短編小説集で、2015年に単行本、2017年に文庫版が発刊されています。収録作品は、「扉」「棚」「机」「箱」「壁」「紐」の6編です。
著者の作品は過去に「あの女」と「殺人鬼フジコの衝動」を読んでいますが、その両作品はイヤミス(読後感が悪く、イヤな気持ちになるミステリー)の女王というイメージ通りの作品でした。
2019年2月後半の読書「あの女」
2015年2月前半の読書「殺人鬼フジコの衝動」
ただ、今回のような短編小説になると、そのイヤミスパワー(この短編ではそれが目的ではないかも知れませんが)も大きく減衰してしまい、それに期待をしすぎるとガッカリします。
まだ読んだ作品数が少ないので決めつけられませんが、この著者の作品は、いろいろといわく付きで読ませる長編こそ魅力がありそうです。
ちょっとユニークなのは、文庫本の最後にある解説がよくある普通の解説ではなく、本文の続きになっているようで、この短編集の解説を依頼されたライターが、「この本は読まない方が良い」と書きます。そして自分とは出会わない方が良いと、登場人物になって忠告を与えています。ホラーでしょ。
★☆☆
◇著者別読書感想(真梨幸子)
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