忍者ブログ
リストラ天国 ~失業・解雇から身を守りましょう~ HomePage https://restrer.sakura.ne.jp/
Calendar
<< 2024/04 >>
SMTWTFS
12 45
78910 1112
141516 181920
21222324 252627
282930
Recent Entry
Recent Comment
Category
1132   1131   1130   1129   1128   1127   1126   1125   1124   1123   1122  



1437
東京バンドワゴン (集英社文庫) 小路幸也

著者は北海道出身の方で、私より数年だけ若い方です。2002年にデビューし、そろそろベテランの域に達しているというところでしょうか。この著者の作品を読むのは今回が初めてです。

本書は2006年に単行本、2008年に文庫化された連作中編小説で、その後「東京バンドワゴンシリーズ」となり、現在14作も続いています。

また2013年には、亀梨和也、玉置浩二、ミムラ、多部未華子などの出演で「東京バンドワゴン~下町大家族物語」というタイトルでテレビドラマ化されています。

ま、手っ取り早く言ってしまうと、昭和時代のサザエさん一家を平成時代に合わせたような、東京の下町商店街で古書店とカフェを開いている大家族一家のドタバタ劇と言う感じでしょうか。

舞台が古書店ということもあり、古書のうんちくとか、値付けについての話しも少し出てきたりして、書籍好きにはそういう意味も含めて興味がわくかも。

元々、書籍好きな作家さんが書く小説ですから、舞台設定に図書館とか書店、古書店、主人公には作家やライター、編集者という安易な?設定が多い気がします。その中のひとつですね。

確かにホームドラマの原作としては良いかも知れませんが、シリーズの続編を読みたいか?って言われるとそこまではないかなぁ、、、

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

再会 (講談社文庫) 横関 大

40代の中堅作家さんの作品で、今回著者の作品を読むのは初めてです。何度も江戸川乱歩賞に応募し、最終選考に残りながら惜しくも受賞できず、2010年、8度目の挑戦でこの作品(初出時のタイトルは「再会のタイムカプセル」)が見事受賞し、実質的なデビュー作品となりました。文庫版は二年後の2012年に発刊されています。

正直、読んでいて、この「設定には無理があるだろう」とか「都合良く偶然が重なって」みたいなところがあちこちにあって、よく練られたリアリティのあるストーリーとは言い難いのですが、全体に流れる大雑把なプロットには著者の緻密さと巧さを感じさせます。

主人公は同じ小学校で仲良かった4人の男女で、小学校を卒業して23年が経過し、それぞれ別々の生活を送っている中、ある事件が起きることで、23年前に封印したはずのタイムカプセルの中身について、注目されることになります。

でもさぁー、タイムカプセルって、何年か後に開くことを前提としたもので、開くことを前提としない「封印したタイムカプセル」ってなに?って思ってしまいました。

もし封印したいなら、深海に静めるとか、そこまでしなくても、ダム湖や大きな沼に沈めれば、まず普通に封印できるってことは小学生でもわかりそうなことです。

ちなみに、私の経験では、小学校卒業の前にクラスでタイムカプセルを校庭に埋めて、成人後の10年後に集まって開けました。大阪万博の時に松下電器産業(現パナソニック)が企画した5000年後に開くタイムカプセルは大阪城公園に埋められています。5000年後に地球や日本の国土があるのか?っていうのはともかくです。

仲良し4人組のひとりは刑事となり、最近この街の警察署に戻ってきていて、偶然幼馴染みが関係する事件を担当することになります。

やがて23年前になにが起きたのか、それぞれどういう苦悩を抱え込んでしまったのか、など徐々に露わとなってくるという流れです。

読者に謎解きを試すというものではなく、最初はなにもわからなかったことが、タマネギの皮を1枚1枚むいていくように少しずつ明らかになっていくというちょっとまどろっこしさはありますが、途中ではなかなか中断出来ず、一気に読むことができました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

怒らない技術 (フォレスト2545新書) 嶋津良智

以前にはアンガーマネジメント系の本を読んで、歳を重ねるにつれ怒りっぽくなってくるのをなんとか抑えようと四苦八苦している中、たまたま見つけたというか、ショッキングピンクのド派手なカバーで、やけに目立っていたのつい引き寄せられて購入しました。

2010年発刊の新書で、誰が付けたか引きのあるタイトルも良いですよね。

著者は、、、知らないなぁ~また自分の事業PRのためのパンフレット的な新書か~?って買ったのを悔やみかけていたところ、著者には失礼ながら、読み始めるとなかなkよく書けている、面白い、読みやすい。PR色はもちろんありましたが。

ただ、この本の内容は中年男の怒りに対して抑える方法を伝授する話しではなく、若い人向けに、コミュニケーションを円滑にするため、またその能力を上げて仕事に生かすために書かれたという感じです。

私がもう40年若かったら(笑)、きっとこの著者の信者になっていたかも知れません。

だてにビジネス界で若くして稼いだあとは、未練も残さず、さっと身を引いて教育事業へ移った方らしく、こうした若い人に教えることが好きで天性なのでしょう。

もちろん中年や高年者でも、読んで損した!ってことはなく、いろいろと我が身を振り返って考えることもあり、また自分の若いときの失敗も、この本を読んでいればなかったのにぃーと思うこともありそうです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ブラックボックス (朝日文庫) 篠田節子

週刊朝日に連載され、2013年に単行本、2016年に文庫版が発刊された長編小説です。1997年に「女たちのジハード」で直木賞を受賞している著者の小説は、2003年に読んだ「弥勒」以降、計8冊になります(なぜか「長女たち」が2冊ありそれをカウントすると9冊)。いずれにしても外れのない作家さんで、安心して読むことができます。

この小説のテーマは、野菜の安全性ということになりますが、この小説の中には、

・システム化された野菜工場の実態
・そこで働く名ばかりの外国人技能実習生の実態
・世界の食糧不足
・食品添加物の安全性
・添加物の複合で起きる発癌化や催奇性
・遺伝子組み換え技術の功罪
・内部通報制度や、内部通報者保護の問題

など多くの社会問題が提起されています。

タイトルのブラックボックスは、生育を最適化され、太陽にもあたらない無菌の密閉された工場で、殺菌剤や、溶液に浸され、なにから作られたかよくわからない栄養素を注入され、同一の規格で大量に作られる野菜栽培のシステマティックな工程は、誰にもわからないということを指しています。

1975年に出版され、高度成長社会に大きなネガティブなインパクトを与えた有吉佐和子著の「複合汚染」に似た、社会問題告発型の小説ですが、決して硬派なものではなく、主人公達もどこにでもいる野菜工場で夜勤で働くアルバイトや、農家の跡取り、学校栄養士の地方の同級生です。

でも、この本を読むと、コンビニやカフェなどで売られている、小さなパックに入った表面上はみずみずしくシャキシャキした色も鮮やかなサラダを好んで食べようとは思わなくなるかもです。風評ですが営業妨害だ!と言われてしまいそうです。

しかしこうしたブラックボックス化した野菜生産を非難するだけでは、農業従事者の高齢化と減少、やがて間違いなく起きる世界の人口爆発と、食糧不足などに対応ができないという現実もあり、自然の摂理に反することだとばかり言えず、必要悪とも言えます。

そのような奥深い問題ですが、読み物としてサクサクと読める軽快なストーリーとなっていて、良い作品だと思います。

★★★

著者別読書感想(篠田節子)


【関連リンク】
 5月前半の読書 レイトショー(上)(下)、クラウド・ナイン、メゾン・ド・ポリス、まほろ駅前狂騒曲、孤独のチカラ
 4月後半の読書 火刑法廷、老後の資金がありません、聞く力 心をひらく35のヒント、仮面病棟
 4月前半の読書 墓標なき街、裁判官の爆笑お言葉集、かたみ歌、おとなの教養

[PR] Amazon 書籍 売れ筋ランキング

ビジネス・経済

ビジネス実用本

新書

文庫

文学・評論

コミック

ゲーム攻略・ゲームブック


ハヤカワ・ミステリ  

創元推理文庫

新潮文庫

講談社文庫

角川文庫

集英社文庫

岩波文庫


文芸作品

ノンフィクション

ミステリー・サスペンス

SF・ホラー・ファンタジー

歴史・時代小説

経済・社会小説

趣味・実用


リストラ天国TOP
おやじの主張(リストラ天国 日記INDEX)
著者別読書感想INDEX
PR

コメント
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
ブログ内検索
プロフィール
HN:
area@リストラ天国
HP:
性別:
男性
趣味:
ドライブ・日帰り温泉
自己紹介:
紆余曲折の人生を歩む、しがないオヤヂです。
============
プライバシーポリシー及び利用規約
Template & Icon by kura07 / Photo by Abundant Shine

Powered by [PR]


忍者ブログ