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認知症とは後天的な脳の障害により、知能が低下した状態のことで、記憶・判断力の障害などが起こり、意識障害はないものの社会生活や対人関係に支障が出てしまう病気ですが、国内には2012年で400万人を越える認知症有病者がいると言われています。
2004年までは一般的に「ボケ」や「痴呆」などと呼ばれていた主に老化が原因の病気ですが、ガンの発症率と同様、日本人の高齢化が進み、医療の発達で寿命が延びたことにより目立ってくることになりました。
映画「恍惚の人」は1973年の映画(有吉佐和子氏の原作本は1972年刊)で、今から40年も前にこの問題を取り上げ、当時私は中学生で観ていませんが、大ヒットしていた記憶があります。
認知症有病者のうち99%は65才の高齢者で、わずかながら若年性認知症も見られます。
渡辺謙主演で映画にもなりましたが、荻原浩氏の小説「明日の記憶」で、初期は仕事で面会のアポイントをうっかり失念してしまうようなところから始まり、徐々にそれがひどくなって、仕事で外出中に自分がどこへ行こうとしていたのか?自分が今どこにいるのかさえわからなくなったり、最後には妻の顔までわからなくなる若年性認知症の恐ろしさが描かれていました。
さらに日常生活にはほとんど支障はないものの、認知症の前段階と言えるMCI(Mild Cognitive Impairment)と思われる人が380万人にのぼり、このMCIの中から毎年10~15%の人が認知症へと移行していくということです。
65才以上の高齢者は2010年でおよそ2900万人で、そのうち程度に差はありますが15%が認知症を患っていることになり、予備軍のMCIも含めると3割近い高齢者が認知症と無縁ではないということです。
その65才以上の人口、2012年ではすでに3000万人を越え、3079万人となりました。そして今後もまだまだ増え続け、もっとも多くなるのが今から27年後(現在38才の人が65才に達する時)の2040年頃で、65才以上人口は3868万人と予測されています。もちろん私もその一員で、認知症予備軍です。
もしそれまでに画期的な治療法や特効薬が出てこず、現在と同じ割合で認知症患者が増えていったとしたら、有病者数は2040年には580万人、MCIを含めると1100万人という人数に達し、その頃の日本の人口1億700万人の1割を越えてしまうことになります。全国民のおよそ1割に認知症またはその初期の疑いがみられるという、想像を絶する認知症国家になってしまう可能性があるのです。
そしてこの認知症、発症する率は年々減少ではなく、寿命の伸びとも関係あると思われますが、増加傾向にあるそうです。つまり27年後に580万人ではなく急増して700万人800万人という可能性もあるわけです。原因が特定されず特効薬や治療法がない以上そうなる可能性はあります。
そのことでなにが大変かと言えば、認知症が発症すると一人で生活をすることは様々な問題があり難しく、終始目を行き渡らせ、進行度によりますが食事や排便、入浴、洗濯、着せ替え、運動、散歩など身の回りの世話をするため、複数の家族や介護人を必要とします。もし600万人が認知症となると、それ以上の体力や技能がある家族または専門の介護人が必要ということです。
介護者が認知症患者から一時でも目を離してしまうとどういうことになるかという厳しい判決が先日出ました(現在控訴中)。今回は家族(長男と妻)が介護者でしたが、今後は特別養護老人ホームなど介護施設やそこの従業員への賠償責任も問われていくでしょう。
遺族に賠償命令 波紋呼ぶ 認知症男性、電車にはねられJR遅延
認知症の男性が電車にはねられたのは見守りを怠ったからだとして、電車の遅延の賠償金約720万円を遺族からJR東海に支払うように命じた判決が、名古屋地裁であった。(中略)家に併設する事務所出入り口のセンサー付きチャイムの電源を入れるなどの対策をせず、妻も目を離すなど注意義務を怠った… |
少子化や核家族が進んでいるなかで、家族に24時間365日ずっと世話をしてもらえる高齢者はそう多くはないでしょう。
またJR東海側にしてみると、認知症患者が原因で大きな被害を被った場合、安全に必要な措置を怠っていたという点はあるにせよ、なんらかの損害賠償を請求するのはビジネス上普通のことでしょう。
このような双方に被害を受けてしまう事例が今後ますます発生し社会問題化していくことは必至です。
高齢者の増加にともない、国の施策は在宅介護に向いてきていますが、それとは逆行するように介護施設の不足から老老介護、娘や息子が介護をするために仕事を辞めざるを得ないなど多くの課題があります。
それにしても認知症患者を適切に預かれる施設や介護人の数が圧倒的に足りません。安い公営の特別養護老後ホームは今でも数万名の待機者が出ています。それにも関わらず、今後毎年数十万名の入居希望者が新たに出てくる可能性もあります。
また例え施設を作っても、それを24時間態勢で健全に維持運営できるスタッフの確保ができるのか?と言う問題にも直面していくでしょう。経済成長三本の矢も結構ですが、こうした光りが当たりにくい医療・介護・福祉といった面での充実にも世界の先陣を切って取り組んでもらいたいものです。
認知症を患った人の特徴として、徘徊、幻覚、(被害)妄想、焦燥などがあります。それらが高じると夜中など監視が十分に行き届かない時に、こっそり外へ出掛けてしまったり、患者同士、または介護人や家族に対して暴力をふるったり、暴れるケースも起きてきます(現在既に起きています)。
つまりそういう暴力的な患者に対しては、老老介護や女性がひとりでおこなう在宅介護では無理があり、組織的かつ複数名であたらなければなりません。
う~ん、どうすればいいんでしょう?
私が子供の頃には、事実かどうかは知りませんが、精神病院の入院患者は「格子付きの部屋にずっと押し込められていて、暴れる患者は手足を拘束されてベッドに縛り付けられている」というイメージがありました。
「悪いことばかりしていると精神病院へ連れて行かれるよ!」は子供に対して絶大な脅し文句となりました。今はどこの病院や施設でも人権には最大限気を遣うようになり、そういう話しは噂にすら聞きません。
しかしこれからは団塊世代など元気で体力がある高齢者が一気に増えていき、その人達の1割以上が認知症を患い、徘徊や暴力的素行のある患者が増えていったとしたら、家族や介護人の安全、医療の経済性・効率性を考えると、決して望ましい形ではありませんが、「ずっと鎮静剤で大人しくさせておく」「部屋の中に軟禁しておく」という悪夢がおこなわれるようになるのかもしれません。
もし認知症患者に可能な限りの自由を与え、十分なケアと介護と監視をしていくとなると、少子化で若手の労働者が少なくなり、海外からの移民政策も遅々として進まない以上、例えば「任侠ヘルパー」じゃないですが、刑務所の受刑者全員に介護の技能を身につけさせて勤労させるようになるとか、仮出所の期間は強制的にその仕事に就かせるとか、高校生、大学生の授業や単位の一環として生徒・学生に介護ボランティアを義務づけるとか、早期に人工知能を持った介護ロボットの開発とか、患者に寄り添って異常や徘徊を24時間監視する介護犬の養成とか、限界集落になった町や村をそっくりまるごと県や市が買い取り、介護人と患者だけを集め、患者が勝手に徘徊しないように塀を張り巡らした「認知症村」を作るとかなどなど。
そのようなことをしなくてもいいように、原因の特定と画期的な認知症医療が早く見つかればいいのですが。
【関連リンク】
733 高齢者の地方移住はこれからも進むか
719 道の駅は次の段階へ進めるか
711 地方が限界集落化していく
706 高齢化社会の行方
583 人口が減るのもいいんじゃない
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認知症患者の増大で国は衰退する?
突然の書き込み失礼します。
安楽死、尊厳死を認めるべきです。家族が居る方ならまだ良いですが、生涯シングルの方が増え、延命の処置を決めてくれる方が居ない。だれが判断するか分からない時代になっています。それに、家族に延命処置を断らせるのは苦渋の決断です。認知症が治らないのであれば、自分は尊厳死を選び、自分がハッキリ決められるときに決めておきたいです。
また、治らない病を延命させることは現役世代へ寄生する事と何も変わりません。老人はその辺をもっと自覚するべきで、医療費が全額負担なら本人や家族の自由ですが……?
それから、臓器提供の意思確認より先に尊厳死の答えを明確にすることが、現在の日本で一番先に遣らなければならない事だと思います。
安楽死、尊厳死を認めるべきです。家族が居る方ならまだ良いですが、生涯シングルの方が増え、延命の処置を決めてくれる方が居ない。だれが判断するか分からない時代になっています。それに、家族に延命処置を断らせるのは苦渋の決断です。認知症が治らないのであれば、自分は尊厳死を選び、自分がハッキリ決められるときに決めておきたいです。
また、治らない病を延命させることは現役世代へ寄生する事と何も変わりません。老人はその辺をもっと自覚するべきで、医療費が全額負担なら本人や家族の自由ですが……?
それから、臓器提供の意思確認より先に尊厳死の答えを明確にすることが、現在の日本で一番先に遣らなければならない事だと思います。
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