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1339
不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか (講談社現代新書) 鴻上尚史

著者は私と1年違いの生まれで同世代の劇作家、演出家として有名な方で、バラエティ番組などでも時々見かけますが、こうした硬派な本を書いているとは知りませんでした。

この新書は2017年に発刊され、その後2018年には「不死身の特攻兵 生キトシ生ケル者タチヘ」と改題したマンガも出版されています。

私の世代が子供の頃はというと、まだ太平洋戦争の事柄についてまだ色濃く様々な形で残っていました。自分の祖父母や両親、親戚で、戦争と関わっていない人はいなかった時代です。

例えばテレビでは「ゼロ戦黒雲隊」、その映画版「零戦黒雲一家」や「東宝8.15シリーズ」、漫画では「紫電改のタカ」など、小学生の子供が美化された戦争ドラマやコミックをよく見ていたものです。

プラモデルも、B29やコルセア、ムスタングなど当時の大人からすれば憎々しい敵機ですが、そのスマートさや合理性の塊のユニークさで作りがいがありました。

なので、著者を含む我々の世代以上は、内容がやや不正確で偏向しているのはさておき、太平洋戦争における事象にはかなり敏感で、この著者が深く興味を覚える気持ちもわかります。

前置きが長くなりましたが、タイトルの「不死身の特攻兵 軍神」とは、陸軍のパイロット佐々木友次氏のことで、陸軍として初の特攻攻撃を含む9回の自爆特攻を命ぜられながら、生きて帰還してきたという強者の話です。

しかしよく読むと9回特攻攻撃で敵と交戦したわけではなく、あるときは味方の支援戦闘機が反転したので敵前で一緒に反転して帰ってきたり、雲が多く敵が見つからずに帰ってきたり、機体の調子が悪く飛べなかったりを含み、9回の命令を受けたということです。

ま、それでも強運の持ち主で、実際に米艦に爆弾を落としたこともある強者には違いありません。

結局このパイロットは戦争を生き抜き、2016年92歳の天寿を全うされます。

この元特攻パイロットへのインタビューを中心に書かれていますが、その部分は全体の2割程度、その他は、他の文献からの引用と著者の意見や感想、推測が重ねられています。

インタビューの迫力と比べると、引用、意見の部分は著者の憶測や感想でしかなく、ちょっと退屈なのが残念でした。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

友情 (新潮文庫) 武者小路実篤

この小説は著者が34歳の時、1919年(大正8年)に大阪毎日新聞に連載され、1920年に単行本となったものです。

1919年頃と言うと、日本では同年に終結した第一次世界大戦で戦勝国となり、戦争景気が盛り上がった時期でもあり、また国際的な立場も高まってきた頃ですが、同時に軍部が国内で力を増していく途上です。

そうした世情の中でも新聞連載小説では今も昔も恋愛ものが主流のようで、その例に漏れずこの小説も恋愛をベースにした男性の熱き友情と、女性が絡んで破綻するという物語です。

ストーリーはシンプルで、すぐに映画化もできそうですが、未だにそれができた様子はなさそうです。大正ロマンを重ね合わせると、良い映像になると思うのですけどね、、、

テレビドラマとしては42年前の1977年に寺尾聰主演のテレビ銀河小説(NHK)として制作、放送されたようです。私がまだバイトで忙しかった学生時代のことで、当然見ていません。

主人公は23歳の大卒の脚本家で、著者自身の若い時のことをベースにして書いたものとされています。

主人公は自堕落な生活をおくっていながら、友人の妹に一目惚れしてしまい、気持ちの中ではもう自分の妻になるのはこの人しかいないと決め、何度も友人の家へ遊びに行き、きっかけを作ろうとしますが、なかなかうまくいきません。

そのことを別の親友に話しをするものの、その親友はその女性と会っても冷ややかな対応をします。ところが逆に女性は、主人公よりもその親友に惹かれていきます。

そうこうしていると、その親友が突然ヨーロッパへ長期間行くと言い出し、それによって女性の想いが断ち切られ、自分に好意が向くのではないかと身勝手にも期待します。

そして女性に付き合って欲しいと手紙を書いたものの、体よく断られてしまい、しかもその女性が知人の新婚旅行に同伴し、ヨーロッパへ行くと決めます。もちろんヨーロッパで生活している親友と会うためにです。

たいへん仲が良く、お互いに信頼し合っていた男同士の友情が、ひとりの女性が入ることで、見事に壊れてしまうと言うはかない悲恋物語ですが、身勝手でさしたる優れた才能もない主人公に対し、哀れみや同情は起きません。

短い小説ですので、中高生が読書感想文に選んで書くのには適している感じですが、主人公男性の心の葛藤をどう表現するかが、感想文の評価のキモとなりそうで、難しいところです。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

あなたにもできる悪いこと (講談社文庫) 平 安寿子

1999年に「素晴らしい一日」でデビュー(単行本は2001年刊)した御年66歳の立派な高齢者に域に達している女性作家さんの作品です。今回初めて読ませていただきました。この小説は2006年単行本、2009年に文庫化されています。

著者は変わった名前と思ったらアメリカの小説家「アン・タイラー」の名前をもじって付けたペンネームで「たいら あすこ」と読むそうです。姓と名に間がないと「へいあん としこ」とかで覚えてしまいそうです。

内容は連作の短編という形式で、口八丁な主人公の中年男性が詐欺や脅迫すれすれの様々な仕事をしていくというなんてことはない物語。

口八丁手八丁の悪人が主人公でコメディタッチというと伊坂幸太郎著の「陽気なギャングシリーズ」やローレンス・ブロックの「泥棒探偵バーニイシリーズ」などを思い浮かびますが、それらまでには遠く及ばない感じです。

ただ女性作家らしく、男性の主人公より、脇役で出てくる女性の心理や行動がとてもリアルで、またぶっ飛んでもいたりして、男性が読むと女性恐怖症に一歩近づくことができそうです。

どうせなら、男性を手玉に取るそうしたぶっ飛んだ女性や悪女を主人公にした短編でも書けばもっと面白くなったかもしれません。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

山女日記 (幻冬舎文庫) 湊かなえ

著者の趣味でもあった山岳登山の連作短編小説で、2012年から2013年にかけて文芸誌に連載された「妙高山」「火打山」「槍ヶ岳」「利尻山」「白馬岳」金時山」「トンガリロ」「カラフェスに行こう」を1冊に収録し、2014年単行本、2016年文庫が発刊されています。

主人公は短編ごとに変わってきますが、前に出てきた人物が、あとの作品でもちょい役として出てきたりします。

2016年~2017年には工藤夕貴などが主演して、この原作を元にしたNHK BSプレミアムの「プレミアムドラマ」が制作、放送されています。ただし登場人物などを見る限り、内容は小説とずいぶん違っているような感じです。

最近読んだ同じような山ガールをテーマにした小説では、書いたのは男性ですが、北村薫著「八月の六日間」が、非日常感があふれる例えば登山に慣れた人が歩きながら栄養を補給するため、長い羊羹をかじりながら歩くシーンなど、たいへん興味深くて面白かったです。

こちらの小説では、主人公は毎回変わりますが、だいたいは30歳前後の女性で、若い頃には山岳部や同好会で少しは経験があり、しばらくブランクがあったものの、再び戻ってきたというような方が多いです。これは著者自らをモデルにしているのでしょう。

私も山登りではなく単なるウォーキングですが、ほぼ毎日1時間ぐらいは歩いています。歩くとこの小説の中でも出てきますが、いろいろと自分や人のことをあれこれと想像したり、考えることができて面白いのです。

これが騒がしい電車の中だったり、クルマを運転していたりでは、とても考えたり思いついたりしませんが、単純に足を右左と進めていくだけの単純な運動中だと、脳がその単純作業以外のことをやりたがるのか、悩んでいたことで名案が思い浮かんだり、様々なアイデアが次々と浮かんできます。

今はウォーキングのモチベーションは、それに尽きると言っても良いぐらいに、こんがらがった頭脳がリセットされ、気持ちよくなりますから、きっと登山やトレッキングにはまる人も、違った環境に身を置いてそうした気分をもっと味わいたいという本能からきているのでは?と思っています。

登山そのものは、そこでなにか大きな事故や事件でも起きない限り、淡々と静かに登っていくだけで、あまり小説の題材にはなりにくいものです。

それを小説に仕上げるには、無理矢理に我が身を振り返ったり、他人や家族のことを考えたりして、膨らませていくしかなく、その苦労がうかがえます。

でもやっぱり登山は自分で味わって初めて楽しめたり達成感を味わえるのであって、人の感想や体験を聞いたり、読んでも、退屈以外のなにものでもありません。

それだけに、自分も登山をしてその感覚を味わいに行ってみようか?という気持ちには少しなります。

★★☆

著者別読書感想(湊かなえ)

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

アルトリ岬 (PHP文芸文庫) 加治将一

2008年に単行本、2011年に文庫化された長編小説で、著者自身が自己啓発セラピストとして活動されていることもあり、いわゆるカウンセリング小説というジャンルになるものです。

かといって、なにか押しつけがましいところや、「こうあるべき」みたいな指導書やHOW TO本ではないので、気楽に読めて楽しめます。

この著者の作品では昨年「失われたミカドの秘紋―エルサレムからヤマトへ「漢字」がすべてを語りだす!」とやたらと長い題名、副題の小説を読んでいます。これはなかなか面白かった小説でした。

3月前半の読書と感想、書評 2018/3/14(水)「失われたミカドの秘紋」

主人公は、気弱であまりやる気がない中年男性で、仕事がリストラに遭い、派手好きで浪費家の妻との関係も悪くなり、二人の子供も不登校だったり非行に走ったりして、どん底に落ちています。

当たると評判の占い師にお告げをうけて、家族を捨てひとりで北海道に渡りやり直そうと就職します。

そこへ借金取りから逃げるように家族がやってきて、また元の険悪なムードに満たされてきますが、不登校の子供が、偶然海岸で知り合った年配の男性と犬に癒やされていき、その後、家族全員がその男性のアドバイス(カウンセリング)を受けるようになっていき、変わっていくというのがあらすじです。

カウンセリングが本業でもある著者からすれば、家庭の不和も、ちょっとしたきっかけや他人のアドバイスで良くなっていくということを知っていて、そうした例を小説にまとめたという感じなのでしょう。

政治家や芸能人、評論家の過激な発言や、ネット上で吹き荒れる非難、炎上など、これだけストレスがたまる世の中ですから、こうした素朴で最強の「愛情」を気づかせてくれるカウンセリング本は、小説としての出来不出来はともかく、できるだけ多くの人に読まれるといいですね。

★★☆

著者別読書感想(加治将一)

【関連リンク】
 5月後半の読書 逆流 越境捜査、友がみな我よりえらく見える日は、友情、ピストルズ(上)(下)
 5月前半の読書 光のない海、地方消滅 東京一極集中が招く人口急減、家守綺譚、芥川症、バカ売れ法則大全
 4月後半の読書 ガール・オン・ザ・トレイン、自由とは何か、きらきらひかる、Yの悲劇、デッドエンド

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1338
少し前の「NNNドキュメント」で「防衛大学校の闇 連鎖した暴力…なぜ」という番組が放送されていました。再放送もありましたが、民放の深夜の番組ですので見た人はそう多くはないと思います。

NNNドキュメント「防衛大学校の闇 連鎖した暴力…なぜ」
幹部自衛官を養成する防衛大学校で「殴る」「蹴る」「下半身に火を付ける」などの暴力が起きていた。被害者の元学生(24歳)が起こした裁判で、加害者は「指導だった」などと主張し、元教官は「予測不可能だった」と証言。取材を進める中で我々は、防衛大OB等の貴重な証言と重要な内部資料を得た。見えてきたのは蔓延する暴力の実態。そこには“学生間指導”という独自の教育システムが介在していた。

おちゃらけた低予算バラエティ番組が多い民放局ながら、なかなか硬派な内容で、正直な感想として「戦前の士官学校ならいざ知らず、21世紀の特殊とは言え日本の大学でまだこんなことをやっているのか!?」と驚きました。

ご存じの通り防衛大学は、幹部自衛官を養成するために設立された全寮制、学費無料、学生の身分は特別職の国家公務員で給料が支給される国立大学です。

ご存じの通り防衛大学は、幹部自衛官を養成するために設立された全寮制、学費無料、学生の身分は特別職の国家公務員で給料が支給される国立大学です。

大学へ入るための競争率は高く、東大や京大のように頭さえ良ければ入学できるわけでなく、一般試験とともに適応能力試験、問題解決能力試験、基礎体力試験、口述試験及び身体検査なども課せられ、文武両道でなければならず合格難易度がかなり高い大学です。

卒業後は多くは幹部候補の自衛官(曹長:下から7番目、上から10番目の位)となりますが、卒業生の20%近くは民間企業等で就職する人もいます。

強制されて全員が自衛隊へ入隊するのではないところが、憲法で定められている現代の人権や職業選択の自由を考えると当然のことですが、入学後の学生生活においては戦前から時計が停まったままのようなことが当たり前のように行われ、それを教官や上司などが容認しているように思われます。

取材の映像でも出ていましたが、本来なら先輩から後輩に対する明らかな傷害と思える暴力や、陰湿ないじめを防止し、みつけたらやめさせるべき教官も、「知らない」「見てない」と関わりを避け、責任逃れをしているのにはあきれ果てます。

おそらく防衛大学校の教官や、自衛隊幹部達の多くは、未だに「鉄拳制裁は指導の一環」「過酷な環境の中から忍耐強さが生まれる」などと今でも心から信じているのでしょう。

日本相撲協会は数年前に「かわいがり」と称する暴力が当たり前の風土を改めました。それ以降、暴力事件を起こすと即、引退が待っています。その他のスポーツでも暴力やパワハラなどを追放する意識が高まっています。

自衛隊や防衛大学校でもそうした社会の風潮を知らないわけはないでしょうが、おそらく帝国陸軍以来の伝統とか言い訳をして、暴力や後輩へのいじめは現在も当たり前におこなわれているものと思われます。

せっかく、高い意識を持ち、高い競争率を勝ち抜いてきた優秀な人達を、郷に入れば郷に従えとばかりに、理不尽な指導という名の暴力やいじめにより、令和の時代にはとても通用しそうもない暴力の連鎖で幹部を育てていくことが良いはずがありません。

まったく利害関係がないスポーツ界とは違い、彼ら防衛大学校の学生や教官には国民の税金を使って給料まで支払っています。後輩を殴り、いじめるために税金は使って欲しくありません。

40数年前の高校生時代に、防衛大学校に憧れた者として、こうしたドキュメントを見ると、情けなく思いました。

もし防衛省がこの問題と真摯に向き合おうとするならば、「後輩や同僚へ暴力を働くと、初回は停職1ヶ月以上、2回目は免職(懲戒免職に相当)」とするなど、後戻り出来ない厳罰を科す覚悟でない限り、ドキュメンタリーで防衛省側が苦し紛れに言っていた「生活指導マニュアルを作成した」ではまったく改善することはなさそうです。

【関連リンク】
1293 お詫びと訂正と放送禁止用語
962 ケーブルテレビの契約見直し
895 「ドキュメント72時間」を見て日本経済を考えた

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1337
5月はなにか天皇即位のドサクサに紛れたかのように史上初の長期10連休(一般企業や公務員)というのが実施されました。

その中の休日っていったい何の日?ってふと思いましたが、それを全部正しく言える人って日本人の何割ぐらいがいるでしょうか?

正確には、4月27日(土)、4月28日(日)、4月29日(月)昭和の日、4月30日(火)前後に祝日があるので休日、5月1日(水)即位の日(今年限りの祝日)、5月2日(木)前後に祝日があるので休日、5月3日(金)憲法記念日、5月4日(土)みどりの日、5月5日(日)こどもの日、5月6日(月)振替休日です。

中でもわかりにくいのが、4月30日(火)と5月2日(木)の休日ですが、これは国民の祝日に関する法律第3条第3項で、前日及び翌日が「国民の祝日」である日は休日とすると定められているからです。

お金がある裕福な人達は、あれこれこの10連休を満喫されたでしょうか?私はお金がないのと混雑が嫌いなので、近場でお茶を濁しジッとおとなしくしていました。

  ◇     ◇     ◇

毎年、ゴールデンウィーク(以下GW)のあと、会社や学校に出てこなくなる人が少なからずいますが、それはGW中に実家へ帰って里心がついてしまったり、休暇中に友人と過ごすことで、その友人の環境と比べ、「隣の芝生は青い」と自分の身が哀れに思ったりして、会社や学校へ行きたくない病、別名では5月病の一種ですが発病するからと言われています。

今年の10連休のあとは、通常のせいぜい5連休程度の年の5月病発生率と比べてどうだったのか?変化はあったのか?気になるところです。

  ◇     ◇     ◇

よく休日を文字で表すときに、「土・日曜日及び祝祭日」というような書き方、言い方をします。

でもこれって、正確ではありません。知ってました?

元旦やこどもの日などはご存じの通り祝日です。その他の春分、秋分の日や、建国記念日、勤労感謝の日、天皇誕生日などもすべて祝日で、これは「国民の祝日に関する法律」で定められています。

じゃ、祝祭日のうち、祭日というのは?

祭日とは「宗教儀礼上重要な祭祀を行う日」(Wikipedia)と言うことで、皇室の宮中祭祀などがそれにあたりますが、皇室祭祀令は1947年(昭和22年)5月2日にすでに廃止されていて、現在は該当する日はありませんし、今後新たに作られる予定もありません。

遠い将来、日本が「国教をキリスト教と定める」とかになれば、4月には復活祭、12月にはキリスト生誕祭(クリスマス)を祭日として決めることもあるかも知れませんが、現状では可能性は極めて低そうです。

但し、「国民の祝日」には、旧来なら祭日に相当する皇室行事を元として制定されたものがいくつかあります。

紀元節祭(2月11日)が建国記念の日に、新嘗祭(11月23日~24日)が11月23日の勤労感謝の日として、春季皇霊祭・春季神殿祭は春分の日、秋季皇霊祭・秋季神殿祭は秋分の日、天長節祭が天皇誕生日へと名を変えて国民の祝日となってきました。

従って、表記上の「祝祭日」というのは正式には正しくないというか、今は祭日はないのですから、ないものを書くのはおかしいということになります。

今でも「祝祭日」という表記や言い方が残っているのは、1947年に祭日が廃止された際に、(一部の)祭日が祝日に合わさったという意味でそうした表現が残ったようです。

祭日が廃止されてからもう72年が経ちましたからそろそろ語弊がないように、祝祭日と書いている人は、これから「土・日曜日及び国民の祝日」のように正しく表記すればどうでしょうかね。

ちなみに、1989年に崩御された昭和天皇の葬儀「大喪の礼」の当日は休日となり、しかも葬儀が祝日では変だし、あれは葬祭という意味でも祭日では?という意見もありました。

しかし法律的には「昭和天皇の大喪の礼の行われる日を休日とする法律」というものが作られ、「その日を国民の祝日に関する法律に定める休日と同等なものとして扱うよう附則で定める」とされてきました。つまりあくまで祭日ではなく、国民の祝日と同等な休日ということです。

同様のケースでは、皇太子の結婚、先般の5月1日のような天皇即位の日なども一時的な休日が作られて「国民の祝日と同等な休日」となりました。

  ◇     ◇     ◇

こういう記事がありました。「日本は祝日は世界の中でも多いけど有給がとれない国」ってことです。

GW10連休で問う 日本人が「休日多すぎなのに休めていない」真の理由(ITmedia)
日本の休日数は、実は世界でも突出して多い。2019年の土日以外の祝日数は17日だが、主な先進諸外国では10日以下が一般的だ。だが、有給休暇の日数やその消化率という視点を加えると状況はまるで変わってくる。

時代を感じるのは、休日のことで、私が新入社員の頃(1980年)は、「会社の休日は日曜日と祝日、あとは年末年始の5日間、お盆休みが2日間、はい、以上」です。

土曜日?

えぇ、土曜日は毎週、朝から夜まで平日と同じ時間の勤務でした。公務員とかにはあった半ドンなんてこともありません。

朝は始業時間の1時間以上前までに出勤するのが慣例で、夜は9時より早く会社を出たことはありません。

もちろん他の多くの労働者と同様、有給休暇は、当時若くて健康で病気もしないので使ったことはほとんどありません。また病気もしていないのに休めるような雰囲気はありません。

当時の祝日は、その後新たに作られた海の日、山の日、みどりの日や、国民の祝日と日曜日が重なった時の休日、GWの谷間の休日もありません。

ちなみに私が新入社員として入社した1980年と、今年2019年の普通の会社の出勤日数(双方とも有給休暇はカウントせず、年末年始5日間、夏休み2日間で計算)を比べると、1980年の出勤日は302日、2019年は237日となります。その差は65日です。つまり40年前と今では1年間で2ヶ月以上も休暇が増えているってことです。今は有給休暇の強制消化もありますから、実際はもっと差が開いているでしょう。

それを思うと今の労働者は恵まれています。有給だって取りたくともとれなかった時代から、今年からは義務化され強制的に取らされます。

その代わり昔は労働時間の長さで低い生産性を補っていましたが、現在は短時間で生産性をあげて効率よく仕事をすることが求められます。それがグローバルスタンダードなのだから仕方ないです。

したがって、時間をかけてゆっくりとマスターしたり、熟練していくことが望ましい仕事やそういう性格の人でも、素早く結果を出さないと、周囲の足を引っ張ることとなり、プレッシャーもかかり、精神的に追い込まれるようなストレスフルな時代になってきました。

そうした新入社員の皆さんにも、入社後1ヶ月で10連休という長期休暇で十分にリフレッシュができ、今年1年の中で唯一祝日がないこの6月も無事に乗り切ってもらいたいと願うばかりです。

【関連リンク】
1273 働き方改革と通勤定期
1268 首都圏一極集中はこの先どうなる?
919 春は自殺者が多いという話し
677 2013年の休日と国民の祝日について
591 日本の平均有給休暇取得数



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1336
バリー・リンドン 1976年 英・米 日本公開1976年
監督:スタンリー・キューブリック 
出演:ライアン・オニール、マリサ・ベレンスン

全編が185分(3時間)もあり長い映画で、テレビ放送では1部と2部に分けられていました。

監督のスタンリー・キューブリックは「2001年宇宙の旅」や「時計じかけのオレンジ」など多くの名作、大作を作ってきた巨匠ですが、この映画のような個人の伝記的(フィクションです)な映画はこれだけだそうです。

舞台は18世紀半ばの英国で、農家の生まれで上流社会とは縁がなかった主人公ですが、恋人を取り合い、富豪のへっぽこな軍人に1対1の決闘を申し込み、それには勝ったものの、英国の警察に追われることとなり、故郷を捨て行きずりで英国陸軍に入隊、そこでフランスなどとの7年戦争に従軍します。

7年戦争は両軍ともひどい消耗戦で、このままでは最前線で野垂れ死にするだけと悟った主人公は、池で水浴している将校の服を盗み、安全なところへ逃げようとしますが、途中同盟国のプロイセン王国(現ドイツ)で、偽っていた身分がバレてしまい、「兵として加わるかそれとも処刑か」と聞かれ、当然プロイセンの兵士となります。

その後プロイセン軍での活躍が評価され、プロイセンの警察に協力し、ある英国出身の有名なギャンブラーの執事として潜り込み、スパイ活動を求められますが、勤務初日にギャンブラーに本意(やむなくスパイを強制されている)を告げ、ギャンブラーの信頼を得て二重スパイとなります。

しかし、そのギャンブラーもやがてプロイセンを追われることとなり、警察の裏をかいて一緒に脱出し英国に戻ります。

ここまでが1部で、2部では、無事にプロイセンから逃げ出し英国に戻ってからの活躍です。

英国に戻りプロのギャンブラーとして生活している中で、若い伯爵夫人と出会い籠絡、高齢の旦那が病気で亡くなった後に後釜として名家に入りこみ、上流社会で放蕩の限りを尽くします。

家庭を顧みず、放蕩を続ける主人公はとうとう妻と前夫の子に見放され、家を追い出されてしまいます。

いや、まったくジェットコースターのように浮き沈みというか紆余曲折が激しい人ですね~

こうした波瀾万丈の一生を送るというのは退屈しなくて良いかも知れませんが、それにしてもめまぐるしく強運と悲劇とが次々とやってくるのも精神的、肉体的にタフでないと大変そうです。見ていてもあまりの落差に目が回りそうでした。

そういう人生ですから映画としてはとても面白く、長時間でも退屈はしませんでした。

★★★

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

アメリカ アメリカ 1963年 米(日本公開は1964年)
監督 エリア・カザン
出演 スタティス・ヒアレリス、フランク・ウォルフ

映画の舞台となるのは19世紀のトルコで、当時はオスマン帝国(1281年~1922年)という世界の中でもトップクラスの繁栄と強国を誇っていたところです。

しかしその強力な大国も19世紀末頃には様々な問題が噴出し、帝国末期の様相を呈していました。

そのオスマン帝国はトルコ人が主導していたため、帝国に組み入れられた近隣のギリシア人やアルメニア人は差別され、トルコ人に搾取されていたというのは、今も昔も支配する国とされる国の違いでよくあることです。

主人公はそうしたオスマン帝国の圧政に苦しむギリシア人一家の若い長男で、友人から聞かされた新興国アメリカへ渡りたいと強く思うようになり、家族の支援もあり、アメリカ行きの船が出ている首都コンスタンティノープル(現イスタンブール)へと向かいます。

ところが途中で山賊や、詐欺にあって、持ち物をすべて奪われ、仕方なく港湾で働き渡航費を貯めていきますが、それも売春宿ですべて失ってしまいます。ま、自業自得なんですけどね。

人に騙されても、お金を奪われても、人への恨みつらみではなく、自分の情けなさを嘆くという、なんと、人の良いことでしょう。ギリシア人の特徴なのでしょうか?

コンスタンティノープルで絨毯の商売をしていた親戚の力を借りて、お金持ちのふりをし、持参金付きで婚約者を得て、さらにアメリカ人旅行客の婦人を色仕掛けで味方に付け、アメリカ行きの船にようやく乗船することができます。

しかし、アメリカにまもなく到着するという船内で、アメリカ人婦人との不倫関係や、貧しい身元もバレてしまい、アメリカ到着後に追い返されるという危機一髪の事態に。その後は見てのお楽しみです。

そうした移民の苦労話を大河ドラマ風に壮大なスケールで描かれていました。

それにしてもギリシア映画ではなく、アメリカでトルコが舞台の移民映画がなぜに?と思って調べると、監督のエリア・カザンが自らの体験を書いた自叙伝的小説を元にしているとのこと。

エリア・カザンはそのオスマン帝国から米国に移民として渡り、その後「欲望という名の電車」(1951年)、「エデンの東」(1955年)など数多くの名作映画を監督をしています。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

我が命つきるとも 1967年 米
監督 フレッド・ジンネマン 
出演者 ポール・スコフィールド、スザンナ・ヨーク、ロバート・ショウ、オーソン・ウェルズ

第39回アカデミー賞で8部門にノミネート、うち6部門で賞を獲得した作品で、なかなかの大作です。主人公は有名な思想家で作家でもあったトマス・モアです。

私の高校生時代には、国語の教科書にも同氏の小説「ユートピア」が出てきましたが、今はどうなのでしょう?大学の入学試験でも、著者と作品名を結びつける問題として時々出てきました。

暇だった大学生の頃に「ユートピア」は買って読みましたが、なにか奇想天外でよく理解できなかった記憶があります。

同じ時期に読んだ、英国の17世紀の詩人ミルトンが書いた「失楽園」(渡辺淳一著のエッチな「失楽園」ではなく)のほうも奇想天外さでは負けていませんが、旧約聖書をベースにしているだけあって、わかりやすく印象が強く残り楽しめました。

映画の舞台は当時宮廷文化が盛んだった14世紀の英国、ヘンリー8世の時代に、今で言う法務大臣か最高裁判所長官のような大法官という役職まで上り詰めたトマス・モアですが、ヘンリー8世が子供ができない妻と離婚して別の女性と再婚したいと要求しても、当時英国の国教だったカトリックは離婚禁止のため、それに同意せず、国王の怒りを買います。

そうした状況の中で、大法官の地位を狙うライバルが虚偽の重罪証拠をトマス・モアに突きつけ、「反逆罪」で斬首されるまでの映画で、一途に正義とキリストの教えを守る善き人として描かれます。

テンポが速く、しっかり見ていないと、どこでどうなった?というのがわからなくなります。

一度、ながらで見たところで、途中からわからなくなってしまい「これはちゃんと見ないとダメだ」と思い直して、再度最初から集中して見ました。

ただ、善玉と悪役とがハッキリと分かれているので、よく見ていればわかりやすいドラマです。

なにか時代を感じさせるような、映画と言うよりまるでシェークスピアの舞台劇を見ている錯覚(って見たことはないのですが)を覚えます。

つまりいちいち登場人物の動きや発声が大げさで、映画の中でも広い劇場に響き渡るような通る声で喋っているって感じ。おそらくそうした当時の舞台俳優や女優が多く出演し、そうした表現が当時は良いとされていたのでしょうね。

映画の最初の方で、悪人面し、病気でやつれた前任の大法官役に、懐かしい当時52歳のオーソン・ウェルズがちょい役として出ています。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

夜は短し歩けよ乙女 2017年 配給 東宝映像事業部
監督 湯浅政明 出演(声優) 星野源、花澤香菜

以前に読んだことがある森見登美彦氏の同名の小説をアニメ化した作品です。

最初はアニメとは知らず、ずっと頭の中で出来上がっていた実写版の映画とばかり思ってましたが、最初のタイトルが終わってもアニメのままだったので、???という感じで混乱しました。

その原作者の森見登美彦氏は京都大学で青春時代を過ごし、その思い入れが半端なく、様々な著書の中にも京都の風景が描写されています。

鴨川ホルモー」で有名な、年齢的にも近い同じ京大卒の作家万城目学氏の作品とも共通したところがあります。

このアニメでも、高瀬川や木屋町界隈、糺の森(下鴨神社参道)など京都の日常の風景が多く取り入れられています。

内容はというと、もうこれは小説以上にハチャメチャで、言葉ではなかなか言い表せないので、見ていただくしかないのですが、青春恋愛ドラマというか、魔境メルヘンというか、簡便なミュージカルというか、なにかわからないものがいろいろと混じっていてよくわかりません。

私は見てませんが同じ著者の作品を原作としたテレビアニメ「四畳半神話大系」が2010年に放送されていて、その流れをくむ映画だそうです。

★☆☆

【関連リンク】
ここ10年間に見た映画 その1(1999年以前制作映画)
ここ10年間に見た映画 その2(2000年以降制作映画)

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逆流 越境捜査 (双葉文庫) 笹本稜平

2014年単行本、2017年に文庫化された、「越境捜査シリーズ」の第4弾となる作品です。このシリーズは、2019年までに7作品まであります。

また2008年から2011年にかけて単発で柴田恭兵主演のテレビドラマが制作されています。

このシリーズは、「越境捜査」(2007年)、「挑発 越境捜査2」(2010年)、「破断 越境捜査3」(2011年)、「逆流 越境捜査」(2014年)、「偽装 越境捜査」(2015年)、「孤軍 越境捜査」(2017年)、「転生 越境捜査」(2019年)が既刊です。

著者の作品は過去にシリーズ物ではない「時の渚」(2001年)、「太平洋の薔薇」(2003年)、「グリズリー」(2004年)を読んでいます。いずれもまずタイトルにグッと惹かれたのと、実際に読んでみてもたいへん面白く一気にファンとなりました。

主人公は警視庁捜査一課捜査協力係の警部補で、いろいろと庁内で波風を立てたために、出世はできず、遊軍として捜査の応援をしたり、古い未解決の事件を追いかけたりしています。

ファンと言っても読むのは久しぶりで、調べると2007年から今回12年ぶりと言うことになります(すみません、ファンとは言えません)。

なにか本格的警察ミステリーと言うよりは、「相棒」や「あぶない刑事」などのように、テレビドラマ化を視野に入れた感のあるエンタメ性重視の作品です。

となると、お定まりの主人公の相棒にはハチャメチャでお調子者の金髪の刑事や、主人公の身辺警護には柔道の達人でやたらとジグザウエルを振り回す若い女性刑事とか、テレビ映えするようになっています。

ストーリーとしてはよく練られている感じで面白かったけど、あまりにも非現実すぎてちょっとなぁ、、、って感じでした。

★☆☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

友がみな我よりえらく見える日は (幻冬舎アウトロー文庫) 上原隆

1996年に単行本、1999年に文庫化された20年以上前の作品ですが、古くささは微塵も感じません。

著者は団塊世代の70歳、週刊誌や雑誌などに寄稿しているエッセイストとして有名です。

タイトルは、石川啄木の「一握の砂」の「友がみな われよりえらく 見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ」から取られています。なかなか含蓄のある言葉です。

著者がインタビューしたり、旧友との再会など、人とのコミュニケーションの中で、格好付けではなく、そのまま感じたことを素直に文章として書いているって感じのエッセイです。

最近はエッセイと言いながらもまるでフィクションの小説のようなものも増えていますが、まだ13年前は純たるエッセイが生きていたのでしょう。著者にもよりますけど。

なにか問題を解決してくれるという内容ではなく、様々な交友関係や気になった人との面談を通じて、人が生きていくという気持ちを気づかせてくれるような内容です。

他人との関係に悩んだり、気持ちが塞いだときなど、ちょっと気分転換のつもりで読んでみるのも良いかもしれません。なにか吹っ切れるきっかけとなるかも知れません。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ファスト風土化する日本―郊外化とその病理 (新書y) 三浦 展

その新書は今から15年前の2004年に発刊されたもので、やや内容やデータが旧聞になってしまってはいますが、大枠として地方の郊外化と犯罪の拡がりなど様々な問題を知るのには役に立ちます。

タイトルの「ファスト風土化」は、チェーン展開する画一的なファストフードにモロひっかけたオヤジギャク的な著者の造語ですが、「下流社会」ほどには一般的に使われることはありませんでした。しかし言わんとする意味はよく理解できます。

この本が書かれた2009年頃は、リーマンショック直後ということもあり、不況の影が忍び寄り、犯罪認知件数が特に伸びだした時期で、こうした危険を啓発するのに適していましたが、その後は重大犯罪は大きく下降し、犯罪数そのものは横ばいに推移しているのは以前「暗黒の1950年代 2019/4/20(土)」で書いた通りです。

特に犯罪認知件数が増加している理由のひとつには、人の人権意識や弱者救済の理解が進み、例えば今まで泣き寝入りしていて犯罪とならなかった、いじめや校内暴力、ストーカー行為などが犯罪と認識され、それを訴える人が増えてきているという事情もあるでしょう。

都市部のしかも繁華街で起きていたような犯罪が、地方でも起き出したというのは、それが確かなのかもう少し期間を追った検証が必要でしょう。

大ベストセラーになり流行語にもなった「下流社会」は、著者の中でも最大のヒット作品ですが、同著も読みましたが、やや炎上商法とまでは言いませんが、著者の作品にはやや大げさに不安を煽るようなところがあるのかも知れません。それが著者の本業でもあるマーケティングの鉄則ってことなのでしょう。

確かに地方の主要国道を走ると、大手スーパー、ディスカウントチェーン店、ファミリーレストラン等、全国どこにでも都心の郊外と同じような風景が見られます。

だからと言ってそれが今まで都市部で多く起きていた犯罪が地方で起きてきたというぶっ飛んだ仮説はまだちょっと行きすぎかなと思えます。

現実的に少年犯罪も、重大犯罪も10年単位で見れば、ずっと減少傾向にあり、ホンのわずかな1~2年だけの比較を出して「この地域でこーんなに増えている」とか言うのはどうなのでしょう。

全体としては、参考になる話しもあり、勉強になりました。

★★☆

 ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ピストルズ (講談社文庫)(上)(下) 阿部和重

2007年から2009年にかけて雑誌群像に連載され、2010年に単行本として、2013年に文庫化された長編小説で、2010年には時代を象徴する優れた小説が選ばれる谷崎潤一郎賞を受賞しています。

著者の作品は初めてだったかな?と思って調べると2015年に「グランド・フィナーレ」(2005年刊)を読んでいました。

2015年5月後半の読書(グランド・フィナーレ)

小説の内容ですが、実在する著者の出身地山形県東根市神町を舞台に、古くから土着している魔術を操る一家についての話しで、その華やかな一家には一子相伝で魔術を操れる子孫が生まれるという筋書きです。

その一家にまつわるいろいろな噂を耳にした町の書店主が、小説を書いてデビューした一家の次女に頼み、一家にまつわる噂の真相や家の歴史について聞き出していきます。

とにかく祖父の代から父親、そして妹へと一子相伝の秘術が伝わっていく長い長い物語で、途中から退屈しながらも我慢して読み進めていくと、最後まで特に盛り上がることもなく、ズルズルと終わってしまう割と単調なストーリーでした。

そう言えば、タイトルのピストル(拳銃)って一度も出てこなかったなぁって不思議に思っていたら、文庫の解説で「雌しべ(Pistil)」のことだってことがわかりました。

これはいまいち理解出来ませんが、すべての母親が違っているという一家の4姉妹のことを表しているのでしょう。

★☆☆

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