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999
過去に高齢者の地方移住について何度か書いたことがあります。

公的な高齢者移住計画は成功するか? 2015/1/21(水)

高齢者の地方移住はこれからも進むか 2013/7/27(土)


これは、首都圏を中心に団塊世代が後期高齢者に入っていく数年後から大きな社会問題となりますが、高齢者用の介護施設や介護人材の不足が顕著になってくることが予想されています。

なぜそうした団塊世代の高齢者が都市部に多いのかと言えば、それは1960年代以降の高度成長期に地方から都市部へと若者が大量に移動し、そのまま都市部に住み着いたからに他なりません。

例え今は60代で健康で誰のお世話にもならないという人でも、75歳を過ぎる頃からは、どこかが具合悪くなり、なにかしら健康を害し、介護が必要になっていきます。それが老いというものです。

国や自治体では、こうした急増する都市部の高齢者を、まず最初には介護を外に求めるのではなく家庭内で完結してもらう。

次にできるだけ要介護者を都市部と比べるとまだ余裕のある地方に分散させることで、介護施設の不足や人材不足を補おうと考えています。

経済発展のために地方から都会へ集められ、窓ガラスが割れるような寿司詰めの通勤電車で毎日通わされ、そしてリタイアすれば、老害とか、若者から搾取をしているとか言われ、果てはまた地方へ追いやられてしまうという構図です。

もちろん逃げ切りに成功し、退職金を満額受け取れた裕福な高齢者も多いので、そういう人達は、元気なうちに一戸建ての家を売り払い、便利な都市部のマンションや介護付きホームなどへ移っていけるでしょう。

そうじゃない高齢者は、20数年前に建てられた高齢者にとっては不便で老朽化した家やマンションから出ることもままならず、満足な介護サービスは受けられず、それに堪え忍ぶか、あるいは先述したように、地方へ移住をするかという選択を迫られそうです。

高齢者の地方移住というと、裕福な高齢者が暖かで空気のいい場所で、のんびりと釣りやゴルフを楽しむ毎日を送るというイメージがありますが、現実はそう甘くありません。

近年は高齢者だからと言っても、年金だけでは十分な暮らしができにくくなってきていますので、同時に収入を得るために働かざるをえない人も多くいます。

そこで政府は、『元気に働ける移住高齢者でつくる地域共同体「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想』というのを推進するようです。

高齢者移住「継続的事業に」=地域再生法改正へ-石破担当相(時事ドットコム)
石破茂地方創生担当相は12日の閣議後の記者会見で、元気に働ける移住高齢者でつくる地域共同体「生涯活躍のまち(日本版CCRC)」構想の具体化に向けて地域再生法を改正し、市町村や共同体の運営事業者の役割を明確化する考えを明らかにした。石破氏は「継続的な事業として成り立たせたい」と述べた。同法改正案を今国会に提出する。
構想は、主に都市部の高齢者に地方に移住してもらい、周辺住民との交流を通じて地域活性化につなげる狙い。共同体の運営は社会福祉法人や企業などが担う予定だ。改正案には、高齢者の移住を受け入れる市町村が事業者と連携して運営計画を作ることなどを盛り込む。

つまり簡単に言えば「大都市に年寄りは邪魔だから集団で人口減少している地方へ行ってもらい、年金に頼らず死ぬまで働け」ということですね。

国としても年金生活でなにも生産しない隠居老人を養うよりは、労働生産して、税金も納めてもらって、その分年金も減らせることができれば一石3鳥でしょう。

特に地方の労働力不足は明らかなだけに、移住高齢者にその役割を担ってもらおうという魂胆がかいま見えます。

そして先述の通り、お金がなければ都市部でまともな介護や治療を受けるというのが難しくなってくるのもまた事実です。それについては下記の日記で書いています。

介護にまつわるあれこれ 2014/12/6(土)

これを見るとわかりますが、都市部の住人の高齢化スピードは急速で、介護施設はもちろん、病院や診療所の不足も顕著になっていきます。

都市部で裕福な老後をおくることができる人達、おそらくは老夫婦二人だけの年金生活世帯で、夫婦とも健康で持ち家があり金融資産(預貯金など)が3千万円以上持っているか、賃貸マンション住まいの場合だと、健康な夫婦で5千万円ぐらいの金融資産がある人達は、別に仕事を探したり地方移住を積極的にする必要はないでしょう。

そうでない人達(私も当然こちら側)は、都市部に住み続けて介護難民の憂き目に遭うか、それとも戦前の南米移住や、戦後のハワイ移住などと同様、国の甘言を信じて地方への移住を決意するか、まぁどちらにしても楽な生活でないことだけは確実で、それなりの覚悟が必要のようです。

【1000回まであと☆1】

【関連リンク】
889 公的な高齢者移住計画は成功するか?
865 仕事と介護の両立という難題
733 高齢者の地方移住はこれからも進むか
578 外国人研修制度という名の移民政策
425 棄民政策は日本の伝統か



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998
1月26日から天皇陛下はフィリピンへ訪問をされました。皇太子時代の1962年に一度同国へご訪問されているので52年ぶりの再訪ということになります。

太平洋戦争で激戦地となり、両国で民間人を含む多数の死者を出した同国への訪問は、お互いの国民感情の問題があった1962年当時とは違い、今ではすっかり親日国に変わっていると思われますが、そうした過去の因縁を乗り越え、82歳というご高齢をおして、両国の親善のためよく訪問していただけたと思います。

天皇、皇后の今後の海外訪問は、年齢的なことを考えると、これが最後になるのではと思われますが、その分、若い他の皇族方に頑張ってもらいたいものです。

さて、戦後に象徴天皇となられた昭和天皇以降、天皇陛下の海外公務について調べてみました。宮内省が公式に発表されたものだけで、天皇が皇太子時代に訪問したり留学していた国、戦前の外国訪問は含めていません。



昭和天皇は戦後2度の海外公務で、ベルギー、英国、ドイツ連邦共和国、アメリカ合衆国の4カ国を訪問されています。

終戦後まもなくで、対戦国ではまだ戦争責任云々という時期もあったためか、それともご高齢となられ、体調などを考慮してか、意外と少なかったですね。

昭和の時代が終わり明仁天皇(現在の天皇陛下)に代わって以降は、ほぼ毎年海外訪問が恒例化していきます。

国別ではアメリカ(ハワイやサイパン含む)、ベルギー、英国、ドイツへは複数回訪問され、あとはヨーロッパやアジアの主要な国へ訪問されています。特に英国、ベルギーは王室の関係から頻度が高いのでしょう。

主要国や近隣諸国でまだ訪問されていないのは、ロシア、オーストラリア、スイス(立ち寄り訪問あり)、フィンランド(同)、韓国、台湾、インドネシア、ベトナム、香港といったところでしょうか。あとは、中東諸国やアフリカ諸国へも訪問されたことがありません。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

天皇の名代として訪問することが多い皇太子殿下の海外訪問はと言うと、昭和天皇の崩御後、1989年以降の26年間に36回、公式訪問が49カ国、立ち寄り国も含めると60カ国訪問されています。



中でもスペインとサウジアラビアへは4回、ベルギーとトンガへは3回というちょっと意外?な国へ何度も公式訪問されています。いずれも王室との関係が深かったり、親日国だったりということもあるのでしょう。

その他ではアフリカや中東、東南アジアなど、天皇陛下が行かれていない国々への訪問があり、皇室全体でバランスが取れるようになっています。

現体制の天皇も皇太子も戦後訪問されていない国や地域としては、ロシア、韓国、台湾、インドネシア、香港といったところでしょうか。政治的な問題や国民感情がクリアとなり、それらが実現するのは果たしていつのことになるのでしょうか、、、


【1000回まであと☆2】

【関連リンク】
911 visa(査証)なしで何カ国へ渡れるのか
870 首都移転は実現可能か
814 日本に外国人観光客を呼ぶ
290 天皇陛下のお言葉と岡田発言

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997
994 自動運転の未来」で、高速道や整備された国道の本線を淡々と走ったり、特定の場所での車庫入れなどの半自動運転技術はすでに普及しつつあるものの、Googleや日産が力を入れて取り組んでいるハンドルのない完全自動運転車の実現は一般道においては難しそうだということを書きました。

私が思うには、完全自動運転は、様々な不確定要素が多すぎる一般道ではなく、まずは鉄道やLRT(次世代型路面電車)から始まるものと理解しています。

って書くと、東京臨海新交通臨海線のゆりかもめや神戸新交通ポートアイランド線、横浜新都市交通金沢シーサイドライン、舞浜リゾートラインディズニーリゾートラインなどで既に無人で走っていると言われそうですが、まだJRを始め大手私鉄の主要な路線や、一番人件費を削減したいはずのローカルの電鉄会社ではほとんど導入されていません。

また札幌地下鉄や東京メトロ、横浜市営地下鉄、名古屋市営地下鉄などでも一部に自動運転が導入されていますが、運転士が乗務し、まれに操作を必要とすることがありますので、まだ完全無人運転とは言えません。

思わぬ事が発生しやすい交差点や、走行中の直前への割り込み、渋滞時の合流などがない鉄道においては、比較的自動運転システムを取り入れやすい環境にあります。少なくともスピードの出し過ぎや停車駅を間違えるというような人為的ミスを犯す確率を考えれば事故を減らせるでしょう。

しかしそれでもなかなか鉄道の全面的な無人自動運転が進みません。

鉄道の自動運転は、自動車のそれとは違い、全体の流れを考え、前後の間隔調整、スピードコントロール、停車時や減速時にショックを減らして緩やかにおこなう、停止線やホームドアに合わせ停車位置にピタリと停めるなどに重きを置いています。

自動車の場合は、不規則な前車に追随して走る、不意な飛び出しがあった場合のパニックブレーキ、前に急に割り込んできたクルマがあった場合の対処、遅い車を追い抜くなど、鉄道とはまったく違う制御が必要です。

それを考えるとクルマの自動運転は鉄道と比べるとずっと難しく、クルマの自動運転が可能なら、なぜ鉄道はもっと先にできないのか、ちょっと不思議でもあります。

理由のひとつには、多くの乗客を乗せて運行する鉄道で、しかも秒単位の過密ダイヤで走らせる場合において、システムの信頼性や、万が一不測のトラブルが起きた時の対応、自動運転設備の巨額のインフラ投資、そして鉄道会社の乗務員組合の問題などがあってのことでしょう。

ただいずれにしても今後新しく作られる鉄道やモノレールなど新交通システムについては無人運転の導入が進むことは間違いありません。一般道路上を他のクルマなどと混在して走る路面電車は、クルマの自動運転と似た点があり、その場その場での状況判断が必要となりますので、こちらの完全自動運転はまだ難しいでしょう。

では自動車、特に路線バス、送迎バス、タクシー、長距離トラック、タウンコミューターなどの自動運転はいつ実現が可能でしょう?

日本では1970年代から継続的に国が推進しているITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)という仕組みに対し多額の国費(=税金)が投じられてきました。

このITSは国土交通省の旗振りで、「交通の輸送効率や快適性の向上に寄与する一連のシステム」のことで、高度ナビゲーションやETC(自動料金徴収システム)、安全運転支援、駐車場案内など様々な公共交通の仕組みに関わっています。将来的には自動運転も視野に入っています。

ただ、この巨額の利権を生む温床となっているITSのせいで、クルマの最先端技術開発とその普及が進まないという弊害も指摘されています。

自動運転化に待ったを掛けている国交省。赤信号での自動ブレーキ認めず(2016年1月6日)
赤信号を明確に判断できる性能持つメーカーが国交省に「赤信号で停止する機能を付けたい」と相談したところ「絶対ダメ」と受けてくれなかったという。なぜ絶大なる事故防止効果を持つ赤信号や一時停止標識での制御を認めないのか? 理由は簡単。国交省が『ITS』(高度道路交通システム)という巨額の投資を必要とするインフラとセットになったシステムを立ち上げたいからに他ならない。
具体的に説明すると、信号などに情報を発信する装置を取り付け、その電波をクルマが受け取り制御するというシステムだ。信号1カ所で2千万円規模の装置を付けるため、巨額の予算必要。天下りポストになる管理団体も作らなければならない。それと同じことをクルマだけで実現されたら困るのだろう。

ま、巨額の税金が投入されるプロジェクトには、官も民も欲の皮がつっぱた人達が数多く群がりますからこういうことになります。

割と自由で先進的なことが好きなアメリカでも完全自動運転の無人カーの可否については様々な意見があるようです。

車の自動運転にドライバー必要か 米で公聴会(NHK)
車の自動運転の実用化に向けたルール作りが進められているアメリカのカリフォルニア州で、運輸当局による初めての公聴会が開かれ、当局側が安全のため車にはドライバーの存在が必要だとする一方、開発を進めるIT企業側は強く反発し、自動運転を巡る意見が大きく対立しています。

それはさておき、IT企業が力を入れる自立型自動走行車と、国や自動車メーカーが力を入れる協調型(インフラと通信システムでネットワークを結ぶ)で綱引きがあるようですが、巨大なインフラ投資が必要となる協調型は一部の大都市圏なら可能としても、真っ先に自動運転を必要とする高齢化した過疎地域にまで普及させるのは困難で、それならまずは自立型に積極的に投資、運用開始をしてもらいたいものです。

まず自立型の半自動運転が実用化されると、例え運転手の技能が未熟であったり、万が一居眠り運転をしたり、突然発作が起きて意識を失っても、1月に起きた悲惨な碓氷峠のバス横転事故のような悲惨なことは防ぐことができます。

そして自立型では難しい渋滞道路の迂回、渋滞路への合流、目的地が満車時の駐車場所案内、道路工事中の回避運転等に関して協調型が積極的にサポートをするような仕組みがふさわしいと思えます。

いずれにしても、国主導のITSにこだわっていると、世界の潮流に乗り遅れ、携帯電話や軽自動車のように世界には通用しない日本独自規格でガラパゴス化していきそうです。

過去にも国内規格や技術にこだわった結果、旧電電公社時代から引き継いで旧NTTが担いでいた高くて遅いISDNや、一瞬にして消えたアナログハイビジョン放送など、役所と利権が絡むとロクでもないことになっていきます。


【1000回まであと☆3】

【関連リンク】
994 自動運転の未来
975 自動車の分類「セグメント」とはなにか?
891 昨年の自動車販売データ
864 衝突安全性テストについて
661 乗用車の平均車齢と平均使用年数



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996
海賊とよばれた男(講談社文庫)(上)(下) 百田尚樹

出光興産創業者の出光佐三をモデルとした作品で、2013年に本屋大賞を受賞しています。

2016年には映画が公開される予定で、監督は山崎貴、主演は岡田准一の「永遠の0」コンビとなります。

私が生まれる前の話しがメインなので、よく知らなかったことも多いのですが、戦後の占領統治時代に、世界第2位の海軍力を持っていた英国と石油メジャーに対し、敗戦国(日本)の1民間人が堂々と喧嘩を売って、しかもそれに勝利をした日本人がいたことをこの小説で始めて知りました。

ま、こうした小説にはありがちな、大げさにドラマティックかつロマンティックにヨイショした部分がないとは言えませんが、史実も織り交ぜています。

第二次大戦後のイランは独立していましたが、まだ英国の影響下にあり、そこで産出する原油はすべて英国が国有するものと主張していたため、自由に輸出ができず、イラン国民は貧困にあえぐ状況となっていました。

そこへ石油が不足していて、戦後の復興が進まない日本の石油販売の1企業が、自前の石油タンカーをイランへ差し向け、英国の妨害や差し押さえを見事にすり抜け、原油を日本へ持ち帰ったのが「日章丸事件」と言われる1953年に起きた事件です。

その後イランでは石油を狙う英国と米国がタッグを組み、イラン国内でクーデターを起こし、再びメジャーと言われる英米仏の大手石油企業が利権を手中に置くことになります。

しかし、英国と堂々と渡り合った日本の石油企業として、世界をアッと驚かせた影響もあり、日本国内で競合するメジャー以外の新たなパートナーと組むことがかない、また石油精製工場も建設してようやく石油ビジネスを順調に軌道に乗せることができるようになっていきます。

私の家の近所には、ENEOS(旧日本石油、三菱石油、JOMOなどが合併、統合した国内最大の石油精製販売会社)とESSO、それに出光のガソリンスタンドがあります。

今までは営業時間の長いENEOSを利用していましたが、この本を読んでからは、今後はメジャーに支配されず、日本民族系石油販売会社として生き延びてきた出光興産のスタンドにも行かないとなぁって思いました(感化されやすいタイプ)。

★★☆

著者別読書感想(百田尚樹)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

ツナグ (新潮文庫) 辻村深月

1980年生まれという若手女流作家さんの作品で、デビューは2004年ともう12年も前ですが、今回初めて読みました。2012年にはまだ読んでいませんが「鍵のない夢を見る」で直木賞を受賞されています。

この連作短編小説は2010年に刊行され、2011年には吉川英治文学新人賞を受賞、2012年には松坂桃李主演で映画が製作されています。

主人公は死者と生者のあいだを取り持ち、死者と再会させてくれるという使者(ツナグ)の若い男性。というと、恐山のイタコを思い浮かべますが、霊が乗り移って言葉だけを伝えるのではなく、亡くなった人が現実に現れ、二人だけで数時間会うことができるという設定。

梶尾真治著の「黄泉がえり」(1999年)も10年以上前に読みましたが、あれも願うことで死者と出会うことができるというのがテーマでしたから、本質的に似ていると言えば似ています。

もう一つ、伊坂幸太郎著の「死神の精度」(2005年)はそうした媒介者ではなく、死神が主人公で少し違いますが、連作短編という形ではよく似た感じです(それらを参考にしていたかどうかは知りませんが)。

これらの作品はいずれもすぐに映画化されるところを見ると、こうした死者と生者の関係性を扱うテーマは映画に向くのでしょう。

なので、中高校生や夢見がちな若い女性ならともかく、ロマンの欠片もなくなった中年男が読むには内容が無理目ではありますが、ストーリーもよくできていて、なかなか面白く、これなら映画制作者の目にもとまるだろうなぁって気がしました。

★★☆

著者別読書感想(辻村深月)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

逃げろ光彦 内田康夫と5人の女たち (講談社文庫) 内田康夫

2005年に単行本、2008年文庫化された短編集で、シリーズ主人公「速見光彦」が登場するのはその5編中1編のみです。

これらの短編小説は書き下ろし作品の「逃げろ光彦」以外は「問題小説」というちょっとアレ系の雑誌に掲載されていた作品ですので、著者の作品としては珍しい濡れ場シーンが入っているのがご愛敬です。

収録されているのは「逃げろ光彦」「飼う女」「交歓殺人」「埋もれ火」「濡れていた紐」の5編ですが、それぞれに笑う女、泣く女、悲しむ女、怒る女、殺す女の5人の女がテーマになっています。

著者自身あとがきで自身が書いていますが、著者の作品で短編というのは珍しく、やはりあまり短編を書くのが好きではないということです。

しかしいつも読み慣れた長編とは違い、短編もなかなかと思える出来で、これはこれで十分に楽しめます。できれば全部が浅見光彦が登場する短編というのがあれば、それも悪くはないかなと思いますけどね。

★☆☆

著者別読書感想(内田康夫)

  ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟ ∟

日本名城伝[新装版] (文春文庫)  海音寺 潮五郎

著者は1901年(明治34年生まれ)の歴史作家で、1977年に亡くなっています。戦前の1936年には 「天正女合戦」と「武道伝来記」で第3回直木賞受賞を受賞されているほか、NHK大河ドラマやその後映画にもなった「天と地と」など、戦前戦後にかけて多くの歴史小説やエッセイを残されています。

この本は、当初1977年に発刊されましたが、その後2005年に新装版として出版されています。私自身は著者の名前は以前からよく知っていましたが、作品を読むのは今回が初めてです。

内容は戦国時代から江戸時代にかけて建築された各地の名城が建設されたときの時代背景や歴代の城主、関係する有力な武将などについて詳しく解説がされていて、地政学的、建築・土木学的な視点の研究本ではありません。

取り上げられる城は全部で12あり、熊本城、高知城、姫路城、大阪城、岐阜城、名古屋城、富山城、小田原城、江戸城、会津若松城、仙台城、五稜郭です。

九州から北海道まで順に北進していて造られた時代はバラバラです。個人的には過去に行ったことがある松本城や彦根城、岡山城、岡崎城、田辺城、伊賀上野城、安土城(跡)、米沢城(跡)が入っていないのはちょっと残念。

江戸時代までに造られたお城で、現在でもその象徴的な天守が当時のままで残っているのは姫路城と彦根城(いずれも国宝指定)ぐらいで、当時に再建、改築されて現在まで残っているお城としては犬山城・松本城・高知城・松江城(高知城以外は国宝指定)になります。

本書に登場する名古屋城や大阪城の今のお城は象徴的というか、鉄筋造りでエレベーターもあり観光目的化していますので、建築物自体はげんなりもしますが、この本に出てくる各お城の建設当時の背景を読むことで、なぜここにこのようなお城が建設されたのかなど、当時の雰囲気が良く伝わってきます。

現在建っている大阪城は、豊臣を滅ぼした徳川家康の息子秀忠によって、豊臣色を一掃して新しく再建されたお城をモデルに造られていますので、大阪が日本の中心だった頃の全盛期を反映していません。願わくば、豊臣秀吉が造った当時の大阪城を復元してもらいたいものです。

★★☆

【1000回まであと☆4】

【関連リンク】
 1月前半の読書 月と蟹、不実な美女か貞淑な醜女か、左京区恋月橋渡ル、交換殺人には向かない夜
 12月後半の読書 雪の夜話、銀河ヒッチハイク、首都崩壊、龍は眠る
 12月前半の読書 早春の化石、冬蛾、中国化する日本、恍惚の人
 11月後半の読書 ラストチャイルド(上・下) 、老いる覚悟、Nのために、昭和の犬

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995
1~2年前から時々話題になっている、リゾート地に建てられ、一時期は数千万円もしたマンションが、現在はわずか10万円で販売されているって話し。

80年代から90年代序盤のバブル時代に、団塊世代以上の人達が、当時ブームだったスキーや保養、それに将来価値が上がるかもと投機目的で買ったリゾートマンションが、20年以上が経ち、持ち主が高齢となり、スキーもしなければ、温泉つかりにわざわざこんな遠方まで足を運ばなくなり、かと言って、売りに出しても買い手がつかずというパターンが増えています。





先月NHKのある番組でこうした格安物件の購入者というか、在住者に取材をしている番組がありました。

50代で早期退職したあと、訳ありで戻る場所がなく、古いリゾートマンションを5千円で購入して、終の棲家として住んでいるという男性のパターンや、子育てが終わった老夫人が、いろいろと煩わしいことを言ってくる夫とは一緒に住みたくないからと1人で気ままに暮らしているケースなどが紹介されていました。

こうした激安マンションが存在するのは、もちろん買い手がつかないからですが、それは例え安く買ってもかならずついて回る、月々の共益費(管理費)修繕積立金の負担という理由があります。

その他にも固定資産税や、使える状態であるならば、水道や電気代などの公共料金(使っていなくても基本料の支払い)の負担もあります。上記の50代男性の場合、支出を抑えるために電灯やストーブをできるだけ使わない生活をしてました。

マンションに住む以上、この共益費と修繕積立金の負担は当たり前なのですが、リゾートのマンションの場合、将来値が上がると思っての投機目的か、別荘として購入し年数回利用するだけで、そこに住むことを目的としていないに関わらず、毎月数万円を負担しなければならず、持ち主が年金生活者になってしまい、それに音を上げて、売り急ぐ持ち主が相次いでいるようです。

さらには同時に持ち主が不明だったり、権利関係が複雑で、共益費や修繕積立金が数年間支払われず、未納となっているケースも多く、いわゆる日本中で深刻化している「空き家問題」「老朽化マンション問題」と同じ課題を抱えています。

しかし、考えてみると、地方で貸家のアパートに入居しても、毎月数万円の家賃負担は当たり前で、同時に水道代電気代ガス代などの負担もあります。その貸家での負担とこのリゾートマンションで暮らすための費用とを比べると、一見するとそう悪くはないのかも知れません。

民間の借家では単身の高齢者はなかなか入居できなかったり、2年ごとに更新料とか訳のわからない多額の費用を請求されたりすることを考えると、薄っぺらな壁の安普請の賃貸アパートとは違い、古いとはいえ自己保有する鉄筋コンクリート造りのマンションのほうが自由度が高く、住みやすいということもあるかも知れません。

高齢になっても健康なあいだはこうしたリゾートマンションでも問題は何もないとしても、もし病気や怪我で入院介護が必要となった場合はどうでしょう?介護してくれる家族がいない場合、自宅療養、介護というのが難しい場合がよくあります。

また認知症や寝たきりに近い状態になってしまうと、介護保険と個人の年金や貯金を使って特養や完全介護付きの老人ホームへの入居ということになりますが、借家の場合は住んでいるアパートの賃貸契約を解約するだけでその後費用は発生しません。

リゾートマンションを保有していると、老人ホームへ移ったあとも毎月の共益費と修繕積立金、固定資産税の支払いがついて回ります。マンションをたとえタダにして手放したくとも、まず買い手が見つかりません。なので、そうした二重生活にならないよう注意する必要がありそうです。

自活できる健康な老後をおくり、そのまま介護施設や病院にはやっかいにならず、自宅(=リゾートマンション)でポックリいくことができれば、管理費は賃貸といて支払っていると思って、こうした激安リゾートマンションを買って住むというのもそう悪くないかも知れませんが、先のことはわからないだけにリスクでしょう。

それで持ち主が亡くなった後、法定相続人(子や孫)が相続すれば、これまた売れるまでずっと相続人が毎月支払いを続ける羽目になります。

相続放棄をすれば免れますが、その場合、もし他の財産(現金や不動産など)があっても相続できなくなります。預金だけ相続して古いマンションはいらないなんて都合のいい相続はできません。

不動産業界では、こうしたことから、このような老朽化が進む古いリゾートマンションを「ババ抜きゲーム」と呼んでいるそうです。誰がこの毎月の支払い(=ババ)をつかんでくれるか?という意味です。

やがてはこうした老朽化マンションの補修にも限界が来て、本来ならば建て替えが必要となってきますが、リゾートマンションだけに持ち主が常時住んでいるケースは少なく、通常1戸あたり数百万円~数千万円の追加費用が発生するような建て替えに2/3以上の賛同はなかなか得られないでしょう。

そうするとやがては修繕不可能にまで老朽化し、空き家が増え、建て替えもできないとなると、管理会社も逃げて、あとはスラム化、廃墟化してしまうのは必然でしょう。

都心部の老朽化マンションであれば、まだ土地に需要があるので再開発されることで、住人は幾ばくかの立ち退き料か、もしくは新築マンションに優先的に入居できる権利(追加費用は発生)がありますが、こうした遠隔地のリゾートマンションではそれも期待できません。

結果、ババをつかむのは誰か?ってことで、例えお金を出してでも早く売りたいという持ち主があとを絶たないのだと思います。

30~40年前の建設ラッシュに沸いた時は、地元の市町村は税収も伸び大いに潤ったはずです。そしていま、果たして行政がそうした空き家問題とそこに居住する貧しい高齢者になにかできるか?って考えると、知らなかった、聞かなかった、見なかったという知らんぷりを決め込むことになるのでしょう。


【参考 格安中古マンション検索】

ひまわり(不動産会社) 湯沢・苗場 安い中古リゾートマンション
苗場周辺には10万円マンションがズラリとあります。

suumo 東京都 安い中古マンション
さすがに東京都は安くてもワンルームで200万円台からです。2LD以上なら300万円台からになりそうです。

suumo 大阪府 安い中古マンション
大阪なら200万円台から2LDKや3LDKが買えます。

suumo 北海道(札幌) 安い中古マンション
札幌なら100万円台で3LDKが買えます。

suumo 群馬県 安い中古マンション
草津のリゾートマンションは100万円以下で買えます。

suumo 山梨県 安い中古マンション
空き家率が日本一高い山梨では100万円台で豊富に売りに出ています。

suumo 山梨県 安い中古一戸建て
中古一戸建ては300万円からあります。

suumo 千葉県 安い中古一戸建て
千葉でも300万円台で3LDKの一戸建てが購入可能です。

【1000回まであと☆5】

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